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羨ましいと、君は言う【短編】

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  1. 1 : : 2017/01/24(火) 20:45:10
    いやはや、先程勢いで書いた物なので、雑で一レス程度の短いお話ではありますが、どうぞ見てやってください。
    ちなみに、これは腐向けてではありません!!腐向けではありません!!(大事だから二回言った)
    彼らが審神者に抱いているのはあくまで親愛であって、決して恋情ではありません!
  2. 2 : : 2017/01/24(火) 20:53:16

    「君が羨ましいよ」

    歌仙兼定が出し抜けにそんなことを言うものだから、審神者の居る執務室へ行こうとしていた燭台切光忠は立ち止まって彼を振り仰いだ。



    大きな怪我もなく白金台から帰ったばかりの歌仙兼定は、誉れを一番取ったと言う事で審神者に「よくやったな」と御褒め言葉を頂いて嬉しそうに微笑んでいたのだが、少し目を離した隙にどことなく拗ねた顔になっていた。



    普段ならば絶対に見せない表情を見せる歌仙に驚きながらも、燭台切は困惑しながらも問う。



    「……えーっと、ごめん、もう一回言ってくれない?」



    「君が羨ましいと言ったんだよ」



    普段は人の話を聞き逃すなどと言うことはないのだが、まさか…という思いがあったので聞き直してみれば、やはり光忠の聞き逃しではなく、歌仙は羨ましいと繰り返す。



    彼にそう言われる心当たりがない燭台切は柳眉を微かに顰めて、困惑した。



    歌仙は主である審神者の初期刀…つまりは最初の刀で、最近来たばかり―――と言っても来てから5ヶ月程は経つのだが―――新参者の燭台切よりも、固い絆で結ばれ誰よりも厚い信頼を受けている。



    例え最近は近侍を燭台切ばかりに任されているからと言って、決して羨む必要などないはずだ。



    歌仙は池の周りを無邪気に走り回る短刀達に目線を移して、言葉を続けた。



    「いつも主の側に入れる君が、羨ましいよ。
    前は僕が近侍で、一番主の近くに居たのに……今は出陣ばかりでねえ。
    ……最初はあまり気にしていなかったけど、最近では心配で仕方がないんだ。
    ちゃんと寝てるいるのか、ちゃんと報告書を書いているのか…」


    近侍を任されていた時の事を思い出しているのだろうか。


    懐かしむようにふにゃりと笑いながら言葉を紡ぐ歌仙に、燭台切の中でああ、と合点がいく。



    出陣で身体が傷付き疲れようが、まるで、子の成長を見守る母親のように審神者の事を思う歌仙にとって、きっと、どんなご褒美や御褒めの言葉よりも、ただ誰よりも側近くで審神者の成長を見守る、その時の方がよほど幸せなのだろう。



    その気持ちは燭台切にもわかる。



     だが――。

    「……僕は、歌仙くんの方が羨ましいなぁ」




    『カセン、大丈夫だよな…大怪我とか、してこないよな…』



     歌仙を目の届かぬところへ送り出したあと、審神者は決まってそれを口にする。



    日本人が持つはずのないその翡翠色の瞳で、彼の率いる第一部隊の消えていったゲートを見つめながら、心配そうに。



    原因は不明だが、母方が早くに亡くなられた審神者にとって、悪いことをしてしまった時には心を鬼にして叱り、そして優しく包み込んでくれる歌仙は母親のような存在なのだ。



    彼が率いる第一部隊が帰ってくる、その報せに表情を明るくする審神者を、燭台切はいつだって側で微笑んで見守ってきた。



    「(羨む本心をひたに隠して…) 」



    「ん?すまない、聞こえなかったんだが……」



     燭台切は笑い、首を横に振った。



    「いいや、なんでもないよ」



    「…?」













    ――――近くにいても遠くにいても満たされない


    かくも人間は欲深い生き物だ

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muff

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