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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

消えぬ烙印。彼女の意志。

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  1. 1 : : 2017/12/25(月) 15:41:57
    こんにちは。いぶきと申します。
    最近はずっとプリンセスプリンシパルにお熱ですが、その中でゲームオリジナルキャラクターがどうしようもなく好きなので、彼女たちの物語を書いてみます。

    予定ではかなり長くなると思うので続きをお待ちいだだき読んでいただければと思います。

    今回はステファニーの過去と今の話です。
    しっかり書くのはキノ以来なので頑張ります。暖かい目で見守っててください( •̀ᴗ•́ )
  2. 2 : : 2017/12/25(月) 15:42:38
    「はぁはぁ」

    私は走っていた。少し想定外のことが起きているからだ。

    「...困ったことになったわね」

    一人悪態をつく。今回の任務はとある王国側の上流貴族の護衛。このところ物騒だからとコントロールに依頼してきたのだ。いずれは共和国に亡命することになるらしくコントロールは私達のチームにこれを任せた。

    クリスとソフィが依頼主のそばで貴族に扮し護衛。私と如月がやや離れたところから援護と監視という役割で滞りなく任務は進んでいた。

    現状、そうではなくなっている。

    いくら治安が悪いとはいえ、大通りで襲ってくる輩はいないと考えていたのだが、予想は良くない方向へ外れてしまったらしい。

    「まさかあんなに大量の煙幕を使うなんてね。」

    通り中が霧に包まれたように何も見えなくなったのだ。

    煙幕の直後、銃声が聞こえステフと如月は二つの緊急合流地点にそれぞれ向かうことにしたのだった。

    「着いたわ」

    合流地点の一つである入り組んだ路地の一角。ここかあるいは如月が向かった地点にクリスとソフィの二人が来ることになっている。

    「ステフ!!」

    声のするほうを見ると、煙幕用のマスクをかぶったソフィと依頼主の老人を背負ったクリスが来ていた。

    「ふたりとも無事でよかったわ。依頼主は?」

    「なんとかね。彼は足に被弾してて早めに病院に連れていかないと...」

    クリスは少し回って依頼主の足を見せるように言う。

    「まったく...まさかこのマスクが役に立つとは思わなかったわ」

    シューっという音と共にマスクを外しながらソフィもつぶやく。

    「ステフ殿〜!!」

    もう一個の合流地点から向かってきた如月も合流する。

    揃ったわね。
    私はこのチームのリーダー。
    私の判断がこのチームの行動となる。

    「そこに留めてある車で病院に向かいましょう。敵のことはそれから聞くわ。」

    「了解。このまま背負って病院に行くってなったらどうしようかと思ったよ。」

    「了解でござる!」

    「まってステフ。そう簡単には逃げられないみたいよ。」

    「!!」

    その発言を受け周りに意識を集中する。そして見えた。

    「...血ね」

    さらに依頼主の血を辿って4人の敵がちょうど路地を曲がってきたところだった。

    「いたぞおおお!!」

    「あのくそじじいを殺せえ!!」

    最初に気づいた背の高い男が叫びそれに続いて周りも雄叫びをあげ走り出す。

    4人はボロボロの服をまとっており、3人は男性、1人は女性。男はそれぞれナイフや棍棒を持っており、女性が拳銃を所持しているのをすばやく視認する。

    「クリス!!はやく依頼主を車へ!!」

    「オーケー」
    聞きながら既にクリスは走り出していた。

    「ソフィは運転お願い!!」

    「ステフはどうするの」

    「私とござるちゃんで4人を足止めするわ!! 早く行って!!」

    「わかった。気をつけて。」

    ソフィが走り出したことを確認する。
    4人程度なら2人で充分。

    「ござるちゃん、プラン40-1に」

    「了解でござる〜!!」

    そう言って懐からまきびしを取り出す。

    15m強くらいまで近づく彼らへの対処は既にイメージできた。さあ行動開始よ。

    「貴方達!!的になりたいのかしら?」

    流れるように拳銃を取り出し、長身の男の膝を撃った。

    「ぐあぁあ」

    膝を砕かれ一人倒れる。

    ちらっと彼を確認するもほかの3人の足は止まらない。

    素人の銃でも当たる可能性のあるレンジに入られるのはまずいので二人も走り出した。
  3. 3 : : 2017/12/25(月) 15:45:03
    「ござるちゃん!!次の角で一人減らすから2手に別れましょう。撒いたら病院へ!!」

    「了解でござる!!ステフ殿も気をつけて」

    「任せて。」

    依頼主をのせた車が発車して行ったのを確認できたので、極力戦闘を減らしていくのだ。

    スパイは殺し屋じゃない。

    「追ってこないでよね!!」

    曲がり角に差し掛かったところでナイフを持っていた男のすねに銃弾を撃ち込む。

    あと二人。

    しっかりとした雇われの殺し屋ならこの時点で追ってこない。

    しかし残る男女ふたりは怒りを顕にし追いかけてくる。

    「まてええこの悪魔!」

    「仲間を撃ちやがって許さないわよ!」

    しつこいわね。だけどまあこれは想定内かしら。

    「ござるちゃん!」

    「はいでござる!」

    2手に別れる、如月はより大通りのほうへ、そして私は路地の方へ。

    敵も2手に別れて追ってくる。
    すこし話をして別れたようなので距離が空いた。

    「ここでいいかしらね」

    入り組んだ路地の角で待ち伏せる。

    ステフの目には拳銃を構え歩いてくる女性が目に入った。

    「出てきなさい!!仲間を撃ったことそしてあの悪党の老人を守ったこと絶対に許さないわ!!」

    いまにも撃ちそうに拳銃をいろいろなところに向けて歩いている。

    「...スパイは殺し屋じゃない....か。」

    拳銃を角から出し、女性の手を撃った。
  4. 4 : : 2017/12/25(月) 15:45:31
    「きゃぁっ」

    その衝撃で拳銃を手放し床に倒れる。

    慌てて片方の手で拳銃を拾おうとするがそれはもう遅い。

    「動かないで」

    拳銃を向けてその動きを止めさせる。

    「あなたたちは誰?なにが目的なの?」

    ここで情報を引き出せればかなり大きい。まして相手は丸腰で一人だ。

    「言うわけないでしょ!早く殺すなら殺して!」

    「私は殺し屋じゃないわ。情報しだいでは見逃してあげるかもね。」

    あくまで注意深く近づきながら彼女を観察する。

    「何も喋らないわ。命乞いもしない!!」

    「そう。なら殺すだk...!!」

    見間違いであるならばどんなに良かったと、あの通路でさっさと全員撃っていればと、後悔してももう遅かった。

    私は気がついてしまったのだ。

    彼女の腕に見覚えのある烙印が捺されていることを。

    痛々しいその烙印を私は知っていた。

    「...あなたは×××××家の」

    しまった。という顔をしてその女性は腕を隠すがこの国の誰もが知るその烙印を隠し通せるとは彼女も思っていないようだ。

    「...っく。ええ。そうよ私は×××××家の奴隷。何か文句ある?」

    そう言って女性は顔を上げる。

    女性と目が合う。

    私はどうして思い出してしまうんだろう。これは偶然なのか。運命なのか。

    神がもしいるのならどうしてこんな酷い目に合わせるのだろう、と思わずにはいられない。

    先に口を開いたのは、私ではなく女性の方だった。

    「あなたまさか...フィーナ?」

    「...!! それ以上はダメ...!!」

    それだけは聞きたくなかった。
    忌々しい過去の記憶が頭の中をよぎる。

    私は、気づいた時には拳銃のグリップで殴打し彼女の意識を奪っていた。



    _______________

    この日を境にステファニーの日常は簡単に崩れ去っていく。
    過去と今。答えを出すにはまだ彼女は若かった。
    後輩スパイたちと彼女、そして王国と共和国。

    数々の火種は燃え盛るための炎へと繋がっていく。


    つづく。
  5. 5 : : 2017/12/25(月) 17:38:43
    「....ステフ!ステフ!」

    「!」

    ソフィの声で我に返る。

    「ソフィ?どうしてここへ? 依頼主は!?」

    ここに彼女がいるはずがない。病院へ依頼主を送り届けるはずだから。

    「コントロールの別部隊に任せたよ。なんでも、王国の病院は危険すぎるからこのまま亡命させるんだってさ。」

    「...そう」

    「クリスは現状を上層部に報告に行って、私は...一応様子を見に来たけれど、お相手さんはステフに敵わなかったようね。」

    「...そうね。素人には負けないわ。」

    ソフィがチラリと目の前に倒れている女性に目をやる。

    「殺したの?」

    「ええ。殺されたくはないもの。」

    即答した。ぱっと見では生きているかはわからないがおそらく生きている。

    殺すことはできた。でもできない自分もいた。言葉にはできない葛藤の間にソフィが来たのだ。

    「撤退しましょう。長居は無要だわ。」

    「そうね。さっき如月にも会ったけど『私の手にかかれば大の男の一人余裕でござるよ〜』とか誇らしげに言ってクリスに合流しに行ったわ。」

    一つ心の不安が解消された。
    私の作戦はどうやら正解だったようだと。

    「ござるちゃんも無事でよかったわ。行きましょう。」

    私は先に歩き出す。

    ソフィはもう一度女性の"死体"に目をやり、あとに続いた。
  6. 6 : : 2017/12/25(月) 17:39:10
    _______________

    「おほいでござるよ〜」

    いつものお茶会の場所に行くと、待ちきれずにお菓子をモグモグしながら如月が声をかけてきた。

    「ごめんなさいね。ちょっと手間取っちゃって。」

    この場を流すならこの言葉で良い。

    「おかえり。二人とも無事で何よりだよ。」

    クリスもやはり心配だったのだろう、表情に安堵が見える。

    ソフィとともにいつもの席につく。

    「コントロールからは?」

    まずは今回の件を把握しなければいけない。

    「たぶんソフィちゃんに聞いたとおもうけど、あの依頼主は共和国に亡命したよ。別部隊が、襲ってきた連中のことを元々調査してて今回の事件になったという感じみたいだね。」

    「なるほどね。」

    状況としては納得できる。上はやはり良い判断をする。

    「それにしてもコントロールは慎重というか...私達への信頼はないのかしら」

    カップケーキを食べながらソフィはぼやく。
    その理由を私は知っているが言うわけにはいかない。

    「コントロールは堅実だから仕方ないわよ。」

    これはもちろん嘘ではないが理由にはならない。

    「...まあそうかもね。」

    ソフィはしぶしぶ納得したようだ。

    「とりあえず今回の件は今日の夜コントロールに報告するわ。ござるちゃんはあの男を始末したのかしら?」

    「ん。いやぁ〜あの男まきびしを踏んで追ってこれなかったでござるよ〜。忍びの術の前にはあんな棍棒無意味でござる。」

    えっへんと言わんばかりに如月は言う。

    「了解したわ。ござるちゃんも元気そうで何よりだし、今日のお茶会はここまでね。」

    「...なら私は研究室に戻るわ。」

    ソフィが席を立とうとするが声が掛かる。

    「松でござる!いや、待つでござる!」

    如月がソフィの袖をつかむ。

    「拙者、今日の任務中気になる洋菓子屋を見つけたでござるよ!4人で行こうでござる!」

    クリスもそれに賛同するように言う。

    「そうだね。今日はこれから空いてるしたまには4人で出かけるのも悪くないんじゃない?」

    ソフィは露骨に嫌そうな顔をしているが、きっともう一声で変わるだろう。

    「行きましょソフィ。いっつも研究ばかりも良くないわ。」

    「わかったわ。たまには...ね。」

    ソフィは一旦元の席へ。

    「やったでござる〜!はやく行くでござるよ!」

    「そうね。とりあえず着替えて支度して16:00に寮の前に集まりましょう。」

    さすがに任務の格好であの街に行くのは危険だ。
    4人はそれぞれの部屋に向かっていった。

    _______________

    「ふぅ」

    自分の部屋につき任務装備をいつもの場所に置く。

    いつからだろう。
    この気持ちはずっと忘れていた。

    いや、ずっと見ないようにしてきた。

    『あなたは...フィーナ?』

    あの女性の言葉、そして自分をあの名前で呼ぶ人間は少ない。明確に脳裏にさっきの記憶が残っている。

    「...支度、しないとね」

    疲れで気がついていなかったが、自分の部屋に誰かが侵入した痕跡が見える。

    「...!!」

    一気に警戒モードへと移行し部屋全体を確認する。
    変わったことといえば自分の机の上に1通の手紙が置かれていることだけだった。

    「これは...」

    慎重に中身を確認していく。手紙にはこう書いてあった。

    『フィーナへ

    貴方にまた会えるとは思っていなかったわ。手短に書き記します。

    現在、私達奴隷とそれに仲間の海外移民兵士並びに貧民層の1部は、この国で革命を起こそうとしている。

    この国のシステムは許されてはいけない。

    私達奴隷は酷い扱いを受けてきた。
    貴方だって知っていることよ。

    今の貴方はきっと私達に必要な戦力を持っているでしょう。

    貴方に協力してほしい。きっと貴方の母親の意志でもあったはずよ。

    決行は10日後の昼。王国の博覧会を襲うわ。

    当日昔あなたと過ごした空き地で待つわ。

    貴方の友人より』

    私はすべて思い出した。
    スパイとして教育されてなお、この気持ちは忘れないと思っていたのに。

    いつしか記憶の隅へ追いやっていた。

    とりあえずシャワーを浴びましょう。
    シャワールームにいき、服を脱ぐ。

    私は決して人前では肌を晒さない。

    こんなものを見られるわけにはいかないから。

    鏡にうつる胸元の烙印。
    幼いころに焼かれた肌には今でも呪いのように跡が残っている。

    身体に染み付いた火薬のにおいを、疲労した身体の疲れを洗い流していく。
    どんなにシャワーをあびても消えることはないこの刻印と私はずっと向き合ってきたはずなのに。

    ──どうして今になって。


    私服に着替え私は自室をあとにした。
  7. 7 : : 2018/01/03(水) 17:26:33
    「お待たせ」

    既に寮の前には如月、クリス、そしてソフィが揃っていた。それぞれいつもの任務服から私服に着替えていた。
    いつもは制服なので私服を見るのは久しぶりで、どこか新鮮だ。

    「ごめんね。待った?」

    「みんなちょうど今来たところでござるよ〜」


    「そう。なら良かったわ。行きましょうか。ござるちゃん案内してもらえる?」

    「了解でござる!」

    私たち4人は如月が姉と買い物に行き可愛い洋服を買ったこと、クリスが半ストーカーのような目に会っている(相手はおんなのこ)ことなど、たわいもない話をしながら店に向かった。


    ーーーーーーーーーーー

    「ここでござる!」

    たどり着いたのは大通りにあるやや小さめなお菓子屋だった。
    先程の出来事は嘘だったように通りはいつも通りの様子だ。
    お店のショーウィンドウにはいくつかのサンプルが飾ってある。

    「とっても美味しそうね。さっそくお店に入りましょう。」

    入口を開けると来客を知らせる鈴がカランカランと鳴った。

    「いらっしゃいませ。そろそろ閉店のお時間になりますのでお持ち帰りのみになりますがよろしいですか?」

    「ええ。構わないわ。」

    それぞれガラスケースに入った色とりどりのお菓子を眺める。

    「ステフ殿、これを見るでござるよ!」

    隣で眺めていた如月が指さす先を見るととても色鮮やかな飴が並んでいた。

    「あら、綺麗な飴ね。ござるちゃんこれにする?」

    ただ気になったのかと思い購入を提案するが如月はさらに続けた。

    「ふっふっふ。さてはステフ殿気づいてないでござるね?」

    「?」

    「ここに並んでる飴の色が拙者たちの目の色にそっくりでござるよ!
    こっちの紫色の飴はソフィ殿、こっちの青緑の飴はクリス殿、こっちの黄色い飴はステフ殿でござる!」

    したり顔で如月が説明した。
    この子はきっとこういう子だからここは喜ぶべきよね。

    「ほんとね。こっちの飴はござるちゃんの目の色に近いかしら。」

    「うおー!ほんとでござる!なかなか見つからなくて探してたでござるよ。せっかくだからそれぞれの飴を買うのはどうでござるか?」

    見つけた綺麗な飴以上に目をキラキラさせながら如月が提案した。

    「何か美味しそうなのは見つかったかい?」

    いくつかクッキーなどを購入したクリスが紙袋を持ってこちらにやってきた。

    「見るでござるクリス殿!この飴と、この飴が....」

    如月がクリスに説明を始めたので私はソフィのほうに移動する。

    「ソフィ。何かいいものはあったかしら?」

    「あーステフ。私はあんまりお菓子食べないから買ってないわよ。...ただここのお菓子はどれも綺麗に作られていて感動するわね。」

    「そうね。ござるちゃんが面白いものを見つけてたわよ。そろそろ買う頃ね。」

    私とソフィが見守る前で如月がクリスと共に会計を済ませていた。

    「...ねえ。髪、どうしたの?」

    ソフィが不思議そうな顔で尋ねてきた。
  8. 8 : : 2018/01/03(水) 17:27:02
    「え?」

    なんのことかと髪を触ると、いつものように髪を結ぶのを忘れていたらしい。
    こんなことに気づかないなんて。
    ただ忘れたということにもできたが驚きを表に出してしまったからにはそうはいかないだろう。

    「あれ、私結うのを忘れちゃったみたい。急いでたから...」

    「...あっそ。気になったから結っといて。」

    そう言ってソフィはリボンを渡してきた。

    「ありがとう。ふふ、ソフィがそんなこと気にしてくれるなんて思わなかったわ。」

    「な、私はいつもと違うのが気になっただけだから...だいたい...」

    ソフィが照れ隠しをしてる間に二人がやってきた。

    「ステフ殿、ソフィ殿、おまたせでござる!」

    「無事買えたようね。」

    如月は飴だけでなく他にもたくさん買ったようで、いくつか袋を抱えていた。

    「行きましょうか。」

    そう言って私たちは店の外に出る。

    私は如月の隣で、後にはクリスとソフィが続いた。

    「ステフ殿、これを」

    そう言って如月は紙袋の中からひとつの包みを取り出し渡してきた。

    「あら、ありがとう。これは?」

    「さっき見ていた綺麗な飴菓子でござる!ソフィ殿とクリス殿はこれを」

    如月が二人にも同じ包みを渡す間に、そっと包みを開ける。

    黄色い透き通った、どこか現実離れしているほど美しい飴だった。

    如月は隣にもどり話し始める。

    「クリス殿もそうでござるがステフ殿も綺麗な目をしているでござる。日本人にはいない色でござるよ。」

    そう言って私に笑いかけた。

    「...そ、そうね。」

    気にしていることをこんなにはっきりと言われ、どうしても何とも言えない感情になり、言葉に詰まる。

    「ステフ殿?」

    その表情に気づいたのか心配そうな顔をして尋ねてくる。

    「ううん!なんでもないわ。ありがとう。ござるちゃんも綺麗な目をしているから自信もっていいと思うわ。」

    「そうでござるか!えへへ照れるでござるなぁ。」

    チラッとソフィのほうを見ると目が合う。

    「......なに。」

    「いやなんでもないわ。」

    「そ。だったらそんな浮かない顔してないほうがいいわよ。」

    「浮かない顔なんて私してたかしら?ソフィそんなに私のこと見ててくれてるのね。」

    茶化すとソフィはプイとそっぽを向いてしまった。

    「いただきます」

    そう言って如月に貰った飴を口に入れる。
    とても甘く柑橘系の香りが口中に広がった。

    「じゃあ私はコントロールへの報告があるから3人とも先に行っててちょうだい」

    「了解。」
    「了解でござる。」
    「ん。」

    3人は先に寮に向かっていった。

    私は報告へ向かう。
    ふと横のお店のガラスに映る自分を見た。

    「...綺麗な色か。」

    そうつぶやくと、私は口の中にある私の目と同じ色の飴を噛んで飲み込んだ。

    つづく

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