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花一匁

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  1. 1 : : 2017/03/01(水) 19:54:36
    春の!コトダ!祭りいいいいいっ!!!((うるさい

    初参加の、herthと申します。よろしくお願いいたします。
    詳しい説明↓


    投稿期間
    3月1日~3月21日

    ジャンル:ホラー

    (絶対に)登場(させなくてはいけない)人物
    ・苗木誠
    ・日向創
    ・赤松楓
    ・最原終一

    ・その他登場させる人物は自由


    テーマ:陰と陽

    キーワード
    ・友情
    ・Chapter1
    ・部屋
    ・交錯
    から2つ選択


    参加者

    ・風邪は不治の病
    ・あげぴよさん
    ・Deさん
    ・スカイさん
    ・シャガルT督さん
    ・ゼロさん
    ・herth
    ・カラミティさん
    ・ふぃんさん


    ※V3のネタバレ注意!激注意!盛大なネタバレ!




    この作品に目を止めてくださったありがたい方は、ほかの参加者様のも読まれて行ってくださいね!

    初参加ドキドキですが、頑張っていきます。次からです!
  2. 2 : : 2017/03/01(水) 19:57:38
    期待DEATH☆
  3. 3 : : 2017/03/01(水) 20:02:54
    初参加か!楽しみ
  4. 4 : : 2017/03/01(水) 20:09:22















    最後の学級裁判後、才囚学園は崩落した。


    黒幕である白銀は崩れた学園につぶされ死に、そして学園を消し飛ばしたキーボは爆発した。



    彼により、果ての壁は消え去った。




    酸素は、ちゃんと存在していた。


    外はやはり、『人類史上最大最悪の絶望的事件』なんて起こっていなかったのだろう。



    全ての壁が地に落ち、騒音が止まったことを感じると、最原、春川、夢野はゆっくりと目を開ける。


    そして、一歩踏み出すとそこには、光にあふれた世界が広がって__



























    __いなかった。


























    そこにあるのは、建物一つない、草木の影もない、ただの地だったのである。



    無。それに限りなく近い砂地であった。
  5. 5 : : 2017/03/01(水) 20:09:48
    >>2 >>3
    ありがとうございます!
  6. 6 : : 2017/03/01(水) 20:21:06



    「な……なんなんだ、ここは!?」

    「そ、外には平和な世界が広がっておったはずじゃが…?」

    「……!」



    外の世界を眺めた彼らは、呆然とする。


    だって、そうするしかないではないか。

    平和的な青空が広がって、すがすがしい澄んだ空気があるものだと思っていたのだ。それを見事に裏切られたのである。


    どんよりとした曇り空。乾いた風。干からびた地。




    あるのはそれだけである。


    そこは、まるで地の果てだ。まるで…地球が滅びた末のようだ。



    最原は、ショックにどさりと膝をついた。



    と、遠くから声が二つ聞こえる。



    「おーい、君たち!」

    「大丈夫か?今そっち行くから待ってろよ」



    どうやら車に乗っているらしい。

    危険人物の可能性を考えたのか、春川はさっと身構える。
  7. 7 : : 2017/03/01(水) 20:50:26


    エンジン音がだんだんと近くなり、そして最原らの前でピタリと止まる。


    中から降りてきたのは、小柄な男性と結構がっしりした体系の男性であった。

    小柄な方は、にこやかに降車したが、春川の敵意…というより殺意を感じ取り、びくりと肩をはねさせた。そして慌てて話し出す。



    「あっ、べ、別に怪しいものではないよ!君たちを助けに来たんだ。まずは自己紹介からするね。だからえと、そのナイフしまってもらえないかな…?」


    スッと凶器を取り出した春川に少々びくつきながらも、男は話し続けた。




    「僕の名前は、苗木誠だよ。一応はじめましてではないんだけど…詳しくは後で話すね。で、こちらは…」


    「日向創だ。よろしく頼むな」



    苗木と名乗った男は日向という男を紹介した。


    何だかとても胡散臭い。



    春川が警戒を解かないばかりか、最原や夢野も訝し気に二人組を見た。

    最原が苗木のほうに話しかけた。


    「…名前はいいです。あなた方の素性を細かく説明してください。何故、ここに来たのかも。そもそもはじめましてではないというのはどういう事で、……ッ!?」



    瞬間、最原たちの脳に電流が走る。


    まるで思い出しライトを使った時のような、凄まじいめまい、そして衝撃。それから…




    …そうだ、思い出した。




    「苗木…学園長……?」

    「そうじゃ…思い出した…思い出したぞ!」

    「…これは…この記憶は……!」


    「……思い出してくれたかな?じゃあ、改めてもう一度自己紹介。僕の名前は__」



    またしてもにっこり笑いかけ、口を開いた。


    「__苗木誠。新生希望ヶ峰学園の学園長で、君たちの先生だ」




    こうして最原たちは思い出した。

    作られたものではない、本当の、本物の…



    真実の記憶を思い出した。
  8. 8 : : 2017/03/01(水) 21:50:27



    その後、僕たち計5名は車に揺られていた。


    その中で、ズキズキと痛む頭を抱えながらも、僕らは僕らのことについて考え、そして話した。



    まず思い出したこと。



    白銀をはぶく僕ら15名は希望ヶ峰学園の生徒だった。人類史上最大最悪の絶望的事件のその後、江ノ島盾子は苗木ら78期生にコロシアイを強要。

    生き残りの5名は、絶望の残党である77期生をバーチャルの世界へ送り、更生させた。その後、再び起こるコロシアイを戦い抜いた末に苗木は希望ヶ峰学園を再建。

    主に才能のあるものを集めた基本スカウト制の学校ではあるが、学問というよりも未来の担い手の保護が目的である。

    ゆえに、受験すれば入ることもできるらしい。


    しかし、才能のあるものとないものを別の教室にはせず、『みな平等』をモットーにしている。



    世界は復興に向かってはいるものの、依然荒れた土地は残ったまま。まだ手が回らないところが多々あるようだ。

    そんな中、僕らは突然何者かにさらわれた。

    それはまだ灯を絶やさぬ絶望に落ちた人間たちの仕業だった。


    ちょうど同年齢の白銀は、自信の才能を生かし、江ノ島の模倣をしたコロシアイを起こす。これは同じ絶望人間のみ電波を拾い、映像を見て楽しんでいたようである。

    その電波を日向が拾い、位置情報を割り出し、救助に来てくれたというわけだ。


    つまり、一部記憶のねつ造はあったが、思い出しライトによる記憶の多くは間違いではなかった。




    …彼らも、僕らも、偽物なんかじゃなかった。



    「僕たち、あなた方は存在しないかと思っていました。最後の学級裁判で得たことが、真実だと思っていましたから…」


    「うん、仕方ないよ。それにしても、絶望の人間がまだこんな活発に動いているとはね…許せないよ。早く彼らを希望に更生させないとね」


    助手席から苗木が返答する。

    夢野は運転している日向に話しかけた。

    「んあー、日向とやらも、ごくろうじゃった。礼を言うぞ」

    「いや、俺は当然のことをしたまでだよ。俺のこの能力は、人を救うために使いたいからな…」


    日向の能力とやらは知らないが、何やら訳アリらしい。

    そういえば彼は不思議な目をしている。緑と赤の目で、猫で言うオッドアイだ。


    だからと言って何かあるわけでもないのだが。

  9. 9 : : 2017/03/02(木) 21:05:04


    大分長い間、僕らは車に乗っていた。

    途中で話もつき、エンジン音と地面をこするタイヤの音のみが耳に響く。


    車の窓から外を眺めていると、次第に草木が現れ、建物も見えるようになった。



    そうだ、覚えている。

    これは塔和シティだ。


    さらに車は走る。


    そしてついに、見覚えのある大きな建物の前まで来た。

    この荒んだ世界で妙に浮いて見えるほど、高くて頑丈そうで立派な建物。



    車が止まる。


    「…さあ。ようこそ、希望ヶ峰学園へ。ここが君たちの学び舎であり、君たちの家だ」


    苗木はそっとそういうと、車を降りた。


    僕ら三人は、顔を見合わせた。


    「…どうした、降りないのか?」


    日向はちょっと笑って降車を促すと自分もおり、後部座席のほうのドアを開けてくれる。


    僕はなぜか緊張しながらも、礼を言い車を降りる。

    二人も後に続いた。






    改めて目の前にすると、やっぱり希望ヶ峰学園は壮大だった。

    僕らはこんなところで学び、そして暮らしていたのか。



    …いや、確かに覚えている。

    僕たちはここで、楽しく、明るく笑いあってたんだ。


    それなのに…それなのに……



    彼らはもう、僕らの前に存在しない。


    あの理不尽なコロシアイのせいで。


    彼らはもう、笑うことはおろか嘆き、苦しむことさえできない。

    彼らとの絆や思い出や、存在までもが穢されてしまった。

    そして…赤松さんのこぼれるような笑顔と、ピアノの音も。




    「…最原、大丈夫?具合悪い?」


    春川が僕を心配する。


    「いや…大丈夫だよ」

    僕は胸に渦巻く怒りを抑えつけながら、長く息を吐きだした。


    そして一歩。





    希望ヶ峰学園に、足を踏み入れた。
  10. 10 : : 2017/03/02(木) 22:12:45
    「みんないるね?じゃあ、これから君たちの寄宿舎に連れていくからね。そこに新しいクラスメートたちもいるはずだから、話してみるといいよ」


    玄関ホールに入ると、苗木が待っていた。


    少し入り組んだ通路を通りそれから階段を上る、上る、上る。

















    …上る。

    「な、長い…!」

    「ははは。寄宿舎は最上階にあるんだ。君たちが前使っていたところは地下だったんだけど、これからはこっちだ」


    「無理じゃ…もう無理じゃ…!ハルマキ、おぶってくれ…っ」

    「嫌だよ。もうちょっとなんだから頑張んなよ」


    息切れしてフラフラな最原と夢野を差し置いて、春川と苗木は軽い足取りでどんどん階段を上っていく。


    二人とも小柄なくせに、と最原はひがみつつ、無理やり夢野の手を引いて必死に階段を上った。


    ここにエレベーターはないのか。


    「そっ、そういえば、日向さんはどちらに行かれたんですか…っ?苗木学園長?」


    「ああ、彼は友達のところへ行ったんだ。ジャバウォック島なんだけどね。遠いのに、今回の件を相談したら駆けつけてきてくれてさ」


    「じゃ、ジャバウォック島っ?」


    大分遠いところに身を置いているんだな、と最原は思った。



    何はともあれ、最上階にたどり着く。


    苗木が話し出した。

    「さて、ここが最上階。君たちの部屋があるところだ。食堂もここにあるよ。まあ、二階にも配置してあるんだけど…とにかく、皆はそこにいるから行ってみてね。明日から授業だから、寝坊しないように!教材は部屋にあるからね」



    言い終えると、苗木は長い階段を下りて行った。


    「はぁ、はぁ…食堂、だったね。行ってみようか」

    「うん。ここにいる奴らの顔も思い出さないといけないといけないから」

    「の、のう…ちょっと止まっていきを整えさせてはくれんか…?」



    膝に手を置いて肩で息をする夢野を半ば引きずりながらも、一行は食堂へと向かった。
  11. 12 : : 2017/03/06(月) 22:34:52

    春川らが所属していたクラスは別々であったが、固まっているところもあった。例えば、春川、最原、百田は同じクラスだった。


    そこから人がかけてしまい、歯抜けになったために再編成したのである。



    その再編成したクラスには、見知った顔も(思い出したので)もちろんあった。


    彼らは春川ら三名を歓迎し、そして失った12名を嘆いた。


    彼らが食堂にいたのは、どうやら一行のための歓迎パーティを準備してのことらしい。


    新しいクラスメイト達と談笑する。

    皆が笑顔で、希望にあふれていて、実に楽しそうだ。



    それは春川も同じ気持ちである。

    馴れ馴れしくするでもないが、彼らとの思い出がそれなりに楽しかったために、彼女も懐かしさに目を細める。



    でも、だからこそ。



    春川の胸はずきりと痛み続けているのだ。




    この人たちとの思い出を探ろうとすれば、それに関連して彼との記憶まで思い出してしまう。




    (…百田……)


    底抜けに能天気なバカで、うるさくて、豪快で。そして誰より仲間思いな彼のことを、思い出してしまう。


    思い出を一つ掘り起こすたび、またあの笑顔が恋しくなる。



    でも、もうどこを探そうにも彼はいない。



    この食堂にあふれかえる笑顔の中に、彼のものはどこにもない。



    それがたまらなく苦しくて寂しくて、辛い。



    周りに人はあふれかえっているのに、一人で立ち尽くしているような感覚に陥り、それがまた心を不安定にさせる気がした。






    親しみのある顔たちを、眺めていることが難しくなった。

    もう、ここにいたくない、と頭の隅でぼんやりと感じ、そばにいた最原に話しかける。



    「……ごめん、最原。私具合悪いからもう寝るね」

    「…そっか。実は僕もここを出ようと思ってたんだ。一緒に行こうか」



    最原は無理しているように少し笑うと、近くにいた背の小さいボブの茶髪の女の子にそれを伝え、春川を見た。


    「…さあ、出よう」

    「……うん」


    歩き出した時、夢野も慌ててついてきた。



    主役である春川たち三人は賑やかな食堂をあとにし、静けさがしみいる廊下へと出る。
  12. 13 : : 2017/03/06(月) 23:12:00


    「途中で抜け出してごめん」

    「いや、全然。…僕もだからさ。やっぱりしんどかった?」

    「…うん。百田とか、あいつらのこと、思い出して…なんかあそこにいるの辛くなった」

    「おぬしらもか…ウチもあいつらを見てると、アンジーや転子のことを思い出してしまってのぅ…どうも落ち着かん。MPは削られていく一方じゃわい」

    「やっぱり…そうだよね。これからが不安になってくるよ」



    最原、春川、夢野はうつむいて静かに言葉を交わす。


    何だかどっと疲れてしまった。


    17たかだかの少年少女には、いっぺんに仲間を失うことは相当こたえるものであった。



    三人はその後分かれ、自分の部屋へと入る。



    何も夢を見ませんようにと、各々は願いつつベッドへと入った。


    そして間もなく、深い眠りへと落ちていくのであった。
  13. 14 : : 2017/03/08(水) 21:20:28



    「う……うぅん……」


    ふかふかのベッドで薄く目を開けると、あたりはすっかり明るくなっていた。

    朝になったことを告げるアナウンスが流れている。


    「…起きるか」


    皆は食堂にいるだろう。



    顔を洗い、いつもの帽子を目深にかぶってドアノブに手をかけ外に出る。


    「あっ、おはよう最原君!」

    外には赤松がおり、明るく笑いながら声をかけてきた。




    「あ…おはよう赤松さん。今日も元気だね。これから食堂に?」

    「そうだよ。あの…い、一緒に行っても構わないかな?」

    「え…?もっ、もちろん!」

    「ふふ、じゃあいこっか!」



    そのまま並んで校舎へと入る。

    最近になってようやく見慣れたこの内装をしみじみ眺めていると、赤松が話しかけてきた。


    「ごめん、食堂に行く前に寄りたいところがあるんだ。ついてきてもらっていいかな?」

    「?う、うん。別に構わない…けど」


    赤松が先行して歩き出す。

    たまに角を曲がりつつ、どんどん前に進んでいく。

    次第に見覚えのない通路まで来て、最原はだんだんと不安になる。


    「…ついた。さ、入ろう」

    「うん…?」


    赤松が開けたのは真っ白な扉だった。

    そこに二人して入る。



    中は扉に等しく真っ白で、何もないただの空間であった。


    後方で扉の閉まる音がきこえたので、振り向きつつ、最原は赤松に問いかけた



    「ねえ。いったいなぜこんなところに__」






    一瞬、言葉を忘れた。








    赤松がいない。


    「え…?あ、赤松さん!?」


    探すが、彼女の姿はどこにも見えない。

    それどころか、今しがた入ってきた扉さえなくなっていた。



    「ど、どうなってるんだ!?とにかく赤松さんを探さないと!おーい、赤松さ、…ぐッ!?」


    駆け出そうとしたところで、唐突にものすごい頭痛に襲われる。


    まるで頭の内側からハンマーでガンガンと殴られているような。脳みそを芋虫がはい回って、喰い散らしているかのような。


    あまりの痛みに、うっすらと涙がにじむほどであった。

    少しでも楽にしようと、馴染みある帽子を脱ぎ捨てる。


    「な…なんだ……?なぜ、急に…っ!」


    最原が地面に転がり、痛みに悶えていると、ふと思い出したことがあった。そして自覚する。













    何で僕は赤松を探しているのだ?


    「そ、そうだ…思い、出した…っ」



    なぜこんなにも大切なことを忘れていたのだろう。



    最原は思い出した。



    「赤松さんは…赤松、楓は……!」














    第一学級裁判で、死んでしまったではないか。








    だんだんと痛みが引いてきた。

    そばに転がっている自分の帽子を、最原は不思議な表情で見つめた。



    何で僕は、何のためらいもなくこの帽子をかぶったんだろう?



    そう自問して、それから自答する。



    (夢の中か何かなんだ、きっと)




    引いた痛みの代わりに、今度は意識が薄れていく。




    そうか、夢か。夢ならこんな意味不明で理解不能な現象にも説明がつく。


    最原は、半ば自分に呆れたように笑い、それからゆっくり目を閉じた。



    思考が停止した。

    意識が遠のいていく。


    そうして最原は、夢の中で気を失った。
  14. 15 : : 2017/03/08(水) 22:12:54
    「…ら…さ…くん……さい…ら…」
    「最原君!!」

    「!?」



    肩をゆすられ、耳元で名前を連呼されたことに気付き、慌てて飛び起きると、そこには見知った顔があった。


    「苗木…学園長?」

    「よかった…気が付いたんだね」

    「一体ここは…?」


    見渡すと、気を失う前と変わらない真っ白な空間があった。

    という事は、ここは実在しているのだろうか?そうでなくては苗木がここにいることも説明ができない。


    いやしかし、確かに夢を見ていたはずだが…


    「さあ、わからない。でも良い状況ではないってことは確かだと思う」


    苗木はそういうと最原を立たせ、手を引いて歩き始めた。





    しばらく歩くと、四つの影が寄せ集まっているのが確認できた。

    「は、春川さん!それに日向さんも!どうしてここに?…それと、そちらの方々は…」

    「俺は九頭竜冬彦ってんだ。まあほどほどに頼むわ」

    背の小さい童顔な男性が先に簡潔に自己紹介を済ませる。


    「私は霧切響子よ。希望ヶ峰学園の教師。一応、あなた方の学年の主任なのだけど…覚えてないかしら?」

    「あ、えっと……」


    すらりとした、クールな印象の銀髪の女性…霧切に最原は目を凝らす。


    段々と記憶がよみがえってきた。


    彼女は元超高校級の探偵だったため、最原はたまに相談を持ち掛けたりしていた。


    少し厳しいし怒ると怖いところもあるけど、授業はわかりやすい。

    それとたまに見せる笑顔がやわらかで素敵だという事で、男生徒からも女生徒からも支持が高い先生だ。



    「もちろん覚えています。お久しぶりです、霧切先生」

    「自己紹介もほどほどにして、そろそろ今の状況に関して話してみよう」


    春川が髪の毛をもてあそびつつ言った。


  15. 16 : : 2017/03/11(土) 11:32:27






    「さて、君たちはどうやってここに来たか分かるかな?」


    苗木が皆に問いかける。


    「それが…いまいちよくわからなくて。僕、夢を見ていたんです。その夢の中でここに入って、そして起きたら夢と同じ空間にいたんです」


    「それが夢だと断言できる理由を教えてくれ」

    「だって、…死んだ仲間が出てきましたから。それに舞台は才囚学園でしたし」

    「…最原も?実は私も同じ夢を見たんだよ」



    春川も最原の話に賛同する。


    「…やっぱり?実は僕もなんだよね」

    「そうね…私も同じような夢を見たわ」



    苗木と霧切もうなずく。


    「俺も見たな、その夢」

    「俺もだ。…まさか全員同じ夢を見るなんてな。単なる偶然には思えない」


    九頭竜や日向も同じことを言った。


    彼らはお互いに顔を見合わせた。

    得体のしれない恐怖感が背中を走り、寒気を感じる。








    と、その時だった。










    『ミナサン、そろわれたよウですネ』








    どこからか、ガラガラと気味の悪い音を立てながら話す何者かの声が聞こえた。



    「「!?」」

    「……!」

    「誰だ!」



    春川、九頭竜がさっと身構え、残り四名は警戒した目つきであたりを見渡した。



    すると、六名の前にだんだんと黒い影が現れ、次第に形を成していく。


    それが、話し始めた。


    『ワタシの名前は、junk(ジャンク)と申シます』




    出来上がった形は、廃材の寄せ集めでできたような、物とさえ言えない塊であった。

    それが、ビール瓶の箱の上に立っている。いや、置かれている?



    とにかくそれは、まさにガラクタそのものであった。
  16. 17 : : 2017/03/11(土) 12:00:48
    「「………」」

    「……何者?ていうかアンタがここに私たちを連れてきたの?」

    春川が目つきを鋭くして問う。


    『そうデす。ワタシは、精神を喰うモンスターです。アナタ方の精神を喰うためにこの場所をつくリまシた』



    「精神を……?」

    『今のアナタ方がいる場所は、現実でハありまセん。夢でもござイまセん。夢と現実の交錯する空間、minglespace(ミングルスペース)でごザいマす』


    「は、はぁ…っ?」


    突如として現れたジャンクの、無機質な声(いや、音か?)に、九頭竜が困惑した声を上げた。


    「とにかく、なぜ俺たちが選ばれたのか説明しろ」

    日向が静かに言った。


    『ミナサンには、それぞれ繋がりがあルからデす。苗木様と霧切様は大切な《恋人》、日向様と九頭竜様は大切な《友人》、最原様と春川様は大切な《仲間》。そして、こういったつながりのある精神をワタシは好ミまス』



    (学園長と先生は恋人だったのか…)

    そんなことを考えた最原は、こんなこと言ってる場合か!と自分を叱った。


    「テメーがどんな精神を好むとかそんな話はどうでもいいんだよ!何で俺たちがこんなことに巻き込まれなくちゃなんねぇんだ!帰せよさっさと!」


    九頭竜がこめかみに青筋立てて吠えると、またしてもガラガラと無機質な声が聞こえた。


    『それはデキません。ミナサンにはあるゲームをしていただき、それがクリアできナいとここから出ることはデキナイのです』


    「…ゲーム?」


    苗木が警戒しつつ問いかける。


    霧切はジャンクを注意深く観察していた。


    『ええ、ゲームでス。その名前は…』










    __花一匁。


    ジャンクは静かにそう告げた。
  17. 18 : : 2017/03/11(土) 15:58:35

    「「花一匁…?」」



    花一匁(はないちもんめ)とは。

    皆が恐らくは、幼少期にやったことがあるのではないだろうか。

    数名でグループを組み、肩を組んで踊ったのちに相談し、誰を仲間に入れたいか決め、じゃんけんして勝った方が仲間に引き入れることができる、というものだ。

    今となっては、何が楽しいのやらよくわからない。




    が、今はやり方や楽しみ方などは問題ではなく。



    「それをして何になるんだ…?」


    苗木が唖然としてつぶやく。

    『勿論、ただ花一匁をやってもらうわけではありマせん』



    そういうと、ジャンクはルールについて説明し始めた。
  18. 19 : : 2017/03/11(土) 16:37:41




    ~花一匁のルール~



    ・はじめは、日向、苗木、最原_九頭竜、霧切、春川のチームに分かれる。前者を月の組、後者を太陽の組と名付ける。

    ・相談タイムは各ターン三十分。

    ・各組の代表者じゃんけん後に、引き入れる仲間を選択する。

    ・それぞれの組は、お互いに会話を禁じる。必要だと思うものに関しては、司会者が許可したうえですることとする。

    ・一回のターンにつき、選択できる人は一名のみ。選択しないという選択はない。

    ・なお、このゲームは月、太陽の組がどちらか一人になるまで行われる。

    ・途中放棄は認めない。

    ・状況により、ルールは随時臨機応変に変化する場合がある。



    以上を今ゲーム「花一匁」のルールとする。
  19. 20 : : 2017/03/12(日) 22:17:21


    『以上がルールとなりマす』

    「…残りの一人はどうなるのか、一応聞いておくわ」

    霧切りがジャンクに問う。



    『残りの一人。残ってしまったそのお方は、勿論…』





    ジャンクはそこで言葉を切ると、その顔と思わしき場所が変形しだした。




    「……っ!?」


    ギ、ギ、ギギと音を立て穴が広がっていき、真っ赤で、ギザギザな歯の生えた、大きな口へとなった。


    それは酷く不気味で、恐ろしい。



    今やほぼ体の面積ほどに開いたその口を、最原たちは目を見開き恐怖に後ずさりながらも見た。






    目を離したすきに喰われる。そんな気がしたのだ。




    すると徐々に口はしぼんでいく。

    ジャンクは再び話し始めた。


    『まあ、こんな具合の口で、ミナサンのうちのダレか様の精神が喰わレます。喰われた方はもチろん、正気を失いマす。ただ臓器が活動するダけの、死に最も近い状態になってシマうのデす』


    ジャンクは不気味な音をたてて笑う。


    苗木の喉がゴクリとなった。



    「……断っても、当然喰われておしまいなんだろ?」

    「そんな…やるしか、ないのか…?」

    日向と最原の声に、ジャンクは無言でうなずいた。



    「…取り敢えず、組に分かれよう」


    春川の提案に、逆らう人間もあるはずなかった。




  20. 21 : : 2017/03/12(日) 22:39:27


    「取り敢えず別れましたけど、どうしましょう?」

    「そうだな…取り敢えず最初のゲームを始めて、相談タイムに入るか」

    「思ったんだけど、何で30分も余裕があるんだろうね?」



    最原、日向、苗木はいつ立ったのか月の模様の描いてある旗のところまで(そう遠くないが)歩きながら話した。


    「……さあ、どうしてだろうな?」


    日向は目を閉じてつぶやいた。

    何か悟ったかのようだ。

    そしてそれからジャンクに投げかける。


    「おい。もう始めたいんだが、太陽に許可取ってくれ」

    『かシこまりマシた』






    どうやら了承を得たらしい。



    お互い方を組むようにと言われ、三人で肩を組む。

    二人とも年上なのでなんだかやりにくかったが、日向はともかく苗木の肩には手が置きやすくてなんだかおかしかった。



    身長の問題である。


    「…おい、これどっちが負けでどっちが勝ちの前提でやんだよ?」

    九頭竜が、両サイド自分より高い身長の女性に挟まれ居心地悪そうに言った。


    両手に花。少しだけ羨ましい。


    『今回は、太陽の勝ちとシマす』





    歌が始まる。


    「勝ってうれしい花一匁」

    「負けて悔しい花一匁」

    「隣のおばさんちょっと来ておくれ」

    「鬼が怖くていかれません」

    「お布団かぶってちょっと来ておくれ」

    「お布団びりびりいかれません」

    「お釜かぶってちょっと来ておくれ」

    「お釜底抜けいかれません」

    「あの子がほしい」

    「あの子じゃわからん」

    「この子がほしい」

    「この子じゃわからん」

    「「相談しよう、そうしよう」」


    肩を組んで足を振るというだけの単調な踊り。

    それを終えると、30分の相談タイムに入った。



  21. 22 : : 2017/03/12(日) 23:43:23

    「さて、誰を仲間にするかって話なんだけどさ」

    苗木が先陣きって話し始めた。

    「勿論俺としては、友達である九頭竜を入れたい。あいつが抜け殻になるなんてとても耐えられないからな」


    「僕だってそうですよ!ともに死闘を潜り抜けた大事な仲間が、死んだも同然になるなんて、…考えただけで…」


    「それは僕だって同じだよ。大事な…うん、まあとにかく絶対にもう失いたくなんかない。何度も手を放して、何度も後悔した。もう彼女の手を放さないって、そう決めたんだ」


    苗木はうつむいて話した。


    それからまた顔を上げ、再び話し出す。



    「優先順位を…決めるしかない」


    「……え?」


    今、何といった?優先順位?


    「…どういうことですか。それは、切り捨てても構わない人間を一人選ぶ、という事ですか」


    「心苦しいけれど、仕方ないよ。いずれにしろ、誰かが犠牲になるんだ。先に決めてしまった方が…効率よく進められる。だろ?」


    いつになく冷たく言う苗木。




    最原はその言葉を聞き、だんだんと怒りがわいてきた。


    「なんですか……それ。結局それは、自分の助けたい人を確実に救うために安心したいだけじゃないですか?この中に、いなくなっていい人なんかいないんです!誰か一人を切り捨てるなんてできません!」



    「じゃあ君は、このまま誰も選択しないで済むと思っているのか?毎回のゲームで仲間にできるのはたった一人だけなんだ!そして望んだとおりの人を救えるとは限らない!あちらだって勝つこともあるんだよ…!残るのは君かもしれないし、僕かもしれない。日向君かもしれない。ある程度の心構えをするためにも、誰かを選ぶしかないんだよ!」



    苗木は声を張り上げた。

    そんな苗木を、日向が静かな声でおさえた。


    「落ち着け。このまま誰を見捨てるか、なんて話してても仕方ないだろ。ここはひとまず、誰を仲間に選ぶか一人決めよう。な、落ち着けって。初回ではだれも残らないんだから。それと苗木」




    日向は赤と緑の目で苗木を見とがめた。


    「お前、この状況で参り過ぎだろ。いつものお前なら誰かを、仲間を切り捨てるための計画なんか立てようとしないはずだ。霧切が心配な気持はわかる。でもそれは皆同じなんだから、自分だけなんて思わないことだ」


    「~~~…ッ」



    苗木は自己嫌悪に陥ったように頭を振ると、その場にどさりと座り込んで深呼吸する。


    それから静かに話し出した。


    「……取り乱して申し訳なかった。ここは取り敢えず、春川さんを選ぼう。彼女はまだ若いし、才能あふれる未来のための有望な人材だ。こんなところで失うわけにはいかない」




    最原は苗木を上から睨みつけた。


    何だか納得がいかなかった。最原をうまく丸めるために、わざわざ春川を選択したような、そんな気がした。



    「うん、それがいいと思う。最原はどうだ?」

    「………分かりました。それでいいです」



    納得はいかないものの、彼女は救いたかったために同意する。




    これでどうして30分も猶予が必要なのかがわかった。

    最原たちが必ず、誰を救うか揉めると分かっていたのだろう。




    そして今回のことで思った。







    苗木誠は、信用ならない。

  22. 23 : : 2017/03/15(水) 21:14:29


    『相談タイムが終了いたしマしタ。そレぞレの代表のお二方ともワタシの目の前にありマス、赤い線のもとまでおイでクダさい』



    ジャンクの指示により、太陽の組からは九頭竜が、月の組からは苗木が進み出る。




    二人とも右手を出す。


    『それでは参りマス。じゃんけん…』


    手を振り上げ、


    『ポン』


    そして振り下ろす。


    『太陽の組、パー。月の組、チョキ。月の組ノ勝利デす』



    最原、日向、苗木は安堵のため息を漏らした。

    反対に九頭竜達の顔に緊張と焦りが走る。


    たかがじゃんけんなんかのために、何故こんなにも息が詰まるのか、その理由は明らかである。



    『月の組は何方を組に入れるか選択しテくだサい』



    苗木はやや緊張した趣で答えた。


    「……僕らは、春川さんがほしい」



    春川は一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに眉を顰め、つかつかと最原たちのほうへと歩いてきた。


    ジャンクが再び話し出す。


    『次のターンは十分後デす。それまで組内でお好きに話されテくだサい』


    最初のターンは終了した。
  23. 24 : : 2017/03/19(日) 14:55:32


    「……なんか意外だった」

    「え?何が?」


    最原は春川に話しかけられ、きょとんとした。


    「私が選ばれたことが。苗木学園長のことだから、霧切先生を引き入れるかと思ってたからさ」

    「ああ…多分、本当はそうしたかったろうと思うけどね。やっぱり大人としては子供を犠牲にするなんてできなかったんじゃないかな?」

    「できないって何で」

    「……世間体?」


    最原は苗木のことを考え、やはり有名な学園の長は周りからの評価は大事にするだろうという結論に至った。


    「…学園長はコロシアイの時からあんな性格だったのかな」

    「あんなってどんなよ」

    「取捨選択するっていうか…そんな感じの」

    「あの人がそんな素振りを見せたの?」

    「うん…実はね」


    最原は先程の苗木の言い分を話す。

    春川は黙ってそれを聞いた後、自分の考えを話し出した。



    「あの人は…最後の選択では『どちらが世界に必要とされているか』で考えるんだろうね、きっと。私情は挟まず、必要性があるかないかで切り捨てると思う」


    「例え霧切先生だったとしても?」

    「うん。これはあくまで例えの話だから受け流してもらっていいんだけど…」


    春川は何かを考えるように口を閉ざし、また開いた。





    「私とアンタ、どっちが優れているんだと思う?」


    「………え?」


    「…そんな顔しないでって。例えなんだから。とにかくあの人なら、どちらがより優れているのか、必要か、…もっと言えば人間としての価値があるかどうかで見るだろうね。で、価値の薄い方は捨てると思う」

    「……」





    人間としての価値、か。


    そんなふうに人を見るだなんて、最低で最悪で、卑劣なことだ。


    最原は腹の奥にふつふつと怒りを感じた。

    そんな中で、思う。





    苗木誠は変わってしまった。



    希望ヶ峰学園の学園長になってから、良くない方へと変わってしまった。


    きっと周りからの重圧とか、責任とか、そんなものがあったから。



    苗木の掲げる希望は、冷酷さを持ち合わせてしまった。
  24. 25 : : 2017/03/19(日) 15:07:50
    『時間となりマシた。ミナサンお集まりくだサい』


    ジャンクの号令により、六名は集合する。


    ゲームが始まった。






    「勝ってうれしい花一匁」

    「負けて悔しい花一匁」

    「隣のおばさんちょっと来ておくれ」

    「鬼が怖くていかれません」

    「お布団かぶってちょっと来ておくれ」

    「お布団びりびりいかれません」

    「お釜かぶってちょっと来ておくれ」

    「お釜底抜けいかれません」

    「あの子がほしい」

    「あの子じゃわからん」

    「この子がほしい」

    「この子じゃわからん」

    「「相談しよう、そうしよう」」




















    三十分後、苗木と九頭竜が前に出、じゃんけんをする。選択者は日向と苗木で話し合って決めたようだ。



    結果。太陽の組の勝ち。


    「俺たちは苗木がほしい」



    苗木は太陽の組の一員になった。
  25. 26 : : 2017/03/19(日) 15:42:56















































    『最原君には、ドビュッシーの《月の光》みたいなきれいな曲が似合うと思うんだ』

















    唐突に赤松のことを思い出した。
  26. 27 : : 2017/03/19(日) 16:29:21





    「……ら…最原!」

    「ッ!あ、ご、ごめん春川さん。ちょっとぼーっとしてたよ」

    「全く…そろそろゲーム始まるから、行くよ」

    「…うん」


    三度目のゲームを行う。





    歌、踊りを終えると、また三十分間の相談タイムに入った。



    「次は誰に決めるか…」

    「太陽側には苗木学園長、霧切先生、九頭竜さんがいますが」

    「俺としてはやっぱり九頭竜にしたいんだけど…身勝手なことは言えないしな。最原はどうしたい?」

    「……」

    「最原」

    「あ…すみません。そうだ、決めかねているならあみだくじとかどうでしょうか」

    「あみだくじ…なるほど、それなら公平に決めることができるな。よし、それにしよう。早速ジャンクに用意できるか聞いてくるよ」



    適当に答えた最原の案が採用され、日向はジャンクのほうへと走って行った。


    それをぼんやり見とどけつつ、最原は思う。





    月の組、月の光。

    月…か。



    闇夜に輝く、絶対的存在の月の光。

    赤松はそれを、最原にぴったりだといった。


    最原が月の組に入ったのは、なんだか大きな意味があるような、そんな気がする。



    頭の中で、《月の光》が流れる。

    何だか、赤松に励まされている気がした。



    月は絶対的な存在だ。


    だから、その組にいる自分は、こんなところで負けてはいけない。





    (必ず勝つ。勝って、春川さんと一緒にここを出るんだ)


    最原はそう決意した。
  27. 28 : : 2017/03/20(月) 13:30:30










    その後、何回も繰り返しゲームは行われた。


    取ったと思えば二回連続して取られたり、逆に続けて取ったり…



    そうして幾度となく人の移動が行われる。

    しかし最原は月の組からは動かなかった。




    月に守られているのだと、そう感じざるを得ない。


    そして何周もするうちに、最原の犠牲になりたくないという思いは強くなっていく。



    自分が助かりたい。仲間とココを出たい。


    自分と春川が犠牲になりさえしなければ誰の精神が喰われようが関係ない…


    そう思うようになってきた。





    出来れば犠牲になるのは苗木がいい。

    そんな残忍な気持ちさえ芽生え始めた。






    「勝ってうれしい花一匁」

    「負けて悔しい花一匁」

    「隣のおばさんちょっと来ておくれ」

    「鬼が怖くていかれません」

    「お布団かぶってちょっと来ておくれ」

    「お布団びりびりいかれません」

    「お釜かぶってちょっと来ておくれ」

    「お釜底抜けいかれません」

    「あの子がほしい」

    「あの子じゃわからん」

    「この子がほしい」

    「この子じゃわからん」

    「「相談しよう、そうしよう」」





    この歌ももう聞き飽きた。

    そろそろゲームを終わらせたい。



    月には今、最原、日向、春川、霧切がいる。


    太陽には苗木と九頭竜だ。





    ちょうどいい。


    ここで勝って、九頭竜を選びさえすれば春川と自分はここを出られるし、苗木は皆の犠牲になる。




    『相談タイムに入りマす。解散してクださい』





    日向は最原が提案してからというものの、ずっとあみだくじで決めてきていた。



    どうやら今回もそれで決めるらしい。



    「「……」」





    「決まった…な」

    「今回のゲームで選択するのは、苗木君になったわ。…もっとも、じゃんけんに勝ったらの話だけれど」

    「………」



    あみだくじの結果は、苗木だった。だが、そんなの関係ない。

    日向はいい人だし、その友人を失ってほしくない。


    だから彼を犠牲になんてしない!




    「今回の代表者じゃんけんは僕がやります」

    「いや…切り捨てるのは九頭竜なんだ。せめて友人である俺が…」

    「いえ、友人だからこそですよ。大切な方を自分で切り捨てるのは心苦しいでしょう。だから…僕がやります」

    「……そうか。じゃあ、頼む」



    日向は悲しそうに目を伏せる。


    しかし大丈夫だ。代表者になったらこっちのもの。

    馬鹿正直に苗木を救ってやる必要はない。


    自分が「九頭竜さんがほしい」とそういってしまえば済む話なんだ。


    最原はほくそ笑んだ。


    春川がこちらを見ている気がした。


  28. 29 : : 2017/03/20(月) 14:23:38

    『代表者は前へ進み出てクダさい』



    最原と苗木が前に出る。


    『それデは参りマす。じゃんけん…』



    右手を振り上げ、


    『ポン』


    そして振り下ろした。


    結果。


    『太陽の組、グー。月の組、チョキ。太陽の組ノ勝利です』



    負けた。

    最原は思わず舌打ちをした。

    ゲームを終わらせるチャンスだったのに。

    地団太を踏みたい気分だったが、流石にやめておいた。



    苗木が最原を見ている。

    霧切が、九頭竜が、日向が、春川が最原を見ている。



    しかし最原自身はそれに気が付かない。






    何故かさっきから頭痛がする。

    痛い。

    イタイ。

    芋虫が脳内をはい回っているような、気持ちの悪い__



    『太陽の組は何方を仲間に入れるか選択しテくだサい』


    「僕たちは霧切さんがほしい」



    霧切はため息をつき、向こう側へと歩いて行った。





    頭痛は止んだ。止むと同時に嫌な予感が頭をよぎる。


    __でもどうでもいいや。どうせ勝つし。




    『十分間の自由時間デす』



    一同は解散した。
  29. 30 : : 2017/03/20(月) 15:07:54
    このままじゃ負けるかもしれない?



    いや、大丈夫だ。次勝てばいいだけ。

    連続して勝てば僕の勝ちだ。


    そうすれば春川さんと二人一緒にここを出られる。

                  

                           …犠牲になりたくない…



    学園長が犠牲になってしまうけれど、霧切先生は救える。

    勿論気の毒に思ってる。



                           …ザマアミロ…



    いい人だったし、本当は無くしたくはない。


                           …違うあいつは異常者だ…







    僕は悪くない。

    悪くない。

    悪くない。

    悪くない。








    最善策を見出そうとしてるだけ。
    仲間を助けたいだけ。

    だから見捨てるしかない人を決めるんだ。




    …あれ?さっきも誰かが同じことを言って、それに誰かが反論したような…



    ……



    まあ、いいか



    今は仲間を助ける(自分が助かる)ことだけを考えよう。



    ズキズキズキ…
    不吉な予感を感じさせる頭痛がする。

















    僕は、絶対に












    犠牲になんてならない
  30. 31 : : 2017/03/20(月) 15:47:32


    「勝ってうれしい花一匁」

    「負けて悔しい花一匁」

    「隣のおばさんちょっと来ておくれ」

    「鬼が怖くていかれません」

    「お布団かぶってちょっと来ておくれ」

    「お布団びりびりいかれません」

    「お釜かぶってちょっと来ておくれ」

    「お釜底抜けいかれません」

    「あの子がほしい」

    「あの子じゃわからん」

    「この子がほしい」

    「この子じゃわからん」

    「「相談しよう、そうしよう」」


    肩を組んで足を振るというだけの単調な踊り。

    それを終えると、30分の相談タイムに入った。




    「次は霧切先生にしましょうよ」

    「いや、今度もあみだくじで決めよう」

    「え?何でですか?先生にしましょうよ日向さん」

    「……お前、どうした?さっきからなんか…」

    「?」

    「……いや、何でもない」

    「じゃあ先生でいいんですね?」

    「良くはないんだが…うーん」

    「まあ、いいんじゃないですか?今回のターンで最後じゃないですし」

    「春川もか。なら…まあ、いいか。じゃあ俺が代表者になるよ。解散してよし」

    「……」




    春川は最原のほうに歩み寄った。

    「ねえ、最原」

    「どうしたの?春川さん」

    「前に話した、学園長についてのことなんだけどさ」


    「ああ、学園長がひどい取捨選択主義でいつも人の価値観を見定めてるような人格異常者だっていう話?」


    「そんなこと言ってなかったと思うけど…。とにかく、それ、勘違いだったかもだから忘れてくれない?」


    「勘違い?いやいや、そんなことないって。絶対あの人はおかしいよ」


    「おかしくなんてない。同じチームになってから何度か話したけど、生徒想いのいい先生だって印象を受ける。だからもし最原があの人をひどい人だって決めつけて捨てようとしてるなら、それは間違ってるから。その考えは捨てて」


    「春川さん…騙されてるの?でも大丈夫だよ。僕だけは正しい方を選択して、皆を救って見せるから」


    「ねえ最原。ホントどうしたの?さっきからなんかおかしいよ…」

    「何が?僕は大丈夫だよ。春川さんのほうは疲れてない?」

    「疲れてはないけど……そうじゃなくて!」

    「?」

    「………はぁ…もういいや」






    目がおかしい。

    うつろな目。


    声はしっかりとしてるけど、言ってることが最原らしくない。


    おかしい。


    …おかしい。
  31. 32 : : 2017/03/20(月) 16:17:42



    『代表者は前へ進み出てくダさい』



    日向と九頭竜が前へ出る。


    『では参りマす。じゃんけん…』


    右手を振り上げ、


    『ポン』


    そして振り下ろす。

    結果。


    『太陽の組、パー。月の組、グー。太陽の組ノ勝利デす』



    再度負けた。


    最原は唖然としたのち、眉をキッとひそめた。



    またゲームが長引くじゃないか。

    さっさと僕に勝たせてくれたらいいのに。


    九頭竜が口を開く。


    「俺たちは春川がほしい」


    春川は太陽の組へと行ってしまった。




    苗木誠…春川どうする気だ?
    どうなるかわからない。だから次のターンで取り戻してあげないと!


    最原は苗木を睨む。


    苗木は戸惑った顔をしていた。
  32. 33 : : 2017/03/21(火) 00:05:28

    「休憩なんかいらないよ。早く次のゲームに移ってくれ」

    最原はジャンクに言った。


    『ミナサンはどうされますカ』


    苗木が答えた。


    「まあ…いいんじゃないかな?相談タイムもだいぶ余裕が出てきたしね。そこで休んだらいいよ」


    「……」


    最原がうるさい、と言いたげに苗木を睨む。


    苗木もこちらを見てきた。




    なんだその目。

    何でそんな目で僕を見てるんだ。

    見るなよ。

    春川さんにいい顔したって、僕は騙されないんだからな。



    『では、すぐに次のゲームに移りマす。肩を組んデくだサい』












    歌が始まり、そして終わった。
  33. 34 : : 2017/03/21(火) 16:48:18

    「日向さん」

    「最原……」

    「次選ぶ人ですが、春川さんでいいですよね?」

    「……。まぁ…そうだな。春川は学生だから、失われるのは避けたいしな。じゃあ、じゃんけんは俺が出るよ」

    「分かりました。頼みます。絶対に僕たちみんなでここを出ましょうね!」

    「…ああ」



    僕たちみんなって、誰のことを言ってるんだか。


    日向は思う。

    一人は必ず犠牲になるのに。


    誰をはぶいての皆なのか。




    それから……






    何でコイツはさっきから、ずっと笑っているんだろう。


    ずっと苗木を憎々しげに睨んでるんだろう。




    目がおかしい。うつろだ。

    睨んでるのに笑ってる。

    おかしい。

    おかしい。


    コイツやっぱり何かおかしい。



    日向は最原の様子を見て、とあることを決心した。


    「おいジャンク、会話は許されないってことは一方的に話しかけるのはいいんだろ?」


    『ハイ。それに相手が返答すればアウトでスが』


    「ちょっと苗木を呼んできてくれ」



    ジャンクが苗木を連れてくる。


    日向は苗木に、何かをそっと耳打ちした。
  34. 35 : : 2017/03/21(火) 17:28:04
    『相談タイムが終了しまシた。代表者は前へおイで下さい』



    今まで何度も何度も繰り返されたこの光景。

    本当にもう飽きたし、早く終わらせたい。


    でも今は月の人数がいないから、まだゲームを続行しなければならない。



    春川さんが心配そうにこちらを見ている。

    僕がここで負けて、犠牲になることを危惧しているのだろうか。



    でも、大丈夫だ。
    これまでだってこんな状況は幾度となく訪れた。でも結局終わったりはしなかった。

    だから、今回も絶対に大丈夫だ。


    それに…もし負けても僕は犠牲になりはしないさ。




    だって、超高校級の探偵だからね。




    あの異常者なら…学園長なら……


    学生でも、超高校級でもない日向さんは選ばないはずだ。


    憎たらしい。吐き気がする。本当に、そういう人ってどうかしている。


    日向さんには気の毒だが、今や単なる大人なのだから、もしここで負けたら犠牲になるしかないだろう。


    そんなの嫌だ。絶対に嫌だ!


    日向さんは優しくて冷静で素敵だ。だからそんな彼を犠牲にはできない!


    苗木誠を犠牲にすべきなんだ!あいつなんかの代わりはいくらでもいる。


    あんな平凡なへなちょこより、公平な日向さんのほうが学園長には適任だろう。



    だから……




    あなたはここで負けてもらいます、学園長。









    頭が痛い。何かが蝕まれてゆくような痛み。
    止まらない。

    イタイ。

    痛い。


    痛……?


    イ。ズキズキズキ。
  35. 36 : : 2017/03/21(火) 17:36:50

    『では参りマす。じゃんけん…』










    勝て。

    勝て。

    勝て。

    勝て。

    勝て。







    『ポン』






    勝て。

    勝て。

    勝て。

    勝て。

    勝て。

    勝……






















    『太陽の組、チョキ。月の組、パー。太陽の組ノ勝利です』














  36. 37 : : 2017/03/21(火) 17:37:46



    ……








    負けた?










    どうやらそうらしい





  37. 38 : : 2017/03/21(火) 17:44:23

    『太陽の組は月の組から引き入れる人物を選択しテくだサい』



    「………ッ!!!」



    最原は苗木を鬼の形相で睨み上げた。


    何で勝ったんだ!!お前のせいで、日向さんが犠牲になるだろ!!



    お前が負ければ日向さんは救えたのに……



    「………」



    何を言い淀んでいるんだ。この結果を招いたのはお前だろう。

    お前のせいで日向さんは失われるんだ!


    早く言え、言ってしまえ、僕の名を。






    「……僕、僕たちは…」






















    「日向君がほしい」




    「…………はぁ…っ?」







    頭が痛い。
  38. 39 : : 2017/03/21(火) 18:15:10



    「なっ…何でだ!貴方が日向さんを選ぶはずないのに!?」

    「……」

    「どういう事なんだよ!僕は超高校級の探偵なんだぞ!?」

    「最原」

    「僕には才能があるんだ!それに、失わせたくないはずの学生なんだ!だから絶対に__」


    「最原!!」


    最原がうるさい、とばかりに振り向くと、日向が肩をつかんでいた。



    「…勘違いしてるなら言うけどな。超高校級の探偵であることは、何の免罪符にもならない。偉くもないし、特権でも何でもないんだよ!分かるか!?」


    「………ッ!」



    分からない。分かるわけがない。

    だって僕は月なんだ。絶対的存在の月なんだ。



    最原は日向にかみつこうとするも、激しい頭痛によって阻まれる。

    よろけ、床に膝をついた。






    目の前が急に開けたようになり、唐突に、同時に思い出した。




    月より何倍も何倍も、太陽のほうが大きいことを。

    月は常に、太陽の恩恵を受けて輝いていることを。


    月は、太陽がなければ光ることさえできないことを。









    最原終一は、苗木誠がいなければ、超高校級の探偵でも何でもないただの人間だという事を。



    何故今まで分からなかったのか。


    最原は今、完璧にそれを理解した。












    「………この部屋に……苗木誠と一緒の空間にいる時点で、僕は負けてたんだ……」



    弱々しい声が白い部屋に吸い込まれる。
  39. 40 : : 2017/03/21(火) 22:37:23

    九頭竜、他が話し出した。


    「テメェ、途中からなんかおかしかったぞ。最も、テメェ自身は気が付いていなかったみたいだけどな……何つーか、目がイっちまってたわ」


    「私もそう見えた。会話してる時もなんかかみ合わなかったし、いつものアンタらしくない感じしてたよ」


    「僕が取り乱してしまったせいで君に影響したのかもしれないね…ごめん。だって君、その時から少しずつおかしくなっていったからさ」


    「この状況で少しくらいの『精神』の乱れは仕方ないのかもしれないけれど…それにしても異常だったわ。目の動きや口許の緊張が、ちぐはぐになって不気味な表情だった」


    「ほら。皆、最原がおかしくなってることには気が付いてたんだ。気が付かなかったのはお前だけだよ。ただ、勘違いしないでほしいのは…」


    日向は屈み、最原の目を色の違う目で見据えた。




    「誰も、お前や春川を貶めようとなんてしてなかった。ずっと守ろうとしていたんだよ」





    「……ごめん、なさい……どうかしてたんです、僕。ごめんなさい……すみません……」



    最原はようやく正気に戻った気がした。


    何であんなに苗木のことが憎かったのか。

    今は自分で自分のことが理解できない。



    「……犠牲になるのは僕でよかったです。皆さんのような、僕の大切な人たちを失わずに済んでよかったです。誰かじゃない、最初から自分を差し出していればよかったんだ…!」



    目の奥から何か熱いものがにじんできた。



    「いや…それはな、皆同じことだよ。いくらお前を正気に戻すためとはいえ、こんな結末を選んでしまって…ごめんな」




    日向が優しく最原の肩に手を置く。


    「元の世界に戻ったら、必ずお前を助けると約束しよう。大丈夫だ。なんたって俺は、14名もの脳死患者を元に戻したスーパーマンだからな」


    ハハッと、日向が笑った。

    それを見て、頬に一雫の水が流れ落ちた。



    「……っ、はい…!」


    『そロそロよろしイですね?正直、性根がまっすぐな人ばかリでしタノで決着がつかないかとヒヤヒヤしまシた』


    「なーに人間気取ってヒヤヒヤとかいう言葉使ってんだテメェは…」


    九頭竜が吐き捨てた。



    「じゃ……しばらくの間さようなら。皆さん」


    「うん…絶対に会おう、最原君」


    苗木は力強くうなずいた。





  40. 41 : : 2017/03/21(火) 22:50:37





    ジャンクの顔と思わしき場所が変形してゆく。



    赤黒い穴はどんどん肥大し、体積と同じなまでに広がった。





    最原は震える足で地面を踏みしめ、その前まで歩いて行った。


    既に頭痛は止まっていた。




    怖い。とても怖い。


    精神を喰われるのは痛いだろうか、苦しいだろうか、辛いだろうか。




    周りの皆も、固唾をのんで見守っている。








    ジャンクの口が、最原の頭を、肩を、胸を覆う。


    視界は一面赤になった。


    そこで、声を確かに聴いた。

    今までよりもはっきりと、その声は言った。

















    『あ、ちなみに記憶は無くなりマすのデ。ご了承を』










    「……!?まっ、待て!そんなの聞いてな」






    全身口で覆われた。

    最後の言葉を言い終わらずに、最原はジャンクもろとも消失した。






    そしてついに、不気味なガラガラという笑い声の余韻を残して、ゲームは終了したのだった。










  41. 42 : : 2017/03/21(火) 23:12:37










    希望ヶ峰学園、保健室にて。

    病院であるかのようにベッドが立ち並ぶ、この清潔そうな部屋に少年一人と少女が二人。







    「のう、ハルマキ……最原の調子はどうじゃ?」

    「…よくない」


    夢野は春川に話しかけるが、春川はそっけなく答え首を振る。





    これはつい最近の話である。

    朝起き、授業に最原がやってこないので確かめに行ったところ、最原は静かに眠っていた。


    否、ほとんど死んだように生きていた。



    苗木はすっかり取り乱し、日向に何とかしてくれるよう頼んだが、どうしようもできなかった。


    あの日向でさえ、最原をもとには戻せなかった。



    原因が不明な以上、手の施しようがないのだという。




    それでも何とか手を尽くし、出来上がったは狂った人形である。


    植物人間からは脱した。



    しかし、ただそれだけのことだ。

    何もイイことなんてない。






    「勝ってうれしい花一匁負けて悔しい花一匁隣のおばさんちょっと来ておくれ鬼が怖くていかれませんお布団かぶってちょっと来ておくれお布団びりびりいかれません」


    「……相変わらずこの調子だよ。何でこんな狂ったように花一匁を歌ってるんだか」


    「歓迎パーティの後は速やかに寝たから、どうにかなるはずもないんじゃがのう…」




    二人ともがため息をついた。

    背後で音がし、振り向くと苗木がいた。


    「おはようございます」

    「うん、おはよう。どうかな、調子は」



    「お釜かぶってちょっと来ておくれお釜底抜けいかれませんあの子がほしいあの子じゃ分からんこの子が欲しこの子がこの、がががが……イタイ」

    「痛い痛いイタイ痛いイタイイタイ痛い」


    「…変わりないみたいだね」

    「はい……」


    何故か苗木を目の前にすると痛いイタイしか言わなくなるのもすっかり当たり前になってしまったこの頃だ。




    ところで、と春川と苗木は思う。



    花一匁、最近さんざやったような気がするのだが。










    ズキズキズキズキズキ…

    頭が痛い。
  42. 43 : : 2017/03/21(火) 23:25:09






    (かげ)は、()のあるところにしかできないというのは、誰もが知っている当たり前のこと。



    しかし何を勘違いしたのか自分一人で存在しようと陽の光から出た陰は、あっという間に消失する。




    このことを、陰と陽の関係を理解せず、馬鹿をやったものが今回のターゲットだった。




    本当に馬鹿だ。心底馬鹿である。


    身の程知らずもいいとこだ。




    『まァ、ワタシがそう仕向けたのデすガね』




    あんな真っすぐな子があんなにひねくれるわけがないでしょう。

    勿論ワタシがやりました。


    微生物より小さな虫を、脳に回らせ、徐々に洗脳していったのだ。



    みたか、あの無様な姿を。


    ああ、やはり、美しい友情の塊よりも穢れた精神のほうが後味が悪くて最高だ。



    さあて、次はだれがターゲットかな。あいつかな、そいつかな。





    ガラクタは愉快そうにガラガラと笑った。


  43. 44 : : 2017/03/21(火) 23:28:33
    終わりです。読んでくださり、ありがとうございました。
    ギリギリでしたね…危なかった!

    ちなみにキーワードは交錯とチャプター1です。部屋も入ってますね。

    お疲れ様でした!ホラーになったか不安ですが、書ききれてよかったです。

    他の作者様のも読まれて行ってくださいね!
  44. 45 : : 2017/03/21(火) 23:46:42
    いやぁ、かなりのストーリー性で驚くばかりです!まさか、この結末だったとは……

    面白かったです!完走お疲れさんでした!
  45. 46 : : 2017/03/21(火) 23:48:42
    壊れていく最原の描写や太陽の組と月の組の意味付けなどからherthさんの表現力のすごさが伝わります

    まずはお疲れさまでした!そして次回ももし参加していただくのであれば、今から期待してます!
  46. 47 : : 2017/03/21(火) 23:51:20
    >>45
    もう完走したことの解放感で自分が何かいたか覚えてなくて意外な結末だったのかどうかわからないwありがとうございます!

    >>46
    壊れてく最原がうまくできてるのか不安でしたが、そういっていただけてうれしいです!

    時間的余裕がありそうだったら次回も参加するかもですwありがとうございます!
  47. 48 : : 2017/03/24(金) 19:18:45
    陰と陽の使い方はもちろん、選ばれたのが最原→記憶を失うの二段落ちが鮮やかでした。指定登場人物である赤松も設定と上手く噛み合っていました。本編を引き立てるのに一役買っていて…。
    面白かったです!お疲れ様でした(^o^)
  48. 49 : : 2017/03/25(土) 09:01:19
    >>48
    ありがとうございます!赤松さんの出し方これで良かったのか考えてたのでそういっていただけて嬉しいです。お疲れ様でした^^
  49. 50 : : 2020/10/25(日) 21:28:57
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…


    72 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:59:38 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    お願いです
    本当に辞めてください


    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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