この作品は執筆を終了しています。
【ネタバレ注意】七海「希望があれば奇跡も起きるんだよ。」
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- 1 : 2017/03/22(水) 01:33:20 :
- ・ダンガンロンパ3 絶望編のネタバレを含みます
・こんな未来が良かった…という思いが溢れた結果生まれた作品
・ちょっと書き方に違和感あるかもですが、許して…
・短いです
以上をご了承ください。
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- 2 : 2017/03/22(水) 01:33:38 :
- 「……」
目の前の映像では超高校級のゲーマー、七海千秋が江ノ島盾子の言う、お仕置きを受けていた。
トラップだらけの迷路に放り込まれ、死ねばゲームオーバー、生き残ればクリア。
しかし、彼女のことです。ゴールはさせても、生かしては返さないでしょう。
……僕の分析では満身創痍になりながらも、七海千秋はゴールまではたどり着ける。
しかし、その後のトラップは回避できないでしょう。
…これが彼女の言う絶望なのか。
この映像を見ても、予想外のことは起きていない。
僕にとって予想外だとすれば、
七海千秋が全ての罠を回避するか、77期生が映像の呪縛から逃れ、彼女を助けに行くか。
しかし、現実ではそんなことは起こっていない。
「ツマラナイ…」
全てが予定通りで想定通り。
七海千秋がゴールの直前にたどり着く。
「………?」
僕はいつの間にか画面に手を伸ばしていた。
自分は何をしているのか、いくら分析しても回答は得られない。
否、得られてはいる。しかし、それに納得できるかと言われればそうではない。
七海千秋を助けたいと思っている…?なぜ?
七海千秋と初めて会った時、彼女は僕のことを「日向君」と読んだ。
日向創。僕が僕となる前の人格。何の才能も持っていないツマラナイ人間。
僕が僕となるときに完全に消去された存在。
現に僕には日向創の記憶はない。
しかし…。
僕が自らの戸惑いを分析していると…。
『…あっ…! あ……』
七海千秋は一本の槍に貫かれた後、地面から生えてきた複数の槍に全身を貫かれた。
「………」
この結果も、この映像も予想通り。
「……僕は今……苛立っている…?」
自分をいくら自分を分析してもそう結論が出た。
今映像の中で血まみれで横たわる彼女から目が離せない。
『ようこそ先輩方、絶望の世界へ』
江ノ島がそう締めくくり堕ちた彼らに声を掛けた。
77期生の彼らは時折奇妙な笑い声をあげながらフラフラとその場からいなくなった。
『あー、カムクラせんぱーい?きこえるぅー?』
「…なんですか。江ノ島」
『私はこれから予備学科の祭りをするけど、先輩はどうするー?』
「…興味ありませんね」
『オッケー。まっ…何をしてもいいけど、分析不可能な絶望…たっぷりと堪能しちゃってよ。うぷぷぷ…』
何かを期待するかのような発言を最後に江ノ島はモニターを切った。
「………」
モニターの電源が切れたため、ここから様子を伺うことはできない。
僕の足は自然と七海千秋の目の前まで来ていた。
血まみれで、傷だらけで、血だまりの中、彼女は倒れている。
もう死んでいるだろう。
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- 3 : 2017/03/22(水) 01:33:51 :
- 「……あ……ひ…た…く…」
予想外なことに、七海千秋は生きていた。
(よかった)
…? 何が良かった…?
「…ひな…た、く…ん……だよ…ね?」
否定も肯定もせず、ただ、血まみれの七海千秋を見る。
なぜ僕はここに立っているのか。
なぜ七海千秋から視線をはずせないのか。
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- 4 : 2017/03/22(水) 01:34:04 :
- 「それは…以前の僕のことですか」
データとして覚えてはいるが、人格の保持はされていない。
「もう…思い…出せないの…?」
「不可能です。以前の僕は完全に消去されましたから」
本当に?
今自分の中にあるこの感覚は[カムクライズル]としてのものなのか…それとも…。
「なんだって…できるよ……日向君…なら…」
「やれば…なんとかなる…って…やつだよ…!」
立ち上がろうとするが、七海千秋は立てない。
全身を貫かれて、立てるはずもない。
そもそも、生きていることさえ"幸運"だ。
いや、苦しんでいるのなら"不運"かもしれない。
「やっぱ…ダメ…だね…日向君の…助けにも…なれないや……。ごめんね…」
こんな状況で、自分よりも他人のこと…か。
「死にたくないよ……。まだ…やりたいことが…たくさん…。日向君とも……もう一度…ゲームが…したかった……よ……」
涙を流しながら、手を伸ばす七海千秋はそのまま力尽きた。
七海千秋が死んだ……
七海千秋が死んだ……
七海が死んだ……
七海千秋が力尽きた際に外れたのだろう、ロケットの髪留めが血だまりの中に落ちている。
「……?」
顔を何かが流れる感覚がある。
「……え…?」
液体…何かの液体が僕の目から流れている。
わかっている。これがどのような現象で、どのようなものであるのか。
だが、なぜ流れているのかがわからない。
「……僕が…彼女のために涙を流している……?」
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- 5 : 2017/03/22(水) 01:34:22 :
- 彼女という存在がわからない。
彼女が死んだらなぜ涙を流すことになるのか…。
七海という存在が自分に取ってなんだというのか…。
「………ツマラナ…くないですね…」
血だまりの中から七海千秋を抱き上げる。
スーツやシャツに血液が付着するが、構わない。
「あなたはツマラナイ存在ではない。むしろ、こんな僕に…何かを与える存在であるようです…」
僕はそのまま暗闇の中を歩いていく。
そのまま外へ出ると、学園には火が上がり、所々で死体が転がっていた。
「…ツマラナイ。予想通り…」
そんなことよりも保健室へ向かう。
一口に保健室と言っても、普通の学校の保健室とは違い、医薬品や医療道具が揃っている。
「…超高校級の保健委員の才能や超高校級の医者の才能くらい僕にもあります…」
例え死んでいても、この程度の時間経過なら蘇生も可能…
彼女は…七海千秋は必ず助ける…。
僕の全才能を使って…必ず…。
このように思える存在…というだけでも、彼女には助ける価値があるでしょう。
僕は誰かに言い訳するように考えながら、七海千秋の治療を開始した。
~それから~
「………江ノ島盾子が死にましたか」
全国放送で映し出された映像を見ながら呟く。
ツマラナイ。
あそこで自滅をする選択をする絶望はツマラナクナイが、これから彼女がいない世界になるのだと考えるとツマラナイ…。
「……もう、日向君…また、江ノ島さん?」
「……何度も言っているでしょう。僕はカムクライズル。土台となった日向創の人格は完全に消去されています」
「うん。それでも私は君を日向君って呼ぶよ」
「…なぜです?」
「君が日向君だからだよ。どんなに変わっても、どんな目にあっても、君は日向創君。そこだけは絶対に変わらないから」
「………」
治療を施してからしばらく。
七海千秋は目をさました。
しかし、体中に穴が開いたため未だにベッドの上で治療に専念している。
「…ああー、ゲームしたいなぁ…あ、でも、こんな状態じゃあゲーム会社とか潰れてるかな…?」
「…あなたは……いえ、やめます」
「あ。そういう中途半端なのってすっごく気になる…と思うよ?」
「………何でもありません」
江ノ島とは正反対にあなたは希望のような存在ですね…そんなことを言おうと思った自分が信じられないし、言う必要があるとは思えない。
「もう……それで、日向君。ここにはいつまで?」
「…ここにいるのも限界でしょう。明日にでも移動します」
「ふふ、やっぱり日向君だなぁ…」
「…?」
「わからないって顔してるね? 教えてあげないよ。さっきの仕返し」
と、鼻息を荒くしながら彼女がよくするドヤ顔をする。
「………」
こんな元気な彼女を見て、僕の中に湧き上がるこの…なんなのでしょうか。
とりあえず、僕は七海千秋の手を振り払うつもりはない…。
それだけで、今は十分です。
END
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- 6 : 2017/03/22(水) 01:38:12 :
- 七海が生きてたっていいじゃない。カムクラだもの…。
このあと、カムクラと世界を巡っていき、最終的に77期生を更生するのも、本物の七海がやるってところまでやろうかと思いましたが、さすがに長くなるため省略しました。
途中まで書いてたもので、最後の>>5だけを30分くらいで書きましたので、気づいたら終わっていると思います。
…こういう幸せな未来、来て欲しかった(血涙)
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- 7 : 2017/03/26(日) 19:39:06 :
- 小高さんが変な押し方ところしかたしなけりゃ....
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- 8 : 2018/02/14(水) 01:43:56 :
- まだ、可能性は残ってる。
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- 9 : 2018/12/21(金) 14:29:34 :
- ありがとうございました〜!!
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