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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

この作品は執筆を終了しています。

狛枝「黄金色の踏み台」

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  1. 1 : : 2017/07/06(木) 01:42:01



    モノクマ「ニューおちんちんランドV3始まるよ~!」

  2. 2 : : 2017/07/06(木) 01:42:26

    >>1
    ゴン太「わぁい!」
  3. 3 : : 2017/07/06(木) 01:42:44

    第2の剣「我は性剣。性を司る下腹部の剣。チームコトダ祭り突発参加チーム『ナイツオブクイーン』の次鋒也。ジャンルはサスペンス。キーワードは支離滅裂。いざ推して参る」

    百田「やべぇぞ!特に理由がないただのでしゃばりで作者が主張してきやがる!素直に>>1で挨拶しておけばいいのに!下手に変わったことして自滅してるパータンだ!」

    天海「間違いなく地雷ssっす!」

    赤松「まずいね、あいつはこの砲丸で……」スッ

    白銀「待って白銀さん!それ砲丸じゃなくて……」

    ピキーン

    ー開きアナルー

    最原「わ"がっ"だ!」

    赤松「うるさいよ最原くん」

    最原「ごめ"ん"ね"、赤"松"ざん"」

    赤松「最原くん喋るとめんどくさいよ。だから口を閉じなさい、ね?」

    最原「わ"がっ"だ!」

    赤松「口を閉じなさい」

    起ー勃「最原くん、何がわかったんですか?内なる声も気になっています」

    最原「うん、実はね」

    白銀「って普通に喋っとるやないか~い!」ビシッ

    白銀さんのつっこみで空気は凍った。

    陰キャがでしゃばるからだ。

    僕はでしゃばらない。絶対に。


  4. 4 : : 2017/07/06(木) 01:43:00

    最原「話を元に戻そう。赤松さんが持っていたのは砲丸じゃなくて……」

    スレタイ、1レス目、2レス目。全てが物語っている。この真相を!あれは絶対!!おちんちんに関連している物!!

    最原「……バッグ・クロージャーだよね」

    赤松「くっ!」

    真宮寺「バッグ・クロージャーはパンを止める奴だヨ」

    赤松「うんうん!真宮寺くんは物知りだね!」

    最原(何ッ!?)

    おかしい。

    この流れで物知りと褒められるのは僕のはずだ。

    何故なら赤松さんが手に持っているそれを見て真っ先に正式名称を口にしたのは僕だから。

    僕のはずなんだ!

    しかもなんだあの変わり身の早さ!女豹か!女豹赤松!

    最原(うっ、これは口に出したい……爆笑間違いなしだ!)

    言うしかない!!

    最原「めひょ

    ゴン太「チンポチンポチンポ」ドドドド

    最原「ギャーーー!」プチプチ

    赤松「あぁっ!最原くんが消された!」

  5. 5 : : 2017/07/06(木) 01:43:18

    モノクマ「ハイみんなー!おちんちんランドが始まってるのに無視して話を続けるのはよくないよ!」

    最原「まずい!あいつに主導権が握られる!」

    白銀「って生きとるんか~い!」ビシッ


    陰キャがでしゃばったからまた空気が凍った。何度目だ。うんざりだ。

    正直おちんちんランドだって何番煎じかわからない。

    最近Twitterでおちんちんランド開演とかいうクソ画像が流行ってるせいで皆見慣れてるんだ。飽きたんだ。

    おちんちんランドという言葉に込められた思いは、力は、確実に失われているんだ。

    どうにかしなくては

    僕が、どうにかしなくては!

    最原「僕がこの最悪なシナリオを止める!」


    真宮寺「チンポチンポチンポォ~!!」ドドドド

    最原「ぐぁーーー!!」プチプチ

  6. 6 : : 2017/07/06(木) 01:43:34

    茶柱「ここで転子のネオ☆合気道のコーナーです」

    夢野「ふたなりか!?ふたなりか!?」

    茶柱「慌てない慌てない。ネオ☆合気道のオはぁ~……?」

    夢野「おちんちんランドォーーーォオオオーーーーーのオォーーーーーー!!!!!!」

    茶柱「おちんちんランドォ♪おちんちんランドォ♪」

    夢野「おちんちんランドォ♪おちんちんランドォ♪」

    2人は逆ムーンウォークをしながら病院に入っていった。

    診断の結果、風邪薬が渡された。


  7. 7 : : 2017/07/06(木) 01:43:49

    同じくして、病院

    王馬「ゴホッ、ゴホッ」

    春川「次の方どうぞー」

    王馬「失礼します」ガラッ

    春川「今日はどうされましたか?」

    王馬「風邪を拗らせてしまって……」

    春川「わかりました。10秒間目を閉じていてください」

    王馬「はい」

    王馬「……もういいですか??」

    パチッ

    置き手紙「おつかれ」


    王馬「おちんちんランド!?」


    ガチャッ


    春川「おちんちんランド!」

    王馬・春川「ララ(おちんちん)ランドォ~~♪」

    ガタッ

    王馬「……ん?何か物音がしたね。誰かいるのかい?」

    「チューチュー、チューチュー」

    王馬「ネズミか……」

    「僕は様々な土地で様々な人間を見てきた…すべての人間は醜い面も含めて…とても美しいんだ。だから…僕は興味があるんだ。この困難な状況で人間のどんな美しさが見られるかネ」

    王馬「なんだ真宮寺ちゃんか。しっしっ」

    真宮寺「クク…クククク…人間っていいよネ」サッサッ

  8. 8 : : 2017/07/06(木) 01:44:06

    モノクマ「ウィーーースどうも、KUMAでーーーす」

    モノクマ「おちんちんランドを開演したんですが……」

    モノクマ「だーーーれも来ませんでした」

    モノクマ「何がいけなかったんでしょうかねー」

    モノクマ「宣伝もちゃんとしたし……女友達10人連れて来るとか言ってた人もいましたし……」

    モノクマ「まぁ茶化してきた奴等のパソコンにはウイルスを流し込んで、そんでウイルスバスター配布して、更に強いウイルス流してやりましたけどねー」

    モノクマ「えー、では最後にボクがひとりで、5%の確率で性器を露出して終わろうと思います」


    モノクマ「思い出しライト」ボロン


    END.


  9. 9 : : 2017/07/06(木) 01:44:43





    おまけ

    狛枝「黄金色の踏み台」





  10. 10 : : 2017/07/06(木) 01:44:57

    例えば

    超高校級の発明家、入間美兎は画期的なアイデアに基づいた数多の発明品を世に排出しており、その気になればタイムマシンすら夢のポケットから取り出すことが出来るだろうが

    核兵器は作らない。


    例えば

    超高校級の格闘家、大神さくらは霊長類最強と称され、人並み外れた圧倒的なまでの身体能力を以て事実格闘技の世界では頂点に立っているが

    核シェルターを素手で破壊することは出来ない。


    例えば

    超高校級の幸運、狛枝凪斗はその身に極端なまでの幸運と不運を宿しているため

    核シェルターをまぐれで破壊することが出来、万物を偶然生み出す可能性がある。


    狛枝凪斗が希望ヶ峰学園の裏側に呼び出されたのは、この世に存在するありとあらゆる才能を持つ超高校級の希望を人工的に生み出すプロジェクトが失敗し、 被検体となった予備学科生が死亡した次の日のことだった。


    「狛枝凪斗くん。キミの幸運を役に立ててみないか?」


    すり鉢状の会議室の真ん中で、狛枝は肥えた老人のしゃがれた、すがるような声を聞いた。


    狛枝「ありがたい話ですが……」


    返事をする際、苛立ちを悟られないように気を使った。

    元より、希望の学園から甘い汁を吸うだけの羽虫に用も、興味もない。

    それに超高校級の希望を人工的に産み出すなど、真の希望ではないと狛枝は考えていた。

    故に、この話は狛枝にとってまったく縁がない。

    丁重に断り、狛枝は階段を上がっていく。


    例えば

    狛枝が今しがた横を通りすぎた評議委員の一人がたまたま持ち合わせていたスタンガンを懐から取りだし、警戒心を欠片も持ち合わせていなかった狛枝が不運にも電流の餌食になってしまったとしたら


    この物語は、とある一室、狛枝が目を覚ますところから始まるのである。
     

    狛枝「……ここは?」

  11. 11 : : 2017/07/06(木) 01:45:13


    長方形の部屋の中、扉はひとつ。

    狛枝は扉から一番離れた場所にいた。

    部屋の中心には部屋の形をそのまま縮めたようなロングテーブルの上、光が幾つも並んでいる。

    それらの光の正体は、ナイフとフォークであることを理解した。

    立ってみれば、視界の両端に、この部屋を挟むように存在する調理台と冷蔵庫があった。

    見渡す限り、ここは厨房のようだった。

    それも、簡易的な。小学生の寸劇の出し物のようなチープさに誘われて、即興劇を連想してしまう。

    相手側も、予想外。

    ことがすんなりと運ぶと読んで、読み違えて、こうなった。

    ガチャッ

    扉が開く。

    ゆっくりと、暗い場所から現れる使者。

    静かに燃えた瞳をこちらに向ける、闇より紅い空蝉の刃。

    戦刃「キミを殺す」

    残像が発した言葉は、置き去りにされ消えていく。

    陽炎のように消えていく。

    命のように消えていく。

    人の形は見えなくなり、風を切る音がした。

    次はボクだ。

    狛枝の足が動き出す。

    単調かつ最短、効率的に、扉へ向かって走る。

  12. 12 : : 2017/07/06(木) 01:45:26

    ただそれは勿論あくまで一般人の物差しであって、軍人から見れば幼子の四足歩行と同じ。

    狛枝の背後に気配が移った。

    身体能力の差も相まって、距離が縮まるのは一瞬だった。


    狛枝「知ってるよ」

    戦刃「!」

    狛枝「超高校級の軍人戦刃むくろ……キミに殺されるのなら、ボクはとっても嬉しいんだけど……」

    狛枝が振り返れば、自然と目が合う。

    濁った光の瞳と、深淵の輝く瞳が相対する。

    狛枝「今じゃない。また今度、そしたら喜んで踏み台になるよ」



    【幸運】



    戦刃「!」


    斬りかかろうと飛びかかった瞬間、彼女は滑った(・・・)

    元より、厨房の床は滑りやすい。故にそこを仕事場とする職人達は滑りにくい靴を選ぶのだ。

    狛枝も、戦刃も、靴は至って普通のローファー。

    何か意図的な理由で戦刃の靴が選ばれたかは、彼女自身知る由もないとして。

    数多の戦場を駆け巡り、過酷な環境下に身を置いてきた彼女が、何故厨房で足を滑らせたのか。

    それは彼女が暗殺者ではなくて、軍人だから。そして、ほんのちょっぴりの幸運。

    偶然にも2人の唇が重なり、唾液が糸を引いて離れるまで、互いの体内時計が停止する。

    心を無にしてナイフを走らせる。そんな簡単かつ当たり前のことが、戦刃には叶わなかった。

    それより早く、テーブルから取ったナイフが戦刃の首筋に立てられたから。

    彼女が所持していた膨大な経験値が、殺人に至るまでの一連の動作をルーチンワークと認識してしまっていて、戦場からかけ離れた攻撃に対する選択肢を見つけられなかったからこそ生まれた隙である。

    狛枝がナイフを奥へと走らせると、白銀のナイフは赤く染まっており、染め上げた物が飛び散った。

    片方の体内時計が正常に作動したが、もう片方の体内時計は動かない。

    きっと、これから先もずっと。

    力無く倒れた超高校級の軍人を見下ろして、狛枝は出口と思われる扉を開けた。

    狛枝「がっかりだ。彼女ならこの程度の不運乗り越えて見せると思ったのに……」


  13. 13 : : 2017/07/06(木) 01:45:41





    「ほう、流石の幸運だな」

    そう呟いたのは、革製のソファに身を預けた初老の男。

    男の視線の先にあるのは巨大なモニター。そこに映されているのは今にも厨房を出る狛枝の姿だった。

    膝に抱えた丸々太った猫を撫でながら、赤ワインの注がれたグラスを口に運んだ。

    男は希望ヶ峰学園評議委員のひとりであり、この件の提案者であり、即ち黒幕とも言い換えられる人物である。

    「最初からこうすればよかったのだ。養殖の鰻より天然の鰻の方がずっと美味い。お前もそう思うだろ?」

    猫「にゃあ」

    「ハハッ、言えてるな」

    男は満足げな笑みを浮かべ、己の書いたシナリオが結末に向かう瞬間を待ちわびて、グラスの縁に噛みついた。





    モニターの内へと視点は戻る。

    扉の先、狛枝を待っていたのは嫌がらせのような日光と、不快な程の熱気。

    足裏に伝わる柔らかい感触の正体は砂。

    生命を拒む地。砂漠。

    振り返れば飾り気のない小屋があり、開けっぱなしの扉を見ても、そこは確かに自分が居た場所である。

    狛枝「……」

    何から何まで、支離滅裂。

    思考は不要と判断して、狛枝は再び小屋の中へと戻っていった。

    外の暑さは、少し堪えた。


  14. 14 : : 2017/07/06(木) 01:45:57

    戦刃の死体を一瞥して、テーブルの下の棚や冷蔵庫を漁ることにした。

    収穫は多かった。食料が、おおよそ1ヶ月分。
    蛇口を捻れば、いくらでも冷水が出た。

    狛枝(まるで、ここで過ごせと言われているみたいだ……)

    いくら幸運と言っても、乱数が絡まない確定事項を覆すことは出来ない。

    いくら即席のロケーションと言っても、脱出は不可能と言い切れる。何故なら、主犯は間違いなくあの希望ヶ峰学園なのだから。

    抵抗するだけ労力の無駄。そう割りきった狛枝の最初の行動は、横になることだった。





    1日目 
    戦刃むくろ 死亡
    幸運 発動を確認



    次の日。

    狛枝は目を覚ますと、まず冷水をコップ一杯分口に運び、続けて固形の食料で栄養を補給した。

    その後一旦外に出たかと思うと、ものの数分で厨房へと戻った。

    この行動は今後、日課となる。

    そして日課を終えると、しばらくすれば決まって扉が開く。

    今日はこれから続く1ヶ月の、2日目である。

    ガチャッ

    セレス「狛枝先輩、よろしくお願いしますわ」

    狛枝「ん、キミも知ってるよ」

    狛枝「超高校級のギャンブラー……お会いできて光栄だ」

  15. 15 : : 2017/07/06(木) 01:46:11

    狛枝が歓迎の意を示すが、セレスは一瞥もくれずテーブルの前に立ち、業務のように淡々とトランプをテーブルに並べていった。

    セレス「ポーカー、ルールはご存知?」

    狛枝「もちろん。……ってことは、セレスさんとギャンブルが出来るの?」

    机を挟んで、セレスの正面に立つ。

    ゲームはすでに始まっていた。

    狛枝「凄いや……もしかして、毎日別の超高校級が会いに来てくれるのかな?」

    狛枝「おっと……今は目の前のキミに集中しないと。少しの希望も見逃したくないからね」

    配られた手札を視界の端に入れつつ、狛枝はセレスから目を逸らさないまま全ての手札変更を宣言した。

    セレスに首肯され、積み上げられた山札の上から5枚を手に取る。

    セレスに変更はなく、合意の元勝負は行われた。

    オープンされたのは、セレスのフルハウスを鼻で笑うような狛枝のフォーカード。

    この瞬間も、狛枝は視線を逸らさない。

    セレスは、ポーカーフェイスを崩さない。

    狛枝(いいね……さぁ、単純な運ではボクが勝った。けど、こんなの簡単に乗り越えるからキミが超高校級のギャンブラーなんだろう?)

    勿論、単純な運も常人のそれを遥かに凌ぐ豪運。

    加えて、荒くれ者達の集う地下の賭博場に女の身でありながら平然と出入りし、目に見える命のやり取りにも表情ひとつ変えず立ち向かう胆力。

    途方もない目標への努力、そして執着心から無数に湧き上がる高いモチベーション忍耐力。

    狛枝の目の前に立つのは、それらを以て常勝を体現した存在。

    超高校級であるが故

    常勝であるが故

    仕掛けないわけがない。

    次の勝負も合意され、互いのカードが正体を明かす。

    狛枝は変わらずフォーカード。それを見下すような、セレスのストレートフラッシュ。

    狛枝(そう!それが見たかったんだよ!)

  16. 16 : : 2017/07/06(木) 01:46:25

    セレスのポーカーフェイスとは対照的に、狛枝の感情が表情を昂らせていく。

    セレスが勝負を制する上で重要な要素である駆け引きが、狛枝の前では全て無効。

    狛枝の表情の変化など、勝負に影響はない。

    あるとすれば、感情の昂りが狛枝から冷静な思考を奪うこと。

    バレなきゃイカサマじゃない。なんて台詞は有名で、真実である。

    狛枝「聞き忘れてたけどさ、これは何を賭けているんだい?」

    狛枝が尋ねる。

    セレス「さぁ?私は聞かされていません」

    狛枝「嘘だよね」

    セレス「!」

    狛枝「ボクは知ってるよキミは授業で学校周辺のゴミ拾いを行う日、必ず休むタイプだ」

    狛枝「募金活動に勤しむ男に肩を叩かれたら、募金箱を踏みつけて痰を吐くだろうね」

    セレス「……」

    狛枝「ようはさ、キミの夢が叶うんだよね」

    狛枝の立てる人差し指の上、カードは糸に吊るされているかのように角を足として回転する。

    狛枝が止めるまで、カードは自らの回転を止めることが出来ない。

    狛枝「今まで積み上げてきた物を、たった1日で倍以上に重ねることが出来る千載一遇のチャンス。イカサマでボクを欺くことは出来るけど……ボクの幸運を欺けるかどうかはわからない」

    セレス「続けてくださいな」

    狛枝「本来なら確定勝利で終えるこのイベントに、どんな低乱数でも敗北が付きまとうのであれば、それはキミの望むところではないんだよね」

    狛枝「……もう少し、遠回りしたいな。折角喋れるから嬉しくてさ」

    セレス「どうぞ」

    狛枝は続けた。

  17. 17 : : 2017/07/06(木) 01:46:43

    狛枝「セレスさんは正々堂々とか真剣勝負とかって言葉は嫌いだよね?だから今みたいにイカサマも平然とするし、そもそもそんな人が賭博なんて出来ないよね」

    狛枝「だからセレスさんが好きなのはさ、虎視眈々、我田引水……少し踏み込んで、卑怯千万。こういう言葉だと思うんだよ」

    セレス「否定はしません。肯定も」

    狛枝「いいよ。これには」

    狛枝「遠回りした結果、逆に障害物が少なかったんじゃないかな?ボクが言いたいのはね、この勝負を負けてあげるってことだよ」

    セレス「……」

    セレスの血管がピクリと反応した。鋼鉄のポーカーフェイスに亀裂が走る。

    狛枝「キミの夢のために、ボクは喜んで踏み台になるよ。だってキミは、ボクの幸運を乗り越える希望を見せてくれたから」

    狛枝「やっぱりさ、ボクはボクの幸運を信じてるとはいっても皆にはそれ以上でいてほしいんだよ。安心したなぁ。昨日はがっかりしたから」

    セレス「それでは、この勝負は私の勝ちと?」

    狛枝「うん。話が早いし、要領がいい。ボクとは大違いだ」

    セレス「……それはいいのですが、貴方が何故ここに居て、このようなことをさせられているのか。そもそもここが何処なのか。といった疑問は生じないのですか?」

    狛枝「それはあるよ。でもね、セレスさんみたいな人と会えるなら、ここは希望ヶ峰学園の次に天国と言えるね」

    狛枝「アハッ、これもボクの幸運かも」

    セレス「なるほど。それでは、失礼させていただきます」

    セレスがトランプをまとめて、狛枝に背を向ける。

    扉に手をかけようとしたとき、狛枝の声がその手を止めた。

    狛枝「待って、忘れ物」

    トランプはなおも回転を続け、奇術師の顔と赤い背面が交互に表と裏を繰り返している。

    セレス「プレゼントですわ」

    そう呟いて、セレスは扉を開いた。

    狛枝「それは嬉しいなぁ」

    扉の閉まる音と重なって、その声が届くことはなく。

    今日という日の、最後の言葉となった。
  18. 18 : : 2017/07/06(木) 01:46:57





    2日目 
    セレスティア・ルーデンベルク 生存
    幸運 発動を確認



    次の日。その次の日。さらに次の日。

    狛枝の元に、続々と超高校級と呼ばれた人物が押し寄せていった。





    3日目
    松田夜助 生存
    幸運 発動を確認





    4日目
    最原終一 死亡
    幸運 発動を確認





    5日目
    ソニア・ネヴァーマインド 生存
    幸運 発動を確認



    狛枝自身が対象の本職を凌駕したケースのみ、対象の死亡が確認されている。

    幸運は確実に発動し続けている。

    幸運の影響を受けない才能と対峙した場合においても、幸運は発動している。

    しばらく様子を見る。




  19. 19 : : 2017/07/06(木) 01:47:16





    7日目
    王馬小吉 生存
    幸運 発動を確認





    12日目
    十神白夜 生存
    幸運 発動を確認





    22日目
    終里赤音 生存
    幸運 発動を確認




    30日目
    苗木誠 生存
    幸運 発動を確認



    30日を過ぎて、食料が枯渇した。

    数日は水のみで凌いだものの、やがて飢餓は臨海点を突破する。

    しかし狛枝の頭脳は希望ヶ峰学園の期待する一定の水準に達しており、食料の追加方法に気づく。





    44日目
    朝日奈葵 死亡
    幸運 発動を確認





    45日目
    罪木蜜柑 死亡
    幸運 発動を確認





    46日目
    夜長アンジー 死亡
    幸運 発動を確認





    47日目
    斑井一式 死亡
    幸運 発動を確認






    48日目
    御手洗亮太 死亡
    幸運 発動を確認


  20. 20 : : 2017/07/06(木) 01:47:37





    モニターの前で、男は眺めていた経過から取れるデータをまとめていた。

    狛枝凪斗は命の危機、飢餓を不幸と認識し、これまでとは比べ物にならない幸運であらゆる才能を凌駕し続けていた。

    それはまるで、この世の全ての才能を併せ持つ超高校級の希望とも呼べる程までに。

    男はモニターから目を離すと一息ついて、膝の上に乗る猫を撫でた。

    超高校級という才能は決して無数ではなく、限りある貴重な資源である。

    それを何人も、何人も、何人も費やして、たった1人の希望を養殖するこのプロジェクトに否定の声は多い。

    それでも何故、このプロジェクトが希望ヶ峰学園で可決されたのか。


    狂っているから。何もかも。


    さて、幸運と言っても、幸運は実体を持たない概念である。

    実体があるとすれば、それは狛枝凪斗である。

    狛枝凪斗は、人間である。

    人間であるなら、彼はいつか生き絶える。

    幸運は生き絶える。

    幸運は死を凌駕しない。

    死は才能による影響を受けない。

    最後に立ちはだかるのは、死である。

  21. 21 : : 2017/07/06(木) 01:47:53

    狛枝が朝目覚めると、入間美兎と不二咲千尋、月光ヶ原美彩の3人が既に室内に侵入していた。

    全員が武器を持っておらず、殺意及び敵意のないことを狛枝に告げると、狛枝は納得した様子を見せた。

    狛枝「それで、話って?」

    3人は一度口を詰まらせたが、意を決した様子でまず不二咲が口を開いた。

    不二咲「ここはね、仮想空間の中なんだぁ」

    狛枝「仮想空間?」

    不二咲は説明した。

    ここが新世界プログラムと呼ばれる仮想空間の中だということ。

    しかし仮想空間とはいえそのほとんどは現実とリンクしていて、例えば腹が空いても仮想空間内で食事を取れば空腹は満たされ、実際に食事を取ったわけではなくても生命を維持することが出来るということ。

    逆に言えば、仮想空間内で死亡した場合現実の肉体も仮想空間内と同じ結末を迎えるということ。

    そして、狛枝を超高校級の希望とするためのプロジェクトが現在も進行しているということ。

    狛枝「……」

    月光ヶ原「それも、今日で最終段階らしい」

    月光ヶ原が神妙な顔つきで告げる。

    入間「何が起こるかは知らねえ。知らねえが……」

    一瞬、通り過ぎる空白が緊張感の別称。

    入間「この小屋は、核シェルターらしい」

    何が起こるか、4人の頭は形は違えど同じイメージを共有した。

  22. 22 : : 2017/07/06(木) 01:48:06

    狛枝「なるほど、そっか」

    狛枝は視線を床に落とし、俯く。

    脳裏を巡るのは、これまで自分の手で終わらせてきた超高校級の面々達。

    リアルだろうとフェイクだろうと、狛枝は

    ボクは、超高校級の。

    黄金色の踏み台の上に立っている。

    そしてボクが。ボク自身の目指した踏み台は、いつの間にか棘が生えていた。

    狛枝「……」

    ボクは立ち上がり、天井を、正確にはその先にある、今もなおボクに向かってくる最後の来訪者を見つめた。

    命への冒涜である、最悪の兵器を。

    不二咲「……僕たちは最後に、それを教えるためだけにここに来たんだぁ」

    月光ヶ原「供物、ってところかな」

    狛枝「……いや、違うよ」

    狛枝は3人の超高校級を見下ろし、言った。

    狛枝「踏み台だ。確かに希望という存在でありながら、ボクの踏み台として輝くことだけを許された踏み台だよ」

    入間「……変わったんだな。お前」

    狛枝「いいや、何も」


  23. 23 : : 2017/07/06(木) 01:48:22


    両手を広げれば、時計の秒針の進む速度は上がる気がした。

    事実、刻一刻と迫っていた。

    それが加速しているかは置いておいて、着実に迫っていた。

    狛枝「大丈夫。ボクは自分の幸運を信じてるんだ」

    自分に言い聞かせるように、ではなく、周囲を導くように、狛枝は語りかけた。

    ちなみに

    狛枝の持つ幸運と不運は

    陰と陽の関係によく似ている。

    どちらかが偏ることは決してなく、両者が釣り合うように出来ている。

    この仮想空間の中で、狛枝は果たしてどれだけの幸運を発揮してきただろう。

    いつか貰った奇術師が、ポケットの中で鎌を研ぐ。今か今かと、来る出番を待ちわびている。

    天井の先、雲が裂け、人の産んだ災厄が姿を現す。

    その災厄から身を守るべく開発されたシェルターの中で、狛枝は呟いた。


    狛枝「何せボクは、超高校級の幸運……そして」

    狛枝「超高校級の希望だからね」


    ちなみに

    核爆弾と核シェルターの関係は

    ウイルスとウイルスバスターの関係によく似ている。






    モノクマ「思い出しライト」ボロン




    END.


  24. 24 : : 2017/07/06(木) 01:50:47

    覆面参加してすぐバラすのが流行かと思いました。(荒らし対策)

    チムコ祭りはまだまだ続きます。それでは、今度は本垢でお会いしましょう。

    お疲れ様でした。

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namazun

俺は勝つぞ

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