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アニ「乙女ゲー?」
- けいおん! × 進撃の巨人
- 2042
- 72
-
- 1 : 2017/02/02(木) 22:47:47 :
- アニ「(…なにこの本…)」スッ
アニ「(妙に薄いし小さい…加えて紙全体がツルツルしてる)」ツルツル
アニ「(一番気になるのは、この痛々しいピンク全開の色合いだね…)」
アニ「(というか、この本のタイトルにある"乙女ゲー"って…一体何)」
ミーナ「ふわあぁ…ん?どうしたの?」ムニャムニャ
アニ「……あのさ、朝目覚めたらこんなものが私のベッドに落ちてたんだけど」ペラッ
アニ「これ、あんたの?」
ミーナ「? 私にはちょっと…見覚えないかな」
アニ「…ふーん」
ミーナ「今、部屋のみんなに聞いてみようよ。タイトル教えて」
アニ「え」
-
- 2 : 2017/02/02(木) 22:55:36 :
- ミーナ「はいみんな、注目ー!誰かの落し物がアニのベッドに潜り込んでたってー!」
サシャ「え?落し物ですか?」
ユミル「朝っぱらからでけえ声だすなよ…なあ?クリスタ」ギュ
クリスタ「ちょっ、ユミル!どさくさに紛れて変なとこ触っちゃダメ!」
ミカサ「…それで、落し物というのは」
ミーナ「なんか、本らしいんだけど…じゃあアニ、タイトルどうぞ」
アニ「…」
アニ「…乙女ゲー」
ユミル「は?」
アニ「ごめんやっぱり私の私物だった」
ミーナ「え?そうなの?」
サシャ「まあこの部屋の女子は基本的に読書しませんからねー!間違いなくアニのものですよ」ウンウン
ユミル「おっ、一番読まないやつが何か言ってら」
サシャ「な、なにをー!」フシャーッ
クリスタ「ま、まあまあ!」
アニ「…」
-
- 3 : 2017/02/02(木) 23:07:06 :
- 食堂
アニ「(とりあえずベッドの下に滑り込ませといたけど…なんだったの、あれ)」モグモグ
ライナー「よう、アニ。隣いいか?いいよな」スッ
アニ「答え聞く前に座らないでよ」
ベルトルト「あ、あはは…」スッ
アニ「あんたも」
ベルトルト「あっ、ご、ごめん」ガタッ
ライナー「おいおい、ベルトルトだけ立ち食いさせる気か?」
アニ「だから、物事には順序ってものがあって…まあいいや。早く座んなよ」
ベルトルト「う、うん」スッ
アニ「…」
アニ「(ん…?)」
アニ「(ベルトルトの胸元あたりに…何か見えたような)」ジッ
ベルトルト「…えっ、どうしたの?」
アニ「…」ジィッ
ベルトルト「…アニ?」
♥♥♡♡♡
アニ「!?」バッ
ベルトルト「ん!?」
-
- 4 : 2017/02/02(木) 23:19:27 :
- アニ「」サスサスサスサス
ベルトルト「ちょっ、え!?何!?」ガタッ
ライナー「!? おい、アニ!急にベルトルトの胸板をさすってどうした!」ガタッ
アニ「………」
アニ「……いや…なんでもない」スッ
ベルトルト「噓でしょ…?」
ライナー「ぜってえ何かあんだろ…」
アニ「…ちょっと…胸筋触りたかっただけ」
ライナー「ええ…」
ベルトルト「もう、唐突に触るのやめな…?胸筋なんていくらでも触らせてあげるから…主にライナーが」
ライナー「俺かよ」
アニ「…(……おかしいな…さっきはベルトルトの胸元に、不自然に浮き出た立体的なハートマークが見えたのに…)」
アニ「(気のせいだったか…ん?)」
ライナー「? なんだよ」
アニ「(また、何かが…今度はライナーのとこに…)」ジッ
ライナー「…まさか、次は俺の胸狙ってんじゃねえだろうな」サッ
♡♡♡♡♡
アニ「(!! やっぱりだ、ハートマークが見える…!)」
-
- 5 : 2017/02/03(金) 00:33:39 :
- ベルトルト「その防御の取り方、絶妙に気持ち悪いね」
ライナー「仕方ねえだろ。胸守るんだったらこうする他ない」
ベルトルト「手ブラはちょっと…もっと男らしく構えてよ」
ライナー「無茶言うな」
アニ「…ねえ」
ライナー「…なんだ」
アニ「乱暴にしないから、少し胸貸して」
ライナー「む、うーん…まあいいぜ」
ベルトルト「覚悟はしておきな、ライナー」コソッ
ライナー「ああ。もし俺が変な声出そうになってたら迷わず頬を殴ってくれ」コソコソ
ベルトルト「オッケー」コソコソ
アニ「じゃ、いくよ」
ライナー「ばっちこい」
アニ「…」サワサワ
ライナー「…」
アニ「もういいよ。ありがと」
ベルトルト「!?」
ライナー「お、おう…?」
-
- 6 : 2017/02/03(金) 00:43:41 :
- アニ「…(さっきと同様、ハートマークは跡形もなく消えてるね…こいつらの反応を見る限り、私を驚かすための手の込んだおふざけってわけでもなさそうだ。そもそも見えてないみたいだし)」
アニ「…」
アニ「(なんだか…目をこらして相手を見つめるのをやめた瞬間、ハートマークが消える気がする)」
アニ「(つまり凝視している時に限って、あのハートマークは見えるってこと?)」
アニ「(…もう一回やるか)」ジッ
ベルトルト「どうだった?」
ライナー「思いの外ソフトタッチだった」
アニ「…」ジィッ
ライナー「まったく拍子抜けしたぜ…」
♡♡♡♡♡
ベルトルト「僕とはえらい違いだな…アニは一体、僕になんの恨みが…」
♥♥♡♡♡
アニ「(…私が立てた仮説は正しかったみたいだね)」
アニ「(二人ともハートは5個…でも、色が違うな)」
アニ「(えーと…ライナーが白いハート5個に、ベルトルトは…赤いハート2個と白いハート3個)」
アニ「(…妙な幻覚。何か意味があるの?私にはさっぱりだけど)」
アニ「(というか私、頭逝ったのかな…)」
-
- 7 : 2017/02/03(金) 12:11:51 :
- ライナー「…やべ、訓練始まっちまうぞ。急いで食わねえと」ガツガツ
ベルトルト「やばいやばい」ムシャムシャ
アニ「(ハート…ハートといえば…ライフ?もしかして残存HPみたいな?)」
アニ「(そしたらライナーには空を意味するであろう白のハートしか残ってないから…既に死んでることになるんだけど)」チラッ
ライナー「ん?食い方の汚さは許せよ。非常事態だからな」ガツガツ
アニ「(まだピンピンしてるね。不気味なくらいに)」
アニ「(…もしくは…これ、虫の知らせってやつかな)」
アニ「…」
アニ「(あれ?命に関する不吉な前兆と言ったら…"死"以外無くない?)」
ベルトルト「…アニ?食べないの?」
アニ「ライナー、今日一日は私と組んで」
ベルトルト「!?」
ライナー「!?」
ベルトルト「ライナー…君はいい奴だった」
ライナー「殺すな」
-
- 8 : 2017/02/03(金) 12:32:31 :
- 対人格闘訓練
ライナー「まったく覚えがねえけど…何かしたんなら先に謝っとく」
アニ「別にサンドバッグにしようってわけじゃないから」
ライナー「(本当かよ…)」
アニ「…じゃ、いくよ」スッ
ライナー「(こいつ、こうしてやる気出すと容赦ねえんだよなあ)」
アニ「」フッ
ライナー「(そら来た…ん?)」バシッ
アニ「何?」
ライナー「…いや、なんでもねえ」
アニ「もっと蹴ってほしいなら、言われなくとも今からやるよ」
ライナー「そうかありがとな。嬉しくねえけど」
ライナー「…(妙だな、手加減されてる気がしてならねえ)」
-
- 9 : 2017/02/03(金) 12:36:23 :
- アニ「…(適度に手心を加えるっていうのも、難しいもんだね)」
アニ「(まあ今朝の出来事が、虫の知らせであるという推測が正しければ…こいつはふとした拍子に逝く可能性があるわけだ。今日は一応見張っておこう)」
アニ「(いくら私達でも、頚椎または脳の損傷に対する回復は保障できないからね…しばらくは本気で蹴れないな)」チラッ
ライナー「?」
アニ「(私の蹴りでなんか当たり所が悪くて即死!…とか、シャレにならない)」
ライナー「(相変わらずのポーカーフェイスだな…何考えてるか全ッ然分からねえ)」
-
- 10 : 2017/02/03(金) 16:58:42 :
- 立体機動訓練
ライナー「3人制チームだってな。ベルトルト入れるか」
アニ「ん」
ライナー「おーいベルトルト、俺達とチーム組もうぜ」
ベルトルト「あっ、うん。そうする」
アニ「…もうすぐ始まるね」
ライナー「ああ。これは林の中を立体機動で素早く移動することを目的とした訓練だが、かといって調子乗ってスピード出しすぎるなよ」
ライナー「ゴールに着く頃には2人になってた、なんてごめんだからな」フッ
ベルトルト「はは…」
アニ「…そういうライナーこそ一番気を付けなよ」
ベルトルト「えっ、僕の心配は?」
アニ「ベルトルトは多分大丈夫」
ベルトルト「多分」
ライナー「! 開始合図の信号弾だ、行くぞ!」バシュッ
-
- 11 : 2017/02/03(金) 21:11:03 :
- ーーーーーー
ーーー
ライナー「…なあ、おい」
アニ「…」パシュッ!シュウウ…
ライナー「おーい」
ベルトルト「アニ、君だよ」
アニ「え?何?」
ライナー「なんか距離近くねえ?」
アニ「普通でしょ」パシュッ
ベルトルト「いや、僕もそう思う…下手したらライナーと激突しちゃうんじゃ」
アニ「それはやだな…」
ライナー「なんだと?もっと近くに行ってやろうか」バシュッ
ベルトルト「本末転倒」
-
- 12 : 2017/02/03(金) 21:20:50 :
- アニ「…」キョロキョロ
ベルトルト「? どこ見てるの?」
アニ「…(杞憂かもしれないけど…ライナーに何か危険が迫ってないか、私が近くで見ておかないと)」
ベルトルト「…アニ?」
ライナー「余所見してる暇なんてねえぞー…っと、早速前方に大木出現だ。散開する」バシュッ
ベルトルト「了解」パシュッ
アニ「…」
ライナー「聞いてんのか?アニ…っおい!?」
ベルトルト「!? 危ないっ!」
アニ「…え?」
ライナー「クソッ!アニ、構えろ!!」バシュゥッ
アニ「ぐっ…!」ガシッ
ガサッ ガサガサ!
ベルトルト「アニ!ライナー!?」シュゥゥッ
-
- 13 : 2017/02/03(金) 23:45:07 :
- ーーーーーーー
ーーーー
アニ「(いたた…)」ボロッ
アニ「(…えーと、何が起きたんだっけ…たしか立体機動してたら、急に横からライナーがタックルかましてきて…)」
ライナー「…おい、おい!」
アニ「……んー、うるさいな…」モゾ
ライナー「意識はあるみたいだな…ったく、立体機動中にマジで余所見する奴があるか」ハァ
アニ「…(…あれ?ライナーの顔、やけに近くない?)」ジッ
ライナー「…あー、すまん。助け方が乱暴だったのは謝る。怪我ないか?なるべくお前を庇ったつもりなんだが」
アニ「(というか私、ライナーと密着してない?…これ、お姫様抱っこってやつ?…は?)」
ライナー「どうした?どこか痛むのか?」
アニ「(そんなことより早く離してよ)」パクパク
アニ「!?(声が…出ない…!)」
-
- 14 : 2017/02/04(土) 00:10:35 :
- アニ「(喉に怪我を負った感覚はないし…さっきまで喋れたのに…)」
ライナー「え…どうしたんだよ、顔をしかめて…」
ライナー「あ、ああ。こんな体勢になっちまったのは、まあ…なんだその、不慮の事故だ。悪い」
【それより、助けてくれてありがとう】
【いいから離してくんない?気色悪いんだけど】
アニ「!?」
アニ「(視界に文章が現れた…?)」
アニ「(なんなの、これ…ハートマークの時と同じ幻覚みたいだけど…)」
ライナー「…」ジッ
アニ「(ライナーには見えてないみだいだね…こんなデカデカと存在を主張してるのに)」
アニ「(…出現したタイミングからして、私の声が出なくなったことと関係してるように感じる)」
アニ「(どっちかの文章を読めってこと?それともどっちも?)」
ライナー「…アニ?」スッ
アニ「(!? この、バカ!余計に顔近づけようとするんじゃないよ!あー、私の考え方で合ってるのかどうかは分からないけど、一か八かだ!)」
-
- 15 : 2017/02/04(土) 00:31:31 :
- アニ「【それより、助けてくれてありがとう】!!」
ライナー「おお…?…どういたしまして?」
アニ「(声が出た!よし)」
アニ「腕離して。邪魔」パッ
ライナー「え、ああ…すまん」
ベルトルト「ライナー!アニ!ここにいたのか!」パシュッ
アニ「あ、ベルトルト」
ライナー「おー…さっきぶり」
ベルトルト「え、反応軽くない?」ザッ
アニ「オーバーにリアクションする必要ある?」
ベルトルト「あるよ!だって、急に僕の目の前からいなくなったんだよ」
アニ「はあ…」ポリポリ
ライナー「こいつ…よく覚えてねえな」
アニ「ご名答」
-
- 16 : 2017/02/04(土) 00:41:24 :
- ベルトルト「えーと、あのね…立体機動中アニは木にぶつかりそうになって、その直前にライナーが横から飛び出してったまでは良かったんだけど…」
ベルトルト「アニ諸共そのまま茂みに突っ込んで斜面を転がってったんだ。もう、びっくりしたよ」
ライナー「意外と勢いがあって止められなくてな。いやー俺もびびったぜ」ハッハッハ
アニ「…へえ」
アニ「(なるほど…話から察するに、ライナーは危ないところを助けてくれたのか。私はタックル喰らった覚えしかないけど)」
ベルトルト「うわ…ライナーさ、ところどころ擦り傷やらで血が滲んでるけど…平気?服も少し破けてるし」
ライナー「問題ない。傷は今治しちまうさ」シュー…
ライナー「服は…オシャレと思えばまあいけるだろ」
ベルトルト「いけるのか…?」
アニ「ライナー」
ライナー「ん?」
アニ「…悪かったね」
ライナー「はは、なんだよ。そんなのさっきの礼で十分だぜ」
ライナー「それより遅れを取り戻そう。もう一度出発だ!」バシュッ!
-
- 17 : 2017/02/04(土) 10:49:16 :
- ーーーーーー
ーーー
アニ「(あの時、急に現れた文章は…一体なんだったんだろ)」ボーッ
ベルトルト「アニ、晩御飯冷めちゃうよ」
アニ「ああ、うん」モグモグ
アニ「(まあ、その後の訓練も普通に終わったし…結局ライナーには何も起きなかったな。あのライフゲージは虫の知らせでも何でもなかったのか)」モグモグ
アニ「(……このハートって、他の人のも見れるのかな)」ゴクン
アニ「…」ジィッ
ベルトルト「た、大変だライナー…アニが四方八方にガンを飛ばしだしたぞ」ヒソヒソ
ライナー「触らぬ神に祟りなし、だ。スルーしとけ」ヒソヒソ
-
- 18 : 2017/02/04(土) 11:03:26 :
- サシャ「えっ!このパァンくれるんですか?ありがとうございます、いただきます!」
コニー「誰もやるなんて言ってねえよ!?返せ俺のパン!」
♡
アニ「(…うーん、サシャからは何も見えないな)」
アニ「(コニーからもハートは見えな…)」
アニ「!?」ガタッ
ベルトルト「」ビクッ サッ
アニ「あ…悪いね、ベルトルト。びっくりさせちゃって」
ベルトルト「う、ううん」ホッ
ライナー「反射的に胸守るなよ」ヒソヒソ
ベルトルト「だってあれ…変な声出そうになっちゃうから怖いんだもの。もうトラウマだよ」ヒソヒソ
ライナー「わかる」
-
- 19 : 2017/02/04(土) 11:18:28 :
- アニ「(ハートが一つしかなくて見落としかけたけど…確かにある。白いハートだ)」ジッ
アニ「(他の奴らは…?)」
ミカサ「エレン、パンクズが付いた」
エレン「えっどこ?ここか?」フキフキ
♡♡
ミカサ「違う、私の口に。さあ取って」ズイッ
アルミン「そういうパターンかあ…」
♡
アニ「(ミカサは無し…けど、エレンとアルミンにも同じように白いハートが見える)」
アニ「(…さっきから男ばっかりだな)」
アニ「(食堂全体を見渡してみても…ハートは男にしかついてない。しかも、どれも白いのが1つだけ)」
アニ「(例外はベルトルト、ライナー、エレンだね…)」
アニ「(これが意味することって…)」
ベルトルト「アニ!逃げて!」
アニ「!?」
-
- 20 : 2017/02/04(土) 11:28:07 :
- サシャ「パァン!」サッ!ダダダッ
コニー「返せよオイ!」
ジャン「いくつ盗れば気が済むんだコラ!」
アニ「…なにあれ…」
ライナー「あー取られちまったか…いやな、さっきからサシャが暴走しててよ」
ベルトルト「食堂内を走り回っては、人のパンをかすめとっていくんだ…」
アニ「…あれもう、半分齧ったやつなんだけど。いいのかな」
ベルトルト「サシャにとって重要なのは、食べ物かどうかだから…いけるいける」
ライナー「かわいそうなアニちゃんには俺のパン半分やるよ。出血大サービスだぜ」チギリ、スッ
ベルトルト「あっ…ぼ、僕も」スッ
アニ「…(多い)」
-
- 21 : 2017/02/04(土) 15:14:13 :
- ーーーーーー
ーーー
アニ「げふ」
アニ「(ふう…あんな騒がしい場所じゃ、おちおち考え事もできやしない)」
アニ「(しばらくはこの倉庫に身を潜めるとしよう)」ヨイセ
アニ「(えー、現状において分かっていることは…)」
アニ「(あの幻は私にしか見えてない。それと、ハートがついているのは男子だけ。人によってハートの色、数に差異があるのは…何か法則性があるんじゃないかとは思うけど)」
アニ「(…昼間遭遇した、宙に浮かぶ謎のメッセージについても気になるね…)」
アニ「(実は私が病気で、全て本当の幻覚症状だっていう線もあるけど…それにしては唐突過ぎるよ)」
アニ「……だめだ、考えれば考えるほどわかんない」
ライナー「何がだ?」
アニ「!」ファイティングポーズ
ライナー「待て、俺だ!落ち着け」
アニ「なんだ…あんたか」スッ
ライナー「驚くたびに構える癖やめろ…心臓に悪い」
アニ「おどかす方が悪いんじゃないの。あー、あとちょっとで殺るとこだった」
ライナー「漢字が不穏」
-
- 22 : 2017/02/04(土) 15:24:51 :
- ライナー「つか、何でこんな所にいんだ?」
アニ「…ちょっと考え事しに来ただけだよ。あんたの方は何の用?」
ライナー「ひとりでここに入ってくお前を見かけてな、つい後を追っちまっただけだ。特に用はない」
アニ「そう、じゃあね」
ライナー「はは…冷たいこと言うなって。もっと語ろうぜ?」
アニ「あんたと二人で何話すのさ…今更」
ライナー「そうだなー…あ、体の調子はどうだ?どこか痛めなかったか」
アニ「おかげさまで元気だよ。というか、怪我なら治すし」
ライナー「治すのは結構だが、あんまり人前でやんなよ?」
アニ「そっちこそ」
アニ「…服、穴開いてるね」
ライナー「あ?ああ…今日破けたとこか。新しいの買わねえとなあ…まあ制服は丈夫なだけあって、こいつだけでも無傷だったのは幸いだ」
アニ「…」
ライナー「替えきかねえからな」
アニ「…」
ライナー「…」
ライナー「……ん?」
アニ「…(嘘でしょ…)」
-
- 23 : 2017/02/04(土) 15:38:35 :
-
【それ、私が縫うよ】
【それ、私が弁償するよ】
アニ「(このタイミングで…?どういう基準で発動してんの、これ…)」
ライナー「…」チラッ
アニ「(ちょっと、ライナー…!律儀に私の返事待ってないですぐ隣で起きてる異変に気付け、バカ!)」パクパク
アニ「(あー、もう。また声が出ない……わかったよ、どっちか言えばいいんだろ)」ハァ
アニ「(えーと、裁縫か弁償?…どっちも嫌)」
アニ「(だけど、まあ…しいて言うなら弁償かな。裁縫なんてできないし)」
アニ「【それ、私が弁償するよ】」
ライナー「…何?」
アニ「あー、あいうえお(…よし、喋れるようになった)」
ライナー「!?」
アニ「気にしないで。ただの発声練習だから」
ライナー「そ、そうか…」
-
- 24 : 2017/02/04(土) 20:05:17 :
-
ライナー「弁償っていうのもなあ…女子に金使わせんのは気が引ける」
アニ「だよね。やめとくか」
ライナー「…あ、だったらこうしようぜ」
アニ「……は?」
-
- 25 : 2017/02/04(土) 20:21:14 :
- ーーーーーー
ーーー
翌日
アニ「…あのさ」
ライナー「ん?」
アニ「どうして休日にあんたと出かける流れになるのさ」
ライナー「いやー次の日が休みでちょうどよかったな」ハッハッハ
アニ「聞きなって」バシッ
ライナー「いてっ、まったくこいつは……だから言ったろ?今日、アニは俺に新しい服を買う。俺はその代わりに飯を奢る」
アニ「…はあ」
ライナー「どうだ、完璧だろ」
アニ「いや、二人で行く必要ないでしょ。服ぐらい私ひとりで買ってこれるから」
ライナー「ほほう。その様子だと、俺のスリーサイズは当然把握してるみたいだな?」
アニ「上から、129.3、129.3、129.3㎝」
ライナー「それ、ドラえもんのスリーサイズじゃねーか。一瞬感心しかけた俺がバカだったわ」
アニ「バレた」
-
- 26 : 2017/02/04(土) 20:30:53 :
- ライナー「男物の服も買ったことないくせに、見栄張ろうとするんじゃない」デコピン
アニ「!」ペシッ
ライナー「ふ、さっきの仕返しだ」
アニ「…(痛い)」チッ
アニ「だから…サイズとか指定してくれれば買いに行ったってば」サスサス
ライナー「わかってねえなあ。それだと俺が気ぃ遣うだろうが」
ライナー「とにかく今日は俺の後をついてこい。それだけでいいんだ、な?」
アニ「…!」
【…うん】
【嫌】
アニ「(あー…ここで選択肢来る?)」
アニ「(三回目ともなると、さすがに慣れてきたね)」ハァ
アニ「(…この選択が、何を意味してくるかはわからないけど…答えはもちろん)」
-
- 27 : 2017/02/04(土) 20:34:32 :
- アニ「【嫌】」スタスタ
ライナー「…だろうな。言うと思ったぜ」
ライナー「ちなみにそっちは目的の店と逆方向だぞー」
アニ「…」クルッ スタスタ
-
- 28 : 2017/02/04(土) 21:23:19 :
- アニ「ったく…ちゃんと道案内しなよ」
ライナー「ええ…」
ライナー「まあここから近いとこにあるからな、安心しろ。すぐだぞ」スタスタ
アニ「…人、多いね」スタスタ
ライナー「あー、みんな休日を満喫しに来てんだろうなー」スタスタ
アニ「…」スタ…
ライナ「その角を右に曲がって……」スタスタ
ライナー「ほら着いたぜ。近いだろ?」クルッ
ライナー「…」
ライナー「いねえ」
-
- 29 : 2017/02/04(土) 21:33:22 :
- アニ「はー…(あいつとはぐれた)」
ライナー「おっ、ここにいたか…探したぞ」スタタ
アニ「…さっきぶり」
ライナー「5分ぶりだな」
アニ「あと少ししたら帰ろうか迷ってたんだけど…運がいいね」
ライナー「すっぽかす気満々だな。こいつはひでえや」
アニ「今日待ち合わせ時間ちょうどに現れただけでも感謝してよ」
アニ「で、店はどこなの」
ライナー「…」
アニ「…ライナー?」
ライナー「手、繋ぐか?」
アニ「(は?)」
アニ「!!(声が出ない…!ってことは…)」
【…うん】
【嫌】
アニ「(…だよね)」
アニ「(というか、さっきと選択肢変わってないじゃん。仕事雑になってきてない?)」
アニ「(まあいいや…ここも答えは…)」
-
- 30 : 2017/02/04(土) 21:40:16 :
- アニ「【嫌】」
ライナー「おいおい。あんな短時間ではぐれるようじゃ、また迷子になるのがオチだぜ?」
アニ「嫌なものは嫌。恋人ごっこなんて柄じゃないし」
ライナー「あー…いや、そういうんじゃなくてだな…」
ライナー「ただ、はぐれることが無いようにしたいだけなんだ。ほら…俺の腕掴むだけでもいいから」スッ
アニ「いいって」グイ
ライナー「なら、俺がお前の腕を掴むぞ」
アニ「その時は痴漢って叫ぶから覚悟しておいて」
ライナー「この野郎…」
-
- 31 : 2017/02/04(土) 21:55:26 :
- アニ「(嫌にしつこいな。こいつ、こんなにねちっこい奴だったっけ…)」
ライナー「分かった、妥協案だ…俺がお前のフードを引っ張って行く。いいな?」
アニ「は?」
ライナー「じゃ行くぞー」グイ
アニ「ぐえ」ズルズル
ライナー「着いた」パッ
アニ「首が絞まった」
ライナー「じゃちょっと待っててくれ」サッ
アニ「…?」
アニ「(あいつ、一人で店の中入っていった…)」ケホ
ライナー「待たせたな」サッ
アニ「早い。2分26秒」
ライナー「これは世界新記録」
アニ「…本当、ばかに早くない?ちゃんと買ったの?」
ライナー「おう。待たせるのも悪いかと思ってな」
ライナー「次は飯食い行こうぜ」スッ
アニ「…あ、服のお代」
ライナー「どこにすっかなあ」スタスタ
アニ「(聞いてないし…)」
アニ「(というか、いつの間にか手掴まれてるし…)」ギュ
アニ「(…後で蹴ろう)」
-
- 32 : 2017/02/04(土) 22:10:40 :
- ーーーーー
ーーー
ライナー「ふー、今日は楽しかったな」
アニ「…そう?服買ってご飯食べただけでしょ」
ライナー「こういうのが帰り際の決まり文句なんだよ。嘘でも同調しとけ」
アニ「あー楽しい楽しい」棒読み
ライナー「よし」
アニ「(いいのか)」
ライナー「まあ、今日は付き合わせて悪かったな。部屋まで送るぜ」
アニ「女子寮覗く気?」
ライナー「フッ、俺がそんなことするはずないだろ?冗談だっての。じゃまたな」
アニ「はいはい…じゃあね」
ライナー「…あ、最後に一つ聞いてもいいか」
アニ「…何?」
ライナー「迷惑だったか?こういうの」
アニ「(こういうの?こういうのって…)」
アニ「(うっわ、また声出ないし…最悪…)」
【そうだね】
【別に】
アニ「(はい出た……頻度高いな、今日)
アニ「(迷惑…迷惑ね…うーん、どっちでもいいな)」
-
- 33 : 2017/02/04(土) 22:21:05 :
- アニ「(無難な方選んどくか)」
アニ「【別に】」
ライナー「…そうか。なら良かった」
ライナー「今度こそまたな。いい夢見ろよー」
アニ「ん」スタスタ
アニ「…(今日、結局私からは一円もお金出してないな…借りを作りっぱなしにするのも気持ち悪いし、いつか返そう)」スタスタ
アニ「(あー…妙な一日だった。頻繁に出てきた選択肢は一体なんだったんだろ…会話を遮られる以外に害はないみたいだけど)」
アニ「(そういえばハートマークと関連性はあるのかな。選択肢によってハートが増減する…とか)」
アニ「…明日朝食の時間にでもライナーのゲージを見るとするか」
アニ「(あ、蹴るの忘れた)」
-
- 34 : 2017/02/04(土) 22:39:32 :
- ーーーーーー
ーーー
翌朝
アニ「おはよ」
ベルトルト「ああ、うん…おはよう」
ライナー「席とっといたぜ」
アニ「…なんか、いつも以上に元気ないね。ベルトルト」
ベルトルト「……そうかな」
ライナー「昨日は悪かったって。パンやるから許せ」
ベルトルト「別に…許すも何も、怒っちゃいないよ」
アニ「?…なんの話?」
ベルトルト「…いや、その…ライナーは僕が拗ねてると勘違いしてるんだ」
アニ「はあ…?」
ライナー「拗ねてるだろ」
ベルトルト「拗ねてないよ」
ライナー「いいか…ベルトルト。俺はお前を仲間はずれにしたかったわけじゃないんだ」
ライナー「ただ、急遽決まったもんだからな…お前にも既に予定があるだろうし、言うほどのことじゃねえかなって伝えずにいたんだ。すまん」
ベルトルト「もう…そんなに謝るぐらいなら、初めから「昨日はひとりで出かけてた」って答えればよかったじゃないか」
アニ「(話の内容からするに、昨日私とライナーが出かけたことについてかな)」
アニ「(この隙に二人のライフゲージ見とこ)」ジィッ
ライナー「嘘はいずれバレるだろ」
♥♡♡♡♡
ベルトルト「そこはうまく隠し通してよ…」
♥♡♡♡♡
アニ「(…あれ?二人とも同じ状態になってる)」
アニ「(確かライナーは全部白で、ベルトルトは赤が2つあったはずなのに…)」
-
- 35 : 2017/02/04(土) 22:48:29 :
- ベルトルト「ねえ、アニはどう思う?」
アニ「(まずい、全然聞いてなかった)」
ライナー「この場合嘘つくのはおかしいよな。別に後ろめたい事でもねえし」
ベルトルト「けど、言われた方も困るじゃないか。どう反応したらいいかわからないし…気分良くないのはわかるだろ」
ライナー「嘘ついてまで隠してるのを知った時の方が気分悪いとは思うけどな」
ライナー「アニはもし俺の立場だったらどうした?黙っておく派か?それとも俺同様正直に伝えるか?」
アニ「(えー…急にそんな事言われても)」
アニ「(って、声出てないし…例の選択か)」
アニ「(…だんだん怒りを覚えてくるね、この現象)」イライラ
-
- 36 : 2017/02/04(土) 22:56:46 :
-
【ライナー】
【ベルトルト】
アニ「(いちいち会話を遮ってきてさあ…あー、やっと出た)」
アニ「……」
アニ「(え、なんかおかしくない?二人の名前が選択肢…?)」
アニ「(今まで一応会話として成立しそうな文章ばっかり表示されてきたのに…ここに来て何が…)」
アニ「(…まるでどちらか二人を選択しろと言わんばかりだね)」
アニ「(面倒くさい、深く考えずにいこう)」
-
- 37 : 2017/02/04(土) 23:10:28 :
-
アニ「【ライナー】」
アニ「(ただ遊びに行ったのを、隠すなんて変だし…私はライナーと同意見かな。不本意だけど)」
ベルトルト「! そ、そっか…アニも…そうなんだ」
ライナー「…2対1みたいになっちまったけど、元々悪いのは声かけなかった俺の方だ。すまん」
ベルトルト「はは…いいよ、僕達ももう子どもじゃないんだし…黙って誰かと出かける事ぐらいあるよね」
ライナー「俺達が仲間であることには変わりないからな?」
ベルトルト「わかってるさ。それより早く朝食を片付けてしまおう」モグモグ
ライナー「おう」ガツガツ
アニ「…(よくわかんないけど、丸く収まったみたいだね)」
アニ「(でも、相変わらずベルトルトは元気なさそうな顔してるな……もしかして、気分の状態とハートの変化って関係ある?)」
アニ「(調査も兼ねて…今日の訓練はベルトルトと組むか)」
-
- 38 : 2017/02/04(土) 23:19:06 :
-
エレン「なあアニ、ちょっといいか?」
アニ「え…何?(タイミング悪いなこいつ)」
エレン「今日の対人格闘、俺と組んでくれよ」
アニ「…(本当タイミング悪いなこいつ…)」
エレン「俺さ、あれから猛特訓したんだ。教えてもらった技もマスターしたし…」
アニ「…へえ…あの技、使いこなせるようになったんだ」
エレン「おう。で、組むか?組まないのか?」
アニ「…まあいいよ。付き合ってあげる」
エレン「おっ、そう来なくっちゃな。もう前回のようにはいかないぜ?特訓した成果を見せてやる!」
アニ「はいはい…」
アニ「…(エレンも、ハートの付き方に他と違いが見られたうちのひとりだし…感情が激しいこいつなら、ハートとの関連性が何かわかるかもしれない)」
-
- 39 : 2017/02/04(土) 23:43:41 :
- ーーーーーー
ーーー
アニ「(口程にもなかった)」
エレン「ぐえ…」ボロッ
アニ「今回はここらで勘弁してやるよ」テクテク
エレン「ま、まだだ…もう一回!」
アニ「はあ…あんたに何かあったら、ミカサに〆られるのは誰だと思ってるんだい?」
エレン「ああ?ミカサは今関係ねえだろ?それよりもう一回、勝負だ!」バッ
アニ「(いや…そのミカサが今もこっちを眼光鋭く睨みつけてるんだけど…)」チラッ
エレン「おし、もらった!」ガシッ
アニ「は?ちょっ…」
ドサァッ
-
- 40 : 2017/02/05(日) 13:17:54 :
- エレン「やった…マウントをとったぞ!」
アニ「バカ!今のは卑怯だろ…ッ!」ググ
アニ「(こいつ、乙女を地面に組み伏せやがって…くそっ、さすがにこの体勢に持ち込まれると身動きがとれないね…)」グググ
アニ「(腕も抑え込まれてるし…ここでこいつがパンチを繰り出してくれたら、上体が浮いた隙に反撃に出れるんだけど)」
エレン「どうだ、まいったか!」ヘヘ
アニ「…(勝った気になってないで、早くアクション起こしてよ)」イラッ
-
- 41 : 2017/02/05(日) 13:34:18 :
- ベルトルト「…エレン、それはやり過ぎじゃないか」
エレン「え?」
アニ「!(ベルトルト…)」
アニ「(いや今いいとこなんだけど)」ジタバタ
ベルトルト「もうそろそろ訓練の時間も終わるし…早くどきなよ」
エレン「あ、ああ…悪い。つい夢中になっちまって」スッ
アニ「ちょうど反撃に出ようと思ってたところだったんだけどね…水差してくれてありがとう」
エレン「続きはまた今度だな…ごめんな、アニ。立てるか?」
アニ「当たり前ーー」ガクッ
アニ「(うっ…)」フラァ
ベルトルト「! …大丈夫?」ガシッ
アニ「…足捻ってたみたい。まあ、これぐらいどうってことないよ。平気」スッ
エレン「なっ…平気じゃねえだろ!医務室行くぞ!」
アニ「(ええ…)」
ベルトルト「…いや…僕が連れてくよ。ミカサの視線がさっきから痛いほどこっちを刺してくるんだ」
エレン「はあ…?怪我させたのは俺のせいだ。その俺が連れてくのが筋だろ?」
アニ「(あっまずいこの流れは)」
-
- 42 : 2017/02/05(日) 13:51:14 :
-
【じゃあベルトルトお願い】
【ここはエレンに連れて行ってもらうよ】
アニ「(出た…恒例の…)」
アニ「(段々出現するタイミングが読めつつあるね)」
アニ「(この場合エレンと2人きりになったら、後でミカサに何されるかわかんないしな…ここはベルトルトしかないでしょ)」
アニ「【じゃあベルトルトお願い】」
エレン「ええ!?」
ベルトルト「わかった」コク
アニ「大体、エレンじゃろくな手当も出来そうにないし」
エレン「な、なんだよそれ!」
エレン「…まあ、アニがそう言うなら俺は従うまでだけどな。怪我させて悪かった」
エレン「じゃ、任せたぞベルトルト」
ベルトルト「…君は早くミカサのフォローに行った方が良いと思うよ」
エレン「おう…?」
-
- 43 : 2017/02/05(日) 17:25:06 :
- 医務室
ベルトルト「どう?痛む?」
アニ「特定の方向に動かさなければ痛みはないね。多少歩き方がぎこちなくなるぐらいだよ」クイ
アニ「包帯を巻くほどではないかな」グッグッ
ベルトルト「そうか…」
ベルトルト「うーん、エレンに見られてるしな…治さずにいた方が自然かもしれない。せめて、今日一日は」
アニ「面倒だけど…仕方ないね。そうするよ」
ベルトルト「そろそろ行こっか」ガタッ
アニ「うん」
-
- 44 : 2017/02/05(日) 22:57:06 :
アニ「…」テクテク
ベルトルト「…」テクテク
アニ「…あのさ、なんで腕組んでるの」
ベルトルト「えっ…?その方が…歩きやすい、かなって」
アニ「身長差考えてくれる?」
ベルトルト「…屈む?」ヒョイ
アニ「…違う。やめて欲しいって言ってるの」
ベルトルト「ど、どうして」
アニ「変に思われるだろ」
ベルトルト「…」
ベルトルト「変に思われたら、だめなの」
アニ「…」
アニ「(あれっ声が出ない)」
-
- 45 : 2017/02/05(日) 23:38:37 :
- アニ「(このパターンは)」
【だめでしょ】
【なんでそんなこと聞くの?】
アニ「(だよね…)」
アニ「(油断したな…なんか悔しい)」チッ
アニ「(こんなの、答えは決まってるよ)」
アニ「【だめでしょ】」
ベルトルト「…」
アニ「あんまりくっついてると、周りから関係性を疑われるだろ。そうなったら計画に支障が出る」
ベルトルト「あ、ああ…うん。そうだね」
アニ「…文句ある?」
ベルトルト「なっないよ!」ブンブン
アニ「ならいいけど」
アニ「…」
アニ「(…なんか、最近ライナーとベルトルトの様子がおかしい気がする)」
アニ「(まさか、選択肢の影響?)」
アニ「…あ、手離して」パッ
ベルトルト「う、うん」
-
- 46 : 2017/02/06(月) 03:19:06 :
- 兵法講義
アニ「(もうこの幻覚に慣れが生じてるけど…やっぱり、異常だ)」
アニ「(…2人に相談した方がいいかもしれない)」チラッ
ベルトルト「…」ウトウト
アニ「…(講義中に寝るんじゃないよ…まったく)」ハァ
ライナー「…ん?なんだ、分かんない所でもあるのか」
アニ「…」
アニ「」ガサゴソ
アニ「ん」スッ
ライナー「おう?」
ライナー「(メモ回してくるなんて珍しいな…どれどれ、内容は…)」ペラッ
ライナー「…」
アニ「(ベルトルト、起きな)」ペシッ
ベルトルト「!」ビクッ
-
- 47 : 2017/02/10(金) 04:34:02 :
- ーーーーー
ーーー
ライナー「よう、来たぜ」
アニ「…待ってたよ…早速だけど、本題に入らせてもらうよ」
ライナー「ああ」
アニ「…」
アニ「一人足りなくない?」
ライナー「え?」
アニ「バカみたいにでかい奴が一人欠けてるよね」
ライナー「バカとはひどい言い様だな」
アニ「あのさ、真面目な話…なんで連れてこなかったの?」
ライナー「俺はメモの通り行動したまでだぜ?」
アニ「メモをしっかり読んでたならこんなミス犯さないはずだよ…あそこにはちゃんと書いてあったはずだ」
ライナー「〝話がある。夜、兵舎裏に集合〟だろ?」
ライナー「ベルトルトのベの字もないぞ」
アニ「…」
アニ「(こいつ…いつも二人でワンセットで行動してるくせに、今回だけ単体行動を選ぶなんて…!誤算だった)」イラァ
-
- 48 : 2017/02/10(金) 20:26:18 :
- ライナー「ん、どうした」
アニ「はあ…まあいいや。あんただけにでも伝えておくよ」
ライナー「いいぜ。どんと来い」
アニ「…私さ……最近、おかしいんだ」
ライナー「…ほう」
アニ「ふざけてるように思われるかもしれないけど…これでも真剣に悩んでるんだよ」
ライナー「別にバカにしたりなんかしねえよ。俺だって似たようなもんだからな」
アニ「…それどういう意味?」
ライナー「そのまんまの意味だ」
アニ「? まあ…あんたもここのところおかしいよね」
ライナー「そうだな。前とは違う状態になりつつある」ジリッ
アニ「…ライナー?」
ライナー「…」
アニ「なんで…距離詰めてきてるわけ?」
ライナー「…今日は冷えるからな」スッ
アニ「!?」
-
- 49 : 2017/02/11(土) 05:36:27 :
- アニ「」ゲシッ!
ライナー「痛え!!」ガクッ
アニ「あんた…本当におかしいよ…」ダッ
ライナー「っ、待て!アニ!」
アニ「(嘘でしょ…あれって完全に肩抱こうとしてなかった?なんなの?)」タッタッ
ベルトルト「…うわっ!」ドンッ
アニ「!」ドシンッ
ベルトルト「ア、アニ…?ごめん、立てる?」
アニ「…平気」スッ
ベルトルト「どうしたの?そんなに走って…」
アニ「…そういうあんたは?」
ベルトルト「僕はライナーを探しに来たんだ。彼、外に出て行ったって聞いたから…」
アニ「…」
ベルトルト「アニ?もしかしてライナーと会ったの?」
アニ「…」
-
- 50 : 2017/02/19(日) 07:43:16 :
- 【会ったよ】
【会ってないよ】
アニ「…」
アニ「…【会ったよ】」
ベルトルト「…それって……」
ベルトルト「…ううん、何でもない」
ベルトルト「僕…やっぱり寮に戻るよ。おやすみ…」
アニ「…おやすみ」
-
- 51 : 2017/02/19(日) 11:24:42 :
-
それ以降、ベルトルトの態度は冷たくなった。
-
- 52 : 2017/02/19(日) 11:43:06 :
- 何故なのか、はっきりとした理由は分からないけれど…ベルトルトとライナーがおかしくなった事に、幻が関わってるのは明らかだ。
そう考えた私は、度々現れる選択肢に対し、慎重になっていった。
アニ「(前と違って、自分の感情に反してでも無難なものを選びがちだ)」
アニ「(でも…ベルトルトに続いてライナーまで関係が悪化したら困るし、仕方ないよ)」
アニ「(…何を選択しても二人のおかしさを助長させているような気もするけど)」
アニ「…ベルトルト、おはよ」
ベルトルト「……」ガタッ
アニ「(これだからな…)」ハァ
ライナー「おい、どこへ行く」
ベルトルト「もう食べ終えたんだ。先に部屋戻ってるよ」スタスタ
アニ「…」
ライナー「まあ、気にするな。ベルトルトも"あの日"なんだろうよ」
アニ「…あいつ男だから」
ライナー「男にだってそういう日があってもいいだろ」ニヤ
-
- 53 : 2024/11/07(木) 05:06:49 :
- ライナー「それでよ、アニ。今度の休みは予定決まってるのか?」
アニ「・・・」
【どこか一緒に出かけたいな】
【ひとりで過ごす予定】
アニ「・・・【どこか一緒に出かけたいな】」
アニ「(多分、この選択肢が無難・・・なはず)」
ライナー「お、いいぜ。実を言うとその言葉を待ってたんだ」
アニ「そりゃ良かったね・・・(ベルトルトに続いてライナーとまで険悪になってたらやってらんないわ・・・)」
相変わらずライナーは私に対して距離が近いままだ。ちょっと前までベルトルトとくっついてたのに。
ーーーーーーーーーーー
ーーーー
アニ「(ダメだ、このままだと作戦に支障をきたす未来しか見えない。さすがに手を打とう)」
アニ「最近は3人での話し合いもまともにできてない。ベルトルトが私たちを避けるからだ、まったく・・・ベルトルトに逃げられないよう話し合いに持ってくには・・・いやライナー抜きでサシでまず話した方がいいのかな・・・」ブツブツ
ミーナ「どうしたの、アニ。そんな所で佇んで・・・部屋戻らないの?」
アニ「!ミーナ・・・」
ミーナ「てか・・・あのさ、もし聞いちゃマズイことだったらごめんね。なんか・・・ライナーとベルトルトって名前が聞こえたんだけど!」
アニ「うっ・・・(本当にまずいこと聞かれたな)」
ミーナ「それってさ、もしかして!」
アニ「・・・」
ミーナ「三角関係だったりする!?」
アニ「・・・は?」
-
- 54 : 2024/11/07(木) 05:27:54 :
- ミーナ「最近ライナーってばアニとばっかりいるよね!ね!反対にベルトルトはよく独りでムスッとしてるし・・・なんか怪しいなと思ってたの!真相は二人でアニを取り合ってたのね!?」
アニ「何言ってんの?」
ミーナ「照れないでよ、も〜!成績トップたちを手玉に取るなんて、アニも隅に置けないなあ」
アニ「いやだから何言ってんの?あんな壁二人、揃ったところで部屋を狭くするだけだよ。なんなら貰ってほしいくらいだね」
ミーナ「まあまあまあ・・・」グイグイ
アニ「ちょっ・・・背中押すのやめなって、ねえ。どこ行く気?」
ミーナ「それはもちろん、女子寮よ!」ガチャ
ミーナ「はい、恋に悩める乙女一名様ご案内〜」
サシャ「っしゃオラー!!」
ユミル「なんつー合いの手だよ芋女」
クリスタ「ちょ、もう夜だよ!教官に怒られちゃう、静かに・・・!」
サシャ「すみません、大声に反応してカンで叫び返してました。何の話ですか?」
ミカサ「サシャ、今度叫んだら教官の部屋に投げ入れる」
サシャ「ええ!!?」
ミカサ「サシャを投げ入れてくる」ガタッ
ユミル「おー、いってら」
サシャ「助けて!!」
アニ「・・・」
アニ「私、帰ってもいい?」
ミーナ「あなたの部屋ここでしょうが!」
-
- 55 : 2024/11/07(木) 08:47:20 :
- ーーーーーーーーー
ーーーーー
ユミル「ははーん、なるほど。三角関係ねえ・・・」
ミカサ「なんか大変そう。力にはなってあげたい」
ミーナ「あ、大丈夫。恋愛指南に関してミカサには期待してないから」
ミカサ「え?」
ユミル「てかすっげー凸凹トリオじゃね?ダハハ!」
クリスタ「ユミルっ!せっかくアニが恋愛相談してきてくれたのに・・・もう!」
アニ「私、教官に部屋割りの異動申し出てくるわ・・・なんなら野宿も検討する」
ミーナ「待って待って、ちゃんと相談のるから!ね!」
サシャ「そうですよ!報酬(食べ物)次第で乗りますよ」
ミーナ「ちょっと黙ってて」
ユミル「あー笑い疲れた・・・まあ、まずはアニがどうしたいかじゃねえの?どっち選ぶんだ?」
アニ「別に・・・選ぶ気なんてないよ。どっちにも興味無い」
ミーナ「ええっ、両方振っちゃうの!?二人ともスペック的にはポイント高いのに・・・」
ミカサ「なら、ベルトルトはともかくライナーには断固として拒絶の意思を見せればいい。拳で」
アニ「馬鹿言わないで」
クリスタ「そ、そうだよミカサ!暴力なんて・・・」
アニ「私は拳じゃなくて足技がメインなの」
ミカサ「じゃ足で」
アニ「分かった」
クリスタ「こらこらこら」
-
- 56 : 2024/11/07(木) 09:13:36 :
- クリスタ「アニは二人のこと嫌いなの?」
アニ「嫌いというか・・・・・前の関係性の方が好きかな。どっちかと特別仲良くしたい訳じゃない」
ミーナ「あー誰かと恋仲になるよりグループでわちゃわちゃしてる方が楽しい派ね、なるほど」
サシャ「パンと芋、どっちも選べないみたいなね。なるほど」グー
ミカサ「サシャ、お腹空いてるなら水飲んで誤魔化して」
サシャ「はい」ズズ ゴクゴク
ミカサ「もしもの場合は足技でねじ伏せて対処出来るライナーはともかく・・・ベルトルトとは著しく関係が悪化してるようだけど」
アニ「そうだね。やりにくいったらないよ」
ユミル「そりゃライナーとずっといるんだもんなあ。たまにはベルトルさんのご機嫌取りでもしてこいよ」
アニ「ご機嫌取り・・・?」
クリスタ「そうね。想ってる人が自分に振り向いてくれなくて、かつ親友とずっと仲良くしてたら、誰だって寂しくてスネちゃうよ」
ミーナ「いいじゃんいいじゃん!アニから何かアクション起こしてあげなよ」
アニ「アクションって・・・一体何するのさ」
ユミル「んなもん、こうして抱き締めて愛を囁けば一発よ。なっ!クリスタ?」ギュッ
クリスタ「あー苦しい苦しい!」ジタバタ
ミカサ「・・・絞め技」
アニ「なるほど」
サシャ「さすがの私でも分かります。多分違うと思います」
サシャ「技キメるんじゃなくて、もっとコミュニケーション取れって話じゃないですか・・・?」
ユミル「芋女に理解力で劣るとは、あの脳筋二人泣けるぜ」
クリスタ「けほっ・・・サシャの言う通りよ。まずは遊びに誘ってあげたらいいんじゃないかな?」
アニ「そんなことをわざわざ・・・私が・・・」
ミーナ「ちょっとだけ頑張ろ、アニ!案外ベルトルトのこと良く思えるかもしれないし・・・お願い、私の給金をデート資金にしてもいいから!」
アニ「ええ・・・」
-
- 57 : 2024/11/07(木) 09:24:40 :
アニ「(結局、面白そうだからという理由で皆がお金をカンパしてきた上に、無理やり持たされてしまった・・・)」
ミーナ「じゃ、まずは誘うのよ!ファイト!」
アニ「・・・あのさ、全然関係ない話なんだけど・・・ハートマークって何を意味すると思う?」
ミーナ「ハート?」
アニ「白とか赤とかさ・・・そんな色のハート」
アニ「(幻覚は私にしか見えていないものだけど・・・あのゲージの意味だけでも知りたい)」
ミーナ「え〜?そんなのラブしかないじゃない!ドキドキとか、好きって気持ちでしょ?・・・何?二人からラブレターでも貰ったの?」ニヤ
アニ「!」
ミーナ「・・・え、嘘?図星?」
アニ「・・・そんな訳ないでしょ。じゃ」スタスタ
アニ「(ハート・・・ドキドキ、好意・・・・なんで結びつかなかったんだろう)」
アニ「(・・・いや・・・考えないようにしてただけかな)」
-
- 58 : 2024/11/07(木) 09:50:56 :
- アニ「ベルトルト、あのさ・・・今いい?」
ベルトルト「・・・何?」チラッ
アニ「今度の休み、私と遊びに出かけない?」
アニ「(まったく・・・なんで私がこんなこと。断られるのがオチな気もするし)」
ベルトルト「遊びに?・・・ライナーはどうしたんだ、この間約束してただろ」
アニ「あー、アレ?元から乗り気じゃなかったからパス。それより返事は?今はアンタを誘ってるんだよ」ジッ
ベルトルト「うーん・・・」
♡♡♡♡♡●~*
アニ「(ハート・・・好感度とでも呼ぶか。好感度のゲージは今のところ白いハートが5ね)」
アニ「(・・・ん?爆弾?)」
ベルトルト「・・・うん、い、行く。待ち合わせ場所はどこがいい?あ、時間も決めないとね」
♡♡♡♡♡
アニ「(消えた・・・)」
ベルトルト「どこに行きたいか決まってるの?アニに合わせるよ。」テレ
アニ「(どことなくベルトルトの雰囲気が柔らかくなったというか・・・いつもの感じに戻ったね。構ってあげれば爆弾は解除されて、一件落着ってこと?)」
アニ「そんなに乗り気じゃなければ行かなくてもいいから。というか、やっぱりやめとこうか。じゃ(目的達成・・・もう用は済んだね)」
ベルトルト「えっ!?ち、ちょっと待って!」ガシッ
アニ「ぐえ」
ベルトルト「僕が乗り気じゃないって・・・ど、どう解釈したらそうなるんだ?いや、普段から感情が薄くて分かりづらいかもしれないけど・・・」ボソボソ
アニ「首締まってる締まってる、ねえ。フードから手を離してよ」パシパシ
ベルトルト「その・・・分かりづらくて申し訳ないけど・・・・・・してるよ」ゴニョゴニョ
アニ「え?何?それより手離してくんない?フード伸びるんだけど・・・」
アニ「・・・!(声が出なくなってきた・・・まさか)」パクパク
-
- 59 : 2024/11/07(木) 17:25:15 :
- ベルトルト「楽しみに・・・・してるよ、これでも。・・・ダ、ダメかな・・・?」
アニ「・・・(そんな赤い顔してこっち見ないでよ。私今、声出ないんだけど)」
ベルトルト「い、一緒にどこかに出かけたいし・・・もっと話したい。だから・・・ぼっ僕と、休日を過ごして欲しい・・・ライナーとじゃなくて。・・・こんな事言うとあれだけど、アニだってさ、ずっと一緒にいるとライナーに嫌気が差してこないか?」チラッ
【そう言ってくれて嬉しい】
【同じ気持ちだよ】
アニ「(げ・・・どっちも肯定的な回答だ・・・どうしたもんかな)」
アニ「・・・【同じ気持ちだよ】」
ベルトルト「えっ!あっ、本当に・・・!?」ガタッ
アニ「ああ、ライナーの奴には参ってるんだ。最近横からずっと口出ししてきてさ・・・アンタがいればあいつも近づいて来ない気がするし、たまには気晴らししたいね」
ベルトルト「あ、うん?・・・うーん・・・?」
ベルトルト「そ、そっか・・・そうだね、ライナーには本当困るね・・・」
♡♡♡♡♡
アニ「(よし・・・爆弾はついてない。なんとか元の距離感に修正できるよう選択する他ないね)」
ベルトルト「それで・・・どこか出かけたいところはある?」
アニ「(・・・何も考えてなかったなんて言えない)」
アニ「あー・・・街で買い物に付き合って。アンタ、荷物持ちね」
ベルトルト「わかった。僕100kgくらいなら持てるよ、任せて。なんでも持つよ」
アニ「いやそんなに買わないから・・・じゃ待ち合わせは今度の休み、広場で・・・10時でいいか」
ベルトルト「うん、了解。広場に10時だね」
アニ「それじゃ楽しみにしてるよ」
ベルトルト「・・・うん!」
♥♡♡♡♡
アニ「・・・は!?」
ベルトルト「えっ?・・・な、何?どうかした?」
アニ「(ハートが色づいたってことは・・・恐らく好感度が上がったってことだ。・・・今のやりとりで・・・?今のライナーさえまだ赤色は2つだってのに・・・?)」
ベルトルト「アニ?」
アニ「・・・アンタさ、勝手にデレデレしないでくれる?」
ベルトルト「え」
アニ「もっと・・・何事にも動じない大人っぽさを身に付けて欲しいもんだよ、まったく」スタスタ
ベルトルト「・・・」
ベルトルト「僕が、一体何をしたっていうんだ・・・?」
-
- 60 : 2024/11/07(木) 17:56:42 :
- アニ「はあ・・・」スタスタ
ミーナ「こらーー!」ズイッ
アニ「!」バシッ ガターン
ミーナ「痛あ!なんで転ばせたのっ・・・!?」
アニ「うわっびっくりした・・・死角から来る方が悪いだろ」
ミーナ「それ転ばせていい理由にならないから!」
ミカサ「いえ、アニの気持ちは分かる」
サシャ「いや分かりませんって」
ユミル「武闘派同士のイカれた感覚だ、気にしたら負けさ」
クリスタ「あはは・・・ってそれよりもアニ、ベルトルトが可哀想だよ!」
ミーナ「そうそう!・・・デレデレしないでよねっフンッ!ってさ・・・嫌味に言っちゃって!せっかくお誘いに乗ってくれたのに」
アニ「はあ、アンタら全部見てたのかい・・・」
ユミル「ベルトルさんの困惑顔、それはそれは見ものだったなあ。ダハハ」
サシャ「なんか理不尽でしたねえ、またベルトルトのハートが傷ついちゃいますよ」
アニ「・・・!」ギクッ
アニ「(そうだ・・・爆弾に気をつけなきゃならないんだった。不測の事態に、ついベルトルトに八つ当たりしちゃったな・・・)」
アニ「・・・いいや、あいつが悪い。勝手に赤くしちゃってさ・・・ベルトルトがヤワなんだよ」
サシャ「え?・・・まあ赤くなってましたね、ベルトルト」
ミーナ「あ〜、それね。ちょっと可愛かったね」
クリスタ「確かに、普段あんまり感情を出さないイメージだったけどあの時は素直な感じが出てて可愛かったね!」
ミカサ「そう?」
クリスタ「ミカサ、もし赤くなってるのがエレンだったら?」
ミカサ「・・・可愛い、かもしれない」
ユミル「ちょっくらベルトルさん〆てくら。私のクリスタを惑わすなんて許せねえ」ガタッ
クリスタ「ゆ、ユミルも可愛いよ!」
ユミル「"も"?」ジロッ
ミーナ「細かいな・・・」
-
- 61 : 2024/11/07(木) 23:01:42 :
- アニ「(・・・もうちょっと愛想良くしたらモテそうだよ、ベルトルト。良かったね)」ハァ
ユミル「まっ、ベルトルさんは随分前からアニに首ったけだもんなあ。そりゃ拗ねたり赤くなったりするわ」
アニ「はあ・・・?」
サシャ「ですね、なーんかアニにチョロいと思ってました」
アニ「(あー・・・つまり元々好感度が上がりやすいタイプ?・・・面倒くさ)」
ミーナ「じゃっデートの感想、楽しみにしてるからね!よろしくね!」
アニ「・・・」
ーーーーーーー
ーーーー
ベルトルト「・・・あ、アニ!お、おはよう」ソワソワ
アニ「おはよ・・・なんか気合い入ってるね。待った?」
ベルトルト「えっ!全然!僕がちょっと早く来すぎただけだよ・・・本当に、き、気にしないで」
アニ「ふーん、じゃ行くよ。ほら」
ベルトルト「う、うん。なんでも持つよ」
アニ「100kgも買わないからね」スタスタ
-
- 62 : 2024/11/07(木) 23:34:44 :
- アニ「・・・ふう、買い物はこんなところかな」
ベルトルト「もういいの?10kgどころか1kgにも満たなかったね」
アニ「・・・(当たり前だよ、出かける口実のために適当言っただけなんだから)」
ベルトルト「遠慮しなくてもいいのに」
アニ「はあ・・・そんなに重いもの持ちたいなら、帰りは私を背中に乗せてもらおうかな」
ベルトルト「えっ・・・い、いいよ」
アニ「・・・冗談。私は荷物じゃないってツッコむべきでしょ」
ベルトルト「あっ・・・えっとごめん」
ベルトルト「で、でも歩き疲れたなら手を貸すよ。背中は・・・ちょっと危ないから、抱えるかおんぶするかになるけど・・・」
アニ「・・・(何言ってんだこいつ)」
アニ「・・・あ」ピタッ
ベルトルト「ん?アニ?」
アニ「(この道・・・ライナーと出かけた時にあいつが手を繋いでこようとした場所だ)」
ベルトルト「そんなに眉間に皺を寄せてどうしたの・・・?お、お腹でも空いた?」
アニ「サシャと一緒にしないで、蹴り飛ばすよ・・・」
ベルトルト「ご、ごめん。でも・・・一緒に過ごしてる時にそんな顔されると、ちょっと気になって・・・」
アニ「はあ・・・わかったよ説明するから・・・この間ライナーと出かけた時にさ、あいつ様子がおかしくて。こんな所で手繋ごうとしてきたんだよ、笑えるだろ」
ベルトルト「えっ・・・」
アニ「子ども扱いにも程があるね。あー腹立ってきた」
ベルトルト「・・・」
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- 63 : 2024/11/07(木) 23:52:26 :
- ベルトルト「アニ、あっあのさ・・・」
アニ「(ん?)」パクパク
アニ「!(うわ・・・声が出ないってことは)」
ベルトルト「アニは・・・本当にライナーに迷惑してるってこと?」
ベルトルト「そうなんだったら・・・ライナーを突き放さないのは君の優しさだと思う。でも、もし・・・もしも君が困ってるのなら、僕は・・・!」バッ
ベルトルト「・・・僕は・・・・君を守りたいよ」カァ...
アニ「(カァ・・・じゃないよ。顔真っ赤にする前に、この異変から私を守ってよ)」
【お願いしたいな】
【何か勘違いしてない?】
アニ「(こんなの一択だ)」
アニ「【何か勘違いしてない?】」
ベルトルト「えっ・・・」
アニ「悪いけど、間に合ってるから・・・(ライナーなんて蹴りで一発だよ)」
ベルトルト「・・・」
ベルトルト「僕はやっぱり二人の邪魔してるみたいだ」
アニ「え?」
ベルトルト「もう不用意には近づかないよ・・・ごめん。それじゃ」
アニ「どうしたのさ、急にムスッとして・・・ってまさか」ガシッ
ベルトルト「いいよ、そんな引き止めなくて・・・離してくれ」ムス
♥♡♡♡♡●~*
アニ「(あ〜〜〜〜)」
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- 64 : 2024/11/09(土) 19:46:26 :
- アニ「(あ〜〜・・・・)」
アニ「(・・・はあ)」
アニ「本当、なんなのアンタ・・・」
ベルトルト「な、なんなのって何?・・・むしろこっちの台詞だ」
ベルトルト「アニが何を考えてるのか全然分からないよ・・・最近は特に。あんまり気持ちを話さないし、近づいたと思ったら急に離れていって・・・」
アニ「その言葉、そっくりそのままお返しするけどね」
ベルトルト「ぼ、僕は君の振る舞いに影響されてるだけだ。とにかく今日は・・・もう帰るよ。じゃ」ダッ
アニ「・・・」
ーーーーーー
ーーー
アニ「って感じだったよ。」
ミーナ「・・・え!?それで終わり!?」
クリスタ「そこから仲直り編が始まるんじゃなくて・・・!?」
サシャ「打ち切りですか!?」
ユミル「ダッハッハ!さすがアニだぜ、容赦ねえな」
アニ「なんかうるさいな・・・要望通り、ベルトルトと出かけてきたしこうして報告もしたでしょ。これでお役御免だね」
ミカサ「お疲れ様」
アニ「どうも」
ミーナ「だめだめだめ!全然だめだって!」
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- 65 : 2024/11/09(土) 20:45:42 :
- クリスタ「うーん、そうね。ちょっとベルトルトが可哀想なままだね・・・」
アニ「(って言われてもね。良い選択肢が振ってこなかったのが悪いよ)」
ミカサ「何が問題なの?」
サシャ「ミカサ・・・あなたのこと前から人並み外れた方だと思ってましたが、ついに人の道から外れました?」
ミカサ「そんなに仲良くしたくない相手なら、無理して機嫌をうかがう必要はない・・・と考えたまで」
ユミル「思ったより正論だな。サシャ、こいつは人間だ」
サシャ「そうでしたか・・・すみません。良かったあ」ホッ
ミーナ「えっ、でもアニは仲良くしたいんでしょ?・・・あれ、違ったっけ」
アニ「まあ・・・」
アニ「・・・・」
ユミル「そうでもないってさ」
サシャ「あちゃー」
ミーナ「ええ!?」
アニ「元の・・・感じに戻れればいいかな、ってぐらい。今のこの、ややこしい状態はハッキリ言って気に食わないね」
クリスタ「でも、このままだと三角関係がますます激しくなるだけだよね・・・そうだ、ベルトルトには贈物でもしたら?今日のことはごめん、って」
ミーナ「いいね!何にする?」
ユミル「金でも握らせとけよ、誰しも喜ぶ代物だぜ」
ミカサ「賄賂みたい」
サシャ「いいえ、食べ物でお願いします!」ジュルリ
クリスタ「サシャにあげるんじゃないのよ、冷静になって」
アニ「(・・・贈り物をするのはもう決定事項みたいだね。まあ、それで爆弾が解除されるなら・・・癪だけど。)」
アニ「何か要らない物あったかな・・・ん?」
アニ「(これは・・・この間
部屋で拾った本だ。乙女ゲーって、変な名前。)」
アニ「(いや・・・本じゃないな、何か軽くて硬い素材で・・・中身はほとんど空だ、小さな四角いパーツに、薄い冊子が差し込まれてる。ますます意味がわからないね)」
アニ「・・・えっ」
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- 66 : 2024/11/09(土) 20:56:32 :
- ーーーーーーー
ーーーー
ミーナ「アニ、すごい!学科試験でも上位を獲るなんて!」
サシャ「秘訣教えてくださいよ・・・どうやってカンニングしました?」
ユミル「馬鹿。教官殿の目があんなに光ってる状態で成功するもんなら、私がとっくにトップ獲ってるよ」
クリスタ「実技試験も上位だったんだよね?すごい!惜しくも一位は不動のミカサだったけど・・・」
ミカサ「私も油断は出来ない。アニの急成長ぶりには驚いている」
アニ「・・・そりゃどうも」
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- 67 : 2024/11/09(土) 21:03:14 :
- 冊子には、謎のハートゲージの解説や、その値が増減する条件などが簡単に記されていた。
あのゲージが好感度を指しているという解釈は、どうやら間違いではなかったらしい。
他にも、仲の良かった相手と疎遠になると態度が硬化する爆弾がつき、放置すると最終的には爆発して、全体の関係性に影響を及ぼすだとか・・・
だけど、いちいちご機嫌取りなんてせずに手っ取り早く好感度を上げる方法が、そこには書いてあった。
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- 68 : 2024/11/09(土) 21:13:08 :
- アニ「(学力、運動・・・そういった私の能力を上げさえすれば、勝手に良い印象を抱いてくれるらしい。あんまり目立ちたくはなかったけど、こういう努力の方が私の性に合ってるね)」
ユミル「・・・お、あそこにいるのはベルトルさんじゃん」
ベルトルト「・・・」スタスタ
ベルトルト「あ!・・・えっと」ニコ..スタスタ
ミーナ「やだ、今通り過ぎる時アニに向かって微笑まなかった?」
サシャ「そうですか?」
アニ「(実際、効果てきめん・・・こういうことなら早く知りたかったよ)」
ミカサ「ところで、アニ」
アニ「ん?」
ミカサ「最近・・・調子に乗ってはいない?」
アニ「・・・は?」
ミカサ「エレンがあなたの話ばかりするようになった。おかしい・・・私はあなたより上なのに」ジロッ
ユミル「うへ、出たミカサの過保護!」
サシャ「こっわあ・・・」
アニ「・・・待ちなよ、ここのところ私はエレンとろくに関わってないし、どうこう言われる筋合いないけど」
ミカサ「でもエレンが・・・アニはすごい、アニに負けてられないって・・・口を開けばアニアニアニアニ・・・」
ミカサ「あなたの話しかしないのは事実なの」ギリッ
ミーナ「うーわ、なんかの呪文みたい・・・」
クリスタ「け、喧嘩はやめよう!ねっ!」
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- 69 : 2024/11/09(土) 21:17:33 :
- サシャ「そういえばコニーもアニのことをよく褒めるようになりました!」
ミーナ「あ、言われてみればマルコもかな・・・」
クリスタ「確かに・・・男子の間でよくアニの話が出るようになったね」
ミカサ「そう、エレンだけじゃない。アルミン、ジャン・・・フランツだって」
サシャ「え!?あのおしどり夫婦にも影響が!?」
アニ「なにそれ・・・知らないけど」
アニ「(・・・まさか!)」バッ
ミーナ「アニ?どうしたの、突然辺りを見渡して」
アニ「・・・」
アニ「(ぜ、全員の好感度が上がりまくってる・・・)」
ミカサ「アニ、白状して。あなたが皆を唆したんでしょう」
アニ「いや・・・唆したというか、勝手にこうなったというか・・・」
エレン「お、アニ!こんな所にいた、探したぞ!」
アニ「(最っ悪・・・)」
エレン「なんかこうやって話すの久しぶりだな、最近ずっと忙しそうだったからさ・・・今日という今日は訓練で俺と組んでもらうからな」
ジャン「ばーか、お前みたいな馬鹿をあのアニが相手にするかよ!馬鹿め」
エレン「はあ?馬鹿馬鹿言い過ぎだろ!?」
コニー「なんだ!?アニの取り合いか!?」
マルコ「こら、騒ぎになる前に二人とも抑えて・・・!ごめんね、アニ」
アルミン「ミっ、ミカサはそれ以上眉間にシワをよせるのやめようか・・・!」
ミカサ「・・・」ギラリ
ユミル「おー喧嘩だ喧嘩だ、やれやれー!」ヒュー
クリスタ「ユミルったら!」
サシャ「エレン対ジャン、ミカサ対アニの同時公演ですか。豪華ですね・・・」ゴクリ
アニ「(こんなろくでもない展開になるなら読まなきゃ良かった・・・)」
アニ「(チッ、こんなもの・・・!)」
バキッ
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- 70 : 2024/11/10(日) 00:17:42 :
- ーーーーーー
ーーーー
ミーナ「なんかさ、一時期アニが流行ってた事なかった?」
アニ「なにそれ。私は物じゃないんだけど」
ミーナ「なんていうのかな、アニがすごく注目を浴びてたような・・・」
アニ「はあ・・・夢でも見たんだろ」
アニ「・・・」
アニ「(私が不思議な入れ物ごと中身も一緒に踏み潰した途端、いがみ合っていた空気は消えてみんなは正気に戻ったように見えた)」
アニ「もう二度とあんなのはごめんだね・・・」スタスタ
ミーナ「え、なに?なんか言った?・・・ってちょっと待ってよ、アニ!」タタッ
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- 71 : 2024/11/10(日) 00:19:32 :
- ベルトルト「・・・ん?」
ベルトルト「なんだこれ・・・部屋にこんなもの落ちてたかな」ヒョイ
ベルトルト「本・・・にしては不思議な材質だ。タイトルは・・・」
ベルトルト「ギャルゲー・・・?」
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- 72 : 2024/11/10(日) 00:22:09 :
- 過去の自分の出オチ感が否めない。シリアスに寄ろうか揺らいでとっちらかってるな。これでシリアスいけるのか
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