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きをつけて

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  1. 1 : : 2016/09/12(月) 22:12:58
    こんばんは、蒼電といいます
    見て行ってくれたら嬉しいです
    フィクションです、大分盛ってます
  2. 2 : : 2016/09/12(月) 22:13:08
    「いってきます」


    「いってらっしゃい」



     いつもと同じやり取りで家を出て僕は自転車に乗った。僕は学校までの道に丁度良い公共機関がないので自転車で通学している。僕の家から学校までは住宅街の道を抜けて信号を渡れば後は緩やかな下りが続くだけの単純な道だった。


     住宅街は通勤、通学の人達が行き来しているので中々伸び伸び自転車を走らせられない。


     特に中学生の集団がいきなり飛び出したり通勤の人が歩きスマホをしていたり……と、気を付けていないと事故になってしまう。


     その為、住宅街を抜けてからの道を僕は気に入っていた。単純な上、道幅もそこそこ広く車もあまり通らない。気軽に進めるのがこの道のいい点だ。


     いつもと同じ道を通り同じように信号に止まった。この信号を曲がれば緩やかな下りのあの道だ。この先にも信号があるが、タイミングの関係ですべて青で通れる。その点もこの道を気に入ってる点の一つだ。

  3. 3 : : 2016/09/12(月) 22:15:07
     

     信号が青になり、ペダルを回し始める。下りながら鼻歌を歌うのもいつもと同じだ。でも、一つだけ違った。


     それは何個目かの信号を通る時だった。確か交差点になってる信号。いつもと同じように通っていたら急にクラクションの音と一緒に身体が横に飛んで、落ちた。







    「痛っ!」










    僕はベッドから落ちていた。



  4. 4 : : 2016/09/12(月) 22:15:59


     どうやら、さっきまでの出来事は夢だったようだ。妙に現実的な夢なので朝から嫌な気分だったが、僕は夢だと割り切って顔を洗いに向かった。


     階段を下りると母が朝ごはんを作っていた。おはようと言葉を交わした後顔を洗う。顔を洗うと夢の内容が思い出せなくなっていた。


     朝ご飯を食べるために席に着くと料理が置いてあった。いただきますといってそれらを口に運ぶ。咀嚼の合間に周りを軽く見るとテーブルの向かい側に少し雑に折られた新聞と右側のテレビに映るニュース番組が目にはいった。きっと父だろう。


     僕の父は朝が早い。だから僕が起きるころには家を出ている。いつもだ。



    「ごちそうさま」



     食事を済まし皿等をシンクに片づけると、制服に着替える為に階段を上り自分の部屋に入る。着替える頃には夢の事は完全に忘れていた。

  5. 5 : : 2016/09/12(月) 22:22:31


     荷物を詰めて階段を下るキッチンに置いてあったお弁当と水筒を鞄に入れて玄関に向かう。


     玄関に向かい靴を履く。その際今朝の食事のお皿を洗っている母親に出かける挨拶を告げる。



    「いってきます」


    「いってらっしゃい」



      今日初めてのやり取りなのに何故かこれが二回目な気がした。いつもと同じやり取りだからだろうか。


    「……まぁいいか」


     あまり考えても意味がなさそうなので無視して靴を履いてると


    「きをつけて」


     一言増えた。いつもと違うだけだがたった一言、でも僕にとってはその一言が何か大きな影響を与えた気がした。

  6. 6 : : 2016/09/12(月) 22:23:39


    「うん」


     今日は少し違うなと思いながら自転車に乗る。いつもと同じように住宅街を抜けて信号に着いた。いつもと同じように。


     信号が青になりいつもと同じように鼻歌を歌いながら下っていく。緩やかな下り坂。青信号が一つまた一つと通り過ぎる。


     その時。



    「きをつけて」



     朝の言葉が頭をよぎった。よぎったついでに気まぐれに少しだけ自転車のブレーキを握り、交差点を見た。そしたら信号が赤なのに無理に通ろうとする車が目の前を走ってきた。


    「危なっ!」


     ブレーキをすぐに強く握り、なんとか止まった。


    「赤なのに渡るなよ……」


     こちら側の信号が青にならなければいいのだろうか、危ない運転だなぁと心の中で悪態をつく。ひやっとした感覚が体に広がりながら。


     少し臆病になりながら再び自転車を漕ぎだした。そのおかげといった訳でもないが、その後は何事もなく学校に着いた。

  7. 7 : : 2016/09/12(月) 22:24:36


     駐輪場で自転車を止めて鍵を閉める間に僕は夢の内容を思い出していた。自分が車にはねられた夢を。


    「正夢……?」


     まったく同じ内容な訳ではないが、違いは少し気を付けてはねられる事を回避したくらいなので正夢でいいのだろう。


     いつもと同じように階段を上りながらそんな事を考えているとまた―


    「きをつけて」


     また朝の言葉がよぎった。一度目があったからか、今度は自然に上の踊り場に目を移して気を付けた。そうすると上から生徒が急いで階段を下りてきた。


     僕は少し驚きながらも端にそれてすれ違った。


     あのまま僕が気づいていなかったら僕は階段から落ちていただろう。二度もあの言葉に助けられたと感じた。

  8. 8 : : 2016/09/12(月) 22:29:55


     不思議な感覚を持ったまま教室に着くと僕はいつもの席に向かい、鞄をそこに置いた。それから友人達が集まっているところに向かって他愛もない話を始める。僕は今朝の車の話と階段の話をした。


     それを聞いた友人はこんな事を教えてくれた。



    「出かける時、きをつけてって言われるといわれる人は事故率が下がるらしいよ」


     詳しくは潜在意識とかいうのと絡むらしいが大まかにいうとこういうことらしい。


    「じゃあそのおかげかもな」


     始業のチャイムがなった。ホームルームが始まる為、僕は相槌を打って自分の席に戻った。

  9. 9 : : 2016/09/12(月) 22:30:33


     授業の間さっきの友人が教えてくれた事が頭に残った。


    「出かける時、きをつけてって言われるといわれる人は事故率が下がるらしいよ」


     その話は事実だとして母親は何故今朝「きをつけて」と言ったのだろう、いつもはそんな事いってないはずなのに。


     考えてる内にチャイムがなった。授業の準備をしようと立ち上がるとホームルームの時と違う先生にまだ準備してないのかと怒られた。どうやらもう一時間目が始まったようだ。


    「すいません、ぼうっとしていました」


     僕は周りの人たちに少しからかわれながら一時間目の授業の準備を始めた。


     考え事は取り敢えず後回しにした。 

  10. 10 : : 2016/09/12(月) 22:45:06


     無事午前の授業を終え昼になった。友人達と食事をとる為近くの空いてる席を寄せ合って食べ始める。


     食事の中友人の一人が先程あったらしい出来事を話し出した。


    「さっき、三時間目の休み時間トイレに行きたくてさ。結構急いでたものだから周りが見えてなかったんだよ。」


    「うんうん」


    「そしたら曲がり角で人にぶつかっちまってよ、あれはちょっと危なかったなぁ」


    「怪我がなくて何よりだよ」


    「次からは気を付けなきゃいけねぇな」


     この時また今朝の言葉が脳裏をかすめた。


    「きをつけてね」


     きをつけた僕は怪我がなく気を付けていなかった友人も怪我がなかったものの、人にぶつかってしまった。


    「それにしても今日は危なっかしい日だね」


    「あ、うんそうだね」


     別の友人の言葉で僕の思考は遮られたのでこのことは帰ったら母親に聞くことにした。



  11. 11 : : 2016/09/12(月) 22:45:46


     放課後僕は今朝の事を聞くためすぐに帰っていた。今朝緩やかな坂道は帰り道では嫌な登りに。信号にもよくひっかかる為、僕は帰る時のこの道はあまり好きじゃなかった。


     坂道をいつものように漕いでいく、でも少し気を付けながら。


     なんとなくだが、母親は今日僕が気を付けていなかったら危ない目にあう事を知っている気がした。


     息が少し乱れながらも坂を上り切り、交差点を曲がって住宅街へ。


     ここもいつもより少しだけ気を付けて走る。


     家について、自転車を置いて鍵をかける。そして自転車の鍵をしまって家の鍵に持ち帰る。


     ガチャ。


     鍵を開けてドアを開ける。


    「ただいま」


    「おかえり」


     いつものやりとりをして僕は唐突気味に話し出した

  12. 12 : : 2016/09/12(月) 22:55:05


    「今朝、なんできをつけてっていったの?」


    「なんでって?」


    「いや……」


     言葉に詰まった。


    「いつもならそんな事言ってなかったからのと、今日二回危なかった事があったから。怪我

    はなかったけど」


    「そんなのなんとなくよ」


    「え?」


     拍子抜けした。


    「なんとなくあなたが気を付けていて欲しかったか言っただけ。」


    「そ、そうなんだ」


    「まあ、しいて言うなら母の勘ね」


     母の勘、恐ろしい。

  13. 13 : : 2016/09/12(月) 23:02:44


     でもそんな母の勘に助けられた。科学的実証があるかないかは関係ない、僕は母のあの言葉に間違いなく助けられたから。


    「あー、母さん?」


    「なに?」


     ちゃんと言おう


    「ありがとう、気を付けて帰れたよ」


    「どういたしまして、おかえり」


  14. 14 : : 2016/09/12(月) 23:03:17


     次の日僕はいつもより早く起きた。いつも僕が起きる頃には家を出てる父親の為。


    「父さんおはよう」


    「珍しいなこんな早くに起きてるなんて」


    「いや、なんとなくだよ」


    「そうか、父さん行ってくるな」


    「いってらっしゃい」


     ちゃんと家に気を付けて帰って欲しいから。


    「きをつけて」

  15. 15 : : 2016/09/12(月) 23:03:33
    おしまい
  16. 16 : : 2016/09/12(月) 23:07:04
    以上です。
    ということで以下宣伝
    http://www.ssnote.net/users/oudentt
    他の作品は上からどうぞ

    見てくれた人がいたら最後にありがとうございますという言葉を送っときます

    改めて以上です!
  17. 17 : : 2016/09/12(月) 23:22:25
    お疲れ様ー
  18. 18 : : 2023/07/04(火) 09:48:29
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    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
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    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
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    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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