この作品は執筆を終了しています。
はたしてオレはつまらなかったのか
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- 1 : 2017/02/01(水) 00:26:42 :
- あけましておめでとうございます(2月)、天風です。
V3クリアしたのでノリと勢いでかきました。
5章、6章を中心にネタバレしかありません。というか最初からネタバレです。クリア済みのかた推奨です。
6章の賛否別れるような所を題材にしてるところがあります。
あといろいろハチャメチャです。周辺会話忘れてかいてます。5か月ぶりなので許してください。
とりあえず、白銀つむぎってかわいいですよね。よろしくお願いします。
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- 2 : 2017/02/01(水) 00:29:27 :
- 「21番、****です」
その言葉をいった瞬間から、オレは緊張していた。
声も少し震えていたし、体も緊張してかたまっている。でも、オレは決めたんだ。
オレは嘘をついてでも、このゲーム への参加権を得るんだ。
覚悟をきめて、息を吸い込む。そしてオレは誰にも見せたことのないような笑顔で、アピールをはじめた。
「いやー、オレって人を騙すのが大好きなんだよね?だからオレがこの作品にでられたら、裁判を引っ掻き回せるとおもうんだよ。例えばほら、いつも5章の被害者になっちゃうような、裁判を引っ掻き回したあげくとんでもないトリックで死んじゃうような奴!」
わざと大袈裟に身ぶり手振りをふって、オレは目の前の審査員にアピールを続ける。
「才能は~そうだなぁ、超高校級の総統とか?悪の総統でいつも嘘ばっかり吐いてるやつ!
でも、どんな才能でも、オレはめちゃくちゃに裁判を引っ掻きまわしてみせるよ!
だってオレは、 」
そこまで言い切ったところでオレは身ぶり手振りをやめる。そして彼らにに向かって冷酷にいい放った。
「どうしても、このゲーム に出たいんだ」
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- 3 : 2017/02/01(水) 00:31:31 :
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ぶっちゃけた話、オレは所詮苛められっこだった。
相手にとってオレのなにが気にくわないんだかわかんないけど、とにかく気づいたら苛められていた。
仲間外れ、悪口はもちろんだったし、ものを隠されたり暴力を振るわれたり。
そのときのオレは、抵抗なんかできっこなかった。返り討ちにできるような力も、復讐できるような考えも。
毎日が屈辱的で、つまらないくて、最悪だった。
そんなときにとあるサイトで見つけてしまったんだ。
ダンガンロンパという名のデスゲームを。
もちろん、オレが知ったときは端末機器を通じてしか行われない、しっかりとしたシナリオのあった、フィクションのゲームだ。
そこでオレは、あるものに惹かれてしまうのだった。
裁判をひっかき回す、嘘つきの存在に。
嘘をついてまでこの裁判を盛り上げ、壊していく彼らにオレは尊敬の念を抱いた。あんなに裁判を引っ掻き回してまで、最期の瞬間は飛んでもないようなしにかたを見せる彼らを、最後まで誰かを騙していくような彼らを。
それは、オレもあの人たちのように嘘をついて、誰かを(当時のオレからしたらそのいじめっこ達を)絶望に陥れたいというきもちがあったからだとおもう。
まあそんな人たちに憧れを抱いても、現実ではオレは苛められっこ。つまらないくらいに平凡で臆病者なオレには反意を翻すようなことなどできない。
臆病者には彼らみたいな行動なんて一生できないんだ。
とか詩的なことを思っていたのもつかの間、最高のチャンスがこのリアルバーチャルとして開催されるダンガンロンパへの参加だった。
ただ、その権利を得るにはオーディションを得てこなくてはならない。インターネット上ではそのオーディションにウン百人応募があったと記載されていた。
もちろん、平々凡々でつまらない人間には、オーディションすら勝ち抜けない。つまり、いまのオレはそのオーディションすら勝ち抜けない。
だから、オレは決めた。
嘘をついてでも、このゲームに参加することに。
オレを偽って、繕って、元のつまらないオレじゃなくなってもいい。むしろつまらないオレなんて、いらない。
オレは、つまらなくない人間になりたい。
そう、思ってしまったのだ。
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- 4 : 2017/02/01(水) 00:32:00 :
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「超高校級の総統、ねぇ」
彼女は面接映像を一時停止すると、手元の書類に目を通した。
「それにしては、資料とは性格も様子も全然違うなぁ。苛められっこって聞いてたけど……まるで嘘で取り繕っているみたい」
でも、と何かを掴んだように彼女はまた止めていた映像を再生させる。
『オレはどれだけ人を裏切ろうが、傷つけようが、構わないよ。オレ自身が誰にも信用されなくても、構わない』
「……裁判を嘘で混乱に陥れるトリックスター。狂人希望はいっぱいいたけど、この子が一番面白くなるかもかなぁ。なんてったって、元苛められっこだもんね。どこまで嘘つきを貫き通せるんだろう?」
彼女は書類に何かを書き込むと、その書類を確定とかかれたボックスに置いた。
「うふふ……いや、模倣者 らしくいうならうぷぷ、かしら? 本当に楽しみだなぁ、彼らのリアルバーチャルなコロシアイ!」
超高校級のコスプレイヤー、白銀つむぎは高らかに笑った。
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- 5 : 2017/02/01(水) 00:32:42 :
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頭が痛い。
春川ちゃんや百田ちゃんに打たれた所も十分いたいし、毒が回ってきて吐き気や倦怠感も半端じゃない。
でもこの頭痛は打たれたのが原因でも、毒が原因でもないな、と直感的に感じていた。
「おっおい、本当に大丈夫かよ……?」
さっきまでプレス機に押し潰されそうになっていた(まあこれはオレの作戦なんだけど)百田ちゃんがオレに声をかける。
「これ、が大丈夫、に、みえ、るほう、が、おかしいんじゃ、ない?」
毒も回ってきて、呂律もあまり回らない。けど精一杯の皮肉で、百田ちゃんに笑って見せた。
「だいじょぶ、うまく、いくって、ぇ。オ、レをだれ、だって……」
「……もういい、喋んな」
そういって、百田ちゃんはプレス機のボタンのところまでたどり着くと
「いいぜ、王馬。いつでも、降ろせる」
どこか、罪悪感のあるような。そんな声音でオレにいった。
「わかったよ。……じゃ、あと、は頼んだよ、ももた、ちゃん」
百田ちゃんに最期の笑顔を見せて、プレス機の上に寝そべる。先程まで百田ちゃんが寝そべっていたそこには、多少の温もりがあった。
最後まで、オレらしい笑顔でいれただろうか。いや、百田ちゃんの前でガチ泣きしちゃったから、ダメダメかなぁ。
ズキ、ズキ、と痛む傷口や頭はもう限界だし、目の前も靄が掛かってきた。ああ、オレ死んじゃうんだ。はやく、プレス機を下げてよ、百田ちゃん。
ああ、本当に頭が痛い。まるで思い出しライトを受けたような、嫌な痛み。
オレの前にはいままでの光景が走馬灯のように、いやこれ走馬灯か。うつしだされていた。
いや、違う。走馬灯だけど、違う。
その記憶は、まるで体験したことないような、そんな記憶も混じっていて、あれ、待ってよ。
最期の最期で変なこと、思い出させないでよ。
オレは王馬小吉で、総統で、嘘つきで、つまらなくないように、面白くなるように、精一杯学級裁判をやったはずだ。
でも、これは誰かが望んで、臆病者でつまらない人間が、それを望んで。
そんなことで呆然としていると、百田ちゃんが
「下げるぞ」
と、オレに聞こえるように言ってきた。次の瞬間、ゴゴゴと音をあげてプレス機は下降を始める。
待ってよ、この記憶が本当だったら、オレは一体何者だったの? あれがオレだったの?
もう声もあげることも動くことも許されない。
せめてもの報復はモノクマにも被害者不明の学級裁判、って思ってたのに。
オレは結局誰かの盤面の上で踊らされていただけで。
じゃあ、オレってなんだったんだろう。
最期に流した液体の色が何色だったかは、もうわからない。
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- 6 : 2017/02/01(水) 00:37:02 :
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あとがきです。
今作推しが4人いたのですが、死んでしまった推しが二人とも圧死ってところが素晴らしくしんどかったです。
王馬小吉の本音が聞きたいマンなので紅鮭団を頑張ろうと思います。
またネタが降ってきたらふらっと書きに来ます。
ここまでありがとうございました!
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- 7 : 2017/02/01(水) 01:10:12 :
- こういうのが読みたい!って思ってました><
面白かったです!お疲れさまでした!
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- 8 : 2017/02/01(水) 21:46:05 :
- >>7
ありがとうございます〜!!
そういってもらえてうれしいです!
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- 9 : 2017/02/03(金) 02:05:07 :
- お疲れ様でした!凄く引き込まれる作品でした…!
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- 10 : 2017/02/03(金) 23:16:14 :
- >>9
ありがとうございます〜!そういっていただけると嬉しいです!
誤字っていうかルビちゃんと振れてなかったので修正しました。あと王馬小吉のパンツを貰いました。かわいいですね。
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