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星が綺麗ですね

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  1. 1 : : 2018/05/20(日) 20:05:43
    ・駄文注意
    ・キャラ崩壊注意
  2. 2 : : 2018/05/20(日) 20:07:07
     とある場所、とある砂浜。一番星がその輝きを見せ、もうすぐ日も暮れるかという時間帯に、一人の男が誰かを待つようにしてヤシの木に寄りかかっている。
     それらしい格好をすれば女と見間違われそうな相貌の、特にただ1人の妹とそっくりだと言われる目元を険しく寄せつつ、手元の文庫本に落としていた。

    「ペコ……遅せーな……」

     男──九頭龍冬彦は今、漢としてのプライドと人生を賭けた一世一代の大一番となる舞台に立っていた。
     すなわち、幼少の頃より想いを寄せてきた女性に自分の心の内を明かそうというのである。
     わざわざ夜暗を指定したのもそのためで、ロマンやムードというものを大切にする男──女々しいなどとは冗談でも言ってはいけない──であるところの九頭龍は既に、夏目漱石の傑作選を手紙を出した朝に九度、作業のあった昼に三度、そして今十二を数えて未だ更新を続けているのであった。
     ……『月が綺麗ですね』という言葉は後世の創作である可能性が高い上、そもそも夏目漱石が英語教諭を勤めていた際、授業の中での逸話であるために作品には出ないのだが……分かっていても読むのをやめることは出来なかった。九頭龍冬彦とは、点いてもいないこたつの電源を消しに帰るような男である。
  3. 3 : : 2018/05/20(日) 20:07:53
     さて。手紙を送られた相手、すなわち辺古山ペコは今一体どうしているのだろうか。
     少なくとも九頭龍が現在待ちぼうけを食らっている以上、彼の元に向かうことができないだけの事情があるのは確かだろう。
     天上から見下ろすのみの者、また今ここを見ている者である以上、彼らの関係性が分かっていないはずがないのだから。九頭龍の心労はともかくとして、その終わりが、この幸せな世界において幸せであることは間違いないのである。
     辺古山ペコの現状を説明するには、彼女に起こった出来事、それに対する彼女の行動を朝から振り返ってみる必要がある。何故なら、只今において全身から殺気を迸らせつつ竹刀を構えて島中を徘徊する彼女は奇人、変人、狂人の類いとしか見受けられないのだから。
  4. 4 : : 2018/05/20(日) 20:08:30
     早朝、本来なら未だ誰一人目を覚まさず、明るい星ならばまだ瞬いて見えるような時間帯。九頭龍が一昨日から徹夜して仕上げたいなせな恋文(本人評)を辺古山のコテージの扉のスキマへ投げ込んだその直後のことである。

    「──何奴ッ!?」

     最早一種の殺気とも言うべき緊張の気にあてられ、跳ね起きた辺古山は枕元の竹刀を握り構えた。扉付近に落ちていた手紙を見付けた彼女は、周囲の警戒を怠らないようにしつつもそれを手に取り、内側の剃刀等を警戒しつつもそれを開けた。中の手紙には、ミミズがのたくったような字で以下の文章が記されていた。

    ーーー

    暗くなったら、(判別不能)に来い。お前と話したいことがある。

    (判別不能)より

    ーーー

     これを書いていた際の九頭龍はといえば、破裂しそうな心臓の音に自分が息をしているのかすらも危ういような心境であった。そんな状態で筆を執ったものだから、手先は盛大に震える始末。二徹してまで完成させた内の最高作でさえもこの程度と相成った次第である。
     書いた側である九頭龍が見れば、如何に汚い文字だとしても読むことができる。それは、自身がそこに何を書いたかを覚えているからである。つまり当然ながら、辺古山には読むことができなかった。そして、この文面から彼女が何を察したかといえば。

    「まさか……脅迫状?」

     辺古山ペコと九頭龍冬彦、さらにあと14名の高校生は現在、得体の知れない島でウサミと名乗る謎のロボット(フェルト地)に作業を強いられ、食料面における生殺与奪権さえも握られている。雰囲気こそほのぼのとしているものの、未だウサミへの疑惑は拭われず一種の極限状態と言ってもよい。
     また、二人は元の場所においても極道として日陰を歩んできた身の上、血で血を洗った仲の顔見知りがいつ襲ってくるかも分からないのだ。
     そんな状況下で(気が抜けてきた主人の分も)警戒し、疲弊していたところにこの文面。所々読めない部分もあるものの(むしろあるからこそ)、「九頭龍組の所業について話したい」という脅しにしか見えなかったのである。
     彼女は寝起きで乱れた髪をそのままに、竹刀片手の徘徊へと繰り出した。
  5. 5 : : 2018/05/20(日) 20:09:12
     舞台は、九頭龍冬彦のいる砂浜に戻る。
     すでに月は昇り、その優しい光を受けた砂の一粒一粒がエメラルドのように輝いて見えた。その幻想的な光景を目にし、この機を逃すわけにはいかない、ただ待つままではいけないと、九頭龍は辺古山を探しに動こうとした。

    「……坊っちゃん!」

     しかし目的の人物は、丁度この砂浜に着いたという様子で九頭龍に駆け寄ってきた。

    「ペコ!」

    「心配しましたよ坊っちゃん、何故こんな時間にこんな場所で……」

     徘徊に出た辺古山は、まず始めに九頭龍の部屋を訪ねた。例えこんな深夜であろうとも、不条理と暮らしてきた二人は異常があればすぐに起きることができるのである。
     しかし反応が無かったために徘徊を続けていたが、九頭龍側に顔を合わせる勇気がなかったため辺古山を避けていたせいでこの日の間一度も出会わなかったのである。

    「ペコ、それで手紙は──」

    「坊っちゃん、もう手紙のことを。そうです、もしかすると九頭龍組への脅迫かもしれません。いち早く差出人を見つけ出さなければ」

    「……ちょっとその手紙を渡してくれ」

     九頭龍は渡された手紙に目を落とした。しかし朝に出してから肩の荷が降りたかのように頭から文面の一切を放り出していた関係上、判別不能な部分を思い出すのは不可能だった。
     しかし確かに読める部分を抜き出せば脅迫に見えるし、何よりも差出人の名前が読めないのが大きい。もし自分の手紙だと分かっていれば、こうも勘違いされることは無かっただろうと嘆いた。

    「私はもう少し探してきます。坊っちゃんはコテージに戻って鍵を──」

     こうなってしまえば仕方がない、今回は諦めて次の機会を──

    「待て」
  6. 6 : : 2018/05/20(日) 20:09:52
     何故呼び止めたのか。それは九頭龍当人にもよく判っていなかった。確かに自分は今回伝えることを諦めようとしていたはずなのにと、目を白黒させた。

    「あの……坊っちゃん、何か?」

     辺古山の投げかけた声に、自問自答は完結する。
     そうだ、自分は今伝えたくて呼んだのではないのか。やろうと思って始めたことにケジメもつけられないのか。『今回』伝えることを諦めたとして、ケジメをつけられなかった自分に『次回』があると思っているのか。
     自分の口が勝手に動いたのは、自分の中の男らしい部分が待ったをかけたのだ。『今できないで次などないぞ』と、発破をかけているのだ。
     最早本能にも達した部分で、九頭龍はただそう感じた。そうして、今自分のすべきことを知った。
  7. 7 : : 2018/05/20(日) 20:10:22
    「ペコ、その手紙を書いたのは……オレだ」

    「坊っちゃんが……? 何故、そんなことを」

    「読めないけど、砂浜にペコを呼びたかったんだ。伝えたいことがあって」

     ただならぬ雰囲気を醸し出す九頭龍に、辺古山も思わず唾を飲んだ。

    「なあ、ペコ……その……見えるよな? 空」

    「……ええ。確かに」

    「綺麗だと、思わないか」

    「空が、でしょうか。確かに、ここの空は星がよく見えますね」

    「いや」

     ここで九頭龍は、意を決して頭を上げた。辺古山を(しっか)と見据え、泳ぎそうになる瞳を精神の力で押さえつけた。
     息を吸って、吐くだけの時間が、一日にも一年にも感じられた。そして、彼は口を開く。



    「月が」



     とぼけるには、余りにも世に知られた言葉であり過ぎた。辺古山の頬は紅潮し、心には感情が圧力の権化となって押し寄せた。
     しかし不思議と混乱はしていなかった。まるで自分がずっと前から、今言うべき言葉を持ち合わせていたかのように、つらつらと言うべきことが思い浮かんだ。

    「坊っちゃん、私はもう坊っちゃんにこの命を捧げています。ですが改めて、あなたのものとして、死んでもいいと。私は思いました」

     見つめ合った二人のうち、男のポケットから文庫本が転がり落ち──
  8. 8 : : 2018/05/20(日) 20:11:24
    「坊っちゃん、あまりお気になさらない方が……」

    「いや、いい。オレは気にしてない」

     あの後、文庫本と一緒に転がり落ちた飴玉の袋によって島中にブザーが鳴り響き、すっ飛んできた口の軽いウサギによってぞろぞろと起きてきたクラスメイトへと、夜半の逢瀬は月明かり内にありながら白日の下に晒される運びとなったのであった。
     頭を抱える九頭龍の肩に優しく手が置かれる。辺古山は、九頭龍に語りかけた。

    「坊っちゃん、考えてみればこれでいいのかもしれませんよ。クラス公認ですから、何をしても受け入れてくれます」

    「……そうか、それなら、後のことは後で考えるか。親になんて言おうとか、そんなことは後でいいか」

    「はい」

     あの夜を写し取ったかのように見つめ合う二人。しかし、ただ一つ。あの夜と違うこととして。
     今度は、誰の邪魔も入らなかった。
  9. 9 : : 2018/05/20(日) 20:12:27





           ※「星の砂」をテーマに書きました
  10. 11 : : 2020/10/14(水) 15:47:43
    459 : ラーメンラーメン : 2018/10/27(土) 23:51:02 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    いやーここまで勘違いした陰キャが集まってると見苦しくて仕方ないね笑


    460 : ラーメンラーメン : 2018/10/27(土) 23:52:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    こういう辺境のサイトで嘘吐いて何になるの?そっちが下らなくて草生えるわ


    461 : ラーメンラーメン : 2018/10/27(土) 23:56:16 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    正直まともに話せるのは井上雅也だけだな笑

    こういう時だけ前から思ってたとか下らない理由をつけて便乗してる小学生君はさっさと寝な笑

    462 : ラーメンラーメン : 2018/10/28(日) 00:15:24 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    てかさ、偏差値70なんて、正直勉強大量にやるとかそういうレベルじゃなくて、産まれたときから違うから笑


    あと、勘違いしてるかもしれないが、70はいくときがあるとしか言ってないぞ?笑


    あと、本当の天才はいないって言ってたけど偏差値70程度は天才でもなんでもないし、学校の半分がオタクって言われてるから笑


    知らないのに口出してんじゃねぇよ笑


    463 : ラーメンラーメン : 2018/10/28(日) 00:23:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    正直な話、俺は井上雅也だけと話したい。君らみたいな、便乗してるだけの奴等が混ざると、結局それだけになるんだよ。少しは考えてくれ。


    11 : ラーメンラーメン : 2018/10/21(日) 10:35:09 このユーザーのレスのみ表示する
    >>7 177っすね


    12 : ラーメンラーメン : 2018/10/21(日) 10:35:59 このユーザーのレスのみ表示する
    >>8 学年で一番身長ありましよ。柔道してるんで筋肉だけで50㎏超えてますし


    14 : ラーメンラーメン : 2018/10/27(土) 08:24:19 このユーザーのレスのみ表示する
    >>13 片手で持ち上げて投げれるかも

    62 : ラーメンラーメン : 2019/06/20(木) 13:20:42 このユーザーのレスのみ表示する
    偏差値70って言える頭も無いのに下らない煽りしてんじゃねぇよ餓鬼みたいに

    15 : ラーメンラーメン : 2019/06/20(木) 13:38:04 このユーザーのレスのみ表示する
    お前も行ってんのかよ

    偏差値何?

    17 : ラーメンラーメン : 2019/06/20(木) 14:57:11 このユーザーのレスのみ表示する
    >>16 張り合うっていうかもし俺より賢いなら凄いなぁって単純に思った

    まぁほっとくわ

    ラーメンラーメン
    kana3515
    嘘を吐いてる?そんな下らない事をする理由がないだろう。偏差値70前後は努力でどうにかなる問題じゃねぇよ。元の頭次第だよ。それに、ssに関係するのは偏差値じゃなくて文才。あと、人の事も信じられなくて人に合わせて、妄想に縋るような陰キャは黙ってて、どうぞ。受験前でしばらく低浮上なつもりだったけど止める。最後に話して垢消すよ。別に、荒らすつもりとか、そういうのも無いから。

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Kirameki

淤能碁呂島

@Kirameki

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