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  1. 1 : : 2018/02/03(土) 16:00:26



    コトン、コトンと包丁がまな板の上で音を出す。何かを切っているようだ。




    俺はその切られているものを見たくなくてその生々しい音を聞きたくなくてただ上を見上げる。




    何も考えないように何も感じないようになればどれだけよかったかそんなこと出来るはずもないのに。




    罪悪感が俺を苛める。これはお前のせいだと俺の耳元で叫ぶ。どうしてこうなったのか自分にだってわからない。



    幸せを望んだだけなのにどうしてこうなった?




    「あはっ♪出来ましたよ、兄さん」




    悪魔のような艶めいた笑みを見せる妹だったそいつは皿の上に赤く染め上がった何かを持ってくる。




    「これね、お父さんの指なんです。綺麗に切れてると思いません?私、料理の才能あるかもしれません。」




    「あぁ…ああああ!ああああああ!!何やってんだよお前えええええええ!?!?」




    「ふふ、ふふふ。何やって料理してたんですよ?あ、でもこれは失敗作なんで食べられませんけどね?」




    何が嬉しいのか何が楽しいのかわからない。目の前の怪物が何を考えているのかわからない。





    普通だった日常は突然崩れ去り俺を狂わせる。












    ※閲覧注意です。




    過度なグロテスクな表現、尚且つ胸糞悪いシーンが多々あります。




    お気をつけください。
  2. 2 : : 2018/02/03(土) 16:22:22



    それは唐突に、そして突然に。




    家に帰るといつもは家にいるはずの両親がいない。それと妹もだ。




    3人で何処かに行ったのかと思ったがそんな話は聞いていない。




    「おーい、帰ったぞ?誰か居ないのか?」



    リビングに向かって足を進める。進めば進むほど妙な匂いがする。



    「なんだこの匂い?」



    血の匂い…?なんだか焼けているような匂い。



    それは酷い匂いだった。



    「まさか…!」



    何かあったのではと急いでリビングに向かう。




    リビングのドアを開けて見るとソファーには父さんと母さんが座っている。




    「父さん?母さん?何してるんだ?それよりこの匂いなんなんだ?」




    2人に声をかける。応答はない。



    「あ、兄さん。お帰りなさい」



    台所でエプロンを着て上機嫌に何かを焼いている。



    「お、おう。ただいま。それよりこの匂いはなんなんだ?父さんと母さんはどうして何も言わない?」




    「あー、それはね、兄さん。」




    火を止め、妹がこちらに来る。




    何故か逃げなければならないと思った。なのに体は動かない。




    「あとで話しましょうか。」




    いつのまにか目の前に来て居た妹の声を最後に俺は意識を失った。












    そして、冒頭に戻る。
  3. 3 : : 2018/02/03(土) 19:09:20



    「何やってんだよ!!なぁ!?!?なぁ!?!?!?」



    これを荒げて問い詰める。自分の声ではないぐらいに大きな声で。




    「うふふ、そんなに声を荒げないで下さい。こんなのまだ前座中の前座なんですから。でも、予想通りの反応でちょっと嬉しい」




    言っている意味がわからない。質問に答えないそいつに俺は憎しみなら怒りやらで頭がおかしくなりそうだった。




    「兄さんって結構重いですよね〜。ヒョロッとしてるのにちゃんと筋肉もついてたんですね。運ぶの大変だったんですよ?」




    「しらねぇよそんなこと!!今すぐ俺を解放しろ!!」



    椅子に縛り付けられてる俺は何も出来ずに目の前のことを見ている。止められない自分が情けなかった。



    「え〜、嫌ですよ〜。解放したら私を殺すつもりでしょう?まだ殺されるわけにはいかないですしまだまだやることがあるんです」




    「まだ何かするつもりかよ!」




    「だから〜前座って言ってるでしょう?あ、焼けましたよ!母さんのステーキです!」




    「やめろよおおおお!!お前どうしたんだよ!?!?」




    「ふふ、ふふふふ。私は至って平常運転です。兄さんのその叫びが最高すぎてちょっとテンションは高いですけど」




    ニコニコと笑いながら近づいて来る。




    「なんなんだよ!?お前えええ!!!」




    「何って…貴方の大事な大事な大事な大事な!妹です。いっぱい可愛がって愛してくれた妹です。」





    「違う!俺の妹はお前みたいな化物じゃない!!」




    「酷いなぁ…。まぁ、それはいいんです。料理にも飽きましたし次はこれです。」




    そう言うと妹は目の前に死んだ二人を持って来た。




    「兄さんの大事な人。ねぇ、見えます?」



    「待てよ、何するつもりだ?」



    「兄さんを愛した馬鹿な二人。兄さんを愛していいのは私だけなのに…。この二人は兄さんを愛してしまった。邪魔ですよねぇ!」




    何を言っているのかわからない。愛しているのが邪魔?




    「兄さん、愛しています。兄妹じゃなく一人の男性として。でも、貴方は一線を超えませんよね。その壁を超えれないのはこの二人のせい。」




    「何を言って…」




    「邪魔なものはぜーんぶ私が排除します。そうすれば貴方の目に私が映る。でもね、1番の目的は貴方を狂わせること」




    「泣き喚いて喉が潰れるほど叫ぶ貴方が見たいんです」




    「待てよ、やめろ!その汚い手をどけろ!!」




    父さんの肩に手を置く。触るな。お前みたいなやつが触るな!




    「見てください。目を開けてますよね?これを今からくり抜きます。」



    「やめろやめろやめろやめろやめろ!!!」




    「まずは左目。」




    プチュっと変な音がする。目から血が流れだす。




    「うわあああああああ!!!やめろおおおおお!!」




    「きゃはっ!きゃははははは!!いいですよぉ!!その叫びぃ!!」




    悲鳴と笑い声が部屋を覆う。それは俺の頭の中に直接入る。



  4. 4 : : 2018/02/05(月) 00:43:24



    「あぁ…あぁぁぁ…!嘘だ!こんなの夢なんだ!なぁ!そうなんだろ!!」




    「残念ながら全部現実です。目の前のこれは取り返しのつかない現実です。私が壊した現実です。」




    「返せよぉぉ!!なぁぁ!!返してくれよおおお!!!」




    「無理ですよ〜。死んだものはどうにもなりません。何より父さん手がありませんし母さんは内臓がありません。返したいけど…兄さんは料理したものを元通りに戻せませんよね?」




    「なんなんだよ…!なんなんだよ!?俺に何の恨みがあるんだよ!?」




    「なにを言ってるんですか〜。恨んでませんよ?微塵も恨んでません。むしろ愛してます。」




    「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ!!なんで…なんでぇ!!」




    「愛してるからです。愛してるから壊したいんです。愛おしくて愛おしくて堪らないんです。」




    「貴方のその綺麗な心を私で汚したい。貴方のその綺麗な目を私だけを映るようにしたい。私がしたことによって貴方を壊したい。貴方のすべてを私のものにしたいんです」




    「意味わかんねぇんだよぉぉぉ!!!」




    「わからなくていいんです。これは私だけの譲れない誰にも触れさせたくない気持ちなんです。」




    妹は落ち着いたのか先ほどのように笑わない。少し悲しそうな顔をしている。



    悲しそうな顔をするな。お前がそんな顔をするな。




    「そんな顔してんじゃねぇよ!!お前がそんな顔していいはずがねぇ!!泣いて懺悔しろよ!なぁ!!」




    「ふふ、嫌ですよ。私は自分のしたことに後悔なんてしてませんから。」





    「死ねよ!!お前なんて死ねばいいんだ!!」




    「ふふふ、壊れて来ました。兄さんがそんなこと言うのなんて初めてですね。」



    「黙れよ!!」




    「嫌です。さてと、休憩も挟みましたし今度は母さんを使いましょう。」




    「やめろぉ!!」




    「母さんの髪ってサラサラでとても綺麗ですよね。羨ましいです。なので、頭皮ごと取っちゃいましょう。」




    「あああああああ!!やめろおおおおお!!」




    ブチブチブチと何かが切れる音がする。




    「うっ…おえぇ…!」




    目の前のそれに耐えきれなくて吐いてしまう。




    「凄いですねぇ…人ってこんな風になってるみたいです」




    「もう…いやだ…」




    目の前の現実は少しずつ俺を蝕んで行く。

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