このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
東京喰種【another】
- 東京喰種トーキョーグール
- 1877
- 31
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- 1 : 2016/10/01(土) 19:01:15 :
- はじめまして!文鳥と申します!東京喰種が好き過ぎてたまらんので、なんとなくオリジナルストーリー作ろうかなと、軽い気持ちではじめます。亀更新になるかもしれないですけどお付き合いください。あと、ド素人です!よろしくお願いします!
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- 2 : 2016/10/01(土) 19:19:56 :
- 2月。冷たい風が白い頬をなでる。
私は今、23区『コクリア喰種収容所』の前にいる。
「覚悟があるか」と聞かれたら、答えは「否」。だけど、私は、『彼』を助けたいから。
#1 山羊
あれは、昔の話。今とは比べ物にならないくらい暑い。外を歩けば額から汗が流れ、滴り落ちる。
そんな中私はいつものように学校の帰り道にある『あんていく』という喫茶店に向かう。そこは私にとって、唯一の安息の地。
『あんていく』のドアを開ける。ドアに付いているベルが心地よい響きで私の入店を知らせる。
私はいつもの、奥の角にある席についた。長い黒髪の優しそうな女性店員が注文を聞きに来たので私はいつも通り
「ミルクコーヒーお願いします。」
と注文をした。
この日はただコーヒーを飲みに来たわけでわない。どういう事かというと、ある人と待ち合わせをしているのだ。その人とはこの店で高槻泉の『黒山羊の卵』という小説がきっかけで知りあったのである。
私は本が大好きな清巳高等学校の一年生の女の子。太刀川 光見(たちかわ ひみ)。青春真っ盛り。と言いたいところだけど、私に友達はいない。いや、正確にはいなくなった。これが正しい言い方だろう。数少なかった私の親友は、「喰種」に殺された。人の姿をしながら、人を狩り、その死肉を喰らう異形の存在。『喰種』の手によって。
カランカラン。と入り口のベルが鳴る。入ってきたのは長く美しい髪で、赤い縁の眼鏡を掛けたとても美しい女性だ。
彼女が私の新しくできた友達と呼べる存在、神代利世。私より三つ歳上のお姉さんだ。
リゼさんは私と向かい合うように座り、その綺麗な声でブラックコーヒーを注文した。
。。。。。
ヒデ「金木!本当にいるんだろうな例の可愛い子!」
少年の名前は金木 研。そして彼を呼んだのが彼の親友、永近 英良。
彼らは今『あんていく』に向かっている。
カネキ「いると思うよ」
僕はさっきの問いに少し頬を赤らめながら答えた。
その子はサラサラで黒い髪を後ろでくくり、いわゆるポニーテールという髪型をしていて、大きな目が可愛らしい。そして何より僕が引かれたのは、僕が敬愛してやまない高槻泉の小説を彼女が読んでいるということだ。
しばらく歩くと、まだ店の中に入っていないというのにコーヒーのいい香りが風にのり漂ってきた。
『あんていく』のドアを開けると、奥の角。彼女が座っている。向かいに座っている女性は彼女の友人だと思われる。二人とも綺麗だ。
ヒデに
カネキ「あの子だよ」
と視線で指差しながら言った。
するとヒデは、入り口に一番近い席に座り僕にも座れというふうに向かいの席を指差した。僕が座るとヒデは
ヒデ「あの子、まだ高校生だろ」
ヒデの言いたい事はよくわかる。僕らは大学生で相手は高校生。見ず知らずの男子大学生が突然現れて声をかけてきたら女子高校生はどう思うだろうか。答えは決まっている、「キモい」そう言うに違いない。たとへそう口に出さなくても心のどこかではそう思うだろう。そう思わない方がおかしい。
そんなことを考えていると
ヒデ「なら、せめてあのメガネちゃんはどうなんだよ」
と言ってきた。確かに歳は僕達と同じくらいで可愛い。けど何か違う。
そんなことを話し、結構な時間が経った。ヒデは先輩と約束があると言って帰ってしまった。一人になった僕は鞄の中から現在読み進めている「黒山羊の卵」を取り出し、パラパラとしおりの挟まったページを探す。
。。。。
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- 3 : 2016/10/01(土) 21:18:20 :
- 私がリゼさんとお話をしていると、2人の青年が店に入ってきました。黒髪の方はよくこの店で見かけますが、金髪の方は初めて見ました。彼らも私たちと同じくたわいもない話をしています。
リゼ「もっと本好きの友達が欲しいですね」
リゼさんが私にそう言い、視線を入り口のドアの方に向けました。見ると、一人になった黒髪の青年が『黒山羊の卵』を読んでいるのです。同時に戸惑った。なぜかは分からないが、その瞬間、両側の頬が熱くなるのを感じたからだ。
リゼ「あの方にも、声かけけてみます?」
リゼさんは私の白から赤に変わった顔を見て、少し微笑んでそう言う。
ヒミ「あ、は、はい。」
呆然としたままの表情で、それでいてハッキリとした感情で返事をした。私はあの人と話がしたい。
スッとリゼさんが立ち上がり、青年の元へ歩いていく。
リゼ「あの」
青年に声をかける。突然現れた美しい女性に、まさか自分が声をかけられるなんて全く考えられなかった。というような顔でリゼさんを見上げている。青年は
「な、なんですか?」
未だに少し焦っているのがよくわかる。
リゼさんが私達が本好きの友達を探していると伝えると青年は心底嬉しそうな表情でリゼさんと話し始めた。リゼさんはその笑顔で私を呼んだ。
。。。。。
カネキ「ヒデ!やった!やったよ!」
ヒデ「とりあえず落ち着け。なに、なにがあったの?」
僕はヒデにあの後神代リゼさんが話しかけてきて、さらにヒミさんとも仲良くなり、とんとん拍子で次の日曜日にみんなで本好きのマスターのやっているカフェへ行くことになったことを話した。よほど僕のテンションが高かったのか、ヒデは電話越しに苦笑している。
ヒデ「そんなことなら俺も残ってればよかったなー」
ヒデがのんきに諦めているので
カネキ「ヒデも来ていいって言ってたよ!」
全力でヒデを誘う。僕もヒデも彼女いない歴=年齢の人間なので、もしここで僕だけうまくいって、後で文句を言われるのは是非避けたい。
だが、
ヒデ「行きたいのは山々なんだけど、色々あって無理なんだよ、スマン。」
意外にも 断られた。
もし僕がうまくいっても文句言うなよ。とだけ付け加えその通話はお開きとなった。
日曜日。僕らは古書と珈琲の香りが見事にブレンドされたとてもいい雰囲気の喫茶店に来ていた。
リゼ 「そういえばこのお店高槻先生も来るらしいですよ。」
リゼさんが言ったので、
カネキ「本当ですか?!」
と勢いに乗せ大声で発声してしまった。ヒミさんが笑っている。僕も引きつった顔で笑うしかなかった。なんせ、生粋の高槻ファンだというのに僕は生まれてこのかた一度たりとも本物の高槻泉を生で見たことがないのだ。サイン会にでも行けばいいのだが、いつもそれは僕から逃げているかのように終了している。
まぁ、僕が遅いだけなんだろうけど。
。。。。。
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- 4 : 2016/10/02(日) 00:17:21 :
- がんはってくれぃ
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- 5 : 2016/10/02(日) 01:59:06 :
- 期待だお
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- 6 : 2016/10/02(日) 15:32:17 :
- ありがとうございます!こんな感じでいいんだろうか?
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- 7 : 2016/10/02(日) 16:25:06 :
- 会話文と地の文の間を一行空けると良いかもしれません。
例
金木「ど···」
「どこ」と金木が言い終える前に、鯱は~~
鯱「遅いぞ童!!」
ーーーー
ーーー
こんな風にすると少しだけ見やすいかもしれません。
期待しています!
-
- 8 : 2016/10/02(日) 19:58:18 :
- >>7
ありがとうございます!他の方のものも読ませていただいて勉強してきました!
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- 9 : 2016/10/02(日) 20:31:13 :
- 楽しい時間はやはり過ぎるのが早いもので、もう既に時刻は六時半を過ぎようとしていた。久しぶりに一日が早かった。毎日こんな風に楽しければ幸せなのに。どうしてこうも私は不幸なんだろう。
帰り道、リゼさんが近道を知っていると言い、工事現場の方に入っていった。そこは人通りはなくただ左右に冷たく光る鉄の壁が聳え立っているだけだった。光源は10m間隔で並んだ薄暗い街灯だけ。その闇の中、リゼさんは先頭を歩く。こんな道、誰かといないと怖くて歩けないや。なんかお化けでも出てき……
リゼさんの直ぐ後ろ、金木さんの姿が失くなった。
左側の壁が倒壊し砂煙りが舞う。
砂煙の方に
ヒミ「金木さん!!?」
叫んだが返答はない。前に向き直ると、リゼさんの眼が、赫い。絶叫にも近い声でリゼさんは叫ぶ
リゼ「まさか思わなかったでしょう?私が、喰種だなんて!!?」
と。
私は無我夢中で走った。逃げた。背後で喰種の嗤い声が聞こえる。が、無視して走る。金木さんを後ろに残して。
私は薄情者だ。でも、人を呼べばみんなで助かるんだ!
足の疲労なんて関係ない。もつれそうになってもひたすら逃げた。と思ったら、左脇腹に突然衝撃が走り、特に痛みもなく、吹き飛ばされた。その場で最後に聞いたのは激しい轟音。暗い暗い夜道が、黒い黒い霧に包まれていきました。
掠れて歪む視界。ぼんやりとした意識の海の中、規則正しい機械音と騒ぎ慌てふためく人間達。
「嘉納先生!?」
「彼女の臓器を彼らに!」
「遺族の方の同意なしでは…!」
「すべての責任は私が取る!」
「んー、それじゃぁこっち貰って行こうかな〜」
陽気な声が私の意識を再び霧の中へ誘った。
これが悲劇の始まりだった…。
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- 10 : 2016/10/02(日) 20:32:08 :
- 読みやすくなりましたかね…?
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- 11 : 2016/10/03(月) 15:44:50 :
- はいこちらの方がいいです
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- 12 : 2016/10/03(月) 19:25:12 :
- #2 道化
眼を覚ますと見たことのない天井が目に入った。その目をそのまま右にやると、ピエロが椅子に座って私の寝ているベッドに頬杖をついて私を眺めていた。明らかに目が合っているのにピエロはピクリとも動かない。
よく聞くとスースー寝息を立てているのがわかる。どうやら眠っているらしい。足元の方に目をやると錆で赤黒くなった鉄の扉が閉じている。動こうとしたが手首には点滴用の針が刺さっており何かはよくわからないがポタポタ薬か何かが落ちてきているのが気になって動けない。
そういえば、あの時リゼさんに襲われたのに傷が特にないし、どこも痛くない。ともすればここは病院なのだろうか。でも、窓もないし光源は部屋の壁に備え付けられている蝋燭と天井からぶら下がっているランプのような物だけ。当たり前だがこんな部屋はとても病室とは言えない。独房。それが正しい表現だろうか。しかし、では、この点滴は一体何。
そんなことを考えていると右のピエロが、それこそからくり人形のように動き、
ピエロ「おはよぉう。」
伸びをしながら喋った。
ヒミ「あなたは、だれ?」
質問を投げかける。「ここはどこ?」と聞くてもあったが、まずは目の前にいるこの人物が敵なのか味方なのか、知る必要があると思った。ピエロは伸び終え、こちらに向き直るとこう答えた。
PG「PG。とでも呼んでちょ☆」
なんとも陽気なピエロだ。そもそも名前を聞いたところで何者か理解するのは難しい。だけど、明らかな偽名であるPGの名。怪しい。次に「ここはどこ?」の質問をしようとすると、勝手に向こうが話し出した。どうやらここは『レストラン』の地下室らしい。確かに美味しそうな匂いはしている。
でも、何故レストランにいるのか。何故こんな独房の様な場所があるのか。何故ピエロがいるのか。などなどおかしい点はたくさんある
戸惑っていると
PG「なんで生きてるのか不思議じゃぁないかな?」
突然聞かれて戸惑い、頷いた。
PG「その答えはーー……」
そう言いながらその着ているスーツの胸のポケットからサッと手鏡を取り出し、こちらに見せた。そこに映っているのは私。と、私でない、何か。
私の右目の瞳。その色は、赤。真赤に染まっている。なんで?答えは難しく、出てこない。出てくるわけがない。出てきてほしくない。でも、わかるんだよ。リゼさん。貴方の所為ですよね。何故だ。こんな思いしたくない。人を殺さないといけない生き物になんかなりたくない。
ヒミ「ふざけるな。」
こぼれ落ちた言葉
PG「おう?」
反応するPG。
ヒミ「ふざけんな!!!」
手首に刺さった針をブチ抜き、PGの手に持つ手鏡を奪い取り地面に叩きつける様に嬲り捨てる。
けたたましい破壊音が部屋中に響き渡り、鏡が砕ける。それでも尚、ピエロの不敵な笑みは消えてくれない。ピエロと言ってもそれはただの仮面。でも、その奥でも嗤ってるに決まってる。頭の中には「殺す」それしか無かった。
PG「わー、怖い怖い。」
PGは思ってもいない言葉を口にする。それがまた無性に腹がたつ。こいつとはこのまま一緒にいられない。そう思い、ベッドから立ち上がり、貧血をおこしてフラフラの身体に鞭を打ち鉄扉に向かった。ドアノブを回すが、回らない。鍵がかかっている様だ。
PG「わー!ざんねーん。」
後ろで喜びからくる高い声をあげるピエロ。その手には銀色に輝く鍵が握られている。行き場の無い正体不明の怒りをぶつけるべく、私は狂った様に走り出し、PGに飛びかかる。が、フッと姿が消える。私の腰からなにかがスルスルと飛び出し、壁を抉り削ったが気にしない。次につなぐ為振り向き、腕を前に大きく振る。すると何かが風を切り手を叩いて踊るピエロめがけて走っていく。だが、再び彼は消えてしまう。刹那、背後から気配を感じた。と同時に後頭部を打撃が襲う。一瞬何が起こったのか見当もつかなかったが地面に倒れ込み、ようやくPGに殴られたのだと理解した。だが、時すでに遅し。私の身体は麻痺して動かない。そんな私の横にしゃがみ込み
PG「それ、こんな事に使わないで仕事で使っておくれよ。」
ヒミ「し、仕事…?」
PG「そそ、お仕事。」
その内容が知りたい。この時既に私の怒りは消え、戸惑いに変わっていた。
話によるとこの『レストラン』では、定期的に、料理を客の目の前でさばく『解体ショー』なるものを行なっているらしい。多分マグロとかそういうのを解体するんだと思う。
さらに、解体するのは『スクラッパー』という役職の人で、客を楽しませる工夫をするのだという。例えば、仮装してみたり。
-
- 13 : 2016/10/03(月) 19:25:23 :
- それを聞いて私は理解した。この人はスクラッパーでピエロの仮装をしているのだと。それで、私は、喰種の仮装。さっきの眼はカラコン。そう思うと申し訳なくなって、恥ずかしくなって
ヒミ「さっきは、暴れてしまって本当にすいませんでした。」
精一杯謝罪した。
。。。。。
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- 14 : 2016/10/03(月) 19:26:12 :
- 間違えてログインしないでやってしもた!!
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- 15 : 2016/10/03(月) 19:29:50 :
- 面白いですね!!
期待です!!
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- 16 : 2016/10/03(月) 22:44:22 :
- >>15
ありがたきお言葉…!
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- 17 : 2016/10/04(火) 19:51:40 :
- 薬品の匂いが鼻腔をくすぐる。でもそれがまた俺に緊張感を持たせてくれて良い。夜の病院の薄暗く照らされた廊下を一人歩いていく。目的地はこの奥、使用中のランプが赤く光っている。本来なら歓迎される筈のない黒スーツの奴が吸い込まれる様に手術室に入っていく。
その間も俺の顔から笑顔が消える事は無かった。手術室の中は何やら騒がしく、遺族がどうとかわめいてた。
嘉納 「やあ、旧多くん」
俺に声をかけたのは白髪の短髪で顔のシワの目立つ男。といっても今ここは手術中で青緑色の帽子とエプロン、それから顔の八割を覆っているマスクで顔もわからないが。この男は嘉納だ。
旧多「いや〜、ご無沙汰しております」
他の医師も気にする様子は見られない。気にはしている様だが、既に嘉納によって買収、もしくは洗脳済みである。
嘉納「この子達は両方共成功体だ。どちらかは君らに譲ろう」
旧多「んー、それじゃぁこっち貰って行こうかな〜」
俺は二人のリゼベース成功体の内、女子高生の方を選んだ。男の方でも大差無かったけど、面食いなんでね、俺。
。。。。。
私が謝ると
PG「いやいいんだよ言ってなかったんだから俺が悪かった」
と許してもらった。
ヒミ 「あの、解体ショーなんて経験ないんですけど…」
そう言うと、PGはそんな事は分かりきっていると言う様に大きくうんうんと頷いた。
PG「じゃあとりあえず、同業者の人に挨拶でも行こうか」
そう提案されたのでついて行くことにした。さっきは仮装という事で納得したが、今思えば彼に襲いかかった時明らかにいつもより感覚が研ぎ澄まされていたし、壁も二箇所破壊した。これが何なのか全く腑に落ちていなかったが、そんな私をよそに彼は鉄の扉に鍵を差し込み、ガチャンと回す。
重い扉が開くとその先は一本の長く薄暗い廊下。窓は一つもなく、部屋の中同様ランプと蝋燭の灯りが揺れていた。そんな中を彼は何かはわからないが歌を口ずさみながらどんどん進んで行く。それについて歩いていくと、右に曲がる道が現れる。そこにはさっきの部屋と同じく錆びた鉄扉が道を塞いでいた。そこの鍵も彼が開け、中に入る。
そこは私のいた部屋と何ら変わりない部屋。だが、そこにいた人は少し普通じゃない。身長は私の倍はある様に見えた。私が160cm位だがその人は大体2m50cmだろうか。さらに体重もかなりありそうで、腕は異常に太く、足は短い。だが決してただ太っているというわけではない。太くなっている箇所、その全てが筋肉のようだ。
私が、すくみ気味で立っていると、その大男は丁度顔が隠れるように被っている赤い布をぺこぺこさせながら「ん?あ!」と疑問からの確信の言葉を発し、続けた
「どぉぎょおしゃさん。よろしくおねないします!」
一瞬何を言ったのかわからなかったが、どうやら
「同業者さん。よろしくお願いします」
と言ったようだ。その見た目からはまったく想像できないような、子供じみた声と、話し方に私は再び驚いた。
すると今度は部屋の奥の方から、甲高い女性の笑い声が聞こえてきた。
女「あら、PG様、可愛らしい飼いビトさんねー」
その女性はそんなことを言った。
「飼いビトって何ですか?」
と聞こうとPGさんのほうを見ると既に彼は女性の方に駆け寄って何かをヒソヒソと話している。
。。。。。
-
- 18 : 2016/10/04(火) 19:53:35 :
- 俺は彼女をタロちゃんのいるところに案内した。案の定彼女は彼を見て心拍数が上がっている。恐怖、しているのかな。
すると暗い部屋の奥からマダムAの笑い声が聞こえてくる。
マダムA「あら、PG様、可愛らしい飼いビトさんねー」
一瞬焦った。まだ彼女には自分がどうなったのか教えたくなかったから、慌ててマダムAに駆け寄って
旧多「マダム、まだそれを言っちゃダメなんですよねー」
と耳打ちした。
マダムA「どうして?」
と聞いてくるマダムに
旧多「サプライズですよっ」
と答え、ヒミの方に戻る。
旧多「さぁてこの人がキミと同じスクラッパーさんだよ!」
陽気な声でヒミに教えてやる。ヒミは困った感じではあったけど大きな手と握手した。いや〜滑稽ですな、成功作と失敗作が並ぶと。
旧多 「じゃあ挨拶も終わった事だし、ショーの練習をしに行こうか」
早速次のステップに移る。
またまた薄暗い長い廊下を歩いて行って大きな部屋に連れて行く。そこはボロボロになった大きなタイルが敷き詰められていて、本番になるとそこを獲物を追いかけ、走り回る。部屋についてヒミに説明していると、向こうの方から一匹の猫がやってきた。
。。。。。。。
ニャー。そう泣いた。直後、後ろからものすごい勢いでタロさんが走ってくる。その手には巨大なノコギリが握られている。猫に近づきながらそれを振り上げ、ブオンと風を切る音とともに振り下ろす。すると、容易く猫の体は両断され、のこ身は勢いよく地面に突き刺さった。
ヒミ「な…!?」
突然のことで何が何だかよくわからなかったが、確かに、猫が、殺された。
ヒミ「なん、て、ことを…」
PG「あちゃぁ〜、ノラ猫ってマジかよ〜。こりゃ事故だよ、ゴメンね〜」
やっぱり陽気な声を出すピエロに薄ら寒さを覚えた。すぐにスーツの男が駆けつけ、猫を回収していった。おそらくこのレストランの従業員だろう。するとPGはその従業員に何か話している。かと思うとこちらに駆けつけ、
PG「ホントに嫌なものを見せてしまった。よかったら、うちの料理食べてみない?もちろん、お代は結構!」
と言った。そういえば起きてから何も食べてないからお腹は空いているし、どんな料理なのかも知らされないまま働くのはちょっと無理がある。なので
ヒミ「た、食べたいです!」
そう答えた。
今度はエレベーターに乗り込み上へ上がる。
エレベーター内はすごく豪華で、上へ上へ上がるに連れ、なんとも言えない美味しそうで、それはそれは心地の良い匂いが漂って来た。
。。。。。。
-
- 19 : 2016/10/04(火) 19:55:10 :
- 2話お終いです!次の話から金木くん出てくるはずです!あと、ストックがなくなってしまったのでペース落ちてしまいますがご了承ください。
-
- 20 : 2016/10/06(木) 20:41:50 :
#3 【変化】
上層階に着き、豪華な扉が開かれると、地下とは比べ物にならないくらい大きくて、なんといっても豪華なホールに出た。開店前なのかお客さんらしき人は一人もいない。
灯りはとてつもなく大きくて派手な、それこそ宝石の埋め込まれたシャンデリアが並んでおり、雰囲気は完璧だ。
PGによって案内された席に着くと、スーツの男の速やかな行動によって布巾が膝に敷かれ、ナイフとフォーク、そしてメインのステーキが並べられた。
ヒミ「わぁ〜、美味しそ〜」
襲われて目覚めたらレストランにいて、いきなりステーキが出て来るなんて可笑しい話ではあるが、この時私はすでにちょっとした錯乱状態にあり、「ま、いっか」と勝手に自分を納得させ、
ヒミ「いただきます」
ステーキを頬張った。こんなに豪華な食事はいつぶりだろう。
PG「どう?」
ヒミ「とっても美味しいです!」
その肉は牛肉の高級感とも、鶏肉のヘルシーさとも、豚肉の柔らかさとも違う、甘くて香ばしい、硬くて柔らかい。何を使っているのか全くわからない。初めて食べる味だったので、私はPGに
ヒミ「これ、何肉なんですか?」
PG「人肉」
聞き間違えた。だからもう一度聞く。
PG「人肉」
ヒミ「は?」
私は口をぽかんと開け、声を漏らした。だが、何度聞いても、明らかに「人肉」と聞こえてくる。
PG「だ〜か〜ら〜。人の肉!君が獲ったご馳走だよ?」
ヒミ「だ、だから、何言ってるんですか?わ、私人なんか殺してませんよ?喰種じゃあるまいし…」
そう言ってふと気がついた。私は、騙されている。さっきここへくるために乗り込んだエレベーター。そこには鏡が付いていた。そこに映る私の右眼は、人間そのものだった。カラコンなんかじゃ無い。自らの意思で、自然に、消したのだ。あの忌々しい赤色を。
ヒミ「っ…!?でも!人は殺してない!!」
全身の血の気がサッと失われ、顔が真っ青になるのを感じた。
PG「うんうん。君のその目は本物、だから君は今日から喰種!!そしてコレはさっき僕に襲いかかった時隣の部屋にいた人間の肉!」
腹を抱え、顔を覆い大爆笑するPG。もはや私はパニックだ
ヒミ「…?は、?わ、たしが?人殺して、それ、を、美味しいって???」
笑い転げながら大きく2回、3回と頷くPG。
なんだがそれを見ているとこっちまで可笑しくって、苦しくって、狂おしくって、とうとう頭の中で何かがフッキレた。
ヒミ「……アハハ……殺していいのかな?ハハハ……」
PG「いいよ!いいよ!だって喰種だもん!!」
立ち上がり、両手を大きく広げて叫ぶPG。
ヒミ「ヤッタァー!!殺して食べよう!!殺して食べよう!!」
それに答えるヒミ。
友達?死んで当然だったんだ。どうせいつか死ぬんだ。当たり前のように死んでった、ただそれだけなんだ!
もう、理性なんてものはかけらも残されていなかった。
マダムA「…あらまぁ、変わったお趣味なこと……」
そう言ったマダムに向かって、道化は渾身のピースを披露した。
。。。。。。
-
- 21 : 2016/10/09(日) 16:38:32 :
僕は、あの日目覚めてから、最悪なものしか見ていない。もう、ヒデと会うことも、難しいんじゃないかな。
真っ暗な迷宮の中、たった一人ぼっちで彷徨っていた。でもそんな中、何処からともなく一筋の光が差した。それが、あんていく。全てはそこで終わり、始まった。
芳村「カネキくん、あんていくでの仕事は慣れてきたかな?」
ある日の夕暮れ、あんていくの店長、芳村さんが話しかけてきた。彼のことをみんな親しみを持って「店長」と呼ぶ。
カネキ「はい!珈琲を淹れるのも徐々に上手くなってきてる気がします」
芳村「そうかい、それは良かった。それはそうと金木くん」
話題を変える店長。
カネキ「なんですか?」
そう聞くと、少し真剣な表情に変わった店長は、カウンターの方に僕を呼び、
芳村「ここ最近店の周りをウロウロしている不審者がいると四方君から聞いた。充分に気をつけるようにね」
カネキ「はい。あの、不審者ってグールですか?それとも、捜査官?」
喰種。人類の天敵。それはとても野蛮で、喰種となった僕は異常な世界を見た。人の命を何とも思わない。そればかりか同胞すらも関係ない。気に入らなければ殺す。そういう世界なのだ。
そして、CCG、喰種捜査官、鳩、etc…呼び名は人によって違うが、共通するのは喰種の天敵であるということ。彼らは喰種を捕獲、そして駆逐を担う存在。言わば喰種殺しのプロフェッショナルだ。
店長は僕の質問に対して、
芳村「…どうやら喰種のようだよ」
そう言ったのをきっかけにしたかの様に入口の扉が開く。響くベルの音。その下に立っている男はスラリとしたモデル体型で、顔も美形、その容姿はさながらモデルの様だった
「スゥーー……ハァーー………」
その男性は大きく息を吸い込み、それを吐き出す。
「やはりここは、落ち着くね…」
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- 22 : 2016/10/09(日) 16:40:24 :
- 話の順番はアニメと同じ感じで行こうと思います。あと、この時点ではヒナミちゃんたちは登場してないことにします。
-
- 23 : 2016/10/09(日) 19:30:57 :
- はっ…!!月山だ!!
期待です…(*^^*)
-
- 24 : 2016/10/09(日) 23:00:44 :
- >>23
期待ありがとうございます!
-
- 25 : 2016/10/10(月) 07:40:02 :
- トーカ「ハァ…噂をすればってやつだな」
この店の看板娘として働いている清巳高等学校2年生。少し短期で、不器用な女の子だ。
カネキ「…どういう事?」
トーカちゃんの言ったことについて小声で尋ねる。まさか、あのモデル体型の人が不審者なのか?
トーカ「多分あいつだよ、例の不審者」
カネキ「えっ、嘘でしょ?」
まさか本当にそうだとは思ってもいなかった。
すると男性はこちらにゆっくり歩いてきながら、
「不審者とは人聞きの悪い…僕はただ、彼を見てみたかっただけなのだよ…」
そう言って僕の肩にポンっと手を置く。
カネキ「はぃ?」
「君が噂の新入りくんだね。僕の名前は月山 習」
カネキ「あっ、金木 研です」
すると月山と名乗った彼は、口元に手を当て、興味深げに僕に顔を近づけると、スンスンと匂いを嗅が始めた。僕が少し引き気味でいると、
トーカ「気持ち悪いからとっとと帰れよキザ野郎」
トーカちゃんは確かに口が悪い。でもこのモデルみたいな人が悪い人だとはとても思えない。だから注意しようとしたが、月山さんは気にも留めない様子で、
月山「フゥン…ダーティーなお口だ…でもまぁそんな君が美しい!」
指をパチンと鳴らすと再び僕に迫り、耳元で
月山「今度どこかでゆっくり本の話でもしようか…」
とどこか迫力のある様な声で囁いた。
ベルの軽快な音を鳴らし、月山さんは帰って行ってしまった。
カネキ「…あの人は?」
トーカ「月山 習。20区の厄介もん。偏食家のナルシストだから関わんないほうがいいよ」
20区の厄介もん。ということはあの人も喰種。本当にいろんな人がいるんだな。
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- 26 : 2016/10/10(月) 10:59:37 :
- 期待だ頑張ってくれ
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- 27 : 2016/10/22(土) 13:29:08 :
月山さんと会ってから大体1週間くらい経った上井大学の昼。
上井大学は僕とヒデの通う大学で、かなり大きい学校だ。以前は西尾錦という2年生がいたが、その人は喰種で、僕とヒデに危害を加えた。でも、僕が倒したらしい。なにも覚えてないけど。
木陰のベンチ。秋の風がそよそよ気持ちが良い。コーヒーを飲みながら武道についての本を読んでいると、何処かで聞いた声が聞こえてきた。
「やぁ、金木くん久しぶり」
ふと顔を上げると、声の主は月山さんだった。
月山「ここ、良いかな?」
机を挟んだ向かいのベンチを指差す月山さんに「はい」と答えると、迷うことなくそこに座ってきた。
カネキ「あの…どうして上井に…?」
そう尋ねると、月山は思いがけない返事をした。
月山「君に会いに…」
心臓が跳ねる。
月山は続けた。
月山「…だとしたらどうする?」
僕を取り巻く環境音が掠れるくらい焦った。
悪い人には見えないがこの人は20区の厄介もん。関わらないのが賢明だろうか。
なんて考えていると、それが顔に出ていたらしく、月山さんに
月山「…霧島さんに何か言われたのかな…?」
と言われたので咄嗟に
カネキ「あっ、いや、そんなことは…」
と言ってしまった。
僕が返答に困っていると、月山さんは1人、語り始めた。
月山「いや、気にしなくていいよ。僕はよく誤解されるんだ。僕はただ、ゆっくり本の話がしたいだけなんだけどね」
秋の風が互いの頬を撫で、そのまま葉っぱを飛ばす。読書の秋。なんていうのは家や図書館で読むんじゃなく、こうして秋の外で読むことに意味があるのだと、そう実感できているような気がする。目の前にいる人も同じく。
ペラペラ本について語り始める。それは決して出鱈目な話ではなく僕も頷けるような内容だった。僕が
カネキ「本がお好きなんですね」
と聞くと月山さんは頷き、
月山「辛く苦しい時、僕を支えてくれたのは沢山のフィクションだった…」
染み染み語る月山に僕は心底共感した。僕も父を亡くして、母が働きに出ている間、哀愁の心を支えてくれたのは沢山の小説たち。この人も、そんな経験をしていたのだろうか。
暫くお互い本の話に盛り上がり、売店のコーヒーも飲み終えたのでそろそろお別れしようかなと思っていると
月山「そうだ、本好きのマスターのやっているカフェがあるんだけど、今度一緒にどうかな?」
と、月山さんが誘ってきた。
本好きのマスターのカフェ、行ったことあるよな。そう思って店の名前を聞くと、やはりそうだ。初めてできた女性の友達。あの人達と行った場所だ。懐かしい。
カネキ「ヒミさん…無事だったのかな…」
ふと漏らしてしまった声に月山さんはすかさず反応してみせる。
月山「ヒミ…?お友達かな?」
カネキ「あっ、いえ、そのカフェに一度一緒に行ったことがある人なんです」
なるほどと納得した月山さんに
月山「それじゃあ3日後の日曜日に駅前で待ち合わせしよう!」
見事な口車に乗せられ、僕は決して逃れることのできない約束を結んでしまった。
途方もなく歩いて行く。見知った景色。真っ直ぐ伸びるアスファルトの上を歩いて行く。角を曲がるとそこにあるのはあんていく。が、今日は休みだ。
カネキ「あっ、今日休みか」
本当に行くあてもなく歩いていたので休みであることを忘れていた。
これからどうしようかと思っているとあんていくの裏に続く建物間の道から四方さんが姿を現した。
カネキ「あ、四方さんこんにちは」
四方「……おう…………」
相変わらずのそっけない返事だが、四方さんはそういう人だ。決して悪気とかがあるわけではない。
このまま別れるのはもったいないような気がして、
カネキ「あ、そうだ。僕、蹴りの練習したんですよ。少し見てください!」
そう言ってやる気満々で姿勢を少し低くする。
四方「…悪い…行くところがある…またにしてくれ…」
そう言って四方さんは僕の横を通って行ってしまったので、
カネキ「あ、すみません」
と謝るとピタッと立ち止まりこちらに振り返る。何事かと思うと四方さんは
四方「…そういえば、お前に会いたがっている奴がいる。今からそいつの所へ行くからお前も来るか?」
と言った。
僕に会いたがっている人。万が一、いや、無いとは思うが、もしかしたらヒミちゃんかもしれない。そんな風に思った。
あの時、逃げ切れていなかったのならあの子も、喰種に。その可能性とともにもう、喰べられてしまっているのでは。という不安が駆け巡る。僕が喰べられずに済んだのは鉄骨が落下しリゼさんが死んだからだ。そう、事故で。
カネキ「あの、その人はどういう方なんですか?」
-
- 28 : 2016/10/22(土) 13:29:17 :
- ここで女の子だと返答が来れば高確率でヒミちゃんだと分かる。
四方さんの返答は、
四方「……どういう…………………どういう?……………」
あっ、分からないわ。
カネキ「あの、僕、会ってみます。せっかく誘っていただいたし」
四方「……そうか」
-
- 29 : 2016/10/22(土) 13:30:09 :
- 長い間お休みして申し訳ない!テスト期間なんですよ…すんません!
-
- 30 : 2016/11/02(水) 19:39:06 :
電車を乗り継ぎ辿り着いたのは14区。駅から少し歩き店の集合体のような建物の前に着いた。その中の1つの部屋。その扉の横には金色の光沢のあるプレート。そこには「BAR Helter Skelter」と書かれている。
カネキ「バー、ですか?僕未成年なんですけど」
さらに黒いオシャレな扉に目をやると「closed」の看板がぶら下がっている。
カネキ「閉店してますけど…?」
四方「多分中にいる」
そう言われたので、なるほど、お邪魔しますとノブに手をかけ、蝶番のゆくままに扉を押し進めて行く。刹那、目の前にフッと何かが現れ「ババァァァァァァア!!!」とこの世のものとは思えない形相で僕に向かって飛び出して来る。何事かとわからず悲鳴をあげパタッと倒れてしまった。
心臓が跳ね、地面と胸の間を行ったり来たりしているのが分かる。
「ウーさんこのマスク最高!」
愉快な笑い声が聞こえる。きっとこの人が僕を脅かしたんだろう。
「昔作ったやつの試作品だけどこれ良いね」
何処かで聞いたことのある声も聞こえる。
「つか、この子誰?」
女性の方がそう尋ねる。誰かもわからず驚かしたのかよということは置いておいて、ようやく落ち着きを取り戻した心臓をさらに一段階落ち着けていると四方さんが問いに答えた。
四方「お前が会いたがっていたやつだ」
「おーそうか」と女性は独り納得し、僕を抱き起すと席に案内した。
その女性はオレンジの輝かしい髪色で性格もその色が示しているように輝かしい明るいお姉さんだ。
もう一人の男の人は前に何度かあったことがある。名前はウタ。4区にあるHySy ArtMask Studio というマスク屋の店主である。僕も以前20区に捜査官が派遣されたと聞いた時店長に勧められ彼の店でマスクを作ってもらったことがあるのだ。
マスクと言っても風邪をしたときにつける様な物ではなく、捜査官との戦闘時に顔がバレないようにする為のマスクだ。さながらそれは、人間社会に生ける者の宿命、自我を抑制する仮面のようだ。
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- 31 : 2016/11/02(水) 19:39:20 :
- んー。進まんなー。
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