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  1. 1 : : 2017/09/09(土) 09:15:41
    ある本を参考にさせてもらいます。




    イェーガー・ローゼ石けん社の経営者、グリシャ・イェーガー氏は、お金の大切さを知っていた。


    だから、無駄遣いを嫌った。その一方で、彼は、お金があれば大抵のことは実現できると考えていた。


    要は、使いどころを間違えてはいけないとうことだ。


    あるとき、イェーガー氏は、息子のエレンを書斎に呼びつけて訪ねた。


    グリシャ「エレン、お前は服にいくら使っている?」


    エレン「60ドルくらいでしょう」


    グリシャ「お前は、立派な男だ」


    グリシャ「聞くところによると、服に100ドル以上もかける若者がいるらしい」
  2. 2 : : 2017/09/09(土) 09:32:35
    グリシャ「お前は、誰よりも無駄遣いできる金を持っているというのに、きちんとした節度のある暮らしを守っている。お前は、紳士だ。紳士を作るには3代かかるというが、違うな。金が紳士を作る。お前がそうだ。わたしでさえ、紳士になりたかけたよ。実際はどんな男より無礼で無作法なんだがな。金は大事にしろ。しかし、必要なときには金の力を利用しろ。そうすれば、たいていのことはできるはずだ。」


    エレン「お金じゃできないこともありますよ」
    エレンは暗い声でそう言った


    グリシャ「おいおい、そんなことを言うなよ」
    イェーガー氏は驚いて言った


    グリシャ「わたしはいつだって金を信じるよ。金で変えないものを言ってみろ」
  3. 3 : : 2017/09/09(土) 09:47:26
    エレン「例えば上流階級には、お金があっても入れません」


    グリシャ「本当にそうかな?もし、アメリカで最初の億万長者になったアスター1世が、移民船の3等切符を買う金も持っていなかったとしたら、そもそもアメリカのどこに上流階級なんてものが存在するというんだ」


    エレンは、反論する気力もなく黙っている。イェーガー氏は、そのことが気になっていた


    グリシャ「エレン、何か困ったことがあるんだろ?2週間ほど前から気づいていたよ。話してごらん。24時間以内に100万ドル用意してやれるぞ。その他に不動産もある。気晴らしに出たいなら、港にランブラー号がある。2日あれば、バハマ諸島に行く準備ができるぞ」


    エレン「当たらずとも遠からずですね、父さん。だいたいそんなところです。実は恋をしているんです。結婚したいんですよ。」
  4. 4 : : 2017/09/09(土) 10:13:10
    グリシャ「なるほど。で、彼女の名前は?」


    イェーガー氏に隠し事はできない。彼が、ここまでの地位を築いたのは、何も、お金の力だけではない。相手のことを一通り聞くと、イェーガー氏は言った。


    グリシャ「どうして彼女に、結婚を申し込まないんだ?お前と結婚できるなら、きっと飛び付くだろう。お前には財産があるし、頭もいい。それに、性格もまじめだ」


    エレン「プロポーズするチャンスが無いんです」


    グリシャ「なければ、作ればいい。公園に散歩につれ出すとか、教会から家まで送るとか。『チャンスがない』だと!何を言っているんだ」


    エレン「父さんのように、相手の都合に合わせられる人間ばかりでは無いんですよ。彼女の予定は1時間、1分刻みで何日も前から決まっているんです。……でも、彼女をどうしても手に入れたい。彼女と結婚できなかったら、僕はこの街で絶対に幸せになれません」


    グリシャ「ハッ。わたしのもっている金を全部つぎ込んでも、お前は、その娘と1時間か2時間をすらももらうことができないというのか?」


    エレン「もう遅いんです!彼女は明後日の正午に、ヨーロッパに向けて出航し、向こうに2年間いるんです。明日の夜、ほんの数分だけ彼女と2人きりになります。夜8時半にグランドセントラル駅まで辻馬車で迎えに行って、ブロードウェイのウォラック劇場まで送らせてもらえることになっています。その数分だけです。彼女のお母さんや友人が劇場で待っているんです。そんな状況の数分の間に、彼女が僕の告白を聞いてくれると思いますか?出航前にミス・ミカサにプロポーズをする望みは全く無いんです」


    その夜、イェーガー氏の妹、フェイがイェーガー氏をたずねてきて、若い恋人達の苦悩について語った
  5. 5 : : 2017/09/09(土) 10:13:47
    期待してます‼


    「ミカサだったらブッコロス」ボソッ
  6. 6 : : 2017/09/09(土) 10:16:37
    >>5ヒェーーー!
    ありがとうございます
  7. 7 : : 2017/09/09(土) 10:27:19
    グリシャ「息子から全部聞いたよ」


    グリシャ「わたしの銀行預金を好きに使っていいと言ったんだが、あいつは金なんか助けにならないと言いよる」


    フェイ「あら、グリシャ兄さん。真実の愛にたいして、財産が何の役に立つの。リチャードが、もっと早く彼女に打ち明けていさえすればねぇ!」


    翌日、フェイおばさんは古い金の指輪を取り出してリチャードに渡した。


    フェイ「今夜、この指輪をはめなさい。あなたのお母さんが、これは恋愛のお守りだと言っていたわ。あなたが愛する人を見つけたら渡すように頼まれていたの」


    エレンは、その指輪をチョッキのポケットに入れると、電話で辻馬車を呼んだ。


    8時32分、エレンは駅の人ごみの中でミス・ミカサを見つけて馬車に乗せた。


    ミカサ「お母様とお友だちを待たせたくないの」


    ミス・ミカサが言った。


    エレン「ウォラック劇場まで、できるだけ急いでくれ」


    エレンは御者に言った。馬車は走り出す
  8. 8 : : 2017/09/09(土) 11:15:34
    しかし、エレンは突然、御者に止まるように命じた。


    エレン「指輪を落としてしまったんです。母の形見だった指輪なので、どうしても無くしたくないのです。1分とかかりません。落とした場所は分かっていますから」


    1分もしないうちに彼は指輪を見つけて馬車に戻った。ところが、その1分の間に、馬車の目の前に路面電車が止まってしまっていた。御者は左によけようとしたが、大型の急行貨物馬車にさえぎられた。次に右に行こうとしたが、家具の運搬車がいた。うしろに下がろうとしたが、馬車やら馬やらの大混乱にはばまれてしまった。


    ミカサ「この混乱から抜け出して!遅れてしまうわ」


    ミス・ミカサがいらいらして言った


    エレンは、馬車の中で立ち上がって、まわりを見渡した。貨物馬車や荷馬車、辻馬車、貨物運搬車、路面電車が洪水のように通りを埋め尽くしていた。マンハッタンじゅうの乗り物が彼らのまわりにおしかけたかのようだった。


    エレン「本当に申し訳ありません。身動きがとれないようです。僕が悪いんです。僕が指輪を落としたりしなければ…」


    ミカサ「いいんです。もうどうしようもないんですもの。本当は、劇場なんてくだらないと思っていたの。それより、その指輪みせてくださる?お母様の形見って……」
  9. 9 : : 2017/09/09(土) 11:24:33
    >>7
    フェイの話のリチャードは、エレンになおしてください
  10. 10 : : 2017/09/09(土) 11:46:42
    その日の夜遅く、グリシャ・イェーガーの部屋のドアをノックする者があった。


    グリシャ「入りなさい」


    真っ赤なメガネをかけ、巨人の冒険本を読んでいたイェーガー氏が大声で言った。部屋を訪れたのは、フェイだった。フェイは天使のようなほほえみを浮かべていた。


    フェイ「兄さん。2人は婚約しましたよ」
    彼女はやわらかな口調で言った


    フェイ「ミス・ミカサはエレンと結婚すると約束したんです。劇場に行く途中で渋滞があって、2人の乗った辻馬車は、そこから抜け出すのに2時間もかかったんですって」


    フェイ「そうそう、兄さん。もうこれからはお金の力を自慢するのはやめてね。義姉さんが残してくれた真実の愛のシンボル『小さな指輪』のおかげでエレンは幸せを見つけられたのよ。エレンは指輪を道に落として、それを拾いに降りたの。すぐに先に進もうと思ったけど渋滞に巻き込まれたのよ。その指輪の話から、エレンは馬車の中で愛する人に打ち明けて、彼女の心をつかんだの。真実の愛とキューピッドさえいれば、お金なんて何の意味もないのよ、兄さん」


    グリシャ「そうか。息子が望みのものを手にいれたか…。わたしもうれしい。必要な金はいくら使ってもいいといったんだが…」


    フェイ「兄さんの金は役にたたなかったのよ」


    グリシャ「フェイ、わたしは、この本を読み終えたいんだが…」


    フェイは物静かに部屋を出ていった
    そう、物語はまだ、終わっていなかったのだ。


    次の日、アルミンという人物がイェーガー氏の屋敷を訪ねてきた。
  11. 11 : : 2017/09/09(土) 17:10:30
    その本読んだwあと期待です
  12. 12 : : 2017/09/09(土) 19:38:14
    彼はすぐに書斎に通された。


    グリシャ「さて」


    イェーガー氏は小切手に手を伸ばした。


    グリシャ「最初に5000ドルを渡したんだったな」


    アルミン「さようで。でも、あと3000ドルいただけませんか。じつは、自分の金を使いましたんで。見積もりより少々多くなっちまってね。急行馬車や辻馬車はだいたい5ドルでやってくれたんですが、貨物運搬車や2頭立てのやつは10ドルも要求してきたもので。路面電車の運転手は10ドル、なかには20ドル欲しがる奴もいたんでさ。まぁ、しかし、一番参ったのがおまわりですよ。2人に50ドル、残りにそれぞれ20ドルと25ドル払いました。それにしても、イェーガーのだんな。えらくうまくいったじゃないですか。リハーサルもしてないのに!やつら本当に時間通りに来てくれた。渋滞が解消するのに、2時間かかったそうですよ」


    グリシャ「わかった。1500ドル渡そう」


    イェーガー氏は小切手を切って言った。


    グリシャ「約束の1000ドルと立替分の300ドル、それに成功した報酬に200ドルを足そう。まさか、君は金が嫌いじゃないよな?」


    アルミン「僕ですか?貧乏なんてものを発明したやつを殴ってやりたいくらいですよ」


    イェーガー氏は、帰ろうとしてドアに向かうアルミンに声をかけた。


    グリシャ「そういえば、渋滞のどこかで、金髪で裸の太った男の子を見かけなかったかい?弓につがえた矢を放っていたらしいんだが」


    アルミンは困惑して答えた


    アルミン「いいや、気付きませんでしたね。もしおっしゃるようなやつだったら、子どもだったとしても、おまわりがつかまえていたでしょう」


    グリシャ「いやいや、もともと行っていなかったんだろう。キューピッドは、あそこに行かないだろうと思っていたよ」


    グリシャは笑った






    世界は金で出来ている



    fin
  13. 13 : : 2017/09/09(土) 19:53:00
    >>11あの本面白いですよね
    これまで期待してくださった皆さん。どうもありがとうございました~

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