この作品は執筆を終了しています。
海に漂う秘められたもの。
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- 1 : 2017/07/15(土) 23:42:13 :
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なんとこちらチムコ祭り、ええ生きていないに決まっているじゃありませんか!!
大丈夫、と問われれば自信満々に不貞腐れて、んな訳、って答えたい気分です。
そして下記、素晴らしい参加者の皆様です。
『奴隷と愉快な仲間たち』
Deさん (チームリーダー)
あげぴよさん
カラミティさん
シャガルT督さん
わたし
『皆殺し』
タオさん (チームリーダー)
ノエルさん
ししゃもんさん
ライネルさん
スカイさん
『真山田組〜追放される空〜』
ベータさん (チームリーダー)
風邪は不治の病さん
Ut4m4r0さん
たけのこまんじゅうさん
フレンさん
チームコトダ祭りグループURL
【 http://www.ssnote.net/groups/2086 】
【役職】中堅
【ジャンル】ファンタジー
【キーワード】一意奮闘
そう言えばわたし、奴隷、なのか愉快な仲間達なのか、はたまたどちらでも無いのでしょうか。
そしてジャンルもキーワードも活かせて無いような気もしますがここまで来たら突っ走ります。
日付変わる前に投稿し終わるのが目標です。
後々黒歴史になるので多分>>1をいつか勝手に修正すると思いますが、そんな方に便利な機能!スクショ!!!そしてコピー!!
いつでもどこでも黒歴史を晒せます!!
とりあえず読んでいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。
天海の通信簿微妙にネタバレしました。
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- 2 : 2017/07/15(土) 23:45:40 :
今確かに俺の目の前には、
ずっと焦がれて、
思い続け、
考えるだけで苦しく、
自責の念を背負わずにはいられなかった
そんな相手が存在していた。
しかし。
それでいて
望んでいたものではなく、
予想外であり、
事態を拒絶せざるを得なく、
即ち受け入れ難く、
自らを責めずにはいられない
そんな状況にもなっていた。
ああ、なんという事だ!
「ウチになにか用か?」
妹がまさか、俺のことも、魔法も、何もかも忘れてしまったなんて!
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- 3 : 2017/07/15(土) 23:47:27 :
この世は表裏一体、と言えばいいのか。
至って普通、敢えて説明するなら不便な世界。
異常で異端、敢えて説明するなら普通の世界。
その二つが崩壊するかしないか、と言ったところでくっついている。
有り体に言ってしまうなら、人間界と魔法界になるだろう。
もちろん、人間界の人々はいわゆる魔法のことなんて知ることも無く、この世界は大きく二つに分けることが出来るとしたのも、魔法界の人々だ。
そして魔法界の人々の中には人間界へ移住するものもいる。
追放されたり、仕事だったり、よっぽどの変わり者だったりと理由は様々。
そのうちの一つが、俺の所属する天海家。魔法界で没落した貴族が、こちらへ来て商売を始めたところ大繁盛。
その人間界で通じる強い財力で、今では魔法界から来る人が色々な体験をするサポートを……。
「ああ、これは関係無かったっすね」
とにかく、そんな普通のおとぎ話を地で行くのがこの世界。
そしてこれは、いつか俺がどこかで置き去りにしてしまった妹を探すために奮闘した末のことだ。
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- 4 : 2017/07/15(土) 23:51:06 :
「ウチになにか用か?」
目の前にいるのは、俺よりも大分小さな、きっと小学生くらいの少女。
ストレートな赤い髪、眠そうな茶色の目、少し曲がった柔らかい口、全部俺とは似ても似つかない。
やっぱり、俺の妹の一人。秘密子だ。
「さっきからじっと見つめてきて……きしょいぞ」
バレていた。
友達と遊ぶ秘密子が本当に秘密子なのかを見極めていたのは本当で、一応スマホを眺めるふりをしていたが、バレていた。
子どもというのは意外と鋭い、と言われるものなので当然なのかもしれない。
「で、ウチになにか用か?」
「ははは……こりゃあ、俺のこと覚えていないっすかね」
「当然じゃ、お主みたいな者になど、会ったこともすれ違ったこともない」
どういうわけか俺のことをすっかり覚えていないけれど、この魂は妹の物で間違いないはずだ。
少しショックを受ける。
しかし、急がなくては。
ショックを受けている間にでも、このままでは見知らぬ年下の少女に話しかける変な奴、という感じになる。
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- 5 : 2017/07/15(土) 23:53:00 :
早く、早く俺のことを思い出して着いてきて貰わなくては。
「なら、思い出して欲しいっす」
「だから会ったことなんて無いと……」
「秘密子」
「っえ?」
叫び、騒ぎそうとした妹を止める。
もし、もしここで二度と出会えなくなってしまったら。またおいてけぼりにしまったら!
不安が俺を焦らせる。
どうしよう、もうこうでもしなくては。
焦りが俺を考えさせる。
おでこを触り、秘密子の目を見つめてとっておきを使う。
記憶が無いと思っておらず、思いつきで初めて行うことだから、とても危険なことだ。
勝手においてけぼりにして危険に晒したのに、また妹を危険に晒すのか。
本当にお前は兄なのか。
兄だとしても駄目な兄だ。
ぐるぐるぐるぐる。何かが回る。
後悔懺悔に苦悩苦悶。
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- 6 : 2017/07/15(土) 23:53:47 :
でも、もう一度妹と暮らしたい。
それだけだ。
だから俺は海に潜る。
秘密子のなかの、過去の海へ。
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- 7 : 2017/07/15(土) 23:55:29 :
名前というのは、とっておきの魔法だ。
魔法というのは本人にとって一番馴染みのあるものだったり、身近にあった存在だったり、そういうものが使いやすい。
その点名前は、馴染みがあり、身近にある。
本人が自分の名前さえ気に入っていれば、名前は最も使いやすい魔法だ。
本来必要な呪文も自らに刻まれたものとして省略でき、どう発動するかも由来という理由付けさえすれば、どんな無茶苦茶で思い込みで嘘だとしても、大魔法でさえ軽く生み出せる。
天海蘭太郎。
海であれば、どんな海でも潜り、渡ることができる。
海であれば。
例え、記憶でさえ過去の海としてしまえば。
俺は、
他人の記憶の航海でさえ可能にする。
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- 8 : 2017/07/15(土) 23:59:59 :
「ここが、秘密子のなかの……」
気づけばそこは海、いや、海のように見える秘密子の記憶の中だった。
俺が今からすることは、秘密子に無理やり俺のことを思い出させる。
思い出したら、連れて帰る。
失敗すれば、どうなるか分からない。
記憶を失うかもしれない。
でも、思い出してくれれば、きっと妹は俺に着いてきてくれるんじゃないか。
昔一緒だった時のように。
あくまで、希望的でなんの根拠も無くて、あっさり着いてきてくれないということもあるだろうことには、俺は目を向けなかった。
絶対に失敗しないという意思で、俺は魔法で舟を生み出し、秘密子の過去を漕いで行くことにした。
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- 9 : 2017/07/16(日) 00:04:42 :
たぷん、たぷん。
波で揺れる舟の上。操作は魔法で適当に設定した。
試しに海を手で触れば、秘密子のたくさんの思い出が流れ込んでくる。
楽しかったこと、辛かったこと、嬉しかったこと怖かったこと、褒められたこと、悲しかったこと……。
俺が知らない妹のことが、たくさんあった。
知らない秘密子を知っている者達への負の感情を抱えながら、「どれほどこれを登って行けば俺は秘密子をおいてけぼりにした時まで戻れるのだろう」という疑問が浮かぶ。
なにせ、初めて潜った海だ。
いや、潜ろうとは常々考えてきた。
ただ、記憶を過去の海として潜ることは研究実験段階で、安全な方法としてまだ確立していない。
下手すれば、秘密子の記憶の海には俺が沈み、今の秘密子のなかに俺、というか見知らぬ男の記憶が流れ込む。
そうすれば、かなりの負担とショックが秘密子を襲うはずだ。しかも、少女には耐えられない程の。
それは避けたいが、魔法を維持するための補助道具も無いため、かなりキツイものになる。
見知らぬ海を地図無しで渡るなんて、自殺行為だ。
だからこそ、この果てしない所の目的地へ早く到達したかった。
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- 10 : 2017/07/16(日) 00:07:47 :
たぷん
たぷん
たぷーん
たぷん。
記憶の流れが波をとなり、音をたてる。
しかし、この、暖かく冷たい、硬く柔らかい不定形としか例えようのないものが記憶とは思わなかった。
段々、スライムのようだと思い始めた頃、そこが見えてきた。
そことは即ち目的地。
目的地とは秘密子が忘れてしまったこと。
つまりは俺と離れてしまう以前のこと全てだ。
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- 11 : 2017/07/16(日) 00:12:10 :
最初は流氷のような塊が点々としているだった。
しかし流氷とは、流れてくる元が無ければ流れようがない。
流れてくる元。
そこが秘密子の記憶の果て、そして俺の目的地。
魔法が身近だった少女の記憶。
氷のように固く冷たい、そして巨大な、俺の妹だった頃の海の現在。
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- 12 : 2017/07/16(日) 00:14:08 :
氷の傍の海に手を入れてみると暖かく、今の秘密子を育てた人々との最初の出会いが流れ込んでくる。
こんなに、周りの海は暖かいのに。
固まった記憶は酷く痛い、痛いほど冷たい。
「……」
どうしたら溶けるか分からない。
ここまでやってきたのに、その方法が思いつかない。
触っても痛い以外、海のように思い出すら感じ取れない。
また一緒に、それだけで来たのに。いや、それだけだったから。
会いたくて探して、暮らしたいから見つけて、抱きしめたいからここまできて。
どうしたら溶かせるだろう。
どうしたら。
どうしたら。
どうしたら……。
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- 13 : 2017/07/16(日) 00:17:45 :
たぷん、
たぷん、
たぷーん。
たぷん、
たっぷん、
たぷん。
暫くして、自分が簡単なことに気づけていなかったことに気づく。
……そもそも、どうして固まってしまったのか。
溶かすなら、理由から。
落ち着いてもう一度氷に触れる。
「ああ、」
普通の世界では決して感じないもの。
記憶がないから彼女から感じることも無いと、あるはずもないと知らず知らずのうちに思っていたのか。
これは、驚いた。
「魔法だ」
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- 14 : 2017/07/16(日) 00:22:45 :
異常な世界で、最も使いやすいとされている魔法。
それは名前。
詠唱キャンセル、適当な意味付けでもあらゆることが理屈を飛ばして成立できる、まさに個々のとっておき。
秘密子のそれは、
誰からも、例え自分からもこのことを秘密にしてしまう魔法。
そして、
例え秘密子が過去を思い出しても全てを夢にしてしまう魔法。
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- 15 : 2017/07/16(日) 00:24:46 :
天海秘密子には使えない、どう足掻いても何かを夢には出来ない。
夢を海に見立てなければ、夢に触れることすら不可能かもしれない。
だからこれは。
記憶の海で手を伸ばして拾った、彼女の名前を脳裏に浮かべる。
言うなれば、「夢野秘密子のとっておき」だ。
「何でもかんでも、思い出した瞬間に夢にしてしまうなんて……」
そりゃないっすよ、という言葉はこの広い海の流れに掻き消されてしまった。
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- 16 : 2017/07/16(日) 00:28:23 :
「……お主、今ウチの名前を」
見知らぬ少女が顔を上げた所に、俺はいない。
あの子は妹では無かった。
よく似た別人だった。
そう、そういうことにしよう。
ただそれでも、せめてもの俺なりの餞を。
「んあ?」
辺りを見回す娘は、いつ気づくのか。
自分の周りを取り囲む、少し変わった花弁の花達と、その花びらの嵐。
その陰でひっそりと付けられた、青く光る髪飾りに。
本当は兄として俺がつけるつもりだったけれど、
ろくに幼い少女の魔法も破れない、不審な男として付けたなんて、
「本当、笑えないっすね」
なんて口角をややあげながら、空を飛び、そしてまた少女に会うことがありますようにと、密かに知り合いの神とやらに祈りを捧げてみることにした。
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- 17 : 2017/07/16(日) 00:31:38 :
「夢野さん!何を読んでいるんですか?」
「んあー……転子か」
夢野さんを覗き込むと、読んでいたのは花言葉の本。
「親戚に結婚式でウチの魔法を見せてくれと言われたのじゃ。……花を出す魔法なら、華やかだし良いかと思っての。で、せっかくなら花言葉がめでたいヤツにしようと思ってな」
「花言葉にまで気を使うとは、流石夢野さん!なら転子に、是非良い花言葉の花を見つけるお手伝いをさせてくださいっ!」
「いや、よ……」
「あ、蘭なんてどうでしょうか?前に転子、テレビかなにかで良い意味があると聞いた覚えがあります!」
そうして夢野さんから本をお借りして、蘭のページは、と目次をゆっくり目で追っていく。
ら行。ら行。ら行。
「でも、なんて花言葉だったかは覚えていないんですよね……あ、ありましたよ!蘭のページです」
「……この花、何だかどこかで見たことあるような気がするぞ。MP不足で思い出す魔法も使えんが……」
そうだ、蘭の花言葉はーーー。
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- 18 : 2017/07/16(日) 00:36:16 :
ひとまず遅刻しました!!!!!
ファンタジーもキーワードも吹っ飛んだ気がします!!!!
まとめてごめんなさい!!!!!!!!!
蘭の花言葉色々ありますが、どれも良いものだったような。
ここまで見ていただいた方々ありがとうございました!!
次回ありましたら、抱負は「余裕のある投稿」で!!!!!!!!
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- 19 : 2017/07/16(日) 01:07:40 :
- お疲れさまでした(っ´ω`c)
最後花言葉で終わるとは(;゚д゚)
記憶の海のところで、思わず天海を応援している僕がいました(っ´ω`c)
p.s 蘭全体を表す花言葉には「美しい」とか、「優雅」と言う意味があるとか……
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- 20 : 2017/07/16(日) 12:07:46 :
- 記憶(時間)の流れと波の流れを掛けた発想が非常に面白かったです。お疲れ様でした!
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- 21 : 2017/07/16(日) 23:59:48 :
- お疲れ様です。名前を話の内容と絡め魔法を決める発想力に惚れ惚れいたしました。ほんのりと残る寂しさが印象的です
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