このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
血ノ贄狂室
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- 1 : 2017/06/12(月) 21:35:14 :
- 土砂降りの雨が地面に叩きつける中、その少女は佇んでいた。
容赦なく降り注ぐ雨で、濡れる制服をただずっと、ずっと見つめているその目は、どこか哀しく、それでいて歓びを帯びている。哀しいのに嬉しく、嬉しいのに哀しいその目の持ち主は、どこまでも続く灰色の空を仰ぎ見て呟く。
「もう、終わったんだ…」
と。
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- 2 : 2017/06/12(月) 21:39:45 :
- 期待です!
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- 3 : 2017/06/13(火) 20:54:40 :
机と机が触れ合う音や、男女の声が混ざりあった音。朝のチャイムがその音達を制した。
「起立、礼」
淡々とした命令に従い、礼をする少年少女と一人の青年。
いつもの朝の光景。なんの高揚も感じない日常。それが普通なのだ。
だが、その少女、茜は違った。
恐怖と期待を混ぜてできる高揚感。激しい運動で大荒れの心臓。何よりも‘普通’ではないのは、見渡す限りの深緑。自身の何倍もの大きさの樹々たち。目の前に立ちはだかる古びた廃校。
「こ、ここが、噂の…」
辺りを見回し不安そうに呟いた。
二、三歩進み立ち止まり、考え込む。
期待よりも恐怖、恐怖よりも好奇心が上回った。
少女の姿は、暗く冷たい空気があふれる闇の中に溶けていった。
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- 4 : 2017/06/13(火) 22:41:39 :
- 頭を揺らす暗い空間、鼻を引っ張るカビの臭い。
背中を撫でる風の音、腸を掴む足の音。
カメラが瞬きをする度に曝け出される内装はこちらを睨みつける。
「うぅ…なんで私が〜…」
文句を言いつつも階段をゆっくりと上がっていく。
「暗い…」
一階よりも暗く、茜の高揚感を掻き立てる。
懐中電灯を取り出す。「カチリ」という音ともに目の前の顔を照らし出した。
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- 5 : 2017/06/18(日) 23:44:31 :
- ゆで卵を連想させる、凹凸のない青白い肌。通常白である筈の部分が紅く塗りつぶされた眼球。だらしなく開いた口からは赤いドロリとした何かが垂れている。
「あ、あぁ…」
力なくへたり込む私を、瞼の無い目で見つめている。
「い、いや……ッ!」
‘ソレ’は不気味な程細い腕を伸ばす。
枯れた枝で撫でられたかのような感触が頬に走る。
ニゲないと…!
手にしていたカメラで思い切り頭を叩きつける。「ごしゅっ」という鈍い音を立てると同時に、‘ソレ’からドス黒い液体が飛び散った。
………目を背けたらダメ!
早くここからニゲないと…!
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- 6 : 2017/06/29(木) 21:48:34 :
- 立ち上がり、走った。震える脚を抑えつけながら、全力で。
呻きとも叫びともとれる“オト”が痛いぐらいに響き渡る。耳を劈くような”オト”に眩みながらも走り続けた。
止まってはいけない
絶対に。
全身を駆ける恐怖に涙を浮かべながらも必死に走った。荒れる心臓。破裂しそうな程に脈打っている。ここで振り返ってはいけない。絶対に。
後ろに、”アレ”がいるから。
………
どのくらい走っただろうか。”アレ”はもう居なかった。
座り込んだとき、激しい目眩と猛烈な吐き気に襲われた。
「ェェ…!ゲェ…!」
吐いた。今までの恐怖を。
幾分か楽になり、落ち着くと周りを見渡す。
腐りかけた本棚。目の前に散らばる新聞の記事。日付は…だいぶ昔のものらしい。ところどころが破れている。
××中×校で謎××亡事件…?
「何…?これ…」
乾いた音を立て、新聞をめくる。
昨日、×川×××の3年××の生徒2×名と1名の教員が死×…。
×名の×従は行方××…。
×××学校の×××件、××の××
一×日、×××××の×××××生××××と××の×××××した××につ××。
×年××の教卓には××君の××と×われる××が出×…。
また、×年A×でも××の××が××。これ×受けて×××学校は廃×と××。
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