この作品は執筆を終了しています。
最原「赤松さん……あれ?」
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- 1 : 2017/03/27(月) 21:34:38 :
- ・ダンガンロンパV3ネタバレ注意です
・見切り発車です(重要)
・才囚学園は閉鎖された空間ではなく、普通の学園で、最原たちも超高校級として在学している、ということでお願いします。
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- 2 : 2017/03/27(月) 21:45:54 :
- 最原「赤松さん、何か雰囲気変わった?」
赤松?「え!? えっと…その…」
最原「…? どうしたの?」
赤松妹「あ、あの! …わ、私は…赤松楓の妹なんです!」
最原「え?」
最原は改めて目の前の赤松に似た少女を観察する。
いつもは頭のてっぺんで髪の毛がはねているが、今日はそれも大人しくまとまっている。
加えて、桃色のベストは水色になっており、背負っているリュックも薄い水色の色違いである。
しかし、それ以外は普段の赤松と変わりがないため、最原は最初赤松の冗談かと思った。
最原「妹…ってそれにしてはそっくり過ぎないかな?」
赤松妹「ふ、双子なんです…。よ、よく間違われます…」
最原「…えっと…そうなんだ? そうなると、君は赤松楓さんじゃなくて…」
赤松妹「あ、失礼しました。私は赤松……颯(はやて)と言います!」
※以降、ハヤテと表記します
最原「よ、よろしく…。」
ハヤテ「よ、よろしく…ね? あ、あー! 私、ちょっと用事があるので、ここで失礼しますね! それでは!」
最原「あ、ちょっと…」
最原が呼び止めるまでもなく、ハヤテは走り去ってしまった。
最原「…赤松さん、妹いたんだなぁ…」
これが最原終一と赤松楓の妹、赤松颯の出会いだった。
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- 8 : 2017/03/28(火) 10:04:18 :
- ~翌日~
最原「って、ことがあったんだよ」
天海「へぇ、赤松さんに妹…それも瓜二つの双子とは驚きっすね」
百田「いや、いくら双子っつってもそこまで似るもんなのか? 髪型と服装以外は同じなんだろ?」
最原「うん。それは思ったんだけど…」
王馬「一卵性双生児、ってやつだと思うよー」
百田「ソーセージが…なんだって?」
王馬「はいはい。百田ちゃんお得意のお決まりのボケは置いといて…
百田「得意になんかしてねーよ!」
王馬「一卵性双生児っていうのは要するに一言に双子と言っても、そっくりに生まれる双子とそうじゃない双子がいるってことだよ。話を聞く限りだと、赤松ちゃんは前者みたいだねー」
百田「なんでそんな詳しいんだ?」
王馬「えー、こんなの常識でしょー。まっ、と言っても、俺も双子だから知ってたってのもあるけどねー」
王馬みたいなやつがもうひとり、と3人は想像して…世界の終わりが訪れたような表情をした。
王馬「あははは! なーんてね、うっそだよーん!」
最原「よ、よかった…」
天海「王馬くんみたいな人がもうひとりいると考えると、もうめちゃくちゃっすからね」
百田「いや、双子だから同じようになるとは限らねえんじゃねえか? もしかしたら嘘なんてつかない正直者とか…」
王馬「俺と一緒に生活とかしてて、そんなやつになるとは思えないけどねー」
(だよなぁ)と、またしても3人の思考は一致した。
そうやって4人で雑談しているところに、赤松楓はやってきた。
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- 10 : 2017/03/28(火) 20:29:25 :
- 王馬「お、話題の赤松ちゃんが来たみたいだよ?」
最原「赤松さん、おはよう」
赤松「おはよう、最原君。王馬君、天海君、百田君もおはよう」
百田「よお。なぁ赤松。双子でそっくりな妹がいるってマジか?」
赤松「え!? え、えーっと、う、うん…」
天海「へぇ、本当に赤松さんにも妹がいたんすね。」
最原「僕の話を疑ってたの…?」
天海「いやいや、もしかしたらただイメチェンしただけの赤松さん、っていうオチもあるかもって思ってたもんで」
最原「なんで赤松さんがそんなことをするのさ…」
天海「それもそうっすね」
赤松「えっと、最原君が会ったんだよね。ど、どうだった?」
最原「え?どうって?」
赤松「第一印象とか!」
最原「第一印象? えっと……ごめん、そんなに話したわけでもないから印象も何も…」
赤松「あ、そうだよね。何か失礼なこととかしなかった?」
最原「いや、本当に少し話しただけで別れたから何もなかったよ」
赤松「そ、そうなんだ…あはは…」
赤松が誤魔化すように苦笑する。
最原(きっと肉親のことを話題に出されるのが何となく恥ずかしいんだろうな…)
最原「そういえばさーーー」
最原は赤松、赤松の妹の話題からは離れて、別の話題を提供した。
その場の皆もすぐに食いついたため、赤松の妹の話題はそれっきり特に気にされずに流れることになった。
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- 13 : 2017/03/28(火) 22:15:36 :
- ~夕方~
午後から探偵の仕事(と言っても、叔父の手伝い)があった最原は、その仕事を片付けて帰路に就いていた。
最原「あれ? あれは…赤松さー…ん?」
ハヤテ「え、えっと…最原…くん」
最原「髪型と服装を見る限り…妹さん?」
ハヤテ「えっと、うん…あ、私のことはハヤテでいいですよ?」
最原「ああ、お姉さんと紛らわしいか…」
ハヤテ「そ、そうです。だから、姉のことは楓って呼んであげてくださいね!」
最原「う、うん。わかったからそんな近づかれると…」
ハヤテ「あ、す、すいません…」
最原(赤松…楓さんと比べると何だか気弱ってイメージだな…)
最原「…改めて自己紹介しない? 前は急に出会って話もまともにできなかったしさ」
ハヤテ「そ、そうですね…。私は、赤松楓の妹、赤松颯と申します。才能とかは特にないです」
最原「僕は最原終一。一応、超高校級の探偵なんて呼ばれてるよ」
ハヤテ「探偵だなんて、すごいですね!」
最原「いや、たまたま1件だけ解決しただけで、僕自身にそんな大した力はないよ…」
ハヤテ「そんなことないよ! 最原さんはとってもかっこいいよ!」
最原「……」
最原はキョトンと突然大声を出したハヤテを見やる。
言い方や意見を言う様が赤松楓とそっくりだった。
最原「本当に双子なんだね。赤松…楓さんとそっくりだよ」
ハヤテ「あ、す、すいません…」
最原「いや、僕もネガティブなこと言っちゃって、ごめんね。」
ハヤテは顔を赤くしながらうつむいている。
最原「あ、そこに喫茶店があるんだけど、良かったら寄っていかない? ハヤテさんの話、聞きたいからさ」
ハヤテ「え、あ、はい…」
いつもの最原なら女の子に対してこんな積極的ではないが、この時はなぜか自然とハヤテを誘えていた。
そのことに気づかないまま最原とハヤテは喫茶店へと足を運んだ。
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- 15 : 2017/03/28(火) 22:52:46 :
- 最原「………」
ハヤテ「………」
喫茶店。そこに入ったはいいが…
最原(気まずい…! なんだ、さっきまでの積極的な僕はどこに行ったんだ…!)
喫茶店に入り注文を言って、それから……ずっと黙っている状態が続いている。
最原「え、えっと……今日はいい天気だね」
ハヤテ「あ、はい…そうですね…」
最原(馬鹿か! 見ればわかるだろ!)
何か別の話題を…と必死に考えて出た話題は
最原「明日も天気はいいらしいよ」
ハヤテ「あ、そうなんですか……」
最原(馬鹿か! 天気予報みれば済む話だろ!)
最原が一人漫才を繰り広げていると、ハヤテがそんな最原を見てくすっと笑った。
ハヤテ「最原さん。姉は…楓は普段どんな感じですか?」
最原「え? どんな感じって…?」
ハヤテ「学園での普段の様子とか、最原さんの印象とか…」
最原「学園ではみんなの指標となる人、って感じかな。クラス委員長とかじゃないけど、みんなを引っ張っていってくれる、そんな感じの人だよ。」
ハヤテ「頼りになる存在…ということですか。へぇ…」
最原「僕としてはピアノに一途で、友達思いで、とても元気な人、って感じかな?」
ハヤテ「ふむふむ…そんな印象なんですね…」
最原「…あの、そのメモは?」
ハヤテ「最原さんの言ったことをメモしてるだけですよ?」
最原「なんでそんなことを!?」
ハヤテ「将来参考にするために…」
最原「一体何の参考に…」
とりあえずハヤテがメモを取ることを止めなかった最原だった。
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- 21 : 2017/03/29(水) 11:50:21 :
- 最原「ところで颯さんは才囚学園の生徒なの?」
ハヤテ「いや、違うよ。えっと…近くの女子高に通っているんだ」
最原「そうなんだね。あれ、じゃあ今着てる服は制服じゃなくて私服なの?」
ハヤテ「制服とかなくって、服装は自由なの。お姉ちゃんの制服可愛いから」
最原「へぇ。確かに可愛いよね」
率直に意見を言った最原だったが、それを聞いたハヤテは顔を赤くして俯いてしまった。
ハヤテ「……最原さんは平気で恥ずかしいことが言える人だったんだね…そうやって、他の人にも言ってるんでしょ」
最原「いやいや、そんなことないよ」
素直な意見を言っただけなのになぜナンパ男のような評価を頂かねばならないのか。
最原「あ、そういえばここの喫茶店のコーヒーが美味しいんだよ」
ハヤテ「……ふふっ、話題変えるの下手ですね」
最原「………」
ハヤテ「では、最原さんおすすめのコーヒーも飲んでみますか」
やれやれと言った様子で店員にコーヒーを2つ頼むハヤテ。
ハヤテ「それでお姉ちゃんの話、もっと聞かせてください」
最原「う、うん。そんな大したことは話せないけどね」
その後、赤松との数々の思い出をハヤテに話した。
~話し始めて少ししてから~
最原「ーーーで、赤松さんってばピアノを弾いてる時って無防備でさ。結構体を密着させてきたりするんだけど、ああいう仕草はかなりドキっとしちゃうんだよね」
思い出話を話しているうちに口が軽くなった最原は、そんなことまで話していた。
まるで百田や天海など男友達と話しているような感覚だった。
そして、目の前でハヤテが顔を赤くしているのに気づいてからやっと最原も自分が話す内容の選択を誤ったことに気づいた。
最原「あ、ご、ごめん。こんなこと話すべきじゃーーー」
ハヤテ「最原くん、えっちだよ!」
最原「ご、ごめん。妹さんに話すことじゃなかったよね…」
ハヤテ「……そんな目で見てたなんて…注意しなきゃ…」
最原「本当にごめんなさい!」
その後必死に謝ってなんとか許してもらった最原だった。
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- 25 : 2017/03/29(水) 23:21:10 :
- その後、話題に気をつけながら颯を話しをするが、二人が気づかないうちに1時間と時間が過ぎていた。
ハヤテ「あ、もうこんな時間…私このあと用事があるので失礼しますね。今日は楽しかったです。」
最原「あ、そうなんだ。僕も楽しかったよ」
ハヤテ「じゃあね!」
そのまま席を立って小走りに喫茶店を去っていった。
最原「あ……」
その時、赤松の席を見ると、小銭が数枚…注文したコーヒーとケーキの代金が置かれていた。
最原「いつの間に…奢るつもりだったのに…」
最原にも探偵の業務の手伝いということで、多少ながら収入はあるため、そこらの高校生と比べると小金持ちである。
喫茶店での多少の飲食を一度奢るくらいなんともないのだが、こうしてお金を置いていかれてしまったのなら、無駄にするわけにもいかない。
最原「それにしても……僕ってこんなに饒舌なやつだったっけ…」
友達の妹とは言え、ほぼ初対面の女の子を喫茶店に誘って、一時間空気が気まずくなることもなく話し続けられるなんて…。
最原「…まさか探偵をやっていくうちに培われたコミュニケーション能力が……開花したわけはないか…」
それなら未だにアンジーさんに結婚を申し込まれて慌てたり、入間さんに下ネタを言われながら告白されて上手く切り替えせないなんてことにはなっていないはずだ。
最原「……赤松さんそっくりの顔をしているからかな…」
颯と話すことがなぜこんなにも楽しく、そして、上手くいったのか無駄に探偵としての思考をフルに活用して考え続けた最原だった。
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- 26 : 2017/03/30(木) 00:32:09 :
- それからしばらく考えて答えが得られなかったため、とりあえず喫茶店を出ることにした。
赤松「あ、最原君!」
最原「あ……赤松さん?」
赤松「なんで疑問形なの?」
最原「いや、ついさっき妹さん…ハヤテさんに会ってたからさ」
赤松「………」ジー
最原「え、な、なに?」
赤松「名前…」
最原「名前?」
赤松「妹は名前で呼んで、私は『赤松さん』なんだ?」
最原「え、いや…それは癖というか…」
赤松「ふーん……へー…」
最原「……わ、わかったよ。区別をつけなきゃって思ってたし、頑張って名前で呼ぶよ…二人きりの時だけは…」
赤松「…変なところでヘタレなんだから。まぁ今はそれで良しとする!」
最原(なんか釈然としない)
最原「そ、それであかま………か、楓…さんは何を?」
赤松「……」
最原「楓さん?」
赤松「あ、はい。あ、あはは、呼ばれなれてないせいかな。ぼーっとしちゃったよ」
最原「ああ、そうなんだ。それで、楓さんはなにを?」
赤松「……ど…び…した………な…よべ………から…」
最原「え?なに?」
赤松「なんでも! それで、何をしてるかって帰ってる最中ですが!」
最原「…怒ってる?」
赤松「なんでもないよーだ!」
最原「は、はい…」
赤松「……それで、妹と楽しい時間を過ごしてた最原くん? 最原くんは妹を狙ってるの?」
最原「ええ!? それは違うよ! ただの友人だよ!」
赤松「ふーん…」
その後、最原は不機嫌そうな赤松の機嫌を取ることになってしまった。
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- 27 : 2017/03/30(木) 08:54:27 :
- ~翌日~
天海「へぇ、また赤松さんの妹さんと出会ったんっすか」
百田「テメーとそいつはよっぽど縁があるんだろうな。つーか、終一ってそんな積極的なやつだったか?」
最原「う、うん。それは僕も驚きなんだけど、自然と誘えたんだよね」
天海「最原さんは超高校級のナンパ師なんすね」
最原「そ、そんな浮ついたやつじゃないよ」
百田「だな。終一がそんな上手く立ち回れるやつなら、毎日あんな……」
あんな修羅場が繰り広げられることはねえだろ、と続けようとしたが、本人に自覚がないし天海は知っていることであるため、言っても意味がないと百田は気づいた。
最原「…あんな…なに?」
天海「確かにっすね」
最原「あれ? 意思疎通できてる?」
王馬「なーに話してんの?」
最原「ああ、王馬君おはよう。実は…」
天海たちと話していた内容を王馬に説明した。
王馬「ふーん、うまくいってるみたいだねー」
最原「どういうこと?」
王馬「いやいや、ちょっと意味深なこと言ってみただけだって!」
百田「やめとけ終一。こいつの言葉にいちいち付き合ってたらキリがねえぞ」
王馬「あー、そんなこと言うんだ? さっき春川ちゃんが百田ちゃんのこと探してたんだけどなー?」
百田「…………」
王馬「ニシシ、嘘だと思う? 本当だと思う? どっちでしょー?」
最原「百田君、どっちにしろ、春川さんに確認したほうがいいんじゃないかな?」
百田「……しょうがねぇ。嘘だったら覚えてろよ王馬!」
王馬「おお、こわいこわい」
百田が去り、3人で話を続ける。
王馬「で、最原ちゃんは赤松ちゃんの妹をどうすんの?」
最原「どうって?」
天海「これ以上の修羅場要因……いや、要員を増やすのかって話っすよ」
最原「何となく『よういん』の字が違うのはわかったよ。いや、仲良くしたいなとは思ってるけど…」
王馬「あちゃー、だめだよ最原ちゃん。最原ちゃんの仲良くはその気にさせて後は放置プレイっていう最低なやつなんだからさ」
最原「それはちがーー」
天海「それに賛成っすよ」
最原「割り込まれた!?」
天海「いい加減、たくさんの女性に手をかけてきたんすから責任取るべきっすよ」
最原「ちょっと待ってよ!? 人聞きが悪い上にそんな覚え全くないんだけど!?」
王馬「最原ちゃんの覚えはどうでもいいんだよ。とにかく妹ちゃんをどうすんのって話。まさか……姉の赤松ちゃんと一緒に姉妹丼とか考えてないよね?」
天海「それは…いくらなんでも引くっすけど…最原君なら…」
最原(姉妹丼……)
ほぼ同じ容姿をした女の子が二人で迫ってきて……
最原(いやいや、何考えてるんだ僕は…)
最原「いや、好きになるなら一人だけだよ」
天海「の割には答えるのに時間がかかったっすね」
王馬「そんなんだから優柔不断なんだよ。おらぁ!さっさと最原ちゃんの一番を教えろよ!」
最原「態度急変しすぎ!?」
胸ぐらをつかんで揺さぶってくる王馬から逃げつつ、学園の休み時間を過ごした。
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- 33 : 2017/03/31(金) 23:35:06 :
- ~放課後~
天海「最原君」
授業も終わり、帰ろうとしたところで天海に声をかけられた。
最原「なに?」
天海「今日も赤松さんの妹さんと逢引っすか?」
最原「人聞きが悪いよ…。それにそんな約束はしてないし…」
天海「ああ、そうなんすか。よければ、俺も一目赤松さんの妹という方を見てみたいと思ったんすけど…」
最原「へぇ。どうして興味を持ったの?」
天海「……もしかしたら…いや、何でもないっす」
最原「気になる言い方だね」
天海「申し訳ないっすけど、今は言えないっすね。赤松さんの妹を見た後で言わせて頂くっす」
最原「まぁ確実に会えるわけじゃないし、いいよ。一緒に行こうか」
天海「ありがとうございます」
最原は天海を連れて、前回訪れた喫茶店付近へと向かうことにした。
最原「あ、いたよ」
天海「あれが…? 服装や髪型変えた赤松さん、というわけではないんすか?」
最原「僕も最初はそう思ったけどね」
そう二人で話していると、颯の方から近づいてきた。
ハヤテ「最原さん! 今日も会えたね……って、こ、こちらの方は…?」
天海「天海欄太郎っす。最原くんのクラスメイトっすよ」
ハヤテ「あ、赤松楓の妹の赤松颯です…。」
天海「うーん…」
ハヤテ「あ、あの…?」
天海「あー、ごめんなさいっす。ちょっと考え事を」
最原「それでせっかく会えたんだし、また、同じ場所で悪いけど、そこの喫茶店でコーヒーでもどうかな?」
ハヤテ「はい、行きます! 天海さんはどうしますか?」
天海「ああ、もう目的は果たしたんで、後はお若いお二人でごゆっくりってことで」
最原「同い年じゃないか…」
天海「気分の問題っすよ。じゃ、最原君はまた。ハヤテさんはいつかまた会えたらいいっすね」
そう言って天海は二人から離れた。
ハヤテ「…不思議な方ですね」
最原「そうだね。なんというか、掴みどころがない人だよ。…じゃあ、入ろうか?」
ハヤテ「はい!」
そのまま二人は喫茶店の中へと入っていった。
???「………」
その様子をじっと見ている存在に気づかずに…。
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- 36 : 2017/04/01(土) 21:14:51 :
- 最原「さて、何を注文しようか」
ハヤテ「私はカフェラテにします」
最原「僕はコーヒーにしようかな」
注文を店員に伝えて、二人は会話を始める。
ハヤテ「最原さんって探偵ということですけど、どういう活動をしているんですか?」
最原「いろいろだね。無くしたものを探したり、ペット探しだったり、ああ、浮気調査とかもあるね」
ハヤテ「浮気調査って張り込みとか?」
最原「そうだね。と言っても、助手だから大したことはしてないよ」
ハヤテ「ううん。すごいと思うよ」
最原「あはは…ありがとう。あ、来たみたいだね」
「お待たせしました。コーヒーとカフェラテです」
と言って、店員がテーブルにカップを並べる。
「あと、こちらはカップルパフェでございます」
最原「え?た、頼んでませんよ?」
「こちらはあちらのお客様からでございます」
あちら、と店員が指し示す方には…
王馬「あ、やっべ、見つかった」
てへぺろ、とでも言いそうな表情で逃げ出そうとしている王馬がいた。
最原「王馬君!?」
王馬「オレとしたことが口止め忘れてたよー。じゃ、そういうことで」
咄嗟に捕まえようと最原は手を伸ばしたが、するりと抜けられてしまい、王馬は喫茶店を出て行った。
最原「何なんだ一体…」
ハヤテ「あ、あの! さっきの人も気になりますけど…パフェが…」
カップルパフェ。それは恋人が2人で食べきることを想定としたパフェで量はそれなりにある。
時間を掛ければアイスや生クリームが溶けてしまうだろう。
最原「くっ…ここで食べないのはもったいないし、喫茶店の人にも申し訳ない…か」
ハヤテ「そ、そうだと思います」
最原「わかった。じゃあ、僕が頑張って一人で…」
ハヤテ「あ、あの…わ、私は…一緒に食べても…だ、だだ…」
言わんとすることがわかった最原は思わず頬が熱くなる。
最原「わ、わかったよ。僕もこれを全部一人はきついから……い、一緒に食べよう…」
二人はスプーンを片手に改めてパフェに向き直る。
最原(でかいな…食べきれるかな…)
最原の不安を余所にハヤテはスプーンで生クリームを掬って食べた。
ハヤテ「美味しい…!」
ハヤテは頬を抑えてにやけるのを我慢していた。
その仕草を見て最原は…
最原(……ハヤテさんを見てたら食べきれる気がしてきた)
そんな調子で二人で食べ続けていく。
~10分経過~
それなりに食べ進めていくと…
最原「あ…」
ハヤテ「あ…」
カチャ、と二人のスプーンがぶつかり合う。
最原は甘味に少し飽きが出てきてぼーっとして、ハヤテはまだ食べたい、とスプーンを素早く突き合わせた結果ぶつかってしまった。
最原「えっと…どうぞ?」
ハヤテ「あ、はい。いただきます」
最原が引いて、ハヤテが引き続き食べる。
ハヤテのスプーンとぶつかった自分のスプーンを見て……
最原(いやいや、ぶつかっただけだ。気にするな…)
間接キスとかそんなものを気にする年でもないだろ…と言い聞かせながら、しばらく自分のスプーンをにらめっこすることになる最原だった。
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- 38 : 2017/04/02(日) 19:07:12 :
- ~15分後~
赤松「ふぅ、ご馳走様」
二人の前にあった巨大なパフェは、その中身を消して容器のみを残すことになっていた。
最原(僕3割も食べてない気がするんだけど…)
途中で体が甘さを拒否して、コーヒーを追加で頼んだにも関わらずこれである。
逆にハヤテはゆっくりではあるが、休憩なし舌を休めることもなしに食べ続け、感触していた。
最原「す、すごいね。ハヤテさん」
ハヤテ「さすがにお腹いっぱいだよ…。あ、いつもはこんなに食べないんだよ? 今日はちょっと気合いれただけだからね?」
一体なんの言い訳なのか、とすぐに重たいお腹によってそれもどうでもよくなった。
しばらく食後の心地よい沈黙を二人で楽しむ。
ハヤテ「…はぁ…もう少しゆっくりしたいけど、これから予定があるので私はこれで行きますね」
最原「あ、そうなんだ。じゃあ、今日は奢るから先に行っていいよ。」
ハヤテ「いや、私の分は自分で払いますよ!」
最原「僕はもう少しゆっくりするし…お金には少し余裕があるから大丈夫だよ。気になるなら今回だけってことでさ」
ハヤテ「そ、そうですか…? な、ならお言葉に甘えます! ありがとうございます!」
礼を言って、颯は喫茶店を出て行った。
最原(…僕はハヤテさんが好きなんだろうか)
最原は、先ほどまで彼女が居た場所を見つめて思う。
最原(…気になってる相手、であるのは間違いない。男女として好きなのかどうかは…わからないけれど…)
クラスの女子…特に彼女の姉である赤松楓…彼女に寄せている想いと同じような感情を抱いていることは間違いない。
最原「……2人の女の子…しかも双子が気になってる…って…」
これじゃあ天海君のナンパ師っていうのも否定できないじゃないか、と頭を抱えながら、どうしたものかと熟考する。
結局結論は出ずに最原は喫茶店を出ることにした。
「4680円になります」
最原(王馬君払ってくれてないじゃないか!!)
注文しただけで、払った、とは言っていないよーん、という王馬の声で幻聴が聞こえてきそうだった。
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- 41 : 2017/04/03(月) 23:18:30 :
- 次の日。
いつもどおりの時間に登校してきた最原を天海が待ち構えていた。
天海「おはようっす。最原くん。」
最原「おはよう。どうかしたの?」
天海「あー…ここじゃあちょっと…屋上に行きましょう」
最原「…?」
~屋上~
天海「実は赤松さんの妹さん…ハヤテさんでしたっけ。あの後、ちょっと気になって俺なりに調査したんすよ」
最原「え!?」
天海「ああ。気になると言っても、一目惚れした、とかそういう話ではないのでご安心を」
最原「いや、そんな心配はしてないけど…」
天海「話を戻すっすよ? それで最原くんは考え事をしてて気づいてなかったみたいっすけど、あの喫茶店の結構近くに俺、いたんすよ?」
最原「そ、そうなの? 全く気付かなかったけど…」
天海「こう見えて自分、張り込みとかしたこともあるんで…」(妹の探索で…)
天海がぼそっと言った内容は最原には聞こえなかった。
最原「色々やってるんだね。それでハヤテさんを見張ってたってこと?」
天海「ズバリ、そうっす。最原くんと別れた後の彼女の動向を伺ってたんすけど…」
天海は一度言葉を切って、言いづらいそうに口をもごもごさせた。
天海「…あの後王馬くんと会ってたんすよね」
最原「…え? ど、どういうこと?」
天海「いえ、会話の内容まではわからないっす。ただ、昨日今日会った、という感じじゃなかったっすね」
最原「………」
最原(ハヤテさんと王馬君が知り合いだからどうということはないけど…なんだろう…モヤモヤする…)
天海「それで、もう一つあるんすけど…」
最原「まだ何かあるの?」
天海「ああ、いえ。気のせいかもしれないっすけど……王馬くんと会っていた彼女の髪…赤松さんみたいにはねてたんすよね」
最原「…? それがどうかしたの?」
天海「いえ、最原くんがそう思ってなさそうだったのであの時は言わなかったんすけど…俺が彼女と会ったとき、違和感があったんすよ。知ってる人なのに、知らないふりをされているような…そんな感じの」
最原「…それって…」
天海「まぁ結論を言うと…あれは赤松さんが変装…ってほどでもないっすけど、ちょっとした変装をして自らを双子の妹である、と名乗っているだけなんじゃないか、って俺は睨んでるんす」
最原「な、なんで赤松さんがそんなことを?」
天海「そこで一つ前の王馬くんっす。弱みでも握られた赤松さんは王馬くんに最原くんをからかうように強要されている…とか?」
最原「そ、そんな…!? いくら王馬くんでもそんなこと…」
天海「いや、俺も断言するつもりはないっす。ただ、彼女と王馬くんが会っていたこと…それがどうにも引っかかるんすよね」
最原「………」
天海「まぁここまでは俺が見てきたことから推測しただけで証拠の一つもないんすけど、実際彼女と多く会うことがあるのは最原くんっすから知っておいたほうがいいかな、と思いましてね」
最原「……うん。天海君が嘘を言っているとも思えないし…信じるよ。メリットもないし」
天海「ありがとうございます。まぁ、最原君なら信じてくれると俺も信じてましたけどね」
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- 43 : 2017/04/04(火) 23:12:54 :
- ~昼休み~
授業そっちのけで最原は、天海からもたらされた話を整理していた。
赤松「最原くん? 難しい顔してどうしたの?」
最原「……あっ、赤松さん…」
赤松「本当に大丈夫?」
最原「大丈夫。心配かけてごめんね」
赤松「そ、そんな私がいつも最原くんを気にしてるだなんてそんな…!」
最原「そこまでは言ってないけど……」
赤松「あ、うん。そうだよね…あ、ところでさ」
赤松は後ろ手に隠していたものを最原に見せる。
それは女の子らしい小さめの弁当箱だった。
赤松「お昼、一緒にどう?」
最原「うん。いいよ」
赤松「じゃあ、失礼してっと」
最原の前の席に赤松は、座った。
最原「…何かあった?」
赤松「え? な、なにが…?」
最原「いや、普段は女子と食べることが多いからさ。何かあったのかなって」
赤松「えっと……別に大したことはないんだけど…その…妹のことなんだけど…」
ドキッと最原の心臓が一度跳ねる。
最原「はや…妹さんが…何か?」
赤松「うん。…最原くん、最近毎日あの子と会ってるでしょ? ………好き…なの?」
最原「………」
それはあまりにストレートな質問で最原を動揺させた。
最原「えっと……」
赤松「あ、ごめん! 今のなし!」
顔の前で腕でバッテンを作る赤松。
最原「好きか嫌いかって言われたら好きだけど」
赤松「なしって言ったじゃん!?」
最原「いや、聞きたいって顔に出てるよ…」
赤松「………」
最原「えっと、こういうことが聞きたい…わけじゃないよね?」
赤松「……うん…」
最原(ということは異性としてどう思うか、か)
最原はこの質問の回答にどう答えるか、そして、赤松がこの質問をするメリットを考える。
最原(……もし、ハヤテさんが実在するとしたら……妹が僕にふさわしいかどうかを確かめてやろう、ということか…?)
最原(もし、ハヤテさんが赤松さんの変装だったら……架空の人間を好きになってしまった僕を哀れんでいるのか、さすがに状況がまずいと思い始めて、その確認か…)
最原(いや、まず赤松さんが変装した理由についてもはっきりさせなきゃなんだけど……どっちにしろ……この回答、慎重にしたほうがいいな…)
最原は、探偵とは関係のないところで探偵としての能力を全力で発揮しようとしていた。
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- 47 : 2017/04/10(月) 22:41:14 :
- 最原「異性としてどう思うか…って言われると確実に好意は抱いてると思う」
赤松「……」
最原「ただ、付き合いたいとか…手を繋ぎたいとかキスをしたいとかそういう好きかと言われると…たぶん違う」
赤松「……最原君って本当平気で恥ずかしい事を言うよね」
最原「質問に答えただけなのに…」
赤松「事実だよ……ご馳走様。じゃあね。最原くん」
そう言って、赤松は席を離れた。
~放課後~
その後、赤松に話を聞こうとしたが、タイミングが掴めずに話しかけられずにいた。
結局、最原は自分の中で今日の自分の対応が正しかったのか、と問答を続けることになる。
最原(僕は解答を間違えたんだろうか…。いや…でも、こんなこと確認できないし…)
「最原くん!」
顔を上げると、そこには赤松…ハヤテの姿がそこにあった。
いつの間にか無意識のうちに歩いてきてしまったようだ。
最原「……ハヤテさん…」
ハヤテ「どうしたの? なんだか、浮かない顔をしてるけど…」
昼間に赤松が見せた暗い表情とは、全く違う、何事もないような表情だ。
当たり前だ。ハヤテと赤松…楓は別人なのだ。
……そういうことになっているのだ。
最原「いや、何でもないよ。……良かったら今日は喫茶店じゃなくて…あっちの公園に行かない?」
ハヤテ「…うん。いいよ」
もう終わらせよう。
この状況をはっきりさせるんだ。
最原はギュッと手を握って、ハヤテと共に公園を目指した。
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- 55 : 2017/04/30(日) 20:29:34 :
- 近くの公園に入った二人はそのまましばらく歩く。
人通りがほぼなくなったところで、最原は立ち止まった。
最原「……ハヤテさん…いや、楓さん」
「………間違ってるよ。私はハヤテだよ」
最原「いや、君は楓さん。赤松楓さんだ。僕のクラスメイトのね」
「…そこまで言うってことは何か根拠があるの…?」
最原「…まず、ここ最近同じ場所で出会っていたのは、僕の予定がわかっていたから。クラスメイトや先生には僕の予定は大体伝えていたし、聞けばわかるからね」
「………」
最原「そして、今回のことには王馬君が絡んでいる。正直、動機についてはわかってないけれど、王馬君が何か入れ知恵したのは間違いないと思ってるよ」
「………」
最原「それで、最後の根拠なんだけど……勘だよ」
「…勘?」
ここまで真剣な顔で聞いていたハヤテの顔がキョトンとした気の抜けた顔に変わる。
最原「そう。僕の目の前にいる女の子は、僕が最近出会った女の子ってわけじゃなくて、ずっと前から知っている女の子だって……何となく感じるんだ」
「……ふふ、何それ」
困ったように苦笑したハヤテ……否、赤松楓は髪の毛を手グシでいじると、いつもの髪型に戻した。
赤松「……いつからわかっていたの?」
最原「違和感を感じたのは最近だけど……今思えば最初からおかしかったよ。」
最原「赤松さん。君には本当に双子の妹がいて、そして、僕が最初に出会った赤松ハヤテさんは本物だったんじゃない? 二度目以降に会ったときは君と入れ替わった。違う?」
赤松「………正解。でも、なんでわかったの?」
最原「……一番最初。本当に最初に赤松ハヤテさんに出会った時、彼女はひどく慌てて、そして、人見知りしている様子だった。けど、次に出会った時は、普通に受け答えできていたんだよ。慣れたか、最初は用事があって慌ててたかもしれないけど……二度目に会ったハヤテさんは…楓さんを名前呼びすることにこだわっていたね。妹がする話題としてはその部分を強調するのは違和感があるよ」
赤松「…よくそんな前のこと覚えてるね。探偵だから?」
最原「それもあるけど……ハヤテさんとの…君との大切な思い出だからだよ」
赤松「……むぅぅぅ…」
赤松が非常に不満そうに顔を赤くしながら唸った。
赤松「もう! 最原君はそんなんだから!」
最原「え!?」
赤松「私の気持ちも知らないで! どうすれば気持ちが伝わるかずっと考えて……王馬君の提案にも載っちゃって……もうバカみたいだよ…」
最原「ちなみに王馬君の提案って…?」
赤松「…妹のふりして、好感度あげてみたら?…って」
最原「王馬君きっとからかう気しかないよ」
赤松「……だよね…」
最原「……それで、さっきのことなんだけど…」
赤松「……え?」
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- 56 : 2017/04/30(日) 20:30:29 :
- 最原「私の気持ちって…?」
赤松「………むぅぅぅぅ……」
最原「な、何!?」
赤松「わかってて聞くなんて最原君、意地悪だよ!」
最原「い、いや、本当にわからないから聞いてるんだけど…」
赤松「……むぅぅぅぅ…!」
最原「今度は何…?」
赤松「わかってないならわかってないでムカつく…!」
最原「ご、ごめん……」
赤松「むぅぅぅ! わかったよ! もう言う! 言わないと、絶対進展しないもん!」
最原「お、お願いします…?」
赤松「お願いされた!」
そこで赤松が二度三度と深呼吸をして、最原を睨みつけるように見る。
赤松「私は、最原君が好きなの!」
最原「………え?」
赤松「二度も言わせる気!? 私は、最原君が! 好きなの!」
最原「………えええええ!?」
最原は驚きのあまり後ずさった。
最原「そんな…え? なんで…」
赤松「そこまで聞くなんて…最原君ってば本当に意地悪だよ…」
最原「ち、違うよ…えっと…その…」
赤松「………?」
最原「……こんな…赤松さんに先に気持ちを伝えさせてずるいけど……僕も……赤松さんのことが好きだよ」
赤松「……えええええ!?」
今度は赤松が後ずさった。
赤松「え? え? いつから…?」
最原「ずっと前から…出会って1ヶ月くらいかな? でも…僕はこんなだから、告白する勇気なんてなくって…」
赤松「………」
最原「本当、僕はずるい奴だよ…」
赤松「ホントだよ……それなら…さ。続きは最原君に任せていいよね…?」
最原「続き……」
赤松が何を求めているのか、さすがの最原も察しがついた。
最原「ぼ、僕と付き合ってください…!」
赤松「…はい。喜んで…!」
最原が差し出した手を赤松は両手で包み込むように握った。
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- 57 : 2017/04/30(日) 20:31:28 :
- ガササ……
最原・赤松「…?」
王馬「いやぁ、上手くいってよかったね~」
天海「本当に。見ていてヤキモキしてたっすからこれであの日々とはオサラバっすね。」
最原「王馬君!? 天海君も!?」
ハヤテ「………」
赤松「ハヤテ!?」
最原「え、あ、本物の?」
ハヤテ「お、おめでとうございます…?」
最原「あ、ありがとう…じゃなくって! なんで3人もここに!?」
王馬「そりゃあ、最原ちゃんたちがどうなるか見届けに来たに決まってんじゃん!」
天海「いやぁ、俺が王馬君のことを話したら最原君も気づくとは思ったっすけど、ヒヤヒヤもんでしたっすね」
最原「え? 嘘だったの?」
天海「いいえ? 赤松さんと王馬君が一緒にいたところを見たっていうのは本当っす。ただ、その後王馬君には気づかれて、最原君に情報を渡すように言われただけっす」
最原「ええ!? 脅されてとか物騒なこと言ってたのは…」
天海「ああ、あれは最原君に重要な情報だと印象づけられるように適当に言っただけっすよ」
天海は、悪びれもせず苦笑しながら言った
王馬「ハヤテちゃんは、今日最原ちゃんが勝負仕掛けるってわかったから急いで呼んだんだよ。いやぁ、たいへんだったよー。」
そこまで聞いたところでプルプルと赤松が震えだす。
赤松「つ、つまり……ぜ、全部見てたって言うの…?」
王馬「バッチリ!」
天海「恋愛ドラマ見てるみたいだったっすよ」
ハヤテ「我が姉ながら青春してるなと思いました……」
赤松「……もおおお!! 3人とも正座!」
王馬「やっべ! 赤松ちゃんが怒った!」
天海「そりゃそうっすよ。じゃあ、逃げるとしますか」
ハヤテ「ま、待ってください…!」
赤松「逃げるなぁぁ!」
最原「……あはは…」
最原は3人を追いかける赤松を見ながら苦笑する。
騒がしい人たちだけど、自分のために動いてくれる人たちがいる。
そして、自分の好きな人がいる。
その人とこれから先、恋人として付き合っていける。
そんな日々を楽しみに感じながら最原も3人を追いかけるのに加わった。
END
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- 58 : 2017/04/30(日) 20:36:46 :
- あとがき的な
赤松姉妹で最原を取り合う展開も考えてたんですが、長くなりそうだったので、こんな感じに落とし込みました。
ただ、最初の颯と後で出てくる颯が別人、というのは最初から考えていたことだったので、その点を(無理やりではありますが)できたのは満足です。
最後に赤松の妹についてプロフィールでも。
赤松颯(あかまつはやて)
超高校級のピアニスト、赤松楓の双子の妹。社交的な姉とは真逆に内気で人見知り。姉のピアノを聞くのが好き。得意なこともなく、読書や裁縫が好き。
赤松のピンク色のベストは颯のお手製という裏オリジナル設定もありました(生かされなかったけど)
長く期間を空けてしまって、待っていた方は申し訳なかったです。
では、ここまで読んでくださった方ありがとうございました。
別の作品でお会いしたときはよろしくお願いします。ではでは。
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- 59 : 2017/05/01(月) 20:32:45 :
- 完結してた!
おもしろかったです!
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