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天海「前周回の俺が思ったより無能だったっす」

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  1. 1 : : 2017/05/08(月) 15:49:04



    ネタバレ注意

    諸々崩壊注意

    三分前に思いついたレベルの突発ネタ


    ______________________


    『やっ、キミが今これを見てるってことは……』

    『俺はもうこの世に居ない、っつーことっすね』

    『いやぁ、まさか遺言をビデオ形式で残すことになるとは思わなかったっす』

    『……?あ、これ遺言じゃないんすか?』

    『ははっ、そう怒らないでくださいよ』

    『モノクマに怒られるの、これで11037回目っすよ?』

    『あ、今ので11038回になったっすね』

    『記念すべき1回目は確か……ああ、そうっすね、マッピング事件っす』

    『いやぁ、世界樹マッパーの本領発揮って奴っすね』

    『こういう、ダンジョンとか迷宮っぽいところってついついマッピングしたくなっちゃう、っつーか……』

    『あ、モノクマ、カンペの位置ちょっと見づらいっす、そこ』

    『もうちょっと横に……あ、そっちじゃねーっすよ、こっちの横っすよ』

    『あ、それでもうちょっと……ってあ、カンペにマッピング事件の話なかったっすね』

    『ま、気を取り直して……こんにちは』

    『あ、こんばんはかも知れないんすよね。……流石に朝に見てることはないと思うっすけど……』

    『一応おはようございますも入れとくっすか』

    『夕方の挨拶?そんなの……』

    『…………何なんすかね』

    『ま、気を取り直して……って、さっきもコレ言った気がするっす』

    『っていうか、いま気づいたんすけど……』

    『よくよく考えたら、キミがいまこのビデオ見てたんなら、俺も生きてるっすね』

    『なんて言ったって、俺はキミでキミは俺なんすから』

    『あ、なんかこんな感じの本あったっすよね』

    『タイトルしか覚えてねーっすけど』



    『あ、すみません、ちょっとタンマ。トイレ行きたくなってきたっす』

    『一回録画切っとくっすね』

    『ブチッ』
  2. 2 : : 2017/05/08(月) 15:49:34


    『…………』

      シーン……
     
    天海「」

    天海「なんなんすかね、これ」

    天海「生存者特典ビデオ、なんて(モノクマが)言ってたっすけど…」

    天海「……そもそも、なんのためのビデオなんすかね」

    天海「生存者特典、の理由さえわかんねーんすけど……」

    天海「もしかして俺は、このゲーム……二週目、なんすかね」

    天海「……」

    天海「……それと、もう一つ解ったのは…」

    天海「前周回の俺、予想以上に無能っすよこれ」

    天海「……」

    天海「…………絶望的っすね」


    天海 蘭太郎

    状態 軽く絶望中

    持ち物 マッパー天海の遺品(?)
        全く使い物にならない生存者特典ビデオ
  3. 3 : : 2017/05/08(月) 15:50:43





    白銀「……うーんと?今回の参加者は……」

    白銀「星君に、最原君に、赤松さんに……」

    白銀「あとは…ああ、そっか」

    白銀「二週目の天海君が居るんだよね、確か」

    白銀「…………」

    白銀「流れ的には天海君を警戒するべきなんだろうけど……」

    白銀「生存者特典ビデオ的にも、彼……」

    白銀「ぶっちゃけ無能だよね、うん」

    白銀「なんていうか……その、ビデオからあふれ出るオーラっていうか……」

    白銀「無能オーラがビンビンだよね」

    白銀「具体的に言うなら体験版で死んでそのまま無かったことになるモブキャラレベルに無能オーラ出てるよ……」

    白銀「んー……よし、今回の第一被害者枠は天海君でいいや」

    白銀「どうせ放っておいても死にそうだしさ」



  4. 4 : : 2017/05/08(月) 15:50:58

    数日後

    天海「は……はっく、……はっくし……」

    天海「……クシャミが出そうで出ない時ってあるっすよね」

    天海「噂でもされてんすかね……」

    天海「いや、ただ図書室がホコリっぽいだけっすか」

    天海「……は、っく……ぅぅ」

    天海「にしても……あれから暫く考えてみたんすけど…」

    天海「あのビデオは無視が一番っぽいっすね」

    天海「っていうか、ビデオの中の俺は俺とアイツがイコールで結ばれてる、みたいなこと言ってたっすけど……」

    天海「俺としてはあんなおぞましいモノと自分が同一人物だとか考えたくねーんで」

    天海「何が生存者特典っすか、本当…」

    天海「ふぇっく……っ!!……しょん」

    天海「ただ……」


    天海 蘭太郎

    状態 くしゃみが出そうで出ない

    持ち物 マッパー天海の遺品(?)
        全く使い物にならない生存者特典ビデオ
        
  5. 5 : : 2017/05/08(月) 15:51:41

    同時刻

    白銀「何でまた天海君は図書室に居るんだろうね?」

    白銀「いや、図書室以外にもウロウロしてるはしてるけど……」




    白銀「天海君はついに図書室と結ばれちゃうのかな」


  6. 6 : : 2017/05/08(月) 15:52:13

    一日後

    白銀「とりあえず、初回特典とタイムリミットをしかけてみたけれど……」

    白銀「うんうん、良い感じ」

    白銀「皆良い感じに疑心暗鬼になってくれてるね」

    白銀「それに……」

    白銀「赤松さんが動きはじめたね」

    白銀「首謀者探しに向けて、地味に色々整えてるのかな」

    白銀「ふふっ……あんなヒトコロスイッチで死ぬ間抜けな首謀者なんて……」

    白銀「……!あ、これ結構使えるかも……!」
  7. 7 : : 2017/05/08(月) 15:52:38


    タイムリミット一日前

    天海「……」

    天海 蘭太郎

    状態 読書中

    持ち物 マッパー天海の遺品(?)
        全く使い物にならない生存者特典ビデオ
        ????????
        ???????????

  8. 8 : : 2017/05/08(月) 15:54:02



    タイムリミット当日



    白銀「私は彼の無能さを信じるだけだよ」

    白銀「夜時間まであと一時間……」

    白銀「赤松さんもそろそろ動き始める頃かな」

    白銀「それに……」

    白銀「……天海君も動いた」

    白銀「うんうん、ここまでは計画通り」



    白銀「……そろそろ、私も動くべきだね」


  9. 9 : : 2017/05/08(月) 15:54:16



       パシャ


  10. 10 : : 2017/05/08(月) 15:54:40

    同時刻


    天海「……や、まさか写真撮られるとは思ってなかったっす」

    天海「ファンサービスするべきだったっすかね?」
     
    天海「……はぁ」

    天海「……一体、こんな時に俺を図書室に呼んだのは誰なんすかね」

    天海「……」

    天海「っていうか、このBGMが五月蝿すぎて周囲の音が全くと言って良いほど聞こえないんすけど…」

    天海「……」


       ……………… 
  11. 11 : : 2017/05/08(月) 16:05:30
     



           ……ドンッ!

  12. 12 : : 2017/05/08(月) 16:05:42



    天海「!」

    天海「今の…………」

    天海「……あちゃー……上から砲丸が落ちてきた感じっすね」

    天海「危なかったっす……もう少し位置が違えば、アレで御陀仏してたっすよ……」

     
  13. 13 : : 2017/05/08(月) 16:06:09
     
     
     

     


    「……残念ながら、どっちにしろあなたには此処で死んでもらうけどね」
     




  14. 14 : : 2017/05/08(月) 17:41:02

    _____________________________
     

     

     


          

     

     


    _____________________________
  15. 15 : : 2017/05/08(月) 17:41:57

     


    「早く!」

        「ハヤク!」


    「はやく、はやく……!」
     
       
       
        「急いで!」




    「此処に首謀者がいるんだよっ!」
     
     

  16. 16 : : 2017/05/08(月) 17:42:45

     
     

    息を切らしながら


     
    私達が図書室の扉を開くと……そこには____。




  17. 17 : : 2017/05/08(月) 17:42:56




    砲丸と

     
     


    ヒトが転がっていた。

     
     
  18. 18 : : 2017/05/08(月) 17:43:48

    _____________________________

     
     
     

    「砲丸が二つ、無くなっていたんすよ」
     
     


    _____________________________
  19. 19 : : 2017/05/08(月) 17:44:07




    彼は、床に転がっている彼女の上に馬乗りになって首を絞めたまま

    此方へ振り向いて笑った。


  20. 20 : : 2017/05/08(月) 18:18:44



    赤松「天海君……?」

    最原「ちょっと、何をして……!」

    夢野「な、なんじゃこれは…!」

    天海「……ははっ、大丈夫っすよ。殺しはしないんで」

    百田「てっめぇ……!」

    天海「……正当防衛っすよ、正当防衛」

    百田「そう言ってテメェがッ……!」

    赤松「ちょ、ちょっと待って!百田君、一度話を聞いてみよう?」



    赤松「……なんで、白銀さんの首を天海君が絞めているのか」


  21. 21 : : 2017/05/08(月) 18:18:54


    天海「勿論、話すっすよ」

    天海「ただ……その前に、一つ良いっすか?」

    天海「まず、白銀さんを誰か、取り押さえていてください」

    白銀「ぅ、ぁ……く、ぁ、な……ぁ……」

    最原「……うん、わかったよ」

    天海「……できたら、もう一人くらい白銀さんを抑えるのに協力して欲しいんすけど……」

    赤松「じゃ、じゃあ……私が抑えておくよ」


    天海「次に……今怪しいのは100%俺っすよね」


    天海「……ってことで、念のため……百田君、俺の事抑えといてください」


    百田「はぁ!?」

    最原「……百田君、僕からもお願い」

    天海「百田君からしても現時点で一番怪しい奴をノーマークにしておく訳にはいかないっすよね?」

    百田「……最原までそう言うんなら、やってやるけどよ」

    夢野「……」

    天海「それで、夢野さん」

    夢野「んあっ!?」

    天海「この学園に居るメンバーを、出来るだけ早くに呼んできてください」

    夢野「じゃが……」

    天海「……お願いします、夢野さん」

    夢野「……」
  22. 22 : : 2017/05/08(月) 18:19:09



    全員が図書室に集まるまで、そう時間はかからなかった。


    茶柱「天海さんが白銀さんに悪事を働いたと聞いて!」

    天海「ちょ、ま、今この状態で技をかけるのだけはやめて欲しいんすけど…!」

    真宮寺「……で、これは一体どういうことか、説明してくれるんだよネ?」

    天海「勿論っすよ」

    天海「まず結論から言えば……俺は殺されかけたっす」

    星「なっ……!?」

    天海「ははっ、流石に驚かれちゃうっすか」

    天海「それと……俺が殺されかけたのは一度じゃないんすよ、実は」

    東条「それは……一体どういうことかしら?」

    天海「話せば長くなるんすけど……」

  23. 23 : : 2017/05/08(月) 18:19:24


    天海「まず俺は、手紙にて図書室へ呼び出されたんっす」

    天海「それの証拠となる手紙はコレっすね」

    【????????】 → 【差出人不明の手紙】

    天海「これなんすけど……文字を見てみると何か気づくことがあるんじゃないっすか?」

    最原「……!」

    赤松「もしかして、これって……」

    天海「……はい」

    夜長「あれれ?この手紙、手書きじゃないんだねー」

    天海「そういうことっす」

    天海「多分、筆跡から特定されるのを恐れたんだとは思うんすけど……」

    星「……この学園に、使用可能なパソコンなんてねぇな」

    赤松「……つまり、この手紙は……」

    天海「この学園内部に通じている人……つまり首謀者が書いた可能性が高い、って訳っす」

    白銀「っ……!」

  24. 24 : : 2017/05/08(月) 18:19:37


    天海「それで、なんすけど……」

    天海「俺、実は……この学園のマップ、全てを把握してるんすよね」

    春川「……は?」

    天海「まぁ、入手経路は後で話すとして……この紙を見てください」

    【マッパー天海の遺品(?)】

    白銀「……!!」

    王馬「へぇ……すっごいねこれ!この図書室の見取り図だけじゃなく……」

    王馬「各本棚に入っている本の位置さえ完璧に写してあるや!」

    キーボ「……ですが、この地図は……」

    天海「……俺たちがこの学園に来た初日は、少なくともこの配置に本が置いてあったんすけど……」

    天海「少し向こうを見てください」

    赤松「……!」

    最原「これ……」

    天海「はい、本の配置が妙に変わってるっすよね」

    天海「それで……この本達、階段みたいになってるのも解ると思うんすけど」

    天海「……その下に、一つ砲丸があるんすよ」


    天海「この本でできた道を通って……」

    天海「一つ目の凶器が俺の方へ落ちてきたっす」

  25. 25 : : 2017/05/08(月) 18:19:55


    百田「な、それって……!」

    最原「……!」

    天海「ただ……俺はさっきの地図のこともあって、この階段が怪しいのは知ってたんで……」

    天海「一つ目の砲丸は難なくよけることが出来たんすけど……」



    天海「息をつく間もなく、二つ目の凶器がやって来たっす」



    天海「……砲丸を手にした、白銀さんがね」


  26. 26 : : 2017/05/08(月) 18:20:08


    「!!」

    白銀「……」

    茶柱「そ、そんな……白銀さん、本当なんですか!?」

    白銀「……」

    獄原「そんな……なんでそんなことを……!」

    天海「まぁまぁ。……いやぁ、流石の俺も吃驚したっすよ」

    天海「ただ……砲丸が二度来る、というのも俺の予想の範囲内だった訳なんすけどね」

    入間「はぁ!?今度はどういうことだよ!?」

    天海「実は……この地図、図書室以外にも……倉庫や食堂、それぞれの施設の分があるんっす」

    天海「……倉庫の地図を見てください」

    キーボ「な、なんですかこれっ!?」

    夜長「わぁお……備品の種類、個数までビッシリだねー!」

    天海「……砲丸の数は、この地図には16個って書いてあるっすよね」

    天海「俺が最初に確認したときは、確かに16個あったっす」

    天海「けど……タイムリミットの話が出た日……」

    天海「砲丸が一つ、減ってたんすよ」

    真宮寺「クックック……つまり、砲丸を持ち出した人がその日の内に居た訳だネ」

    天海「一つ目の砲丸はおそらく、さっきの階段から落ちてきたものっす」

    天海「ただ……タイムリミット当日、つまり今日……」
     

    天海「砲丸がまた一つ、減っていたんすよ」
  27. 27 : : 2017/05/08(月) 18:20:48


    星「殺人を目論んだ奴がもう一人、って訳か……」

    夢野「もしかしたら、最初に砲丸を持ち出した奴が予備として持ち去ったのかもしれんじゃろう……」

    最原「……いや、それは無いんじゃないかな」

    夢野「……?」

    王馬「もし一発目が外れたとして、その後二発目を投げたとしても」

    王馬「上から突然砲丸なんて降ってきたらそりゃあ警戒されちゃうもんね!」

    百田「……っつーことは、やっぱ別人なのか……?」

    天海「そうっすね。……そして、二個目の砲丸を持ち去った犯人こそが……」


    天海「……白銀さん、彼女っす」


    「!!」


    最原「それで……」

    天海「……はい、今最原君や白銀さんの傍に落ちている砲丸は……」

    天海「白銀さんが俺に殴りかかってきた時に手にしていたものなんっすよ」

    東条「それで……どうなの?白銀さん」

    白銀「……」

    春川「……あくまで、ノーコメントって訳ね」


    天海「そして、それは……」


    天海「白銀さん黒幕説にも繋がるっす」


    赤松「……え?」

  28. 28 : : 2017/05/08(月) 18:21:16


    天海「考えてみてください」

    天海「二人の人間がたまたま同じ日に、同じ時間に……」

    天海「同じ場所で、同じ武器で、俺の事を殺そうとするなんてこと、起こり得るんすか?」



    天海「そして……」

    天海「階段の仕掛けと、直接殴りに来る……」

    天海「どっちが計画的な犯行か」

     
    天海「正直、階段の仕掛けは……」

    天海「少し穴がある計画っす」

    天海「なんていったって、俺が砲丸の落ちてきた先に居るとは限らないんすから」

    天海「けど、直接殴りに来るよりかは計画的な犯行っすよね」
     
    入間「つ、つまりどういうこと、なんだよぉ……勿体ぶらずに教えてくれよぉ……」


    天海「つまり……」

    天海「階段の計画を知っていた白銀さんが」

    天海「その計画が失敗するのをを見越した上で」

    天海「俺を殴り殺して……」

    天海「そのまま、あたかも階段の計画が成功しましたよ、とでも言うかのように」

    天海「罪を階段の計画を立てた人に、罪を擦り付けるつもりだったんじゃないっすかね」


    茶柱「階段の計画を知ったうえで、それに被せてくるなんて……」

    キーボ「……確かに、それは……黒幕にしかできないことですね」
  29. 29 : : 2017/05/08(月) 18:21:28



    天海「ま、俺も細かい事を知って居る訳じゃないんで…ここで話したことはほぼ推測っすけど」

    最原「けど……正直、信憑性は十二分にあると思う」

    赤松「け、けど……もしそれが本当なら、首謀者って……!」

    星「どうなんだ?……白銀」

    白銀「……」

  30. 30 : : 2017/05/08(月) 18:21:50




    「あーあ……こんな筈じゃ……無かったのに」

     

    「っていうかさ!なんで天海君こんな有能ポジションになっちゃってるのかな!」


    「天海君の無能さに賭けた私も悪かっただろうけど……」


    「ううん、でもやっぱり納得行かないよ!」



    「だってほら、どう見てもあのビデオと同一人物なのにこんな豹変っぷりってある!?」



    「なんで、こんなはずじゃなかったのに……」


  31. 31 : : 2017/05/08(月) 18:22:01


    「はぁ、それじゃあ貶されてんのか褒められてんのか……」

    「……っていうか、今……何気に黒幕説認めたっすね」
  32. 32 : : 2017/05/08(月) 18:22:12



    「……あはは、天海君にまんまとしてやられちゃった」


    「そうだよ。天海君を殺そうとしたのはこの私」


    「そして……この学園生活の首謀者も、この私」
     
  33. 33 : : 2017/05/08(月) 18:22:35

    百田「な、テメェ!」

    獄原「そんな……白銀さんが、首謀者なんて……」

    天海「……」

    白銀「あーあ、もうちょっと上手く行くと思ったんだけどなぁ……」

    白銀「あ、そうだ百田君。心配せずとも天海君は無罪だから、そろそろ放してあげてくれないかな?」

    百田「お、おう……」

    白銀「あはは、確かに需要はあるんだろうけど、それじゃあ無罪なのに捕まりっぱなしの天海君が可哀想だからね」

    天海「……」

    赤松「あ、あのさ……首謀者だってことがバレた割には……結構あっさりしてるね?」

    白銀「うーん……えっとさ、一つ聞いて欲しいんだけれど……」

    東条「……何かしら?」

    白銀「私たちが全員で集まっている時も、モノクマは動いてたでしょ?」

    茶柱「た、確かにそうですね……」

    夢野「それなら、モノクマは誰が操ってたというんじゃ?」

    王馬「もしかしたら夢野ちゃんの魔法かもねー!にししっ」

    夢野「んあーっ!ウチがそんな面倒なことをする訳がないじゃろう!」

    キーボ「だったら……この学園内には居ない人物……という考えはどうですか?」

    入間「はぁ!?それなら、何でこんな状況でもモノクマのヤローはでてこねぇんだよ!?」



    白銀「うーん、結論から言えば……」


  34. 34 : : 2017/05/08(月) 18:22:56





    「……私、皆に見捨てられちゃったのかもしれないんだよね」



  35. 35 : : 2017/05/08(月) 18:23:35


    白銀「実を言うと、キーボ君の推測は正解なんだ」

    白銀「このゲームは、外の世界で放送されてる最中なの」

    白銀「それで……その視聴者の中の有志が、モノクマ操作を担ってくれてる訳なんだけど……」

    天海「モノクマが白銀さんを助けに来ない、って事は……」

    東条「……白銀さんはその、視聴者に見捨てられてしまった、という事ね」

    白銀「……うん」

    白銀「あーあ、どうしようかな……」

    白銀「あ、そうだ。流石にこの状況からコロシアイに発展させるのは難しそうだから、タイムリミットの件は一回ナシにしておくね」
  36. 36 : : 2017/05/08(月) 18:23:48


    茶柱「ちょ、ちょっと待ってくださぁぁい!!」


    茶柱「なんで皆さんそんなにこの状況に順応できちゃってるんですか!?」

    茶柱「た、確かに天海さんが白銀さんに殺されかけて……」

    茶柱「それで、白銀さんがこの学園生活の首謀者だった、というのも解りましたけれど……」

    茶柱「私たちのこれまでの行動が全て放送されていて、その上モノクマは別に居て……」

    茶柱「そ、そんな状況なのにどうして……!」


    天海「……まぁ、その反応が普通っすよね」

    真宮寺「ああ。……僕らが、可笑しくなってしまっていたんだろうネ」

    天海「あと一時間以内に殺人が起きなければ皆殺し、なんて状況下でまともで居られる神経を持つ人って、案外少ないんすよ」

    天海「俺だって、さっきから妙に饒舌だったのは……もしかしたら殺されていたかもしれない、っていう恐怖を紛らわす為なんで」

    茶柱「……」

    東条「……そうね……」

  37. 37 : : 2017/05/08(月) 18:24:09


    一日後

    天海「それから、俺たちは一度頭を冷やして情報を整理する為にそれぞれの個室へ戻ったっす」


    天海「いやぁ……殺される気はしてたっすけど……」


    天海「流石に振り向いたらえげつない顔で砲丸構えてる白銀さんが居たら吃驚するっすよね」


    天海「ちなみに白銀さんは流石に一人にしておけない、って事で茶柱さんと春川さんに見張られてるみたいっす」


    天海「……白銀さんは、俺の無能さに賭けてた、って言ったっすよね」


    天海「俺が相手だから、油断してた……と」


    天海「そういえば、あの地図が無ければ俺は本の位置や砲丸にも気づけなかったっす」


    天海「まぁ……どうせ前周回の俺のことなんで」


    天海「ただの暇つぶしかマジな世界樹脳バカだったかの二択だとは思うっす」


    天海「ははっ、前周回の俺が無能だったからこそ、俺は……」


    天海「なんっつーか……不本意ながらも前周回の俺に感謝、っすね」

  38. 38 : : 2017/05/08(月) 18:24:43


    天海「……久々にあのビデオ、見てみるっすか」




    『やっ、キミが今これを見てるってことは……』

    『俺はもうこの世に居ない、っつーことっすね』

    『いやぁ、まさか遺言をビデオ形式で残すことになるとは思わなかったっす』

    『……?あ、これ遺言じゃないんすか?』


    天海「……」


    『ははっ、そう怒らないでくださいよ』

    『モノクマに怒られるの、これで11037回目っすよ?』

    『あ、今ので11038回になったっすね』

    『記念すべき1回目は確か……ああ、そうっすね、マッピング事件っす』

    『いやぁ、世界樹マッパーの本領発揮って奴っすね』

    『こういう、ダンジョンとか迷宮っぽいところってついついマッピングしたくなっちゃう、っつーか……』


    天海「……やっぱただのアホだっただけ、っぽいっすね」


    『あ、モノクマ、カンペの位置ちょっと見づらいっす、そこ』

    『もうちょっと横に……あ、そっちじゃねーっすよ、こっちの横っすよ』

    『あ、それでもうちょっと……ってあ、カンペにマッピング事件の話なかったっすね』


    天海「なんであんな精密な地図描ける癖に左右の表現が“横”と“こっちの横”なんすかね」


    『ま、気を取り直して……こんにちは』

    『あ、こんばんはかも知れないんすよね。……流石に朝に見てることはないと思うっすけど……』

    『一応おはようございますも入れとくっすか』

    『夕方の挨拶?そんなの……』

    『…………何なんすかね』


    天海「……夕方の挨拶について考えてみたら、なんか俺まで気になってきたっす」

    天海「真宮寺君に後で聞いてみるっすかね」


    『ま、気を取り直して……って、さっきもコレ言った気がするっす』

    『っていうか、いま気づいたんすけど……』

    『よくよく考えたら、キミがいまこのビデオ見てたんなら、俺も生きてるっすね』

    『なんて言ったって、俺はキミでキミは俺なんすから』

    『あ、なんかこんな感じの本あったっすよね』

    『タイトルしか知らねーっすけど』


    天海「図書室の本読み漁ってたら見つけたんすけど……」

    天海「おれがあいつであいつがおれで、ってアレのことっすかね」

    天海「まぁ、結局俺も読んでないっすけど」





    『あ、すみません、ちょっとタンマ。トイレ行きたくなってきたっす』

    『一回録画切っとくっすね』

    『ブチッ』





    天海「…………」


    天海「このビデオを見て、一つ解ったことがあったっす」

    天海「前周回の俺のお陰で、確かに俺は今此処にいる」

    天海「それを否定するつもりはねぇっすけど……」

    天海「…………それを加味しても、やっぱり」








    天海「前周回の俺が思ったより無能だったっす」 END
  39. 39 : : 2017/05/08(月) 18:40:20

    ここまで読んでいただきありがとうございました!

    なんとなくの話作りの流れだけそっと晒して終わろうと思います。


    ふとタイトルが思い浮かぶ(天海「前周回の俺が…」)
    →とりあえず生存者特典部分書いてみる
     →無能さを出す為にどうでもいいこと長々と喋らせる
      →(実は地図うんたらも、世界樹マッパー天海ネタが先で、砲丸うんたらのトリック?は後付け)
       →(モノクマに怒られる理由を適当に考えたらまさかの重要アイテムと化したマップ氏)

    (ここまで十分くらい)

    →やっと話の流れ考えていないことに気づく
     →話の流れ考えてみる
      →(当初の予定(?)だと生存者特典がクソ→天さん絶望→天さんもクソ野郎になるENDだったけど流石にやめた)

     →結局、「生存者特典」で油断したつむつむを捕らえてハピエンオチでいっかな、って辺りまで来る。
      
    →ここまでで決まったのが特典ビデオ内容とつむぎ捉えてハピエンってだけ

    →でもとりあえず書いてみる

     →天さん呼び出す為の手紙は最初、ただ呼び出すためだけのアイテムだった
      →けど途中から “貴重なアイテムなんだ、証拠品にしよう”と思い立つ

    →途中でデータ消える(図書室突入よりちょい前あたり)

    →さっきのところまで書き直す

    →残りのトリックどうこうは先述のマッパー天海の遺品が大活躍
     →世界樹どうこうから始まったから砲丸の個数とか描くつもりは無かった筈だけど便利なのでついでに

    →ある程度書き終わる
     →最初つむつむ捕らえてハピエン、までしか考えてなかったから、オチになやむ
      →折角ならタイトル回収オチにしたいよね
        →役に立ったかと思ったけどやっぱ無能だった前周回天さんオチにしよう
       

    →おわり

    ちなみにこいつを書き終わるまで計五時間弱だった気が。

    作業もしてたからね、仕方ないね。

  40. 40 : : 2017/05/08(月) 18:43:21

    まさか風呂でなんとなく考えてたアレからの、

    割とまじめ(でもない)SS完結というところまで漕ぎ着けるとは思わず、私も吃驚しているところです。

    上にも書いたように、行き当たりばったりなアレだったので、

    多少の不可解が残る点などはそっと見なかったことにしていただけると幸いです。


    これにて、

    初完結SS

    天海「前周回の俺が思ったより無能だったっす」

    執筆終了とさせていただきます。

    本当にありがとうございました……!

    またどこかで会う日まで  (´◉◞౪◟◉)
  41. 41 : : 2017/05/08(月) 20:13:57
    乙です!面白かったです!
  42. 43 : : 2017/05/10(水) 20:10:37
    色々考えられてて面白かったです
  43. 44 : : 2017/05/12(金) 18:26:22

    >>41 >>43

    ありがとうございます!
    お二方とも憧れのSS作者様だったので、そのようなお言葉を頂けて感激です……!

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