ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

DANGAN DIARY【スーパーダンガンロンパ2×未来日記】

    • Good
    • 15

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2016/11/12(土) 16:59:52



    「…ねえ、聞こえる?」

    と、俺を呼びかける声に目を覚ます。
    …視界に広がるのは、眩しい太陽、知らない顔、知らない島…

    ……………島?

    「あっはは、混乱しているみたいだね。」

    「…お前は?」

    「あぁ、ごめんね。自己紹介が遅れたよ。僕は狛枝凪斗。超高校級の幸運…なんて呼ばれているけど、まあ見た目通り、ゴミみたいな人間だけど、仲良くしてくれると嬉しいよ。」

    「…狛枝な、こっちこそよろしく。」

    …なんだこいつ?こんな変なところに来て、どうしてここまでへらへらしていられるんだ?

    それとも、俺が警戒しすぎているだけ…?

    狛枝「ところで、キミは?」

    「…あぁ、忘れていた。俺は日向創だ。才能は……………悪い、ちょっと頭が混乱していて。思い出せない。」

    狛枝「日向クンだね!才能なんてどうだっていいよ!キミにはキミの『希望』があるんだからさ!」

    出会ったばかりの俺の事を励ましてくれるなんて…こいつ、いい奴なのかもしれないな。
    …やっぱり、俺が警戒しすぎているだけなのか?

    日向「あぁそうだ、狛枝。ここは一体どこなんだ?」

    狛枝「それを確認するためにも、まずはジャバウォック公園に行かないと。」

    日向「……公園?」

    狛枝「よくわかんないけど、皆がそこに集められているんだ。もちろんキミもね。もしかしたら、今のこのボク達の状況を説明してくれるのかもしれないよ。」

    日向「…そっか、ありがとう狛枝。じゃあその公園に行こう。」







    目次
    ・プロローグ→>>2->>10
    ・chapt.1→>>13->>25
    ・chapt.2→>>27->>50
    ・chapt.3→>>54->>74
    ・chapt.4(表)→>>76->>86
    ・chapt.4(裏)→>>87->>112
    ・chapt.5→>>114->>122
    ・chapt.6→>>124->>137
    ・エピローグ→>>138->>139






    Attention!!

    ・スーパーダンガンロンパ2×未来日記のクロスオーバー作品。

    ・現在執筆中のもう片方の作品との同時進行の為、更新速度は遅め

    ・主軸はスーパーダンガンロンパ2。例外はありますが、基本的に未来日記キャラは出てきません。そのため、カテゴリもダンガンロンパのみになっています。

    ・ダンガンロンパ作品は一度も書いた事がないため、キャラ口調が安定しない事が予測されます。キャラ崩壊が苦手な方がご注意願います。

    ・また、未来日記はアニメを見た程度のにわか知識のため、間違っている部分がとても多いです。

    ・未来日記とのクロス作品のため、原作にあった『学級裁判』などのシステムはない世界となっています。そういった頭を使う勝負が目的の方には合わない作品かもしれません。

    ・ヒナナミ要素有り。地雷な方はブラウザバック

    ・作品を進めていく都合上、ネタバレ要素がとても多くなっています。未クリアの方も十分注意願います。

    長々と説明すみません。
    問題がない方は、是非読んでいただけると嬉しいです。

    ご指摘、感想コメントや期待、お気に入りなど是非お願いします。
  2. 2 : : 2016/11/12(土) 17:05:13
    ジャバウォック公園と呼ばれるところに着いた。

    公園の真ん中に巨大な銅像が立っている。
    その下には、俺らと同じ、希望ヶ峰学園に入学予定だったであろう、14人の人がいた。

    狛枝「あっは、ボク達が最後だったみたいだね。遅れてゴメン。」

    「これで全員…だね。」

    「全員揃ったっすよー?まだなんすかー?」

    …まだってなんだ?全員揃ったら、何かあるのか?

    顎に手を当て悩んでいても、答えなんて出てくるはずがない。
    だってその前に、その答えが俺の視界に広がったのだから。

    「ミナサン揃っていまちゅね!じゃあミナサンが疑問に思っているであろう事を、このウサミ先生が説明しまちゅ!」

    そう、突然…まるで瞬間移動でもしたかのように現れたウサギのぬいぐるみ。しかもお喋り機能付き。

    ………

    日向「は?」
  3. 3 : : 2016/11/12(土) 17:06:54
    ウサミ「あちしは魔法少女ミラクル☆ウサミ。まああちしの事だってなんだっていいでちゅけど。まずはミナサンが一番気になっているであろう話をしまちゅ!」

    ウサミ「それじゃあ、早速説明を始めまちゅ!まずこの島は『ジャバウォック島』。常夏の島で、綺麗な砂浜やビーチ…後は神秘的な遺跡などなど…たくさん絶景がありまちゅ!」

    ウサミ「それだけじゃなく、スーパーや電気街…屋台のようなお店まであり、生活には何ら不自由のない島となっておりまちゅ!」

    ウサミ「こんな常夏の島で、ミナサンには、らーぶらーぶな修学旅行をしてもらいまちゅ!」

    ウサミ「中央の島から橋を渡って、第1の島にあるホテル…そこにある16つのコテージが、今日からミナサンのお部屋となりまちゅ!」

    「なぁんだ…いきなりこんなところに連れてこられるから何事かと思ったけど…案外普通じゃない。」

    「おっしゃー!修学旅行!」

    盛り上がる他の奴らと違って、俺はやっぱり警戒したままだった。

    日向「本当にそれだけなのか…?ここで俺らを満喫させて、コロシアイでもさせようって魂胆じゃ…」

    ウサミ「そんな事はさせまちぇん!この世界で、暴力は一切禁止でちゅ!みんなでらーぶらーぶやるためでちゅから。」

    狛枝「あっはは、心配症なんだね。日向クンは。」

    日向「………。」

    それなら、何が目的でここに連れてきたんだ?
    …いや、コロシアイをさせる目的もわからないか。

    …今は、この胡散臭いぬいぐるみの言う事を信じるしかないのか…。
  4. 4 : : 2016/11/12(土) 17:07:16
    ウサミ「最後の説明でちゅ!ミナサンには、この島での記憶を忘れないためにも、『日記』を書いてもらいまちゅ!」

    ウサミ「ミナサンにお配りするこの『電子生徒手帳』には、日記を書く機能がついていまちゅ!毎日決まった時間に書くも良し、何かある度に書くも良し…それは自由でちゅ!」

    ウサミ「しかし、先生としては、『書かない』というのは、やめてほしいでちゅね…もちろん、書かなくても校則違反にはなりまちぇんが…。」

    ウサミ「それじゃあ、電子生徒手帳をお配りしまちゅ!そこには校則も書いてあるので、ちゃんと確認しておいてくだちゃいね!」

    説明を終えたウサギのぬいぐるみは、また一瞬でどこかへと消えた。
  5. 5 : : 2016/11/12(土) 17:07:33
    狛枝「とりあえずさ、全員が全員の事を把握しないまま始めてもあれだし、先ずは自己紹介をしないかな?」

    狛枝「ああ、こういうのって、言い出しっぺの法則って言うんだっけ…あはっ、ボクは狛枝凪斗。才能は『超高校級の幸運』…まあ、才能なんて呼べないゴミみたいな才能だし、希望の象徴である皆によろしくなんて言える立場じゃないのはわかっているけど…まあ、仲良くしてくれたらとても嬉しいよ。」

    七海「七海千秋でーす。ゲーマーやってまーす。オールジャンルいけまーす。どうぞよろしくー。」

    十神「俺は十神白夜だ。才能は御曹司。これ以上愚民に喋る事はない。」

    澪田「澪田唯吹っす!『超高校級の軽音部』って呼ばれているっす!常夏の島での維吹ズ軽音ライフ…キャハハ、楽しみっすねー!」

    田中「俺様の名は田中眼蛇夢。魔と獣を操りし今世紀最大最悪の害悪と呼ばれし者だ。人間があまり俺様に近寄るなよ…?

    小泉「私は小泉真昼だよ。写真家って呼ばれているけど…まあ、趣味で写真撮っているだけだから、気にしないでね。」

    狛枝「ほら、次はキミの番だよ。」

    日向「あ、あぁ。俺は日向創。才能は────」
  6. 6 : : 2016/11/12(土) 17:07:55



    全員の自己紹介が終わった時には、既に夜になっていた。電子生徒手帳には、どうやらメール機能もあるらしく、『夜時間』になると早く寝るようにというメッセージが送られてくる。きっとあのウサギのぬいぐるみが送ってくるんだろう。

    知らない島、知らない同級生、何が起きるかもわからないし、不安だらけだったけど
    でもどうしてか、不思議と前が向けるようになってた。

    「まだ何も始まっていない」

    日向「…?」

    どこからか声が聞こえた。聞き慣れたようで、聞いた事のない声が。

    「これを『ゲーム』に例えるなら、まだスタートボタンも押していない状態。これからだよ、これから。」

    日向「おい、お前は誰なんだよ?」

    「私は…」

    「うぷぷぷぷ…オマエラの親だよ。」

    こいつの言葉通り、まだ何も始まっていなかった。

    平和な島なんて、ただの瞞し。一時の希望。

    絶望は、それ以上の力を持っていた。
  7. 7 : : 2016/11/12(土) 17:08:29



    朝、電子生徒手帳を開くと、メールが一通届いていた。

    『オマエラ、おはようございます。今すぐ、ジャバウォック公園に集合してください。』

    日向「…誰からのメールだ?」

    あのウサギではない。あのウサギは俺らの事を『ミナサン』って呼んでた。
    だとしたら誰がこのメールを送ってきたんだ?

    日向「…って、考えても無駄か。誰であろうと、なんだっていいよな。」

    問題なのは、どうして呼び出されたのか。それは、行って確かめない限りにはわからない。
    それに、こんな平和な島…何が起きようが、きっと大丈夫だろう。

    『うぷぷぷぷ…そうやって現実から逃げるから、オマエラは雑魚なんだよ。』
  8. 8 : : 2016/11/12(土) 17:08:58



    公園には既に全員来ていた。俺が最後だったらしい。
    全員が揃ったから、またウサギが来るのかと思ったが、明らかに違うぬいぐるみが俺らの前に現れた。

    「クマーッ!」

    日向「…は?」

    「もう平和な世界は終わりクマ!このボクが来たからには、もう平和な世界なんて終わりクマ!!」

    モノクマ「このモノクマは…オマエラの学園長なのだ!」

    この変なぬいぐるみの登場と同時に、電子生徒手帳から謎のノイズ音が鳴る。

    モノクマ「オマエラの電子生徒手帳をアップグレードしました!早速確認してみてください!」
  9. 9 : : 2016/11/12(土) 17:11:48



    -サバイバル修学旅行におけるルール-

    ルール1:日記は所有者の未来そのもの。よって、殺す際は、所有者本体ではなく、電子生徒手帳を壊すこと。

    ルール2:殺人が起きた場合、電子生徒手帳には『誰が殺された』という情報と『誰が殺した』という情報の2つが、毎回メールとして送られる。あくまでコロシアイをフェアにするためなので、これを利用し殺すか、利用せず殺すかは自由である。

    ルール3:最後に残った、この修学旅行サバイバルの勝者には、この島から出る権利が与えられる。

    ルール4:夜時間は、必ず自分の個室で就寝すること。また、個室内に故意に篭ろうとする行為は禁止。

    ルール5:他は修学旅行のしおりを確認しておくこと。

    ルール6:尚、このルールは学園長の都合によって追加する事があります。



    -電子生徒手帳の使い方-

    その1:マップ機能
    →この島の全体図と、自分の居場所をGPS的な機能により細かく確認できる。相手の場所が表示されたり、瞬間移動もできないので注意。

    その2:しおり機能
    このサバイバルゲームのしおりを確認できる。

    その3:メール機能
    朝のアナウンスと夜のアナウンスはこのメールで行われる。また、『誰が誰を殺した』といった詳細や『個人同士でのメールのやり取り』も可能。

    その4:日記機能
    このサバイバルゲームにおける最大の機能。通常、一人一人で普通に利用する日記だが、学園長である『モノクマ』が改造し、『未来が読める日記』となった。


  10. 10 : : 2016/11/12(土) 17:12:54



    モノクマ「うぷぷぷ…どう?気に入ってくれた?」

    モノクマ「ボクの魔法の力によって、キミ達の日記には『未来が読める』という特殊効果をつけました!名付けて…『未来日記』!」

    モノクマ「オマエラには、ここから脱出するために、この『未来日記』を使ってコロシアイをしてもらいます!」

    モノクマ「ルールは電子生徒手帳の校則に載せたから、ちゃんと確認しておいてね!」

    モノクマ「それじゃ、僕は忙しいから、まったねー!」

    …やっぱ、平和な島なんかじゃなかった。

    狛枝「…厄介な事になったね。」

    コロシアイってなんだよ…

    狛枝「日向クン?」

    日向「クソッ!」

    狛枝「…大丈夫だよ。誰も人を殺したりなんかはしない。だって、ここにいる皆は『希望の象徴』なんだよ?そんな希望が、殺人なんて絶望的な事をするはずがないよ。」

    日向「…。」

    狛枝「きっとウサミ先生がなんとかしてくれるさ。ボク達に必要なのは、皆を疑う事じゃなくて、皆で協力する事なんじゃないのかな。」

    …そうだよな。あぁ、きっとそうだ。

    日向「ありがとう、狛枝。お前のお陰でちょっと安心できたよ。」

    狛枝「ボクごときがキミのためになれたのなら光栄だよ!どういたしまして。」

    まだ希望はある。こんな事が始まったからなんだ。俺らは絶対に、コロシアイなんてしないぞ!



    -PROLOGUE- the end/To Be continued
  11. 11 : : 2016/11/12(土) 19:47:09
    期待です
  12. 12 : : 2016/11/13(日) 00:02:21
    期待ありがとうございます!!
  13. 13 : : 2016/11/13(日) 23:28:43
    十神「狛枝の言う通りだ。俺らに必要なのは、コロシアイやここから出る事じゃなく、『協力』だ。」

    俺らの会話を聞いていたのか、十神が俺ら全員に聞こえる声で話を始める。

    十神「そのためにも、まず俺らは親交を深める必要がある。相手に情が生まれれば、殺す事も躊躇するようになるだろう。」

    十神「明後日だ。ホテルにあった旧館でパーティーをする。」

    唐突すぎる提案。だが、もしかしたらこれが最善策かもしれない。

    狛枝「パーティーか。うん、いいかもしれないね。」

    日向「あぁ、俺も賛成だ。バラけて行動するよりも、まとまって動いた方が、殺人は起きにくそうだからな。」
  14. 14 : : 2016/11/13(日) 23:30:00
    十神のこの提案には、殆ど全員が賛成した。ただ一人を除いて…

    九頭龍「テメェらが勝手にパーティーしているのは別に構わねえが、俺は行かねえぞ。」

    十神「…さっきも説明したが、ここである程度の親睦を深めておかないと、コロシアイが起きるんだぞ?」

    九頭龍「あ?テメェらの中で起きた殺人なんて知ったことか。」

    十神「俺らに限った事ではない。お前だって殺される可能性があるんだぞ…?!」

    九頭龍「そういうルールなんだろ。それならしゃーねえ。俺を殺そうとする奴は、逆に俺が殺してやるよ。」

    九頭龍「『俺は殺れるぜ?』」

    背筋がブルッと震えた。
    そうだ、俺が相手にしているのは、常識の範囲じゃ収まらない、超高校級の生徒達なんだ…

    改めてそう実感させられた。

    十神「…好きにしろ。」

    九頭龍「言われなくても好きにさせてもらうぞ。じゃあな。」

    そのまま九頭龍は公園から去った。
  15. 15 : : 2016/11/13(日) 23:31:00



    日向「………。」

    夜時間、俺はコテージの中で、自分の日記を見ていた。

    『-DEAD END-』

    日向「…なんだよ、デッドエンドって。」

    俺の日記は…名付けるなら『事件日記』だ。
    何か大きな出来事…例えば『変な島に連れてこられた』とか、そういった出来事を事件として記録する日記だ。

    そして、この日記には、デッドエンドという文字と共に、こんな事も書いてあった。

    『サバイバル修学旅行4日目、旧館でパーティーをしようと提案したのは十神の罠だった。14時30分、十神が武器を持ち俺らに襲いかかる。俺らは十神を取り押さえようと尽力するも、あいつの日記によって回避される。続けざまに全員襲われ、九頭龍以外は全滅した。』

    日向「…もし、俺がパーティーに行かなかったら?」

    いや、やめた方がいい。俺だけが逃げたところで、九頭龍と俺と十神が残るだけ。まだ相手がどんな日記を持っているのかも把握していないのに、最終決戦にするのは危険が多いよな。

    何より、俺はあいつらを救いたい。今まで関わりなんてなかった、初めましてのやつらだけど…それでも、俺はあいつらと協力しなきゃいけないと思う。

    日向「……………明日に備えて、もう寝よう。」

    そう呟いて、俺はそっと目を閉じた。
    日記と仲間を信じよう。俺らは絶対に生き残る。
  16. 16 : : 2016/11/13(日) 23:31:25



    そして迎えたパーティー当日。
    全員今日のパーティーのために張り切っているみたいだが、俺はそうもいかない。

    左右田「浮かねえ顔してんな、日向。まぁだ不安なのか?コロシアイなんて起きねえって」

    日向「あぁ、左右田か。ははっ、悪ぃな。ある程度は警戒しておかねえと。」

    左右田「はーっ、お前も面倒な奴だな。んな警戒心の強いお前の才能って、実は探偵とか警察なんじゃねえの?」

    …一理あるかもしれない。事件日記っていうのも、なんだか探偵っぽいようなフレーズだしな。

    日向「ははっ、かもしれないな。」

    左右田「あぁ、そういえば日向。お前に少し頼みてえことがあるんだ。」

    日向「俺にか?」

    左右田「お前の日記、見せてくれねえか?」
  17. 17 : : 2016/11/13(日) 23:31:47
    日向「日記を?」

    左右田「あぁ、もちろん俺の日記も見せる!見ろ、このソニアさん日記を!」

    といい、左右田は電子生徒手帳を見せつけてくる。

    名前通り、ソニアの細かい情報なんかが書いてあるみたいだ。まるでストーカーじゃないか。

    日向「…俺の日記、そんな使い物になるかわからないけど。ほら。」

    あいつも俺に見せてくれたんだ。俺も見せるのが筋だよな…。

    そんな事を考えながら、左右田に俺の電子生徒手帳を見せた。
  18. 18 : : 2016/11/13(日) 23:32:03
    左右田「…おい、お前が警戒していた理由って…。」

    日向「しっ。」

    口の前に人差し指を置いて、それ以上は喋るなという事を伝える。
    あまり声を出して、十神に作戦を知っている事を悟られたらおしまいだ。

    俺一人でこの十神の陰謀をどうにかしようと考えてたけど、同じ秘密を共有できる『仲間』ができた。

    左右田を危険に晒すような事はできないが…まだ安心できるな。

    14時30分…それが俺らの勝負時。

    『今回の作戦はこうだ。まず、14時30分になったら、俺が叫ぶ。そしたらお前は入口のドアを開けて、全員を避難させろ。』

    声に出して作戦を伝えるのも危険が伴うから、俺はメールで左右田に作戦を伝えた。

    左右田は右手の親指を立てて、了解のサインを出す。

    お前の好きにはさせないぞ、十神!
  19. 19 : : 2016/11/13(日) 23:32:36



    十神「全員集まってくれたな。」

    最初は普通のパーティーだった。
    飯食ったり、話したりして盛り上がっていた。

    時計を見れば、現在の時刻は14時ピッタリ。作戦開始まであと30分…少し俺も楽しもうかな。

    と考えたところで、電子生徒手帳に一通のメールが届いた。左右田からか…と思い、俺は中身を確認する。

    だが意外にも、メールの差出人は七海だった。いや、この際差出人なんて関係ない。問題なのは、その内容だった。

    『電子生徒手帳の時計を確認して。それは電波時計だから、ずれはないはずだよ。』

    最初に見た時は、意味がわからなかった。が、指示通りに電子生徒手帳の時計を確認してみる。

    日向「14時…29分…!?」

    まずい…、もしかして、十神はこれを予測して、時計の時間を狂わせていたのか…!?

    だとしたら、十神はもう俺らを殺す準備はできているはず…やばい!!!

    日向「全員この場から離れろ!!!!!」
  20. 20 : : 2016/11/13(日) 23:33:05
    作戦通り、左右田は扉を開け、たぶん全員避難したことだろう。

    十神「…俺がこの旧館の時計を狂わせている事に気づいたか。愚民にしてはやるではないか。」

    日向「どうして俺らを殺そうとしたんだ!?」

    十神「…俺の日記は、展開が進んで敵が減るに連れ、弱くなっていくからだ。」

    十神「まあお前になら教えてやろう。俺の日記は『ザ・ウォッチャー』。お前ら愚民共の日記を見る事ができる。」

    …なんとなく、察してはいた。

    時計を狂わせる…、俺らの行動を先読みしていたのかと思っていたが、さすがにそれは都合が良すぎる。もしかして、俺や他のやつが、14時30分という時間を読んでいたのを知っていた…という事なんじゃないかって。

    十神「さて、これでお前と俺の一騎打ちになるわけだが…どうだ?お前のデッドエンドフラグは消えたか?」

    ククク…と笑う十神に不安を感じつつ、俺は日記を確認する。

    日向「…(あれ?)」

    消えていた。俺のデッドエンドフラグはもうそこにはなかった。

    が、たぶん十神は、俺にまだデッドエンドフラグがたっていると思い込んでいるはず。

    それなら…と、少し作戦を思いついた。
  21. 21 : : 2016/11/13(日) 23:33:31
    日向(日記を読めるって…?なら…)

    日記の書き換え…『DEAD END』の文字を無理やり追加したら、きっと十神も騙されるんじゃないか。

    日向「……………」

    渾身の演技…これから自分が死ぬ…という時の絶望した顔を浮かばせる。

    十神も日記を確認し、勝ち誇ったような笑いをする。

    十神「日向…俺は御曹司として、これからも勝ち続けなければならない。だが、お前のような、俺を楽しませてくれる愚民に出会えた事には、感謝しているぞ。」

    十神「さあ、終わりだ────」
    その声をかき消すように、後ろの厨房から現れたのは…

    花村だった。
  22. 22 : : 2016/11/13(日) 23:33:54
    花村「うおおりゃああああああ!!!」

    厨房にあった鉄串を手に持ち、十神の不意打ちに成功する。これで一先ず俺の命は助かったわけだが…

    十神「ぐ…あぁぁぁぁぁッッッ!???」

    俺らの事を皆殺しにしようとした奴とはいえ、目の前で悲惨な殺され方をするのは、見ていて辛いものだった。

    花村「さっきの会話…聞いてたよ!パーティーって聞いて…一生懸命作った僕の料理も…これをするために利用されていたなんて…料理人としてのプライドが許さないよッ!!」

    鉄串で何回も何回も刺す。花村の服には返り血が大量に付着している。

    …俺は、目の前で傍観するしかなかった。

    十神の悲鳴を聞いたからか、避難していた奴らもそこに戻ってきた。

    罪木「ふぇええええええ!??」

    澪田「あぶあぶあぶ…」

    左右田「笑い事じゃねえよ…なんで十神が…」

    辺古山「花村…お前が殺ったのか?」

    それぞれ顔に恐怖を浮かべていた。

    確かに俺らの事は殺そうとはしていた。
    でも、こんな殺され方って…

    十神「…」

    日向「あんまりじゃないかッ!!」
  23. 23 : : 2016/11/13(日) 23:34:45
    花村「さって、次の獲物も狩っちゃいましょうか!」

    花村「辺古山ペコ!さあ、キミを調理して差し上げよう!」

    十神は死んで、このパーティーは平和に解決…とはならなかった。

    今度は十神の作戦を乗っ取った花村が暴れ出す。俺の日記にもそう書いてある。

    辺古山「…私は、仲間同士でコロシアイなどしたくはないのだが…己の命がかかっているなら仕方あるまい。」

    花村「おっとその前に…調理する下準備をしなきゃね。…辺古山ペコ!キミは…」

    花村「キミの履いているパンティーは、黒のTバッ────」
    花村の首が刎ねた。

    これがもしギャグ漫画だったら、花村が辺古山の履いているパンツを言い当て、それを言い終える前に、辺古山が口封じをする…まあ平和な物語になったんだろう。

    だが現実はそうもいかない。花村は辺古山のパンツを言い当てる事によって、彼女の動揺を誘ったんだろうが、それが逆に、彼女の気に触れ、一瞬のうちに殺されてしまった。

    こんなの…本当に笑い事じゃねえよ。
  24. 24 : : 2016/11/13(日) 23:35:28



    左右田「おげえええええッッッ!!!」

    ソニア「うぅ…うぅ…」

    日向「………………」

    全員、この光景を見て、人を殺すのを見た恐怖や絶望感を味わっていた。

    狛枝「……ねえ。」

    そんな中、狛枝が口を開く。

    狛枝「あっ、ごめんね。こんな状況で僕なんかが口を開くなんて…許されざる行為だよね。」

    七海「そういう面倒なのはいいからさ、とっとと話してくれないかな?」

    狛枝「あはっ、怒られちゃったね。まあいいや。…あのさ、十神クンがボク達を殺そうとしていたのは明白だよね?」

    全員頷く。確かに、十神は俺らを殺すために、このパーティーを開いた。

    狛枝「で、花村クンは、十神クンの作戦を乗っ取って、ボク達を殺そうとした。それも間違いないよね?」

    確かにそうだ。あいつも、十神と同じように、俺らに対する殺意があった。

    狛枝「問題なのはこの後。辺古山さん…キミは、花村クンをすぐに殺せたけどさ…」

    狛枝「キミにも、人を殺して生き残りたいっていう殺意があったんじゃないのかな?」

    狛枝「いや、強いて言うなら…キミのためではなく、誰が別の人のため?まあそれはなんだっていいんだけどさ…」

    俺らは狛枝の話を黙って聞いている。
    誰も、何も言う事はなかった。
  25. 25 : : 2016/11/13(日) 23:37:01
    狛枝「殺意がある人間が、僕らの中に3人いた。それがルールだとしても、これって随分絶望的だよね?」

    狛枝「たかがこの世界から出るために、ボク達全員を殺そうとしていたんだよ?さすがにそんな行為は見逃せないな~。」

    狛枝「希望の生徒と呼ばれる皆なら、この島での永遠の生活だって受け入れられるって思っていたのに…残念だったなぁ。」

    狛枝「これは…本当に希望なのかな?」

    日向「狛枝…お前は何が言いたいんだよ?」

    狛枝「………それは自分で考えてみる事だね。」

    …俺にはわからなかったが、どうやら周りには伝わったらしい。

    小泉「…最初から、協力なんて無理だった。」

    田中「俺様は元から孤高の戦士…この戦いの掟を守るまでよ…。」

    弐大「なんじゃ…ワシにゃどうしようもないわ。」

    日向「おい…?みんな…?」



    『その日、みんなの心はバラバラになりました。日向くんも、皆も…きっと皆は絶望しているはずです。でも、私にはどうにもできない…。どんな言葉をかけていいかわからないです。』

    『でも、きっと皆なら…希望を見つけられる。絶望の中でも、希望を見つけられると思うんです。』

    『私はそう信じています。』




    -chapt.1- the end/To Be continued
  26. 26 : : 2016/11/16(水) 20:15:17
    -未来日記メモ-


    1st.日向創:事件日記
    →『変な島に連れてこられた』『変なクマがコロシアイを強要してきた』など、自分の巻き込まれた事件について書かれた日記。

    8th.花村輝々:パンツ日記
    →誰がどんなパンツを履いているのかを把握できる日記。これで相手の動揺を誘い、隙を見せる戦法らしいが、相手の怒りを買う羽目になるかもしれない。

    10th.十神白夜:ザ・ウォッチャー
    →全員の日記を見る事ができる。この島に非日記所有者はいないので、ほぼ無敵の日記だが、『誤情報に弱い』という特性を持っている。

    14th.左右田和一:ソニアさん日記
    →ソニアの言動や、人から聞いた情報などを見聞きした際にすぐに書き入れる、いわばストーカー日記



    残り生存者:14人
  27. 27 : : 2016/11/19(土) 00:32:08



    十神のパーティー事件があってから、俺はそのままコテージで寝て疲れをとった。

    もちろんまともになんて寝れなかった。目の前で人が死んだんだ。今だって思い出したら鳥肌が立つ。

    朝起きたら、まず電子生徒手帳を確認する。
    これは俺にとっての日課となっていた。

    昨日のこともあったし、見ない方が自分のため…なんてこともあったかもしれないけど
    それでも見ないわけにはいかなかった。

    日向「…メール?」

    『みんなにジャバウォック公園に集まってほしい。これ以上犠牲を出さないためにも、協力をしてほしい…かもしれない。』

    送ってきたのは七海だった。何かいい案でも思いついたのだろうか…と、適当に準備を済ませてジャバウォック公園へと向かう。

    だけど、こんな状況の中で…果たしてそんな協力ができるのだろうか…という不安もあった。
  28. 28 : : 2016/11/19(土) 00:32:44



    ジャバウォック公園についた。ここが全ての始まり…怒りと恐怖が、胃の中からこみ上げてくるような気分だった。

    しかし、予想外だったのは、全員がここに来た…ってことだ。

    もちろん、花村と十神は除いて…。

    七海「ええと、集まってくれてありがとう。あのね、前回の十神くんの起こした事件…彼の電子生徒手帳を見たら、彼の日記は『全員の日記を読むことができる日記』だったらしいんだ。」

    七海「そんな能力があるなら、やっぱり生き残りが多い時に決着をつけなきゃいけない…でしょ?だから彼は犯行に及んだ…んだと思う。」

    狛枝「なるほどね。自分の日記を活かせる時に活かそうと…十神クンらしいやり方だったね!」

    七海「うん。この事件は、十神クンの日記の内容を全員が把握していれば起こらなかったはず…なんだよね。だからさ…」

    七海「日記を…見せあわないかな?」

    確かに、互いが協力し、信頼しあう上で、日記を互いに把握するのは重要かもしれない。

    でも、今の状況の中で、果たしてそれができるのだろうか…
  29. 29 : : 2016/11/19(土) 00:33:22
    左右田「…しゃーねー。俺のこの日記を見せてやろうじゃないか。」

    最初に口を開いたのは、意外にも左右田だった。
    ってか、あいつの日記を全員にバラすのか…?

    左右田「この俺の日記は『ソニアさん日記』!ソニアさんのことをズラリと書いているぜ!」

    ソニア「…。」

    左右田「…なんてのは冗談で、メカニック日記っすよ。」

    ソニアからの痛い視線を感じたのか、左右田はいきなり嘘をついた。

    七海「私も、自分の才能を活かした『ゲーム日記』っていうのをつけているけど…なんだか、攻略本みたいだからあまり使っていないんだ。」

    七海の日記はゲームか。比較的安全そうな日記だな。
    でも、その日記を使っていたなら、どうして十神が時計の時間を狂わせたことを知っていたんだ?

    終里「オレは『バトル日記』だぞ!弐大のおっさんとのトレーニングをまとめているっぽいし、これのおかげで結構体力は伸びているぞ!」

    終里「もしオレを殺そうなんてやつがいたら…この身体能力で返り討ちにしてやるぜ!」

    日向「俺の日記は事件日記…この島で起きた事件を書き記してある。」

    しかし、俺が自分の日記について告げたのを最後に、この流れは自然と終わった。

    他の奴らは何も口を開かない。きっと、まだ警戒をしているか、それとも…

    いや、それともなんて考えちゃダメだよな。もっとみんなと協力して、信頼関係を得られれば、まだ希望はあるはずだ。
  30. 30 : : 2016/11/19(土) 00:33:45
    七海「日向くん。ちょっと来て。」

    公園から出て、コテージに帰ろうとした時だった、七海に呼び止められた。

    日向「どうした、七海?」

    七海「ちょっと来て。」

    何の脈絡もなく、唐突に腕を引っ張られ案内される。

    日向「ちょっと待て、まさか殺す気じゃないよな…?」

    七海「…目的は言えないけど、殺しはしないよ。私の日記じゃ、日向くんには勝てないからね。」

    日向「日記が優れていたら、殺すつもりだったんだな…」

    七海「…いいから行くよ。」

    ぐいっと腕を引っ張られる。思った以上に力が強い。

    そのまま引っ張られて着いたのは、橋の目の前だった。

    日向「あれ…ここって前まで封鎖していなかったか?」

    七海「なんでか知らないけど、開いてたんだよ。こっちは…第2の島に繋がっているみたい。」

    電子生徒手帳を見ながら、七海はそう答えた。
    そっか、これにはマップ機能もあるのか…ゲーマーっていうだけあって、地図やマップはまめに確認する癖でもあるのかな。

    なんて関心していると、七海にまた腕を引っ張られる。痛い。

    七海「先に行こう。」

    日向「痛い痛い!!わかった!行くから離せ!」
  31. 31 : : 2016/11/19(土) 00:34:29



    引っ張られたまま第2の島にある『遺跡』に着いた。腕が痛い。

    七海「ここにいるはず…だと思うけど。」

    何が…だ?と聞く前に、既に『ソレ』は目の前に居た。

    モノミ「な、七海さん…」

    七海「えっと、ウサミ先生…かな。なんだか容姿が違うみたいだけど…」

    モノミ「モノクマに改造されちゃいまちた…うぅ、あちしもうお嫁に行けない…。」

    日向「…で、俺達をこんな目に合わせて、お前らの目的はなんなんだよ!?」

    目の前にいるウサギのぬいぐるみ…こいつが、俺達をこんなコロシアイに参加させた悪の元凶。『許せない』という気持ちが、俺の中にいっぱいになった。

    モノミ「あ、あちしはミナサンを守ろうとして…」

    日向「守る?これがか?こんな状況で冗談なんか言われたって、何も面白くねえんだよ!」

    七海「日向くん、落ち着いて。確かにウサミ先生は、ここに私達を連れ込んで、変なコロシアイに参加させた主犯かもしれない…」

    七海「だけどさ、まだ決めつけるのは早い…と思うよ?もっと確証が得られるようになってから問い詰めようよ。」

    日向「…どうしてお前がこいつを庇うんだ?」

    七海「庇っているわけじゃないよ?今は、私達の仲について集中しようって思っただけだよ。」

    日向「…確かに、今はこんな奴に構っている暇はないな。」

    七海「うん。今はウサミ先生…いや、ウサミなんか放っておいて、みんなが協力できるように頑張ろう!」

    日向「…だな!」

    なんだか目標が見えた気がした。
    俺に目標を与えるために、七海はここに連れてきてくれたのか…?

    警戒して損した。七海はいい奴じゃないか。
  32. 32 : : 2016/11/19(土) 00:34:53
    七海「なんだか付き合わせちゃってごめんね。でも、これでわかってくれた…かな?」

    日向「あぁ、ありがとな、七海。」

    七海「『七海千秋は仲間になりたそうな目でこちらを見ている』。」

    日向「?!」

    七海「『仲間にしますか? →はい いいえ』」

    日向「お、おう…はい。」

    七海「ふふっ、やった。日向くんの仲間になれた。」

    なんだか、このノリにはついていけそうにないな…。

    でも、左右田だけじゃ不安だったし、七海が仲間としていてくれるのはとても心強いよな。

    日向「じゃあ改めてよろしくな、七海。」

    七海「うん、私も日向くんを全力でサポートするよ。」
  33. 33 : : 2016/11/19(土) 00:35:45



    その後も、左右田と合流して3人で過ごした。
    最初はまともに探索もできなかった第1の島と、ついさっき解放されたっぽい第2の島に、何があるのかを確認していた。

    七海「特に武器になりそうなものはなかったね。」

    左右田「俺たちは武器を探してたのか?!」

    七海「うん、だって他の人が武器なんて持っていたら大変でしょ?私達が先に入手して、処分しておかなきゃ。」

    左右田「…あ、あぁ、そういうことか。」

    七海「もしかして、私が武器を使って人殺しをするとでも?」

    左右田「あ、いや…それは…」

    日向「七海はそんなことはしない。そんな奴じゃないってことは、俺がよく知っているよ。」

    左右田「へぇ、そんなに信頼しているんだな?もしかして好きになっちゃった系か?」

    日向「はっ?!ば、馬鹿言ってんじゃ…」

    七海「あははっ、私も日向くん好きだよ。」

    日向「おまっ、七海まで…」

    このまま、ずっと俺ら3人の平和な世界が続いてもいい。

    その時の俺は、何か勘違いしていたかもしれない。

    これはコロシアイのゲーム。平和なんてものは、どこにもなかったんだ。
  34. 34 : : 2016/11/19(土) 00:36:07
    『死体が発見されました!』

    翌朝、良からぬ夢を見た気がした。

    今と同じように、コロシアイをする夢…それも、俺らの手で捜査をして、どいつが殺したのかを暴く…なんて夢だ。

    まあ、そんなことなんて起こらない。だって、この世界は平和だから…
    なんて考えながら、いつも通り電子生徒手帳を開いた。

    すると、一通のメールが入っていた。左右田か七海かと思って、中身を見た。

    日向「…………………。」

    絶望、それが今の俺にぴったりな言葉だろう。

    『14th.左右田和一死亡 クロは6th.辺古山ペコ』

    日向「左右田…?」
  35. 35 : : 2016/11/19(土) 00:36:47
    日向「左右田…嘘だろ?」

    日向「そっか、これも夢だ…あの平和が、俺らの平和が、崩れるわけがない。」

    日向「そうなんだろ?左右田…出てこいよ。なあ?」

    返事は返ってこない。当然だろう。

    日向「ッッ~~~~!!!!!」

    声にならない声っていうのか。
    泣き叫びたかったけど、俺からは涙も叫び声も出てこなかった。

    日向「…。」

    なんで辺古山は…左右田を殺したんだ?

    生き残るためか…?それだけのために、俺らの平和を奪ったのか…?

    だとしたら、俺は絶対に許せない。

    いや、どんな理由があろうと、俺らの平和を奪ったあいつだけは…

    と考えていると、もう一通メールが届いた。

    『もう一回、公園に集まってほしい。』

    七海…このメールを読んだ時に、真っ先に彼女の顔が思い浮かんだ。

    きっとまた何か作戦があるんだろう。今は俺の怒りや憎しみは抑えて、今は彼女に従うのが得策だ。
  36. 36 : : 2016/11/19(土) 00:37:27



    これで何度目の公園だろうか…と、あたりを見回してみる。
    今度は全員はいなかった。辺古山だけいない。

    七海「辺古山さんは…呼ばなかったよ。なぜなら、今回君達を呼んだのは他でもない…」

    七海「辺古山さんを捕らえるためだからね。」

    西園寺「捕らえるってどうするのさー?テキトーなことばっか言っていると、蟻の死骸を鼻の中に突っ込むよ?」

    七海「それは嫌だね。そうならないようにも、作戦の内容をちゃんと話さないとね。

    七海「知っての通り、花村くんに左右田くんと、2人もの仲間を殺した辺古山さん。彼女はやっぱ要注意人物だし、殺すまでは行かなくとも、捕らえて監視程度はしておいた方がいい…と思う。」

    七海「そこで、私が注目したのは、殺された2人の死体…特に、花村くんの死亡時は全員目撃しているからわかると思うんだけど、竹刀の中の刃物を使っている…と思うんだ。」

    七海「それがある以上、迂闊に手は出せない…からね。」

    七海「今回の作戦は、終里さんを軸にして行おうと思うんだ。」
  37. 37 : : 2016/11/19(土) 00:38:01
    終里「オレか?」

    七海「うん、君のバトル日記…だっけ、それ通りの特訓をしている終里さんは、物理攻撃に特化した人間へとなっていると思うんだ。」

    七海「辺古山さんも、超高校級の剣道家って呼ばれているくらいだし、あの花村くんの殺し方を見てもわかるとおり、厄介なくらい強い…と思う。」

    七海「だから、終里さんくらいの身体能力があった方がいいんだけど…いいかな?」

    終里「もちろんだ!辺古山とのバトルか…楽しみだなー!」

    七海「もちろん危険も伴うから、もう一人…日向くんでいいかな。彼の日記は、終里さんのサポートに最適…」

    日向「俺か…?」

    七海「うん、後一人欲しいところだけど…。」

    九頭龍「なら俺がやる。」

    珍しくも、パーティーにすら参加しなかった九頭龍が名乗り出た。どんな心の入れ替わりか…なんて考えていたが、七海はすぐに了承した。

    七海「それじゃあ、その3人で辺古山さんの捕獲作戦に移って貰おうか。実行は明日…私達は、ここで応援しているよ。」

    …『俺か?』なんて間抜けそうなことを言っておきながら、内心このチャンスを逃すわけにはいかないと思っていた。

    左右田の仇をとるチャンス…七海は捕らえろって言っていたが、殺すつもりでやる。

    七海「それじゃあ、解散ー」

    辺古山…お前に逃げ場はない。
    左右田を…俺たちの平和を奪ったお前を、俺は絶対に許さない。
  38. 38 : : 2016/11/19(土) 00:38:25



    狛枝「やあ、七海さん。」

    七海「あれ、狛枝くん。帰っていなかったの?」

    狛枝「どうしてもキミに、称賛を送りたくてね。」

    七海「何のこと…かな?」

    狛枝「キミの目的は、最初から辺古山さんの内通者なんでしょ?辺古山さんは、そいつを釣る餌として、泳がせている…。」

    狛枝「彼女のピンチともなれば、きっとその内通者も名乗り出てくる…そこで名乗り出たのは、九頭龍クンでした…と。」

    七海「…それで?」

    狛枝「いいや?こんな七海さんも、割と狡猾なことをするな~って。大事なクラスメイトだなんて言っていた終里さんと日向クンは、命の危ういところに送られても問題はないって?」

    七海「違うよ?私は、彼なら生き残れるって信じているだけだよ?彼を信頼しているから、彼を敵地で成長させようって話…かな。」

    狛枝「あっはは!まるで育成ゲームのノリだね!超高校級のゲーマーに相応しいよ!」

    狛枝「じゃねっ、ボクはそれが言いたかっただけだからさ。後はキミ達で適当にやってよ。」

    七海「…。」
  39. 39 : : 2016/11/19(土) 00:39:48



    日向「こっちだ。」

    辺古山の移動先が俺の日記に記されている。この日記通りに道を進めば、恐らく辺古山を待ち伏せして捕えられるはずだ。

    問題は、あいつの日記…あいつが持っている日記によっては、この作戦も破綻する。そうなれば…
    捕らえることは諦め、殺す。

    俺としては、後者になった方が嬉しい。七海はダメだって言っていたけど、やっぱり左右田を殺したあいつを、ただ監視するだけじゃ許せない。

    もう平和な世界は終わり…俺は、コロシアイに参加する。

    七海には悪いと思う。あんなに全員が平和に暮らせるように努力をしているのに、俺がその想いを踏み躙ってしまうのは…

    だけど、やっぱりやるしかない。

    日向「やるしか…ないよな。」
  40. 40 : : 2016/11/19(土) 00:40:07
    視点:日向⇄辺古山

    辺古山「…」

    日向たちは、大きな勘違いをしている。

    一つ目は、私とお前達が、3対1だと思っていること。私には既に『仲間』がいるというのに、だ。

    二つ目は、終里の身体能力が、私を上回っていると思っていること。

    最後に三つ目は、私にお前達の作戦は筒抜けだということだ。

    邪魔な者は始末する。こんな企画、逆に乗っ取って、お前達2人を殺してくれよう。

    これも全て、坊ちゃんのため…
  41. 41 : : 2016/11/19(土) 00:40:42
    視点:辺古山⇄日向

    日向「…さっきの作戦通りだ。いいな?」

    終里「おう、オレに任せろ!とりあえず脅してぶっ殺せばいいんだろ?!」

    日向「あぁ、頼んだぞ、終里。」

    お前らの作戦なんて、最初からわかっていた。
    俺の未来日記に書いてあるからな。

    日向「さて、九頭龍。そろそろお前の出番だぞ。」

    九頭龍「待ってくれよ…こいつは大きな勘違いだ。俺があんな殺人鬼の仲間だって?ざっけんな!」

    日向「未来日記は嘘をつかない。どんな経路を通ったって、お前らが仲間であることに変わりはないはずだ。」

    九頭龍「信じてくれよ…。」

    日向「あぁ、ダメだ。」

    九頭龍冬彦は、辺古山ペコと手を組んでいる。相方を助けるために、こいつは作戦に参加した。

    日向「仲間がいることくらい、日記がなくたって考えていた。」
  42. 42 : : 2016/11/19(土) 00:41:06
    終里「おーい!日向ー!辺古山が来たぞ!」

    辺古山「…何をするつもりだ?」

    日向「来たか、辺古山。」

    あいつが来たことを俺が確認すると、縄で縛った九頭龍をそこに放り投げる。

    辺古山「!!坊ちゃ…」

    それを見て焦ったのか、辺古山も『坊ちゃん』と言いかけた。坊ちゃんと呼ばれている九頭龍と、そう呼んでいる辺古山が、仲間関係がないわけがない。

    日向「いいか、俺らの目的は、お前の自首だ。できない場合は、こいつを殺す…どうだ?」

    辺古山「殺すといっても…凶器がないじゃないか…。」

    冷静さを取り戻したつもりか、辺古山。
    残念だが、凶器はお前の目の前にある。いや…目の前にいる。

    終里「凶器はオレだ!お前がオレ達の指示を聞かないんだったら、お前の目の前でこいつを殺してやるぜ!」

    日向「一応、俺も予備に包丁を持っている。終里を抑えようとしても、俺がその間に刺すこともできる。」

    いわゆる詰み。どちらの命が最優先か。さっきの『坊ちゃん』呼びからも察せられるように、やはり九頭龍とは想像以上に親密な関係にあった。

    とっとと自首しろよ、お前の顔を見ていると無性に腹が立つんだ。
  43. 43 : : 2016/11/19(土) 00:41:26
    辺古山「終里。私はこの先、九頭龍坊ちゃんを生かすために、自らの命を捨てる覚悟がある。だが、お前のような身体能力の持ち主…坊ちゃんが生きていく上で最も邪魔で、害悪となりかねない者だろう。」

    辺古山「私が何を言いたいか、わかるな?」

    終里「訳わかんねーよ!!もっとハッキリ言えよ!!」

    辺古山「刺し違えてでも、貴様を殺すということだ!」

    竹刀袋から取り出した、本物の刀を構える辺古山。

    日向「おい、何をやってる!?こいつが死んでもいいのか!?」

    首元に包丁を突きつける。殺す、殺す…ってさっきまで言っていたのに、いざ実行しようと思うと手の震えが止まらない。

    日向「………クソッ!」

    俺は決めてただろ…!左右田を殺したあいつだけは許さないって…!

    九頭龍も同じ…許さないって…!

    終里「おい、日向!」

    終里「こういうサバイバルで生き残るコツはな…オレみてーに、何も考えずに殺ることだ!」

    終里が刀を蹴り飛ばす。勢いで少し終里の足が切れたように感じたが、本人はそれすら気にしちゃいない様子だった。

    目の前にいる獲物を仕留めようとする肉食動物…今の終里は、それを思わす『強さ』があった。
  44. 44 : : 2016/11/19(土) 00:43:45
    辺古山「ッ!」

    終里「武器を取りに行こうとしたって無駄だぜ。」

    バキッという音と共に、辺古山の刀は折られた。

    終里「これでお前は無力化された。大人しく捕まれ。」

    無力化…その作戦があったか。

    俺が周りを見れていなかった。終里は辺古山を無力化して、穏便に済ませることができた。でも俺は…俺は、ずっと殺すことしか考えていなかった。

    さっきの強さとは違う…優しさと言える強さが、今の終里にはあった。

    俺はそのどちらも持っていなかった…改めて自分の弱さに気付く。

    辺古山「まだ…だ!」

    終里「しぶとい奴は嫌いじゃねえが、こういう時は話が別だぜ。」

    ガンッと辺古山の頭を抑えて取り押さえる。

    終里「なあ、日向。オレはな、平和ってんのは、お前らだけじゃなくて…みんなで作り上げるモンだと思うぜ?」

    終里「もちろん、あのツナギ野郎のことを忘れろとは言わねえよ。でもな…だからっつって、こいつを殺していい理由にはなんねえよ。」

    終里「冷静になれ。」

    そっか…俺は熱くなりすぎていたのか。

    こんな変な島に連れてこられて…折角できた友達…左右田が殺されて…きっと、それが耐えられなくって…

    日向「は…はは…なんで…わからなかったんだろうな…。」

    遠回りでも、俺はこの結論に辿り着けた。

    コロシアイなんて、無理だ。
  45. 45 : : 2016/11/19(土) 00:44:11



    七海「お疲れ様、日向くん。終里さん。」

    再びこの公園に戻り、そして、今まであったことを全部説明した。

    日向「七海…。済まない。」

    七海「別にいいんじゃないかな?君は殺すとかどうとかって言っておきながら、結局人は殺せなかった。最悪のケースは逃れられたし、今回の作戦においての犠牲者が出なかったのは不幸中の幸い…って言ったところかな。」

    七海「左右田くんのこと…きっと辛いと思う。けどね、左右田くんのために人を殺すっていうのは…たぶん、君の自己満足に過ぎないと思うんだ。」

    七海「本当に平和を望むなら、やっぱりコロシアイなんてダメだよ。」

    日向「…もちろん、もうこんなことはしたくない。」

    澪田「維吹もこれ以上こんなことはしたくないっすー!」

    ソニア「私も…やっぱりコロシアイなんてダメですよ!」

    十神のあの事件からまとまらなかったみんなが、ようやくまとまり始めた。

    長くて遠い…だけど、やっぱり行き着く先は同じ…ってことか。

    狛枝「それは違うよ。」
  46. 46 : : 2016/11/19(土) 00:44:29
    日向「狛枝…?」

    狛枝「もしかしてさ、これで全部一件落着…とか思っていないよね?」

    七海「違うの?」

    狛枝「もちろん!キミ達が平和ごっこをしている間にも、既に事は始まっているんだよ。」

    狛枝「ボク達は…互いを殺し合う運命にある。」

    日向「なんでだよ…!?みんなさっき、コロシアイはしたくないって言ってたぞ…?」

    狛枝「それは本当かなあ?まあ本当だとしてもいいよ。そしたらボクが、一人一人殺していくからさ。」

    日向「…は?」

    理解ができなかった。あんなに希望だどーだと言っていた狛枝が…俺たちのことを殺すって?

    狛枝「ま、それもきっとないよ。ボクなんかが出る幕もなく、キミ達は必ずコロシアイを起こす。ボクはそれを、高みの見物…なんてね。」

    それだけ言うと、狛枝は何か思い出したように、フラフラとコテージの中に帰っていった。

    七海「気にしなくていい…と思うよ。」

    日向「あ、あぁ…。」

    七海「これでいいんだよ。これで…」

    その時の七海は、微かに震えているように感じた。…俺の気のせいかもしれないが。
  47. 47 : : 2016/11/19(土) 00:44:50



    視点:日向⇄???

    ホテルのロビー付近にある旧館。
    各コテージと距離が近く、拘束する場所としては最適だった。

    ここに囚われているのは、辺古山ペコと、九頭龍冬彦。

    まあ、そうだろうね。日向たちが、ちゃんと捕まえてくれたんだもん。

    お陰で手間が省けた。ありがとうね。

    厨房から、花村が十神を刺した時に使っていた鉄串を持ってくる。

    辺古山「…随分物騒な物を持っているな。」

    「アンタ達の顔を見ていると、ずっとずっとずっとずっとずっとずっと殺したくて殺したくて仕方がなかったのよ。」

    九頭龍「お前の口からそんな言葉が出るとは思わなかったな。っつうか、テメーはコロシアイには参加しない穏便派じゃなかったのかよ?」

    「もちろん、他の皆とはコロシアイはしたくないよ。維吹ちゃんやソニアちゃん、蜜柑ちゃん…もちろん日寄子ちゃんも、みんな友達だからね。」

    「ただ、アンタ達2人は別。個人的に恨みがあるからね。」

    九頭龍「俺らがお前からどんな恨みを買ったかなんざ、いちいち覚えちゃいねえが…どのみち死ぬ運命だ。好きにしやがれ。」

    「じゃあ、お構いなく────」

    手に持った鉄串で、辺古山ペコの左目を突き刺す。

    辺古山「ッ~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!」
  48. 48 : : 2016/11/19(土) 00:45:27
    あははっ、痛いよね!!!痛いよねぇ!!!!

    それと同じ痛みを味わって…彼女は死んだんだよ?

    金属バットまでは再現できなかったけど、これでも十分痛みを味わうことができるはず。

    九頭龍「殺すならはよ殺せよ!!?どうしてそうやって…!!」

    「私はアンタ達のことは殺さないよ。こうやって痛みを加えて、体力切れて死ぬのを待つだけ…そうすれば、ほら。私が犯人だってメールも届かないし、今まで通りやっていけるでしょ?」

    辺古山「うぅ…坊ちゃん…」

    九頭龍「ペコ…クソッッ!!!!!!」

    「次はアンタの番だよ…九頭龍冬彦。」

    そういいながら、再び鉄串を振り下ろす。

    あっ…

    手を滑らせ、鉄串を心臓に刺してしまった。

    「あ~あ、殺っちゃった。」

    辺古山「坊ちゃん……………!!」

    カランカラン…と音をたて、鉄串は彼女…辺古山ペコの前で止まる。

    「アンタは道具…なんだっけ?持ち主のいない道具なんて、役に立たないよね。死んだ方がいいんじゃない?」

    「なーんてね!私は返り血を洗い流さないとだから、また今度ね。」

    なんて言い残し、旧館を出る。
    ちょっと失敗しちゃったけど、まあ大丈夫…だよね。
  49. 49 : : 2016/11/19(土) 00:45:40



    視点:???⇄日向

    翌朝、狛枝のあの発言が妙に気になって、満足行くまで眠ることができなかった。

    確かにあの発言は気になるけど、やっぱり今が平和であることに変わりはない。

    今日もいつも通り、電子生徒手帳を確認する。
    そうすると、2件ものメールが届いていた。

    七海か…?なんて考えながら開いてみたら、それは俺の予想を遥かに超えるメールn内容だった。

    『9th.九頭龍冬彦 死亡,クロは15th.小泉真昼』
    『6th.辺古山ペコ 死亡,クロは6th.辺古山ペコ』

    日向「………嘘、だろ。」

    全員の平和が訪れるって思っていた。

    なんで…なんで俺達に平和は訪れないんだよ…?
  50. 50 : : 2016/11/19(土) 00:47:00



    七海「いらっしゃい、日向くん。」

    日向「お邪魔します。」

    七海に部屋に呼ばれた。
    女子の部屋なんてはじめてだが、何せこの状況だから感想も何もなかった。

    七海「うーん、失敗だったね。」

    日向「なんでお前はさ…仲間が死んで、そんなに平然としていられるんだ?」

    七海「なんでって…悲しいとか、辛いって感情がないから…じゃないかな。」

    日向「…なんでその感情がないんだ?」

    七海「それは教えられない。」

    日向「…そっか。」

    こうでもして七海に無理やり話しかけでもしないと、また俺の気がどうにかなりそうだった。

    七海「うーん、君もなかなか悩んでいるんだね。」

    日向「確かに、辺古山は左右田を殺した元凶で、俺も何度も、死んでほしいって思ったこともあった。」

    日向「だけど、終里や七海にこうやって教えられて、人を殺すのはよくない…なんて、今更常識を学べられた。」

    日向「だからこそ、やっぱり悔しい…よな。犯人が、殺すという行為を留まれなかったのが…。」

    七海「そっか…。」

    それ以上は、互いに何も喋らなかった。
    いや、喋れなかったというのが正しいだろうか。

    どうやら俺らは、ソファの上で寄り添って寝ていたらしい。

    -chapt.2-the end/To Be Continued
  51. 51 : : 2016/11/19(土) 00:53:38
    -未来日記メモ-



    6th.辺古山ペコ:私が日記
    →所謂交換日記。九頭龍と辺古山で互いの情報を共有できる。

    7th.七海千秋:ゲーマー日記
    →ゲームの必勝法やマッピングなどを記したもの。しかし、これだとまるで攻略本に頼っているみたいなので、彼女自身はあまり使わないんだとか…

    9th.九頭龍冬彦:極道日記
    → 所謂交換日記。九頭龍と辺古山で互いの情報を共有できる。

    16th.終里赤音:バトル日記
    →弐大とのトレーニング日記。どこを鍛えれば勝てる、どこをどうすれば強くなれる等のアドバイスを細かく記している。そのため、彼女の人を殺す能力は人一倍高いと言えるだろう。



    残り生存者:11人
  52. 52 : : 2016/11/19(土) 01:07:10
    これは期待
  53. 53 : : 2016/11/19(土) 17:49:52
    ありがとうございます!期待に添えられるように頑張ります!
  54. 54 : : 2016/11/19(土) 18:30:44
    七海「おはよう、日向くん。」

    日向「……七海?」

    まだ眠い…と思いつつ、目をゴシゴシと擦り辺りを見回す。

    あれ、そもそもどうして俺は七海のコテージで寝ているんだ?

    七海「…。」

    日向「………あっ。」

    思い出した。俺は七海のコテージに呼ばれて、そのまま七海と寝て…

    んっ…?

    日向「あぁ、いや!決してやましい思いがあったわけじゃ…」

    七海「公園。」

    日向「え?」

    七海「公園で待っているよ。」

    この状況で公園に呼び出し…?

    何かを期待をしてしまう自分がいた。
  55. 55 : : 2016/11/19(土) 18:32:39



    七海「集まってくれたのは…。」

    そこには、田中とソニア、澪田、終里、そして俺と七海…6人もいた。

    期待通りには…ならないよな。

    七海「今回事件を起こした小泉さんに加え、狛枝くんに罪木さん、西園寺さん、それに弐大くんもいないね…。」

    七海「あのね、2人の死因を、また私が勝手に調べてみたんだけどね…実は、凶器として使われたのは、花村くんが使った鉄串程度の細長い物だったんだ。」

    七海「辺古山さんは、それで左目を貫かれ、九頭龍くんは、心臓を一突きだった。たぶん深夜くらいだった…と思うよ?」

    七海「たぶん犯人…小泉さんは、2人を痛めつけるだけ痛めつけて、止めは刺さずにしていたんだろうけど、手が滑っちゃったのかな。九頭龍くんは自身の手で殺す羽目になってしまった…っぽいよ。」

    日向「今回も、小泉を捕らえるのか?」

    七海「ううん、今回はやめようかなって思う。小泉さんと、来ない残りの4人が連携を取っていたら、折角集まってくれたみんなを危険に晒す事になるし…。」

    七海「今回は自然消滅を待ってみようかな…なんて。」

    やっぱり、これ以上俺たちの手で争いはしたくないもんな…。捕らえるとか捕えないとか…今そういうのは嫌…だよな。
  56. 56 : : 2016/11/19(土) 18:33:03
    七海「ついでだし、今度こそ、日記の確認でもしようか?」

    ソニア「そうですね…今は私達だけでも、協力しあうことが重要ですもんね!」

    ソニア「私の日記は王女日記…といっても、王女としての記録というより、ただ夜に今日の出来事を書き記すだけなんですけどね…。」

    澪田「おっ、ソニアちゃんと被ったっすねー!維吹の日記は、維吹の日記っす!夜に今日の出来事をバーって記したヤツっす!」

    田中「俺様の日記は飼育日記…我が破壊神暗黒四天王の習得技などを記した、俺様だけの日記だ…。」

    七海「…うん、把握したよ。ありがとう、みんな。じゃあこれから私達6人はソウルメイト…だね。」

    失ったものは大きいけど、それ以上に俺たちは前進している。

    今度こそ、平和になれるはずだよな…?
  57. 57 : : 2016/11/19(土) 18:33:18



    視点:日向⇄小泉

    九頭龍を殺して1日、どうやらみんなは行動に出ないらしい。

    私の日記は『写真日記』。写真付きというのが一番の利点で、状況の把握がどの日記よりも楽で簡単になっている。

    小泉「ま、九頭龍と辺古山を殺すって目的も達成できたし、後は日寄子ちゃんと協力体勢とって生き延びようかな。」

    なんて考えていると、生徒手帳からノイズ音が鳴る。

    それと同時に、コテージのドアがドンドンと叩かれた。

    嫌な予感のした私は、まず自分の日記を確認する。

    『(写真添付)謎の覆面に襲われて、私は死んだ
    DEAD END』

    そして、その写真を見てみる。
    謎の覆面の正体を確かめるためにも…

    小泉「何…こいつ…。」

    ゾワッと鳥肌が立った。

    全身黒タイツ、頭には目のようなマスク(というより袋)を被り、更に首元をロープでキツく縛っていた。

    不審者…そうとしか表せない、そんなヤツだった。
  58. 58 : : 2016/11/19(土) 18:33:35
    旧館にあった鉄串を持って、コッソリとドアを開ける。

    目の前に不審者は────

    いなかった。

    小泉「は?」

    「とうっ!」

    小泉「きゃあっ!?」

    コテージの屋根から飛び降りてきた不審者に、思わず私は後ずさりをしてしまう。

    「こんばんは。15th.小泉真昼さん。」

    小泉「あ、アンタ…誰なの?」

    「私ですか?そうですねぇ…正義のヒーロー…なんて。」

    小泉「は?」

    意味がわからない。唐突に私の目の前に現れて、何が目的なの…?
  59. 59 : : 2016/11/19(土) 18:34:12
    「私、正義のヒーローに憧れていましてね。」

    「ほら、ここ。変身ベルトもちゃーんと着いている。」

    不審者の指さすお腹の部分には、確かにベルトっぽいものがあった。

    だからどうした…というのが、今の私の正直な感想だけど。

    「そうですね…名乗るとしたら『トゥエルフス』なんてどうです?ヒーローっぽいでしょう?」

    小泉「ふざけてるの…?!」

    相手のペースにのまれてはいけない…。
    そう考えて、私は手に持っていた鉄串を刺そうとする。

    そして、それは見事に頭にヒットした…と思っていた。

    小泉「は…?」

    頭の部分だと思っていた袋の部分には、綿が積もっていた。

    じゃあ、誰がこの中にいるの…?
  60. 60 : : 2016/11/19(土) 18:34:33
    「混乱しているようだなぁ。」

    そして現れたのは、もう一人の不審者…いや…

    5人の不審者だった。

    頭のおかしい変態のような動きで、5体の不審者は私の前に並ぶ。

    「「「「「5人揃って『ゴトゥエルフス』!!!!!」」」」」

    ………は?

    小泉「いい加減にしなさい!私はそんな、アンタ達の冗談に付き合っている暇はないのよ!?」

    頭じゃないならもっと下に致命傷がある…そう考えて、私はもう一度鉄串で攻撃する。

    それでもやっぱり入っているのは綿だった。

    「そいつは私の偽物。本物の私以外は、全員綿しか入っていないぞ。」

    小泉「いや、それはおかしいわよ…!?どう考えたって、綿だけじゃ動かせるはずがない。」

    「それが甘いところ。正義のヒーローと呼ばれるこの私に、不可能などないのだッ!」

    一人のトゥエルフスが両手を広げるのと同時に、他のトゥエルフスも両手を広げ、こっちを煽ってきている。

    小泉「なら、全員鉄串で刺して、確かめてやりゃいいんでしょ?」

    小泉「日寄子ちゃん!」
  61. 61 : : 2016/11/19(土) 18:34:50
    視点:小泉⇄西園寺

    西園寺「ド変態野郎が!小泉おねぇに手を出すなッ!」

    私の日記は『小泉おねぇ日記』。小泉おねぇと遊んだことを記録している。

    だから、小泉おねぇから呼ばれた時や、小泉おねぇからの指示や連絡は全部入ってくる。写真付きのおねぇの日記に、私の日記の能力で、私達2人は最強になれるんだ。

    だけど、刺したのは偽物だった。頭上から鉄串を刺して中を確認しても、やっぱり入っているのは綿だけだった。

    なのに動ける。一体なんで…?

    小泉「アンタ…正義のヒーローって言っているけど…私達を殺すのがどこの正義なワケ?」

    西園寺「そーだそーだ。」

    「まだわからないのか。」

    「小泉真昼。お前は2人もの人間を殺した罪深き人間!」

    「そして、それに協力する西園寺日寄子、貴様も邪悪そのもの!」

    「ゴトゥエルフスは、貴様らみたいな悪人を許さない!刺し違えても殺す!」

    「それが我々の宿命だ!」

    西園寺「小泉おねぇは、小泉おねぇの友達を殺したあのチビと殺人鬼を殺しただけじゃん!何が悪いの?」

    小泉「それに、アンタだって、今人を殺そうとしているじゃん?それだって、正義に反する行為じゃないわけ?」

    「私は、私の信じた正義を実行するだけ。私が人を殺すのも、正義の行いと判断できれば、それは私にとっての正義なのだ!」

    西園寺「あーあ、やだやだ。聞いてて恥ずかしくなっちゃうよー!」

    小泉「日寄子ちゃん、とっとと殺ろう。」

    西園寺「うん!小泉おねぇ!」
  62. 62 : : 2016/11/19(土) 18:47:29
    視点:西園寺⇄小泉

    血…!

    一体のトゥエルフスを刺すと、そこから大量の血が飛び出す。こいつが本物…!

    日寄子ちゃんの日記にも、きっと命令が届いたはず。これで私のデッドエンドフラグは回避された…はず。

    小泉「日寄子ちゃ────」

    突然の大爆発。

    「実を言うとですね…本物に攻撃されると、神経を伝達して、偽物が爆発する仕組みになっているんですよ。」

    「きっと、その爆発に巻き込まれた西園寺日寄子は…」

    「死亡ですよ。」

    小泉「え…?」

    爆発した方向を見てみる。日寄子ちゃんはいない。

    逃げたんだ。きっと逃げた。そうだよ、日寄子ちゃんが死ぬなんて…

    「もし生きているって思うなら、日記を見てみればいいじゃないですか。」

    「といっても────」

    小泉「え…?」

    「日記を確認させる時間なんて、与えませんけどね。」

    背後に鳴る大きな、大きな爆発音。

    焼けるような熱さ。というより、きっと焼けているんだろう。

    そんな中、私が最後に聞き取ったのは

    『正・義・完・了』

    という、あいつの日記から発せられた言葉だけだった。
  63. 63 : : 2016/11/19(土) 18:47:49
    視点:小泉⇄???(トゥエルフス)

    「さて、モノクマ、見ていたのでしょう?」

    モノクマ「はいはーい、キミが聞きたいことは大体察しているよ。」

    モノクマ「『もし事故死の場合、メールにはどう届くか』…って話でしょ?」

    「私の名前がメールに届くくらい問題はないんですけどね。私は私の信じる正義に進んでいるだけですから。」

    モノクマ「もちろん、故意に行われた殺人のため、ちゃんとキミはクロとしてメール配信されるよ!」

    モノクマ「運良く生き延びようなんて思っていたかもしれないけど、きっと彼らはそれを許さないだろうね!」

    「別に構いませんよ。」

    モノクマ「およよ?」

    「私は最初から、孤高の正義のヒーローですからね。」

    「仲間ごっこもお終いです。これからみんなが敵。勝つ者こそが正義。そんな世界へと変わるんですよ。」

    モノクマ「へぇー、大層なこった。まあ頑張ってください。」

    モノクマ「田中眼蛇夢クン。」
  64. 64 : : 2016/11/20(日) 17:39:45



    視点:田中⇄日向

    朝、いつもの朝。

    平和か平和じゃないかもあやふやで、よくわからない世界の朝。

    いつものように、俺は生徒手帳を見る。

    …一件のメール。

    嫌な予感がした。正直、メールの中身は見たくなかった。

    だけど…だけどやっぱり…

    現実にちゃんと向き合わないと…。
  65. 65 : : 2016/11/20(日) 17:40:00
    『3rd.西園寺日寄子 死亡,クロは12th.田中眼蛇夢』
    『15th.小泉真昼 死亡,クロは12th.田中眼蛇夢』

    田中…!?

    同時に2人も殺したのか、あいつ…!

    ということは、やはり…

    『公園に集まって。いつもの作戦会議をしようと思う。』
    と、お決まりのメールが届いた。

    俺の望む平和な世界は、いつになれば訪れるんだよ…?
  66. 66 : : 2016/11/20(日) 17:40:20



    七海「…。」

    あれ…?

    田中「…。」

    どうして、田中がここに来ているんだよ…?

    七海「…どうやらね、田中くんから話があるらしいんだ。私も、どんな話だかは知らないんだけど…」

    田中「済まない。では少しの間、我が記録を聞くがいい…。」

    田中「俺様はこの世界の全てを制する覇王と呼ばれる存在…しかしながら、この場において無意味に力を用いるのは控えようと思っていた。」

    田中「しかし、あの魔界の女は、下僕を引き連れて俺様に戦いを挑んだ。孤高の戦士と呼ばれし俺様は、背を向けて逃げ出すなんて選択肢はなかった。」

    田中「もちろん俺様は、無力化を目指した。貴様達が平和を望む気持ちは俺様もよく理解していた。貴様達人間の生温い平和のために、俺様は極力力を抑えるよう努力した。」

    小泉と西園寺に殺されそうになったから、戦いながら無力化を図った…ってことだよな?
  67. 67 : : 2016/11/20(日) 17:40:32
    田中「しかしッ…!奴らは下衆な事に、俺様の破壊神暗黒四天王を…破壊神暗黒四天王を…ッ!!!!」

    田中「その命潰えた時、俺様の怒りは誰にも抑えられなくなった。」

    田中「衝動的殺人…それは、人間に限らず、生物の世界においても非常に愚かで、醜いものだ…。」

    田中「それを…この俺様がしてしまったということ…恥と悔いが残る結果となってしまった。」

    田中「だからと言って、この愚かな俺様を許せとは言わん。だが…俺様に貴様達穏健派に敵意はない…という事を理解してもらいたかった。」

    田中のハムスターが殺されて、怒って殺してしまった…ってことだよな。

    …田中の話が終わると、公園内は静寂に包まれた。
  68. 68 : : 2016/11/20(日) 17:40:46
    ソニア「そんなのって…。」

    澪田「眼蛇夢ちゃんはどこも悪くないじゃないっすかー!」

    田中「よせ。俺様が言いたい事は、貴様達は殺しに来ない限り、俺様は貴様達を殺す事がない…という意思表明のようなものだ。」

    七海「わかったよ。逆に言えば、君を刺激するような事をすれば、殺される恐れがある…ってことだね?」

    田中「物分りがよくて助かる。破壊神暗黒四天王という一種の心の支えを失った今、俺様の力の制御は困難だ。そんな中で攻撃されれば、危うく殺しかねない…それを頭の片隅にでも置いておくがいい…。」

    そう言い残すと、田中は公園を去っていった。
    どこか寂しそうに…いや、きっと寂しかったに違いない。
  69. 69 : : 2016/11/20(日) 17:41:03



    視点:日向⇄田中

    狛枝「やあ、田中クン。」

    私のコテージに、なぜか4th.狛枝凪斗が訪れた。

    もちろん私は、普段通りの高慢さを振る舞う。

    田中「どうした、神に恵まれし少年。」

    狛枝「幸運って言いたいのかな?あっは、いや、キミが西園寺さんと小泉さんを殺したことについてなんだけどさ────」

    ふっ、さっきの穏健派の奴らはまんまと騙されてくれたが…狛枝ともなれば、やはり一筋縄では行きませんかねぇ…。

    まあ、言い訳はするだけしよう、なんて考えていると────

    狛枝「変身してくれないかな?」

    田中「ッ!!?」
  70. 70 : : 2016/11/20(日) 17:41:19
    田中「ふぅ、バレてしまっては仕方ありませんね。」

    コテージの中から変身ベルトを漁る。

    田中「へ~~~ん、しんッ!!!」

    タイツと手袋、そしてマスクをロープで縛って…と、相手の目の前で変身してみせる。

    狛枝「やっぱりね。ボクの予想通りだったよ。」

    狛枝「桜見市で有名となっている、全盲の代わりに、尋常じゃない聴覚を持つ、自称正義のヒーロー『12th』。キミはそれをリスペクトしているんだよね?」

    狛枝「正義関連でいくと、スペインで有名になっているシリアルキラー『キラキラちゃん』って話を、ソニアさんから聞いたけど…まあスペインだしキミとは関係ないよね。」

    田中「ふっふっふ…あなたは大きな勘違いをしている。狛枝凪斗。」

    狛枝「…へぇ。もしかして、自分こそが本物の12thとでも言いたいの?」

    田中「もちろん。私こそが、本物の12th。桜見市で有名になっている正義のヒーローですよ。」

    田中「私の日記は『正義日記』!全盲である私の代わりに、ボイスレコーダーとして予知を教えてくれる!守るべき弱者、倒すべき悪を記録した、正義の未来日記なのだ!」

    狛枝「あはっ、キミが正義?面白いね、ならボクの『希望』とも勝負してもらいたいものだよ!」
  71. 71 : : 2016/11/20(日) 17:41:36



    狛枝「あっは、本気だね、田中クン。」

    田中「あなたはまだ悪人ではない…殺すことは躊躇してしまいますね。」

    狛枝「あっは、キミを殺した後に、他のみんなも殺してあげるよ。」

    田中「それなら穏健派である弱者の皆さんを守るためにも、あなたを殺さないといけませんね。」

    狛枝「あははっ、それは怖いね。それなら、ボクも本気で迎え撃たなきゃね。」

    全盲である私に、相手の状況は読めない…。
    しかしながら、この千倍の聴覚と正義日記の2つで、相手の行動は全て筒抜け。

    田中「さて、そろそろ私も本気を出しますかね…。一対一なら、やっぱりアレが一番ですかね…。」

    狛枝「あっは、キミが何をしてくるかはわからないけど、きっとキミの正義はボクの希望には勝てないよ!」
  72. 72 : : 2016/11/20(日) 17:42:01



    視点:田中⇄狛枝

    あれ、おかしいな…。

    どうして田中クンが5人もいるのかな…?

    異常な空間に呑まれた事を理解したボクは、とりあえず日記を確認してみようと考えた。

    『田中クンはボクの持ってた包丁に刺されて死ぬ。ボクは生き残って、また絶望の殲滅へと取り掛かる。』

    うん、日記に異常はない。でも問題なのは、どの田中クンが本物か…って事だよね。

    きっと5人のうち4人は偽物…どうやって偽物なんて作ったのかはわからないけど、まあここは、ボクの幸運にかけてナイフを投げれば当たっているかな。

    なんて巫山戯たことを考えながらもそれを実行してみる。

    田中「!??」

    あれ、おっかしいな。軌道が大きく外れたような…

    なんて考えていると、一瞬で視界が移り変わった。
  73. 73 : : 2016/11/20(日) 17:42:51



    田中「お前…どうして私がここにいる事がわかった…!??」

    狛枝「あれあれ?何が起きていたんだろう?」

    そういえばもう一つ…12thは、催眠術が使えるなんて噂も聞いたような…。

    もしかして、ボクはその催眠術になんかかかっていたのかな?

    狛枝「とすると…ボクの投げたナイフが、『たまたま』軌道を外れて『たまたま』田中クンに当たった…ってことかな!?」

    狛枝「なんだか自分で尊敬しちゃうよ…こんな幸運、普通は滅多にないからねぇ。」

    田中「たまたま…!?私が催眠術を使っていることも知らずに、私の居場所もわからずに適当に投げたナイフが、偶然私に当たったとでも言うのか…!?」

    狛枝「うん、そういう認識で間違いないね。でも次は…」

    狛枝「ちゃんと致命傷を狙って投げるよ。」
  74. 74 : : 2016/11/20(日) 17:43:08
    きっと運を使い果たしたな…なんて考えていたけど、そんなはずはない。ゴミみたいな才能だけど、ボクは『超高校級の幸運』だからね。

    だからまた、幸運を信じてナイフを投げれば致命傷くらいには入ってくれるよね。

    田中「ぐぐっ…。」

    どうやらさっきのナイフは足に当たったらしい。

    だから、今はある程度の動きは封じられる。これは…幸運じゃなくて、普通にボクの実力でも当てられるんじゃないかな?

    緊張感や不安なんてない。ボクは幸運を信じているから。

    投げる。野球のボールの如く、ふわりと。

    といっても、こんな風に野球のボールを投げちゃったら、デッドボール間違いなしだけどね。

    田中「………あっ。」

    田中「………勝者こそが………正義………お前………俺を倒した………正義…………だ………………。」

    田中「………………………。」

    どうやら頭に直撃したっぽい。

    そこで田中クンは死んだ。ボクの日記通りにね。

    -chapt.3-the end/To Be Continued
  75. 75 : : 2016/11/21(月) 00:00:05
    -未来日記メモ-



    3rd.西園寺日寄子:小泉おねぇ日記
    →小泉と自分のことを記録した日記。予知範囲は狭いが、小泉と連携ととればかなり強い日記となる。

    11th.澪田唯吹:維吹の日記っす!
    →ソニアと同じように、毎夜、今日の出来事を記していくオーソドックスな日記。ソニアよりも行動範囲は広く、書き記す事は多々あるが、その分一つ一つのイベントを細かく書く事がない。

    12th.田中眼蛇夢:飼育日記
    →ハムスターの成長日記。どんな技が使えるかが書いてあるが、あまり意味はない。

    12th.田中眼蛇夢(2):正義日記
    →全盲で視力を失った代わりに、超人的な聴覚を手に入れた田中の究極の日記。倒すべき悪事、守るべき弱者を記録した日記で、ボイスレコーダーの形になっている。50円でモノクマから買った。

    13th.ソニア:王女日記
    →澪田と同じように、毎夜、今日の出来事を記していくオーソドックスな日記。一つ一つの出来事に対し、色ペンや小さいメモなんかを使って細かく記しているため、日記としてはレベルが高いが、ソニア本人の行動範囲が狭いため、予知範囲も狭くなる。

    15th.小泉真昼:写真日記
    →写真を付属させた広範囲の予知日記。次の行動や、相手の姿などを写真で捉えられるため、未来日記としては非常に高性能。



    残り生存者:8人
  76. 76 : : 2016/11/23(水) 10:16:03



    この日記にはいくつかの特性がある。

    例えば、書き手の情報とかね。

    真実だけが日記じゃない、予知の中に誤った情報が紛れ込んでいても、それは全部日記に含まれてしまう。

    モノクマのことだから、きっとそんな特性を作っておいたんだろう。コロシアイを面白くするために~とかね。

    ところで、キミ達にはボクの日記を教えてあげよう。

    ボクの日記は『絶望日記』。この絶望の充満した世界の情報を記録する日記。

    それも、幸運なことに、ボクの日記だけ『真実以外は記されない』という特殊設定付きなんだ。

    更に、予知範囲という枠もなく、普通ボク目線じゃ捉えきれない事柄も、この日記には記されていく。

    最強の日記…なんて呼べるかもしれないね。
  77. 77 : : 2016/11/23(水) 10:16:20



    視点:狛枝⇄罪木

    ここは病院。第3の島に設置されている救護施設で、色んな医療道具や設備が整っていますぅ…。

    そして、私の日記は『病院利用日記』。いわゆるカルテですぅ…。いつ誰がどの目的でここに来るか…この病院内で起きる事などを全て予知できます。範囲は狭いですが、この病院の中に入ってきたからには、死を覚悟する結果となるでしょう…。

    と、解説はここまでにして、皆さんがコロシアイを頑張っている間、私はこの病院をずっと掃除していました。

    どんな凶器があるのか、どうすれば人を殺せるのか…なんて、物騒な事を研究していましたね…。

    でも、これでいいんです。これできっと…あの人から褒めてもらえるはずだから…!!
  78. 78 : : 2016/11/23(水) 10:16:39
    ノイズの音が鳴って、私がすぐに生徒手帳を確認しました。

    『時刻…19時35分
    患者名…狛枝凪斗
    症状…腹痛

    病院内に爆発物を持ち込んだらしく、病院内で自爆テロを起こす。

    DEAD END』

    罪木「自爆ですかぁ…狛枝さんならやりかねませんねぇ…。」

    罪木「でも、それなら麻酔で弱らせた後、爆弾を外に出せばいいんですもんねぇ…」

    罪木「そして、薬を大量に飲ませて殺す…うふふっ、我ながら完璧な作戦ですねぇ…。」

    麻酔やお薬、他の凶器もたっくさん。

    私の日記も含めて、それを全て操れるのは私だけ…

    いわば、ここは私の領地…テリトリーってやつですよぉ…。
  79. 79 : : 2016/11/23(水) 10:16:57
    そして数時間経ったあと、またノイズ音が鳴りました。

    『時刻…19時30分
    患者名…澪田唯吹
    症状…切り傷

    ナイフ状のもので大量に切られた痕、中には深く抉られたものもあり、重傷と思われる。この傷をつけたのは狛枝さんらしい。』

    罪木「…普通の患者ですか。」

    しかし、私がもっと絶望するためにも、負傷している澪田さんごと殺さなきゃなりません。

    それが、私の使命ですから。

    来る時間の差もたった5分。5分もあれば、2人を弱らせ殺す事もできるはずですよね。
  80. 80 : : 2016/11/23(水) 10:17:31



    視点:罪木⇄狛枝

    あっははははは!!

    声をあげて笑いたかった。もちろんそんな事をしたらボクの居場所を知らせるようなことになるからしないんだけどね。

    でもそんな浅はかな考えでボクを殺そうと考えるなんて、残念だよ…罪木さん。

    まあ、それはそれで、絶望殲滅側のボクとしては有難いんだけどね。

    澪田「何を企んでいるっすか!?凪斗ちゃん!維吹を縛るなんて…はっ、まさかあんな事やこんな事を…?!」

    狛枝「んっ?キミが望むならそれをしてあげてもいいけど…いや、やっぱりボクが嫌かな。」

    狛枝「絶望の顔なんて見たくないからね。」

    澪田「…!!」

    これを見た澪田さんは、たちまち恐怖と絶望に満ちた顔になる。

    そりゃそうだよね、目の前にアーミーナイフを突きつけられているんだから。
  81. 81 : : 2016/11/23(水) 10:18:09
    澪田「ッッ~~~~!!!!!!」

    手や足、死なれちゃ困るから、胴体は少し浅めに

    ナイフを使って、死なない程度に傷をつける。

    澪田「痛い、痛い、痛い、痛い…」

    澪田「なんで…?こんなの、維吹の日記に予知されていないっすよ…?」

    狛枝「キミの日記は夜につける形の日記。リアルタイムじゃないからから、死ぬ日の予知はできないんだよ。」

    澪田「ってことは…」

    狛枝「まあ安心してよ。今は殺さない。もちろん、今日死ぬ事は確定しているんだけどね。」

    澪田「…仲間。」

    狛枝「ん?」

    澪田「まだ維吹は耐えるっす…。最悪死んでもいい。だけど、きっと仲間はそれを良しとしない…必ず凪斗ちゃんを殺します。」

    彼女の目には『覚悟』が見えた。

    ボクなんかのただの自己犠牲とは違う…『生き延びる』という希望以上の『覚悟』という希望…そんな風に感じた。

    でも、そんな顔をしているキミも…

    『絶望』なんだよね。
  82. 82 : : 2016/11/23(水) 10:18:37
    狛枝「…そろそろ頃合いかな。逃げていいよ、澪田さん。」

    縛っていたロープを切って、彼女を解放してあげる。足の傷はなるだけ浅くしたから、フラフラだけどなんとか歩けるはず。

    澪田「凪斗ちゃん……維吹は病院に向かうっす。維吹はそこで、お前に一矢報いるっす…。」

    澪田「あはは………宣戦布告ってやつっすね………維吹らしからぬ………ことですけど………」

    そう言い残すと、澪田さんは真っ直ぐ病院へと向かっていった。

    狛枝「……………。」

    なんで、彼女は絶望なんかしたんだろう?

    彼女のその覚悟を見ていると、やっぱり彼女は絶望したように思えない。

    それは彼女に限った事じゃない。実際にボクが戦った田中クンだってそうだ。

    自らが生き延びるわけでもなく、『悪を倒す』ためだけに戦ってきた。

    そんな彼らが、果たして絶望なのだろうか…?
  83. 83 : : 2016/11/23(水) 10:19:21



    視点:狛枝⇄罪木

    19時30分…日記通り、澪田さんがこちらを訪れました。

    想像以上にボロボロな様子で…。

    澪田「蜜柑ちゃん………こんばんはっす………。」

    罪木「澪田さん…日記で予知はできていましたが、この様子は…!ちょっと待っててください、今色々持ってきますから!」

    もちろん、殺すための道具を…ですけど。

    澪田「ありがとうっす………その前に、どこかで休ませてもらえないっすかねぇ………?」

    罪木「あっ、もちろんですぅ…えっと、こちらにどうぞぉ…。」

    澪田さんを病室に案内します。あとは狛枝さんが来れば、2人も同時に葬ることができますねぇ…。

    うふふ、楽しみですぅ…

    あはっ、あははははっ!!
  84. 84 : : 2016/11/23(水) 10:22:13
    そして5分後、日記通り、狛枝さんはこちらを訪れました。

    狛枝「お邪魔しまーす。」

    罪木「狛枝さん!?どうかなさったのですかぁ?」

    狛枝「いやね、ちょっとお腹が痛くなっちゃって…」

    罪木「わかりましたぁ…今病室に案内しますねぇ…」

    狛枝「あはっ、ボクなんかのためにありがとう。助かるよ。」

    罪木「あっ、お荷物はこちらでお預かりしますよぉ…。」

    狛枝「えっ?いやいいよ。そんな悪いって」

    罪木「危険物でも入っていたら危険ですし…それに、これは病院としてのルールなんですぅ…。」

    問題なのは、狛枝さんの爆弾がどんな爆弾かって事。こうでもして狛枝さんの爆弾を見つけないと…

    触れた瞬間に爆発…とかは遠慮してもらいたいですねぇ…。

    狛枝「わかったよ。ご自由に。」

    罪木「狛枝さんはゆっくりしていてくださいねぇ…?」
  85. 85 : : 2016/11/23(水) 10:23:40
    罪木「あ、ありましたぁ。」

    鞄の中を漁って出てきたのは、所謂時限爆弾タイプでした。

    後数時間で爆発を起こすものらしい…そんな爆弾、どこにあったのか気になりますが…まあこの際どうだっていいですよねぇ…。

    もちろんそんな危ないものは外に置きます。爆発の規模も考えて、病院と距離のあるモーテルに置いておきましたぁ…。

    しかし、妙にあっさりでしたね。狛枝さんなら、きっと粘ってくると思っていたのですが、あんなにあっさりと爆発物を渡して…どうしてでしょう?

    実は、あれはダミーで、本命は…………

    ……………まさか!!

    急いで病院へと戻ります。あそこを失ったら、私の日記は力をなくしてしまう。それだけは避けなければなりません。

    急いで…!!
  86. 86 : : 2016/11/23(水) 10:24:35



    視点:罪木⇄狛枝

    罪木「……………………………。」

    澪田「……………………………。」

    簡単に説明すると、罪木さんも澪田さんも死んだ。

    狛枝「このガスマスク、ちょっとキツいなあ。もっとボクのサイズにピッタリ合うのはなかったのかな。」

    そう、爆弾はダミー。

    最初に説明したように、罪木さんはボクが爆弾を持っているから、自爆する気なんだと認識した。

    しかし実際は、ボクは爆弾なんか使う気は微塵もなく、ボクが使いたかった凶器は『毒殺専用の毒』だった。

    ほんの数分で気化され、たちまち毒ガスともなれる万能な毒らしい。ちなみにオクタゴンでみつけたんだけど、その説明は後でしよう。

    それで、何かに気付いて焦った罪木さんは、『幸運』なことに、日記を見ずに思わず病院に入ってしまった。

    そして、毒ガスを思い切り吸って死んだ。澪田さんは逃げたくても逃げる体力も残っていないし、何より寝そべっていた状態だったから毒を大量に吸ってしまって死んだ。

    一方のボクは、ガスマスクを被った上に、田中クンのマスクをつけた二重の防御でなんとか毒ガスを乗り切った。

    呆気ない…なんて言わないでくれよ。これでもボクのない頭を使って考えたんだからさ。

    狛枝「あっははははははは!!!!」
  87. 87 : : 2016/11/23(水) 20:27:01



    視点:狛枝⇄日向

    日向「おい、ソニア!?何の冗談だよ?!」

    ソニア「私は、田中さんを復活させるんです…!」

    日向「何を言っているんだよ、ソニア!あんなのモノクマのハッタリに決まってんだろ…!?」

    ソニア「モノクマさんは嘘はつきません!絶対に…田中さんを蘇らせてくれます!」

    日向「落ち着け…ってうぉ?!」

    ソニア「はぁ…すばしっこいですね、日向さん…!!」

    どうして俺がこんな状況にあるか…というと…

    それは、ついさっきの事だった。
  88. 88 : : 2016/11/23(水) 20:27:36



    …メールが一通届いていた。
    朝起きて届いているメール…大体察しはついていた。

    しかし意外だったのは、そのメールが3件もあったということ。

    『12th.田中眼蛇夢 死亡,クロは4th.狛枝凪斗』

    田中が…あいつは、自分の心の支えであるハムスターを失った上、狛枝に命を奪われたのか…!

    もう一件は…

    『人数も減ってきて、そろそろ終盤戦なので、オマエラに朗報でーす!19時30分頃、ジャバウォック公園へ!』

    モノクマからの呼び出し。朗報という言葉、普通ならいい意味で使われるだろうが、あのモノクマがそういうと、嫌な予感しかしない。

    そして、最後の一件は七海から。モノクマの呼び出しまでコテージで待機しろ、という内容だった。

    しかし、行かないわけにはいかないので、とりあえず着替えて、19時30分になるまでコテージでくつろいでいた。
  89. 89 : : 2016/11/23(水) 20:28:03



    モノクマ「皆さん集まって…ってんん?狛枝クンと罪木さんと澪田さんがいませんね。まあなんだっていいけど。」

    モノクマ「意外なのは、やっぱ弐大クンが来た事だね。今まで何をしていたのか、ボクもあまり把握できていなかったからさ、てっきりどこかで死んでいたんじゃないかとか思っていたけど。」

    弐大「ガッハッハ!ワシを勝手に殺すでないわい!」

    モノクマ「まあなんだっていいよ!さて、今日オマエラを呼び出したのは他でもない…動機の提示だよ。」

    日向「動機…?」

    その言葉に鳥肌が立つ。一体何をするつもりだ…と、俺も身構えた。

    モノクマ「今回のサバイバルゲームで勝者となった人は、1人まで自分のクラスメートを復活させることができます!」

    ……………………。

    日向「は?」
  90. 90 : : 2016/11/23(水) 20:28:41
    終里「どういうこったよ!復活ってなんだよ?!」

    モノクマ「復活の意味もわからないのかい?文字通り、死んだ人間の魂から何から何まで復活するんだよ!」

    日向「そんな非現実的な…!」

    と言いかけたところで、俺は思い出した。

    そうだ、今まで俺らが生きてきたのは、非現実的な非日常だ。

    ソニア「本当なんですか…?本当に、死んだ人が蘇るんですか…?」

    ソニアの目付きが変わる。覚悟を決めた、と言わんばかりに…

    モノクマ「もっちろん!たった一人二人生き残った程度で、ボクの作戦に支障はないからね!」

    日向「おいソニア…!」

    ソニア「ごめんなさい、私は…」

    ソニア「私は田中さんを復活させるために、皆さんを殺します。」
  91. 91 : : 2016/11/23(水) 20:28:57



    で、今に至る…と。

    ここは第4の島、島全体が遊園地のようになっている。

    どうやらこの島のネズミー城と呼ばれるところの中には、先端が鞭になっている『グングニルの槍』と呼ばれるものがあるらしく、ソニアはそれを使って俺を殺そうとしてくる。

    先端の鞭のお陰でかなりリーチも長く、逃げ回る俺にとっては非常に厄介な武器だ。

    ソニア「ていッ!」

    可愛らしい掛け声とは裏腹に、槍をこっちの方向に投げてきた。

    あと数センチずれていれば、確実に俺は今の槍を喰らっていた…というくらい正確な槍投げだった。

    七海「日向くん、こっち。」

    日向「七海!?」

    物陰からひょこんと出てきた七海に、俺は思わず驚いた。

    一方その七海は冷静で、秘策があると言って俺の手を引っ張った。

    …これ、前にもやった気がするぞ。
  92. 92 : : 2016/11/23(水) 20:29:18



    日向「いてっ!いきなり止まるなよ…」

    という俺の目の前には、列車のようなものが止まっていた。

    車両の先端がモノクマになっている、不気味な列車が。

    七海「はい、日向くん。早く乗って。」

    何故か急かされ、無理やり乗らされた。

    だけど、ここでもしソニア達と遭遇してしまったら、これはちょっと大変なんじゃないのか…?

    日向「ってか、これいつ発進するんだよ…?」

    七海「5人以上乗ったら…って言ってたね。」

    日向「ダメじゃないか?!これのどこが秘策なんだよ?!」

    七海「まあまあ落ち着いて。今のところ、私の作戦通りだからさ。」

    少々不安はあったが、七海の作戦通りって事は、たぶん優勢なんだろうな…と勝手に解釈した。

    ソニア「…見つけましたよ、日向さん。」

    狂気に満ちた…とでも言えばいいのか。

    そこにいるのは、『王女』なんて呼べるような女じゃなかった。

    目を真っ赤にし、気品さの欠片もないソニアが立っていた。
  93. 93 : : 2016/11/23(水) 20:30:19
    弐大「よぉ、お2人さん。」

    終里「今まで味方だったのに、裏切るみてーな形になって悪いな。2人とも。」

    ソニアの背後には、弐大と終里がいた。

    正直言ってしまえば、この時点で俺らの敗北は決定したようなものだ。

    武器もない、戦闘力もない、ただ知識だけでこの3人を負かせというのは、かなり無理のある話だ。

    日向「なあ、七海…これって本当に作戦通りなのか…?」

    七海「んー、まあ、一応は作戦通りだよね。」

    七海「とりあえずさ、そこの3人も早く乗ろうよ。ドッキリハウスって言うくらいだから、きっとドッキリマンとかがたくさんいるんだろうなあ…。」

    日向「正気か七海?!こいつらが乗ってきて、この列車内で俺たちが殺されでもすれば…」

    七海「それはないよ。さっきモノクマが説明してくれたんだけど、列車の中で殺人があると面倒だから、5人乗ったらその場で催眠ガスを放出するんだって。」

    日向「で、でも…」

    七海「大丈夫、私を信じて。」

    日向「…わかったよ。」

    俺たちの話が終わると、あの3人は列車の中に乗り込んだ。

    すると、七海の言っていた通り、ガスが出されて、俺らはあっという間に寝てしまった。
  94. 94 : : 2016/11/23(水) 20:30:38



    日向「………ここは?」

    全体がいちごの柄の、わけのわからない建物に来た。

    モノクマ「それではご説明させていただきます!この施設は『ストロベリーハウス』!全体がストロベリー柄の気味の悪い建物ですね!」

    モノクマ「今いるここが3階、もちろん、階段を降りれば2階、1階に行く事が可能です!」

    モノクマ「1階には連絡用エレベーターというものが存在し、そこでソニアさんチームのいる『マスカットハウス』へ行く事が可能です!逆に言えば、ソニアさんチームがストロベリーハウスに来る時は、連絡用エレベーターを使う!という事ですね。」

    モノクマ「あと説明する事は特にありません!自分の目で確かめてください!」

    モノクマ「あ、そうそう。3日後までは、ここから出ることはできないので気をつけてくださいね!」

    そう言い残すと、モノクマはまたどこかへ消えた。
  95. 95 : : 2016/11/23(水) 20:30:57
    そして、このストロベリーハウスの探索をしてみることにした。

    2階には客室があった。たぶん俺たちが寝泊まりするところだろう。

    1階には、連絡用エレベーターと、『ファイナルデッドルーム』と書いてある変な部屋…そして、変なタワーがあった。

    変なものだらけじゃねえか…と思いつつ、俺と七海は先に『ファイナルデッドルーム』を調べることにした。

    嫌な予感しかしないが…調べないことには始まらないからな。
  96. 96 : : 2016/11/23(水) 20:31:42



    モノクマ「ようこそ…命をかけた、デスゲームの部屋へ…。」

    唐突にシリアス調で現れたモノクマ。
    こいつの存在のせいで、余計に嫌な予感が増幅した。

    七海「ゲーム!?ねえねえ、どんなゲームやるの!?」

    一方の七海は『ゲーム』という単語に反応したようだ。命をかけてまではやりたくないけどなあ…。

    日向「…で、俺たちは何をすればいいんだ?」

    モノクマ「まあ謎解きだよね。」

    七海「謎解きゲームかあ…謎解きといえば、やっぱり最新作のニューダンガンロンパv3は気になるよね…。」

    …七海は何を言っているんだ。

    モノクマ「ま、とりあえず適当に頑張ってください。」

    だが、これのどこに命をかける要素があるんだ…?

    嫌な予感が更に増幅した。
  97. 97 : : 2016/11/23(水) 20:31:59
    七海「…簡単な謎解きだったね。」

    あっさり終わった。

    パソコンに暗証番号を入力すると、奥の鉄格子が開く仕組みだったらしい。

    今更そんな説明はいらないと思うが…。

    そして、奥に置いてあったのは…

    日向「銃?」

    七海「あっ、もしかしてさ…」

    と呟いた七海は、弾を一発だけ装填し、シリンダーを回してこめかみに向ける。

    日向「まさか…。」

    七海「そう、ロシアンルーレット。」

    その後、七海は躊躇なく引き金を引く。まるで、自分は死なない自信があるように…

    自信がある?
  98. 98 : : 2016/11/23(水) 20:32:15
    不発だった。

    七海「こういう時のゲーム日記…だよ?」

    『ファイナルデッドルームのロシアンルーレットに挑戦。結果は生存。日向くんも同じように挑戦し、生存した。』

    七海「どやっ。」

    そうか、七海のゲーム日記に記録されていたんだ。

    ゲームのハイスコアを記録するのと同じように、ロシアンルーレットの結果も記録していたんだ。

    七海の日記を見たから断言できる。俺はここで生き残る。

    七海がやったのと同じように、弾丸を装填してこめかみに向け、引き金を引く。

    もちろん不発だった。
  99. 99 : : 2016/11/23(水) 20:32:32
    モノクマ「おめでとうございます!見事、二人はこのファイナルデッドルームをクリアなさいました!」

    モノクマ「それじゃあ、クリア特典の『オクタゴン』へご案内します!」

    このロシアンルーレットの部屋を抜け、次に出てきた部屋は…

    まるで、武器の宝庫だった。

    七海「たくさん武器があるね。これなら、ソニアさん達の無力化も測れるかもしれないね。」

    日向「………なあ、もしさ。」

    七海「どうかしたの?日向くん」

    日向「もし、俺が最後まで生き残っちゃったら、俺は誰の命を優先するべきだと思う?」

    俺は正直迷っていた。

    今までこんなに、俺たちが平和で居られるようにって頑張ってくれた七海を…俺は本当に裏切っていいのか。

    それとも、やっぱり七海を蘇らせたらいいのか…。

    七海「それを考えるのは…今を乗り切ってからじゃないと。ね?」

    七海は俺に優しく微笑んでくれた。

    日向「…そうだな。ありがとう。」
  100. 100 : : 2016/11/23(水) 20:32:50
    七海「さて、あの3人に対抗できそうな武器はないかなー…っと。」

    探している途中、七海がピタリと止まった。

    日向「何か見つけたのか?」

    七海がこちらを真顔で見つめてきた。
    その顔は…まるで、見てはいけないものを見てしまった…そんな表情だった。

    日向「………おい?」

    七海「日向くん。」

    …………次の瞬間、俺がその状況を認識するのに、とても時間がかかった。
  101. 101 : : 2016/11/23(水) 20:33:34

    日向「七海…???」

    七海「えへへ、キスしちゃった。」

    日向「………………は??」

    七海「ほら、3人を倒せるような武器を早く探そう?」

    正直、状況の認識はできたが、状況の理解が未だにできてない。

    日向「いきなりどうしたんだよ、七海?」

    七海「…まあ、特に気にすることはないよ?」

    日向「いや気にするだろ!俺だってその…はっ、恥ずかしかったし…」

    七海「…恥ずかしがり屋さんなんだね、日向くんは。」

    日向「はっ、はあ!?」

    七海「さっ、武器探しの再開だよ?」

    …なんだか無理やりはぐらかされた気がする。
  102. 102 : : 2016/11/23(水) 20:34:47
    七海「日向くん日向くん。」

    日向「今度はなんだ…って…」

    そこには、謎の床扉のようなものがあった。

    日向「もしかして…これが出口か!」

    七海「いいや。これはきっと…」

    と言うと、七海はその床扉を開ける。

    七海「やっぱり、この下はマスカットハウスだよ。」

    日向「………え?どうしてマスカットハウスに出るんだよ?」

    七海「そこに窓があるでしょ?そこから見ればわかると思うんだけど…」

    言われるとおりにその窓を見てみる。

    あれ…?

    七海「ストロベリーハウスとマスカットハウスは、同じ建物で縦になっているんだよ。」
  103. 103 : : 2016/11/23(水) 20:35:16
    ここはストロベリーハウスの1階。なのに窓の外から見た景色は明らかに高所。

    縦に重なっていたのであれば、確かに納得だな。

    そうなれば、そこの扉はマスカットハウスに出る…。確かにそう考えれば、辻褄があう。

    七海「日向くん。無力化って作戦は…諦めてもいいかな?」

    急に日記を確認して、七海がそう呟く

    日向「どういう…ことだよ?」

    七海「こんなメールが届いた。送ってきたのはソニアさんだよ。」

    『決着をつけましょう。無力化なんて考えず、本気で殺しに来てください。わたくし達も、あなた達を本気で殺します。』

    日向「………。」

    やっぱり、ソニアは本気なのか。冗談なしに、本当に俺たちの事を殺そうとしているのか。

    弐大と終里もそうだ。あいつらは本気で俺たちを殺そうとしているんだよな。

    七海は拳銃を2丁持ってくる。

    七海「覚悟を決めよう。私達が勝つためにも。」

    1丁を俺に渡す。

    日向「…わかった。やむを得ない時は撃つ。だけど…なるだけ無力化を図ろう。」

    七海「私もそのつもりだよ。」

    さっきの扉を開け、モノクマのたくさん置いてある資料館のようなところに出る。

    作戦開始だ…!
  104. 104 : : 2016/11/23(水) 20:35:39
    七海「きっと、ソニアさん達のうち誰かは連絡用エレベーターで待ち伏せていると思う。私達がマスカットハウスへと入る手段はそれしかないと考えているからね。」

    七海「それで、残りはストロベリーハウスで私達の事を探しているんじゃないかな。それで逃げ道をなくそう…って考えるのが無難だと思う。」

    七海「でも、相手がオクタゴンの存在を知らない時点で、私達はちょっとだけ優勢…だと思うよ?」

    日向「お前の予想通りなら、連絡用エレベーターで待ち伏せている奴を、背後から撃てばいいんだな?」

    七海「そういう事だね。それに、私の予想した作戦を使っていなくても、少なからずストロベリーハウスの探索はしているはず。そしてストロベリーハウスからマスカットハウスに戻ってくる時、私達がここで迎え撃てば、きっと勝てる…はず。」

    七海「これはあくまで、オクタゴンの存在を知らない…っていうのが前提だけど…。たぶん心配はしないで大丈夫。3人の日記の性質上、やるのは危険なはずだから。」

    日向「あぁ、わかった。」

    そして、俺たちはモノクマ資料館から出る。
  105. 105 : : 2016/11/23(水) 20:35:57



    視点:日向⇄ソニア

    日向さんと七海さん…きっとこのまま逃げ切るつもりでしょうが、わたくしがそうはさせません。

    終里さんと弐大さんは、ストロベリーハウスでの索敵。七海さんと日向さんを見つけ次第、すぐに殺すように指示しました。

    一方のわたくしは、この連絡用エレベーター前で待ち伏せをしています。両ハウス間の唯一の移動手段のため、いざ逃げるとなった時はきっとこっちを使ってくる…そこを不意打ちするという作戦です。

    終里さんか弐大さんに見つかって死ぬか…マスカットハウスに逃げ込んで死ぬか…どっちにしても、わたくし達の勝ちに変わりはありません。

    ソニア「『詰み』ですよ、七海さん、日向さん。」
  106. 106 : : 2016/11/23(水) 20:36:19



    視点:ソニア⇄日向

    ソニア「………う………そ………。」

    七海の撃った弾丸が、見事にソニアの腹部を貫いた。

    日向「七海!?無力化するんじゃなかったのかよ!?」

    ソニア「どう………して…………ここ……に………?」

    七海「………ごめんね。やっぱり、君たちの命は優先できないよ。」

    俺の目の前で、ソニアはどさりと倒れた。

    実際、俺の目の前で人が死んだのを見たのは、花村以来だ。あそこまで無惨な死に方ではないにしろ、やっぱり人が死ぬ瞬間を見るのは最悪の気分だ。

    それよりも…

    日向「なんで殺したんだよ…七海?」

    七海「日向くん…」

    日向「!?」

    七海「ごめんね。」

    そこで俺の意識は途絶えた。
  107. 107 : : 2016/11/23(水) 20:36:40
    視点:日向⇄七海

    オクタゴンで見つけた催眠ガス。日向くんはちょっとここで寝てもらうことにした。

    残りの二人は、きっとストロベリーハウスにいるはず。

    と、いうわけで、連絡用エレベーターから、ストロベリーハウスへと向かおうと思いまーす。

    弾数は3つ。たった3発で体育会系の終里さんと弐大くんを倒すのは、結構キツイ部分があるかもしれないね。

    なんて考えているうちに、エレベーターの扉は開く。

    イチゴ柄があたり一面に広がっている。

    さて、あの2人はどこにいるかな。
  108. 108 : : 2016/11/23(水) 20:37:00



    終里「おーい!弐大のおっさん!七海を見つけたぞー!!」

    七海「あれ?そんなところに居たんだ、終里さん。」

    まずい、体育会系2人に対して、私1人だけで立ち向かうのはちょっとまずいって…。」

    弐大「本当か?!でかしたぞぉ、終里よ!」

    ドンドンと弐大くんがこっちに迫っているのがわかる。

    七海「ッ!!」

    終里さんに向かって一発撃つ。

    …が、呆気なく躱されてしまう。

    終里「やる気だな!?七海!オレもワクワクしてきたぜ!」

    弐大「少し待っとれ。ワシも行く。」

    ………焦っちゃダメだよね。

    ここは、冷静に行かないと。
  109. 109 : : 2016/11/23(水) 20:37:23
    終里「うらぁっ!!!」

    終里さんは私の顔面目掛けて蹴りを入れてくる。顔を蹴られたら痛いので、私はギリギリの体勢で避ける。

    そのまま後ろへとジャンプし、体勢を整えようとするも、終里さんはその隙も与えず2撃目を与えてくる。

    これは避けきれないので、私はその攻撃を受けてしまった。

    七海「ぐぅっ…!」

    何か打開しなきゃいけない…。そう思い、照準を終里さんに合わせて撃ってみるが、やはり回避されてしまう。

    最後の一発…これが、私が死ぬか、終里さんが死ぬかの運命を分ける。

    慎重に、覚悟を決めていかないと…。
  110. 110 : : 2016/11/23(水) 20:37:44



    視点:七海⇄弐大

    弐大「なんじゃ、お前さん…。」

    ワシの目の前には、意外な人物が立っていた。

    狛枝「やあ、弐大クン。」

    狛枝…未だにワシは、こいつが何が目的なのか、一切わからん。

    実際に、ついさっき澪田と罪木を殺しとったらしいが…まあ今のワシ達に関係はないわい。

    弐大「何か用でもあるのか?今ワシは忙しいんじゃが…」

    狛枝「うん。」

    ………。

    狛枝「七海さんを攻撃するのは許さないよ?」

    ………。

    『2nd.弐大猫丸 死亡,クロは4th.狛枝凪斗』
  111. 111 : : 2016/11/23(水) 20:38:21



    視点:弐大⇄七海

    チャンスはあと一回…絶対にここでやらないと…。

    拳銃を構え、冷静に相手に照準を合わせる。

    引き金を引く手が震えているのを無理やり抑える。

    こういう時だけ、狛枝くんの幸運はちょっと羨ましいなって思う。

    ダンッと銃声が鳴る。

    終里さんは、3発目すらも回避した。でも、それでいい。

    終里「なっ……………なんだよ、その武器………。」

    終里さんは、銃の方ばかり気にしていて、私が持っていた『本当の武器』には気付かなかった。

    君の敗北理由はそこだよ。周囲を『監視』する力がなかった。

    『16th.終里赤音 死亡,クロは7th.七海千秋』
  112. 112 : : 2016/11/23(水) 20:48:17



    ガスマスクや毒殺専用の毒、そしてダミーの爆弾に、澪田さんを傷つけるためのアーミーナイフ…

    そう、これらは全てオクタゴンから手に入れたもの。

    そして、『初回クリア特典』も、もちろんボクが持っている。

    モノクマの話によると、その『初回クリア特典』こそ、オクタゴンにおける『極上の凶器』らしい。

    まあ、こんなに人数が減った状況で、今更極上の凶器なんて必要ないかな~なんて思うけど

    それでも、念には念をって言うからね。

    狛枝「あはっ…あははははははっ!!!!!」

    ドッキリハウス全体に響き渡る、ボクの高笑い。

    ボクなんかの高笑い、誰か聞いている人がいたら、その人はきっと吐き気を催すくらい不愉快な気分になると思う。

    まあ、そんなことどうだっていいんだけどね!!!



    -chapt.4- the end/To Be Continued
  113. 113 : : 2016/11/23(水) 20:54:26
    -未来日記メモ-



    2nd.弐大猫丸:トレーニング日記
    →終里の成長を見守る日記。人体図なども書き入れ細かく指導しようとしているのが見える。この2人のコンビに物理戦は効かないだろう。

    4th.狛枝凪斗:希望日記
    →皆の希望のためにと、どんな方法で死ねば良いのかと記した日記。別名『DEAD END日記』

    4th.狛枝凪斗(2):絶望日記
    →全員が絶望だと知った後の狛枝凪斗の日記。未来機関の手先である七海の監視と、他生徒の怪しい動きの感知。これらは全て『真実』しか書かれない。

    5th.罪木蜜柑:病室利用日記
    →いわゆるカルテ。いつ、誰が、何のために病室を利用したのかを記す日記。この日記がある限り、病院は彼女の城と言っても過言ではないだろう。



    残り生存者:3人
  114. 114 : : 2016/11/23(水) 22:19:07



    『2nd.弐大猫丸 死亡,クロは4th.狛枝凪斗』

    ついさっき、ほぼリアルタイムで、メールが届いた。

    最初からこうなることは『日記で予知できていた』けどね。

    七海「いるんでしょ?狛枝くん。出ておいでよ。」

    狛枝「…。」

    七海「改めて、こんにちは、狛枝くん。」

    狛枝「何のつもりかな。どうしてキミが、日向クンを庇うんだい?」

    七海「…。」

    狛枝「『コテージに故意に篭るのは禁止』というルール…客室も含まれるのかな?」

    七海「どっちにしたって、故意に篭っているわけじゃないから大丈夫なんじゃないかな?」

    狛枝「それに、修学旅行のルールで、物を壊すのはよくないって言われているからね。…どうしたら、日向クンを殺せると思う?」

    七海「…私を殺せばいいんじゃないかな。実はね、日向くんの客室の鍵、今私が持っているんだ。」

    狛枝「…こりゃ参ったね。ボクはキミに生き残ってほしいんだけどな。皆の希望として」

    七海「でも、私にとっての希望は、私でもキミでもなく、日向くんだよ。」

    狛枝「だって、彼らは絶望なんだよ?もちろんボク含めて。それをどうして生かす必要があるんだい?」

    七海「彼なら…きっと、今のこの絶望的状況も、希望に覆す事ができるから…かな。」

    狛枝「…はぁ。なんだかキミにはガッカリだなぁ。世界の破滅者なんでしょ?ボク達の、このくだらない世界を破滅してよ。」

    七海「…。」

    狛枝「戦闘モードって感じだね。うん、もちろんいいよ。絶望を殲滅するためなら、多少の犠牲は必要だからね!」
  115. 115 : : 2016/11/23(水) 22:19:28
    さっきの終里さんとの戦いで、私は弾切れ状態。

    に対して、狛枝くんも、きっとオクタゴンで見つけたであろう拳銃を持っている。

    七海(私の日記…DEAD END…)

    思わず息を呑む。私は狛枝くんにやられるという未来らしい。

    狛枝「あっは、怯えているね、七海さん。未来機関の手先であるキミがそんなのでいいのかな?」

    狛枝「ボクもね、この場で希望が潰えるところを見たくはないんだよ。それも、ボクの手によって希望を失うなんて…、自己嫌悪で死にたくなるようなことだよね!」

    七海「随分余裕そうに喋っているね。私が人を撃てない…って思っているの?」

    狛枝「怖いなぁ、ははっ。まあ例え撃たれてもいいよ。その不運の代償に、どんな幸運が訪れるのか…ボクはそれを、天国から見届けるさ。」

    狛枝「あぁゴメン、ボクみたいなクズなヘタレが、天国なんてところに逝けるわけないよねぇ…。」

    七海「ちょっと黙ろうか。」

    狛枝「そんな怖い顔しないでよ。ボクなんかのためにキミの美しい顔を崩すのは勿体ないよ。」

    七海「私さ、本気なんだよ?君一人の命なんかよりも、日向くんの方が大事だから。」

    狛枝「あんな絶望の残党が?」

    七海「絶望なんかじゃない、日向くんは…私の仲間。」

    狛枝「絶望と仲間なんて、ある意味絶望的だね!あっはははははは!!!!」
  116. 116 : : 2016/11/23(水) 22:19:45
    七海「君はさ、私と日向くんを殺して、どうしたいの?」

    狛枝「正直、最初はね、ボクと日向クンが同時に死んで、七海さんを島から脱出させようとしていたんだけどね。キミがあんな予備学科を庇うせいで、その作戦も実行不可能になっちゃったんだ。」

    七海「それは、君と日向くんが、絶望だから?」

    狛枝「そのとおり。まさかボクが絶望しているなんて思わなかったよ。まあ、最初から希望のために死ぬつもりでいたし、作戦に支障はなかったんだけどね。」

    七海「…そっか。なら私も、安心して君を殺せるね。」

    狛枝「キミからそんな言葉が出てくるなんて思わなかったな。まあ、それはそれでいいんだけどね!」

    …私はどうしても、自分が死ぬのが怖いよ。
    彼は自分の命を賭けた勝負にも関わらず、平然と減らず口を叩き、一方の私は、この緊張感と焦りで口数が減ってきていると思う。

    こんなことは言っているけど、狛枝くんだって仲間。仲間に殺される…今更だけど、とても怖い。

    怖い…。
  117. 117 : : 2016/11/23(水) 22:20:02
    七海「…。」

    狛枝「ところでさ、さっきから拳銃を構えるだけで撃ってこないけど…まさか、さっきの終里さんとの戦いで弾切れになったわけじゃないよね?」

    七海「ッ!」

    狛枝「あっは、図星かな?ボクはやっぱりツイてるよ!この絶望的な状況の中で、弾切れだなんてね!」

    …勝った!

    次の瞬間、ドッキリハウス内には、大きな金属音が鳴り響いた。
  118. 118 : : 2016/11/23(水) 22:20:20
    視点:七海⇆狛枝

    様子がおかしかった、といえばいいのだろうか。

    彼女は焦りや緊張といった表情を浮かべていた。まあ命を賭けているんだし、当然とも言えるかもしれないね。

    でもボクは違う。ボクが信じるのは希望だけ。ボクの命やキミの命なんて…ボクの信じる希望には到底追いつかないんだよ。

    だからこそ、こうやって平然を装ってコロシアイができる。いや、装うどころか、これが平然なんじゃないかってくらいにね。

    狛枝「ところでさ、さっきから拳銃を構えるだけで撃ってこないけど…まさか、さっきの終里さんとの戦いで弾切れになったわけじゃないよね?」

    七海「ッ!」

    狛枝「あっは、図星かな?ボクはやっぱりツイてるよ!この絶望的な状況の中で、弾切れだなんてね!」

    一気にボクの優勢。弾切れで武器を失った以上、キミに勝ち目はないよ。

    こっちには、今まで隠してきた『武器』がある。

    …勝った!
  119. 119 : : 2016/11/23(水) 22:20:40
    狛枝「ッ!?」

    次の瞬間、ドッキリハウス内には大きな金属音が鳴り響いた。

    ボクがモノクマから受け取った『初回クリア特典』、真の『極上の凶器』。

    グングニルの剣…って、モノクマは呼んでいたんだけど…

    七海「…。」

    さすがのボクも、これは予想外だった。

    だって、彼女もコレを持っているなんて…聞いていないよ!

    なんで!?初回クリア特典って、ファイナルデッドルームを最初にクリアしたボクだけに与えられるものじゃないの!??

    人生で最大の危機…なんて呼べるかもしれない。ボクは今、そんな不運に見舞われている。
  120. 120 : : 2016/11/23(水) 22:21:39
    勝ったと思ってた。
    弾を使い果たしていたのを指摘すれば、彼女はきっと混乱するって踏んでいたけど…


    勝ったと思ってた。
    私が弾を使い果たしたのを知った時、彼はきっと油断するって思っていたのに…


    狛枝「ははっ、凄い偶然だね、こんな事ってあるんだ…」

    どれだけ動揺しているんだ、ボクは。
    こんな程度、ちょっとした不運だと思えば…。

    七海「様子がおかしいよ?狛枝くん。」

    互いに武器を見せた状態での一騎打ち…厄介であることに変わりはない…よね。
    ちょっと狛枝くんに焦りが見え始めたけど、それはお互い様…やっぱり一筋縄じゃ行かなそうだね。

    狛枝「さて、七海さん。そろそろ決着をつけようか。」

    恐怖や焦りといった感情…幸運と不運を人生でずっと体験してきたボクにとって、こんな感情は無縁だと思っていたけど…
    彼女を前にして、初めてそんな感情が生まれたよ。

    七海「そうだね、さすがに私も、君のお喋りに付き合うような力は余っていないし。」

    覚悟を決めるしかないよね。私の目的は、あくまで日向くんを守ること…
    刺し違えてでも殺す。恐怖や焦りも噛み殺して、狛枝くんも殺す。

    狛枝(次は容赦しないよ…ッ)
    七海(次は容赦しない…ッ)
  121. 121 : : 2016/11/23(水) 22:22:13
    互いに電子生徒手帳を片手に避け合う。


    私の日記は『監視者日記』。みんなの言動を細かく把握できているから、どんな攻撃が繰り出されるかもわかっている。もちろん、ここに書かれている事は真実で、私の予知範囲とは関係はない。


    ボクの日記は『絶望日記』。ボクを含む絶望15人の行動の把握と、ついでにこの中で、唯一希望と言える七海さんの行動を完全に監視する日記。いわば『監視者監視日記』。もちろん、ボクの日記に書かれていることは全て真実で、ボクの予知範囲とは関係はない。


    きっと相手も同じような日記を使っているはず。だからこそ、互いに攻撃を避け合う態になっている。


    このまま体力切れ…なんてなったら、さすがにまずいよね。


    お願い、耐えて…日向くんを守るためには、これでなんとか体力を削るしか…!


    キミが攻撃に出ないっていうなら、ボクにだって考えがある。


    日向くんを守って、新しい希望を育ててもらう…。彼にはきっと、それができるから…


    狛枝「これで終わりだよ、七海さんッ!」

    狛枝くんが首を狙って剣を突き立てる。さすがにこの状況じゃ、避けきる事もできなかったので…

    七海「私の………勝ち…………だね………………。」

    宣言通り、刺し違えてやった。
  122. 122 : : 2016/11/23(水) 22:23:37
    狛枝「がっ………ふっ………。」

    してやられた…まさか、彼女が相打ちを狙っていたなんて…

    あっは、こんな絶望的な状況に置かれたら、もう何も言えないし、考えられないよね。

    狛枝「日向クン………か………。」

    彼女がここまでして守った彼を…ボクもなんだか期待したくなってきちゃったよ。
    彼は真の希望になれる…なんてね。

    そんな事を考えながら目を閉じれば、すぐにボクの意識は遠のいていった。



    -chapt.5- the end/To Be Continued
  123. 123 : : 2016/11/23(水) 23:37:33
    -未来日記メモ-



    7th.七海千秋(2):監視者日記
    →彼女の持つ本当の日記。生徒達の細かい監視で、情報は全て真実。狛枝の『絶望日記』と同じような能力。



    残り生存者:1人
  124. 124 : : 2016/11/23(水) 23:58:34



    視点:狛枝&七海⇄日向

    日向「…。」

    眠らされていた…のか?
    確か、ソニアが死んだあたりから、俺は意識がなくなっていたんだよな。

    七海にハメられた…のか?

    というか、ここは俺の部屋か…?
    つまり、あのドッキリハウスでの件は解決したってことなのか…?

    それを確認するためにも、まず日記を開こうと電子生徒手帳を手に取る。すると、メールが5件来ていることがわかった。

    『13th.ソニア 死亡,クロは7th.七海千秋』
    『16th.終里赤音 死亡,クロは7th.七海千秋』
    『2nd.弐大猫丸 死亡,クロは4th.狛枝凪斗』
    『4th.狛枝凪斗 死亡,クロは7th.七海千秋』
    『7th.七海千秋 死亡,クロは4th.狛枝凪斗』

    ……………

    日向「は?」

    なんで、あの2人がクロになって、あの2人が死んでいるんだ?

    日向「………。」

    寝よう。寝て忘れよう。

    混乱した俺は、とりあえず寝ることにした。
  125. 125 : : 2016/11/23(水) 23:59:02



    …目覚めると、そこは見たことも無い場所だった。

    少なくとも、俺らが探索した島の中に、こんなところはなかった。

    じゃあ、ここはどこなんだ…?

    いや、俺はこの景色を見たことがあるはずだ。

    裁判所のような雰囲気。16つの席。
    俺は絶対にここに来た。

    だけど、何も思い出せない。

    日向「………。」

    少し考えていると、俺の電子生徒手帳からノイズの音が聞こえた。

    『謎の女子高生が現れ、何も思い出せないまま潰されて死んだ。
    DEAD END』

    日向「…は?」
  126. 126 : : 2016/11/23(水) 23:59:32
    女子高生…?潰された…?
    何を書いているんだ?
    俺の未来日記は調子がおかしいのか?

    直後、今度は俺の手帳ではなく、どうやらこの部屋全体から、ノイズのような音が聞こえる。

    そして出現したのは────

    巨大で、謎なくらい派手な女子高生だった。

    というか、女子高生なのか…?あまりにも大きい。巨人と言った方が正しいくらいだ。

    手だけで簡単に俺の事を潰せてしまう。っていうか、潰されたから死んだのか。

    ははっ、なるほどな。

    日向「……………は??」
  127. 127 : : 2016/11/23(水) 23:59:47
    女子高生は挨拶もなく、俺を全力で潰そうとしてくる。もちろん俺は全力でそれを回避する。

    だけど、このままじゃ俺の体力が切れて死ぬ。この未来日記通りに…。

    なんでだよ?これじゃ今まで戦ってきた意味がないじゃないか…。

    どうにかして、このデッドエンドフラグを回避しないと、俺は本当に死んじまう…。

    日向「おい、挨拶くらいしたらどうだ?!挨拶できないヤツは悪人になるんだぞ!?」

    アホみたいだ。こんな叫んだところで、無駄に体力を消費するだけ────

    「おっと、そういえば自己紹介していなかったね。」

    と、巨大な女子高生はガラケーを取り出して、それに何かを入力すると、俺の目の前に置いた。

    江ノ島「私様は江ノ島盾子。『超高校級の絶望』なのじゃ!」

    日向「………………は?」
  128. 128 : : 2016/11/24(木) 00:00:07
    江ノ島「ちょっと手順間違えちゃって、アンタのことを潰そうとしてたわー、テヘペロ!」

    日記からノイズ音が鳴る。これで一先ずDEAD ENDフラグは回避できたようだ。

    だけど、手順ってことは…これから潰す可能性もある…って事だよな。そういう未来にならないように、気をつけなきゃな。

    日向「…で、江ノ島。お前はなんなんだ?」

    江ノ島「逆に聞くけど、私様が何のためにここにいると思う?」

    江ノ島「そう!最後の一人となった日向創くんのー、蘇らせたい人を蘇らせるタイムでーす!」

    …!!

    ってことは…こいつは…。

    日向「お前が…あのモノクマの正体…なのか?」

    江ノ島「あったりまえだろバーカ!逆に私様が黒幕じゃなかったら何なの!??って話だわ!!」

    江ノ島「さて、じゃあ日向創くんはー…誰を蘇らせたいのかなー?」

    日向「…俺は」

    初めてできた仲間…左右田
    俺をずっと支えてくれた…七海
    ソニアが俺たちを殺してまで復活させたかった…田中
    それ以外にも…理不尽な死に方をしてきた奴らもたくさんいる…。

    俺は、誰を選べばいいんだ…?
  129. 129 : : 2016/11/24(木) 00:00:22
    日向「…七海を選ぶ。」

    江ノ島「おっ?やっぱりかー!アタシの予想通りになっちゃったねー!ま、いっか。」

    江ノ島「それでは復活ターイム!でれでれでれでれでれでれでれ…ででーん!!」

    変なドラムロール(?)の音に合わせて、周囲が眩しい光に包まれた。

    七海「……。」

    日向「七海ッ!」

    彼女のもとへと駆け寄る。大丈夫…生きている。

    七海「日向………くん………?」

    日向「七海…。」

    溢れでそうな涙をおさえて、七海の腕を引っ張って起こす。

    江ノ島「はい、感動の再開ターイムはおしまい!どうやら、もう来ているみたいだからね。」

    来ているって…誰がだ?
  130. 130 : : 2016/11/24(木) 00:00:36



    苗木「キミが…日向創クンだね?」

    霧切「辛い中、よく生き残ったわね。」

    朝日奈「みんなの様子は、監視カメラ映像で見させてもらっていたよ。助けに来るのが遅くなっちゃって、本当ごめんなさい。」

    葉隠「人数はいるべか?」

    腐川「問題ないはずよ…合計で『8人』いるわ。」

    十神「………。」

    日向「十神!!?」

    見覚えのある顔に、思わず声をかけてしまった。

    十神「あんなデブと俺を一緒にするな。あいつはただの偽物。俺が本物の十神白夜だ。」

    腐川「そそそ、そうよ!あんなデブが…白夜様なわけがないわ!」

    江ノ島「あー、あー…そろそろ始めてもいいっすかー?」
  131. 131 : : 2016/11/24(木) 00:01:07
    江ノ島「いやー、それにしても、見事に揃ったね!まあこうでもしないと、『強制シャットダウン』が発動できないし、仕方なかったかもねー。」

    日向「強制シャットダウン?」

    十神「…日向よ、そこにボタンがあるだろう。とりあえずそれを同時に押せ。」

    日向「それが強制シャットダウンか?っていうか…これはなんなんだよ?」

    苗木「説明すると長くなるんだけど…えっと、話しても大丈夫かな?」

    江ノ島「っと…苗木とかが説明すると絶望的に長くなるので、私様が完璧かつ簡略なボードとしてまとめてみました!こちらをご覧ください!」
  132. 132 : : 2016/11/24(木) 00:01:21
    ここは、観光地として有名なジャバウォック島をモチーフにしたプログラムの島。所謂『新世代型バーチャルリアリティ』。

    オマエラをこのゲーム世界に連れてきた理由はただ一つ…『超高校級の絶望』であるオマエラを、この『希望更生プログラム』で希望へと更生すること。

    強制シャットダウンをしてしまえば、死んだ奴らは蘇らず、日向創は超高校級の絶望として、この島から出てしまう。

    卒業を押すと、ここで生きた日向創のデータを、今の日向創の身体に上書きし、希望を保ったままこの島を出ることができる。しかし、死んだ奴らの身体は江ノ島盾子に乗っ取られてしまう。

    留年を押すと、この先も同じような南国生活を続けてもらう。残酷で無慈悲なコロシアイを。

    江ノ島「ついでだし、日向創。オマエについてもちょっとだけ説明してやろう。」

    『希望更生プログラム』にかけられる際、オマエラが希望ヶ峰学園で過ごした記憶は全部消去された。そこに、『超高校級の絶望』となる鍵があったからだ。

    その中でも特に、日向創クンには『超高校級の絶望』になるととても厄介なことがあり、なんと『日向創』の人格ではなく『カムクライズル』という別人格になってしまう。

    説明通り、カムクライズルには日向創の記憶や感情、趣味なども一切ない。そこに残るのは、ただの絶望だけ。

    江ノ島「もちろん、強制シャットダウンをしたら、オマエに残るのは、そのカムクライズルって人格だけ。それでもオマエは、強制シャットダウンをするか?」
  133. 133 : : 2016/11/24(木) 00:01:58



    日向「……………。」

    頭がついていけなかった。

    こんなのをいきなり全部説明されても、ワケがわからねえよ…。

    まるで、事件の伏線を最後に無理やり回収するような…そんなゴリ押し感があった。

    いや、この際そんなのはどうだっていい。

    カムクライズルって………なんだよ?

    俺が別人…?冗談もここまで来ると笑えねえよ。

    なあ、俺はどっちを選べばいいんだ?
  134. 134 : : 2016/11/24(木) 00:02:30
    苗木「日向クン!希望を失っちゃダメだ!」

    霧切「日向くん。絶望なんかに屈しないで。」

    朝日奈「信じて日向!私達を信じて!」

    葉隠「金なら十神っちが払ってくれるべ!今は俺達の事を信じてくれよ!」

    十神「愚民が…こんな程度で屈する程度の奴なのか、貴様は!」

    腐川「白夜様を困らせるんじゃないわよぉ…とっとと強制シャットダウンを選びなさい!」

    今の俺には何も聞こえない。

    あいつらは何か騒いでいるみたいだけど、今の俺には関係ない。

    そもそも、俺は江ノ島なんかの話を信じちゃいない。ゲーム世界?そんなの非現実的だ。

    いや、非現実的だからゲームなのか。ははっ。

    もういいよ…疲れた。俺はここで寝るよ。

    これが俺のDEAD END…なんてな。



    七海「…日向くん!」
  135. 135 : : 2016/11/24(木) 00:02:47



    日向「…………いひゃい。」

    七海から頬を抓られる。

    七海「ねえ、どうして一人で抱え込むの?私達、ずっと一緒だったでしょ?なら、私の事も頼ってよ。」

    日向「…でも」

    更に抓られる。痛い。

    七海「確かに、強制シャットダウンには、不確定な要素が多いし、ダメになるかもしれない。だけど…」

    七海「今まで頑張ってきたんだから、今度だってきっと行けるよ。」

    七海「日記が指し示した未来じゃない…君自身が創る未来にさ…。」

    七海「やればなんとかなる…だよ?さ、行こう?」

    日向「…七海。」

    日向「ありがとう。」
  136. 136 : : 2016/11/24(木) 00:03:20



    江ノ島「え?何これ?」

    江ノ島「は?冗談じゃねえって。ふざけてんの?」

    江ノ島「はああああああ!?????」

    日向「俺は強制シャットダウンをする。それからの事なんて、それから決めればいい。」

    江ノ島「本当にそれでいいのか?!」

    日向「問題はない。だって俺には…」

    日向「未来を創る『未来日記』があるからな。」

    江ノ島「なっ…………」

    江ノ島「なんなのよぉっ!!!!!????」
  137. 137 : : 2016/11/24(木) 00:03:38



    苗木「ありがとう、日向クン。」

    日向「礼を言うなら、俺じゃなくて、七海に言ってくれよ。」

    七海「私?私は何もしていないよ。日向くんが決断してくれたお陰。」

    日向「でも、お前が道を示してくれなければ、俺はきっと…。」

    七海「日向くん…。」

    今度は俺からキスをする。

    なんていうか…若気の至りって奴だな。
    七海の事は好きだし、特に間違いはない…はず。



    -chapt.6- the end/GAME CLEAR!!
  138. 138 : : 2016/11/24(木) 00:05:01



    苗木「どうやらボク達はお邪魔みたいだね。」

    霧切「十神君もああいうことされればいいんじゃない?あなたの奥さんから。」

    十神「霧切、お前の冗談は面白くないな。誰が腐川なんかと…」

    霧切「あら、私はあなたの奥さんって言っただけなのに、どうして腐川さんになるのかしらね?」

    十神「霧切…貴様…ッ!ここから出たら覚えておけよッ!」

    霧切「覚えておくわ。十神君の奥さんは腐川さんだってね。」

    十神「……やっぱ忘れろ。」

    苗木「まあ、何にしても…これで一件落着…だね。」

    十神「何を言っている?まだこれからだろう?」

    苗木「あはは…そうだったね。」
  139. 139 : : 2016/11/24(木) 00:05:15
    あれから数週間が経った。

    七海の内部からの助けもあって、尋常じゃないスピードで俺たち全員は蘇った。

    と、いうのも、全部俺の日記に書いてあった。

    俺らが創る未来を記した、この『未来日記』に。

    ………なんてな。ゲーム世界でもない限り、この未来日記なんて、ただの日記に過ぎない。

    でも、今はこの日記通りに進んでいる。色々あって大変だったが、『全員で帰る』っていう、一つの目標は果たせた。

    あとはこれからのことだ。こいつら全員が復活しても、全員が憎みあったり、いがみ合ったりするような関係にならないよう…やっぱりそれが重要になる。

    日向「七海、これからも、俺を支えてくれるか?」

    自分の電子生徒手帳に、そう問いかける。

    七海「もちろんだよ、日向くん。」

    そう、俺達は『全員』で帰れた。

    16人全員揃って…だ。



    -epilogue- the end
  140. 140 : : 2016/11/24(木) 00:08:24
    -未来日記メモ-



    1st.日向創(2):未来日記
    →自分の作り出したい未来を書いた日記。ゲーム世界とは違う、ちゃんとした現実世界で使っているため、『未来が読める』能力はないが、その日記通りの未来が創れるように頑張ろう、という、ある一種の目標のようなものとなっている。



    残り生存者:16人

▲一番上へ

このスレッドは書き込みが制限されています。
スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。

著者情報
ACAOT7126

ふぃん

@ACAOT7126

「ダンガンロンパ 」カテゴリの人気記事
「ダンガンロンパ 」カテゴリの最新記事
「ダンガンロンパ 」SSの交流広場
【sn公式】ダンガンロンパ交流広場