この作品は執筆を終了しています。
Present from a crane ~鶴からの贈り物~
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- 1 : 2017/07/23(日) 20:57:55 :
- こばんは!ルカでございます!
今回はチームコトダ祭りに飛び入りで参加させて頂きます、ゲリラチーム『暴風雨』として参加せていただきます!まだまだ未熟者ですが、精一杯頑張らせていきます!
・チームとメンバー
『奴隷と愉快な仲間たち』
Deさん (チームリーダー)
あげぴよさん
カラミティさん
シャガルT督さん
影さん
『皆殺し』
タオさん (チームリーダー)
ノエルさん
ししゃもんさん
ライネルさん
スカイさん
『真山田組〜追放される空〜』
ベータさん (チームリーダー)
風邪は不治の病さん
Ut4m4r0さん
たけのこまんじゅうさん
フレンさん
大将戦
ジャンルは「自由」、
キーワードは「〔ruby〕飛兎竜文(ひとりょうもん)〔/ruby〕」です。
多分みなさんの作品の中でもかなり短いストーリーになりますが、最後までおつきあいくださいますようよろしくお願いしますm(_ _)m
それでは始めます!
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- 2 : 2017/07/23(日) 20:59:15 :
- ここは希望が峰学園。様々な分野に秀でた才能を持つ少年少女を迎え入れ、更なる高みへ導いていく事を旨としており、日本中から「超高校級」である生徒を集めている学園です。
しかし、都会の中心にあるはずの学園の周りは焼け野原と化していました。
理由としては、私たちが経験した2つの事件でした。その事件とは……
『人類史上最大最悪の絶望的事件』
『コロシアイ学園生活』
と言われるものでした。
この二つの事件が私たちの身に降り注いでいたのです。
謎のクマ型ロボットであるモノクマさんと、超高校級の絶望だった、江ノ島盾子さん、戦刃むくろさんの手によって……
え?さっきから話をしている私は誰かって?
私の名前は舞園さやか。超高校級のアイドルです!
そして、この物語に欠かすことの出来ない人物。私たちに、
「希望を捨てちゃ駄目だ!」
と言い続け、私たちに『希望』を与え続けてくれていた『彼』の存在も忘れてはいけませんね!
おっと……そんな話をしていたら、『彼』が向こうから走ってきました。
「舞園さん!ここにいたの?探したんだよ!」
「あ、苗木くん!ごめんなさい。心配かけてしまって……」
そう。彼こそが、私たちに『希望』を与え続けてくれた人物……
『超高校級の幸運』の苗木誠くん……
いや、私たち……少なくとも、私と霧切さんはそう思っていません。
彼は、私たちの『希望』……
彼は『超高校級の幸運』であるとともに、『超高校級の希望』であると、私たちは思うのです。
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- 3 : 2017/07/23(日) 21:01:48 :
- 私たちは、先ほどもお話ししていたとおり、超高校級の絶望により、希望が峰学園に閉じ込められていました。
私たちは玄関ホールで、『初めて』あった人たちに自己紹介をしている最中でした。
そして、苗木くんと話をしていたあるとき……
『アー……アー……マイクテスト……マイクテスト……大丈夫?聞こえてるよね?』
それは、あまりにも脳天気で、不快な声だった。そして、その声が告げる。
『今から入学式を行いますので、オマエらは体育館に集合してください!』
入学式……?それよりも……オマエら?
私たちは不思議に思いながら、体育館へと歩を進めました。
すると、そこに待っていたのは、白と黒のクマ型のヌイグルミでした。そのヌイグルミは自らをモノクマと名乗っていました。そのモノクマさんから、ある事実が告げられたのです。
「オマエらにはこの学園内で『コロシアイ学園生活』を行ってもらいます。」
「は!?」
ここにいる全員が驚き、お互いの顔を見合わせました。
『コロシアイ学園生活』というのは、私たちが一緒に閉じ込められている仲間を殺害するというものでした。
それは、超高校級の絶望が用意した、最高の絶望でした。
しかし、私たちは誰1人としてコロシアイを起こしませんでした。
何故かというと、仲間同士、手を取り合うことの大切さを、苗木くんを中心に毎日話し続けていたことが大きかったと思います。
ただ、その中でも、殺意におぼれてしまって、殺人を起こそうとした人たちもいました。私もその1人でした。
もし、殺意におぼれた仲間がいたとしても、私たち自身で手を取り合って回避していきました。
私にとっては、桑田くんや苗木くんの助けが大きかったように思います。
しかし、そうやってコロシアイを回避してきた私たちを見て、黒幕が黙っているはずがありませんでした。
なんと、学園中の秘密を私たちに暴かせ、『最初で最後の学級裁判』をすることを要求してきたのです。
それを、私たちが受ける流れになり、私たちの全てを賭けた、最初で最後の学級裁判が始まったのです。
私たちは、学園のあらゆるところを捜査しました。
5階の血だらけの教室……
寄宿舎の二階……
情報処理室……学園長室……
そこには、この学園のことだけではなく、外の世界で今現在起こっていることも詳しく書かれていました。
私たちが情報を集めきったその後に、
キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴った……
『それじゃぁ、最初で最後の学級裁判を始めましょうか!それでは、皆さんは赤い扉に来てくださいね!』
いよいよ始まる……
絶望対希望の……
最初で最後の学級裁判が……
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- 4 : 2017/07/23(日) 21:09:48 :
- 私たちは、集めた証拠を全て黒幕にぶつけました!
彼女たち、超高校級の絶望によって、2年間の希望が峰学園での記憶がぬかれていたこと……
つまり……私たちは初対面ではなくて、2年間、同じ教室で学んだクラスメイトだったのです。
その驚きの事実を相手に驚きを感じさせないように、黒幕に話しました。
それから、外で起きている『人類史上最大の絶望的事件』のことを伝えました。
超高校級の絶望とその残党が外で暴れ回っており、その中には希望が峰学園の77期生も加わっていると言うこと……
全て伝えました……
ですが、黒幕は顔色を変えずに私たちを見渡しました。
まるで、私たちの隙を逃さないように……
すると、黒幕である江ノ島さんから色々なことが話されました。
外が焼け野原であり、ビルも傾いて入学当初にあった木々の面影も無い状態だと言うこと。
さらには、外は空気が乱れており、脱出することを決定した時点で、ここにある空気清浄機がとまり、汚染された空気が学園内に流れてしまうということ。
ですが、これらを告げられても、私たちの決意は変わりませんでした。
『絶対にここから脱出するんだ……』
その様子を見た黒幕は笑みを浮かべながら、私たちの思いをへし折ることが、黒幕から突きつけられたのです!
その言葉により、私たちは絶望に染まってしまいました……
その言葉は……
『苗木くんを処刑すれば、皆でこの学園で暮らすことで、命を落とさずにすむこと……』
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- 5 : 2017/07/23(日) 21:12:11 :
- 全ての話を聴いたときに、苗木くん以外の人たちの視線は下を向いていました。
『アイツを殺せば俺たちは助かる。』
そんな空気さえ、流れていたように思います。
もちろん、私も目線を上げることが出来ませんでした。みなさん1人1人が自分たちが助かる道を選択しようとしていたのかも知れません。
苗木くん1人犠牲にすれば、私たちは絶望に染まることはないのです。汚れた空気を吸わなくても生き続けることが出来るのです。
『ごめんなさい……苗木くん……』
私たちがこの条件をのもうかとボタンに手を伸ばしたそのとき、彼の声がこだましました。
「希望を捨てちゃだめだ!」
その後、彼は私たち1人1人に言葉を投げかけ、私たちの胸にかかっていた霧が晴れていきました。
彼のその言葉で、全員が目を覚まし、外への脱出を心に決めました。
そして、私たちがスイッチを押した……
もちろん、私たちが選んだ結末は1つだ……
「脱出しましょう……みんなで……」
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- 6 : 2017/07/23(日) 21:14:18 :
- ボタンを押した後、空気清浄機の音が切れるのを確認した……
そして、私たちは黒幕であった江ノ島さんの顔を見ました。
その顔は……うれしそうでした……
勝負に負けたはずなのに……
「しっかり潜入して情報集めて、練りに練った作戦が滅茶苦茶になった!こんな絶望的なことはないわ!」
江ノ島さんから発せられる言葉は私たちの胸に深く突き刺さりました。
私たちを陥れた人たちのはずなのに……
「なによ!煮るなり焼くなり好きにすれば!私様は生きることに絶望しているのだ!死さえも受け入れることが出来るのだ!」
その言葉に私たちが絶望しかけていたその時……
「それは……」
「それは違うよ!!」
ここから、苗木くんの論破が始まりました。超高校級の絶望にも、希望の大切さを訴え始めたのです。
「外の世界には絶望しか無いかも知れない。ただ、そこからでも希望を創ることが出来るんだ。」
「絶望があるから希望があると思うんだ。僕たちと新しい希望を創る手伝いをして欲しい。」
苗木くんは不器用ながら、超高校級の絶望相手に説得を行いました。
そして、長時間の議論の末、彼女たちが希望の大切さを理解したことによって、私たちと行動を共にすることになりました。
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- 7 : 2017/07/23(日) 21:18:09 :
- 私たちは、希望が峰学園を脱出した後、この学園と周りの街の復興作業をしています。
最初の方は、私たちも何からやっていったらいいかわからなかったのですが、出来ることをやっていこうということに決まりました。
十神くんは石丸くんとともに、復興に向けたプランニングをしています。
今は、あいてる土地にテーマパークを建てようかと検討中みたいです。
名前はまだ決まってないようですが、収益の半分が復興作業に送り込まれるようで、より多くの人を助けられるように建てるみたいです。
大和田くんは、暴走族のメンバーとともに、仮設住宅を作っている最中です。
さすがは、超高校級の暴走族と言うだけあって、力仕事や体力仕事はお手の物で、着々と仮説住宅が出来ていると十神くんから報告を受けました。
大和田くん達も、例のテーマパークの建設を手伝うらしく、今はかなり忙しく、バイクで流す時間も減ったみたいです。
私と江ノ島さんは復興ステージを、桑田くんと朝日奈さんはスポーツ教室をしたりと様々な場所を駆け巡ってます。
私と江ノ島さんのステージはいわゆるファッションショーとコンサートの融合を目指して取り組んでいます。
江ノ島さんは服のブランド『MO-NO』を立ち上げ、『安くて大人から子どもまでが着られる服』をコンセプトに様々な服を生産しています。どれも人気なんですよ!
朝日奈さんと桑田くんのスポーツ教室も、無償で手厚い指導を受けることが出来ると評判です。多くのジュニア大会世界記録保持者や、野球の日本代表を産み出したと聴いています。
もちろん、苗木くんも復興作業中でした。苗木くんは霧切さんと大神さんが立ち上げた自警団に所属していて、絶望の残党を追いかけ続けています。
今日はその任務でこちらに来ていたようです。
今回は、お互いの休憩時間がたまたまあったので、苗木くんから連絡があり、会うことになりました!
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- 8 : 2017/07/23(日) 21:19:28 :
- 「舞園さん。少し話良いかな?」
苗木くんから話があるなんて珍しいですね……
そんなことを考えながら私は、辺りを見回しながら、座るのに適した場所を探していました。
「えぇ。そうですねぇ……あ、あそこにちょうど良い場所があるので、あそこに座ってお話ししましょう!」
私たちは近くにあった、少し大きめのコンクリート片の上に腰をかけました。
そのコンクリート片から見える景色は、私たちの知っている希望が峰学園に戻りつつあった。
前のように高い建物は少ないですが、学園の周りには建物が建ち、その建物の近くには公園なども出来ていました。
その建物の中にはもう、すでに商売を始めている人たちもいました。
あとは、緑が生えればいつもの希望が峰学園に戻るのに……
そんなことを思いながら、苗木くんとの会話を始めました。
「最近、復興作業が進んで、街が綺麗になりましたね!」
「そうだね……」
苗木くんの歯切れが悪いように思いました。目線も空を見ていました……
彼が見上げている目線の先の雲は左から右へと流れていました。
「どうしたのですか?顔色が優れないようですが……」
「……………………」
彼はしばらく黙っていました。
心を整理しているのでしょうか……それとも、話したくないのでしょうか……
「戻りましょうか……皆まってますし!」
私がそう言って、腰を上げようとしたとき、彼の口は開きました。
「舞園さんは僕の才能をどう思う?」
「苗木くんの才能ですか……?」
苗木くんの才能というと、『超高校級の幸運』のことでしょうか……
どうと言われても困るのですが……
『超高校級の幸運』と言われても、ぱっとしないなぁって感じは確かにありますが……
そう考えていると、苗木くんはゆっくりと話し始めました。
「ほら……舞園さんや霧切さん達の才能は人のためになる才能だし、大和田くんもその才能に誇りを持っている。僕は、そのどちらでもないんだ……それなのに、希望が峰学園に入学してさ……」
私は苗木くんが自分に自信を持てていないように感じました。人よりちょっと前向きだけど、すぐに自分を卑下してしまう……彼の悪い癖です……
それを感じたので、私は、
「そこまでです!」
といい、苗木くんの唇に自分の人差し指をあて、言葉を止めると、苗木くんの横に座りゆっくりと話し始めました。
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- 9 : 2017/07/23(日) 21:20:34 :
- 「苗木くんは、私たちを絶望から救ってくれたじゃないですか!」
そう……苗木くんは私たちのことを持ち前の前向きさで絶望から助けてくれました……
「霧切さんも言ってましたが、私は苗木くんのことを、『超高校級の希望』だと思っていますよ。」
『超高校級の希望』……霧切さんがつけた名前ですが、私は苗木くんに似合った名前だと思います。
「現に、私たちが絶望に堕ちているとき、苗木くんは1人1人に声をかけ続けてくれてたじゃないですか!」
そう……苗木くんの良いところは誰1人として見捨てないこと……
それが大罪人でも苗木くんは変わるチャンスを与えます。それが人より前向きな彼が出来ることだと思うんです。
「それに、私たちみたいな才能では、苗木くんみたいな対応は出来ませんよ。」
私はありったけの思いを苗木くんに告げました。ありのままの……いま自分が思ったことを彼に伝えました。
「でも、人より前向きなだけだから……」
「それが良いんじゃないですか!自信を持ってください!」
私は、自分に自信の持てていなかった苗木くんに喝を入れました。
そうすると、苗木くんはようやく私にほほえんでくれて、
「ありがとう!元気出たよ!」
と言ってくれました。私はホッとした表情を浮かべながら、苗木くんともう少し話をすることにしました。
「苗木くん……覚えていますか?私たちが中学生の時に、学校の池に鶴が迷い込んで……」
「うん!覚えているよ!」
そう……あれは、私が中学生の時であり、苗木くんの『才能』に気づいた話……
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- 10 : 2017/07/23(日) 21:21:44 :
- ここは、根黒六中の3年2組の教室。今は昼休み時です。
昼休み時のこの教室は他のクラスの子も来ていて賑わっていました。
私の席の近くにも女子だけの集団があり、隣の島にも男子だけの集団がありました。
その中の1人に、学ランからフードを覗かせていた彼がいました。その彼こそ苗木くんです。
このクラスにいる友達と楽しそうに話をしていて、時折笑顔を見せていました。
彼らは先日出たゲームについての話をしていました。
ゲームかぁ……久しくしてませんでしたね……
今度メンバーとしたいなぁ……
そう思っていると……
「さやか!!」
「ふぁ!ふぁい!?」
友達のいきなりの大声に私は戸惑い、声にならない返事を上げていました。
「何ボーッとしてんの?聴いてた?」
「すいません!聴いてまんでした……」
「ちょっ!しっかり聴いてよ!!」
わるいことしたなぁと思い、ごめんなさいと謝ると、そのまま話が再開しました。
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- 11 : 2017/07/23(日) 21:22:44 :
- それからしばらく私は、友達とのガールズトークに花を咲かせていました。
最初は服のブランドや私の曲などの話をしていたのですが、テーマがかわり、恋バナになりました。
「さやかって好きな人いるの?」
友達の1人が聴いてきました。
「なんですか!?いきなり!私の事務所は恋愛禁止なんですよ!」
「わかってるって!あえてだよ、あ・え・て!」
「あえてかぁ……」
パッとは思いつかずに首をかしげていると、
……バンッ!!
と教室の扉が勢いよく開けられた。その音の大きさに、この教室にいた全員が思わず飛び上がりました。なかには、飛び上がった勢いで机ごと倒れる人もいました。
ドアの方を見ると、先生が息を切らせてこちらを見ていました。
かなり走ったようで、方も上下に動いて汗もかなりかいていました。
すると、教室にも響く大声で、
「苗木!探したぞ!今すぐ、俺と池に来てくれ!」
と苗木くんに手招きをしながら言いました。苗木くんは驚いた表情を見せながら、
「わ……わかりました!」
といい、苗木くんが教室を小走りで出て行きました。すると、程なくして教室がざわつき始めました。
それは、私たちのグループも例外ではありませんでした。
「何か一大事?」
「面白そうだから、見に行こうよ!」
そう言うと、友達が笑いながら教室から出て行ったので、
「まってください!」
と友達を追いかけるように私も教室を後にして、池に向かいました。
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- 12 : 2017/07/23(日) 21:23:41 :
- 学校の池は、体育館のすぐ横にあり、昔ながらの日本庭園をイメージした池になっています。
……カコン…………
鹿威しの音が校内にこだましています。その音を聞きながら、私は友達のもとに駆け寄りました。
「もう……速いですよ……2人とも……」
私は肩で息をしながら、1人の友達の肩を掴み、話しかけていました。
「さやか……あれ……」
「え……?」
友達が池を指さしていたので、そちらの方を見やると、そこには私より少し大きいぐらいの鶴がいました。
「あんなに大きな鶴がいるんですね……」
と私はつぶやきました。すると……
…………カコン……
また、鹿威しの音が校内にこだましました。鶴は、この音に合わせて首を左右に振りました。
「(本当に鶴が迷い込むなんて……)」
私がそう思っていると、鶴が羽をバタバタさせました。まるで、今にも飛び立つかのように……
しかし、鶴は思い通りに飛べないようで、真上に浮上したもののそこからは進みませんでした。
……いや、進めなかったのでしょう…………
私は、その光景が不思議に思い、鶴を注意深く見ていました。
すると、鶴の足のところに、紐が絡まっていたのです。
さらに、池の方を見ると、鶴のいたところの鶏よけの紐が切れていました。
どうやら、鶴は学校の池に張り巡らされた鶏よけに足がひっかかり、その時に暴れてしまったために、紐が絡まってしまい、動けなくなってしまったと思われます。
「かわいそう……」
「そうですね……」
そんな会話を友達としながら、苗木くんを待つことにしました。
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- 13 : 2017/07/23(日) 21:24:23 :
- 「おい!あれ、鶴じゃね?」
「本当だ!あんなデカい鶴とかいるのかよ!?」
そ周りからざわつく声が聞こえたので、見渡してみると、この時間が昼休みと言うこともあり、全校生徒が学校に迷い込んだ1羽の鶴に注目していました。
実際に池まで見に来る人や、窓の外から池を眺める人もいました……
まるで、有名人が学校に来たときのような感覚を覚えました。
「(そりゃぁ、こんなに珍しいことはありませんもんね……)」
私がそう思ってていたその時、後ろから大きな声が聞こえました。
「はい!道を空けて!」
先生の声です!
先生は大きな声で、生徒に道を空けるように促しながら、人混みをかき分けていました。
人ごみは10m位続き、先生が抜け出した頃には汗だくでした。
そして、先生が抜け出してから少しして、苗木くんも来ました。
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- 14 : 2017/07/23(日) 21:28:55 :
- 「大きい……」
苗木くんは、最初は鶴に圧倒されていました。
自分の身長ぐらいの大きな鶴が、学校の池にいるとは思いもよらなかったのでしょう。
額の汗を何度もぬぐって、緊張した面持ちで鶴と対面していました。
少しの時間が経ったら、苗木くんは大きく深呼吸をすると、一歩ずつ前へと踏み出しました。
そして、苗木くんが私の真ん前に立つと、鶴と苗木くんの目が合いました。
「クエェェェェェ!!」
鶴は苗木くんを威嚇するために翼をばたつかせました。しかし、苗木くんは臆することなくその場に堂々と立ち尽くし、鶴全体をゆっくりと見渡していました。
そして、足下に目がいったとき、彼は今の状況に気づき先生に、
「鶏よけの紐が足に絡まっているので、ハサミと包帯をください!」
と告げました!すると、それを聴いた先生が、
「わかった!少しまってろ!」
と言い放ち、池を背にして、弾丸のように走り出しました。
先生を待ってる間、苗木くんはずっと鶴を見ていました。
時々鶴がくちばしを苗木くんの方に突き出しながらカチカチさせたりと威嚇をしていました。
苗木くんは怯えた表情で、鶴から目線を外し、額の汗を何度も拭いていた。
「あの鶴あらぶってるな……」
「大丈夫か?あいつ……」
そんな声も聞こえていました。
「ねぇ、さやか?どう思う?」
「私は彼を信じることにします!必ず助けてくれますよ!」
そう?と首をかしげる友達をよそに、私は鶴の目の前にいる彼に注目をしていました。
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- 15 : 2017/07/23(日) 21:30:28 :
- 数分後、先生は先の細いハサミと、包帯を持ってきました。それを受け取った苗木くんは鶴の元に歩み寄りました。
しかし、ハサミを持った人間を鶴は警戒しないはずがありません。バタバタとその場で暴れ出しました。
苗木くんは最初はのけぞっていましたが、1分もたたないうちに、ジリジリと鶴に近づきました。
一方、鶴はというと、自分が傷つけられると思い込んでいるのか、翼を羽ばたかせ、足で苗木くんを蹴るそぶりも見せました。
苗木くんはそれでも少しずつ近づきましたが、バタバタさせていた鶴の足が苗木くんの腕に辺りました。
苗木くんは苦悶の表情を浮かべ、一度後ろに下がりました。
苗木くんの腕には一筋の赤い筋が入っていました。
「大丈夫か!?苗木!?」
「大丈夫です!かすり傷です!」
心配してくれた先生に、返事を返し、もう一度彼は近づきました。
そして、彼はそのまま鶴に近づき、とうとう、ツルとの距離が残り5cmのところまで近づきました。
すると、苗木くんは暴れる鶴を自分の胸に抱き寄せました。そして……
「大丈夫……大丈夫だから……君がお家に帰る手助けがしたいだけだから……」
と鶴に声をかけ続けていました。
すると、最初は暴れていた鶴だったのですが、段々と大人しくなり、苗木くんの胸に顔をすり寄せていました。
「大人しくしててね……」
苗木くんが鶴のくちばしに口づけをしたのを皮切りに、苗木くんによる鶴の救出劇が始まったのです。
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- 16 : 2017/07/23(日) 21:32:45 :
- 苗木くんがゆっくりと確実に鶴の救出を行っていきました。
まずは、ハサミで絡まった紐をチョキチョキと少しずつ切っていきました。
一気にいくと、鶴の足を傷つけるかも知れないので、ゆっくりと少しずつハサミを入れていました。
鶴はというと、大人しくそこにたたずんでいました。先ほどまで暴れていたのが嘘のようでした。
もちろん、鹿威しの音に合わせて首を左右に動かすのも忘れていませんでした。
一方苗木くんの表情は険しく、鶴の足を見たまま動きませんでした。鶴の足を傷つけるわけにはいかなかったので、集中していたのでしょう。
そうこうしているうちに、鶴の足に絡まっていた全ての紐が苗木くんによって取り除かれました。
しかし、鶴の足には紐が絡まったときに切れてしまったのか、無数の傷がありました。
その切り傷を隠すように、苗木くんはゆっくりと包み込むように、包帯を巻いていきました。
心なしか鶴の表情も穏やかでした。
最後に包帯の端っこをゆっくりと結ぶと、
「よし!終わり!」
大きく深呼吸してその場に座り込んでいる。苗木くんの姿がありました。
それは、全ての治療が終わったことを告げるサインでした。
それを見た全員は安堵の表情を見せていました。
私はというと、緊張が解けたからか、その場に座り込んでしまいました。
「本当に……良かった……」
そう言う私の目からは涙があふれていました。
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- 17 : 2017/07/23(日) 21:33:56 :
- あとは、逃がすだけ……そう思っていると、何かの鳴き声が聞こえました。
「クエェェェェェ!」
その声のする方を見ると、三匹の鶴が学校に向かって飛んできました。
どうやら、仲間の鶴が迎えに来たようです。
しかし、池にいる鶴は羽ばたこうとしませんでした。苗木くんの顔にくちばしをこすりつけていました。まるで、苗木くんとの別れを惜しんでいるようです。
苗木くんはその鶴のくちばしをそっと手で触り、くちばしに頭をつけ、
「さぁ、いっておいで!仲間が待ってるよ!」
と鶴に言葉をかけたのち、首の辺りをなでました。すると、苗木くんの気持ちを理解したのか、鶴は小さく頷き、
「クエェェェェェ!」
と大きな鳴き声を上げて、翼を羽ばたかせました。
「クエェェェェェ!」
もう一度大きな鳴き声を上げると、鶴は大空へと飛び立ち、仲間の鶴とともに、学園に背を向けて飛んでいきました。
「鶴さん!さようなら!」
私は思わず、大声を上げました。すると、私の声に続いて友達が、
「さようなら!」
と声を出しました。さらには、周りで見ていた学校の生徒が全員で、
「さようなら!」
と声を上げていました。
それに呼応するように鶴も、
「クエェェェェェ!」
と鳴き声を上げていました。
その声は、5限のチャイムが鳴り終わっても、鳴り止むことはありませんでした。
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- 18 : 2017/07/23(日) 21:34:45 :
- そして、ここは希望が峰学園の前。私たちはコンクリートの上に座って話をしていました。
この鶴の話をしているときも、苗木くんは笑顔で聴いていました。
そして、私がこの時に苗木くんの能力に気づいていたことを彼に伝えました。
「苗木くん!私はあの時から……鶴の治療をして池から逃がしてくれたあの時から、私は苗木くんの才能に気づいていましたよ。」
「え?」
私がこの話を告げたとき、苗木くんは私の顔を驚いた表情で見ていました。
そう。私は知っていたのです。彼の才能は『超高校級の幸運』であり、『超高校級の希望』であると……
彼はたとえ、人間や動物が絶望の淵に追いやられたとしても、必ずそこを脱却させる力を持っているということを……
だからこそ、私は苗木くんを信じることが出来たのです。
その彼を信じることで、彼を信頼する彼らを信じることが出来ました。
そして、自分が信じる自分を信じることが出来ました。
苗木くんは無意識でやっているのかもしれません。
しかし、私は最後まで諦めない苗木くんの姿勢が全ての結果を生んでいるのだと思うのです。
苗木くんの逆境さえもはねのける前向きさが、私たちが感じていた絶望を希望に変えてくれました。
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- 19 : 2017/07/23(日) 21:35:39 :
- 世間から見たら、努力して勝ち得た私たちの才能も、駿馬と同じと思っているでしょう……
一方、苗木くんのように、『超高校級の幸運』という、とってつけたような才能は才能では無いと思う人たちもいるでしょう……
しかし、私は苗木くんのような人よりも少し前向きなことが一種の持って生まれた才能なのだと思うのです。
彼の才能が、私たちにとって、大きな助けになっていることを苗木くんは知りません。
だからこそ、苗木くんには自身を持って欲しいのです。
あなたも立派な超高校級なのだと……
そして、あなたの活躍により、私たちが救われたのだと……
あなたに伝えたかったのです……
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- 20 : 2017/07/23(日) 21:36:47 :
- ほかにも色々とお話ししたいことがあったのですが、時間とは残酷なもので、楽しい時間ほど早く過ぎていきます。
かなり長い時間話してしまったようで、話し始めたときには真上にあった太陽が、西側に傾いていました。
それを確認した私たちはいきなり現実に戻されました。
「うわ!いけない!これ以上遅くなると霧切さんに怒られるよ!!」
「あ、私もそろそろ現場入りの時間ですね!」
そう言うと、私たちは別れの挨拶をした後、互いに背を向けて走り出しました。
私は途中とまり、後ろを振り返りました。
そこには、小走りで走っている彼の凛々しい姿がありました。
そんな彼の凜々しい姿を見て、私も気合いを入れて歩き始めました。
空はいつも通り青い!
そして、太陽も私の足下をしっかりと照らしてくれる!
「よし!さい先良好!!」
この先、例えどんな結末がまっていようとも……
私は希望に向けて歩き出す!
皆の思いをのせてあのときの鶴のように大空を羽ばたくんだ!
「希望は前に進むんだ!!」
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- 21 : 2017/07/23(日) 21:46:14 :
- 最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
短い話で申し訳ありません^^;
今回は、僕の方でチムコ参加したいなと思い、それならチームを作ろうかなと思い、ゲリラチームを組織させて頂き、参加させて頂きました!
まず、実力のないボクの呼び声に集まってくれた皆様、本当にありがとうございました!
そして、このようなボクを参加させてくれたチームとして闘っている皆様や投稿者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです!
本当にありがとうございましたm(_ _)m
他の皆様のチムコ作品もありますので、他の皆様の作品も読んで頂けると幸いですm(_ _)m!
それでは、また次の作品でお会いしましょう(っ´ω`c)!
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- 22 : 2023/07/16(日) 13:56:07 :
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cherryboy
momoyamanaoki
16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
ちょっと時間あったから3つだけ作った
unko_chinchin
shoheikingdom
mikasatosex
unko
pantie_ero_sex
unko
http://www.ssnote.net/archives/90992
アカウントの譲渡について
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654
36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
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