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オマエラには凡人になってもらうよ!
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- 1 : 2018/04/20(金) 18:45:14 :
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春のコトダ祭投稿作品です!
テーマ:戦い
特別ルール:どのような形でもいいので作品に1つ嘘を入れること。
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- 2 : 2018/04/20(金) 19:03:02 :
苗木「凡人ってどういう……?」
モノクマ「あぁ、苗木クンは元々凡人みたいなモンだったね」
苗木(正直、事実だけどモノクマに言われると腹立つな…)
舞園「それで… 私たちに凡人になってもらうっていうのは一体どういう……」
モノクマ「おっと、その説明がまだだったね!」
モノクマ「これから説明しようって時に苗木クンが話の腰を折るから~」
苗木「ぼ……ボクのせい!?」
霧切「今はアレの話を聞くしか無さそうね」
モノクマ「それでは早速説明させて貰うんだけど…」
モノクマ「オマエラは元々『超高校級』ってことでこの希望ヶ峰学園に入ってもらったよね?」
七海「一応… そういう事だって聞いてるけど…」
狛枝「まぁ、ボクも本来凡人みたいなものなんだけど……」
狛枝「ねぇ? 日向クン…」
日向「いや…まぁ運も実力の内って言うだろ」
モノクマ「まぁ、簡単に言っちゃうとオマエラはもう超高校級でも何でもなくなるよってコト。」
モノクマ「『普通の女の子になります!』的な…」
舞園「普通の……ですか。」
モノクマ「そう。オマエラは超高校級の才能を無くしたただのモブキャラになるってワケだね!」
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- 3 : 2018/04/20(金) 19:16:43 :
赤松「えっ……!? わたし…ピアノ弾けなくなっちゃうの?」
春川「まぁ……私も別にどうって事ないけど…」
最原「僕は……確かにたった1度叔父さんの手伝いで事件を解決しただけだけど……」
モノクマ「陰キャの上に探偵の才能も無くすとかまさに絶望的だよね!」
最原「う…うるさいな!」
モノクマ「ま、探偵なんて元から陰キャみたいなジョブだもんね」
霧切「それで、あなたは私達に何をさせようとしているの?」
モノクマ「え?」
霧切「あなたの事だしどうせ才能を奪ってそのままなんて事はないでしょう」
モノクマ「うぷぷ… 察しが良くて助かるなぁ!」
モノクマ「その通り! オマエラは選ばれしゲームの参加者なのDEATH !」
モノクマ「カモン!!モノクマーズ!!」
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- 4 : 2018/04/20(金) 19:39:08 :
「おはっくまー!!」
苗木「モノクマが……いや、なんか微妙に違う…」
舞園「モノクマの子孫なんでしょうか…?」
七海「セ○ジュニアみたいだね…」
モノタロウ「その通り……!オイラ達は父ちゃんの意思を継ぐ父ちゃんと血を分けた唯一の子孫……!」
モノスケ「それこそがワシらモノクマーズ……
って5人やったら唯一とちゃうやんけ!!」
モノファニー「違うわよ… 大事なのは数じゃなくて… あたし達がお父ちゃんのモノクマーズであるという事……」
モノキッド「ヘルイェーーーッ!!そうさ、数なんざどうだっていいのさ…… モノダムは要らねェけどな…」
モノダム「…………」
日向「おい… 話が脱線する一方じゃないか!」
狛枝「それもそうだね… あの量産モノクマの茶番に付き合う時間もないし……」
舞園「あれ? お母さんはどうしたんでしょう?」
七海「ウ……モノミ……… なわけないか。」
モノクマーズ「…………………………」
赤松「なんか… 全員落ち込んじゃったね…」
モノクマ「ぉ…おおお……オマエラ………っ!! 我が家のプライベートにずかずかと入り込んだばかりか愛しいモノクマーズに心の傷を負わせるとは………!!」
最原「いいからそのゲームとか言うのを説明しろよ……」
霧切「何も用が無いならこのまま帰らせてもらうわ。」
モノクマ「うるさいッ!! あぁーーもう! どうして探偵ってのはいっつもいっつも目障りなもんだなぁーーー!!」
モノクマ「後悔しろオマエラーーーッ!!」
体育館の床が開くなんてのは初めての経験だ。
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- 5 : 2018/04/20(金) 19:55:08 :
ダストシュートのような長い通路から放り出されるとそこは地下空間のようだった。
日向「クソッ…… 何なんだここ……」
苗木「あれ? 日向クン……?」
赤松「えっと……確か…」
霧切「…………」
最原「てて…… 一体どこまで来たんだろう…」
七海「床がパックリ開くなんてゲームくらいだと思ってたよ…」
舞園「苗木くん? 霧切さん? ………はぐれてしまったんでしょうか…」
狛枝「別々の所にバラバラに飛ばされたのかもね…」
春川「それよりどうするの? 入って来た所はもう塞がってるよ。」
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- 6 : 2018/04/20(金) 20:37:50 :
モノクマ「あーあー! もしもーし!」
モノクマ「いいや、聞こえてるよね! それじゃオマエラにやってもらうゲームの説明だよ!」
モノクマ「えぇ~ 現在、オマエラは何の才能も無いただのモブキャラとなっているわけですが……」
モノクマ「温情かつ懐のふかーーーい学園長からオマエラにビッグチャンス!!」
モノクマ「そのゲーム会場のどこかに隠れている我がモノクマーズとミニゲームで勝利すれば……」
モノクマ「なんと! ランダムに才能を取り返す事が出来るのだーー!」
苗木「ちょっと待ってよ! ランダムってことはつまり……」
モノクマ「そう。誰がどの才能を得るかは開けてみてのお楽しみってわけ!」
最原「そんなの……無責任じゃないか!!」
モノキッド「ヘッ!! 『セキニン』なんてモンはモノダムにでも食わしときゃいいんだよォ!!」
モノタロウ「そうだよ! ウチの父ちゃんはセキニンなんてものは取らないからね!」
モノスケ「せやからワシらの母ちゃんが誰かは未だに謎なんやなー」
モノファニー「モノダムはもしかするとお母さんが違うのかしら……?」
モノダム「…………」
マイクの後ろで喧騒が聞こえたかと思うとブツッという音と共に静寂が戻った。
苗木「才能が無い………」
苗木(ボクの才能ってなんだよ……? クジ運…??)
日向「とりあえず…今は従うしかないだろうな…」
日向「って……えと…確か…赤松……」
赤松「え?わたし?」
日向が言い終わる前に赤松は何やら調べもので忙しい。
赤松「ほら……! わたし達が落ちて来たのってちょうどこの辺からでしょ?」
赤松「だったら……!上のフタを開けちゃえばいいと思って……!」
赤松は壁に足をかけたり跳ねたりしている。
赤松「ダメだ…… やっぱ届かないよ……」
苗木「じゃあ… 日向クンが肩車して…」
日向「……いや、そもそもそこが開くのか?」
赤松「えっ?」
日向「わざわざ俺たちをこんな所まで連れてきたんだ……それに…」
日向「仮に開いてもあの狭くて急なダクトを通って体育館まで出られるか?」
赤松「うーん… 確かにそう言われると……」
苗木「とりあえず… まずはモノクマーズに話を聞いてみようか」
日向「あぁ、取られた才能についても気になるしな…」
赤松「えっ 待ってよ二人ともーー!」
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- 7 : 2018/04/20(金) 21:04:19 :
霧切「それで…二人はどうするの?」
七海「とりあえず……ここの状態を把握しようか。」
七海「マッピングはゲームでも基本中の基本だしね。」
最原「そうだね… もしかしたら途中で誰かに会うかも知れないし」
霧切「そう。それなら私も少しは手伝うけれど……1つ解せない事があるの」
霧切「今回のモノクマの目的って何なのかしら?」
最原「確かに……元から行動に意味なんてあるのかなんて事ばっかだったけど…」
七海「連絡を断たせて私達だけここでこんな状態にするって事は確かにただの嫌がらせとは考えにくいよね…」
霧切「今回、私たちの記憶は鮮明よね?」
最原「うん… 確かに僕もちょっと違和感があるっていうか…」
七海「どういう事?」
霧切「七海さんは今までクリアしたゲームの攻略法は鮮明に覚えているわよね?」
七海「もちろん!」
霧切「同じような所だと… 今の赤松さんも恐らくピアノは弾けるはずよ」
最原「そうだ…… 才能を完全に奪ってしまうって言うならピアノの弾き方やゲームの攻略法を忘れさせる方が好都合なのに……!」
七海「確かに…… この学園の技術なら記憶を弄るくらいなら朝飯前って感じだよね…」
霧切「けど……彼らはそこまでしなかった…いや、出来なかったのか………」
霧切「とにかく、今は判断の材料が足りな過ぎるわね。」
最原「歩きながらモノクマーズを探すしかなさそうだね……」
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- 8 : 2018/04/20(金) 21:52:23 :
狛枝「困ったな……幸運が無いボクなんてゴミクズも同然じゃないか……」
舞園「そんな…… 幸運とか… 才能の有る無しで人の価値なんて決まらないですよ!」
春川「それより…… まずはバラバラになった他のヤツらと合流するのが先じゃないの?」
舞園「そう… ですね…… モノクマの意図は相変わらず読めませんが…」
狛枝「奪われた才能を取り返すゲームね………」
狛枝「……果たしてそんなモノ『希望』だなんて言えるのかな?」
舞園「え?」
狛枝「何でもない。ただのひとり言だよ。」
春川「それにしては声が大きかった気がするけど……」
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- 9 : 2018/04/21(土) 00:15:47 :
才能争奪戦 第1戦
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- 10 : 2018/04/21(土) 00:42:52 :
苗木「そういえば…… ここには部屋とかドアが全然無いね……」
赤松「そっか…… だから余計に同じように見えるし長く感じるんだ……」
日向「いや、さっき赤松が着けた靴の後が無いから多分戻ってはいないと思う」
苗木「これだけ歩いてまだ戻って来たりしてないってことは相当広いんだろうね…」
赤松「そうだ! 声の反響を聞けばこの通路がどれくらい広いか分かるんじゃない?」
苗木「なるほど… その手があった」
赤松「それじゃあ早速………」
赤松は大きく息を吸い込むと…
赤松「わぁぁあああああーーーーーッ!!」
先の見えない通路に向かって叫んだ。
日向「どうなんだ?」
赤松「うーーーーーん…………」
赤松「とりあえず、この通路は相当広いってことかな!」
思わずコケる所だった。
モノスケ「ムリムリ! 超高校級のオマエラやったらともかくモブキャラと成り果てたオマエラにそないな芸当出来るわけないやろ!!」
苗木「モノクマーズ!!」
モノスケ「総称で呼ぶなや!! ワシにはモノスケっちゅう名前がちゃーんとあるんじゃあ!!」
赤松「どっちだっていいよ! とにかく、私たちの才能は返してもらうからね!!」
モノスケ「せやから言うてるやろ……どの才能が手に入るかはランダムやて…」
日向「お前達の言うミニゲームって言うのは何なんだ?」
モノスケ「フッ……聞いて驚くなや…… ワシのゲームはこれや!!」
大仰に煙玉を爆発させた
そしてその先に現れた物は……
苗木「トランプ?」
モノスケ「せや! ババ抜きや!!」
赤松「えぇ……」
日向「それで俺たちに才能が手に入るわけだな?」
モノスケ「せやで! きっかり3本勝負! オマエラのうち誰か1人でも先に上がればオマエラの勝ちって事でえぇで。」
苗木「ボク達の中で誰かで1人でもお前より先に上がればボク達の勝ちって事?」
モノスケ「そういうこっちゃ! ただし3本勝負やさかい才能を取り戻せるチャンスは1人につき1回コッキシやで!!」
モノスケ「ほな、ゴタクはえぇからとっとと始めよか!!」
モノスケ「才能争奪戦 モノスケ編 ババ抜き対決や!!」
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- 11 : 2018/04/21(土) 01:47:46 :
- ~手札~
S→スペード
D→ダイヤ
C→クローバー
H→ハート
J→ジャック
Q→クイーン
K→キング
Jo→ジョーカー
モノスケ:D3,C7,SK,S4
日向:HJ,DK,H5,C3
苗木:Jo,S5,S7
赤松:D4,DJ
モノスケ「全員はけたみたいやなぁ」
赤松「やった! 私あと2枚だよ!」
モノスケ「ラッキーガールやなぁ。」
苗木「………………」
モノスケ「ほな、とっとと始めようやほれ、引けや」
日向「………揃ったな」
日向「ほら…」
苗木「………」
苗木「ダメか……」
赤松「私の番だね!」
赤松「うーん…流石に揃わないか…」
モノスケ「どれどれ…」
モノスケ「おっごつぉーさん」
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- 12 : 2018/04/21(土) 02:23:13 :
- ~手札 2順目~
モノスケ:D3,S4
日向:HJ,H5
苗木:Jo,S7,C3
赤松:D4,DJ
モノスケ「さて… 勝負はここからやで……」
日向「ダメか……」
苗木「うぅ………」
赤松「うーん… 揃わないなぁ…」
モノスケ「クックック……」
モノスケ「つくづく姉ちゃんには感謝せなあかんなぁ…」
モノスケ「アンタほんまに幸運の女神やァ!!」
~3順目 手札~
モノスケ:上がり
日向:HJ,D3
苗木:Jo,C3,H5
赤松:DJ,S7
赤松「ちょっと待って……? モノスケが最初に上がりって事は……」
日向「つまり… 俺たちの………」
苗木「ま……負け?」
モノスケ「はぁ~~~~ 何してんねんオマエラ……もう接待プレイはこれっきりやで……」
苗木「せ…接待プレイ!?」
モノスケ「せやで。今回は出血大サービスの接待プレイ…」
モノスケ「次からはオマエラの中からジョーカーが出たらオマエラの負けや……」
日向「おい……!それじゃ今度は俺たちが不利じゃないか!!」
モノスケ「当たり前じゃクソモブがァ!!」
モノスケ「こんだけの接待プレイで無様に負けよってからにごちゃごちゃ抜かしてんなや負け犬がァ!!」
モノスケ「ほれ、才能欲しないんか? 続けるんか?やめるんか?さっさと決めェやクソモブ共」
苗木「………やるしかない。」
苗木「確かに……ボクには才能らしい才能なんて無いかも知れないけど……」
苗木「勝手にみんなの才能を奪ったお前達は許せない…」
日向「苗木………」
苗木「やろう……! もう1回だ!! 2人の分の才能は返してもらうぞ!!」
モノスケ「フン…… アンラッキー小僧のアンテナモブが言うやんけ………」
モノスケ「えぇで。ゲーム続行といこか」
モノスケ(バカが……… やっぱお前はクソモブや…)
赤松「ねぇ… 苗木くん。日向くんも… ちょっといい?」
モノスケ「なんや?作戦会議か?」
苗木「え……?」
苗木「何でもない。始めるぞ……! モノスケ!!」
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- 13 : 2018/04/21(土) 02:52:47 :
________
______
____
__
日向「上がりだ。」
赤松「わたしも上がり!」
モノスケ「なんやなんや? 元超高校級の幸運とは思えん程の無様な負けっぷりやなぁ!」
苗木「黙れ!!まだボク達は負けてない!!」
モノスケ「おーおー怖い怖い」
~第2戦目 8順目 手札~
モノスケ:S1
苗木:H1,Jo
日向:上がり
赤松:上がり
日向「苗木………」
赤松「苗木くん………」
モノスケ「フン。ワシとの一騎討ちに追い込むとはやるやんけ」
苗木「うるさい!! さっさと引けよ!!」
苗木「それともここにいるクソモブに負けるのが怖くなったか!」
苗木「威勢がいいのは最初だけか!!」
モノスケ「ハッ 言われずとも引いたるわい」
モノスケ(このクソガキが………!まだ懲りとらんのかい………)
モノスケ(そんなに絶望したいんやったら叩き落としたるわ……)
モノスケ(無力感…… 戦犯としての罪悪感っちゅう絶望をなァ!!)
モノスケ(死に晒せェ!!)
苗木「………………!!」ジョーカー のカードにモノスケの手が届く。
モノスケ「……………………はっ!」
モノスケ「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」
苗木「なんだ……!? 何がおかしい!!」
モノスケ「ヒィーーーー……… これが笑わずにおれるかい……」
モノスケ「つまりは………」
モノスケ「そういうこっちゃ!!!!!!!」
モノスケの手から舞い落ちるスペードとハートのエース。
苗木の手に残されたるは……
道化に扮した破滅のカード。敗北 死神 破滅
苗木「ば……バカな!!!」
苗木「お前は!! お前は確かにジョーカーを取ったハズだ!!」
モノスケ「お? 悪いのぅ手が滑ってもうたかもしれんわ!」
モノスケ「さっ とっとと3回戦始めるで。それでこんな糞茶番劇はもう仕舞や!!」
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- 14 : 2018/04/21(土) 03:07:49 :
日向「……………そうだな。」
日向「確かに茶番だな………」
モノスケ「あァ!?」
苗木はジョーカーカードを前に差し出した。
モノスケ「何いつまでババ握っとねん…… さっさとこっちに返せや!!!!」
苗木「あぁ!! こんなモノ…………」
苗木「返してやるとも………!!」
苗木はジョーカーを持った手を振りかぶると……
モノスケ「や……」
モノスケ「やめェやぁあああああああああーーーーーッ!!」
『バギッ!!』
明らかにトランプカードを叩き付けた音ではなかった。
ジョーカーであったハズのそれには落とした
スマホとよく似た模様になっていた。
日向「液晶……!」
苗木「ここにあるトランプは全て…… 小型の極薄ディスプレイだったんだよ…」
赤松「えっ! 全部!?」
苗木「確かに…… 赤松さんが最初に推理した時には……」
~数分前~
苗木「モノスケの手の辺りから電子音?」
赤松「うん…」
日向「そんな音したか?」
赤松「よく、機械とかが動いてる時にかすかーに聞こえるキーとかウィーンって感じの音。」
赤松「音ってよりは耳の違和感って言った方が近いと思うけど……」
赤松「モノクマもモノスケもロボットなんだからそんな音が聞こえるのはおかしい事じゃないって思ったんだけど…」
赤松「ロボットだから却ってそういう手も使えるかもっていうか…」
赤松「ほら! 例えばジョーカーカードがディスプレイになってるとか!」
日向「トランプがディスプレイ!?」
赤松「あ… ごめん……流石にバカバカしいよね…」
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- 15 : 2018/04/21(土) 03:24:58 :
苗木「だけど…… あの第1戦でジョーカーを持ってたのはボクだったんだ。」
苗木「こうなると少し不都合が出てくる。」
苗木「普通に考えてそんなイカサマカードを操作できるとすればモノスケくらい… だけど…ババ抜きは常に誰か1人がジョーカーを握り続けられるとは限らない…」
苗木「リモコン操作って可能性も考えたけど……流石に相手の手元でいきなりカードを変えるのは露骨すぎる。」
苗木「そうなると……」
苗木「ここにあるトランプは全て……」
苗木「イカサマカードだ!!」
円卓の上に散らばったトランプを派手に散らかすと……
何枚かは地面に落ち、次々とトランプの絵柄でなくヒビ割れたスマホのような画面を写す。
苗木「最初から全部イカサマカードならイカサマカードと普通のトランプとの違いを指摘される事もない。」
苗木「お前は最初からイカサマしてたんだ!!」
モノスケ「う……ウソつけぇ……! 第一……それをワシが使ったっちゅう証拠はどこにも……!」
苗木「証人がいるとしたら?」
モノスケ「なっ……!」
苗木「ここにいる3人とも……ハートのエースがジョーカーに変わる瞬間を見ていたとしたら?」
モノスケ「……………………ッッッ!!!!!」
モノスケ(な……なんちゅうこっちゃ……!)
モノスケ(あの時……確かにあの2人は……)
モノスケ(苗木の後ろに立っとった……!)
モノスケ(あの妙に突っかかる態度も……ワシを挑発してイカサマカードを発動させるためやったんや…………!!)
日向「まさか赤松が『挑発して使わせてやろう』なんて言い出すとは思わなかったけどな…」
赤松「あ…はは…… 正直本当にやるとは思ってなくて…」
苗木「えぇ! そんな…」
日向「いいんだ。苗木……本当にファインプレーだった。」
モノスケ「お……オマエラ………ッ!! 何を勝手に勝ち誇っとるんじゃワレェ………ッ!!」
モノスケ「まだ勝負は残っ
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- 16 : 2018/04/21(土) 03:43:58 :
聞くのも鬱陶しいと言わんばかりにモノダムがモノスケを踏み潰した。
モノスケ「も………モノダム…………ッ!!」
モノダム「ミグルシイヨ… モノスケ……」
モノスケ「お前……! 一体何さらして………ッ!」
モノダム「ハジシラズ ナ キョウダイ ガ メイワク カケテ ゴメンネ」
日向「あれ?こいつは…」
赤松「モノクマーズの内の1匹……?」
モノダム「オマエタチ ニ サイノウ ヲ ウケワタス ヨ」
モノスケ「せ……せや! そいつらは味方同士のカードを見よった! い…イカサマ言うならそっちも
首だけ吹き飛んだモノスケはモノダムに再び踏み潰され2度とエセ関西弁を喋る事はなかった。
モノダム「ア…… デモ サズケル サイノウ ハ ランダム ダカラネ……」
苗木「そこはやっぱりランダムなのか……」
モノダム「オイラ モ トウチャン ノ コ ダカラネ…」
モノダム「オイラ ノ メノマエ ニ アツマッテ ダイジョウブ キガイ ハ クワエナイ。」
日向「俺たち……勝ったみたいだな……」
苗木「………いいのかな? だって… ボク達がこれから授けられる才能って…自分で手に入れたわけじゃないっていうか…」
日向「まぁ… そうかも知れないけど…… この先もモノクマーズが何を仕掛けて来るか分からないし……」
赤松「あっ! ねぇ2人とも!」
赤松「もしさ、楽器や音楽に関する才能だったらみんなで演奏しようよ!」
赤松「まぁ… 超高校級では無くなっちゃったから下手っぴになってるかも知れないけど…」
赤松「ピアノの弾きかたくらいならまだまだ全然頭に入ってるからさ!」
苗木「そういえば…日向クンの才能って……」
モノダム「ソロソロ イイカナ?」
日向「ほら、俺の才能なんて何だっていいじゃんか」
モノダム「マブシイケド ウゴカナイデ ジットシテテネ……」
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- 17 : 2018/04/21(土) 04:26:54 :
眩しい光が収まるとそこに既にモノダムの姿はなかった。
日向「これで俺にも才能が……?」
赤松「けど… 何の才能を引いたかなんてどうやって分かるんだろう…?」
苗木「あっ ちょっと体が軽い気がする!」
足元を見ると書き置きが残されていた。
『
ヒナタクン グンジン
アカマツサン ピアニスト
ナエギクン スイマー
キミ ノ シッテル ダレカ ノ サイノウ トハ カギラナイヨ。
モノダム
』
苗木「スイマーか……朝日奈さんと同じか…」
赤松「やったーー!! 私はピアニストだよ!!」
赤松「あ… そうか… 自分の才能が返ってきたとは限らないんだっけ…?」
日向「まぁ、今はこの才能はずいぶん役に立ちそうだな…」
苗木「…………」
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- 18 : 2018/04/22(日) 09:41:44 :
~第1戦 トリックババ抜き 閉幕~
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- 19 : 2018/04/22(日) 16:09:48 :
狛枝「ボク達一体どこまで歩いて来たんだろうね?」
春川「同じような通路がずっと続いてるし部屋らしい物も見当たらないし…」
舞園「なんだか迷子にさせるために造ったみたいですね……」
モノファニー「そうよ……! この地下空間はわざと迷うように作られているのよ!」
モノファニー「ちなみに『開け方』が分からなければ部屋にも入れないわよ!」
狛枝「へぇ… 一応こんな所でも部屋はあるんだね」
舞園(内緒とか秘密が苦手なタイプなんでしょうか…)
春川「何だっていいよ… それより、どうせアンタらの道楽に付き合わなきゃここから出す気もないんでしょ?」
モノファニー「道楽とは心外だわ…… これはアタイ達とオマエラとの真剣勝負だと思ってもらわなきゃ……」
狛枝「まぁ…元々君たちがみんなの才能を勝手に奪ってるだけの話なんだけど……」
モノファニー「アタイらの気になる勝負の内容は……」
モノファニー「カヴァデ………カバディよッ!!!!」
舞園「噛みましたね」
狛枝「確かに。」
春川「ロボットなのに……」
モノファニー「うるさいわよ! 元超高校級のクセに!! あ、今回はアタイとオマエラだけの特別ルールといくわよ!」
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- 20 : 2018/04/22(日) 16:17:52 :
~ルール~
・基本的ルールは変わらない。攻撃する側は「カバディ」と言い続けなければならない。
・相手をタッチして自陣に戻って来られれば得点となる。ただし同じ人物に連続タッチは出来ない。
・攻撃、防衛は1回ごとに切り替わる。
・モノファニーが100点入れればモノファニーの勝ち。100点に達する前に狛枝、春川、舞園の何れかがモノファニーを捕まえるかタッチできれば勝ち。
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- 21 : 2018/04/22(日) 16:24:14 :
モノファニー「モブのオマエラにも分かったかしら?」
春川「要はあんたを攻撃側でタッチするか防衛側の時に捕まえられればいいんでしょ?」
舞園「けど… この狭い通路でカバディと言うのは……」
モノファニー「その辺なら心配は無用だわ。」
モノファニーが床に手を置くと壁が後に退き、その場に空間が出来た。
モノファニー「えーと、カバディのコートは…… これね!」
床の光のラインがコートを浮かび上がらせる。
モノファニー「うぷぷ…… オマエラにこのアタイが捕まるかしら………?」
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- 22 : 2018/04/22(日) 16:24:48 :
~才能争奪戦 第2戦 カバディ~
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- 23 : 2018/04/22(日) 16:37:54 :
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先攻:モノファニー
ホイッスルが閉鎖された空間に鳴り響く。
舞園「え……?」
春川「チッ……………!」
モノファニー「カバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディ」
油断していたワケでもない。
目を凝らしていなかったワケでもない。
それはただ単に速すぎた。
狛枝「さすがにこれは……」
モノファニー「ふぅ… あんまりあっという間に終わらせてもつまらないからこの辺にしといてあげるわ。」
0-33
スコアボードにはそう刻まれていた。
舞園「ウソ………33って事は…」
狛枝「今ので既に3分の1は獲られたってことだね!」
春川「他人事みたいに言ってる場合?」
舞園「ってそれより! モノファニーさんはロボットで息も切れないのにカバディなんてそもそも不利過ぎるじゃないですか!!」
狛枝「あ、誰もつっこまないから黙ってたけどありがとう。舞園さん。」
モノファニー「そうよ。だからこその『100対1』のハンデなんじゃない。」
モノファニー「それに! さっきからアンタたちアタイの事ロボットロボットってアタイにもアイデンティティーってモンが…!」
舞園「え?ロボットですよね……??」
狛枝「ロボットだね。」
春川「じゃなかったら何なの……」
モノファニー「そ……そんな… オマエラ………」
モノファニーは膝を突いてうなだれた。
舞園「カバディカバディカバディカバディカバディ!!」
その隙逃すかと言わんばかりに舞園は敵陣に踏み込んだ。
モノファニー「ちょっと! クマが傷心に落ち込んでいる時に!!」
舞園の手をいとも容易く潜り抜ける。
モノファニー「アイドルなんてやっぱり他人を蹴落とす事しか頭にない腹黒だわ!!」
舞園「は… 腹黒なんかじゃないです!!」
舞園「あ……」
狛枝「あっ」
春川「…バカ……………」
モノファニー「………………」
モノファニー「今のでオマエラの攻撃は終了よ。」
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- 24 : 2018/04/22(日) 17:08:55 :
モノファニー「さぁ、今度はアタイの攻撃よ!」
モノファニー「せいぜい逃げ延びて………この回でお仕舞いなんて事にはしないでちょうだいね…………」
モノファニー「カバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディィィィぃぃぃぃ!!!!」
火の付いたロケット花火のようにモノファニーは飛び出す。
舞園「きゃ……っ!」
春川「避けてどうすんの……! 捕まえなきゃ………!!」
狛枝「だけど…… 触れただけでもケガしそうなスピードだよ………!!」
モノファニー「カバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディ!!
(そうよ!アタイにタッチするかアタイを今こっちのコートで捕まえられなきゃ才能は手に入らないわよ!)」
際限なくバウンドするスーパーボールのようにモノファニーは止まらない。
春川「………ッ!!」
モノファニー「キャッ!」
舞園「春川さん!?」
春川「………大丈夫。髪の毛にアレが当たっただけだから……」
モノファニー「く……っ!! してやられたわ……
そのこれ見よがしなロングヘアーに……っ!!」
春川「アンタが勝手にぶつかっただけでしょ……」
モノファニー「ぐぬぬ…… 思い知らせてやるわ…………!」
モノファニー「髪の毛と毛皮の怨みは恐ろしいってね!!」
狛枝「似合わないと思うよ」
0-54
-
- 25 : 2018/04/22(日) 17:25:37 :
春川「じゃあ、次は私が行くから……」
モノファニー「別にオマエラ3人でかかって来てもいいのよ?」
春川「…………どうすんの?」
狛枝「春川さんに付いて行ける気はしないけど邪魔にならない程度にボクも手伝うよ!」
舞園「わ…私も頑張ります!」
春川「………そう。」
春川「…………ありがと。」
モノファニー「うぷぷ……では始めましょうか…」
春川は姿勢を低く下げると脚の筋肉に力を込める。
春川「カバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディ……!」
獣のような瞳でモノファニーを追いかけ回す。
モノファニー「なかなか…… やるわね! アタイの動きも見えてるみたい……!!」
モノファニー「けど……… アンタのそれも所詮はモブキャラの域を過ぎないわ………!!」
春川「カバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディカバディ!」
素早く、変則的なフットワークでモノファニーを追い詰める。
狛枝と舞園は少々バテ気味だ。
舞園(すごい……私も… スタミナには少し自信があったのに……!)
-
- 26 : 2018/04/22(日) 17:48:10 :
-
モノファニー「くっ……!! やるわね…… モブの分際で………!!」
春川「カバディカバディカバディカバディ…!」
言うまでもなく、この「カバディ」という掛け声こそこの競技のツボ。
カバディと連呼し、相手を追い掛けるという事は、それだけ呼吸も困難になる。
故に、これこそがモノファニーに最も有利なポイント。
素早い動きよりも切れない息、尽きないスタミナこそが最もたる脅威!
モノファニー「もうじき後ろの二人は脱落ね アンタもだいぶ苦しそうね」
モノファニー「とても『全盛』の時のように身体を動かせないはずよ。」
モノファニー「そんな事じゃ永久につかまらな……」
-
- 27 : 2018/04/22(日) 18:32:18 :
モノファニー「え゛っ!?」
自分の頭部が床に向かって真っ逆さまに墜落していく。
零コンマ数秒の後。モノファニーは自らの身に何が起こったのかを理解した。
モノファニー(か……! 髪の毛………!!)
春川の長いツインテール。
その流れ髪の片方を床に垂らしたのだった。
モノファニー(コイツ……!! 髪の毛を……!)
モノファニー(髪の毛をアタイに踏ませて………転ばせるとは………………ッ!!)
「カバディ!!」
圧倒的敏捷性、瞬発力、脚力、スタミナ…………
それらを一切否定するフィールドの死角。
それは空中…………!!
スローモーションのように空中を舞うモノファニーに最早手段など残されているはずもなく………
「カバディ………!!」
-
- 28 : 2018/04/22(日) 18:53:10 :
地面に帰還すると同時に、モノファニーは3人全員にタッチされていた。
試合終了を告げるホイッスルが地下空間に鳴り響く。
モノファニー「………………アタイの完敗ね…」
モノファニー「まさか…… 女の命の髪をアタイに踏ませるだなんて…………」
春川「別に…… こんなの踏まれたくらいで死にはしないでしょ……」
モノファニー「皮肉なものね…… 髪を恨んだアタイが髪によって敗北するなんて………」
狛枝「流石は春川さん………! やっぱり希望はこんな程度で潰えたりしないんだね………!!」
舞園「けど…大丈夫ですか?春川さん。痛くないですか?」
春川「大丈夫だよ…… アイツ大して重くもなかったし…」
モノファニー「モノスケは…… 先に逝ったのね………」
モノファニー「アタイも…… 仕返しされるのかしら…………」
モノファニー「でろでろでろでろ……」
-
- 29 : 2018/04/22(日) 19:05:38 :
モノダム「オイラ…… モノファニー ハ コロサナイ ヨ」
狛枝「モノクマーズだね…」
モノダム「オイラ、モノダム ダヨ」
モノダム「モノファニー ズル ハ シナカッタヨネ ダカラ コロサナイ」
モノファニー「モノダム……………」
春川「それより… 私たちはアンタらに勝ったんでしょ?奪った才能とかを…」
狛枝「そうだね… ここにいるみんなの才能はまさに希望と言って差し支えないんだから……勝手に奪うのは許し難いんだけど……」
モノダム「ソウダネ オイラ ニ マカセテ」
3人を再び眩しい光が包む。
-
- 30 : 2018/04/22(日) 19:39:04 :
狛枝「これで………ボク達も新たな才能が手に入ったってことだね」
舞園「けど……手に入る才能はランダム………」
春川「結局、アイツら一体何させたいんだか……」
『
オマエラ ニ サイノウ ヲ サズケル ヨ
コマエダクン コウウン
マイゾノサン レーサー
ハルカワサン ホイクシ
モノダム
』
-
- 31 : 2018/04/24(火) 16:04:20 :
狛枝「……ハハッ! やっぱりボクはツいてるみたいだ………!!」
舞園「レーサーですって! 車とかバイクのあのレーサーですかね?」
春川「えっ…… 保育士………」
舞園「お二人とも才能が戻ったみたいで良かったです!」
春川「え…… あぁ、そうだね………」
狛枝「てなると… 才能が元には戻らなかったのは舞園さん1人って事になるね…」
舞園「えぇ…… 確かに… 才能が無くなってしまった以上は前と同じパフォーマンスは無理かもしれませんけど……」
舞園「でも、これで全てお仕舞いなんて事はないし…… 」
舞園「今、出来なくっても… きっと練習を続けていれば… 過去に頑張った自分が助けてくれると思うんです!」
舞園「だって……私たち… アイドルだった事や… 保育士さんだった事まで忘れてしまったわけではないでしょう?」
狛枝「素晴らしいよ………!! やっぱりここにいるみんなはこんな程度でへこたれたりなんかしないんだね…………っ!!」
春川「過去の自分が………助けてくれる………」
-
- 32 : 2018/04/24(火) 16:12:39 :
~第2戦 無敵カバディ 決着~
-
- 33 : 2018/04/24(火) 16:41:51 :
最原「ここはもう通ったっけ?」
七海「………いや、通ってないはずだよ。」
霧切「…………」
最原「あの…… 霧切さん。どうかした?」
霧切「私たち……この空間に落ちてきてから1度も部屋を見ていないわよね。」
七海「確かに… 言われてみればそうだね。」
最原「何かの施設として作られたにしてはちょっと不自然だよね…」
霧切「………この通路…所々に継ぎ目があるのよ」
最原「確かに…… 僕たちが通った後にも何度か見かけたけど………」
七海「通路の床と壁と天井にぐるっとあるね」
霧切「そこの継ぎ目と通路の線をよく見て。」
最原「継ぎ目を境に線が微妙にずれてる……?」
七海「見かけ新しいのにちょっと変だよね…」
七海「手抜き工事だったり?」
最原「もしかすると……この通路のどこかに空間が……?」
-
- 34 : 2018/04/24(火) 17:35:48 :
霧切は壁を叩いて音の反響を調べている。
最原「もしかすると…… 壁の一面のどこかがスイッチになってたり………」
『ガチッ!』
最原「あれ?」
七海「あらら」
壁が後退り、裏返る。
モノタロウ「あれ?」
モノキッド「あぁん?」
「………………………」
モノキッド「て……テメェら!! 誰に断ってここに入りやがった!!」
モノタロウ「マズイよモノキッド!! オイラ達全然まだ準備できてないよ!」
最原「何なんだここは……」
ミラーボールに色取り取りの光を映し。
部屋の角にはスピーカー。
モノキッド「よく来やがったオマエラ!! ここがオイラとオマエラの最初で最後のファイナルステージだぜ!!」
-
- 35 : 2018/04/24(火) 17:48:37 :
最原「ファイナルステージ………?」
七海「そういえばここも何だかカラオケボックスみたいだね。」
モノタロウ「カラオケボックスじゃないよ!
ステージだよ!!」
モノキッド「そうさ!! オイラとオマエラは今から奪われた才能を巡って勝負すんのさァ!!」
七海「それで…… 勝負って具体的に何するの?」
モノタロウ「よくぞ聞いてくれました!!」
モノキッド「オイラ達がハートと… ソウルを燃やす勝負…… それこそ………」
持っていたギターを盛大に掻き鳴らす。
モノキッド・モノタロウ「ダンガ「ダワス… ダンス」レぼ「ロワイヤル!」!!」
モノキッド「おい!! グダグダじゃねぇか!!しっかり合わせろよモノタロウ!!」
モノタロウ「間違えた上に噛んだのはモノキッドだよ!!」
-
- 36 : 2018/04/24(火) 17:52:25 :
~才能争奪戦 第3戦 ダ◯レボ(仮)~
-
- 37 : 2018/04/24(火) 18:01:05 :
最原「えっ……要は…ダンス??」
モノタロウ「そうだよ!オイラ達は友達のように歌って踊るんだよ!!」
モノキッド「歌わねぇよ!! ダンス対決だっつってんだろ!!」
最原「だ… ダンス……」
モノキッド「ははァん さてはフォークダンスで誰も組もうとするヤツがいなかったクチだな?」
最原「う…うるさい! そもそも僕の高校にフォークダンスなんて……!!」
霧切「それで… 一体どうやって勝敗を決めるのかしら?」
モノタロウ「そりゃもちろん! オイラ達のパフォーマンスを評価する人物がいるよ!!」
モノタロウ「いや… クマ物?かな??」
モノキッド「どっちだっていいっつの!!」
モノキッド「カモン!! マイ! お父ちゃん!!」
-
- 38 : 2018/04/24(火) 18:48:01 :
床に真四角の穴が出現するとドライアイスの煙が立ち込める。
しかし、そこにモノクマの姿はなく……
モノダム「……………」
モノキッド「テメェ!! なんでそこにお父ちゃんじゃなくてクソモノダムがいるんだよォ!!」
モノダム「コンカイ ハ オイラ モ シンサイン ダヨ……」
モノキッド「はぁあああ!?テメェいい加減に……」
モノクマ「やめなさい……オマエたち………」
モノタロウ「お…お父ちゃん!」
モノクマ「まさか……愛しい我が子達の中でイジメなんて… あるわけないよね?」
モノタロウ「そ…そんなことあるわけないよ! モノダムとも仲良くやってるよ!!」
モノキッド「そ…そうだぜ……! オイラ達兄弟は全然仲良くやってるぜ…」
モノクマ「そう。それならいいんだけどさ」
モノクマ「それより早く始めてくれない? 愛しい我が子のお遊戯会と聞いてお父ちゃんはビデオカメラとガトリングガンを磨いて待ってるんだから!」
モノタロウ「な… なんでガトリングガン……」
-
- 39 : 2018/04/24(火) 19:11:32 :
モノタロウ「それじゃあ早速始めるよ!」
モノキッド「ルールは特にねぇ!! 審判がより優れたダンスと判断されたヤツの勝利だ!!」
モノタロウ「振り付けとかに特に指定はないよ! 自分たちで考えながら踊るんだよ!!」
モノキッド「アーユーレディ? ミュージックスタート!!」
モノキッドのペースで強引に曲が始まる。
音程もリズムも何もかも滅茶苦茶なギターの音。どうやらモノキッドのオリジナル曲のようだ。
-
- 40 : 2018/04/24(火) 19:21:29 :
最原「えっ………えぇと………」
霧切「…………………」
ただただ気まずい空気が2人の間を流れる。
モノキッド「オイオイ!! ただ突っ立ってんのがオマエラの『ダンス』かぁ??」
モノタロウ「すごいね! そんな振り付け初めてだよ!!」
七海「よっ……… ほっ! あれっ……」
最原「七海さん……」
七海「わたし…… ゲームはオールジャンルでイケるから……! リズムゲーも得意だよ……!」
七海「けどやっぱ…… リズムが取りにくいなぁ……」
最原「…………………」
最原「霧切さん! 僕たちも………!!」
霧切(ここは七海さんに合わせる方が無難……)
最原「フォークダンスしよう!!」
霧切「………」
最原「………」
霧切「………………え?」
-
- 41 : 2018/04/24(火) 19:36:58 :
霧切「な… 七海さんについて行くのではなくて…?」
最原「うん…!!」
霧切(どうしてそんなに自信満々なのかしら……)
最原「霧切さん!」
最原「その… 僕もあまり上手く出来るか分かんないけど……」
最原「この勝負勝てるように頑張るから…!!」
霧切(混乱してるのかしら………)
霧切(だけど…… これだけ必死になってる所を断ったら失礼かしら………)
霧切「え… えぇ…… いいけど…」
-
- 42 : 2018/04/24(火) 19:48:31 :
霧切(そもそもフォークダンスに男女で踊るなんて決まりはないのだけど……)
七海をセンター2人はにぎこちなく礼をした。
モノキッド「オイオイ……! いくらオイラがフォークダンスでイジったからって何もここでやるかよ…………!!」
モノタロウ「それよりオイラ達のキレッキレのダンスを見てよ!」
けたたましいギターの音と目がチカチカするようなミラーボールの虹色の光の中。
一方は目にも止まらぬ動きでステージを縦横無尽に舞う。
一方は滑らかな動きとは縁遠いちぐはぐにも見えるダンス。
モノクマ「おォ~~ いいね! それでこそ父ちゃんは応援のしがいがあるよね!!」
モノダム「………………」
-
- 43 : 2018/04/24(火) 19:57:18 :
最原(やっぱり………)
最原(1人がリズムを取って踊ってるのに僕たちだけフォークダンスっていうのはちぐはぐなんじゃないか…………ッ!?)
霧切(今さらそんな申し訳なさそうな顔しないでよ…………)
モノタロウ「ほらほら残像だよ!! どっちが本物のオイラか分かる!?」
モノキッド「ヘルイェーーーーッ!!そいつはオイラの影分身だぜェーーーーーッ!!」
モノクマ「え? あぁ…!うん!すごいすごい!!」
モノダム「…………」
-
- 44 : 2018/04/24(火) 20:06:15 :
そして、その動揺はすぐさま伝染する。
伝染した動揺は次第にパフォーマンスに影響を及ぼし……
そして……
霧切「いたっ!!」
最原「あぁ! ごめん………」
モノキッド「ハハハハーーーーーッ!!ブザマofブザマだぜぇえーーーーーッ!!」
モノタロウ「オイラ達の目にも止まらぬダンスに酔いしれろーーーーっ!!」
壁を跳ねる弾丸のように2匹は跳ね回る。
ミラーボールをブッ飛ばし、スピーカー2つをペシャンコにした。
モノクマ「え……えぇ…」
モノダム「………………」
-
- 45 : 2018/04/24(火) 20:13:38 :
霧切「やっぱり…… 1人をセンターにして他2人がフォークダンスっていうのはそぐわないんじゃないかしら?」
最原「………………」
最原「霧切さん。僕に考えがあるんだ……」
霧切「……………聞こうかしら。」
_________
_______
_____
__
七海「あ、今ちょうど1ループしたね」
七海をセンターにして2人は再び向かい合う。
2匹は弾丸の速度で壁を跳ね回る。例えではなく実際に音速を越えて。
-
- 46 : 2018/04/24(火) 21:00:24 :
一歩ずつ近寄ったかと思えば…
また離れ。
フォークダンスの流れを汲みながらも、その動きはまるで蝶のごとく。
まるで、大輪の華に蝶が舞うかのように。
そして、曲のサビを過ぎた直後……
3人同時に決めポーズ!!
片や轟々と羽音を立て、毒針を携えた蜂の如く。
片やひらひらと華の周囲を漂う蝶の如く。
荒野に1輪咲く野花もまた美しいが
その周りに蝶がおれば、その花の魅力も引き立つというもの。
生き残った最後のスピーカーがモノタロウとモノキッドのサンドイッチになり、木端微塵に吹き飛んだ所で、勝負は半ば強引に終結した。
-
- 47 : 2018/04/24(火) 21:14:46 :
モノキッド「へ……ヘルイェーーーー………! これでオイラ達の勝ちは……揺るぎねぇな……」
モノタロウ「そうだね! オイラ達の全力をぶつけ切ったよね!」
七海「はぁ… ふぅ……お疲れ様…2人とも……」
霧切「お疲れ様。」
最原「うん…… 二人ともお疲れ様……」
七海「最後はけっこういいデキだったよね!
特にあのポーズが決まった時は気持ち良かったよ!!」
霧切「そうね…… 『フォークダンスしよう』なんて言われた時はどうなる事かと思ったけど…」
七海「フォークダンス……??」
最原「いや…えっと…… 僕や七海さんの動きを先に推理して動いてくれた霧切さんのお陰だよ!」
霧切「あなたも… あのフォークダンスから『自分達が七海さんを引き立てる役になろう』って思いついて行動に移せたじゃない。」
最原「あの場を切り抜けるにはそれがベストだと思ったんだ… 僕が混乱して変なこと口走った責任もあるし…」
霧切「けど、結果的に独創的でベストな躍りになったんじゃない?」
最原「そう…かな?」
七海「わたしはよく見えなかったけど… 二人ともありがとうね…」
霧切「あとは…… 判定を待つ他ないわね………」
-
- 48 : 2018/04/24(火) 21:29:56 :
モノダム「ソレデハ ハンテイ ヲ ハッピョウ スルヨ」
モノダム「デ レ レ レ レ レ レ レ レ ……」
モノキッド「ドラムロールの間を切るんじゃねーよ!!」
モノダム「サイハラクン キリギリサン ナナミサン ノ ショウリ ダヨ」
最原「やった……!」
モノタロウ「う……嘘だ!」
モノキッド「テメェーーーーッ!!いくらオイラが憎いからって男同士の勝負に私情を挟むんじゃねぇよぉおおおおおッ!!」
モノタロウ「そうだ!いくらオイラたちがお前をハブって殴ってストレス発散していたとしても!」
七海「そりゃ恨まれるよ…」
モノクマ「えぇ~ ご静粛に……」
モノクマ「本来ね、ボクとしても子供の成長は素直に認めたいところだけどさ。」
モノクマ「正直ね、オマエラが何してんのかさっぱり分からなかったワケ。」
モノクマ「だって映画や演劇をさ、早送りで見たって全然面白くないじゃん?」
モノクマ「後半なんか物騒でボクも思わずカメラじゃなくてガトリングガンを回すところだったけどね!」
モノタロウ「オイラ達のキレとスピードが……」
モノキッド「かえって仇になったってのか……」
モノクマ「まぁさ、ドラゴン◯ールのカカ何とかとフ◯ーザの戦いなんてヤム◯ャからしたら『なんとなく凄い』程度にしか伝わらないようなもんだよね!」
-
- 49 : 2018/04/24(火) 21:40:47 :
モノクマ「そういうわけなので!おまちかねの~ 才能授与ターイム!!」
モノダム「オマエラ オイラ ノ マエ ニ ナランデ」
最原「いよいよこれで……」
最原「だけど… 自分が元から持っていた才能が戻るとは限らない……」
霧切「逆らったところで……それはそれで返すつもりは無いと思うけど………」
七海「案外大丈夫なんじゃないかな」
七海「だって…… 2人ともさっきはナイス推理だったでしょ!」
最原「いやいや… あれは七海さんが最初に率先して踊ってくれたから………」
霧切「あら? 私もあなたの言い出したフォークダンスに付き合ったんだけど?」
最原「も… もちろん分かってるよ!」
七海「ふ…フォークダンス………」
七海は堪えきれずに吹き出した。
-
- 50 : 2018/04/24(火) 21:58:59 :
モノダム「ソレジャア サイノウ ヲ サズケル カラネ。」
閃光が3人を包みこんだ。
最原「こんなんで本当に才能が手に入ったりするのかな…?」
七海「確かに……いくら希望ヶ峰学園とはいっても流石に怪しいよね…」
霧切「これ……彼が残したものじゃないかしら?」
『
サイハラクン エスパー
キリギリサン レイバイシ
ナナミサン ニート
モノダム
』
最原「エスパー……? 僕が…?」
霧切「………馬鹿馬鹿しいわね。」
七海「ゲーマーはニートとはちがうよ……!!」
-
- 51 : 2018/04/24(火) 22:00:01 :
~第3戦 ダンガンダンスロワイヤル 終劇~
-
- 52 : 2018/04/24(火) 22:09:05 :
モノクマ「あーあー!マイクテス!マイクテス!」
モノクマ「試練を乗り越えた皆さま!お疲れ様でした! 通路の黄色いライトを辿って広場までお集まりください!」
苗木「他のみんなもモノクマーズ達と?」
日向「そうみたいだな……」
赤松「この黄色い明かりを辿って行けばいいんだよね…?」
舞園「苗木くんは…他の皆さんは無事でしょうか…?」
春川「まぁ、命までは盗らないでしょ……」
狛枝「みんなの所へ急ごうか。」
最原「これで終わりなのか……?」
霧切「それは……行ってみないと分からないわね」
七海「じゃあ……行こうか。みんなも多分集まるだろうし…」
-
- 53 : 2018/04/24(火) 22:20:15 :
黄色の明かりは1つの広場へ繋がってのおり、
3つ全ての通路から3組は合流した。
舞園「苗木くん! 霧切さん!」
苗木「舞園さん! 大丈夫?ケガは…」
七海「おかえり。日向くん。」
日向「あ、あぁ… ただいま…」
狛枝「どうだった?日向クン。」
狛枝「何か目ぼしい才能は手に入ったのかな…?」
日向「あぁ… 一応…… 超高校級の軍人ってことらしいぜ……」
狛枝「…………そう。」
七海「私なんか超高校級のニートだって……」
日向「はは… 何だよそれ」
赤松「おかえり!最原くん!春川さん!」
最原「うん… ただいま……」
春川「……………」
赤松「春川さん?」
春川「え? えぇ…と……」
春川「た… ただいま…… これでいい?」
赤松「うん! お帰りなさい!春川さん。」
-
- 54 : 2018/04/24(火) 22:38:59 :
互いに安否を確認しあい、安堵の空気に包まれた時。
モノクマ「あの~盛り上がってるところ悪いんだけどさ。」
瞬時に、場が静まり返る。
モノクマ「あら、静かになるまでたったの3秒 校長先生も文句なしだね!」
苗木「用件は何なんだ… モノクマ」
最原「まさか…集めたみんなの才能を使ってお前と戦うのか……?」
日向「よし、それなら俺が……」
モノクマ「うぷぷ……よくぞ聞いてくれました……」
モノクマ「そう……これこそがボクとオマエラの最終ファイナルデスマッチ…無制限一本勝負……!!」
モノクマ「なんて事はしませーーん! もうこの遊びも飽きたからね!」
モノクマ「オマエラにはこのまま地上に帰ってもらいまーす!」
苗木「ちょっと待てよ!!お前が皆から奪った才能はどうなるんだ!?」
モノクマ「え?元には戻らないけど? 最初に言ったよね? 手に入る才能はランダムだって」
モノクマ「それにオマエラ全員結局何らかの才能は手に入ったんだからそれでいいじゃない!」
モノクマ「中には元の才能と同じ才能を手に入れた人もいくらもいるみたいだしぃ?」
春川「………………」
舞園「そんな! 無責任です!!」
七海「そうだよ! 良くないよ! ニートとゲーマーはちがうよ!!」
モノクマ「納得いかない? それなら捕まえてみる?」
「言われずともーーーーー!!」
春川、日向、狛枝、霧切を除いたメンバーはモノクマに飛びかかる。
モノクマは床に空いた穴に吸い込まれ、それきり姿を見せなかった。
-
- 55 : 2018/04/24(火) 22:57:46 :
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_______
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__
それから数日後。
苗木「ブハッ!! ハァーハァーハァー……!」
朝日奈「3分17秒23。タイムもフォームもてんでなってないよ苗木~」
希望ヶ峰学園のプールに苗木と朝日奈の姿があった。
朝日奈「ホントに超高校級のスイマーになったの?」
苗木「やっぱり… モノクマの言うことなんて…信頼できないや………」
朝日奈「ちぇー せっかく水泳のライバルが出来ると思って楽しみにしてたのにな~」
大神「朝日奈よ…… お前のそのスイマーの『才能』とて、一朝一夕の間に得たモノではあるまい?」
大神「短期間で楽に力を手に入れよう等とは愚の骨頂。例え手に入ったとしても相応の対価が降りかかる…」
苗木「そうだね… そもそも最初からそんな力授けられていないのかも…」
朝日奈「もう! ちがうよ苗木!」
朝日奈「『才能』とか… そーいうのは…誰かから授かるものじゃ無いんだよ……!たぶん」
苗木「たぶん!?」
大神「確かに…狛枝のような例もありはするが…」
苗木「………朝日奈さん!また明日も泳ぎ方教えてよ!」
苗木「もしかしたら、スイマーの才能が与えられた事自体嘘っぱちかも知れない……」
苗木「だけど…… もう少し自分の力で上手く泳げるようになってみたいんだ!」
苗木「朝日奈さんと競えるようになるかは分からないけど…」
朝日奈「いいよ! そうとなれば明日は5時から朝練だね!」
苗木「えぇ!? 朝5時………!」
大神「フフ…朝日奈の指導は甘くないぞ。苗木。」
-
- 56 : 2018/04/24(火) 23:12:33 :
最原「うーーーーん………」
最原がスプーンとにらめっこしている。
赤松「どう?どう?何か来てる?? ハンドパワー的な何かが……」
最原「………全然…………」
赤松「あっ そうだ! スプーン曲げってね!曲げるコツがあるんだって!!」
最原「って……それじゃ多分、エスパーって言わないんじゃ……」
赤松「あっ そうだよね……」
最原「そもそも… エスパーとか超能力者とか言われても抽象的過ぎるよ……」
赤松「そうだね… 最原くんが何のエスパーかも教えないままどっか行っちゃうんだもんなー」
赤松「もしかして体を曲げて鞄の中に入る能力だったり!」
最原「それは違うエスパーだね…」
最原(…………あれ?)
百田「終一~!赤松~! これからメシいかねぇか?」
赤松「あ、いいね! ちょうどお腹空いてきたところなんだ!」
百田「どうした?終一。俺の顔見て目をパチクリさせて…」
最原「な…なんでもない! 行こうか!」
百田「おう! じゃあどこにすっか」
最原(………今、百田クンが来るのが直感で分かった気がするけど…)
最原(……百田クンだったから分かったんだろうな…)
-
- 57 : 2018/04/24(火) 23:29:48 :
「お姉ちゃんさようなら~!」
春川「うん。また明日。」
舞園「あ、こちらで合ってましたね!」
春川「………!?」
春川「な… 何よ………」
いつもの制服の上にエプロンを着ている。
舞園「わぁ…… なんだかすごく似合いますね!」
春川「……今、忙しいんだけど………」
舞園「あっ…… すいません。ちょっとお話をしたくて… ここで教育実習されてるって聞いたので……」
春川「……いいよ。私も個人的に話したい事あったし。後で集まろう。」
_______
_____
__
春川「それで…どうしたの?」
舞園「はい。春川さんとは違うクラスで…あまり話す機会も無かったので…あれ以来どうしてるのかな~ってちょっと話してみたかったんですよ!」
春川「別に、私に何か面白い話なんて無いけど…」
春川「あんたはどうなの…… 確か、レーサーとか言ってなかった?」
舞園「あぁ~ あんまりこういうのって外で言わない方がいいんですけど…まぁ、中止になっちゃった番組ですし…」
舞園「実はバラエティーのロケでドラッグカーに乗せてもらったんです!」
舞園「ただ真っ直ぐ走るだけだし大丈夫だーって」
舞園「けど…クラッシュしちゃったんですよね」
春川「ドラッグカーでクラッシュって…生きてる方が不思議なんだけど……」
舞園「幸い私は植え込みに飛ばされただけで全然ケガはなかったんですけど…制作会社の方は今、てんてこ舞いで… しばらく休暇ですね…」
春川「そ…そうなんだ…」
-
- 58 : 2018/04/24(火) 23:49:53 :
春川「ねぇ。もう1つ聞いてもいい?」
舞園「えぇ。いいですよ!」
春川「あんたはさ……今、才能が仮に消されたって…過去で努力した自分が助けてくれるって言ったよね?」
舞園「そう… ですね。」
舞園「とっさに…苗木くんだったらこう言うかな~って浮かんだんです!」
春川「私はさ……助けてくれる例ばっかりじゃないと思うんだよ………!」
舞園「えっ……?」
春川「私の……私の本当の才能は……!」
春川は自らの過去、才能について話した。
舞園「……………」
春川「私………分かんないんだよ……こんな血塗れの手であの子達の頭を撫でていいのか……」
春川「才能が上書きされたって… 過去はどうやっても変えらんないんだからさ……!!」
春川「過去の自分が助けてくれるって言うのは… そういう書き換えらんない過去とか…記憶とか…事実があってこそのものでしょ?」
春川「けど私は……『過去の自分』って事実から逃れられないんだよ!!」
春川「因果応報だって… 分かってるけどさ……」
舞園「確かに……」
舞園「確かに私の言ったことは奇麗事かもしれません…」
舞園「忘れたい過去がある人だって…いますよね…」
舞園「けど、それはそれでいいじゃないですか。」
舞園「春川さんがそれに手を染めたのは…孤児院の子を守るため……」
舞園「それだって……消えない事実じゃないですか。」
舞園「戦う保育士さんだって素敵じゃないですか。」
春川「戦う保育士………」
春川「そうだね……消えない事実があるからって腐っててもしょうがないよね…」
春川「私は戦い続けるよ……過去の自分と…」
春川「あの子達のためにもさ………」
春川「ありがとう。会いに来てくれて… 良かったら… その……」
春川「また、話したりなんか……」
舞園「はい! 喜んで!!」
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- 59 : 2018/04/25(水) 00:26:24 :
学園長室のど真ん中で大の字で寝転がる人影がある。
戦刃「………………」
日向「くそっ…………!!」
仁「……………」
狛枝「あれ。大きな音がしたと思ったら…なんでこんなところで寝てるの?」
日向「狛枝…………!!」
狛枝「………あぁ。やっぱりそういう事だったんだね。」
狛枝「最初からおかしいと思ったんだ。なぜ予備学科の君があそこに紛れこんでいたのか…」
狛枝「七海さんは君と交流があったしボク以外の他のメンバーは違うクラスだったしね…」
狛枝「君はまるで自分は最初から才能があったかのように偽って あそこにのこのこ紛れこんでいた……」
狛枝「一体なぜ? ボクはずっと考えて…
日向「お前なんかに………! お前なんかに分かるものか!!」
日向「運で…… 運だけでこの世の総てから肯定されたお前のようなヤツに…………!!」
狛枝「そうだね。正直否定できないよ… ボクはまさに『運』で超高校級の称号を貰ってるんだ。」
狛枝「だけど……」
狛枝「今の君はとても醜い。」
狛枝「予備学科にしては見所があると思ってたのに…」
日向「黙れ!!黙れよ!! お前は… お前と苗木だけは許せないんだよ!!!!」
仁「……今回のことで分かっただろう。日向くん。」
仁「君の仮初の才能では所詮は『本物』に太刀打ちは出来ないとね……」
仁「…………これに懲りたら… カムクライズルプロジェクトなんて……さっさと辞退したまえ。」
仁「それから狛枝くん。今、ここで目にした事、聞いた事は口外しない方が身のためだ。」
狛枝「……分かりました。」
日向「クソッ! あれを浴びれば… 才能が…手に入るんじゃなかったのかよ!!」
仁「あれは単なる暗示のような物だ。多少脳に影響を与えるが……それも短期間のこと。もうじき影響なんて消えて無くなるだろう。」
仁「才能を無くしたというのもただの暗示さ…」
狛枝「そのカムクラプロジェクトがどれほど重大かは分かりませんが… 他の『本科』の生徒を巻き込むのは感心しませんね…」
仁「すまない。迷惑をかけた…」
日向「俺を……!騙したのかよ…!!」
仁「騙してなどいない。」
仁「考えてもみたまえ。例えば苗木くんが脳に影響を与えたくらいでいきなり朝日奈さんと同じ以上に泳げるようになるか?」
仁「死線とは縁遠い生活をしてきた君に戦刃くんが倒せるか?」
仁「答えをもう…君は知っているはずだ。」
日向「ちくしょう……! ちくしょう………!!」
仁「………フゥ」
仁「泣くんじゃあない。泣くな!!日向創!!」
仁「そこまで悔しかったら昇ってみろ!」
仁「何も予備学科から本科に上がれない等とは言っていない!!」
仁「高校あと2年で間に合わないのなら大学まで… 大人になるまでかかったって構わない!」
仁「自分を磨け!自分と戦え!!」
仁「『才能』とは……誰が与える物ではないと…君は思い知ったはずだ。」
仁「才能を掴みとって…… 彼らと並んで見せろ!!」
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- 60 : 2018/04/25(水) 00:29:50 :
これは、『超高校級の希望』誕生前。
あったかも知れないifのお話。
パラレルワールドの1つ。
そして
このパラレルワールドにおいて
その後、日向創を見たものはやはりただの1人もいないのでした。
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- 61 : 2018/04/25(水) 00:30:02 :
おわり
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- 62 : 2019/10/18(金) 16:26:49 :
- 悲しいな…
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- 63 : 2020/07/11(土) 16:02:03 :
- バッドエンドっぽい終わり方すんなよw
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