この作品は執筆を終了しています。
Lost my way
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- 1 : 2017/11/08(水) 21:50:49 :
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こんばんは、雨都(あまと)です。
『秋のコトダ祭り』、引き続き飛び入り参加させていただきます。
第2週のテーマアイテムは『日記』です。
よろしくお願いします。
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- 2 : 2017/11/08(水) 21:51:48 :
- 『白銀さんは、世界中から拍手を貰うことと身近な誰かに認められること、どっちが大事っすか?』
『俺はやっぱり、身近な人たちが認めてくれた方が嬉しいっすね』
『近くの声ならしっかりと聞こえるし、響くっす。けど、誰かも知らない人間たちの遠くからの拍手なんて、聞こえないじゃないっすか』
友達と呼べる人もいない、というか地味すぎて友達を作るどころかクラスメイトに認識されないわたし。
別に嫌われてるわけでもないだけに、余計に悲しくなる。
会話を交わすことのない教室でやることと言えば、携帯を使った『日記』のみ。
何を書くのかと言うと、クラスのこと。
おいおい、と言いたくなるだろう。
話す相手もいないような学級の、一体何を綴るというのだ。
それは、ズバリ『周りの些細なことを何でも』。
隣の人が寝てる、とか。
先生が板書で字を間違えた、とか。
誰かが落とした消しゴムが転がってる、だとか。
言うなれば、『無差別日記』だ。
授業中にスマホをいじっていても全く気付かれないわたしは特に隠すことなくリアルタイムの出来事を綴っていた。
まるで、このクラスを影から操っているような、支配者にでもなったような、そんな気分にさえなった。
そんな時期もあったわたし。
今でも日記をつける癖は変わっていなかった。
『ダンガンロンパ』の支配者になったわたしは今でも日記を綴っている。
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- 3 : 2017/11/08(水) 21:52:29 :
さて、皆様お待ちかね、と言った感じだろう。
今日から新しい『ダンガンロンパ』が始まる。
53回目という『相棒』もびっくりな数字を引っさげて、コロシアイは幕をあける。
どうせなら一日ごとに日記をつけていこう。
癖になってるんだし。
X月X日
今日から新たなコロシアイ生活が始まる。
前作を超える物語にするために、選択肢は選ばないとね。
X月X日
スタートはばっちり。
なんという絶望的なオープニングだろう。
ダンガンロンパは、こうでなければ。
X月X日
『ライト』の効果でやはり皆困惑している。
この絶望感がたまらなくダンガンロンパだよね。
X月X日
地下道を使って脱出作戦。
けど何度やっても越えられないね。
皆の絶望的な表情は尊い。
X月X日
ついに前代未聞の『初回特典』の発表。
視聴者達はどう思うかな。
わたしもドキドキしている。
X月X日
ヤバい。
『初回特典』が無駄に終わってしまうなんて。
マジで何でなのマジで。
次で勝負掛けないと。
X月X日
『ライト』の効果は抜群だ。
みんなが困惑している。
『ビデオ』でいっきに畳み掛けるよ。
X月X日
待って何故誰も動かないの。
ランダムでも誰か必ず動くような内容にしたはず。
意味が分からない何なの。
X月X日
「……くっ!」
誰もいない教室にひとり、机を叩く音が虚しく響く。
何故、何故なんだ。
二回も失敗した。
こちとら緊急出動したのに何故天海も赤松も動かなかった。
動機ビデオだって王馬がイタズラ仕掛ける前に観てるはずだろう。
星も東条も春川もどうして何もしなかった?
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- 4 : 2017/11/08(水) 21:53:10 :
思い出しライトも以前とは打って変わって全く効果を得られない。
全ては初回特典でコケたからだ。
脅しは通用しないと、悟られてしまった。
こっちも精一杯だと、知られてしまった。
次のアイテムは…………本。儀式の本か。
誰も死んでないなら、こんなもの意味がない。
わたしが死ぬか?
いや、そうしたって復活させるメリットがない。
そもそも、わたしが死んだらすべてが終わってしまう。
考えるんだ。わたしはどうすればいい。
「このままじゃ……視聴者が……」
X月X日
やはり誰も動かない。
アンジーが組んだ生徒会は良い意味でも悪い意味でも何の影響もないようだ。
X月X日
視聴者が減っている。
わたしが何とかしなければ!
X月X日
視聴者が減っている。
X月X日
視聴者が減っていく。
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- 5 : 2017/11/08(水) 21:53:41 :
X月X日
視聴者が減っている。
何を与えようともコロシアイに発展しない。
X月X日
視聴者が減っている。
X月X日
視聴者がかなり減っている。
X月X日
視聴者が減っている。
X月X日
視聴者が減っている。
彼らはもう既にコロシアイはおろか脱出さえ考えていないだろう。
X月X日
視聴者が減っている。
X月X日
視聴者が減っていく。
X月X日
視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。視聴者が減っていく。
X月X日
どうして?
何で上手くいかない?何故思い通りにならないの?
わたしは希望のためにも絶望のためにもこんなにも頑張っているのに、何で分かってくれないの?
視聴者は冬が近づいた虫のように何処かへ消えてゆく。
やめて、お願い、置いて行かないで。
わたしを、いや、ダンガンロンパを見捨てないで。
続けたい、これからも続けたい。
こんなところで、さよならなんて、いや。きえたくない、きえたくない。
X月X日
そして誰もいなくなった。
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- 6 : 2017/11/08(水) 21:54:18 :
- もう、ダメだ。
何をしても、ここで終わり。
わたしは、捨てられたのだ。
いいや、違う。
ただ、『元に戻った』だけだ。
誰もわたしの存在を認識しない、いてもいなくても変わらない、あの頃のわたしに。
影の支配者だなんて、ただの幻。
思い上がりも甚だしい、悪い夢だ。
すべては……最初から幻想だったのだ。
誰にも視えないわたしには、何の価値も力もない。
ようやく、目が覚めた。
X月X日
この画面 を見ている人がもしいるとすれば、その頃わたしはもうこの世にはいないでしょう。
これは、わたしの遺書だと思ってください。
私はダンガンロンパがずっとずっと大好きでした。
だけどそのダンガンロンパを、わたしが終わらせてしまいました。
希望も絶望も過去も未来も嘘も真実も、すべてを失いました。
わたしの生きる意味も、存在理由ももうどこにもなくなってしまいました。
そこで、これを読んでいるあなたにお願いがあります。
ここに、最期の思い出しライトを用意しました。
このライトを使えば、白銀つむぎという人間がそもそもこの世に存在していなかったということを『思い出す』でしょう。
大好きで毎日を生きる糧だったダンガンロンパが消えてしまうのなら、わたしも一緒に消えてしまいたいのです。
どうか、このライトを使ってください。
どうか、わたしのことを忘れてください。
どうか、わたしなんて存在していなかったことにして、冷たい忘却の海底でしずかに眠らせてください。
白銀つむぎ
「………………」
「……依頼として、受け取るわ」
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X月X日
今日もいい天気だ。
午前中は世界の復興の手伝いをして、午後は忙しい赤松さんの側にいてあげよう。
「オイ!ダサい原聞いてんのか!植物が足んねーぞ!」
「あ、ゴメンごめん。虫は足りてる?」
「終一、王馬が廃ビル撤去してぇってんでボム持ってくけど、他になんかあっちに持ってくのあるか?」
「そうだね……植物は?」
「向こうはかなり育ってるっす。自然と繁殖できそうなほどには」
「ならいっか。あとは入間さんの進捗次第だね」
「へっ、ぶっ任せとけ!」
「にしても、最原が……いや、赤松が今や子持ちとはな。クールなとこあるじゃねぇか」
「家庭だからホットじゃね?……ともかく、幸せにしてやれよな!」
「うん。必ず……幸せにするよ」
罠だらけの地下道を抜けた先の世界。
荒廃し空気はよどみ、生物のひとつも存在しない世界は、たった1年で人間も虫も植物も生きていけるほどになった。
高校生がたった15人で出来るような所業ではないだろうが、『超高校級』が力を合わせればこんなものか。
この世界は、高校生15人と、産まれたばかりの子ども1人の世界。
彼らが幸せである限り、管理者を失ったこの世界は続いていく。
いずれ誰の記憶にも残らなくなるこの世界は続いていく。
在り続ける理由を失った世界は、続いていく……。
『世界中から拍手を貰うことと身近な誰かに認められること、どっちが大事っすか?』
『俺はやっぱり、身近な人たちが認めてくれた方が嬉しいっすね』
『近くの声ならしっかりと聞こえるし、響くっす。けど、誰かも知らない人間たちの遠くからの拍手なんて、聞こえないじゃないっすか』
「聞こえない拍手なんか欲しがるから、そうなるんすよ」
END
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- 7 : 2017/11/08(水) 21:55:10 :
- ありがとうございました。
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