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アニ「私達は欠けている」
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- 1 : 2016/11/26(土) 21:10:43 :
- ベルトルト「か、欠けてる?…え?」
アニ「詳しく言うと、私達には欠けているものがある」
ライナー「……というと」
アニ「それは」
ベルトルト「…」
ライナー「…」
アニ「統一感」
ライナー「は?」
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- 2 : 2016/11/26(土) 21:14:43 :
- アニ「思うんだけどさあ、私達って本当統一感ないと思う」
ライナー「やべえ、頭が理解することを拒んでるわ」
ベルトルト「え?今日呼び出した理由それ?…え?」
アニ「ほら、もう考え方に統一感がない」
ライナー「ええ…」
ベルトルト「辛口…」
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- 3 : 2016/11/26(土) 21:18:44 :
- ベルトルト「今日は何故か教官の見回りが多くてさ、その…ここへ来るまでに結構な労力を要したんだけど…」
アニ「あ、それ、多分私のせい」
ライナー「お前かよ」
アニ「まだそうと決まってないよ」
ベルトルト「そうだよ、決め付けは良くないよ」
ライナー「2対1は卑怯だな…」
アニ「私はただ、ここへ着く前に一度教官に見つかっただけ」
ライナー「完璧にお前の過失じゃねーか」
ベルトルト「フォローし切れない」
アニ「期待を裏切って悪いね」
ベルトルト「だから教官の数が多かったんだね…すべてはアニを捕らえるために…」
アニ「一番乗りしようと思ったら失敗してさ」
ライナー「素直なとこは評価する」
ベルトルト「で、でも、実際アニがここへ一番乗りだったし、いいじゃない」
ライナー「なにがいいんだよ」
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- 4 : 2016/11/26(土) 21:25:45 :
- ライナー「思い出せ。さっきまでの苦労を」
ベルトルト「…」
ライナー「俺ら両方ガタイが良いわ、隠れる場所はねえわ、さんざんだったろ」
ベルトルト「まあ、うん…」
アニ「大変そうだね」
ライナー「誰のせいだろうな」
アニ「教官」
ライナー「違うなあ」
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- 5 : 2016/11/26(土) 21:33:17 :
- アニ「というかそれだよ。統一感の無さを演出する要因の一つは」
ライナー「ほう」
アニ「二人とも縦と横に伸びすぎ。自ら巨人だってアピールしてるようなものだろ」バンッ
ライナー「あー…話の核心はそこか」
アニ「違うけど。今月のテーマである"統一感"だよ」
ベルトルト「標語みたいな感覚だなあ」
ライナー「体格をどうにかしろっつわれても…どうしようもねえだろ、な」
ベルトルト「うん」
アニ「そういう問題じゃない」
ベルトルト「!?」
ライナー「つまりどういうことだ」
アニ「私に無断で身長伸ばしてるのが気に食わない」
ベルトルト「許可制!?」
アニ「そこの筋肉もそう。勝手にライナーつけて、バカじゃないの」
ライナー「俺の名前と筋肉のポジションが入れ替わってるぞ」
アニ「どっちも似たようなものだから、いいよ別に」
ライナー「俺はよくないんだが」
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- 7 : 2016/11/26(土) 21:48:21 :
- ベルトルト「僕、筋肉と親友なの?やだな…脳筋みたいな響き…」
ライナー「ほら、早速支障が出てるぞ」
アニ「減ったっていいじゃん、親友の一人や二人。男だろ」
ライナー「「男だろ」の使い方が間違ってると思うのは俺だけか」
アニ「あ、そうだ。性別の違いも統一感の無さを生み出してる。許せない」
ベルトルト「矛先が他へ向いたぞ…」
ライナー「気を付けろ、今の奴は何しでかすか分からん」
アニ「がおー」
ベルトルト「うぐっ!む、胸を打たれた…!死にそうだ…っ!」胸キュンッ
ライナー「死ぬな!故郷へ帰るんだろ!?」
アニ「そろそろ話戻っていい?」
ベルトルト「あ、うん」
ライナー「いいぞ」
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- 8 : 2016/11/26(土) 21:54:25 :
- アニ「性別違うよね、私だけ」
ライナー「んー…俺、ベルトルトが男で、アニが女と来たら…ここはマイノリティであるアニの方が俺達に合わせるべきじゃねえか?」
アニ「私に男になれって言うんだね」
ベルトルト「そ、それは良くないんじゃないかな!?」
アニ「だよね」
ライナー「そうなると、俺とベルトルトが女になる他ないんだが」
ベルトルト「それも良くないよ!!」
ライナー「せめてどっちについてるのかはっきりしてくれ」
アニ「ベルトルトは私の味方。つまり多数決でいくとライナーの負け」
ライナー「俺達が女になるなんて、軽い地獄絵図だぜ?」
アニ「…やっぱりベルトルト返す」
ベルトルト「返品された」
ライナー「おかえり」
ベルトルト「ただいま」
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- 12 : 2016/11/26(土) 22:02:18 :
- アニ「ライナームキムキの筋肉が女の格好するとか、考えるだけで目眩がするね…」
ライナー「逆だ、逆」
ベルトルト「正しくはライ…筋肉ムキムキのライナーが女の格好するとか考えるだけで目眩がする、だね」
ライナー「てめえ今、間違えかけたろ」
ベルトルト「ごめん…うつってきちゃった」
アニ「計画通り」
ベルトルト「というか僕に当たり強くない?」
ライナー「さっき友情にヒビ入ったからな」
ベルトルト「え、あの筋肉が親友ってくだりのせい?」
アニ「近々、内部分裂もありえるかもね」
ベルトルト「嘘だろ…せめてこんなくだらない理由で仲間割れしたくないよ」
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- 13 : 2016/11/26(土) 22:06:52 :
- ライナー「なら、仲間割れするに値する、まともな理由考えようぜ」
アニ「いいよ」
ベルトルト「待って趣旨がズレてきてる」
アニ「何の話?」
ベルトルト「今日呼び出した張本人がそれ言っちゃう?」
ベルトルト「僕らに統一感が無くてまずいっていう…理由で集合かけたんだよね?確か…」
ライナー「自信なさげだな」
ベルトルト「僕、流される人間だから…こうやって逆流するの慣れてないんだ」
アニ「ツッコミできないタイプか」
ライナー「使えないな」
ベルトルト「ツッコミが出来ないとそこまで言われるの…?」
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- 15 : 2016/11/26(土) 22:17:45 :
- ベルトルト「僕、漫才師に弟子入りしてくるよ」ガタッ
ライナー「冗談だ、座れ」
アニ「たとえツッコミもボケもできないただの木偶の坊であっても、ベルトルトは大切な仲間だよ」
ベルトルト「ごめん、それフォローじゃない」
ライナー「とどめ刺しにかかってるな」
アニ「言い方が悪かったね…訂正する」
ベルトルト「ぜひそうして欲しい」
アニ「ウドの大木」ズギャン!
ベルトルト「あ、合ってるといえば合ってるけどさあ…!」グス
ライナー「アニに座布団一枚やりたいところだが、ベルトルトのためのハンカチが先だな」
アニ「私持ってるよ」ゴソゴソ
ベルトルト「わ、さすが女子」
アニ「…あ、今持ち合わせてなかったわ」
ベルトルト「女子じゃなくなった…」シュン
アニ「おかしいな、こんな所にサンドバッグが」スッ
ベルトルト「ラ、ライナー!助けてくれ!」
ライナー「余計な一言いうからだぜ…むしろ、蹴られにいったんじゃねえのか?」
アニ「私もそう思った」
ベルトルト「む、無意識だよ!」
ライナー「余計にたちわりいな」
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- 17 : 2016/11/26(土) 22:38:23 :
- アニ「でも私、男になるんだった」
ベルトルト「えっ」
アニ「女子力なんて面倒なスキル、身につけなくていいんだね」
ライナー「まあ、男が身につけてると目の敵にされるケースもあるしな」
アニ「そっか。じゃあいいや」
ベルトルト「なんでそういう情報教えちゃうかな…」
ライナー「ああ?」
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- 18 : 2016/11/26(土) 22:46:41 :
- アニ「私が男だったらモテるかな」
ベルトルト「うーん、頭痛くなってきた」
ライナー「モテるだろうなあ」
アニ「そう?」
ライナー「まず、喧嘩に強いだろ?格闘技を心得てるだろ、それから…クールで細身」
ベルトルト「あと、金髪碧眼」
ライナー「それは個々の好みによる」
アニ「…クールと細身って、モテる要素に入る?」
ライナー「入る入る」
ベルトルト「僕達みたいに筋肉質な人種は、男ウケはいいけど…なかなか異性にウケないよね」
ライナー「それに、クールな性格はカッコいい、って相場が決まってるからな」
アニ「…正直、性転換なんて興味なかったけど、いけそう」
ベルトルト「…ハッ!だ、だめだよ早まっちゃ」
ライナー「そうだな、アニが男になったら女子の人気を総取りされそうだ」
アニ「やってやろ」
ライナー「やめてくれ」
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- 19 : 2016/11/26(土) 23:02:50 :
- アニ「…私って細いかな」
ライナー「細いだろ?」
アニ「あんた達と比べたら、そりゃあね」
ベルトルト「え、やっぱり体型とか気にする…?」
ライナー「ガリガリを神格化するのはやめろよ」
アニ「そこまでじゃないけど…」
アニ「女がヘタに筋肉つけたら不格好だろ。…私は既についてるけど」
ベルトルト「そんなことないよ。アニはきれいだ」
アニ「へえ」
ベルトルト「…」
ベルトルト「あ、その…筋肉…の…つき方が…」ゴニョゴニョ
ライナー「ほう、照れるぜ」
アニ「褒められてるのあんたじゃないから」
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- 20 : 2016/11/26(土) 23:03:58 :
- アニ「まあ、ありがと。ベルトルト」
ベルトルト「う、ううん…実際細いし、もっと食べた方がいいよ」
アニ「この食糧難の時代にそのアドバイスを実行するには難しいものがあるけどね…一応努力はするよ」
ライナー「バカ。そういう時は、飯奢るつって食わせてやれ」ヒソヒソ
ベルトルト「あっ!ご、ご飯食べない?」
アニ「…今何時だと思ってるの?」
ライナー「ボール球投げんなよ…」
ベルトルト「ご、ごめん…今度は直球にするから…」
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- 21 : 2016/11/26(土) 23:26:17 :
- アニ「話を逸らすんじゃないよ!」バンッ
ベルトルト「えっなんのこと!?」
ライナー「うおっ、びっくりした」
アニ「今重要なのは統一感。でしょ」
ライナー「この話、ぜってえ進まねえと思う」
ベルトルト「分かる」
アニ「いいから統一する方法考えて」
ベルトルト「同じ服を着ればいいと思う」
アニ「それは服装を統一しただけ。真の統一じゃない」
ライナー「うわめんどくせえ」
アニ「でもそのアイディアは採用」
ライナー「採用すんのかよ」
ベルトルト「や、やったー…?」
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- 24 : 2016/11/27(日) 09:15:52 :
- ライナー「ペアルック通り越してトリオルックか…」
ベルトルト「ライナーとは嫌だな…」
ライナー「ぶっ飛ばすぞ」
ベルトルト「いやだって、男でお揃いなんてむさくるしいだけじゃないか」
アニ「やっぱり全員性別を女にするしかないね」
ライナー「それだけは勘弁だ」
アニ「ライナーが女だったら、どういう風になると思う?」
ベルトルト「うーん…難問」
ライナー「勝手に話を進めるなよ」
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- 25 : 2016/11/27(日) 09:24:31 :
- ベルトルト「まず、身長が180cmあるでしょ」
アニ「あと巨乳」
ベルトルト「ブッ!」
ライナー「!?」
アニ「そんな感じしない?」
ベルトルト「げほっげほっ…はは、今だって十分あるよ。硬いけど」サワサワ
ライナー「こら、堂々と触んな」
アニ「どれどれ」スッ
ライナー「…」パシッ
アニ「…」
アニ「」スッ
ライナー「…」パシッ
アニ「ベルトルトは許して、なんで私の手は弾くの」
ライナー「…こういうのもセクハラに当たるからな」
アニ「大丈夫大丈夫、訴えないから」
ライナー「俺が訴える側だぞ」
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- 26 : 2016/11/27(日) 09:28:41 :
- ベルトルト「えっ?ライナー、女子に胸触られるの嫌なの?」
ライナー「嫌というか…その質問おかしくねえ?」
アニ「自意識過剰」スッスッ
ライナー「トラウマがあんだよ」パシッパシッ
ベルトルト「さりげなく僕の目の前で激しい攻防が繰り広げられている」
アニ「トラウマって何?」
ライナー「あれは…遡ること数ヶ月前…」
ベルトルト「あっ、こういう時のライナーは話盛ってくるから気を付けな」
アニ「分かった」コク
ライナー「おい、水をさすな」
ベルトルト「ついでに話も長いから適当に聞き流しとけばいいよ」
アニ「」コク
ライナー「手短にありのままを話すからちゃんと聞いてくれ」
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- 27 : 2016/11/27(日) 09:35:35 :
- ライナー「数ヶ月前にな、廊下でユミルとばったり出くわしたんだ」
アニ「長い。もっと短く」
ライナー「ええ…」
ベルトルト「まだ序盤だから…我慢してあげて」
アニ「仕方ないな…」
ライナー「お前はもっと気を長くした方がいいな」
アニ「そんなことより早くして。私は一分一秒を争ってるんだよ」
ライナー「いや何と争ってんだよ」
ベルトルト「睡眠時間…かな」
ライナー「ああ…睡眠が足りてないと身長も伸びないって言うしな」
アニ「」バンッ
ライナー「図星か」
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- 28 : 2016/11/27(日) 09:55:19 :
- アニ「」バンッバンッ
ベルトルト「叩かれてる木箱が可哀想だから早く話してあげてほしいな」
ライナー「分かった分かった」
ライナー「でだ、俺ってたまに筋肉触らしてくれって頼まれることあったろ?」
ベルトルト「あったね」
アニ「あったっけ」
ベルトルト「あったよ」
アニ「そうかな?」
ライナー「そうかな?、じゃなくてそうなんだよ」
ライナー「頼んでくる奴は主に男子が多かったが、女子もちらほら居た」
アニ「その頃は男女関係なく触らせてたんだね」
ライナー「まあな。減るもんじゃねえし」
アニ「そして今では女性差別するようになったと」
ライナー「その言い方はねえだろ…悪意こめすぎだ」
ベルトルト「てんこ盛りだね」
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- 29 : 2016/11/27(日) 10:07:04 :
- ライナー「男子と女子で触り方に違いがあってよ、女子は「ガッ!」って来るんだよな」
ベルトルト「ガッ」
アニ「アヒルかな?」
ライナー「世の女子をアヒルにしたいのか」
アニ「アヒルの鳴き声じゃないの?」
ライナー「違うなあ」
ライナー「ともかく、意外かもしれんが男子のがソフトタッチで、恐る恐るって感じで触ってくんだよ」
アニ「へえ」
ベルトルト「…(何を真面目に語ってるんだ、君は)」
ライナー「女子は、普段から女子同士でスキンシップが多いせいか、こう…遠慮がねえんだよな」
アニ「じゃれ合ってるうちに胸揉んでたりするしね」
ベルトルト「えっ肩を揉むみたいな感覚で!?」
アニ「そんなことは言ってない」
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- 30 : 2016/11/27(日) 10:26:23 :
- ライナー「そんなある日のこと、ユミルに触られた」
アニ「だからなんだって感じだね」
ベルトルト「ひどい」
ライナー「いや…あいつは尋常じゃねえ」
ベルトルト「うん?」
ライナー「触られた後、しばらく胸が痛かった」
アニ「どんな触り方したらそうなるの…」
ライナー「だからな、廊下でユミルに出くわしてな」
ライナー「突然俺の背後に回ったと思ったら、後ろから両手でガッ!だぜ?えぐられるかと思ったわ」
ベルトルト「ユミルってそんなに力強かったっけ…」
ライナー「相手に配慮する心を持ち合わせてねえんだろうな」
アニ「こう言ったら悪いけど、ユミルってスレンダーだし…巨乳の気持ちは分からないんじゃないの」
ライナー「俺、巨乳決定かよ」
ベルトルト「実際大きいし」
ライナー「別の表現考えてくれ、頼むから」
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- 33 : 2016/11/27(日) 19:57:11 :
- アニ「それ何カップ?」
ライナー「あ、そういうのもセクハラに入るからな」
ベルトルト「僕はAかな」
ライナー「馬鹿正直に答えなくていいんだぞ、ベルトルト」
アニ「胸の大きさも統一してよ」
ライナー「まじかあ…」
ベルトルト「ライナーのはもう削るしかないね」
ライナー「削る」
ベルトルト「そう、削る」
アニ「手っ取り早くユミルにえぐってもらえば?」
ライナー「嫌に決まってんだろ」
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- 34 : 2016/11/27(日) 20:06:06 :
- アニ「まあ、胸はなんとかなるとして」
ベルトルト「なるんだ」
ライナー「統一する手段は、ユミルに依頼することで決定したのか?」
アニ「一番の問題は身長だよね」
ライナー「華麗なスルー」
ベルトルト「思わず見惚れちゃうね」
アニ「身長がいけないと思う」ズイッ
ベルトルト「えっ…そ、そうだね」
ライナー「ベルトルトにガン飛ばすなよ」
ベルトルト「…僕、何かした?」
アニ「別に何も。強いていうなら、バカみたいにデカいせいで、私の首を痛めつけてるぐらい」
ベルトルト「あっ…み、見上げるの大変そうだもんね」
アニ「…チッ」
ベルトルト「舌打ち!?」
ライナー「ベルトルト、今すぐ縮んだ方が身のためだぞ」
ベルトルト「…こう?」スッ
ライナー「腰屈めただけじゃねーか」
ベルトルト「じゃあこうかな」スッ
アニ「膝立ち…ふうん、舐めてるね」
ベルトルト「ご、ごめん、すぐ立つから」ガタッ
ライナー「振り出しに戻ってるぞ」
ベルトルト「だって…」
ライナー「あのな、もっと物理的に縮むんだぜ?50cmくらい」
ベルトルト「そう簡単に言わないでくれよ」
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- 35 : 2016/11/27(日) 20:17:04 :
- ベルトルト「こ、ここは僕を縮めるよりも、アニの身長を伸ばす方法について考えた方が得策なんじゃないかな」
ライナー「それもそうだな」
アニ「じゃ、案出して」
ベルトルト「牛乳を飲む」
アニ「やったけど効果なし。次」
ライナー「試し済みかよ」
ベルトルト「え…いっぱい寝る?」
アニ「今のところ効果なし。次」
ライナー「まじかあ…」
ベルトルト「う、うーんと…グングングルトを飲む」
アニ「効果なし。次」
ライナー「えらいマニアックなもんにも手ぇ出してんだな」
ライナー「つーかちょっと待て、ベルトルトは今述べたものをどれか一つでも実践した上でその身長を手に入れたのか?」
ベルトルト「ううん全然。…てへ」
ライナー「だよなあ…俺も普通に生きてきただけでこれだし」
アニ「…」
ベルトルト「ア、アニ!殺気、殺気!」
ライナー「悪気があって言ったんじゃない。堪えろ、堪えるんだ」
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- 36 : 2016/11/27(日) 23:31:50 :
- アニ「…考えたんだけどさあ」
ベルトルト「う、うん」
アニ「見た目以前に、気持ちや心構えの方が大事だと思う」
ライナー「…つまり?」
アニ「というわけで、今からチーム名を決めることにする」
ベルトルト「!?」
ライナー「マジかあ」
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- 37 : 2016/11/27(日) 23:50:29 :
- アニ「一緒にチーム名を考えることで絆のパワーアップを図る。更に、同じチームに属しているという一体感を得ることにより、モチベーションを統一する」
ライナー「やべえ、何言ってんのか全くんかんねえ」
ベルトルト「僕も…」
アニ「要するに…協力して物事を成し遂げれば、全員に連帯感が生まれて、考え方の統一に繋がるんじゃないかってこと」
ベルトルト「…」
ライナー「どうしたベルトルト」ヒソヒソ
ベルトルト「やっぱりよく分からないんだ…」ヒソヒソ
ライナー「安心しろ、俺もだ」ヒソヒソ
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- 38 : 2016/11/27(日) 23:53:07 :
- アニ「…そう」シュン
ベルトルト「!? そ、そんな悲しそうな顔しないで…やるかやらないかはまだ返事してないんだから」
アニ「でも…あんた達、理解できないって言ってるしね。ここまで嫌々私に付き合ってきたんだろうし、もう強制するのはやめとくよ」
ベルトルト「チーム名だよね!?ぜひ考えたいなあ!」
ライナー「えっ、おい」
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- 39 : 2016/11/28(月) 08:40:39 :
- アニ「本気?まあ、そこまで言うなら…」
ベルトルト「いいよねライナー!」
ライナー「拒否権は無さそうだな」
ベルトルト「いいって!」
ライナー「ほらな」
アニ「じゃあいい感じのチーム名考えて」
ベルトルト「どうする?」
ライナー「俺に振るなよ」
ライナー「でも、ま…そうだな、それぞれ好きなものを挙げて、一致したものをチーム名にするっていうのはどうだ」
アニ「採用」
ライナー「お前のとりあえず採用する姿勢好きだぜ」
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- 40 : 2016/11/28(月) 08:48:41 :
- ベルトルト「じゃ、せーので言おう」
アニ「いいよ」
ライナー「了解」
ベルトルト「…」
アニ「…」
ライナー「…」
ライナー「いや言えよ」
ベルトルト「え?掛け声かけるの僕?」
アニ「そういう流れだったね」
ベルトルト「普段こういう役しないから…無意識に逃げてた、ごめん」
アニ「わかる。リーダー役とか全力で逃げそう」
ベルトルト「陰のポジション大好き」
ライナー「分かった分かった…俺が言うから、その後合わせろよ」
ベルトルト「うん」
アニ「はいはい」
ライナー「じゃ、せー
ベルトルト「あっ挙げるのは一番好きなものだからね」
ライナー「…いいな?いくぞ。せー
アニ「何でもいいの?」
ベルトルト「うん」
ライナー「…せー
ベルトルト「はっくしょん!」
ライナー「やっぱり誰か代わってくれ。俺じゃ務まらねえ」
-
- 41 : 2016/11/28(月) 10:32:10 :
- ベルトルト「ええ…」
ライナー「仕方ねえだろ。俺が喋ると神がかったタイミングで邪魔する奴らがいるんだから」
アニ「せーの!」
ライナー「待て、唐突に始めるな」
「お金」「ごぼう!」「…パス」
ベルトルト「あっごめん間違えた」
アニ「ごぼう…?」
ベルトルト「それ僕。でも間違えた」
ライナー「ごぼう好きなのか…?」
アニ「似てるから親近感わくとか?」
ベルトルト「ち、違くて、間違えたんだって。たまたまごぼうのこと考えてて、それで、突然声かけられたから…」
ライナー「聞けば聞くほど訳が分からねえな…」
アニ「私も好きだよ、ごぼう」
ベルトルト「あ、ありがとう」
ライナー「…(何故、礼を口にする…お前はごぼうの何なんだ)」
-
- 42 : 2016/11/28(月) 10:43:30 :
- ベルトルト「お金っていうのは…」
ライナー「アニだろ」
アニ「そうかな?」
ライナー「そうだろ」
アニ「正解」
ライナー「だよな」
ベルトルト「じゃあ消去法で、パスって言ったのはライナーだね」
アニ「ノリ悪い」
ライナー「そういう問題じゃねえだろ。急過ぎて思いつかなかっただけだ」
アニ「っはー…じゃあもう一回ね」ヤレヤレ
ベルトルト「めっちゃ不服そう」
ライナー「なんかすまん」
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- 43 : 2016/11/28(月) 10:53:39 :
- アニ「それじゃ2回目…いくよ。せーの」
「鉄アレイ」「お金」「可愛いもの」
ベルトルト「あっ、僕分かった」
ライナー「どうした」
ベルトルト「アニも…やっぱり女の子なんだなって」
アニ「…そう?」
ライナー「ん?さっきと同様、金を挙げたのがアニだろ?」
ベルトルト「違う、それ僕」
ライナー「なんだと」
ベルトルト「鉄アレイはライナーだよね?」
アニ「それ私」
ベルトルト「嘘だろ…?」
アニ「本当」
ベルトルト「…ということは」
アニ「ライナー、あんたさ…ううん何でもない」
ライナー「変に気遣うなよ。まるで俺が恥ずかしい存在みたいじゃねーか」
ベルトルト「あながち間違いではない」
ライナー「おーし屋上行こうぜ」
ベルトルト「ごめん僕、拳で朝まで語り合う趣味ないから…」
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- 44 : 2016/11/28(月) 10:59:44 :
- アニ「可愛いものって、つまりなんなの」
ライナー「子どもとか、女の子とか、動物とか…色々だ」
ベルトルト「なんだか、性癖の幅が広い人に見えるね」
ライナー「てめえ」
アニ「そういえば聞いたことがあるよ。人は自分が持っていないものに憧れて、求める傾向にあるって」
ベルトルト「となると…?」
アニ「…自分を隠さなくていいよ、ライナー」
ライナー「やめろ、そんな目で俺を見るな」
ライナー「もっと気楽に考えてくれ。可愛いものって見てるだけで癒されるだろ」
ベルトルト「そうだね」チラ
アニ「?」
ライナー「その時の、あー癒されてるなーっていう感覚が好きなんだ」
ベルトルト「なるほどね」
アニ「??」
-
- 45 : 2016/11/28(月) 11:12:58 :
- ライナー「ところで、今最も気になるワードがあるんだが」
ベルトルト「鉄アレイ…」
ライナー「…好きなのか?」
アニ「いや、最近欲しいなと思って」
ベルトルト「あれ、これって今欲しいものを挙げるゲームだったっけ」
ライナー「違う」
アニ「うーん惜しい」
ライナー「全然惜しくねーよ。むしろ何が惜しいんだ」
ベルトルト「んー…好きなものが一致することは絶望的みたいだし、この際、"今手元に欲しいもの"で挑戦する?」
アニ「いいよ。乗った」
ライナー「まあいいぜ」
ベルトルト「それじゃ掛け声お願い」
ライナー「意地でも言わないんだな」
-
- 46 : 2016/11/28(月) 11:22:38 :
- アニ「今、この場に欲しいもの…ってことだよね」
ベルトルト「うん、そう。すぐ手に入れたいもの」
ライナー「…おし、決まった」
アニ「それじゃいくよ。せーの」
「「肉」」
ベルトルト「あっ、すごい」
アニ「無駄な達成感」
ライナー「みんな腹減ってんだな」
アニ「この時間帯になるとね。夜食が欲しくなる」
ライナー「ああ、それにどうせなら良いもん食いたいしな」
ベルトルト「じゃあ…「チーム、肉」ということで」
ライナー「だっせえ」
アニ「稀に見るカッコ悪さだね」
ベルトルト「何も言えない…」
アニ「これじゃ、デブの寄せ集めみたいじゃないか」
ベルトルト「一応ルール通り(?)に決めたはずなんだけどな…」
ライナー「一生名乗れそうにないぜ」
-
- 47 : 2016/11/28(月) 14:37:38 :
- ベルトルト「じゃ、変える?」
アニ「1度決めたものは変えらんないよ」
ライナー「妙なところで律儀だな」
アニ「まあ、これはこれでいんじゃない。面白いし」
ベルトルト「チーム、肉!今食べたいものは肉!」
ライナー「やめろ笑っちまうから」
アニ「ベルトルトって野菜のが好きそうな印象だけどね」
ベルトルト「え、そう?」
アニ「それこそごぼうとか」
ベルトルト「…ごめん。本当はあんまり好きじゃないんだ、ごぼう…」
ライナー「マジかよ…」
ベルトルト「だって木の根っこみたいじゃない?」
ライナー「ごぼうに謝れよ」
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- 48 : 2016/11/28(月) 18:56:46 :
- ベルトルト「ここまでやってきたわけだけど…どうかな、アニ。統一された感じする?」
アニ「まあまあ」
ライナー「(どういう基準で判断してんだ)」
ライナー「そもそも、統一する必要はあんのか?」
ベルトルト「みんな違ってみんな良い、的な?」
ライナー「まあそうだな。違いは個性であって、それがあるからこそお互いを補うことができると思うんだが」
アニ「一応チーム組んでるのに、バラバラになってちゃ意味ないじゃないか」
ベルトルト「うーん…?」
ベルトルト「…ライナー」ヒソヒソ
ライナー「どうした、トイレか」ヒソヒソ
ベルトルト「違う」ヒソヒソ
ライナー「なら黙って行け」ヒソヒソ
ベルトルト「違う、トイレじゃないんだ。聞いて」ヒソヒソ
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- 49 : 2016/11/28(月) 19:48:40 :
- ライナー「なんだよ」
ベルトルト「僕、思うんだ。アニは3人で過ごしたかっただけなんじゃないかな」
ライナー「ほう」
ベルトルト「ゲームしたり…くだらないお喋りをしたり…ちょうど、こういう風に集まってさ」
ベルトルト「ライナーも気付いてただろ?」
ライナー「まあな。何か他の目的がある感じはしてたぜ」
ベルトルト「僕とライナーはいつも一緒にいるけど…アニは違う」
ベルトルト「男2人に女の子1人…っていう組み合わせで群れてたら、印象に残るし怪しまれるかもしれないからって常に1人別行動だ」
ライナー「アイツ友達も作んねえしな」
ベルトルト「人見知りなんだよ。僕と同じで」
ライナー「そうだな」
アニ「2人でコソコソと…何喋ってんの」
ライナー「別になんてことないぜ。ベルトルトがトイレ行きたいんだってよ」
ベルトルト「えっ」
アニ「行けばいいじゃないか」
ベルトルト「う、うん…後でね」
アニ「(後で…?)」
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- 50 : 2016/11/28(月) 20:10:36 :
- ベルトルト「アニ、あの…」
アニ「?」
ベルトルト「僕達さ、昔とはもう違うと思う」
アニ「…」
ベルトルト「ね、ライナー」
ライナー「ああ」
ライナー「昔は差なんてなかった。けど、時が経つにつれて変わっちまうもんはある。身長、考え方…あとは…接し方とかな」
アニ「…何が言いたいのか分からないんだけど。私とあんた達は違うから、もう馴れ合ってらんないって?」
ベルトルト「う、ううん」
ライナー「それでも、仲間であることは変わらないって話だ」
ライナー「俺達は使命を背負ってる。ただ、それだけが繋がりなわけじゃない」
ベルトルト「好きで3人でいるって、言えるようになりたいんだ」
アニ「…つまり」
ライナー「またこうして集まって、バカな話しようぜ」
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- 51 : 2016/11/28(月) 20:20:39 :
- ベルトルト「その時は3人で遊ぶ計画もたてよう!ほら、長期休暇が近いからさ」
アニ「…」
ベルトルト「だ、だめ?」
アニ「…いいよ」フッ
ベルトルト「(あっ笑った)」
ライナー「…!」
ベルトルト「…どうしたんだ?ライナー。そんなに驚いた顔をして」
ライナー「いや、今まで気付かなかったことにびっくりしてよ」
アニ「?」
ライナー「アニ、お前…笑った顔結構可愛いんだな」
ベルトルト「!?」
アニ「え…あ、そう…」
ライナー「俺のkawaiiセンサーが初めて反応したぜ。年取って魅力的になったってことか?」
ベルトルト「ち、ちょっと!早速3人の仲を壊そうとしないでくれよ!」
ライナー「仕方ねえだろ。俺は可愛いものに目がないからな」
ベルトルト「この、ハレンチ!」
ライナー「なんでそうなる」
アニ「…ふふ」
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- 52 : 2016/11/28(月) 20:21:24 :
- 終。
-
- 53 : 2016/11/28(月) 20:24:43 :
- 見やすさ向上のために編集しました。すみません。頂いたコメントは目に焼き付けたのでご安心を。最後まで読んでくれた方、ありがとうございました
(๑و•̀ω•́)و
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- 54 : 2016/11/28(月) 20:43:06 :
- すごくおもしろかったです。
途中のギャグといい、終わりかたといい文句のつけようがない素晴らしい作品ですね。
お疲れさまでした(*´▽`*)
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- 55 : 2016/11/28(月) 20:50:07 :
- >>54
そこまで褒めていただいて光栄です
:(´◦ω◦`):ガクブル
また下らない作品を書いてこうと思いますありがとうございます
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- 56 : 2016/11/28(月) 22:45:10 :
- ギャグのセンス高すぎてニヤニヤしながら見てましたwwwwww
次回も期待です!
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- 57 : 2016/11/28(月) 22:58:57 :
- >>56
ニヤニヤしながらPC又はスマホの画面を見つめてもらうのが夢です。今、叶いました。ありがとうございます
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- 58 : 2016/11/29(火) 17:23:31 :
- すごい文才。羨ましい限りです
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- 59 : 2016/11/30(水) 00:06:34 :
- >>58
文才と評していただけるとは…動揺を隠せません。ありがとうございます…楽しんで読んでもらえたなら幸いです
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