このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
転生の島
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- 1 : 2017/12/22(金) 17:10:04 :
- しゃぁ!ssのお時間です!!どうも、ルカと申します(っ´ω`c)
今回は蒼電さん主催の『短期ss執筆会』に参加させて頂きました。
お題は『海』です!
難しいお題のため、頭を悩ませた結果カテゴリがわからず未分類となっちゃいました^^;
それでは、スタート!
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- 2 : 2017/12/22(金) 17:17:51 :
- ここは、日本の八重山諸島の近く。その海の中に俺たちサメは住んでいた。俺はサメのシャーキンス。今日はねぐらから飛び出し、家族で遊泳だ。
八重山諸島は気候的に海の温度は暖かく非常に心地いいが、今から東北地方にある別荘に向かっていたところであった。
今の季節は冬から春にかけての季節で、向こうの水も徐々に暖かくなってくる時期だ。さらに、あの区域にはリアス式海岸なるものがあり、そこには大量のプランクトンを求めて魚がわんさかいる。そのため、夏が明けるまでは向こうで過ごすことにしている。
俺は別荘に行くのが楽しみすぎて、くるくる回ったり先頭を泳いだりしていた。
時には後ろを振り返り、
「父さん!遅いよ!!」
と煽っていた。そんな俺を見て父さんは、
「まだ距離があるんだ……あわてるな!」
と返すのであった。その会話を母さんが笑顔で聞いていた時、事件が起こった。
後ろを見ながら泳いでいた俺の500m先を網が通過していたらしい。さらには残り100mの位置まで近づいている網もあったという。
俺は全く気付かなく笑顔で父さんに話しかけていた。しかし、父さんの表情は険しく、今にもこちらに向かってきそうだった。すると、母さんが血相を変えて突っ込んできた。
「シャーキンス!!危ない!!」
何か違和感に気づいた俺は、その先に目をやると、そこには大きな網がこちらに口を開けて向かっていた。
すんでのところで母さんが俺に体当たりをして俺は網から逃れることができた。腹にものすごい衝撃を受けたため、朝食べた小魚たちが戻ってきそうになった。 おれは、網のところに目をやるとそこには信じられない光景が映っていた。
「母さん!!」
その視線の先にいたのは網にかかっていた自分の母さんのすがただった。
「逃げなさい!!シャーキンス!!」
母さんが一生懸命網から抜けようとしていたが全く抜けられる様子もなかった。父さんはそんな母さんの姿を見ると目線を下におろして唇をかんでいた。
「いやだ!!母さんを置いて逃げたくない!!」
その後も俺は助けようとしたが、目の前に父さんが立ちはだかっていた。
「どいてくれ!!父さん!!母さんを助けないと!!」
しかし父さんは涙を流しながら俺の前に立ちはだかった。もう母さんは助からないと思っているのだろうか……
そして、母さんの入った網は姿を消した。
「かぁぁぁぁぁぁさぁぁぁぁぁぁん!!」
俺は全力で叫んだ。母さんにこの声が聞こえるように……
しかし返事は帰ってこなかった。
悲しみに暮れているとまた近くに網が見えた。母さんが助けてくれた命をを無駄にできない。
「いくぞ!!シャーキンス!!」
父さんの声とともに、俺は全力で逃げたそして、何とか別荘のねぐらについたころには二人とも息を切らしていた。
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- 3 : 2017/12/22(金) 17:25:35 :
- 父さんは近くの安全を確認するためにねぐらの周りを泳いでいた。
俺は現実を振り払うかのようにもう一度周りを見渡した。何度見渡してもそこには母さんの姿はなかった。
「……ひぐっ…………」
俺の目から涙があふれていた。父さんから人間の情報は得ていた。人間の食糧は何なのか。俺たちサメも昔から食料とされているということ。そして、俺たちの皮は料理を作るための道具に使われることもあったと言うこと。
特に別荘のある気仙沼あたりは注意しないといけないということ。
すべて聞いていたはずなのに……
俺のせいで……
俺のせいで母さんが……
母さんがつかまったのは俺のせい……でも、捕まえたのは人間……
父さんが別荘に戻ってきたとき、俺のなかである復讐の気持ちが芽生えてきた。
「おれは……人間が嫌いだ……人間なんて……ころ……」
「そこまでだ……シャーキンス」
俺がつぶやいていたのが聞こえたのか、父さんが割って入ってきた。
「だって!!」
「気持ちはわかるが、その感情を持つのはまだ早い。」
父さんはそういうと、俺に向かっていろいろ話し始めた。
「人間が何で私たちサメを捕まえているかしっているか?」
「……俺たちを食べるためだろ?」
父さんが質問したので答えた。人間が俺らを捕まえるのは食べるためしかないだろうな……
「そう……まぁ、もちろん彼らに必要な日常品を作るためにというのもあるが、今は置いておこうか……」
父さんがこちらに微笑みながら、鰭で頭を撫でた。そして、さらに質問は続いた。
「それじゃぁ、なんで人間は食べるために私たちやほかの魚、動物を捕まえて食べていると思う?」
「何かを食べなければ生きていけないから?」
その答えを聞いたときに父さんは暗い表情になった。思わず俺の表情も暗くなった。
「そう……そこが大事なんだよ……」
父さんは、ねぐらにあった突起物の上に腰をかけると話を続けた。
「私たちサメだって生きていくために小魚を食べているだろう?」
「けど、それは生きるために……」
「だけど、それって人間と同じじゃないか?」
その言葉に俺ははっとした。だが、俺はどうしても納得ができなかったから父さんに聞くことにした。
「じゃぁ、父さんは俺に何も食わずに死ねというのか?」
「ちがう……そうじゃない」
俺の質問を聞いた父さんはあきれた表情を見せていた。
「例えば、今朝食べた小魚。あの小魚たちにも家族はいるんだ……」
「そりゃそうだろ?」
「あぁ……いろいろあって産んだ子供どもたちを奪われた親の気持ち……今のお前にはわかるだろ?シャーキンス?」
「……そうだな」
この父さんの話に半ば納得をしてしまった俺は、自分の気持ちに問いかけてみた。
母さんを失った今……俺は何をするべきか……
母さんの望みは何か……
俺はある決心をした。
「俺、母さんの分まで力強く生きるよ!!そして、父さんやほかに生まれてくる子どもを守るよ!!父さんと母さんの教えを伝えるんだ!!」
俺は笑顔で父さんに決意を語った。その様子を見ていた父さんは、
「そうだな……そうだ、これだけは覚えておいてほしい」
と、真剣な表情で言ってきた。俺は父さんの顔を見ると、
「何?」
「好き嫌いは確かにある。全部が好き、全部が嫌いもあるだろう。父さんだって人間のことは好きじゃない。だけど、それぞれいいところがあるのを忘れるな。生き物全員に共通していることだ。」
「……わかった」
父さんのいっていることは俺にはわかっていた。俺は人間の本質を分かっていなかった。海を汚し、魚を乱獲するだけが人間じゃない。
汚した海をきれいにしようとするのも人間だし、少なくなった魚をどのようにして増やそうと考えるのも人間なのだ。
うわべじゃなくて本質を見抜く力が必要だと実感していると父さんが笑顔で、
「ま、子どものお前にはまだ早かったか!!」
といってきた。ここからいつもの口論が始まる。
「何を!!子ども扱いすんな!!」
「そういっているうちはまだひよっこだ……」
その口論はとても楽しく、ずっと続けばいいのにと思っていた。
しかし、三日後、用事で出かけた父さんは俺のもとに戻ってくることがなかった。
待てど待てど帰ってこない父にイライラしながら、ねぐらで過ごしているとふと人間のことについて知りたくなった。
「人間ってどんなことを考えながら生活しているのだろう?」
そう考えながら俺は目を閉じることにした。ふと考えた疑問……人間とサメとどこが違うのか……
その答えは見つかるのだろうか……
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- 4 : 2017/12/22(金) 17:50:30 :
- ザザァ……
「(なんの音だ?)」
ザザァ……
聞き慣れない音が聞こえたので俺は目を開けた。すると、そこには見慣れない光景が広がっていた。
「なんだ……ここは……海が見える」
この景色は……初めて見た……だけど……この海は俺の知っている海じゃない……
眠りから覚めた俺は不思議な感覚に襲われていた。なんだか体の感覚がいつもと違っていた。視線の先には海面が見えており、体には水が触れている感覚はなかった。
ザザァ……
と聞こえる謎の音に合わせて並が前後に動いている。ってことは……
「ここは海の外!?」
俺はそれに気づくと体をじたばたさせた。サメが海の外にいるということはそれこそ危ない。だが……
「あれ?苦しくない……」
身体をペタペタと鰭があった部分を使ってペタペタと触っていたが、エラもなかった。どうして、俺は呼吸ができている?
少し考えてみると、鼻がこそばゆく感じた。なんでだろうと思っていると、そこから風のようなものが出入りしているように感じた。
「鼻でも呼吸できる……どうなってんだ?」
頭の生理が追い付いていないなか、今度は鰭があったところを見てみた。するとそこにはサメの肌とは思えない色をしたものがついていた。しかも先のほうはかなり自由に動かせる。
「って、ひれがない!!なんだ、これは!!どうしてさきのほうが5つに割れているんだ!?それに尾ひれが2つに分かれている!?なんで!?」
俺はそれを触ってみたが、感触は鮫肌と同じざらざらとしていた。もう頭の整理ができていない。
そして、さらにおかしなことがあった。飛び跳ねた拍子に目線が目を覚ました時よりも高くなっていた。
「それに……これって、俺立ってるのか!?」
立つ……サメでは絶対あり得ない行為だ。垂直で泳ぐことはできるが、地面に足をつけるという感覚は今まで感じたことはなかった。
訳が分からず、頭のほうに手を持っていくと、なにかふさふさしたものに手が当たった。
「なんだよ、このふさふさしてるのは!!」
初めてのことに混乱していると、聞き覚えのない声が後ろから聞こえた。
「ねぇ……君……この島に流れ着いてきたの?」
その姿……顔つき……髪の毛……容姿……すべて見た。
人間だ……
「……お前は誰だ?」
俺は恐る恐る彼女に質問した。すると、彼女の口から思いがけない答えが返ってきた。
「私は優!!サメとイルカのダブルなの!!」
「は!?」
いやいや……姿人間じゃん……
それよりもサメとイルカのダブル?ダブルって……なんだ?
サメ……イルカ……人間……
もう訳が分からない。
そんな俺の様子を気にもせず、その人間は俺のもとに近づいてきた。
「とりあえず、一緒に来てよ!!私の家に行こうよ!!」
「ちょ……引っ張んな!!」
その人間はそういうと俺の腕を引っ張った。
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- 5 : 2017/12/22(金) 18:00:03 :
- 優という人間の家に向かっている途中周りの視線がいたかった。
ほかの人間を見てみると布のようなものを身にまとっていた。
しかし、俺にはそれはない……
「家につくまで我慢してね!」
と優はいっていたが、これはこれで結構つらい。特に足と言われるところの付け根辺りがのあたりがムズムズした。
前に父さんに聞いたことがある。人間には恥じらいの感情があるらしい。これか……
「みて!ここが私の家だよ!!」
そうこうしているうちに家についたようだ。結構大きな家だ。赤い三角屋根が特徴の家で、正面には海が見えた。
このような家を見たことのなかった俺はしばらく開いた口がふさがらなかった。そんな俺をよそに、
「そういえば、名前がまだだったね……」
と優が俺の顔を見て聞いてきた。その顔はどこか寂しそうで、かつ目のやり場に困っている様子だった。
「……シャーキンス…………サメだ」
「そう……ほら、入って!!」
俺が優に名前を告げると優は俺の名前をつぶやきながら後ろに回り込み、家へと押し込んだ。
「だから、押すなって!!」
家に入るなり、優は大きな声で叫んだ
「ただいまぁ!!お父ちゃん!!島に流れ着いた人見つけたよ!!」
「ほうほう……」
その声とともに、部屋の中から何かを目のところにかけた人間が出てきた。あれは覚えている。確か母さんが眼鏡といっていた。
全身裸の俺が恥じらっているのを気にせず優は話を始めた。
「彼ね……サメなんだって……名前はシャーキンス!!」
「!?」
すると、目の前にいた眼鏡をかけた人物……いや、優の父親か驚いた表情を見せ……そして……涙を流した。
「シャー……キンス……なのか?」
「は?初めて会ったところだろ?」
俺の名前をつぶやいて近づいてきた。俺のこと知ってそうな雰囲気だったが、少なくとも人間にはおれは優しか会ったことがない。
「私を思い出せないのか……」
「あぁ……まったくしらねぇ……」
その後もその父親は俺に話を始めたが、俺に当てはまる思い出がなかった。しかし、その父親が最後に話した言葉に俺は引っかかった。
「好き嫌いは確かにある。全部が好き、全部が嫌いもあるだろう。父さんだって人間のことは好きじゃない。だけど、それぞれいいところがあるのを忘れるな。生き物全員に共通していることだ。といってもか?」
そう……この言葉は父さんが最後に残した言葉だった。
「そのことば……まさか……」
その言葉を聞いた俺は小刻みに震え目から涙を流していたのが分かった。
それを見ていた優は不思議な表情を見比べながら、俺と自分の父さんの顔を交互に見ていた。
「あいたかったぞ……シャーキンス」
そういうと、父さんは俺の首に手と言われるものを巻き付けた。そう……これは抱擁と言うやつ……
その暖かさに俺は父さんを同じように抱きしめた。
「父さん……何してたんだよ!馬鹿野郎……」
「すまなかった……」
その姿勢のまま数分を過ごしたところで優の機転で俺も家に上がることにした。
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- 6 : 2017/12/22(金) 18:29:06 :
- 部屋に入ると、俺は父さんに言われるがまま近くの椅子に腰をかけた。
そして、父さんになんでここにいるのか、どうして俺がこうなったのかを聴いた。
「まぁ、ここに来た理由はシャーキンスと同じだ……人間と同じ気持ちが知りたくてな……」
「そういえば、俺も昨日寝る前に人間の気持ちが知りたくなって……」
俺が全てを言い終わる前に自分で気づいてしまった。俺は別の何かに生まれ変わったのか?
「今お前が思っている疑問……それが正解だ。」
なんだよ……俺の心が読めるのかよ……
とりあえず自分で整理した。まず、俺がサメのシャーキンスではなくなったこと。そして、おれじしんがにんげんになった……
これはまえ……父さんが言っていた……
「俺はサメから人間に転生したのか?」
その質問に対して父さんは首を縦に振った。まさかこんなことが……
とりあえず、悩むのは後にしよう……俺には他にも聴きたいことがある。
「それで?ここはどういう島なんだ?」
「ここには転生したものしかいない。私たちは転生の島と言っている。しかも海の生き物だ。そして、転生したもの達を私たちは転生者と呼んでいる。」
……転生者
大体は理解できた……そして、俺の質問はもう一つあった。
「優がイルカとサメのダブルって言ってたけど?」
「あぁ……簡単に言うとお前の妹だ……」
「は!?」
「父さん再婚したんだよ……」
あまりの衝撃に椅子から転げ落ちた。何言ってんだよ……このクソ親父……
「ちょ!?母さんのこと忘れたのかよ!!」
「仕方ないだろ……この島の決まりなんだから……」
「決まり?」
決まり……つまりルール……
ってまて!ルールだからって……
俺がそうつっかかろうとしたとき、父さんが話を続けた。
「この島では成人した男女は結婚する決まりなの!!」
なんだ、そのしょうもない決まりは……因みに父さんはここでは40才ということらしい。
因みに俺はどれぐらいか聴いてみたら16才ぐらいと言うことだった。詳しいことはわからないが、体の成長具合から見てそれぐらいということだ。
「……もし結婚しなければどうなるんだ?」
俺は素朴な疑問をぶつけてみた。しかし、その疑問を聴いた父さんの顔が急に険しくなった。そして、俺にむかってこう告げた。
「……消滅する……」
「!?」
俺は思わず言葉を失った。この転生の島の鉄の掟……成人で結婚……できなければ消滅……
父さんが言う限り今までそんな奴は見たことないらしいが……
「ま、今話せるのはこれだけだ。」
俺に不安だけを残して父さんは話を切り上げた。
とりあえず服というものを着ないことには外をあるくのは厳しいらしいので父さんの服を借りることにした。
こうして、俺は実の父の家に居候として生活することになった。
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- 7 : 2017/12/22(金) 19:48:12 :
- あれから三年の月日が経った。その月日の中で色々なことを俺は経験した。
学校、お祭り、農業など、全て人の手によって行われているものだった。
そして、俺が1番つらかったのはここの海の色はどす黒かったこと……
それはまさに今の世の中を示しているようで怖かった。
この辺境の島でも世界情勢のニュースは毎日届く。
人間同士が殺し合う戦争……それに巻き込まれる非戦闘民である国民……人間同士が殺し合う……
俺たち生物を殺すだけではこと足らずに、同じ人間までも……
あるとき父さんになんでこの海はこんなにもどす黒いのかと聴いてみた。どうやら、日本近海で綺麗にしたゴミをここに捨てているらしい。
そのゴミがヘドロという物質に変化して、このような海になったという。
おれは、将来この海を綺麗にしたいなと思った。人間の心がクリーンになれば……
俺の住んでいた海のように澄んだ心になれば……
そう考えていたときに俺のすんでいる島の鉄の掟が立ちはだかる。
「俺ももうすぐ二十歳か……」
ふと、考えた。そう……まもなく二十歳になる。この島の住人になると成人時に結婚しないと消滅してしまう。
「成人だな……」
父さんがぼそっと呟いた。息子の成人もそうだが、娘の成人も心配らしい。
「誰と結婚するんだ?」
父さんが手に持っていた缶コーヒーに口をつけながら聴いてきた。
俺には心に決めた人がいる。
そう……初めて会った人間……
「優と……かな?」
父さんは驚いた表情を見せたが、直ぐに海の方を見やり、
「優か……ま、兄弟同士の結婚は倫理的には難しいらしいぞ?」
とチャカしてきた。いつものことだと俺はほほえみながら、
「そんなの関係ない……異母兄弟だ……」
と返した。思わぬ言葉が返ってきた父さんは急に笑い出し、
「難しい言葉覚えちゃって……」
と俺の頭を叩いた。そして、親父は最後の選択肢を俺に告げた。
「それで、シャーキンス……お前はここで過ごしたいか?海に戻りたいか?」
なんでそんなこと聞くんだよ……
そんなの決まってるじゃんか……
「俺は……ここでこれからも暮らしたい……ここには俺の知らないことが多いんだ。それに、海の多恵に何かできることがあるんじゃないかって思ってさ……そのための研究を始めているんだ……」
「そうか……我が息子ながらあっぱれな考えだ!お前の人生だ。好きに生きろ!」
そう言うと父さんは急に何か考え出した。
「いや……待てよ?そもそもシャーキンスはサメだから人生っていうのか?う~ん……」
「ったく。締まらねぇところは昔と変わらないな……」
「違いない!」
そういうと父さんと2人海にむかって思いっきり笑い飛ばした。その後、父さんと別れると、俺は優と待ち合わせしていた場所へとむかった。
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- 8 : 2017/12/22(金) 20:00:26 :
- 俺が浜辺につくとそこに優は既に待っていた。
「どうしたの?急に……」
「いや……たまには2人で……な?」
緊張して言葉のでない俺を見て、優は
「変なシャーキンス!」
と笑っていた。するとまわりが夕焼けに染まっていくのを2人で感じた。
海の方を見ると夕日がゆっくりと沈んでいく。
その赤く焼けた夕焼けを見ながら俺は決意を語る。
「あのさ……最初に出会ったのはこの海岸だよな?」
「そうだね……」
優の着ているワンピースがゆらゆらと揺れていた。
「なぁ……結婚しねぇか?」
「は!?」
唐突なプロポーズに優は驚いていたが、その後彼女は首を縦に振っていた。
「まったく……プロポーズへたくそなの?」
「うるせぇ……」
早くもカップル的な会話……こう言うのも悪くないかな……
「転生して……よかった?」
優が聴いてきた。俺は少し悩んだ結果答を絞り出した。
「そんなのわかんねぇよ……ただ、転生してなかったら優とも会えてなかったから……」
そう……これが俺の選んだ道……
サメとして海で生を過ごしたものが残りの生を陸で暮らす。
どのような経緯で方法で転生したかはどうでも良い。
俺は海の中と外で育った。その事実だけで十分だ。
人間に転生して分かったことがある。
人間誰しも悪い奴ばかりじゃない。
悪いところばかり見る人間もいるが、良いところを見れる人間がいることを俺はわかった。
だからもう迷わない……
母さんの敵だった人間……その姿が今俺だと言うことに笑ける……
だが、人間がこんなにも温かい存在と思うと……
人間も良いものだ。
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- 9 : 2017/12/22(金) 20:01:51 :
- 最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m
これにて短期ss執筆会の作品投稿を終わりますm(_ _)m
企画して頂いた蒼電さん、参加者の方々お疲れさまでしたm(_ _)m
また機会があれば次回もさんかさせていただきます(*´∀`*)ノ
では、また次回の作品でお会いしましょう(*´∀`*)ノ
短期ss執筆会
URL:http://www.ssnote.net/groups/2275
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