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七海「それはきっと、うたかたの夢の様な」
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- 1 : 2017/07/13(木) 18:19:10 :
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超高校級のネタバレ。
スーパーダンガンロンパ2、ダンガンロンパ3の深刻なネタバレを含みます。
嘘とはったりと詐欺と欺瞞の物語。
これすらも嘘かもしれない物語。
だからこそ。
有り得ない物語。
とある深刻なネタバレに関わる人と七海との交流を描いた、いわゆる「??ナナ」です。
ご注意の程、よろしくお願い申し上げます。
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- 2 : 2017/07/13(木) 23:02:13 :
とある病室。
規定時間に目が覚める。
身体異常無し。感度良好。
思考活動にも一切の変異は見られない。
電気がついていない部屋。
そんな状態でも、僕の目は部屋の状況把握を可能としていた。
神経強化。および脳内情報処理速度の向上。
様々な才能を「付与」された僕にとってそれ位は造作も無い事だった。
??「……あぁ、ツマラナイ」
そんな感想を抱くまでに、僕として行動を開始してからさほど時間は必要としなかった。
予想し。推測し。分析し。
そして事実その通りとなる。
予定調和、とでも呼べばいいのだろうか。
こんな外界から隔絶された環境でさえ。
僕にはまるで手に取る様に様々な事が解ってしまうんです。
全てが解っている状態で目新しい事も無ければ、その状態に何かを見出す事はだんだん不可能となってくる。
簡単に言うならば。飽きてしまうのだ。
予測通りに医師が来室し、身体のバイタルチェック。
自身で自身の経過を確認できるというのに、医師はその仕事を譲る気はないらしい。
ツマラナイ。
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- 3 : 2017/07/14(金) 00:30:05 :
??「……さて」
いつものツマラナイ日課も終わると何もする事が無くなる。
ベッドの上でじっとしているだけというのもまたツマラナイ。
数日の間は何も行動を起こさなかったのでこちらの監視については警戒態勢は緩み始めているはず。
なのでまずは軽く監視カメラの前でベッドの前で歩き回る様子を映させる。
意味も無くベッドの周りを歩き回りタイミングを計る。
最初の緊張。そしてその継続。何も変化が無いと把握した際に訪れる気の緩み。
分析。計算。解析。準備。把握。掌握。
そして、ふとしたタイミングで動きを変えた。
「歩いている途中で気まぐれに方向を変えてみた」
そんな気楽さと共にカメラの死角へ一瞬で潜り込み。
そしてすぐにベッドの傍に戻る。
??「さて、と……」
ベッドに座り込み。
背中をカメラに向けて「右手に握り締めた折りたたまれた紙」を開く。
??「カメラの死角であり、そして医師も特に気にも留め無さそうな『植木鉢』……その土の中に、隠しもの、ですか。何事も無かったかのように隠蔽されていましたが……僕の目は誤魔化せなかったようですね」
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- 4 : 2017/07/14(金) 21:42:32 :
『こうやって自分に自分で手紙を出すというのも変な気分だけど、これを読んでいるのがどうか「俺」であってほしいと願う』
開いた紙は、そのような文面で始まっていた。
『俺の名前は日向創だ。改まって自己紹介するほど特別な人間じゃないし、こういうのは変な感覚だけど』
??「でしょうね。だからこそ、僕が生まれた」
誰も反応しないであろう呟きが、口から洩れる。
独り言という行為に意味は見いだせないが、成程。
こういうのも一種の貴重な体験かもしれない。
『俺は希望ヶ峰学園に憧れていた。そこの才能に憧れていた。……胸を、張りたかったんだ』
ツマラナイ。
才能の多くを手にしても何も変わってはいないんです。
ただ見えるものが多過ぎて自分の視覚があまりに陳腐に思えてしまうだけ。
シロもクロも大差ないんですよ、「日向創」。
『もしこの手紙を書いた事があるなら、これは笑って破り捨ててしまって良い。いやもう、読む必要なんて全然ないし。書いててなんだけど結構きつい』
『だけどもし、これを書いた事や、そもそも「俺」自身の事を忘れてしまっているのなら』
『頼むから、読んでほしい』
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- 5 : 2017/07/15(土) 22:15:37 :
次の日。
僕は外を出歩いていた。
当然僕の存在は極秘中の極秘。
評議員は僕の外出を認めたがらなかった。
しかし。
「探偵」としての論理。
「ギャンブラー」としての度胸。
「ゲーマー」としての駆け引き。
その他諸々の、僕に「付与」された才能達。
それを駆使した上に上の連中を説き伏せ、外出する権利が与えられた。
??「自由ではなくあくまで権利であると強く主張する辺り、また何とも言えませんが……」
お約束の様に追跡してきた学園からの監視員は才能を使ってさっさと撒いた。
僕には人に見つからないで歩く位簡単に出来る、と説明しておいたのに、どうにも信じてもらえないらしいですね。
??「さて、と」
校門が近づいてくる。
希望ヶ峰学園。
希望ヶ峰学園であって、そうではない場所。
予備学科。
その場所に、「彼女」はいた。
鞄を背負ったまま、身体こそ校門、そして予備学科の校舎に向けたまま。
視線は手に持つ機械に集中し、指先が忙しなく動いている。
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- 6 : 2017/07/15(土) 23:42:12 :
さて、ここまでくれば後は確認をするだけだ。
周りを見渡す。
「幸運」にも、丁度今このタイミングにおいて誰も下校している生徒がいない。先程の集団で一区切りの様だ。
??「始めますか」
呟くと同時、ゲームに夢中の少女の後ろまで音も無く歩いて行き。
キーワードを口にする。
「ギャラオメガ」と。
??「?!」
反応を確認。
間違いありませんね。
彼女こそが、超高校級のゲーマー。
七海千秋。
日向創が、親しくしていた人物……。
では把握出来たのでいよいよ行動に移しましょうか。
??「静かに。貴方に危害を加えるつもりはありませんが、少々お付き合い頂きたいんです」
七海「!?」
静かに手を彼女の口元に当てて、傷付けない様、しかし抵抗されない様力加減を調整して後ろから提案する。
??「繰り返します。危害を加えるつもりはありません。貴方と対話する機会を設けたいので、場所を変えたいのです。同行願えますか?」
七海「……!」
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- 7 : 2017/07/16(日) 00:58:49 :
七海はしばらく視線を彷徨わせる。
助けを無理やり呼ぶ機会を探っているのだろうが、そうはいかない。
「幸運」にも、周囲に誰も人はいないからだ。
それを把握したのか、やがて彼女は力なく頷いた。
??「助かります。では場所を移しましょう。あぁ、それと。僕の顔は見ない様お願いいたします。貴方の後ろを歩きますので」
忠告と共にゆっくり歩き出す。
言葉で時折指示を出し、方向を指定。
人目に付きにくい場所に移動する。
誰にも見つからない様に、と評議員からも色々と言われているので最低限それには従っておく必要がある。
こちらで監視の目を撒いている分余計にだ。
それにしても、と七海の方を見やる。
思いのほか冷静ですね、彼女は。
視線の向け方といい、諦めずに何かしらの好機を探っている姿勢といい。
成程。「超高校級」という才能であるからには、やはりそれに見合うものがついて回るのでしょうね。
貴方が憧れる訳です、日向創。
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- 8 : 2017/07/19(水) 00:50:44 :
しばらく歩き、公園の外れ。
開けているにも関わらず、死角の多い良い場所を発見した。
これなら丁度話し易いだろう。
いざとなれば再び捕まえる才能も、僕にはありますので。
??「……では、この辺りで。僕の顔を見ても大丈夫ですよ」
七海「……。……ッ!?」
とりあえず腕を離す。
七海は少し迷ったかの様な素振りを見せた後、それから振り返り僕の顔を見て。
そして、そこで動きが止まった。
七海「……え、あ、れ?」
??「……どうかしましたか?」
瞳孔の拡大を確認。
揺れるそれに動揺の感情が確認できる。
この反応という事は、やはり。
七海「日向、君……?」
その様な反応となりますか。
日向創と親交が深かった彼女なら。
僕と肉体が同じである以上、そこに日向創の雰囲気、空気、そのようなモノを感じ取れる、という事でしょうか。
七海「日向君、だよね……!?」
??「……それは、僕の名前ですか」
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- 9 : 2017/07/19(水) 01:36:36 :
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実感が湧かない。
現実感が感じられない。
日向創と僕が、肉体が同じという事実。
それがあるだけ。
僕は、日向創ではないのです。
七海「……そのっ、久しぶり!えっと、髪とか、えっと……どう、したの?」
僕の言葉に戸惑ったかの様に口をつぐんで。
しかしそれでも、沈黙には耐え切れないかの様に、目の前の彼女は懸命に言葉を口にする。
??「あぁ……これは、単に髪を切ってないだけです。ここしばらく、ずっと実験として部屋にいたので……」
七海「じ、実験!?え、どういう事……!?」
??「……あぁいえ、失礼しました。入院です。事故で、大きな怪我を頭に負ってしまいましてね……」
……嘘は、言っていない。
脳の手術において色々と「損傷」し「修復」したのは事実なのですから。
七海「じ、事故!?頭に!?だ、大丈夫、なの……!?」
??「こうやって出歩く事が可能になった程度には無事です。ですが……」
口を閉じ。少し考え込んでから。
言葉を口にした。
??「すいません。記憶が、無いのです」
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- 10 : 2017/07/19(水) 22:39:14 :
今度こそ。
そう、今度こそ、七海の動きが完全に固まった。
呼吸すら忘れたかのように。
目の前でまるで誰かが殺されたかのように。
七海「記憶が、無い……?」
??「はい。脳に重大な損傷が見られ、それを修復する事は何とか成功したものの、その後遺症は残ってしまう形となりました」
目の前の彼女が、身体を震わせる。
恐怖か。不信か。不安か。
七海「覚えて、ないの。何も……?」
??「はい。貴方は、僕と、知り合いだったんですか?」
七海「うん。……うん、そうだよ。じゃあ、だって、どうしてさっき、ギャラオメガって……!」
??「あぁ、知識はある程度存在しています。しかし、あくまで自身が何をしていたのか、という記録が僕の中に残っていないんです」
あるはずがないんです。
僕は日向創と全く違う人物ですから。
つい最近生み出された存在なのですから。
記録が、ある訳がない。
七海「じゃ、じゃあ、自分がギャラオメガを何回連続クリアしたかも覚えてないの……?」
??「はい、全く」
七海「私と、この時間に、いつもあのベンチでゲームをしていた事も……?」
??「はい、全く」
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- 11 : 2017/07/20(木) 20:22:50 :
七海「……記憶が、戻る可能性は、無いの……?」
??「……」
ない。あるはずがない。
だって僕は日向創とは違う。
違う名称で呼ばれている。
だが……それを言うのは、躊躇われた。
躊躇う。躊躇う?
くだらない。理由が見いだせない。
ツマラナイ。言っても言わなくても大差がないだけだ。
七海「……そっか」
僕の沈黙をどう捉えたのか。
いずれにせよ、それは勘違いに過ぎません。
だって、そもそもの前提が嘘なのですから。
最初から全てが間違いなのですから。
七海「……じゃあ」
??「……なーんてな!」
七海「……えっ?」
そう。
ツマラナイ。
七海の人柄を今の会話や日向創の書置きから大体推測は出来ました。
次に言うであろう事も大体予測出来た。
そのままであるのならあまりにツマラナイ。
ならばこそ。
日向「ぷっ、っくく、あっはっはっは!いや、ここまで綺麗に上手くいくとは思わなかったな!」
僕は、その予測をあえて全て台無しにしてみよう。
そう、思ったんです。
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- 12 : 2017/07/20(木) 22:57:37 :
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七海「……えっ。えっ、えっ?日向君?」
日向「おう、俺の名前は日向創だ。悪いな、だいぶ待たせちゃってさ」
僕の言葉に、再び七海が眼を見開く。
七海「えっ、えっ、でも、さっき、事故で」
日向「あぁうん、事故ってのはほんとだよ。そのせいでしばらく七海に会えなかったのも、事実だ」
七海「っじゃ、じゃあ、記憶は?!」
日向「それも、最初の頃は忘れてた。ほんとに記憶喪失だったんだよ、俺。記憶が戻るかどうかも正直怪しいって医者に言われてさ」
だけど、と続ける。
嘘を、続ける。補強する。
日向「思い出せたんだよ。……七海と、一緒にゲームできたことをさ」
僕にはわかりません。
才能を持ち過ぎて何もかもをツマラナイとしか感じられない僕には、貴方の感情を完全に理解出来るとは思っていません、日向創。
才能も何もない存在が、超高校級の隣にあって。共にあって。
どのように感じていたのか。推測し予測する事は可能ですけれど。
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- 13 : 2017/07/22(土) 14:52:57 :
日向「……思い出したんだよ。七海が、俺に言ってくれた言葉を」
才能なんて、あったってなくたって関係ないと。
その言葉にどれほど日向創が救われたのだろう。
わからない。理解も共感も出来はしない。
だって、その言葉の通りなら。
今、ここに「僕」は存在しないはずなのだから。
日向「っはは、結局七海には助けられてばっかだな」
七海「……そんな、こと」
日向創の書置きに書かれていた彼の思い出。
その中でもやはり憧れの超高校級、その一人である七海千秋から得た「何か」はかなりのものだったのでしょう。
しかしそれも大きな波の一部の中の僅かな波紋に過ぎなかったのでしょう。
いえ、七海千秋の起こした波が、それより大きな波が起きてしまった事により打ち消された、が正しいのでしょうか。
……どうでもいい事ですね。
それよりもまずは、目の前でどんどん涙目になり、怒りの感情を隠せなくなってきている彼女についての対処を考えねばならないでしょう。
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- 14 : 2017/07/22(土) 20:50:54 :
七海「……ッ!馬鹿!馬鹿、バカッ!日向君の、バカァッ!」
堰を切ったかの様に、という例えが適切なのだろうか。
しばらく肩を震わせたかと思うと、七海は僕を睨んで唐突にそう口にした。
日向「お、おい、七海……?その、あんまり大声出すと」
七海「うるさい!また明日って!また明日って言って!あの時、あんな事を言っておいて!嘘つき!日向君の、嘘、つきぃ……ッ!」
……これは困りました。
あの時、というのはおそらく日向創と七海千秋が最後に出会った時の事なのでしょうが。
その時の会話については日向創は書置きに何も記していませんでした。
つまりここにおいて予測推測をまた行わなければいけない訳なのですが、不確定要素がある以上、下手な行動は嘘の露見を招きかねない。
日向「……」
なのでここでは、無言を貫くしかない。
七海の感情が荒れている事こそ判断可能ですが、周囲へ余計な影響を及ぼさないかどうか。
軽く周囲を観察した所、「幸運」にもまだ人らしき気配は見つからない。僥倖です。
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- 15 : 2017/07/22(土) 22:14:17 :
七海「嬉しかったんだよ?……日向君に、あんな事、言ってもらえて……本当に、嬉しかった。もっと話したかった。もっと一緒に遊びたかった!もっと一緒に、一緒にいて!いろんなものが見られるかもって思ったのに!1人じゃ出来ない事も協力プレイできると思って、嬉しかったのに……!」
日向「ちょ、ちょっと待てよ七海!俺は、確かにお前に助けてもらったんだ。お前の言葉で、俺自身ちょっとハマりかけてた考えから抜け出せたのもあるし、そこは感謝してる!」
とりあえずまずは糸口ですね。
ここを起点に情報を確認し、無理のない形で擦り合わせるとしましょう。
日向「だけど、俺は……!俺は、七海に何かしてやれたのか?……才能が無い俺なんかに、そんな気の利いた事が言えたなんて、思えないんだけど……」
そう言葉を口にすれば、七海は拳を握りしめた。
間違った対応でこそないものの……成程、そういう反応となるのですね。
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- 16 : 2017/07/23(日) 00:10:17 :
七海「……ねぇ、日向君。それも、忘れた振り?それとも……本当に、忘れちゃったの?」
日向「……悪い。思い出せたとはいっても、正直混乱してる部分が無い、とは言えない」
だけど、と真っ直ぐ前を向く。
七海から視線をそらさない。
ここは誠実に向き合う姿勢が必要でしょう。
日向「だけど、俺は覚えてる。お前にぶつかられた時も、お前が態々予備学科まで俺を誘いに来てくれたことも。あのベンチで一緒にゲームして。喋って。そう言った事は、きっちり覚えてる」
つまりは、そういう事だ。
自身にまだ不安こそあれど、七海との記憶に間違いは無いという認識をここで定着させる。
七海「……そっか」
溜息1つ。
それから後、少し落ち着いたのか、七海はぽつりと呟く。
七海「日向君はね、こう言ってくれたんだ。私には、ゲーム以外でも、立派なところが、沢山あるんだって」
日向「……それは」
七海「そうじゃなかったんだ。私は、超高校級のゲーマー。それだけ。ゲームしか、むしろ私にはなかったのに」
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- 17 : 2017/07/23(日) 23:53:31 :
七海「日向君、前に言ってたよね。超高校級の才能に、憧れてるって」
日向「……ああ」
七海「……正直に言うとね。そう言われて良い気はしたけど……実は、日向君に少し嫉妬してたんだ」
日向「嫉妬?七海が……俺にか!?」
予備学科。
金ヅル等と呼ばれるしかない、才能に憧れ諦めきれなかった存在達の坩堝。
希望ヶ峰学園という名に文字通り希望を見出しその光に少しでも近づこうとした結果の、影。
その中の1人に、目の前の少女は嫉妬の感情を抱いたというのか。
七海「さっきも言ったけどね、超高校級のゲーマーって、結局はゲームしか凄いところが無いッて意味なんだ」
微笑みながら、七海は続ける。
七海「君はそうは言ってくれなかったけど。けど実際そうなんだ。私はゲームしか出来ないし、ゲームが好きだから、今、希望ヶ峰学園にいる」
日向「……良い事じゃないか。自分が好きな事を、認めてもらえるって」
七海「うん、そうだね。……だけど、逆に言えばさ。ゲーマーとしての私しか、見てもらえないんだ。……つまり、才能しか、見て貰えてない気がするんだよ」
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- 18 : 2017/07/24(月) 01:19:01 :
日向「……努力すれば、俺はなんにでもなれるって……七海、言ってたよな」
七海「うん。……ゲームの点でしか見られない私と違って、日向君なら……ってさ。羨ましかったんだと……思う」
……何という。
日向創も七海千秋も、この反応だとお互いに精神的負荷を掛けあっていたという事でしょう。
お互いがお互いを羨み、妬む関係。
……最初に一種のきっかけが来たのが、日向創だった。そういう事でしょうか。
七海「だから、日向君に、あんな風に言ってもらえて、本当に嬉しかったんだ。超高校級の皆だけじゃない、日向君とも仲良くなれて、本当に嬉しかったんだ。日向君なら……その。私の良い処、他にも見つけてくれるかも、って」
日向「……そう、だったのか。……何だ。俺、七海に助けてもらってばっかだって、思ってたのに……」
七海「違うよ。……助けられてたのは、私も、なんだ」
……。
嘘のやり取り。
これは虚構。これは偽証。
日向創も七海千秋も。
本当は、相手に真意を伝えられないままに終わっている。
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- 19 : 2017/07/24(月) 02:50:41 :
七海「なのに、だよ。なのに、あの時そんな事を言ってくれた日向君は、あの時『また明日』なんて言ってくれた日向創君は、その次の日からさっぱり音信不通になっちゃってね!」
日向「あ、あはは……」
この怒りも、結果的には偽りです。
だって、七海の知る日向創はもう、どこにも存在しないから。
方向性を見失った感情や言葉は、意味も喪失している。
即ち、ここまでのやり取りは。
全て、全て。
無意味であると理解する定めにあり。
虚構の一部として廃棄される運命にある。
あぁ、なんてツマラナイ。
傍から見れば滑稽で有り退屈でしかないやり取り。
……そう。「傍から」見るのであれば。
視界を変えてみるというのは……やはり、良い経験なのかもしれません。
日向「……そのー、七海、さん?えっと、どうやったら許してくれるでしょうか?」
七海「……私に嘘までついておいて、まだ許してもらえるとか思ってたんだ?」
日向「うぐっ」
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- 20 : 2017/07/24(月) 23:30:50 :
七海「……今日、まだ時間ある?」
日向「いや、悪い。こうやっているのもぶっちゃけ、病院抜け出してるようなもんでさ……そろそろ、やばいかも」
七海「じゃあ……いつなら時間、空いてる?」
日向「えーっと……」
今回の動きで僕は再び、しばらくの間監視体制が強化される。
それをどれ程上手く説き伏せるかにかかってきますね。
だとすると……長すぎてはいけない。かといって、念の為にある程度の猶予は欲しい。
日向「……3日。3日くれれば、何とか会える」
七海「解った。じゃあ、その日、また会わない?また、あの場所で……待ってるから」
日向「あの場所か……解った」
あの場所。
日向創も印象に残していた、書き残していたあの場所で間違いないでしょうね。
噴水前の、ベンチ。
七海「この約束を破ったりしたら……」
日向「……したら?」
七海「本気で、怒るからね」
日向「もう十分怒ってるような……や、なんでもない」
ジト目を向けられ、言葉を撤回。
日向「……それじゃあ、その。『また今度』な」
七海「うん……『またね』」
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- 21 : 2017/07/24(月) 23:48:27 :
帰ってからの僕を待っていたのは溢れんばかりの怒号と罵声でした。
機密中の機密、希望ヶ峰学園の闇の最奥。
それが監視の目を離れ、勝手な意思で歩き回っていたともなればそれは勿論最重要の懸念事項ではあるでしょう。
僕の身を案じているとは言うものの。
くだらない。その本音は僕の身に何があったのか、ではなく、その先。自身の立場の安定こそ不安要素なのでしょうに。
ツマラナイ。
ツマラナイ。
あぁ、あまりにも単純で有り、予定調和に落ち着き過ぎている。
故に、僕が行う事は簡単です。
相手の言葉を聞き流し、その発言の中での相手の本音が滲んだと思わしい点を簡潔に纏め。
相手の話が一区切りした時点においてそれを直接相手に向けた上で、自分の才能、そしてその在り方と最低限の必要事項を確認し照らし合わせ妥協させる。
評議員も決して無能ではなくそしてまた計画性が無い訳では無い。
即ち、不確定要素を排除し、その上で利があるとさえ納得出来るならば、彼らに意見への納得を求める事は可能なのです。
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- 22 : 2017/07/25(火) 00:32:27 :
その結果、無事に再び外出する権利を僕は認められた。
多少印象が悪くなる事も懸念し、数日に猶予を延ばしましたが……懸念にしか過ぎなかったようですね。
まぁ僕の才能ならば、これ位は簡単だった、という事でしょうか。本当に、才能というものは世界を左右すると謳われてもおかしくないものですね。
……あぁ、ツマラナイ。
それより別の事に考えを巡らせないと。
七海との接触について。
彼女と行動を共にする事になる訳だが、そこで僕の嘘がばれてはいけない。
よって、考えられる行動パターンを推測し予測し計算し、対処を考えておかなければいけません。
……とはいえ。
食事や買い物と行った用件は下手にこちらの機転を利かせるとかえって勘繰られるだけの事。それならば何も難しい事は考えずに日向創を演じるだけで問題無いでしょう。
ならば、やはり考えるべきは。
七海とのゲームについて、だ。
彼女が超高校級のゲーマーである以上、ゲームの感覚、癖、その他諸々の要素からこちらを見抜いてくる可能性が高い。
故に、その対策に僕も全力を注ぐ必要があると考えます。
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- 23 : 2017/07/26(水) 02:51:31 :
まず何のゲームをする事になるのか。
これは……そうですね、話題にも上がったギャラオメガをまずは基準と考えましょうか。
とはいえ、そのゲームを僕自身が目覚めてから触れた事が一度も無い為に、実質上初見という扱いになるでしょうね。
最初はそれでいいでしょう、しかし僕の才能ならコツや感覚を掴む事は難しくはないはず。
なので、慣れてきてからが本番ですね。そこからいかに七海を騙すかがポイントとなってきます。
……あぁ、そういえばゲーマー知識ではありますが、こういう概念があるそうですね?
「縛りプレイ」と。
……ゲーマー本人から聞いてはいないので確実と呼ぶ事は出来ませんが、それでもその意味は推測し考察する事は可能です。
即ち「普通にやっては楽しめない、あえて難易度を上げる事でよりスリルを楽しもうとする企画」。
……普通にやっては楽しめない。ツマラナイ。
成程。
やはり、色々と視界を変えてみるのは、中々に良い事のようですね。
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- 24 : 2017/07/26(水) 23:08:21 :
そして、約束の日。
太陽がだんだん力を失い始めた、その頃になって。
僕は評議員との取り決めの通り、外出を許可されました。
お約束の様に追跡して来る黒服の連中をまたもや振り切り自分の存在を隠したうえで。
約束の場所。
公園の噴水前の、ベンチ。
そこに彼女は、ゲーム機に熱中しながら座っていた。
……いつもの場所。約束の場所。
日向創も、こうやっていつも七海千秋を見ていたのでしょうか。
……いえ。ツマラナイ考察でした。意味も得るものもない。
気配遮断は解除して彼女の目の前に立っているのですが、超高校級のゲーマーの性なのか、全然僕の事に気が付いていませんね。
七海「……わ」
日向「わりぃな、七海。待たせちゃったか?」
この前と同じように、眼を手で塞ぐ。
彼女間の抜けた声と、そしてゲーム機からは先程とは違ったBGMが聞こえた。
七海「うぅん、全然?けど、折角良い調子で行けてたのにゲームオーバーになっちゃった……」
日向「あ。わ、悪い、つい……」
慌てた振りをしながらも、彼女の状態を観察する。
表情に特に目立った変化なし。筋肉の特徴的な硬直も見られない。精神的には普通であると見て間違いないでしょう。
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- 25 : 2017/07/26(水) 23:27:16 :
日向「さて、それじゃ……悪いな、また前みたいに場所移動していいか?」
七海「え?ここでしないの?」
日向「いや、その……実は、今回も病院抜け出してきてるから、目立つとやばいというか……」
七海「3日くれ、とか言ってたから、てっきり話を付けてきてたのかと思ってた。……というか、目立つのは、その長い長い髪のせい……だと思うよ?切らないの?」
日向「まぁ、その……ほら。頭、手術痕があるから……な?あんまり見せて良いもんでもないしさ」
変に髪を切ったりすれば、それはそれでまた評議員に何か言われそうで面倒なだけです。
そもそも、髪を切る意義も理由も見出せませんしね。
七海「ふぅん……まぁ、良いよ。それじゃ、行こっか」
日向「あぁ」
2人で歩き出す。
取り留めも無い雑談。
ツマラナイ会話を時折挟む。
病院では何をしてるのか。頭の調子はどうなのか。
77期生のクラスはどんな様子なのか。誰がどんな才能で誰がどうしたのか。
話すだけで、何の結果も意義も得られない会話。
超高校級じゃなくても、まさに世の中で取るに足らない一般人でも出来る行動。
それを楽しそうに。
本当に嬉しそうに、七海千秋は行うのだ。
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- 26 : 2017/07/26(水) 23:39:28 :
七海「それじゃ、やろっか、日向君」
日向「おう、約束だしな。けど……良いのか?俺、結構ブランクあるし……大分腕前、落ちてると思うんだけど」
自分のゲーム機を取り出しながら言う。
……まさか日向創の持ち物を探せばすぐに見つけ出せるとは思ってもいませんでした。
それだけ大切なものだったのでしょうか。それとも、捨てきれない未練があっただけでしょうか。
……くだらない推測でしたね。
七海「もう、それは前も言ったじゃん。……一緒にやるだけでも、楽しい……と、思うよ?」
日向「……そういうもんか」
七海「そういうもんだよ。……まぁ、恨みもかねて、今日は本気でフルボッコで行くから……覚悟して欲しいな?」
日向「やっぱり怒ってんじゃん!」
そんな事を言い合いながらゲームを起動し。
指を動かす。
集中し。分析し。解析し。考察し。
脳内で幾通りもの理論の回路を組み立てそれを文字として最出力。
回路の中でどれがより手間か。危険か。それらを選りすぐり何度も何度もシミュレートを重ねていく。
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- 27 : 2017/07/26(水) 23:59:22 :
結果。
日向「くそ、やられた!やっぱり七海は強いな……!」
七海「ふふん。ゲーマーを甘く見ないでほしいですぞ。……にしても、驚いたなぁ。ブランクっていう割には、全然、凄かった……と思うよ?」
僕は七海千秋に敗北していた。
とはいえ、ゲームの基本はやって少しすれば大体掴めたでしょう。
最初は勝手が解らず、とりあえず知らないなりにやってみましたが……それでもある程度の成果は出たようですね。
日向「そうかぁ?……それじゃあ案外、七海と前までやってたのが俺の身体に染みついてたのかな」
七海「ふふん、流石私!……って事で、良いのかな?」
日向「まぁ、そういう事になるかな。うっし、もう一回やるか?」
七海「お、良いね。受けて立つよ」
もう一度ゲームを開始する。
先程得た情報から攻略に役立つものをいくつか選び出し。
それに関する情報の中で難易度が高いモノを「禁止」する。
縛りプレイ。
その概念を最大限活用し、僕の選択肢を縛る。手数を減らす。
その上で、もう一度七海との戦いに臨む。
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- 28 : 2017/07/27(木) 00:37:13 :
日向「うーん……結構いけると思ったんだけどなぁ……!」
七海「……」
日向「……七海?」
ゲームが終わり、いつの間にかじっと僕を見ている彼女。
七海「うぅん。日向君……何か、変わったなって」
日向「へ?俺が?」
七海「うん。だって、前だったら、あの場面であんな風にやるなんて、思わなかったし」
日向「……まぁ、そりゃあ、俺だって考える位するさ。ずっと同じままだったら、そりゃずっと勝てないだろ?」
……こちらとしても隠蔽しているはずなのですがね。
過去の経験などもあるでしょうが、印象で勘付いてきましたか。流石は超高校級ですね。
……もっとも。そんな才能も、僕は既に手にしてしまっている訳ですけれど。
七海「……そっか。やっぱり、変われてるんじゃん」
日向「才能が無くても。ってか?」
七海「そうだよ。日向君は……変われる。何だって、なれるんだ」
その表情の動き。その瞳の揺らぎ。
あぁ。つまりは、また精神的負担。
彼女が日向創に感じていた、嫉妬と羨望の心。
……あぁ。それは、なんて。
無意味でツマラナイ。
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- 29 : 2017/07/27(木) 01:45:36 :
日向「……うっし、七海。じゃあ、今度はあれやろうぜ?協力モード……だったっけ?2人でやる奴!」
七海「……え?あぁ、もうリベンジは良いのかな?」
日向「それはまた今度。こういう協力ゲーも悪くないだろ?ほら、俺だけじゃどうしても厳しいと思うからさ。七海が一緒にやってくれたら、ほんとに心強いと思うんだ」
七海千秋を励ます手段を、僕は知りません。
興味も無ければ、そもそも自分自身が励ますのに適した人物だとも思えません。
僕から言えるのは……超高校級の才能は、求められるものであるという事だけ。
だからこそ僕はここにいる訳なのだし。
……必要とされる事は。
誰にも見向きもされない事より、よっぽど有用だとは思うのですが。
七海「解った。それじゃ、とことん付き合ってもらおうかな」
日向「勿論。俺が言ったんだしな」
どちらかともなく微笑んで。その振りをして。
その後、しばらくゲームで遊んだ。
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- 30 : 2017/07/27(木) 02:05:33 :
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七海「はぁ……楽しかったぁ……」
日向「そうだな」
気が付けば、空はすっかり夕暮れに染まり。
空の端は暗く、青く、黒く滲んでいた。
七海「……ねぇ、あのさ」
日向「んー?」
七海「身体の調子は、どうなのかなって。こうやって抜け出せるって事は、もう大丈夫……なんだよね?大丈夫じゃなかったら、日向君を怒らないといけないけど」
日向「大丈夫じゃなきゃ流石に抜け出さないって。まぁこれも、一種のリハビリって感じでやってるんだけどな」
七海「そっか。じゃあさ……今日だけ、じゃなくて。また、こうやって、一緒に遊べる?」
評議会からは約束を取り付けてある。
説明もしてあるし、あちらの言う通りに振る舞えばこの外出の権利も保証はされるだろう。
日向「あぁ。連日……だと、流石に先生にも叱られちゃうから……そうだな。今回みたいに、数日置き。たまに長引いて、1、2週間は空くかもしれない。下手すると1ヶ月とかもっと行くかも。だけどまぁ、そんだけ長引くんなら、流石に事前に連絡するし……それでも、良いんなら」
七海「……もう、何も言わないままいなくなっちゃったりしない?」
日向「悪かったって!ちゃんと、今度は言うからさ」
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- 31 : 2017/07/27(木) 02:16:31 :
七海「解った、じゃあ約束。また、遊ぼうね」
日向「あぁ。……約束だ」
こうして。
僕と七海は時折落ち合っては、一緒に遊ぶようになりました。
僕は僕という存在を隠し通さなければいけない為、他の場所に一緒にいく事はあまりありませんでした。
ですので、大抵はいつもの場所で落ち合い、そのままゲームする流れが主流となっていました。
たまに七海がお菓子などを買ってきたり、どこかで作ってもらったらしき料理を持って来ては一緒に食べます。
その折には、ツマラナイ話題を交わします。
僕の近況。七海の近況。超高校級としての生活。街や道のりで見かけた本当に些細な出来事。
波紋を呼ぶかどうかも怪しい、些細で関心を持っても仕方ない、どうでも良い話題の数々。
そんな、世界に何も残せないような、どうでも良い吹き荒ぶ塵の様に無意味な出来事が積み重なり、そして時間は過ぎていく。
世界は動く中、僕と七海はここだけ時間の流れを弄ったかのように、あまりに何もない時間が過ぎていく。
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- 32 : 2017/07/27(木) 02:31:39 :
ある日。
七海にゲームでいつもの様に負け続けていた僕ですが、縛りプレイを行っていた僕でも七海を大分追い詰める状況に陥った。
僕の縛りプレイに問題があったかと再演算し確認しましたが特に異常も見られず。
ならば、原因は。
日向「……七海?どうした?」
七海「あ、うん……ごめん。昨日、良く眠れなくて……ちょっと調子狂ってる、かもしれない」
日向「眠れなかっただけかー?何か悩んでたりしないだろうか?」
瞳孔の動きを確認。
反応に若干の動揺と思しき空白。
図星でしたか。
七海「そんな事無い……と、思うよ?」
日向「まぁ、俺も七海と一緒にゲームやってるとさ。才能が無いなりに、ちょっとは相手の事が解ってきてるつもりだぞ?だから、気になってな。勿論、話したくないんなら無理に言わなくても良い」
その言葉に、しばらく迷ったような素振りを見せた後。
七海「ねぇ、日向君……久しぶりに会った時の事、覚えてる?」
そう、切り出してきた。
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- 33 : 2017/07/27(木) 02:39:08 :
日向「久しぶりっていうと……俺が、事故の怪我から復帰した後か」
七海「うん、そだよ。私を、日向君が連れ去った時の事。……あれ、結構怖かったんだからね」
日向「わ、悪かったよ……こんなかっこだし、いきなり声かけるのもあれかなって思ってさ」
頬を膨らませた七海に、苦笑しながら謝罪する。
その、振りを、する。
七海「夢、見たんだ。あの時の、本当に何もかも忘れちゃった日向君が、出てくる夢」
日向「……それは」
七海「うん、ただの夢だよ。だけどね……たまに、解んなくなっちゃう。ほんとは日向君はもういないんじゃないかって。1人でゲームしてる私が、寂しくて、日向君と一緒に遊んでる、楽しい夢を見てるんじゃないかって」
何の反応も返さない。
虚飾と偽証を積み重ねた僕に、いや、そうでなくとも「日向創ではない」僕に言うべき事が見つかるはずがないのですから。
七海「こういうの、何て言うんだっけ。えーと……あ、そうだった。うたかたの夢みたい、っていうのかな」
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- 34 : 2017/07/27(木) 02:52:51 :
うたかたの夢。
現れてはすぐに消える水泡。
何かあれば、すぐさまに消えてしまう、白昼夢。
その認識は間違っていない、七海千秋。
嘘を積み重ねた現在のこの在り方は、それ故に根底の嘘を1つ暴くだけで本当にあっさりと瓦解する。
どれだけ強固にしたとしても。いや、どこまでも強固にしようとしたからこそ。
世界という影響の波は変わらない。
予測できる。理解出来る。確信できる。
いつか、僕という希望を求める者が現れる。
「カムクライズル」という希望を用いて、世界に変化をもたらす時が現れる。
決定事項。予定調和。
ツマラナイ。ツマラナイ。ツマラナイ。
だからこそ、その時にこそ、僕は。
カムクライズルは、全ての嘘を暴く。
うたかたの夢を、終わらせる。
あぁ、それはきっと。
ツマラナクハナイ何かを、残せるだろう。
全ては、その為に。
だからこそ今は、夢に沈もう。
あぁ、確かにそれは、きっとうたかたの夢で。
願わくば。
その終わりは、せめて。
希望が見た夢であったと、思えます様に。
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- 35 : 2017/07/27(木) 02:56:37 :
だいぶ長引いた上に、最後が駆け足となってしまった事、誠に申し訳ありません。
という訳で、カムナナとでもいうべき、ほんのひと時の夢のお話でしたが、いかがでしたでしょうか?
V3から入った自分は、その後1・2Reloadをプレイし、そしてつい最近、ようやっとアニメダンガンロンパ3を見まして。
その流れで、書いたものとなります。
ほんの少し、何かがずれた世界。その結末、大まかな流れには違いは生まれなかったとしても、何かしらの波紋は起こったのだと。
楽しんで頂ければ幸いです。
それと、遅れましたがスーパーダンガンロンパ2、5周年おめでとうございます。
素敵なキャラクターと物語に。
感謝を。
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- 36 : 2017/07/27(木) 12:52:17 :
- ほんの少しずれただけってことはこのあと七海は……合掌
面白かったですお疲れ様でした
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- 37 : 2017/07/27(木) 21:32:33 :
ほんの少しのずれかもしれませんが、そこの中心にいるのがよりによってあのカムクラなので……何かしら起こるかもしれません。
面白いと言っていただき、ありがとうございます。
何かしらその様に楽しんで頂けたら幸いです。
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- 38 : 2017/08/22(火) 14:56:14 :
- スレタイに惹かれて読んでみましたが、正解でした。縛りプレイというワードが最初に出たシーンでハッとなり、感心してしまいました……。
面白かったです!お疲れ様でした!
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- 39 : 2017/08/22(火) 19:53:47 :
コメントありがとうございます。
カムクラという存在が、あえて縛りプレイを行うという流れなのは、ひとえに彼の奥底に最早消し去られたであろう少年の、とあるゲーマーへの想いが燻っているから。
その様なイメージをもって、描写させていただきました。
楽しんでもらえたのならば、幸いでございます。
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