アガペーの話
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- 1 : 2017/06/02(金) 21:35:17 :
- 注:バトル系の話です!
原作とキャラが少し違ったりしています!
[アガペー診断テストのお知らせ]
エレン・イェーガーはHRで配られたプリントをじっと見つめてた。
「アガペーってなんだよ」
一人そう呟き、悶々と意味不明な単語の意味を考えた。
国が作った新しい性格診断テストか?面倒なことするもんだ。
「皆さんが戸惑うのも無理はないと思います。けど落ち着いて聞いてくださいね」
保健の教師が穏やかな口調で皆に言った。ざわつく教室は一気に静まる。
「アガペーというものはですね・・・・
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- 2 : 2017/06/02(金) 21:55:08 :
- 「あほくせー」
あくびをしながら帰りの用意をする。くだらない授業のせいで瞼が重い。帰って寝るか、そんなこと考えていると不意に後ろから小突かれた。
「おいエレン、帰るぞ」
ジャンだった。無愛想な顔をしながら俺と同じくあくびをする様が少しうざかった。
「そーだな」
一言だけだったが俺たちにはそれで充分だ。気の利いた友人同士だったらもっと会話が弾んでいたかもしれないが、俺たちは気の利いた友人でもなかった。ただの腐れ縁だ。
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- 3 : 2017/06/02(金) 22:06:39 :
- キコキコと、前方を走るジャンの自転車から間抜けな音が鳴りつづく。
俺とジャンは一切話してない。周りから見ればおかしな奴らかもしれないが俺たちには普通のことだった。この時間が一番楽なのかもしれない
「おいエレン、お前はいつなんだよ」
ジャンは前を見ながら言った。
いきなり話しかけられ、俺はワンテンポ遅れながら返事をした。
「いつって何がだよ」
「はぁ?お前聞いてねぇのかよ」
呆れ顔をしたジャンが振り向く。ペースを遅くして俺の横についてきた。
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- 4 : 2017/06/02(金) 22:07:13 :
- 上の自分ですw
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- 5 : 2017/06/02(金) 22:24:40 :
- 「アガペー診断の事だよたこ。聞いてなかったのか?」
「興味ないから寝てた」
「俺だって興味ねえけどあれはガチな方だぜ?」
「ガチってどういうことだよ」
「先生の数だよ、校長まで後ろに座ってやがったぞ?」
「それは知らなかったなー」
目の前の信号がちょうど赤になり、俺たちは止まった。ジャンが何かを喋ろうとしたときにちょうど携帯が鳴った。
母さんからだった
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- 6 : 2017/06/03(土) 14:23:41 :
- 「電話なってっぞ」
胸ポケットに入った着信音が鳴る携帯を指差しながらジャンは言った。
「知ってる」
電話に出ると母さんの声が聞こえた。心なしか少し焦っているような雰囲気だった。
『あんた今日アガペー診断テストでしょ!?早く帰って来なさい!保健所の方きてるわよ!』
耳元でいきなりまくしたてられたため俺は何も言えたかった。
『じゃあ切るからね!』
電話を切られた瞬間俺はすぐに自転車を漕ぎだした。
「ジャン!悪い帰る!」
後ろから「じゃあな!」と聞こえた気がするが構わず俺は漕いでいた。
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- 7 : 2017/06/03(土) 17:50:59 :
- 「ただいま」
ドアを開けると玄関には見慣れない革靴が二足置いてあった。たぶん保健所の人のだろう。
俺が靴を脱ぎ、揃えていると母さんが顔をみした。
「エレン!早く来なさい!」
手で来いとジェスチャーしながら言った。渋々と俺はリビングに足を運んだ。
「君がエレン君かー」
ソファに座るメガネをかけたポニーテイルの女性が話しかけてきた。その隣には顎と口髭を生やした長身の男が座っていた。
「・・・こんちゃす」
「エレン!しっかり挨拶しなさい!」
俺は母さんが座るソファに腰を掛けた。正面には机を挟んであの人たちが座っている。
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- 8 : 2017/06/03(土) 18:31:00 :
- 「私はハンジ、こっちはミケ。帰って早々で悪いけど早速検査を始めるね」
ポニテの女性はごそごそと鞄を探り始めた。
「あの、すんません。俺アガペー診断とかって何するかわかんないんですけど」
ポニテは間の抜けた顔をして俺を見つめた。
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- 9 : 2017/06/03(土) 21:03:38 :
- 「聞いてないのかい?」
「聞いてはいるんですけど、寝てました」
俺の発言に母さんは青ざめた顔をしながら固まっていた。
ポニテの女性は爆笑していた。
「ミケ!この子面白すぎるよ!」
「本当に申し訳ございません!バカな息子で」
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- 10 : 2017/06/03(土) 21:25:44 :
- ハンジさんは上機嫌な声で俺に話しかけた。
「いいよ、説明したげるよ!まずアガペーの意味はわかる?」
「わからないです」
素直に俺は言った。下手に嘘つくとめんどくさくなるのは目に見えていたからだ。
「うん!アガペーっていうのはね、『神様の愛』て言う意味なんだ」
神の愛?宗教の勧誘しに来たのかよ。そんなことを思いながらハンジさんの話を聞いた。
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- 11 : 2017/06/04(日) 15:29:03 :
- 「まあ、早い話私たちが言ってるアガペーは『超能力者』ってことなんだよね」
『超能力者』?何言ってんだこの人たち、そんな人いるわけないだろ、おちょくってんのか?
「超能力者って・・・」
「まあ疑うのも最もだけど本当にいるんだよね」
ハンジさんは真剣な表情だった。
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- 12 : 2017/06/04(日) 20:01:11 :
- 「国連で確認されたのは今年だからその前から多分いると思うよ」
だめだ、わかんねえ
「ちょ、超能力って例えば何なんですか?」
焦りながら俺は質問する。母さんは固まったままだった。
「火吹いたり、体が硬くなったり、千差万別だねー」
「ハンジさん達はアガペー持ってるんですか?」
「持ってるよ!まあ詳しいことは検査の後にしよっか!」
そう言うとハンジさんは注射針と蓋のついたガラス瓶を取り出した。
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- 13 : 2017/06/04(日) 21:09:21 :
- ハンジさんの手つきは手慣れてた。道具を取り出したと思ったらすぐに俺の腕を固定し、注射針を刺し、血液を採取した。
「検査って血液検査なんですね、………脳波とか測定するもんだと思ってました。」
注射器の中が自分の血で満たされて行くのを見ながら俺は言った。
「皆そう言うよね」
ハンジさんは血液の入ったビンを大事そうに小さなクーラーバックの中に入れカバンにしまった。
「アガペーを持っている人はね、赤血球の割合が一般の人と比べて高いんだよね」
「?そういうのって俺の資料とかに書いてあるもんなんじゃないんですか?」
「君頭いいね」
ハンジさんは笑顔で返した
「アガペーの出現、まあつまり去年からなんだよ、この現象が起きるのは。だから古い資料は役に立たないんだ」
「不思議なもんですね」
注射された箇所をさすりながら俺は答えた。
アガペー、もし俺にもそれがあれば……
「あ、あのこれで検査は終わりですか?」
さっきまで固まってた母さんが喋り出した。
「はい!そうですね、結果は来週ぐらいに来ると思いますよ」
ハンジさんとミケさんは身支度を整え始めた。
「それじゃあ私はこれで」
会釈をすると二人は玄関のドアを開けて外へ出て行った。
俺は少し考えて二人の後を追った。
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- 14 : 2017/06/04(日) 21:30:09 :
- 「ハンジさん!」
二人はまだ家の門を出たところにいた。
よかった、伝えられる。
「エレンどうしたんだい?」
ハンジさんが不思議そうな顔でこっちを見る。
隣でミケさんがハンジさんに耳打ちするのが見えた。
俺は手を握った。
「…………俺の検査、なるべく早くに終わらせてくれますか?」
図々しいのは分かってる、だが早く知りたいんだ。俺に力があるのか。
ハンジさんはまた笑った。
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- 15 : 2017/06/07(水) 21:38:50 :
- 「やっぱり君面白いよ、大丈夫明日にはまた私たちがくるよ」
「君はもってるよ」
瞬間、風が吹いた。もう後戻りはしない確かな温もりが俺の顔を撫でるように吹いていった。
俺は、持ってる。確かめるように手のひらを見つめる。
「……ヒストリア」
俺の小さな声は風に攫われていった。
ハンジさんは口を開いた。
「君がそんなにアガペーが欲しい理由って」
『ヒストリア・レイスさんが関係してるのかい?』
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- 16 : 2017/06/21(水) 21:29:30 :
- いつまでも記憶から消えないあの日。
ただ怯えて隠れる自分。横たわった血だらけの少女、そして高笑いする男。
何も、できなかった。
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- 17 : 2017/06/24(土) 23:12:45 :
- 鳥のさえずり、カーテンからのぞく日差し、二つの要素がおれを起こした。
「…嫌なゆめ」
ぼやっとだがまだ記憶に残っている、忘れようとすればすぐに忘れられそうだが、夢の中の情景が脳裏にちらつき忘れられなかった。
「エレーン!起きなー!」
下から母さんの声が聞こえた。朝飯でも食って忘れよう。そう思い俺はベッドから起き上がり、部屋を出た。
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- 18 : 2017/06/27(火) 21:04:37 :
- 「なに、これ…」
テーブルの上に普段とは比べ物にならないほど豪勢な食事が並んでいた。
「なにってあんた!お祝いよ!お祝い!昨日の夜バタついてできなかったからね!」
母さんは食器を出したりとバタバタしながらかえしてきた。
昨日の夜、アガペーの検査が終わったあと保健所から電話がきた。内容は俺がアガペーを持っているということだ。それを聞いた母さんは飛び上がりながら喜んでいた。
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- 19 : 2017/07/09(日) 20:12:29 :
- バタつく母さんを横目に俺は豪華な朝食を食べ始めた。
「あ!あんた勝手に食べ始めて!少しは手伝いなさいよ!」
「いいじゃん別に、母さんも食べなよ」
「はー、わかりました」
そう言うと母さんは向かいの席に座り、朝食に手をつけ始めた。
あらかた食べ終え、コーヒーを飲んでいると母さんは言った。
「あんた運が良かったね」
「なんでよ」
「アガペーなんて大層なもの授かって、すごいじゃない」
「べつに」
「恥ずかしがらないでよ」
「そーかい」
久しぶりと母さんとゆっくり話したな、そんなことを考えているとけたたましい音が二階から響いてきた。
俺の携帯だ。
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