ssnote

x

新規登録する

このスレッドの編集には編集パスワードが必要です。

表示するレスにはチェックしを、表示しないレスはチェックを外してください。

▼一番下へ

  1. 1 : : 2019/02/13(水) 17:01:48







    ______超能力


    それは文字通り人を超越した能力である。
    だが、その大半はただの絵空事。娯楽に飢えた者達が造り上げた妄想に過ぎない。




    ______しかし


    その妄想の産物が、とある科学者により実現された。
    科学の粋を集めて産み出された能力者達は、そのどれもが戦術的価値を見出だされた。
    これにより、世界の軍事バランスは大きく傾くことになる。




    そして、軍事バランスの崩壊を乗り切った三つの大国


    ______マリア王国  ローゼ王国  シーナ帝国


    シーナ帝国は、数多の小国を侵略し出来た国である。故に、三つの国の内、飛び抜けた力を保有している侵略国家である。

    ローゼ王国は、崩壊の荒波に揉まれながらも能力者達による堅実な守りと、産業的利益により、三国の中で最も平和な国である。

    マリア王国は、その殆どの軍力が能力者達に支えられている。そして近年では、シーナ帝国による侵略を受けている国でもある。









    ______さて、前置きはこのくらいにしよう。


    長々と語ったが、この物語は一人の少年の物語だ。
    少年が仲間を得て、力を得て、強大な敵を討ち倒す。何ともありきたりなストーリー。

    でも、少年が歩む道は、生憎と普通ではない。強すぎる力という物は、得てして全てを傷つけるものだ。



    故に、故にだ。

    彼は善人ではない。彼はエゴイストだ。
    彼は悪人ではない。彼は醜いバケモノだ。
    彼は正義ではない。彼は偽善者に過ぎない。
    彼は弱者ではない。彼は紛れもない強者だ。

    彼は全てを救わない。彼が救うのは一人だけ。
    彼は全てを望まない。彼が望むのは一人だけ。
    彼は全ての上に立つ。彼は最強であり続ける。
    彼の全ては一人の為。彼が視えるのは一人だけ。


    彼は……………


















    これは、一人の少年の歩む道を綴った物語。



  2. 2 : : 2019/02/14(木) 21:43:08


    《マリア王国 某所》






    カタカタ カタカタ



    研究者「はぁ…はぁ……くそ、クソッ!!」カタカタ(パソコン)



    どこかの暗い部屋。そこには一心不乱にパソコンに何かを打ち込む白衣姿の男性がいる。
    恐らく研究者であろう男性は、よく見ると頭から血を流し、足下もふらついている。
    そして突如…






    ドゴオォンッッ!!!



    研究者「ぐわっ!?」




    部屋の一角が派手に吹き飛び、その衝撃で研究者も飛ばされて尻餅をつく。
    暫く瓦礫の崩れる音が響く。




    ?「よぉ、モグラ野郎ぉ」



    研究者「ぐっ、貴ッさ、まああぁぁァァ!! よくもぉ、よくもよくもよくもよくもよくもぉぉぉ!!」




    次いで響いたのは若い男の声。研究者をモグラ野郎と罵ったことと、研究者の反応から、この少年が研究者に怪我を負わせた人物であることは容易に想像がつく。




    ?「そんなに騒ぐなよ、傷に響くぜ?なぁ、おい」ケラケラ



    研究者「ぐっ、ぬぅ」プルプル



    ?「おっ、震えてんのか?それは怒りか?絶望か?」



    顔が真っ赤なのを見ると、前者だろう。



    ?「まぁ、そんなことはどうでもいい。さっさと研究資料をよこせ、こっちには急ぎの用事があるんだよ」



    研究者「………くっ、ふふははははははっ! そんなに大事か?あの小娘のことが!そうだ!貴様さえ居なければッ!我々の研究はもっと早い段階で成し遂げられていた!! 貴様の、貴様のせいだ!!」









       「エレン・イェーガーッッ!!!!」



    エレン「…」




    研究者が少年の名前を激昂した所で、少年改めエレンは一歩踏み出す。




    エレン「…ああ、そうだな」スタ スタ



    研究者「くっ、来るなぁ!」ブンッ



    研究者が拒絶の言葉を叫び、手近にあった拳大の瓦礫をエレンに向かって投げる。
    だが、



    キィン


    ヒュンッ



    研究者「がっ」ガン



    エレン「…」スタ スタ



    エレンに瓦礫が当たる寸前、突如として甲高い音が鳴り、向かって来た瓦礫はおよそ数倍の速度で研究者へと返っていった。さながら“反射”のように。




    エレン「資料なんて……」



    ヒタリ



    研究者「ひっ、ひぃい」



    エレンは研究者の頭の傷口に触れる。すると…









    パァンッ!!



    ビチャビチャッ(血)





    エレン「殺して奪えばいい」




    研究者の体から破裂したように血液が飛び散り、研究者は最早物言わぬ肉人形と成り果てた。
    そしてこの惨状を作り出したエレンには、返り血すら付いていない。






    エレン「チッ………はぁ~、疲れた。つーか、今日は学園の入学式じゃねぇか。さっさと帰らねぇと、ミカサを遅刻させちまう」




    なんとも呑気なことを言いながらエレンは入ってきた場所から出ていく。
    人一人殺したというのに、その足取りはいたって自然体だ。それはそうだろう。彼にとって、このようなことは日常茶飯事だ。故に殺してきた数も相応のもの。
    そして彼は出ていく。闇の世界から光の世界へと戻っていく。




  3. 3 : : 2019/02/15(金) 23:07:15






    ______自由の翼学園


    それはマリア王国において知らぬ者はいない、能力者育成を目的とした学園である。
    だが、あくまで学園という形をとってはいるが、その実態は能力者をより強く、より効率的に育てるための場所。いわば能力者専門の訓練所である。
    そんな学園の門の前には、これからここに入学する少年少女がいる。





    ?(……遅い)



    そんな少年少女達の中でも、一際目を引く少女がいた。
    肩口で切り揃えた艶のある黒髪に黒い瞳、顔立ちも整っていて非常に目立つ。
    そんな少女は見るからに「私、怒ってます」という雰囲気を醸し出している。無表情で。



    ?(全く、もうすぐ入学式が始まるのに。でも、待っていろと言われた手前、探しにいくのも憚られる………………どうしよう)ハァ



    ここでずっと無表情でいた少女がため息をついた。
    そこで少女の後ろから声が響く。





       「ミカサ!」



    ミカサ「!」バッ



    呼ばれた少女改めミカサは、声がする方向へ即座に振り向く。
    それはもう凄い速度で。



    ミカサ「エレン、遅い」



    エレン「悪い、案外モグラ野郎がしぶとくてな」



    ミカサ「…いくら私の為だからって、別に今日じゃなくても良かった筈」



    エレン「いや、こういうのは早めに殺った方がいい」



    どうやらミカサの待ち人とはエレンだったようだ。
    ミカサはエレンが遅かったことに文句を言い、エレンはエレンで言い訳をしている。
    先の会話でわかる通り、ミカサはエレンの殺人という行為を知っている。そしてその上で許容し、容認している。
    二人の間には決して浅からぬ縁があり、それは殺人という非道なものでさえ切れぬものなのだ。



    ミカサ「それより、もう入学式が始まる。行こ?」



    エレン「ああ」



    そして二人は門を潜り抜け、入学式が行われる体育館への歩く。








    《自由の翼学園 体育館》





    体育館には多くの新入生の姿があり、そして壇上には一人の男性の姿が。
    ガヤガヤと音が鳴り響いていた体育館内もしだいに静まっていき、壇上に注目しはじめる。





    エルヴィン「諸君、おはよう。そして入学おめでとう。私はこの自由の翼学園学園長のエルヴィン・スミスだ。」





    エレン(エルヴィン・スミス………元々は軍隊の所属しており、そのカリスマ性と指揮能力の高さから幾つもの戦争を勝利へ導いたマリアの英雄、か。警戒はしておこう。ここの教師は能力者や軍人上がりも多い…………その他にも要注意だな)



    ミカサ(……エレンが何か考え事してる)



    そしてエレンはエルヴィン・スミスの経歴を脳内につらつらと並べ、同時にここにいる教師全員の警戒度を上げた。
    当のエルヴィンは壇上で周りの新入生をぐるっと見回している。




    エルヴィン「さて、諸君は当然この学園がどのような場所か理解した上で入学を決意したのだろう。当学園は諸君ら能力者を、軍に貢献できる人材へ育てる為にある」




    エレン(はっきり言いきったな。少しは取り繕ってもいいだろうに)



    ミカサ(? 何を当たり前のことを言ってるんだろう?)




    エルヴィン「故に、私達が君達へ教えることもそれ相応のものになる。能力の強化や戦闘訓練、知識として教えることも当然普通のものではない。だが、ここはあくまで学園だ。君達が思い悩めば教師は手は差し出し、君達が何かを成せば教師も喜ぶ。だから何も難しく考える必要はない。君達は思い描くままに学園生活を楽しんでくれ。もちろん学園の最低限の義務は守ってな」




    エレン「へぇ」ニヤッ



    ミカサ(いい、人?)




    エルヴィンはここは軍隊ではなくあくまで学園であることを教示し、そのまま壇上を降りた。







  4. 4 : : 2019/02/17(日) 19:15:28




    入学式も終わり、新入生はそれぞれの教室に移動した。
    幸いエレンとミカサの教室は同じA組だった。






    《1年A組教室》





    そして教室内では担任の教師が挨拶をしている。



    キース「今日から貴様らを指導することとなった、キース・シャーディスだ!私が担任になった以上、貴様らには厳しく当たるつもりだ!私が言ったことには“はい”か“Yes”で返事をしろ! わかったか!!」



    「「「「は、はい!!」」」」



    エレン(キース・シャーディス。エルヴィン・スミス同様、元軍人であり元訓練兵教官。そして“Lv4の強能力者”)

    ミカサ(厳しそうな人)



    まるで軍隊のような厳しさで実質的に拒否権はないと言うキース担任。
    エレンはまたもキースの経歴を脳内に並べている。そしてミカサのキースに対する第一印象が決まった。




    キース「よし、では私は用事があるので少しあける。自己紹介などは各々で勝手にしていろ。生憎と、私は全員分覚えているのでな。それと必要な教科書類は机の中にある」スタスタ



    ((((ええぇ……))))



    教室の殆どの思考が一致した瞬間である。
    そしてエレン達はというと……





    エレン「…ミカサ、今の内に予習しておくぞ」



    ミカサ「わかった」




    実に学生らしい。
    そしてエレンは意外と博識である。ミカサも頭が悪い訳ではないが、それでもこうしてエレンと勉強をする方が遥かに効率がいい。
    故にこのように基本はエレンがミカサに教える立場になったのだ。




    エレン「そこの数式は一見、暗算でもいけそうだが一度分解した方が………」



    ミカサ「! なるほど。やっぱりエレンは教えるのがうまい」



    エレン「そうか?」





    エレン達が勉強を初めてから暫く、エレン達に一人の生徒が近寄ってきた。




    ?「おい」




    エレン「それでこの問題は……」


    ?「聞けよ!?」



    エレン「チッ、何だよ?」



    エレン達に話しかけた少年は華麗に無視され怒鳴り、エレンは渋々といった感じで応答した。




    ミカサ「……誰?」



    ?「ッ!?///」ドキッ



    ミカサ「?」



    エレン達に話しかけた少年はミカサに話しかけられた瞬間に見るからに顔を赤くした。
    それと同時にエレンの目も細まる。



    ジャン「わ、悪い。俺はジャン、ジャン・キルシュタインだ。気軽にジャンって呼んでくれ」ドギマギ



    ミカサ「? わかった」



    エレン(こいつは危険だな)



    ジャンと名乗った少年は見るからにミカサにお熱だ。自己紹介でされげなく名前で呼ぶように誘導したのがいい証拠だ。いや顔が赤い時点で証拠も何もないのだが。
    そしてエレンはジャンにを警戒する。主にミカサの教育上よろしくないという理由で。



    エレン「んで、何の用だよ?」



    ジャン「あ、ああ。お前らが勉強してる間に全員で自己紹介やってたんだ。後はお前らだけだ」



    エレン「……そうか」



    そう言ってエレンはおもむろに立ち上がる。
    周りを見回した後、口を開く。





    エレン「俺はエレン・イェーガー。趣味も特技も特にない。好きな物はミカサといる時間、嫌いな物はうざい奴。よろしく………ほら、ミカサも」


    ミカサ「うん。ミカサ・アッカーマン。趣味特技に関してはエレン同様。好きな物はエレンといる時間、嫌いな物は不躾な人。一年間よろしく」



    ジャン「」ピシッ



    シーン



    エレンとミカサの自己紹介でジャンが固まり、周りは静かになる。次いでヒソヒソと話し声が聞こえる。




    「付き合ってるのかな?」

    「知らないよ」


    「チッ、リア充が、爆発しろ」

    「まあまあ」


    「わぁ」

    「お前は私の嫁だからな~」



    ジャン「」チーン



    生徒達が思い思いに会話してる中、ジャンは一人で死んでいた。
    そして教室の引き戸が開かれる。



    ガラガラガラ



    キース「さて、では今後の説明をする、席に着け」







  5. 5 : : 2019/02/17(日) 19:21:16
    期待!
  6. 6 : : 2019/02/19(火) 15:46:08




    キース「早速だが、貴様らも理解している通り、この学園ではまず生徒にやってもらうことがある。それがわかる者はいるか?」



    ?「はい」



    キースの質問に手を挙げたのは金髪の少年だ。
    男子にしては小柄で、理知的な印象を受ける。



    キース「ふむ、一人だけか。ではアルミン・アルレルト」



    アルミン「はい、この学園で生徒が真っ先にすることは“能力測定”です。この測定の結果で、自身の能力の強さがわかります」



    キース「よし、及第点以上の答えだな。では能力測定における“能力強度”、いわゆる能力の強さは何段階にわかれているか、そしてどれ程の力があるかも解説してもらおう。今度は指名しようか。ライナー・ブラウン!」



    ライナー「は、はい!」



    指名されたのは金髪のガタイのいい少年、ライナー・ブラウンだ。
    ライナーはまさか自分が選ばれるとは思っていなかったらしく、酷く狼狽している。



    キース「どうした?早くしろ」



    ライナー「ハァ、はい。能力強度は五段階にわかれ、それぞれ
         レベル1底能力者、多くの能力者がこれに当たり、スプーン曲げる程度の力があります。
         レベル2異能力者、レベル1と同じく日常ではあまり役に立たない強さです。
         レベル3強能力者、日常で便利だと思える力を持ち、能力的にエリート扱いがされます。
         レベル4大能力者、能力面において戦術的価値を見いだされる程の力を持ちます。
         そしてレベル5超能力者」



    エレン「…」ピクッ



    ライナー「世界で5人しか確認されておらず、その一人一人が一国の軍隊と対等に戦える力を有している規格外。そしてこのレベル5には科学者達が定めた序列が存在します。ですが、第一位の一方通行(アクセラレータ)と呼称されていた能力者は現在行方不明になっています」



    キース「よし、まずまずだな」



    ライナーの説明が終わり、今度はキースが教師らしく解説をする。



    キース「能力強度の説明はブラウンの言った通りだ。補足するならば、レベル5の序列は決して強さで決まっているわけではなく、超能力者達の能力から流用できる技術の産業的価値で付けられている。そして世界に5人しかいない、いや実質4人のレベル5達はそれぞれローゼ王国に一人、シーナ帝国に二人、そして我が国マリア王国に一人が存在する」



    エレン「(レベル5、第一位、クソくらえだ)チッ」


    ミカサ(エレン……)



    キース「さて、説明はこのくらいにして教室を出ろ。今から能力測定をしに体育館に移動だ」



    エレンの小さな舌打ちはキースに聞こえることはなく、そのまま生徒達は教室を出ていった。
    その間もエレンの内心は荒れていた。





  7. 7 : : 2019/02/21(木) 23:30:55




    《自由の翼学園 体育館》





    体育館に移動したエレン達は順番に整列し、自身が持つ能力強度に胸を踊らせていた。
    そしてエレンの機嫌もミカサの尽力(一緒にいただけ)により治っている。
    体育館の一角の能力測定をする場所は、カーテンで遮られており、中は見えない。
    そして測定が終わった生徒は体育館を出て行き、入学日ということもあってそのまま自由に帰っていいそうだ。時間削減で実に合理的である。



    ミカサ「………エレン、どうするの?」



    エレン「さぁな。“名義上”は“反射”ってことにしているが、恐らく教員にはバレるだろう」



    ミカサ「……大丈夫?」



    エレン「できる限りのことはするが、流石に能力測定までは騙せないからな………………いっそ賄賂でも渡すか」ボソッ



    ミカサはエレンの心配をするが、エレンは恐らくバレるだろうと予測している。
    実のところ、エレンは学園に渡す書類で、自身の能力を偽っている。それだけエレンは自身の能力がバレるのを嫌がっている。



    ミカサ「でも、少なくとも先生達にバレるなら潔く話せばいい。上手くいけば学園とのパイプも作れる」



    エレン「…………悪いがそれは無理だ、信用できない。だが幸いにも、測定結果が知らされるのは明日、それも書類で渡される。クラスの連中は騙そうと思えば騙せる。あっちで結果が出れば呼び出されるだろうが、その時は脅すなりなんなりすればいい」ニヤッ



    ミカサ「…悪い顔」


    エレン「うっせ」



    エレンが悪い顔で恐ろしいことを口走ったところで、ミカサが指摘する。エレン達はこういう時間を尊んでいる。二人にとっての幸せの時間。
    と、そこで二人の後ろから声がかけられる。




    アルミン「ねえ、君、確かエレンだっけ?」



    エレン「あ?そうだが、お前は確か…………………………アル、ミンだったか? 何か用か」



    アルミン「え、あ、うん(名前が出るまでの間が凄いな)えっと、二人って付き合ってるの?」


    エレンミカサ「「“まだ”付き合ってない」」



    アルミンの質問にエレンとミカサは即答で、あくまで“まだ”付き合っていないと言う。裏を返せばいつかは付き合うということだろう。ジャンに希望はない。
    アルミンも察して苦笑いしている。



    エレン「何でそんなこと聞くんだ?」



    アルミン「クラスの皆が気になってるみたいだったからね。事実、僕も気になってたし」



    エレン「成る程」



    暫くアルミンも交えて談笑していると、ミカサの番がきたようだ。
    ちなみに、三人の順番は後ろからアルミン、エレン、ミカサとなっている。



    ミカサ「行ってくる」



    エレン「ああ、気を付けろよ。何かされたら大声でな」



    ミカサ「うん」グッ(サムズアップ)



    ミカサに投げ掛けた言葉でエレンがどれだけミカサを大切にしているかがわかる。
    そうしてミカサはカーテンの内側へ入っていく。



    アルミン「エレンってさ…」



    エレン「ん?」



    アルミン「過保護だよね」



    エレン「んなわけねぇだろ」



    アルミン「………ミカサに手を出す人がいたら?」


    エレン「愉快な肉のオブジェにしてやらぁ」



    アルミン「ほら」



    エレン「……」





  8. 8 : : 2019/02/22(金) 19:13:18




    ミカサが入ってから暫く、エレンとアルミンは他愛もない会話をしていた。



    アルミン「へぇ、それじゃあエレンとミカサは同じ家に住んでるんだ」



    エレン「ああ、元々、俺達の両親は仕事の関係でなかなか帰ってこれないからな。流石にミカサを一人にはできないし、俺と一緒にいた方がマシだ」



    アルミン「(過保護…)エレンとミカサの両親の仕事って?」



    エレン「研究者だ。軍部に関わる物を開発してる」



    このような会話が続いて数分後、遂にエレンの番がやってきた。




    エレン「ん、もう俺の番か」



    アルミン「行ってらっしゃい」




    そしてエレンはカーテンの中に入っていく。









    《能力測定場》



    能力測定をする場所は意外と手狭だ。ところ狭しと色々な計測機器が並んでおり、これから行うことを如実に表している。
    そして中には1年A組の担任、キースがいる。




    キース「む、次はイェーガーか」



    エレン「ええ、よろしくお願いします先生」



    キース「ああ。イェーガーの能力は反射能力(リフレクション)だったな?」



    エレン「…はい」



    エレンはキースに挨拶をし、キースもそれに返す。
    キースがエレンの能力を確認したところで少し返事が遅れたが、エレンはまぁ問題はないだろう考える。



    キース「(資料には自身の体表から数ミリの範囲での作用だったか)ふむ、その反射の利便性は?」



    エレン「………失礼ですが、これは能力測定ですよね?このような問答は意味がないと思うのですが」



    キース「いいから答えろ」




    エレンは内心で舌打ちする。実のところエレンは反射、という偽りの能力の詳細は全く考えていなかったのだ。
    エレンはまぁ仕方ないと諦め、アドリブで設定を考える。



    エレン「………ただ反射するだけなら無意識下で24時間、能力の展開が可能です。反射の演算式に変数を加えることで、反射はせずにただの無効化も可能ですね」



    キース「24時間か、随分と強力そうだが、現時点でわかっている弱点はあるか?」



    エレン「(まだあんのかよ)……反射するにも限界があります。銃弾や通常ミサイルなどでは何発射たれようが問題ありませんが、“対能力者兵装”などの能力者を前提としている兵装は十数発が限度です」



    キース「………わかった、それでは能力測定を始める。その機械の前に立て」スッ




    キースが指差したのは黒光りする長方形の機械だ。横に取り付けられたパソコンの前には科学者であろう眼鏡も白衣を纏った女性がいる。




    エレン「よろしくお願いします」ペコ



    ハンジ「やぁやぁ、よろしくね!私はこの学園で教師兼研究者をしているハンジ・ゾエだ! じゃあ早速始めようか!」



    科学者改めハンジがエレンに早く始めるように促す。
    ハンジ・ゾエ。マリア王国きっての天才で、これまで多く開発に貢献してきた。能力者の能力を応用した新世代兵器の発明などで有名な人物である。
    エレンは言われた通りに機械の前に立つ。



    『スキャン開始。スキャン中………しばらくお待ち下さい』



    エレン(機械音声、粋なことするな)



    ハンジ「ふんふんふふーん♪」カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ



    エレン「!?」ギョッ



    ハンジが凄い勢いでパソコンをタイピングしている。これは流石にエレンも驚いたらしい。
    暫くハンジのパソコンの音が響くが、ハンジが急に会話を持ち出した。



    ハンジ「ねぇねぇエレン君」



    エレン「はい?」



    ハンジ「君面白いね~。まだ測定結果も出てないのに凄い反応だよ」



    エレン「………………そうですか」



    ハンジ「うんうん、もしかしたらレベル4、いやレベル5でもおかしくないね!あぁ~、楽しみだなぁ。今から君の測定結果が待ち遠しいよ」



    エレン(こいつ、少しマッド気質だな)




    そうしてエレンの能力測定も終わり、エレンはまた挨拶をして出ていく。
    エレンは恐らくミカサが待っているだろうと思い、急いで教室に荷物を取りに行き、校門へ急ぐ。





  9. 9 : : 2019/02/28(木) 22:07:11



    《自由の翼学園 校門前》





    ここは学園の校門前。そこでは今朝と同じようにミカサがエレンを待っている。
    ただ今回は、待っている時間を利用して少し考え事をしているようだ。



    ミカサ(………今日の晩御飯は何にしよう)



    そう、考え事とは家での晩御飯のことである。
    家での家事はミカサが一手に引き受けている。何故なら、エレンは端的に言って、忙しいのだ。
    今朝の研究者のような外道畜生の対処に、その際の破壊活動の隠蔽、ミカサの勉強の面倒、その他危ない仕事を幾つか。これでエレンがどれだけ忙しいかわかって貰えただろう。



    ミカサ(いや、それよりも、まずは学園のこと。初日で少し緊張したのもあって自己紹介もなげやりになってしまった。エレンも私も、悪い印象を抱かれていないだろうか………………少し心配)ハァ



    実に学生らしいことを考えている。
    実のところ、エレンもミカサも交友関係は少ない。いや無いと言っていい。その理由として一番に上がるのは学校に通ったことがないからだ。
    勉強はエレンがいるし、ミカサもエレン程ではないにしろ学生としては充分に頭が良い。



    ミカサ(そもそもこの学園に来たのも深い意味があった訳じゃない、ならそこまで友好を深める意味はない?いやでも、せっかくの機会なのだし、でも私にはエレンがいればいいし、エレンも多分同じだし………)ウーン





    エレン「何考えてんだ、ミカサ」



    ミカサ「! エレン、驚かさないで」



    エレン「悪い悪い」



    ここでやっとエレンが来た。ミカサさ背後から突然現れたエレンに驚いたらしい。



    エレン「で、何考えてたんだ?」



    ミカサ「今後の学生生活のこと」



    エレン「ふーん、あんまり気にすることじゃないと思うけどな」



    ミカサ「そう?」



    エレン「ああ、それより早く帰ろう」



    ミカサ「うん」





    そうやってエレンとミカサは帰路へと歩きだした。
    帰路の途中でも二人は無駄話に興じる。やはりそういう時間は二人にとって大切なものだ。





    《イェーガー邸》



    そして二人は家に帰り、ミカサが主婦の如く家事をする。



    ミカサ「エレン、今日は晩御飯なにがいい?」



    エレン「ん?ん~、取り敢えず焼き魚で、昨日、余分に買ってきたし丁度いいだろ?」



    ミカサ「うん、それなら直ぐに出来る」




    そう言ってミカサは調理に取りかかる。蛇足だが、ミカサの家事スキルはプロ級だ。多分メイドとしてもやっていける程に。
    エレンはエレンだ何やら書類と睨めっこしている。



    エレン「……少しマズいな」ペラッ



    この書類はエレンが学園に行く前に破壊した研究所から奪った物だ。中身は実験内容やその成果、被験者のプロフィールなど、様々である。



    エレン(まさか研究がここまで進んでるとは、だが、やはり素体がダメだったみたいだな。肝心の実用化実験で頓挫してる。だが裏を返せば…………ミカサが狙われる可能性が高くなったな)



    そう、この研究は能力の開発であり、その研究の為にミカサが狙われているのだ。
    そしてミカサの代用としての実験体は不完全、完成させる為にはやはりミカサが必要なのだ。必然、ミカサは狙われる。



    エレン(それにこの実験をしている外道供は何人もいる。何が“革命の為”だ。そんなことの為にミカサを使うってんなら、全部ぶっ殺してやる……………俺は悪党だからな)ポイッ


    パサッ




    エレンは自身の決意を再確認し、書類を放る。
    その衝撃で書類がページが捲れた。その中の書いてあるのは………



    _______________________________________________________________

    『絶対能力進化計画(レベル6シフト)』

    内容
    レベル4大能力者ミカサ・アッカーマンの能力“電撃使い(エレクトロマスター)”の能力を量産し、レベル5超能力者、呼称“一方通行”へぶつけ、殺戮させることで一方通行をレベル6絶対能力者に進化させるのが目的である。

    ミカサ・アッカーマン抜粋理由
    ミカサ・アッカーマンの電撃使いは現在どのレベル4よりもレベル5に近いからである。また、一方通行と近しい関係の者であることで精神的ショックを誘い、その反動でレベルが上がる可能性があるからである。

    必要個体数
    計算上、およそ50000体が必要である。このことから、能力そのものの量産ではなく、ミカサ・アッカーマンそのものを量産する方が効率が良いと考えられる。
    _______________________________________________________________





    エレン(ほんっと、胸糞悪ぃ)





  10. 10 : : 2019/03/04(月) 20:08:16



    《翌日 朝 自由の翼学園》





    翌日、エレンとミカサは仲良く一緒に登校してきた。
    現在の時間は8時丁度。既に登校している生徒は多いので、必然的に少し騒がしい。



    エレン「少しうるさいな」ボソッ



    ミカサ「今日は通常授業だから皆浮かれてる。仕方ない」



    エレン「ハァー、音でも反射すっか?いや、それだと何も聞こえないしな」



    ミカサ「エレン、能力に頼るのは良くない」



    そうこう話してる内に教室に着いた。中に入ると早速知り合ったアルミンが「おはよう二人とも」と言ってくる。二人は短く「おはよう」と返す。



    アルミン「そういえば今日だね、能力測定の結果が出るの。二人はそういうの楽しみ?」



    ミカサ「私はそこまで」



    エレン「俺も正直どうでもいい。つーか、出るとしても大半はレベル3だろ。ああでも、能力の特性上、レベル2以下は居そうだな」



    そう、実はこの学園、入学するのに厳しい試験があり、それを合格して入学した者は必然的に高レベルとなるのだ。
    だが、能力の特性の都合で、“能力は強力だが厳しい制約がある”などの能力者は低いレベルにされることが多々ある。



    ライナー「へぇ、中々に冷めた反応だな」



    アルミン「あっ、ライナー」



    エレン「誰だ、お前」

    ミカサ「誰?」



    ライナー「おうふっ。お前ら自己紹介聞いてなかったのかよ」



    会話に割り込んできた者の名はライナー・ブラウン。以前にレベルに関しての説明をしてくれた少年である。
    彼の後ろにもう一人背の高い少年がいる。



    ライナー「じゃあ改めて、だな。俺はライナー・ブラウン。そして後ろのデカいのがベルトルトだ」



    ベルトルト「ベルトルト・フーバーだよ、よろしくね」



    エレン「ああ、多分覚えた。俺はエレン・イェーガーだ、よろしくな」



    ミカサ「ミカサ・アッカーマン、よろしく」





    キーン コーン カーン コーン



    四人が改めて自己紹介をしたところでホームルームが始まる。
    そして教室のドアが開く。勿論入ってくるのはキース担任だ。



    キース「席に付け、ホームルームを始める」





    そこからは授業でのノウハウや学園行事の説明などなど、必要な説明をするだけだった。
    そしてエレンの一番の懸念事項、能力測定の結果だ。



    キース「さて、昨日、能力測定した際の結果が書類で届いている。各自、取りに来い………と、言いたいところだが、今回は少し特例だ。私が口頭で伝える。書類は後で取りに来い」



    エレン「!?」



    何と、本来なら書類で知らされるはずの能力強度を担任自らが発表すると言い出した。
    書類で渡されるが故に安心していたエレンもこれには驚愕する。





    キース「では一人め、アニ・レオンハート。強制凍結(ゼロフリーズ)、早速レベル4だ」



    「「「「「おおぉ~~」」」」」



    一人めで早速レベル4。これがどれだけ凄いかと言うと、学園の生徒と職員の総数はおよそ600人前後、その中でもレベル4は十数人しかいないのだ。
    ここからはキースが生徒の名前と能力名、そしてレベルを言っていくだけだった。







    そしてエレンの番は着々と近づいている。




  11. 11 : : 2020/06/12(金) 13:43:01
    放置乙
  12. 12 : : 2021/09/02(木) 01:53:24
    きたいしてたんやけどな、、、
  13. 13 : : 2021/09/02(木) 16:40:44
    >>10 一生来ることのないエレンの番で草

▲一番上へ

編集パスワード

スレッド投稿時に設定した編集パスワードを入力してください。