ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

最原「僕が探偵になるまで」

    • Good
    • 5

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2017/07/03(月) 23:10:31


    我が名は秘剣

    女王を護りし劔

    我が真の姿を見た者は生きては居らず。故に秘剣

    所属【ナイツオブクイーン】

    役職『先鋒』

    ジャンル『コメディ』

    キーワード『因果応報』

    いざ推して参る
  2. 2 : : 2017/07/03(月) 23:18:49




    確かあれは、その時期にしてはとても暖かい。冬の日のことだった















    【春原学院】



    カラカラカラカラカラカラカラ



    籠に鞄を押し込み、敷地内走行禁止という校則に則りカラカラと音を立てながら自転車を押す。

    今日の日付は2月12日。土曜につき午前授業。

    校門を越え自転車に跨ろうとした、その時。

    「ねぇ」

    そんな風に声を掛けられる。

    見慣れた制服だが、聞きなれない少女の声だった。

    最原「……え?僕?」

    「君が、最原君…だよね」

    最原「そ、そうだけど」

    「話があるんだけど…今、時間あるかな?」

    敬語ではないのだが、とても物腰は柔らかい。

    最原「急ぐ様な用事は無いけど…」

    強いて挙げるなら読みかけの推理小説だが、予定は無いも同然。少し格好をつけたかった僕は『急いで』は無いと返す。

    「そっか…。良かった」

    一瞬、告白か?と考えたが、名前と顔が一致してない時点でそれは無いだろう。

    僕も彼女と話した事は無い。…知らないわけではないが。

    胸元に刺繍されているのは舞園という名前。

    舞園「最原くんのお家って探偵事務所なんでしょ?」

  3. 3 : : 2017/07/03(月) 23:21:08



    何度か合同体育で見た顔だ。

    クラスは違うが、同じ学年なのは胸の刺繍が青い文字で書かれている事と、先程の記憶でまず間違いない。

    それに『学園のアイドル』としてクラスの男子が話をしているのを耳に挟んだこともある。

    最原「うん。そうだけど、舞園さんは何か用なの?」

    舞園「わぁーっ、よく分かったね。私達話すの初めてだよね?」

    最原(名札を見れば一目瞭然だ、って言うと話の腰を折る事になるのかな…)

    最原「話すのは初めてだよ。それとさっきの話だけど、僕の家は普通の家だよ。ただ、今は探偵の叔父さんの家でお世話になってるんだ」

    舞園「へぇー、そうだったんだ!あ、さっきの話なんだけど、用事っていうよりお願いが…」

    最原「お願いしたいことって?探偵に関する事?」

    舞園「うん。ペット探しだよ」

    最原「ペット探し…ちなみに何の動物?」

    舞園「コビトカイマンって種類の…」

    最原「種類の…?」

    舞園「鰐」

    最原「…ワニ?」

    舞園「うん。ワニ」

    最原「鰐ィ!?」

    遅れて物事を理解した僕が声を荒げるまで、およそ2秒。

    最原「いや、ちょっと待ってよ。確かにペット探しは探偵の仕事でもあるけどさ、猛獣は…」

    舞園「警察に言った方が良いって事?」

    僕が言おうとした事を読み取ってか、彼女はそう聞いてくる。

    最原「うん。そうすれば安全、かつ確実に見つけてくれると思うよ」

    舞園「…でも、それだと大事になっちゃうし。私も、私の家族も、目立つのあまり好きじゃないから…」

    最原(じゃあそもそも何でワニを飼ってたんだろう…)

    それにしても、「目立つのが好きじゃないから」…か───その理由はきっと。

    最原「今更だけどさ、君の舞園って名字…」

    舞園「お父さんとお母さんが再婚して、元の名字に戻ったんだ。この名前に、お姉──娘の事を忘れない為にって」

    最原「…その娘の名前ってさ、間違ってても、正しくても失礼なんだけど」

    舞園「ううん、大丈夫。それに推理通りだと思うよ」

    推理なんて大したものじゃない。これはただの記憶力だ。

    最原「じゃあ、君はあのコロシアイ学園生活に参加していた舞園さやかさんの妹なの?」

    舞園「うん」

    彼女は僕の問いかけに対しコクリと頷いた。


  4. 4 : : 2017/07/03(月) 23:24:43




    人類史上最大最悪の絶望的事件。

    その後に行われた世界に僅かだけ残った希望を摘み取るための計画。

    コロシアイ学園生活

    首謀者は、超高校級の絶望江ノ島盾子。彼女はクラスメイトの記憶を奪いコロシアイを強要。それを全国中継で配信していた。

    だが、その計画は失敗に終わる。

    摘み取る筈の希望は芽吹き、伝染していった。

    絶望に打ち勝った生き残りの1人、苗木誠は超高校級の希望と呼ばれた。

    世間から見れば彼は絶望を打ち破った英雄であり、善で、ヒーローだ。

    そんな彼を貶めようとした舞園さやかの評価は表立った風潮ではないが良くは無い。

    テレビ中継で、舞園さやかが厨房から包丁を持ち出し、同じくコロシアイ学園に参加させられた桑田怜恩を部屋へ呼び出した時、視聴者達は嫌悪感を抱いた。











    目の前にいる彼女は何もしていなくても悪目立ちしているのだ。

    殺人未遂犯(舞園さやか)の妹だと。

    学園のアイドル。という異名が今では悪口のようだ。

    警察に連絡すれば大事なる。当然マスコミがこれを見逃す筈は無いし、舞園さやかの家族の失態を面白おかしく書くに違いない。

    舞園さやかも、その家族も、ただの被害者なのに。貼られたレッテルは簡単には剥がれない。

    出来ることは波風立たせず風化する事を待つことだけ。


  5. 5 : : 2017/07/03(月) 23:26:35



    それは本人達に出来る行動。

    でも、僕は手を差し伸べる事が出来る。

    『出来るなら、やる』だ。

    最原「…分かった。僕で良ければ力になるよ」

    舞園「本当に?!ありがとう最原君!」

    そう言いながら彼女は僕の両手を包み込むように握った。

    元・国民的アイドルの妹。容姿は彼女にとても似ている。

    つまり凄く可愛い。

    最原(ち、近いよ…)

    僕は目を逸らしながら、小さく何度も頷いた。



  6. 6 : : 2017/07/03(月) 23:28:25




    【カフェ】


    場所を移し、僕達は小洒落たカフェに来ていた。いや、喫茶店。が正しいのかな?

    僕の横にはブラックコーヒー。彼女の横にはオレンジジュース。

    舞園「それでね、最原君…その…」

    舞園さんが決まりが悪そうに、言葉を詰まらせる。

    最原「安心して。探偵には守秘義務があるから」

    舞園「そ、それもそうなんだけど…その、ね。お金の話なんだけど…」

    最原「………ああ」

    舞園「幾らくらいするのかな?相場は分からないけど、やっぱり何十万もするのかな?」

    最原「いや、タダだよ」

    舞園「え?!タダ?タダって、ええ!?」ガタッ

    最原「何かおかしな事言ったかな…」

    舞園「だって、お仕事だよ?それなのに…それじゃあ叔父さんタダ働きじゃ…」

    最原「!…そういう事だったんだ。僕はてっきり僕自身に依頼をして来たのかと思ってたよ」

    叔父さんの手伝いをした事はあったが、依頼を受けたのは初めてだったので舞い上がって居た。

    今更ながら凄い恥ずかしい勘違いをしていたようだ。

    舞園「最原君。だって鰐だよ?」

    最原(自覚はあったのか…)

    舞園「怖くないの?」

    最原「怖い怖くないで言ったら、怖いけど。頼ってくれるなら力になりたいんだけど…」

    まあ、借りたいのは僕ではなく叔父さんの力だったってのはさっき分かったんだけど。

    それでも彼女の力になりたい気持ちは変わらない。

    舞園「本当…!?最原君!!本当に!?」

    最原「うん。本当に。だよ」

    舞園「良かったぁ。知ってる人だと安心だもん。宜しくね最原君」

    最原「よろしく。舞園さん」

    舞園「それでね。さっきの料金の話なんだけど」

    最原「うん。タダで大丈夫だよ」

    舞園「いや、心苦しいし、タダほど高いものは無いって言うから…」

    最原「…じゃあ、此処の御会計お願いしても良いかな?」

    舞園「ブラックコーヒーしか頼んで無いけど良いの?」

    最原「大丈夫だよ。それに、1度このお店来てみたかったんだ。でも1人じゃ近寄りがたくて…舞園さんと一緒だったから入れた。その御礼、でどうかな?」

    当然嘘だ。

    僕はカフェをチェックするほど通じゃ無いし。

    珈琲も家で叔母さんが挽いてくれた珈琲に砂糖とミルクを入れる。

    ブラックの珈琲は、苦い麦茶の様な味がする。香り以外好きになれない。

    舞園「じゃあ、また来ようよ!いつでも私をカフェに誘って良い権利も付属でどうかな?…なんてっ、要らない権利だね」

    そう言いながら彼女ははにかんだ。

    嘘をついた罪悪感も相まって凄まじいカウンターだ。

    最原「その時があったら。宜しくね」



  7. 7 : : 2017/07/03(月) 23:30:06




    最原「それじゃあ本題に入ろうか」

    舞園「うん。お願い」

    最原「まず、舞園さんの飼ってる鰐って体長はどれ位なのかな?」

    舞園「1mちょっとくらいだと思う。まだ成長する筈だよ」

    最原「思ってたよりも小さいね」

    舞園「一応、コビトカイマンってくらいだし。でも、まだ成長するよ?」

    最原「でも、それが街を彷徨ってるんだよね…」

    1メートルでも、鰐は鰐だ。対面すれば怖いし危険、大騒ぎにもなる。

    舞園「お腹空かせてないか心配だよね…」

    最原「う、うん」

    最原(僕は空腹で誰かを襲ってないか心配だけど、飼い主として、まずそれを考えちゃうのか)

    【空腹の鰐】

    最原「今更なんだけど、舞園さんの家ってどこなの?」

    舞園「ちょっと待っててね…」

    彼女は自身のスマートフォンに慣れた手つきで文字を打ち込む。

    舞園「ここだよ」

    最原「結構近いんだね」

    舞園「うん。学校にも徒歩で通ってるよ。あ、私の家に来ても、近くにおっきな公演しかないからね!」

    最原「そんな…!押し掛けたりしないよ!それと、その公園なら知ってるよ。僕も昔行った事があるよ丘でソリをしたり、パンで魚を釣ろうとしたり」

    ひっくり返ってズボンに緑色の汚れがついたり、餌のパンが濡れて木の棒とタコ糸で作った釣竿から離れ、何も捕まえられなかったけど。

    【釣竿】

    舞園「最原君も自転車通学だもんね」

    最原「そうだよ。自転車で10分くらいかな。…ごめん、また脱線しちゃったね」

    舞園「そんな謝らないで良いのに!そもそも、半分は私が原因だし」

    最原「じゃあ話を戻そっか。そもそも、騒ぎになってないんだよね」

    舞園「うん。SNSでも全くそういう話は出てないよ」

    最原「…SNSか」

    確か、ソーシャルネットワークサービスの略だっけ?

    舞園「最原君もやってる?…今こういう話するのはおかしいけど、繋がる?」

    最原「繋がる?」

    舞園「え?これだよこれ」

    舞園さんがスマートフォンの画面を此方に向ける。

    青い背景に白い鳩。僕は表示されている文字を読みあげる。

    最原「トゥイッター?」

    舞園「嘘でしょ!?○イッターだよ!そんな堀○健みたいな!」

    最原「○イッター?名前だけなら聞いたことあるよ。ラァ↑インならアプリは入れてるけど」

    舞園「何で初期の可愛い声で言うやつみたいになってるの?普通にライ○で…」

    最原「そ、そうなんだ。英語は○インってのは分かってたけど、ラァ↑インが正解だと思ってたよ」

    舞園「ふふっ……じゃあ、ラァ↑イン交換しよっか」

    最原「や、やめてよ。恥ずかしいから…」

    舞園「えっへへ。最原君って、大人しい男子ってイメージだったけど。面白い男子だったんだね」

    最原「面白いって…僕は別にそういうタイプじゃ」

    そう言いながら僕はスマートフォンを取り出す。


















    最原「…………」















    舞園「……どうしたの?最原君」













    最原「……赤外線通信ってどうやってやるの?」




    舞園さんは数分間お腹を抱えて笑った。

  8. 8 : : 2017/07/03(月) 23:31:01


    〜5分後〜



    舞園「ごめん…ふふっ、ツボに入っちゃってた。ふふっ」

    口から空気を漏らし、目に涙を浮かべながら彼女は言う。

    最原「気にしてないから大丈夫だよ」

    舞園「よし!私も。もう!もう大丈夫!」

    舞園「それでさっきから気になってたんだけど、何を調べてるの?」

    最原「鰐について調べてたんだ」

    舞園「何か分かったの?」

    最原「うん。まず鰐の歯は噛み切る構造じゃなくて、獲物を離さない様に造られてるらしい」

    舞園「それで、グルングルン横に廻るんだよね。昔テレビで見たよ」

    最原「あと、ワニは目を塞げば動かないみたいだよ」

    舞園「目を塞いだら、飼い主の私の事見えなくなっちゃわない?」

    最原「いや、そうだけどさ、そもそも逃げ出したわけだし、声を掛けただけで大人しく帰るとは限らないよ」

    舞園「…うん。そうだね。それにしてもクロ、どこに行っちゃったんだろ」

    最原「今までワニを見たって騒ぎが無いんだ。きっと人目に付きにくい、尚且つ近場の水がある所に居るはずだ」

    舞園「それって?」

    最原「1つだけ当てはまる場所があるよ」

    舞園「………1つだけ…」

    最原「君の家のすぐ近くにね」

    舞園「!──公園!」






    その後、僕が縄に括り付けた餌で8年振りの釣りをするのは割愛だ。

    舞園さんは自分で発した平成の一休さんと言う言葉で、また笑い転げた。

    彼女も、お淑やかな女子と思っていたが、話すと面白い女子だった。

    こうして、僕は初めての依頼を無事に果たす事が出来た。


  9. 9 : : 2017/07/03(月) 23:32:47




    《2日後》




    【春原学院】



    カラカラカラカラカラカラカラ



    籠に鞄を押し込み、敷地内走行禁止という校則に則りカラカラと音を立てながら自転車を押す。


    コピーペーストされたかの様な単調な行動だ。


    ふと気になったので、顔を上げて前を見る。

    すると、以前と同じ様に、校門に佇む舞園さんの姿があった。

    舞園さんは小説から顔を上げると僕へ向け手を振った。

    距離がある状態で、すぐに此方へ気付いた事から、おそらく小説を読んではいない。故に待ち伏せだ。

    最原「……」

    また鰐が脱走したのでは?
    と嫌な思慮に行き着く。

    最原「舞園さん、どうかしたの?」

    舞園「問題です。今日は何月何日でしょう?」

    最原「日付を聞くの?」

    舞園「あっ……。なんの日でしょう?」

    彼女はそう切り返す。やはりカテゴリは面白い女子だ。

    最原「…呆け防止のテストの日」

    鰐が2回目に脱走した日。と言われるのを恐れながら僕はこう答えた。

    舞園「残念!外れ!そんな最原君には残念賞」

    だがその予想は外れ、代わりに可愛らしくラッピングされたピンク色の箱を渡される。

    バレンタインデーが正解だったのか。

    舞園「手作りなんだ。ねっ、感想聞かせて?」

    最原「えっ?僕に?」

    舞園「うん。そうだよ」

    最原「じゃ、じゃあいただきます…」

    ラッピングを丁寧に剥がし、箱を開ける。

    チョコには大きく「義理」とデコレーションされていた。

    最原(義理か…)

    最原(いや、別に本命が欲しかったわけじゃないけど)

    丁度良い大きさに割り、欠片を摘み上げ口へ運ぶ。

    最原(苦い)

    お礼にもらったのはたった1つのチョコで。

    しかも、身から出たサビだがそのチョコは苦かった。

    だけど、僕の心は満たされていた。



    舞園「ありがとね。最原くんっ!」



    その笑顔が見れたから。



  10. 10 : : 2017/07/03(月) 23:36:00









































    【才囚学園】




    赤松「くぅーっ、最原君ってやっぱり何の恥ずかしげもなくそういうの言えちゃうのズルいと思うんだよね!」

    最原「ず、ズルい?!僕何か変な事言ってたかな?」

    赤松「いや、気付いてないなら気付かない方が良いと思う。だって、それが最原君の良いところだし」

    最原「そっか、ありがとう」









    お出かけチケットを渡され、わざわざ中庭に来たのに赤松さんは何かをしようとせず、僕の昔の話を聞かせてと言った。

    僕が探偵になったきっかけの話を、具体的に知りたいと。

    こんな寒空の下で。

    現在は恐らく2月中旬。カレンダーがないので正しい日付は分からないのだけれど。

    最原「雪も降ってきたし、そろそろ戻ろうか」

    赤松「ま、待って最原君!」

    最原「でも、そろそろ戻らないと風邪ひいちゃうよ?」

    赤松「き、決めたから。覚悟を!」

    最原「覚悟?」

    すーはー、すーはー、と口に出しながら深呼吸をした後。彼女は鞄に手を突っ込む。

    赤松「はい!チョコレートっ!」

    そう言いながら彼女が取り出したのは、ピンクの包み紙に五線譜と音符のデザインのリボンが巻かれた四角い箱だった。

    中身は彼女の発言を鵜呑みにするならチョコレートだろう。

    最原「もしかして、バレンタインデーの?」

    赤松「そうだよ。びっくりした?」

    探偵を始めた話とのタイミングも合わさり、開いた口が塞がらない。

    赤松「東条さんにね、最原君の好みを聞いたんだ。だから味は安心してね!」

    最原「味は…って言われると他の心配があるの?」

    赤松「毒とかは入ってないけど…見た目が」

    僕はリボンを解き、箱を開ける。

    最原「うわぁっ、凄いよ赤松さん!」

    其処には小さなグランドピアノがあった。

    チョコレートで作られた、ピアノが。

    赤松「最初東条さんには好みだけ聞くつもりだったんだけどね。何故か、最終的にはこうなったんだ…」

    赤松「あっ!確かに協力はしてもらったけど、これは私が作ったから!」

















    赤松「本命…だから」

    ポツリと、小さな声で赤松さんは呟いた。

    最原「え?」

    赤松「………」

    最原「………」

    赤松「もうっ!そこで黙らないでよ!」

    最原「ああ、ごめんごめん」

    赤松「迷惑…だったかな?」

    最原「ううん。凄く嬉しいよ」

    赤松「………」

    最原「……?」

    赤松「…えっとさ、まさか聞き逃した…とかじゃないよね」

    最原「そ、そんなことないよ!ちゃんと聞こえてた……だから…その、恥ずかしくて、何も言えなくなっちゃって……あはは…」


  11. 11 : : 2017/07/03(月) 23:37:45



    僕は恋という奴がよく分からなかった。

    確かにドキドキしている。

    だけど、これは照れという奴じゃないのか。

    生理現象の様な。

    健全な男子が可愛い女子と話してるから、ドキドキしてるだけじゃないのか。

    舞園さんに手を握られた時と同じドキドキ。

    ピアノのレッスンの時、胸が当たってる事の延長戦ではないのかと。

    最原「………」

    赤松「返事は…しなくて大丈夫」

    赤松「いきなりこんな事言われても困っちゃうよね」

    赤松「返事を貰えなくても、返事が良くないものだったとしても私は嬉しいよ。そりゃあ、当然ショックもあるけどさ」


    最原「な、なんで?」



    意図せずして言葉が口に出た。



    『嬉しい』の理由がわからなかったから。




    赤松「…だって───」





    それに対し。彼女は「だって」と言いこう続けた。









    赤松「だって、君の笑顔が見れたから」



    そう言いながら彼女は、微笑んだ。




    最原(あ)




    胸の辺りで何かが(はじ)けた。



    その笑顔を見て、僕は気付いた。



    この胸のトキメキが何なのかに辿り着いた。



    彼女の笑顔を見続けたいと思った。



    最原「僕も──」



    探偵なのに自分の気持ちすら分からないのかと恥ずかしくなる。



    これが…



    最原「ぼ、僕も…赤松さんのことが──大好きですっ!」



    恋なのか。



    赤松「…〜〜ッッ!!!」バッ



    ギュッ



    彼女が覆いかぶさる様に僕へ抱きつき、柔らかい感触が僕を包む。




    最原「あ、赤松さん!?!?///」




    抱きつかれた為、彼女の顔も見れず、貰ったチョコを食べる事も出来ない。




    でも分かるんだ。




    食べてないけど分かるんだ。




    赤松「最原君…」




    最原「何?」




    赤松「──大好きっ!」




    そのチョコレートはとても、とても甘い筈だ。


  12. 12 : : 2017/07/03(月) 23:38:05

    END
  13. 13 : : 2017/07/03(月) 23:43:54
    甘いラブコメディ(恋喜劇)を書かせていただいた。

    因果応報は嘘に対しての苦いチョコと、探偵になるきっかけの事件と甘いチョコで回収。

    そして我の役目は此処で終了。

    チームコトダ祭り。素晴らしい宴。

    我は、秘剣。

    姿を明かさず、闇夜に消えよう。
  14. 14 : : 2017/07/03(月) 23:46:19
    ベータさんお疲れ様でした!
    相変わらず文章お上手で、因果応報の回収もお見事でしたよ!!
  15. 15 : : 2017/07/03(月) 23:47:27
    なんて素敵な…
    覆面さんって毎回パないですね…!!

    お疲れ様です!
  16. 16 : : 2017/07/03(月) 23:50:41
    ベータさんお疲れ様です!
    秘剣、かっこいいですね!
  17. 17 : : 2017/07/03(月) 23:51:17
    ベータさんお疲れ様でした!
    とても読み応えのある作品で、楽しませていただきました!バレンタインでチョコ貰えると良いですね!!!
  18. 18 : : 2017/07/03(月) 23:51:29
    >>14 >>16
    !?…!?
  19. 19 : : 2017/07/03(月) 23:54:45
    お疲れ様でした、ベータさん。
  20. 20 : : 2017/07/03(月) 23:58:26
    >>18
    なりすましじゃね?
  21. 21 : : 2017/07/03(月) 23:59:02
    中二病ばっか
  22. 22 : : 2017/07/04(火) 00:00:40
    なりすましですね
  23. 23 : : 2017/07/04(火) 00:13:21
    流石は覆面様。面白い作品でした。
    お疲れ様です。
  24. 24 : : 2017/07/06(木) 15:07:41
    自演・・・?ベータじゃないならベジータか?
    ともかく面白かったです
  25. 25 : : 2017/07/27(木) 07:34:11
    実は自分です。ここまで読んでいただいた事、温かいコメントありがとうございました!
  26. 26 : : 2020/10/26(月) 15:31:48
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
be_ta0620

ベータ

@be_ta0620

「ダンガンロンパ 」カテゴリの最新記事
「ダンガンロンパ 」SSの交流広場
【sn公式】ダンガンロンパ交流広場