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  1. 1 : : 2016/11/30(水) 08:09:18
    ✳︎注意✳︎

    このssはダンガンロンパシリーズに登場するキャラクターのNLCPの短編ssを載せるssです。
    ダンガンロンパシリーズのネタバレ沢山あります。
    書き方、長さ、設定等バラバラです。
    マイペース更新。 話同士は繋がってたり繋がってなかったり。
    季節外れのネタでも思いつき次第載せていく予定です。
    CP及びキャラクターの贔屓も多いのでご注意を。

    【主な取り扱いCP…マイナーから王道まで 両思い、片思い等色々変動 リバ注意】
    ソニ眼、セレ眼、澪眼、逆ちさ、かずこい、石澪、ちーひよ、逆忌、豚罪、十霧、苗霧、苗腐、桑腐、石残、クズペコ、日ペコ、ヒナナミ
    その他、順次増加…
  2. 2 : : 2016/11/30(水) 08:10:51
    豚罪
    【アイランド 最終日】


    罪木(…ふゆぅ、最終日とあって、皆さん思い思いに…仲の良い方と過ごされていますねぇ…)

    罪木(私も…過ごしたい方はいますが……私とだなんて、迷惑に決まっていますし…)

    罪木(あんなに素敵な方なんですし、お似合いの素敵な方が彼にはきっと…)

    豚神「おい、罪木」

    罪木「ひゅいいい!?」

    罪木(ど、どうして… どうして私が思い浮かべていた人がここにいるんですかぁ!?)

    罪木(幻覚の作用を引き起こすような薬でも飲んでしまいましたっけぇ…?)

    豚神「…おい」

    罪木「は、はいいいっ!」

    豚神「貴様は…誰かと過ごさんのか?」

    罪木「…ふゆ?なんでそんなことを聞くんですかぁ? 私にそんな相手なんて、いるわけないじゃないですかぁ」

    豚神「………そうか。 ならば、俺と共にいろ」

    罪木「うゆぅ!?」

    豚神「そんなに驚かなくても良いだろうが…。 …それとも、嫌なのか?」

    罪木「そんなわけないじゃないですかぁ! それに、嫌どころかむしろ貴方と居られるなんて嬉し過ぎてぇ…」

    罪木「はうあっ!?言ってしまいましたぁ! こ、こんなこと言われたって迷惑ですよねぇ!?ごめんなさいぃ!」

    豚神「そう慌てるな…愚民め。 …俺とて同じ気持ちなんだ。むしろ、同じでなければこんなことは言わん」

    罪木「うゆ…どうして、そんな優しいことを言うんですかぁ?」

    豚神「優しいだと? 俺はそんなつもりは全くないが……だが、その理由としては、おそらく…」

    罪木「おそらく…?」

    豚神「…貴様に惚れているからだろうな」

    罪木「………」

    罪木「うゆうううううううう!?」

    罪木「どどどどどどうしてそんな私みたいなゲロブタをおお!?」

    豚神「…好きになったものは、仕方ないだろう」

    罪木「でも、でもでもでも! 私は虐められたことがあるんですよぉ?」

    豚神「それがどうした」

    罪木「だって気持ち悪いじゃないですかぁ! 暗い過去があるなんて、それだけで関わりたくないでしょうしぃ!」

    豚神「これだから愚民は嫌なんだ…」

    罪木「ごめんなさいぃ…」

    豚神「話を聞け! …俺とて、暗い過去くらいある。 それこそ、それをこの島にいる面々に話すにも勇気が足りないくらいのことがな」

    豚神「だが、この島から出た時には…キチンと伝えるつもりだ」

    豚神「…それに、暗い過去なんぞ俺が全て受け入れる。受け止めてやる」

    罪木(はわわ…かっこいいですぅ…)

    豚神「今すぐに返答しなくっても良い…。 だが、俺がお前を…罪木蜜柑を好きだということだけは、覚えていろ。これは命令だ!」

    罪木「…うゆう…ごめんなさぁい!」

    豚神「!?」

    罪木「ど、どうしても…今、伝えたいんですぅ…」

    罪木「わ、わわ、私も…私も!貴方のことが………!」
  3. 3 : : 2016/11/30(水) 08:11:59
    桑田→腐川
    【平和学園時代】


    腐川「………はあ」

    桑田「おいおい、いつも以上に暗い顔してどうしたんだよ?」

    桑田「また十神に振られでもしたか?」

    腐川「…そうだけど?文句ある?」

    桑田「文句? 文句なぁ……まっ、強いて言うなら一つあるか」

    腐川「はあ…? あ、あんた……相当なアホなのに文句なんて言えるのね…」

    桑田「…ヒッデエ言いよーだなオイ!」

    腐川「で?なによ…。 さ、さっさと言いなさいよね…!」

    桑田「なあ、腐川! 十神じゃなくて、オレにしねーか?」

    腐川「…なに?罰ゲーム?」

    桑田「かぁーっ、一分掛けて考え抜いた告白文が罰ゲームとか言われるとか…あーオレ可哀想!マジ可哀想!」

    腐川「本格的に…頭でもおかしくなったわけ…?」

    桑田「だぁかぁらぁ! 今!オレは!オメーに!告白したんだって!」

    腐川「……………はああ!?」

    桑田「…言っとくけど、オレ、マキシマム本気だから!」

    桑田「じゃーなー、腐川!」

    腐川「ちょっ、ちょっと…!?」
  4. 4 : : 2016/11/30(水) 08:13:05
    十神→霧切←苗木(無自覚)


    十神「おい、霧切」

    苗木「霧切さん!」

    霧切「…何かしら、二人とも」

    苗木「あのさ、今度ボクと…」

    十神「俺と共に水族館に行け。 オーナーが優待券を送ってきた。二人分しかないからな、俺と行け」

    霧切「…まず十神君への返答を決める前に、苗木君、貴方の要件を聞かせてちょうだい」

    苗木「ぼ、ボクはさっき街の福引きで一等のテーマパークの優先権を貰って…」

    霧切「そう…」

    霧切「……悪いけど、二人とも断らせてちょうだい。私水族館にしろ、テーマパークにしろ、そういう場所は苦手なの」

    霧切「他の誰かを誘うか、貴方達二人で行ってきて…。それじゃあ、これで」

    十神「おい!霧切!…チッ、行ったか…」

    苗木「うーん、せっかくだから霧切さんと行きたかったんだけどなあ…」

    十神「ふん。 テーマパークなんぞに霧切が行くわけが無いだろう。交友の広いお前なんだ、わざわざ霧切を選ぶ必要は無いだろう」

    苗木「…理由はその、よくわかんないけど…。ただ霧切さんと一緒に行きたいなあ、って思ってさ」

    十神「チッ……そうか」

    苗木「んー…そんなこと言って、十神クンはどうなの?」

    十神「…どう?」

    苗木「キミだって霧切さんを誘ってたじゃないか。 優待券を貰ったなら人に譲るなり、一人で行くなりすれば良いのに…」

    苗木「どうして、霧切さんを?あくまでも候補の一人だった…とかなら、ごめんだけど」

    十神「…ふん。貴様に理由を教える義理は無い。 ただ強いて言うのであれば、霧切以外の奴を誘う気は無い…それだけだ」

    十神「じゃあな。これ以上貴様と話しているとストレスで胃に穴があきそうだ」

    苗木「ええっ、ちょっと! …行っちゃったよ…」

    苗木「それにしても、十神クンは何を言いたかったんだろう…?」
  5. 5 : : 2016/11/30(水) 08:14:45
    左右田←小泉
    【平和学園時代 バレンタインネタ】

    左右田「あー、チョコ欲しいいいい!」

    左右田「もういっそ、ソニアさん以外からでも良いから、一個で良いから!欲しい!」

    左右田「…はあ、なんでオレ、誰もいないからって教室で…なに言ってんだろ…」

    小泉「ホンットなに言ってんだか」

    左右田「オメーもそう思うよ、なあああああ!?」

    小泉「…うるさい」

    左右田「ワリイ…じゃなくってさ、その、聞いてたのかよ。ひとりごと」

    小泉「モチロンよ。 …まったく、そんなんだからソニアちゃんに相手されないんじゃないの?」

    左右田「うっせ!うっせ!」

    左右田「…へんっ、オメーが代わりにくれてもいーんだぜ? なーんて」

    小泉「…はあ」

    左右田「?」

    小泉「そんなに言うなら、チョコレートの一つくらい上げるわよ。 アタシ、告白する予定だったのが崩れたから、アンタに上げる」

    左右田「えっ、良いのか!? じゃなくて、告白する予定が…って」

    小泉「告白する前からアタシは振られてんのよ! …まあ、そういうことね」

    小泉「じゃっ、ここに置いとくから勝手に食べて。 また明日」

    左右田「ええっ?おい、小泉!」

    左右田「…ったく、アイツは一体なんなんだ……?」
  6. 6 : : 2016/11/30(水) 08:16:02
    セレス→田中
    【平和学園時代】

    セレス(…希望ヶ峰学園に入学してから早数週間)

    セレス(ナイト候補を探していますが、どうにも最適な殿方は見つかりません)

    セレス(苗木君辺りは筆頭候補ではあるのですが……どうにも頼りないですわ)

    セレス(わたくしが探し求めているのは180を超える長身で、美形で、躰つきも良いような方…)

    セレス(もしかすると、先輩にいらっしゃるかもしれませんわね…探してみましょう…)

    セレス(…なんて経緯で77期生のクラスルームには来たものの、わたくしの目に適う方はいらっしゃいませんか…)

    セレス(残念ですわ…)

    「…おい、貴様。そこで何をしている?」

    セレス「ああ、これは失礼。 少々人探しをしておりましたの」

    「人探しだと? 俺様の級友に対してか?」

    セレス「いいえ、違いますわ。 貴方のような方を……貴方を探していたのです」

    「…は?」

    セレス(それから、わたくしが逸材だと判断した彼の詳細を得るまでに時間は大して掛かりませんでしたわ)

    セレス(彼の名は…封印されし田中君。下の名も知りたかったのですが、直向きに隠そうとするのでわたくしも諦めました)

    セレス(肩書きは飼育委員…。 …動物を引き連れているのも、意外性が有り、興味をそそります)

    セレス(ふふ…彼は吸血鬼の衣装にしろ、執事服にしろ…実に似合いそうです)

    セレス(性格は難ありですが、それもまた調教しがいがあるというもの)

    セレス(…まだ学園生活の時間はたっぷりとありますものね)

    セレス「…ふふっ、せいぜいわたくしに相応しいナイトになってくださいね……」
  7. 7 : : 2016/11/30(水) 10:43:42
    不二咲←西園寺
    【コロシアイ修学旅行終了後 全員復活済み】


    西園寺「…イタッ!」

    罪木「うゆぅ!?大丈夫ですかぁ!?」

    西園寺「…だい、じょうぶ…。 多分これが記憶の混乱って奴なんだと、おも、う…」

    罪木「では、修学旅行以前の事を思い出したりしたんじゃ…」

    罪木「…西園寺さん?」

    西園寺「ちょっと……苗木と連絡取ってくる」

    罪木「ふゆぅ…わかりましたぁ…」

    西園寺(…わたしに限らず、最近はみんな徐々に学園時代とか、絶望時代の記憶も取り戻してる)

    西園寺(かく言うわたしも、色んな事を思い出したり、思い出してしまったりで…)

    西園寺(…今さっき、本当に今さっき思い出したこともひとつある。 通信室に向かってるのもそれが理由)

    西園寺「苗木!いる? …苗木以外でも良いから、78期生、出て!」

    西園寺(連絡を取ろうとすると、直様朝日奈おねえの姿が画面上に映し出された)

    朝日奈『どうしたの?西園寺ちゃん…何かあった?」

    西園寺「質問に答えて…」

    朝日奈『? 良いけど…』

    西園寺「…不二咲は…不二咲千尋はコロシアイでどうなったの?」

    西園寺(わたしが思い出したのは、学園時代で仲の良かった相手の存在…)

    西園寺(ううん、わたしが恋をしてた相手のこと)

    朝日奈『、あ…そういえば、仲、良かったもんね…』

    西園寺(画面のこいつがしどろもどろになってる時点で…いや、コロシアイの中継を見ていたわたしの記憶がある時点で、確定してる)

    西園寺(けど、確信はしたくなかった…。 あいつが、そんな、)

    西園寺「はっきり言って、朝日奈おねえ」

    朝日奈『…しん、じゃったよ…不二咲は』

    西園寺「そっか。 答えてくれてありがとう、朝日奈おねえ。 用件はそれだけだから…じゃあね」

    西園寺(そう言ってわたしは、朝日奈おねえが何か言おうとしたのも遮って、通信を終わらせた)

    西園寺「…死んじゃってるよね、そりゃあ」

    西園寺「あんな弱っちい奴が生きてたわけ、無いもんね」

    西園寺(わざわざ確認しなくたって、わかってた。 だってあの時、わたしは喜びながら中継を観ていたから)

    西園寺(わかってた、はずなのに………)

    西園寺(…今更ながら、後悔するなんてさ…わたしも変になっちゃったな…)

    西園寺(好きの一つくらい、言えてたら、こんな気持ちにはならなかったのかな……)
  8. 8 : : 2016/11/30(水) 10:44:21
    不二咲→西園寺
    【コロシアイ学園生活中】


    不二咲「……はあ」

    不二咲(…一回目の学級裁判が終わったと思ったら、次の動機が僕らに渡された…)

    不二咲(僕の秘密は…僕の性別に関して)

    不二咲(……なぜか、あの封筒を見てから僕は、よく頭が痛くなるようになった)

    不二咲(打ち明けるか、どうしようか…なんて考えてると、誰だかはわかんないけど、女の子の顔が思い浮かぶ)

    不二咲(その子は打ち明けられる強さが羨ましいって、あんたは強いよって、少しだけ強い口調で言ってくれた女の子…の、気がした)

    不二咲「気の所為…なのかなぁ……」

    不二咲(…名前も知らない、着物姿の女の子)

    不二咲(理由はわかんないけど、僕はその女の子に会いたいと強く思う)

    不二咲(ここからみんなで出れたら…必ず、探そう…)

    不二咲(必ず、必ず…)

    不二咲(その時までに、僕は強い自分に…なるから…)

    不二咲「待ってて、ね…   さん…」
  9. 9 : : 2016/12/03(土) 21:21:44
    大和田×小泉を書いてくれますかね?

    小泉→大和田で

    大和田に関わるために口を出す小泉と、うざがりつつも小泉が気になる大和田って感じで
  10. 10 : : 2016/12/10(土) 12:02:31
    大和田←小泉
    【平和学園時代】[>>9リクエストありがとうございます。 ⇔のような形になってしまいましたが、よろしかったでしょうか…]


    小泉(…授業が無い代わりに、才能を使う…アタシの場合は写真を撮れ、って言われたけど…どこで何を撮ろうかしら)

    小泉(たまにはクラスメイト以外も撮ってみようと思って出掛けてみたけど…なかなか人も居ないものね)

    小泉(あっ………丁度良いところに、ね)

    小泉「ちょっと大和田!またそんなところで寝て…」

    大和田「ああん?別に良いだろうがよ。 いつどこで寝ようが俺の勝手だろ?」

    小泉「それでも中庭で寝るのはどうなの? それに今は授業中でしょう?」

    大和田(…いちいちうるせえ先輩だよな)

    大和田「義務でもなんでもねえだろうがよ。 それを言うならオメーは良いのかよ、授業サボってて」

    小泉「今日はアタシのクラスは休みなの。 その代わりに才能を磨くことを各々の方法でしてるのよ」

    小泉「…そんな風に起きる気が無いなら、アタシに協力しなさいよね。 言っとくけど、先輩命令だから」

    大和田「随分とまあ偉そうな先輩だな…。 まあ、協力くらいならしてやるけどよ」

    小泉「あら、意外と素直なのね」

    大和田「…けっ、ワリイかよ」

    大和田(しつこいけど…つい優しめの態度を取っちまうんだよな、小泉のことは)

    大和田(…理由は、……まさかな?)

    小泉「ちょっと大和田?聞いてる?」

    大和田「ん、あ、ああ、悪い、ボケっとしてた」

    小泉「全く…男子なんだからちゃんとしなさいよね」

    大和田「…おう。 で、俺は何すりゃあ良いんだ?」

    小泉「…ホントに聞いてなかったのね。 アンタはそこで笑顔で居れば良いの。そしたらアタシがそれを撮るから」

    大和田「笑顔だぁ? んだそりゃ、んなの俺よりも適任が沢山いるじゃねえか」

    小泉「アンタが良いの。 はいっ、笑って、笑って」

    小泉「……ちょっと、睨まないでよ」

    大和田「仕方ねえじゃねえか。 自然な形以外で笑ったことなんてねえんだからよ。舞園みたいな職業でもあるまいし……」

    小泉「あー……だったら、仲が良い人でも思い浮かべなさい」

    大和田「…仲の良い奴、と言ったら不二咲、兄弟、族のメンツ…他にも…」

    小泉(へえ、こいつ、こんな風に……じゃない! シャッターチャンス、シャッターチャンス…っと)

    小泉「はい、サンキューね。良い写真が撮れたわよ」

    大和田「………」

    小泉「?ちょっと、どうしたの?」

    大和田「ん、あ、…すまねえ…。なんでもねえよ」

    小泉「そう? じゃあ、またね」

    大和田(言えねえよなぁ…。 オメーに見惚れてた、だなんてよ…)
  11. 11 : : 2016/12/10(土) 12:03:32
    田中←ソニア
    【ドーナツホールパロ コロシアイ終了直後】


    いつからこんなに大きな思い出せない記憶があったのでしょうか…。
    どうにも覚えていない、ただそのことだけを…ひとつだけ、確かに覚えているのです。

    「もう一回、やってみましょう…」

    どれだけ神経を研ぎ澄ませても、何回それを繰り返しても、思い出すのは名も知らない…いえ、名を忘れた貴方の顔だけ。
    顔だけを思い出しても、何も…そう、他に何も思い出すことができないのです。

    まるで輪っかのように、ぽっかり空いた記憶の中には、世界を暗闇に包み込んだ物があるのでしょうね。
    誰に言われるでもなく、自分たちで望み好んで世界を壊して進んだ過去が…わたくしたちにはある。
    ただ、今はそれを思い出したくないだけ。 …それなのに、忌々しい少女の顔が思い浮かぶのです。

    「…貴方がそこから目覚めたら、何かを思い出すのでしょうか…。 学園でのことも、過去のことも、コロシアイのことも…」

    カプセルの中で横たわる彼の声も聞こえないまま、ただ、死んでいるだけの彼を見つめて…わたくしは涙を流したのでした。

    何も知らないのに、これだけ愛おしく貴方の事を想ってしまっている。 …それが貴方を傷付けていないか、そればかりです。
    ここ数日は…そのことばかりで、睡眠もろくにとれずいることを貴方が知れば…笑うのでしょうか?

    貴方が居たことで得ていたであろういくつもの感情も、数えようとすればするほど、貴方の温もりを忘れてしまって。
    でも、感情を数えていないと、もう、永遠に逢えないような…そんな気がしてしまって。そう思えてしまったのです。
    それなのに笑おうとしても…どうしようもなく、上手に笑えないのです。

    ドーナツの穴のように、穴を穴だけ切り取れないように。
    貴方が本当にわたくしの記憶の中に居るのか、決して証明は出来ません。
    そのことが不安で不安で…そしてまた、貴方のことを思い出そうと繰り返しても、思い浮かぶのは貴方の顔と、少女の顔だけ。
    眠れもしないのに…ただ、いつか来ると願っている奇跡の日を、今夜も毛布とベットの隙間に体を挟み込んでは願うのです。

    死なない想いがあるとするなら、それでわたくしは…いえ、わたくしたちは安心なのでしょうか。
    過ぎたことは望みません。 それでも…確かに思えるような、そんな記憶を…わたくしにください。

    あの奇妙なカプセルから目覚めてから、一体いくつの感情というものを失ってしまったのでしょう。
    それを数えていたら、貴方の声も、いつしか忘れてしまっていました。
    もう、永遠に逢えない…、再びそんな気がするのです。そう、思えてしまったのです。

    「どうしようもないくらい…涙が、止まりません。何故なのでしょうか、何故なんでしょうか…」

    この涙が、笑えないわたくしが、ぽっかりと空いた胸の穴が…貴方を確かめるただ一つの証明です。
    それでもわたくしは辛くて、悲しくて、虚しくて…、心が千切れそうなんです。 そう、どうしようもないまま。


    今日もわたくしは、ふらりと貴方が眠るカプセルの側に行き、簡単な感情ばかりを数えます。
    貴方がくれた温もりの数も、数えていくのです。 その数すらも…次第に忘れていってしまうのです。

    「…貴方とは、貴方とは永遠に御別れしなければいけないのですか? …嫌です、そんなの、嫌です…、」

    いつものように、だだっ広い空間に言葉を吐き出したつもりでした。 それなのに、それなのに…、

    機械が作動する音が聞こえたのです。確かに、その音と、その声が聞こえたのです。

    「諦めるなと、言っただろう…?ソニアよ。 …随分と、久しいな…」

    わたくしが悲しみに暮れた時間の最後に思い出したのは、その小さくも大きな言葉と、貴方の名前。
    静かにわたくしは呼吸を合わせ…目を見開きました。

    確認するように、何度も、何度も。

    貴方の名前は…

    「はいっ…、お久しぶりです、田中さん!」
  12. 12 : : 2016/12/10(土) 12:11:41
    大和田←小泉
    【平和学園時代】[>>9リクエストありがとうございます。 ⇔のような形になってしまいましたが、よろしかったでしょうか…]


    小泉(…授業が無い代わりに、才能を使う…アタシの場合は写真を撮れ、って言われたけど…どこで何を撮ろうかしら)

    小泉(たまにはクラスメイト以外も撮ってみようと思って出掛けてみたけど…なかなか人も居ないものね)

    小泉(あっ………丁度良いところに、ね)

    小泉「ちょっと大和田!またそんなところで寝て…」

    大和田「ああん?別に良いだろうがよ。 いつどこで寝ようが俺の勝手だろ?」

    小泉「それでも中庭で寝るのはどうなの? それに今は授業中でしょう?」

    大和田(…いちいちうるせえ先輩だよな)

    大和田「義務でもなんでもねえだろうがよ。 それを言うならオメーは良いのかよ、授業サボってて」

    小泉「今日はアタシのクラスは休みなの。 その代わりに才能を磨くことを各々の方法でしてるのよ」

    小泉「…そんな風に起きる気が無いなら、アタシに協力しなさいよね。 言っとくけど、先輩命令だから」

    大和田「随分とまあ偉そうな先輩だな…。 まあ、協力くらいならしてやるけどよ」

    小泉「あら、意外と素直なのね」

    大和田「…けっ、ワリイかよ」

    大和田(しつこいけど…つい優しめの態度を取っちまうんだよな、小泉のことは)

    大和田(…理由は、……まさかな?)

    小泉「ちょっと大和田?聞いてる?」

    大和田「ん、あ、ああ、悪い、ボケっとしてた」

    小泉「全く…男子なんだからちゃんとしなさいよね」

    大和田「…おう。 で、俺は何すりゃあ良いんだ?」

    小泉「…ホントに聞いてなかったのね。 アンタはそこで笑顔で居れば良いの。そしたらアタシがそれを撮るから」

    大和田「笑顔だぁ? んだそりゃ、んなの俺よりも適任が沢山いるじゃねえか」

    小泉「アンタが良いの。 はいっ、笑って、笑って」

    小泉「……ちょっと、睨まないでよ」

    大和田「仕方ねえじゃねえか。 自然な形以外で笑ったことなんてねえんだからよ。舞園みたいな職業でもあるまいし……」

    小泉「あー……だったら、仲が良い人でも思い浮かべなさい」

    大和田「…仲の良い奴、と言ったら不二咲、兄弟、族のメンツ…他にも…」

    小泉(へえ、こいつ、こんな風に……じゃない! シャッターチャンス、シャッターチャンス…っと)

    小泉「はい、サンキューね。良い写真が撮れたわよ」

    大和田「………」

    小泉「?ちょっと、どうしたの?」

    大和田「ん、あ、…すまねえ…。なんでもねえよ」
  13. 13 : : 2016/12/10(土) 12:11:57
    田中←ソニア
    【ドーナツホールパロ コロシアイ終了直後】


    いつからこんなに大きな思い出せない記憶があったのでしょうか…。
    どうにも覚えていない、ただそのことだけを…ひとつだけ、確かに覚えているのです。

    「もう一回、やってみましょう…」

    どれだけ神経を研ぎ澄ませても、何回それを繰り返しても、思い出すのは名も知らない…いえ、名を忘れた貴方の顔だけ。
    顔だけを思い出しても、何も…そう、他に何も思い出すことができないのです。

    まるで輪っかのように、ぽっかり空いた記憶の中には、世界を暗闇に包み込んだ物があるのでしょうね。
    誰に言われるでもなく、自分たちで望み好んで世界を壊して進んだ過去が…わたくしたちにはある。
    ただ、今はそれを思い出したくないだけ。 …それなのに、忌々しい少女の顔が思い浮かぶのです。

    「…貴方がそこから目覚めたら、何かを思い出すのでしょうか…。 学園でのことも、過去のことも、コロシアイのことも…」

    カプセルの中で横たわる彼の声も聞こえないまま、ただ、死んでいるだけの彼を見つめて…わたくしは涙を流したのでした。

    何も知らないのに、これだけ愛おしく貴方の事を想ってしまっている。 …それが貴方を傷付けていないか、そればかりです。
    ここ数日は…そのことばかりで、睡眠もろくにとれずいることを貴方が知れば…笑うのでしょうか?

    貴方が居たことで得ていたであろういくつもの感情も、数えようとすればするほど、貴方の温もりを忘れてしまって。
    でも、感情を数えていないと、もう、永遠に逢えないような…そんな気がしてしまって。そう思えてしまったのです。
    それなのに笑おうとしても…どうしようもなく、上手に笑えないのです。

    ドーナツの穴のように、穴を穴だけ切り取れないように。
    貴方が本当にわたくしの記憶の中に居るのか、決して証明は出来ません。
    そのことが不安で不安で…そしてまた、貴方のことを思い出そうと繰り返しても、思い浮かぶのは貴方の顔と、少女の顔だけ。
    眠れもしないのに…ただ、いつか来ると願っている奇跡の日を、今夜も毛布とベットの隙間に体を挟み込んでは願うのです。

    死なない想いがあるとするなら、それでわたくしは…いえ、わたくしたちは安心なのでしょうか。
    過ぎたことは望みません。 それでも…確かに思えるような、そんな記憶を…わたくしにください。

    あの奇妙なカプセルから目覚めてから、一体いくつの感情というものを失ってしまったのでしょう。
    それを数えていたら、貴方の声も、いつしか忘れてしまっていました。
    もう、永遠に逢えない…、再びそんな気がするのです。そう、思えてしまったのです。

    「どうしようもないくらい…涙が、止まりません。何故なのでしょうか、何故なんでしょうか…」

    この涙が、笑えないわたくしが、ぽっかりと空いた胸の穴が…貴方を確かめるただ一つの証明です。
    それでもわたくしは辛くて、悲しくて、虚しくて…、心が千切れそうなんです。 そう、どうしようもないまま。


    今日もわたくしは、ふらりと貴方が眠るカプセルの側に行き、簡単な感情ばかりを数えます。
    貴方がくれた温もりの数も、数えていくのです。 その数すらも…次第に忘れていってしまうのです。

    「…貴方とは、貴方とは永遠に御別れしなければいけないのですか? …嫌です、そんなの、嫌です…、」

    いつものように、だだっ広い空間に言葉を吐き出したつもりでした。 それなのに、それなのに…、

    機械が作動する音が聞こえたのです。確かに、その音と、その声が聞こえたのです。

    「諦めるなと、言っただろう…?ソニアよ。 …随分と、久しいな…」

    わたくしが悲しみに暮れた時間の最後に思い出したのは、その小さくも大きな言葉と、貴方の名前。
    静かにわたくしは呼吸を合わせ…目を見開きました。

    確認するように、何度も、何度も。

    貴方の名前は…

    「はいっ…、お久しぶりです、田中さん!」
  14. 14 : : 2016/12/10(土) 14:13:51
    不二咲&西園寺
    【悪ノ娘&悪ノ召使いパロ 色々改変注意】

    ある学園には、親の勝手な事情で離れ離れになった、幼い容姿の双子の兄妹がいました。
    妹は元の血筋である日本舞踏の家、西園寺家で暮らし、兄の方は、プログラマーの青年の家に…不二咲の姓と共に預けられました。
    妹は厳しく辛い家で生き残るために人に対して強くなり、一方兄の方は小柄で弱気ながらも芯の強さを秘めていました。

    妹がスカウトされたその一年後に、後輩として弟は入学しました。
    一年生から三年生までの高校生がスカウトされる学園故、双子ながらにそんなことが起きたのです。

    妹のことを、兄のことを、それぞれ聞いていた二人は真っ先に会いに行きます。
    双子だというのに初対面だった二人は、今までの時間を埋めるかのように、関係を築き上げていきました。
    その二人の関係を見た人間はこう言います。 まるで我儘な王女様と振り回されながらも忠誠を誓う召使いのようだ、と。

    「なんであんたってさあ…そんなちっちゃいの?鍛えるくらいしたら?」

    「う…や、やってるってば…」

    「ふーん?じゃあ、私の忘れ物取ってきてよ、おにい」

    「…えええ…」

    「……そんな顔されたら困るんだけど」

    「せ、せめて一緒に…」

    「ええ〜? …まあ、わかったけどさ」

    ですが、二人の日々は長くは続きません。

    兄と共に入学した、絶望を愛する狂った少女の手により、妹は絶望へと堕ちてしまったのです。
    更に時を同じくにし、二人が通っていた学園で暴動が起きました。
    その暴動は学園史上最大最悪の事件と呼ばれる物で、多くの犠牲を出しました。

    本来兄は学園に保護される手筈でしたが…妹に手を引かれるまま、絶望に染まった生徒と共に学園から姿をくらましたのです。

    「どうして、こんな…」

    「そういうのいいからさあ……おとなしく絶望に落ちなよ、おにい」

    「っ…」

    気が付けば…兄も絶望の道へと誘われていました。
    そして、親玉の少女の手によって、絶望は世界を蝕んでいき、終いには崩壊の道へと進めていったのでした。

    双子はとある広い地区にて、絶望としての活動を続けていました。
    資材や金品をも奪い取り、絶望だけを只管に追い求め、快楽に浸っていました。

    けれども、そんな絶望的な双子にも恋心が芽生えたのです。

    妹は癖っ毛のある長身の青年に、兄はゲームが好きで、まだ中学生程の年齢の少女に。
    けれども青年は少女に恋をしているのです。

    「ねえ、おにい…」

    「…なに?」

    「あいつを、あいつらを殺して」

    嫉妬に狂った妹は、兄に二人を殺すように指示します。 青年も殺すことで、絶望としての快楽がやってくることを知っていたのです。
    一方で兄は、悲しいことに完全に絶望に染まりきってはいませんでした。 それでも、後悔をしながらも…泣く泣く二人を殺したのです。
    妹のためになるのであれば、自分は絶望にだって染まってやる…そんな、間違った方向に行ってしまった強さが生まれたのです。

    二人の活躍は絶望を愛する者たちの間に噂として広まっていました。もちろん、希望の残党と呼ばれる者たちの間にも。
    絶望を扇動し、殺戮を行う妹と…その妹に従い、冷静に、冷酷に、涙ながらに絶望を広める兄。
    そんな双子のことを聞いた人間は、二人が学生だった頃のように、口々にこう言いました。

    「二人はまさに絶望の王女と召使だ」

    「あのお方たちに続く…絶望の双子だ」

    そして、こうも言われました。

    「あんなにも愛らしいというのに、なんて忌々しいのだろう」

    「まるで棘を持つ薔薇の華のよう…」

    全ての絶望の原因と言える双子に何かあった時には、二人が続くのだろう。そう、人々は確信していたのです。
    それが双子にとって悲劇をもたらすことになる、だなんて…二人には想像も付いていませんでした。

    「あっ、おやつの時間だ! ねえねえおにい、今日のおやつはどんなのなの〜?」

    「あ、あのね…。 今日のおやつは久しぶりに素敵な物が用意できたよぉ」

    「本当?早く食べさせて!」

    「うん、ブリオッシュ…って言ってねぇ…」

    狂おしき絶望の双子は悲しみの叫びを背に受けながら、仲良く笑うのです。無邪気に笑うのです…。
  15. 15 : : 2016/12/10(土) 14:14:02
    不二咲&西園寺
    【悪ノ娘&悪ノ召使いパロ 色々改変注意】

    ある学園には、親の勝手な事情で離れ離れになった、幼い容姿の双子の兄妹がいました。
    妹は元の血筋である日本舞踏の家、西園寺家で暮らし、兄の方は、プログラマーの青年の家に…不二咲の姓と共に預けられました。
    妹は厳しく辛い家で生き残るために人に対して強くなり、一方兄の方は小柄で弱気ながらも芯の強さを秘めていました。

    妹がスカウトされたその一年後に、後輩として弟は入学しました。
    一年生から三年生までの高校生がスカウトされる学園故、双子ながらにそんなことが起きたのです。

    妹のことを、兄のことを、それぞれ聞いていた二人は真っ先に会いに行きます。
    双子だというのに初対面だった二人は、今までの時間を埋めるかのように、関係を築き上げていきました。
    その二人の関係を見た人間はこう言います。 まるで我儘な王女様と振り回されながらも忠誠を誓う召使いのようだ、と。

    「なんであんたってさあ…そんなちっちゃいの?鍛えるくらいしたら?」

    「う…や、やってるってば…」

    「ふーん?じゃあ、私の忘れ物取ってきてよ、おにい」

    「…えええ…」

    「……そんな顔されたら困るんだけど」

    「せ、せめて一緒に…」

    「ええ〜? …まあ、わかったけどさ」

    ですが、二人の日々は長くは続きません。

    兄と共に入学した、絶望を愛する狂った少女の手により、妹は絶望へと堕ちてしまったのです。
    更に時を同じくにし、二人が通っていた学園で暴動が起きました。
    その暴動は学園史上最大最悪の事件と呼ばれる物で、多くの犠牲を出しました。

    本来兄は学園に保護される手筈でしたが…妹に手を引かれるまま、絶望に染まった生徒と共に学園から姿をくらましたのです。

    「どうして、こんな…」

    「そういうのいいからさあ……おとなしく絶望に落ちなよ、おにい」

    「っ…」

    気が付けば…兄も絶望の道へと誘われていました。
    そして、親玉の少女の手によって、絶望は世界を蝕んでいき、終いには崩壊の道へと進めていったのでした。

    双子はとある広い地区にて、絶望としての活動を続けていました。
    資材や金品をも奪い取り、絶望だけを只管に追い求め、快楽に浸っていました。

    けれども、そんな絶望的な双子にも恋心が芽生えたのです。

    妹は癖っ毛のある長身の青年に、兄はゲームが好きで、まだ中学生程の年齢の少女に。
    けれども青年は少女に恋をしているのです。

    「ねえ、おにい…」

    「…なに?」

    「あいつを、あいつらを殺して」

    嫉妬に狂った妹は、兄に二人を殺すように指示します。 青年も殺すことで、絶望としての快楽がやってくることを知っていたのです。
    一方で兄は、悲しいことに完全に絶望に染まりきってはいませんでした。 それでも、後悔をしながらも…泣く泣く二人を殺したのです。
    妹のためになるのであれば、自分は絶望にだって染まってやる…そんな、間違った方向に行ってしまった強さが生まれたのです。

    二人の活躍は絶望を愛する者たちの間に噂として広まっていました。もちろん、希望の残党と呼ばれる者たちの間にも。
    絶望を扇動し、殺戮を行う妹と…その妹に従い、冷静に、冷酷に、涙ながらに絶望を広める兄。
    そんな双子のことを聞いた人間は、二人が学生だった頃のように、口々にこう言いました。

    「二人はまさに絶望の王女と召使だ」

    「あのお方たちに続く…絶望の双子だ」

    そして、こうも言われました。

    「あんなにも愛らしいというのに、なんて忌々しいのだろう」

    「まるで棘を持つ薔薇の華のよう…」

    全ての絶望の原因と言える双子に何かあった時には、二人が続くのだろう。そう、人々は確信していたのです。
    それが双子にとって悲劇をもたらすことになる、だなんて…二人には想像も付いていませんでした。

    「あっ、おやつの時間だ! ねえねえおにい、今日のおやつはどんなのなの〜?」

    「あ、あのね…。 今日のおやつは久しぶりに素敵な物が用意できたよぉ」

    「本当?早く食べさせて!」

    「うん、ブリオッシュ…って言ってねぇ…」

    狂おしき絶望の双子は悲しみの叫びを背に受けながら、仲良く笑うのです。無邪気に笑うのです…。
  16. 16 : : 2016/12/10(土) 14:15:11
    双子の拠点の兄の部屋。 兄はテレビの中継を眺めながら、ノートに文字を綴る。
    『もうすぐ絶望は潰えるのだろう。 何故ならばリーダーである姉妹がコロシアイにて死亡したから…。
    そしてそのことによって希望が示された…。 希望の残党も、力を取り戻している。
    その希望によって、危険とされる僕らは真っ先に潰される。
    これが報いというのならば、僕はあえてそれに逆らおう…』

    怒れる希望は立ち上がる。 白髪の青年に率いられて。
    長きに続いて活動してきた絶望の残党は、彼らにとって最も容易い相手であり…簡単に薙ぎ倒して行ったのだった。

    その悲劇を拠点の中心で眺めながら、兄は妹に自らの服を渡して笑う。

    「ほら、僕の服を貸してあげる」

    「これを着て…すぐに逃げて」

    「大丈夫、そんな顔しないで?」

    「だって僕らは…双子なんだから、きっと誰にもわからないよ」

    運命に引き裂かれた、哀れで悲しき絶望の双子。
    着替えをし、泣きながらその場を去った妹を思いながら、無理に笑顔を作って兄は独り言を呟き続けます。

    「…君が絶望ならば」

    「僕だって…死も恐れない、強い絶望の血が流れてるよねぇ…」

    「ふふ…これで大丈夫。 あの子は…僕の可愛い妹は生き残ってくれる…」

    「地獄に行ったら、どんな人がいるんだろう…。 …クラスメイトには会いたくないなぁ」

    「…例え世界の全てが君の敵になったって…僕は君を守ってみせるから」

    「君はどこかで笑ってて…」

    「君のためなら、僕は絶望にだってなって、君に強いお兄ちゃんだって、思ってもらえるようになるから…」

    「…もしも、生まれ変われたら、その時はまた…遊んでほしいなあ…」

    そう呟いたのを最後に、部屋の扉は開かれた。

    「居たぞ、絶望の残党だ!」

    矢先を向けられると、息を吸い、兄は叫んだのでした。

    「………この、無礼者!」
  17. 17 : : 2016/12/10(土) 14:15:24
    そして未来機関という希望の残党の組織に捉えられた、危険人物として注目されていた双子の妹は、処刑されることが決まりました。

    処刑の時間は午後三時。

    ついにその時はやってきたのです。

    終わりを告げる三時の鐘が鳴り響き、絶望と呼ばれ恐れられた、可憐で幼い容姿の少女は処刑台に上げられました。

    民衆などには目もくれず…

    彼女は…いえ、彼は自らの妹の口癖を呟きました。

    「…おやつの時間だよ、おにい」

    首を刎ねられたその小さな体を見つめ、フードを深くかぶった小柄な人は涙する。
    その瞬間だけは、その人は絶望では無くなっていたのです。 心からの悲しみを、誰にも聞かれないように雫に変えて歌ったのです。


    そんな真実を知らない人々は、のちにこう語ることとなります。


    「彼女は正に絶望ノ娘」
  18. 18 : : 2016/12/10(土) 14:18:34
    大和田←小泉
    【平和学園時代】[>>9リクエストありがとうございます。 ⇔のような形になってしまいましたが、よろしかったでしょうか…]


    小泉(…授業が無い代わりに、才能を使う…アタシの場合は写真を撮れ、って言われたけど…どこで何を撮ろうかしら)

    小泉(たまにはクラスメイト以外も撮ってみようと思って出掛けてみたけど…なかなか人も居ないものね)

    小泉(あっ………丁度良いところに、ね)

    小泉「ちょっと大和田!またそんなところで寝て…」

    大和田「ああん?別に良いだろうがよ。 いつどこで寝ようが俺の勝手だろ?」

    小泉「それでも中庭で寝るのはどうなの? それに今は授業中でしょう?」

    大和田(…いちいちうるせえ先輩だよな)

    大和田「義務でもなんでもねえだろうがよ。 それを言うならオメーは良いのかよ、授業サボってて」

    小泉「今日はアタシのクラスは休みなの。 その代わりに才能を磨くことを各々の方法でしてるのよ」

    小泉「…そんな風に起きる気が無いなら、アタシに協力しなさいよね。 言っとくけど、先輩命令だから」

    大和田「随分とまあ偉そうな先輩だな…。 まあ、協力くらいならしてやるけどよ」

    小泉「あら、意外と素直なのね」

    大和田「…けっ、ワリイかよ」

    大和田(しつこいけど…つい優しめの態度を取っちまうんだよな、小泉のことは)

    大和田(…理由は、……まさかな?)

    小泉「ちょっと大和田?聞いてる?」

    大和田「ん、あ、ああ、悪い、ボケっとしてた」

    小泉「全く…男子なんだからちゃんとしなさいよね」

    大和田「…おう。 で、俺は何すりゃあ良いんだ?」

    小泉「…ホントに聞いてなかったのね。 アンタはそこで笑顔で居れば良いの。そしたらアタシがそれを撮るから」

    大和田「笑顔だぁ? んだそりゃ、んなの俺よりも適任が沢山いるじゃねえか」

    小泉「アンタが良いの。 はいっ、笑って、笑って」

    小泉「……ちょっと、睨まないでよ」

    大和田「仕方ねえじゃねえか。 自然な形以外で笑ったことなんてねえんだからよ。舞園みたいな職業でもあるまいし……」

    小泉「あー……だったら、仲が良い人でも思い浮かべなさい」

    大和田「…仲の良い奴、と言ったら不二咲、兄弟、族のメンツ…他にも…」

    小泉(へえ、こいつ、こんな風に……じゃない! シャッターチャンス、シャッターチャンス…っと)

    小泉「はい、サンキューね。良い写真が撮れたわよ」

    大和田「………」

    小泉「?ちょっと、どうしたの?」

    大和田「ん、あ、…すまねえ…。なんでもねえよ」

    小泉「そう? じゃあ、またね」

    大和田(言えねえよなぁ…。 オメーに見惚れてた、だなんてよ…)

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