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最原「寝坊してしまった!」

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  1. 1 : : 2017/07/20(木) 20:46:51


    『奴隷と愉快な仲間たち』

    Deさん (チームリーダー)
    あげぴよさん
    カラミティさん
    シャガルT督さん
    影さん

    『皆殺し』

    タオ
    ノエルさん
    ししゃもん 様々
    ライネルさん
    スカイさん

    『真山田組〜追放される空〜』

    ベータ 様(チームリーダー)
    風邪は不治の病さん
    Ut4m4r0さん
    たけのこまんじゅうさん
    フレンさん


    チームコトダ祭りグループURL
    http://www.ssnote.net/groups/2086


    【役職】副将
    【ジャンル】日常
    【キーワード】疑心暗鬼

    ネタバレ注意

    待たせたな副将のトリです(スタートダッシュできなくてごめんなさい)(殺さないで)(ダッシュ中)
  2. 2 : : 2017/07/20(木) 20:48:11












    超高校級のメイドである東条に用意された朝食は、以前高めのホテルに宿泊した時のそれを思い出させた。

    昨晩に朝食のリクエストを聞かれた時は、メイドとはいえ同じ立場の彼女に任せきりになるのは悪いと断ったのだが、メイドとして立場を獲た彼女を見れば寧ろ仕事を頼んだ方が彼女の為になることがわかる。



    一流のメイドである彼女からしたら、日常を思い出す手段としてそれが最も有効な手段なのだろう。会って間もない人間に、自分の立場を示しながら堂々とする姿は自分も見習いたいものがあった。



    「最原くん、それもしかしてブラック?大人だね。ミルクが入ってないと苦くて苦くて…」


    右隣に座る赤松がアップルティーを片手にそう口を開いた。


    「そうでもないよ。小学生頃にコーヒーをブラックで飲める人に憧れててさ、今では好物だけど無理して飲んでた頃を思い出すと恥ずかしくて恥ずかしくて」


    「へぇ、最原くんにも子どもの頃があったんだね」


    「今は年相応くらいには見えてるかな…?」


    顔を近づける赤松にどこか落ち着かない気分になり、コーヒーを啜りながら赤松から目を逸らした。コーヒーの味なんてほとんどわからない。


    「それにしてもさ、いきなりこんな所に連れて来られて困っちゃうよね。しかも恋愛関係になった2人が出られるなんてさ」


    「そうだね、でも意外とみんな楽しそうで、貴重な体験とも言えるかもしれない。僕は赤松さんに会えて幾ばくか気が楽になったよ、こんな機会でもなければ話すこともなかっただろうし…」


    「そうかな?だったら嬉しいな…、私も最原くんに会えて本当に良かった」


    そうはにかみながら答えた赤松は、リュックの中から1枚の紙を取り出した。


    「2人ってなると、誰かしら孤立する人がいるかもしれない。だから一度全員が集まる交流会やパーティのようなことをしたいんだよね」


    少しばかり得意気に人差し指を立てながら彼女は話を続けた。


    「困惑しちゃうような今だけど、どうせなら、特別な関係を作りたいなって思ってさ。その為の機会があったらいいなーって…、どうかな?」


    「いいアイデアだと思うよ。そうだな、まずは東条さんに相談してみようか」


    赤松は嬉しそうに、やる気に満ちた顔で握りこぶしを作ると早速言ってくると席を立った。
  3. 3 : : 2017/07/20(木) 20:49:40



    「おお、最原。赤松と一体何の話で盛り上がってたんだ?」


    遠くの席に座り朝食をとっていた百田は、左隣の席に着く。股を開いた座り方で、自信のあるであろう雰囲気を表現していた。


    「せっかく集まったから、皆んなで交流会のようなパーティをしないかって話してたんだ」


    「パーティか!楽しみだなぁ、流石赤松は良いことを考えるな。よし、俺が皆に伝えてきてやるよ。日程が決まったら真っ先に俺に言いに来いよ!」


    「わかったよ百田くん。じゃあ任せていいかな?」


    「いいぜ、よーし最原、楽しもうな!」


    最原の背中を強く叩き、白い歯を見せて笑うと食堂から廊下側の扉を使い外に出た。


    「最原くん、料理とか飾り付けは東条さんが手伝ってくれるって!東条さんがほとんどやってくれそうだけど、私たちはアイデアとか出してパーティに貢献しよう!」


    コーヒーを飲み終えると、丁度赤松が小走りに駆けてきた。目が合った瞬間、思い出したように僕の顔をしげしげと見つめてくる。


    「…どうかした?赤松さん」






    「いや、…最原くんって帽子被ってなかったっけ?つばの長い黒いやつ」
  4. 4 : : 2017/07/20(木) 20:53:22









    足音を立てずに、誰かが後ろを尾けているのがわかる。危害を加えるメリットがないだろうと、気づかないフリをしていたが、いい加減鬱陶しく感じていた。


    「春川ちゃん、立ち止まってどうしたの?気付いていたなら、最初から反応してくれればいいのに。オレ、寂しくて寂しくて泣いちゃいそうだったよ」


    頭の後ろで手を組んだ王馬が、子どもみたいにヘラヘラと笑いながら柱の陰から現れた。


    「……何のつもり?」


    「それにしても、よく気付いたよね!オレ結構かくれんぼや鬼ごっこ得意だからさ、普通の人間なら気づかれる訳ないと思ったんだけど…」


    口元に人差し指を当て、不審な笑みを浮かべながらこちらに歩み寄ってくる。無邪気な表情をするくせに、底が知れない。


    「ああ、そうか!超高校級の保育士である春川ちゃんの周りには気配だって消せる程上手に隠れる子どもがいるんだね!すごいなー、オレもその中に混ざってみたいよ。ねぇ?春川ちゃんの周りにいる子どもは一体どんな超人だったのかなぁ?」


    何の意図があるのだろう。此奴はきっと、自分が才能を偽っていることに気づいている。本当の才能まではわからないため、直接話しかけてきたのだろう。
    だとしても、それを明かすことに何のメリットがある?


    今この場で過ごすことに何ら不利益があるでもない。この場で才能を偽ることの何が不満だというのだろう。
    だけど、此奴の意図が何だろうと関係ない。


    「……コワい顔してるね。まるで人でも殺してきたみたいだ。そんな顔してさ、そんなんじゃ、子どもから怖がられちゃうんじゃない?保育士にしてはあまりにぶっきらぼう過ぎる」


    ただ単に腹立たしいのだ。知った風な口を聞かれるのも初めてではないが、何故かこいつに対しては特別に腹立たしいものがある。


    「子どもはみんな普通だし、あんたが何を想像してるのか知らないけど特別はことは何もないよ」


    「ふーん、子どもは、ねぇ…」


    「いい加減にしなよ、そろそろ鬱陶しいよ」


    「だから言ってるじゃん、コワい顔しない方がいいよってさ。折角の忠告なのに無視するのはよくないと思うなー」


    王馬の声が段々と低くなっていたのに違和感を感じた直後、彼の視線の先から誰かしらの足音が聞こえることに気付いた。


  5. 5 : : 2017/07/20(木) 22:01:33
    「おーい、ハルマキ!王馬!そんなとこで何してんだ?」


    背中の方から大きな声が聞こえた。見た目通りに騒々しく、パーソナルスペースという概念を理解していなさそいな男だ。何故か、よく絡んできて、珍妙な呼び名をつけられてしまった。



    「だから、その呼び方やめてって言ってるでしょ」




    何度否定しても訂正しない為、半ば諦めてはいるのだが、素直に返事をするのも癪なのでお決まりのよう呼び方を変えるよう応える。


    「そんなことより、赤松たちが近い内にパーティを催すって言ってたんだ。手伝う事もあるかもしれないからな、後で赤松たちの所に行って聞いてこようぜ!」



    「イヤだよ、めんどくさい。東条がいるだろうし、それで充分でしょ」


    「いいや、お前はくるべきだ。この百田解斗が必要だって言ってるんだからな!」


    こいつを諦めさせるのは無理だろう。王馬のように目敏い人間もそうそういるとは思えない。いたとしても、黙らせればいい。



    「あのさ」


    春川と百田の間に割り込んできた王馬が、拗ねた顔をして両腕を広げていた。



    「オレは春川ちゃんと話してたんだけどなー?いきなり割り込んで来て何のつもりかな。話し相手を盗られて悲しくて悲しくて」


    「別にお前も話に入って来たらいいじゃねぇか…」


    「いちゃもんでもつけたいだけでしょ。ほっときなよ、そんなやつ」


    「ひっどーい!春川ちゃんってばそんなこと言うんだー!一緒に命懸けのサバイバルを生き残った中なのに…うわーん!ひどいよーー!」



    泣きながら10メートル程駆けると、此方を向いて、にしし、と笑いまた駆けて行った。



    「まったく…騒々しいやつだな」


    「あんただって同じ様なもんじゃない?声の大きさなんかは」


    「おっ!ようやく他の奴にも目を向ける様になったか。成長したな、ハルマキ!」


    「だからその呼び方…」





    此奴と喋っていると、ペースが狂っていく。長年かけて作り上げた自分の鎧が剥がされていく様だった。度々、今までの自分を否定したくなる気分になるのは、悪い気分ではなかった。
    なぜこんな気分になるのか、なぜこいつが自分を気にかけているのか。そんな疑問が浮かんでは沈んでいく。
  6. 6 : : 2017/07/20(木) 22:08:28










    研究室の扉を閉め鍵を閉めた。長い溜め息をひとつ吐き、近くの木椅子に座り込む。


    今この場には間違いなく自分1人しかおらず、周りを意識する必要もない。外用の自分を演じている訳ではないが、塞ぎ込みがちの自分からすれば対人コミュニケーションは、しかも少人数制のものは苦手そのもの。無駄な気疲れをしてしまう。注目されるのは嫌いではない(寧ろ好きな方だ)が、魔法使いとしてでない自分に干渉されることは、見せたくないものを無理矢理覗き込まれるようで好きではない。



    例えば赤松楓。活発で明るい真面目な女子で、周りの人間に積極的に干渉する。その姿は勿論好ましい。だが彼女と対面していると、自分の中の何かが脅かされる感覚がしてなんとも言えない恐怖に足下が竦んでしまう。



    不意にノック音が聞こえ、夢野さん、と自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。居留守を使うべきだろうか。だが鍵をかけた為に自分が部屋にがいる事はすぐにわかるだろう。めんどいが、彼女のことだから大ごとにしてしまう可能性もある。



    扉をゆっくり押し開き、必要以上の笑顔を浮かべる彼女に目を向けた。



    「夢野さん!捜しましたよ!」


    茶柱転子、彼女も赤松と同じ様に一対一のコミュニケーションを求めてくる内の一人だった。男嫌いで、なぜか執拗に自分の元に寄ってくる。もしやそっちのけでもあるのだろうか。自分は魔性の何かを振りまいていたのかもしれない。


    「…何か用でもあるのか」


    「ええ、ここに集まる皆さんとで、交流会を開こうという話がありましてね。皆さんから参加すると言質を頂きに参りました!男死は来なくてもいいんですけれど…赤松さんから止められてしまいました」


    「そりゃそうじゃろうな…」


    「夢野さんは来てくれますよね。東条さんが腕を振るったご馳走に、赤松さんの演奏、他にも色々あるそうですし、来る以外の選択肢はありません!」


    何人かが得意なものを発表する場でもあるのだろう。それなら、自分も魔法を一つ見せてやってもいいかもしれない。



    だが、



    「めんどい…、行くか行かんかは後で決める、お主は他の奴らの所にでも行ってこい」


    夢野は茶柱の次の言葉を聞く前に扉を閉め、鍵をかけた。今は欲しいのは1人の時間だ。誰かから求められる事ではない。


  7. 7 : : 2017/07/20(木) 23:17:08
    両腕を上げ大きく伸びをした。慣れない場所の為かどうにも緊張する時間が多く、1人の時間は数少ない癒しの時間だ。茶柱は近くにいない為、思う存分時間を自由に使える。



    だが自分で何をするか考える事も、めんどうだ。茶柱に振り回されていた時の方が何も考える事なく楽だったのかもしれない。少し前の疲労感を思い出し、自分でその考えを否定した。



    「秘密子ー、そこに立っているってことはアンジーの絵の中に入りたいってことでいーのかなー?」



    不意に後方から声を投げかけられた。日が暮れかけているせいか、丁度彼女の後ろから陽が照っているようで神々しい。彼女は住む島では巫女の立場であるようだから当然といえば当然かもしれないが。



    「すまんな、邪魔だったか?」


    「んーーアンジーは邪魔だとは思わなかったよ。それに秘密子の事はまだ描いたことも彫ったこともないから、丁度いいよー。カミサマもそう言ってる」



    「それなら…こう、ポーズでも取るべきかのぅ…?」



    「秘密子が取りたいならとってもいいけど、神さまはこの絵の構図を気に入ったから変えたくないってー」


    「そうか…残念じゃのぅ…」


    構図が決まったのであれば動いても問題ないだろうと考え、制作途中のそれに近づいた。


    「アンジーは、いつも楽しそうじゃな」
    その言葉が聞こえたのか聞こえなかったのか。5分ほど取り憑かれたかのように筆を動かした後、千草色の瞳を真っ直ぐに此方へと向けた。


    「にゃははー。秘密子、不安なの?寂しいの?」


    夜長は夢野に近付き、母のような、女神のような、慈愛に満ちた顔を見せた。


    「それならアンジーが抱き締めてあげようか。ほら、おいで?」


    夜長は両腕を大きく広げ、夢野に微笑みかける。橙の陽の色が彼女を温かに魅せる。


    「アンジーは、1人で寂しくないのか?」


    「アンジーにはカミサマがいるからね。別に1人じゃないよー。秘密子にも、マジック…じゃなかった、魔法を見せる時たくさんの人と一緒だよねー?」



    「まあ、そうじゃが…」



    「特定の誰かに一緒にいて欲しかったりするの?…アンジーにはよくわからないなー」


    夜長は夢野にゆっくりと歩み寄り、抱きしめる。ごく自然に行われたその行為に、多幸感に包まれていく。


    アンジーには共通点の様なものを多く感じていた。普通の人間からは疑いを持たれるもので自分を保ち、それをみる人間にフィクションに近いものを見せて生計を立てる。


    互いにそのフィクションの裏側を知る人間として、誰にも言えないものがある人間どうしで。



    そうではなく、たまたま彼女の方を寂しそうに感じただけかもしれない。 1枚の紙に、混ざりあわない真逆の色が、誰かが混じった1つの風景を描いていた。
  8. 8 : : 2017/07/20(木) 23:53:49











    「最原くん!いきなり言い出したことなのな、こんなに手伝ってもらって申し訳ないな。ほんと、ありがとうね。最原くんと一緒に楽しめて本当によかったよ」



    ピアノが中心を陣取るこの部屋に、赤松は最原を招き自慢のピアノを弾いていた。次は連弾でもしようか、それとも曲をテープで流して2人で聴こうか。


    だがなぜか、最原から声が聞こえない。




    「おーい最原くーん!…んもう、寝ちゃったのかな」



    倉庫になら毛布があったはずだ。寝ているのを動かすのも悪いから、せめて風邪をひかないように暖めてあげよう。


    最原の帽子を取ると、彼の綺麗な顔がよく見えた。彼が帽子を取ったのは、見るたびに初めて見たときのように新鮮に感じる。


    帽子を無くした事に気付いた彼は、酷く驚ろいていた。それこそ、まるでなりすました別人のように。



    怪しいとは思った。

    だけど、それを誰かに伝えてなんになるというのだろう。


    倉庫から戻る途中、暗がりから人影が見えた。


    「誰…?」


    人影は偽物の月明りの下に来ると、その白い顔をあらわにした。


    「やだ、最原くん。驚かさないでよ、起きちゃったんだ」


    赤松が帽子を外したのをそのままなのか。彼の整った顔が、青白い光によく映える。


    「おはよう。赤松さん」


    だがその口から出た声は、最原のものではなく、もう少し高い音のものだった。



    人影は、ウィッグを外し、その青髪を大きく靡かせる。

  9. 9 : : 2017/07/20(木) 23:59:56
    「3次元はコスプレできないんじゃなかったっけ?」


    白金は夢を見ながら赤松を見ているようで、カメラで誰かに伝えるように多数の何かを見ているようだった。


    「パーティ、楽しかったね。急にこんな所に連れてこられて。もしかしたら、疑心暗鬼に呑まれて殺し合いでも始まるかもしれない」


    白銀は、悲しむ様に、憐れむように、呆れたようにして言葉を紡いだ。



    「だけどそうはならなかった。」





    誰に対しての演説だろうか。そして何処の視線からの声なのだろうか。






    「なんでかな」



    「私たちは人間じゃないの。ただ平面にあるだけの私たちは誰に育てられた事実はないし、証拠もない。


    だから、私たちキャラクターは、子どもに渡されたお人形のように使い古されて、粗悪な扱いだって受けることだってあるかもしれないね。だけど、それがどうしたの?みんな願ったんでしょう?自分は他の人間とは違う、他人とは違ったところを持っている。


    その違うところを誰かに、できるだけ多くの人間に見せつけてやりたい。誰もが羨むその姿を。そんな想いが実り実ってキャラクターになったのに、今更人間扱いをしてほしいだなんて虫が良すぎるよね。この話に人間は一切出てません、出ていたのは創られたキャラクターです。

    だから、誰がどう扱われようと、その怒りや悲しみは消費されるための商品でしかないよ。

    だから好き勝手に作り変えることができる」



    「最原くんと赤松さん、別に大したイベントもなかったのに凄く仲良くなってるのとか疑問に思わなかった?

    そりゃ、そうなるように作られたからね。

    え?誰が?…もしかして私を疑ってるの?…

    違うよ。




    ね?キミだよキミ。」



    最原はゲームの電源を落とした。
  10. 10 : : 2017/07/21(金) 00:00:23
    「はい!ではひと段落ついたところで今日の配信は終了させていただきます。」




    突如として画面に映る映像が停止し、動画投稿者の肉声が耳を打つ。その瞬間に動画に夢中になっていた僕の意識は現実に引き戻された。



    先月発売した「NewダンガンロンパV3」は、世界観、ストーリー、交流を自分好みに表現することができる。その結果、終わらせた筈のダンガンロンパは未だに活気付いたものとなっていた。プレイ動画なんかも配信されており、先程視聴していたこれも、ファンの間である程度の反響を得ているものであった。



    ダンガンロンパを終わらせても、ダンガンロンパを好きな人は消えやしなかったのだ。奴等はダンガンロンパの復活を望み、僕たちの人格を破綻させて全くの別物語を創り出す。平和な日常を彼等と過ごしてはいないから、僕等がどう行動するかはプレイヤーの匙加減でしかない。


    吐き気がするような甘い台詞を吐く彼や、人間性を消されたのかと疑うほどに慈愛に満ちた彼女の台詞。それのどれもこれもが、もしかしたら実在したのかもしれないし、絶対にあり得ないのかもしれない。



    僕たちの経験したNewダンガンロンパV3は完全な物語ではなかった為に、あやふやな部分が多数存在するのだから、このゲームが流行るのも不思議な事ではないのかもしれない。



    ダンガンロンパに関する情報を極力主観を抜いて分析し、熟考するのが今の僕の日課となっていた。それが、ダンガンロンパに囚われたままだからなのか、僕が探偵だからなのか結論づけるのは難しい。


    そしてこの状況が悪いことか良いことなのかも判断するのが難しい。彼等が生きた証として多くの人の記憶に残り続けることと、今尚キャラクターとして僕たちが操られ続けていること。


    そのお陰で仕事にメリットが生まれていることもあり、明日食う飯に困ったことはほとんどなかった。


    そう生きるしかないのだ。否定したダンガンロンパから残ったものを引っ張り出して、設定を利用して生きるしかない。個人として嘆く感情を挙げることすら、何処かの誰かにいいように解釈され利用されてしまう。そうだとしても、居心地が悪いと声を挙げ、この時代の改善を目指すべきなのだろうか。



    僕はゲーム機の電源を入れ、NewダンガンロンパV3を起動させる。好きな社会でないのであれば、自分で創り出せばいい。現状に悩む必要がない学園生活をこの手のなかで描けばいい。そう考える僕も、もしかしたら誰かの考えた創作かもしれない。違う世界の僕ならば、きっとこんな諦めを受け入れずに生きているのだ。




  11. 11 : : 2017/08/20(日) 16:48:20
    \ /
    ーーーーーーーーーー



      /  ⌒  ⌒ ヽ
     /  ( ●)(●) |
    |    (__人__) }
    /、.    ` ⌒´  ヽ と思うやる夫だった

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Arute28

タオ

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