このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
だから私は今日も生きる
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- 1 : 2019/11/15(金) 12:25:22 :
- どうも、初めましての方は初めまして。
お久しぶりの方はお久しぶりです。お鶴です。
今回は…と言うか、小説っぽいのはほんとーっに久しぶりに書くのですが“鬼滅の刃”を題材としたお話を書かせていただきます。恋愛はもしかしたら入るかもしれません。オリキャラが主人公なので、多分原作キャラは出てこないかもしれません。性描写を書くつもりはありませんが、グロテスクな場面があるかもしれないので一応つけてます。
最後まで書くつもりではありますが、更新は亀さん並みです。
感想を書く場は
http://www.ssnote.net/groups/1619/archives/50
こちらに設けたので、そちらに書いていただけると嬉しいです。
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- 2 : 2019/11/15(金) 22:07:30 :
- 人だった頃の記憶なんてない。そんなものはとうの昔に色褪せて。けれども一つ、死にたくない思いだけがほんの小さな一欠片となって今も私の胸の内に残っている。
それきっと、人だった頃の残滓。鬼に成り果て全てを忘れてなお、根強く私の中にある想いの欠片。
――ああ、ダメだダメだ目を閉じるな、閉じるなよ。お願いだから、死なないでくれ霞。
誰かが私の側で泣いていた。
視界がぼやけてあまりよく見えない。掠れる呼吸が苦しくて。
鼓膜の内側から太鼓を叩くようにばくばくと心臓がうるさくて。指先から徐々に冷たくなっていく感覚を、自分が少しずつ弱っていくのを感じていた。
手足が棒のように動かなくて、だんだん瞼も重くなって。
まだ微かに感覚のある指先に触れる血の冷たさが、傷口から流れる血の多さが、私の命がもう長くないことを示していた。
死ぬのかぁ。
痛みも感じなくなって、他人事のように思う自分が居た。
死は怖い。体験したことがないから。
死んだら一体何処に行くのかもわからないけれど、もしもあの世が存在するならば、自分はいっぱい手を血で染めてきたから、きっと地獄に行くんだろう。
なにより、大切な人達と過ごした記憶がなくなってしまうことが怖かった。
でも、私の何処かにある冷静な部分が死ぬんだろうなぁっと、やはり自分の死を他人事のように思わせる。
だって、仕方ない。
出来ることなら死にたくないけど。まだまだ生きていたいけど。
私の負った傷は優秀なお医者様に見せたって首を横に振るような傷だから。
致命傷と言うやつだろう。
しょうがない、これはしょうがないだろう。
そう思うんだけれど、側に居る誰かがあまりにも可哀想で、置いて逝くのが申し訳なくて。
声を枯らして泣きながら、死ぬな生きろと怒るので。
―――あぁ、死にたくないなぁ。
なんて、強く思ってしまったんだ。あぁ、うん、ほんとに死にたくはないんだよ。
だって死んだら、皆と一緒に入れない。
それは私にとって、一番苦しいことだから。
でもしょうがない、これはどうしようもないことだって思えてたのに。
なんであなたがそんな苦しそうなの、辛そうなの。
そんなに泣かないでよ、あなたが泣いちゃうと調子が狂うじゃない。
死にたくない、死にたくないなぁ。まだ生きていたい。
まだ、皆とやりたいことがいっぱいある。死にたくない、怖い。死ぬのは嫌だ。
ああ、でもなによりも、そんな顔をしたあなたを残して逝くことが嫌だなって、思ったんだよ。
そう思って、それから………ああと、どうしたんだろう。
人の頃の記憶なんてとうの昔に色褪せて、霧掛かったように思い出せなくて。
思い出せたとしてもそれは残った欠片のほんの一部で、時が経てばまた零れ落ちていく。
けれども一つ、死にたくない想いだけは無くすことなく抱き続け。
かつて霞であったその鬼は、霧掛かった記憶にこてんと首を傾げる。何を考えていたんだっけ?
大切だった人達も、日々も、全て零れ落ちていく。
それでも死にたくない想いだけは焼印のようにこびり付いて離れずに。
だから霞は今日も生きる。
例え鬼狩りに刀を向けられ追いかけられようが、腹を空かせた同族に襲われようが。
日の光の下で生きれずとも生きている。
名前も分からない誰かの為に、今日も生きている
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