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エクスプロージョン・エフェクト

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  1. 1 : : 2016/07/26(火) 00:00:00

    「チーム」で「コトダ」祭り、略してチムコ祭り。いよいよ大詰め、大将戦。

    Aチーム、射精バーサクです。

    キーワードは時間。ジャンルはフリー、ということで、SFを意識して書いてみました。

    よろしくお願いします。
  2. 2 : : 2016/07/26(火) 00:01:31
    ずっと気になっていることがある。


    タイムスリップするSFモノの話だ。


    大抵主人公やその仲間達がタイムスリップするのは一番目でいいんだと思う。


    例えば、先の場面で過去の自分達に見られたとしても。


    その主人公達はタイムスリップする前に「過去に戻ってきた自分達を見た」という記憶がない。


    だから、きっと一番目。


    苗木「……タイムスリップ、か」


    なんでこんな話を頭でしているのか。




    それはボクがまさにタイムスリップしているからだ。
  3. 3 : : 2016/07/26(火) 00:02:37





    最初の戻る苗木




  4. 4 : : 2016/07/26(火) 00:04:42

    苗木「昨日……?」


    寮の自室の日めくりカレンダーは、起きるはずの日の一日前だった。


    ……そもそも、なぜタイムスリップしているのか?


    それはボクが一番気になっている。寝て覚めたらタイムスリップしてただけだから、何も分からない。


    なにか爆発でもしたのかもしれない……いや、そんなのでタイムスリップする訳がないか。


    苗木「……それより」


    目の前のベッドには、安らかな寝顔を浮かべている自分がいる。


    さて、どうするか。


    最初にタイムスリップしたボクには、事前知識ってやつが何も無い。


    昨日、起きたら目の前に人がいた訳ではなかったし。


    折角なら、ボクより前にタイムスリップしたボクがいて、ちょっとくらい教えて欲しかったな。



    ……ん、待てよ?



    僕は、ある一つの可能性を思いついた。
  5. 5 : : 2016/07/26(火) 00:05:15





    二人目の戻る苗木




  6. 6 : : 2016/07/26(火) 00:08:17

    苗木「……タイムスリップ、か」


    目が覚めるとそこは床。


    身体を起こせば、視界に入ってきた日めくりカレンダーの日付が一日前だった。


    苗木「やっぱり、タイムスリップだ」



    ところで、目の前には、とても柔らかい羽毛布団に身体を埋めて、すやすやと安らかな寝顔を浮かべているボクがいる。


    苗木「うーん……もしかして、僕が最初にタイムスリップしたんじゃないか……?」


    僕は、昨日自分に会った記憶が無かった。


    ……そうだ。きっといきなりタイムスリップしたら驚くよね。


    確実にボクは驚くから、ここで寝ているボクも驚くはず。


    せっかくだから教えてあげよう。


    君は、これからタイムスリップするんだよ。


    苗木「……起きて」


    そうして、ボクは自分の布団を優しくめくった。
  7. 7 : : 2016/07/26(火) 00:08:49





    三人目の戻る苗木(前)




  8. 8 : : 2016/07/26(火) 00:10:30

    「……きて」


    寒い。


    もしかして、布団をいつの間にか蹴っ飛ばしてしまったのか。


    苗木(多分、まだ寝ていられる時間だし、このままもうちょっと寝よう)


    そう思い、もう一度温もりを求めて布団を掴もうとした。


    しかし、いくら手や足を伸ばしたって見つからない。柔らかな羽毛の塊を叩いたり、空中を蹴飛ばしたりするだけだった。


    仕方がないので、上半身を起こす。


    「あ、やっと起きた」


    そして視界に入ってきたのは布団を手に持った自分


    ……自分?


    苗木?「おはよう、驚かないで欲しいんだけど……」


    苗木「うわあああああああ!!!」


    夢?夢か?


    そう思った途端に肘をどこかへぶつけ、痛みで夢じゃないことを悟る。


    苗木「だ、誰……?」


    苗木?「ボクはタイムスリップしてきた君だよ。せっかくだし、未来から来た苗木……って呼んで欲しいな」


    ……長いな。


    未来木「正直、ボクもなんでこんなことになっているのか、分からないんだ」


    苗木「あの、そもそもいつからタイムスリップしてきたん……ですか?」


    未来木「明日」


    苗木「明日?!」


    未来木「気づいたら戻ってたんだよね……とりあえず、君もきっとタイムスリップするから心構えしといた方がいいと思うよ」


    苗木「はぁ」


    理解できない。


    もしかしてこの目の前の人物は変装した誰かとかで、これはドッキリか何かなんじゃないか?


    クラスメートのカリスマギャルの顔や、悪ノリしやすい野球選手の顔が次々に浮かぶ。


    未来木「それで……外に出るわけにもいかないから、しばらくここに置いて欲しいんだけど」


    苗木「は、はい」


    この時、ボクはタイムスリップを信じてなかった。
  9. 9 : : 2016/07/26(火) 00:18:55





    三人目の戻る苗木(中)




  10. 10 : : 2016/07/26(火) 00:19:28
    ……気づけば、日付は昨日だった。


    パジャマで布団に潜ったはずなのに制服を身につけて、眠っている自分を見つめている。


    あの後少し自分と話したら


    未来木「きっと、ボクが一番目にタイムスリップしたんじゃないかな」


    と言っていた。自分に会っていないから、と。


    苗木「……」


    目の前の自分も、これから一日後にタイムスリップするのだろうか。


    この自分に対して、未来の自分と全く同じことを喋って、未来の自分のように1日部屋でじっとさせて貰えばどうにかなるのだろうか。


    多分、それで時間の流れに任せれば帰れる筈だ。


    だから、今起こせばいい筈なんだけど。


    ……本当に、会った未来の自分は一番目なのかな……?


    どうでもいいことが、心に引っかかっていて仕方がない。


    モヤモヤした気持ちが起こすことを邪魔して、起こせなかった。


    苗木「……はあ」


    少し喉が乾いた気がして、備え付きの冷蔵庫に手を伸ばす。


    一応自分の冷蔵庫だし、勝手に飲み物取っていっても許してくれないかな。


    ペットボトルは外に出したままでもいいや。どっちにしろ起こすんだから。


    そして、一口飲み込んだ瞬間。


    冷たい水で頭が冴えたのか、電流のように考えが駆け抜けた。


    苗木「そうか……!」


    確証はないけれど。


    一番目じゃない方法、見つけたかもしれない。


    そしてボクは、ただ自分の好奇心を満たす為に行動することにした。
  11. 11 : : 2016/07/26(火) 00:20:12





    四人目の戻る苗木




  12. 12 : : 2016/07/26(火) 00:20:44

    苗木「……タイムスリップ」


    ボクは、自分がタイムスリップすることを知っていた。


    さすがに日付が昨日とまでは分からなかったけれど。


    なぜ知っていたのか。


    まず、違和感を持ったのは部屋に空のペットボトルが置いてあったことだ。


    そしてその後自分を見てしまったから。


    多分、本当は見るはず無かったんだと思う。でも、見てしまった。


    自販機の陰から顔を覗かす、特徴的な癖毛を。あんなの、見間違える訳がない。


    だからきっと、戻ると思っていたけれど。


    苗木「昨日って、早すぎないかな……」


    目の前の自分を見て、適当なことを考えて気を紛らわす。例えば自分が何人目にタイムスリップしているのか、なんてね。


    苗木「……ボクはバレないにしよう」


    夜中に鍵を開けたままにしてしまうことを、心の中で自分に謝る。


    なるべく音をたてないように、ボクは日の出の光が差し込む廊下へ、足を踏み出した。

  13. 13 : : 2016/07/26(火) 00:21:29





    三人目の戻る苗木(後)




  14. 14 : : 2016/07/26(火) 00:28:08

    苗木「やった……!」


    ボクは明日へ戻ってこれた。


    そう、別に過去の自分に会わなければ、見つからなければ、どうってことないんだ。


    ちょっと外出して、一日をやり過ごせばいい。


    苗木「ふぅ……」


    少し自己満足に浸っていたが、実は、ボクは致命的なミスをしている。


    ペットボトルを残してしまったことだ。


    タイムスリップは、少し違うことをしたり影響が出るようなことをすると問題が起きると聞いたことがある。


    少し心配だけど、今のボクにはどうしようもない。


    大したこと無ければいいんだけれど。


    苗木「……はあ」


    そういえば、もし見つかったらどうなったんだろう。


    しかし、そう考えた矢先にバカ高い(らしい胡散臭い)ツボを手に持ったクラスメートに肩を叩かれた。


    彼を相手にしているうちに、ボクは何を考えていたか忘れてしまった。
  15. 15 : : 2016/07/26(火) 00:28:54





    五人目の戻る苗木




  16. 16 : : 2016/07/26(火) 00:29:00
    苗木「……なんでだろ」


    ボクは、昨日にタイムスリップしていた。


    なんでかは分からない。


    でも、目の前にいた安らかな寝顔を浮かべる自分を起こすのも申し訳無かった。


    だからこっそりこうして外へ出ている。


    苗木「見つからないといいんだけど」


    今は授業中、先生と会ったら面倒だ。


    なるべく見つからない方向、出来ればバレずに学園の外へ行きたい。


    そこで、適当にゲーセンか何かで時間を潰せばいいだろう。


    そして見えた角を左に曲がると、


    「え?」


    ペットボトルや缶ではなく、紙パックを持ったボクがいた。


    なんで。


    昨日、この時間は普通に授業だったはず。厳しい先生だから抜けられるはずがない授業。


    なんで、いるんだ?


    そう思ったのは、目の前の自分も同じだった。お互いに固まって、目の前の状況を受け入れられずにいた。
  17. 17 : : 2016/07/26(火) 00:29:50

    そうしてしばらくしてから、過去のボクは、目をこれでもかと言うほど見開き、足を前に踏み出して









    ボクを突き飛ばした









    重力には逆らえずに、地面に頭をぶつける直前。相手の額から、汗が一つ流れ落ちるのが見えた。
  18. 18 : : 2016/07/26(火) 00:30:50





    六人目の戻る苗木(前)




  19. 19 : : 2016/07/26(火) 00:32:02


    どうしよう。


    どうしよう。


    どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!!


    目の前には、頭から血を流して倒れるボクがいる。


    苗木(もしかして、ボクに似た他の人じゃ……?)


    自分を殺した、よりはそっちの方がダメージが少ない……訳がない。人を殺したのには違いないんだ。それに、殺人犯ということも変わらない。


    でも、まだ生きてるかもしれない。そういう思いからテレビドラマのように首筋を触ると、


    苗木「ひっ……」


    その部分から死体はサラサラと崩れ始め空気中へ溶けていった。


    跡になったのは、ぶつけた際に出たと思われる血痕のみ。


    苗木「……」


    ボクは走りだした。


    幸運なクラスメートのギャンブラーから頼まれた飲み物を持って、教室へ戻るために。


    いや……戻るためではない。逃げたんだ。目の前の現実から逃げ出したんだ。それは当然、




    怖くて堪らなかったから。
  20. 20 : : 2016/07/26(火) 00:34:02





    六人目の戻る苗木(中)




  21. 21 : : 2016/07/26(火) 00:35:06

    たまたま。


    たまたま自習になったんだ。


    急に先生が授業をやれなくなったらしいから。


    たまたま自習になったんだ。


    そこで、ちょっとした賭けをして。


    負けて。


    罰ゲームで、自販機に飲み物を買いに行かされて。


    そしたら、


    そこに自分がいたんだ。


    それで、それで。



    殺してしまった。



    ボクの手には、押し飛ばした瞬間の重みが残ったままだ。

  22. 22 : : 2016/07/26(火) 00:35:32





    六人目の戻る苗木(後)




  23. 23 : : 2016/07/26(火) 00:35:43

    苗木「……タイムスリップ、か」


    昨日会ったのは、どうも一日後の自分だったらしい。


    殺してしまったけれど。


    きっとボクも、どう足掻いても死ぬんじゃないだろうか。
  24. 24 : : 2016/07/26(火) 00:36:09
    死ぬんじゃないだろうか。


    死ぬんじゃないだろうか。


    死ぬんじゃないだろうか。


    死ぬ。


    死ぬ。


    死ぬ。


    死ぬ。


    死。


    そう。


    目の前には、死しかない。


    死だ。


    死だ。



    死、だけなんだ。
  25. 25 : : 2016/07/26(火) 00:37:00





    七人目の苗木




  26. 26 : : 2016/07/26(火) 00:38:23


    三時間目、たまたまボクらは自習になった。なんでも、担当の先生が急に学校から離れなくてはいけない状況になったらしく。


    でも、ボクのクラスメート達はおとなしく自習するような人ばかりではなかった。


    それでも、いつもはクラスメートの真面目で、ちょっとうるさい風紀委員がいるから従っていたんだけれども。


    丁度彼は、才能研究と称して校外へ行っていたから。


    そこで開催されたジュースの奢りを賭けたギャンブルに、幸運とは名ばかりの不運なボクが負けてしまうのも仕方がなかった。


    参加したのはボク入れて四人だったから、お金の心配はあまりせずに済んだ、だけど。


    人何倍運の良いギャンブラーの彼女だけ、近くの自販機にはない飲み物を飲みたがったから、急ぎ足で、離れた自販機へ向かった。


    そして目当ての飲み物を買え、少しホッとして独り言を零していた。


    苗木「それにしても……いちご・オレなんて意外だったな。てっきりロイヤルミルクティーを淹れさせられるのかと思ったよ……」


    愚痴にも近いような、いや、全然違うような、とりあえず人には聞かせられないな、とは思った。


    苗木「はーっ……戻るか」


    そうして立ち上がった瞬間だった。




    ボクは横から突き飛ばされた。



    不思議なことに、突き飛ばしてきたのもボクだし、突き飛ばされたのにボクは落ち着いている。


    そして、地面と頭がぶつかり、強い衝撃を受けたところへ、手を離れて宙を舞っていたらしい紙パックは割れ、ボクへとかかった。


    ……最後こそ、平凡に死にたかったな。


    死んだのは他殺で、しかもいちご・オレまみれだなんて。


    これも、不運なのかな……?


  27. 27 : : 2016/07/26(火) 00:39:14





    六人目の戻る苗木(終)




  28. 28 : : 2016/07/26(火) 00:40:36

    殺されるくらいなら。


    そう思って突き飛ばしたけど、別に他にも方法はあったんじゃないか?


    今更考えたって仕方がないのに、いちご・オレで汚れた自分を見ていると、方法が次々に浮かんでくる。


    まあ、これで終わりかな?


    それにしても。今更だけど。ボクのやったことって大変なことだ。ボクって、こんなおかしな考えをする奴だったっけ?


    ……もしかしたら、前にタイムスリップしたボクが何かやらかして、ボクに影響したとか……。


    寧ろ、そうじゃないと今までにやったことを考えるてしまったら、おかしくなる。


    未来の自分も殺して、過去の自分も殺して。


    このままボク、どうなるんだろう。


    なんて思ってたら、目の前の自分も、ボク自身も、未来からきた自分が死んだ時のように砂になっていく。



    それどころか、世界すら崩れていっている。




    タイムスリップが起きた時、様々な捻れを避けるために、タイムスリップが起きた世界とそうではなく本来通りに進む世界に分裂する。


    そういうSFモノもあったっけ。なんて、勝手に一人で納得しているうちに。


    完全に世界は崩壊して、すべて元通りになった。


  29. 29 : : 2016/07/26(火) 00:41:02





    進む苗木




  30. 30 : : 2016/07/26(火) 00:41:20

    昨日、ボヤ騒ぎがあったらしい。


    というのは教室でクラスメートのクールな探偵が教えてくれた。


    まあ、特別それがボクに影響するかといえばしないんだけど。


    ボヤがあったと聞いた棟は寮よりも大分離れていたし、それこそボヤで。5分足らずで消火され、被害はせいぜい机が焦げる程度だったそうだ。


    あとは、小さな爆発で揺れが発生した程度だ、と。


    へえ、とかなんとか思っているうちに担任の先生がやってきた。


    そして今日も、平凡なボクの周りを非凡な環境が取り囲む、今のボクには慣れた日常が始まる。

  31. 31 : : 2016/07/26(火) 00:43:07




    ちゃんちゃん。




    読んでいただき、ありがとうございました!

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褐色ロリ幼女井石小石

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