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ブルー・グム

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  1. 1 : : 2016/07/25(月) 00:05:06
    はじめまして。
    こちらはチームコトダ祭りの参加作品です。
    私は射精バーサク所属です。

    なお、今までのチームコトダ祭り参加作品はこちらに載っております。
    http://www.ssnote.net/groups/2086/archives/5

    副将戦、テーマは青春「色」

    未熟な文ではありますが、お楽しみいただけたら光栄です。
  2. 2 : : 2016/07/25(月) 00:09:19




    赤、青、黄、緑、白、黒。この世に存在する、彩度・明度・色相が表す様々な色。

    鮮やかで心躍らせたり、悲壮感を漂わせたり。表現の上で重要な役目を果たすそれは、様々な意味を兼ね備えている。





    だが、なぜ人は色を認識するのだろうか。
    意味を持っていたり、表現がしやすくなったりなど、こちらの知ったことではない。ただ面倒くさいと思うだけなのに、なぜ人は色を、視界に映る景色を認識してしまうのだろうか。





    これは、物心ついたときから纏わり付いてきた疑問。いつかはこれも解決する時が来るのだろうか、と考えていた頃が懐かしいほどに私は成長していた。



  3. 3 : : 2016/07/25(月) 00:11:00





    ********





    物体に反射した光が目に届くことによって見える景色。それと同時に認識される色や形。それは脳の処理によって起こる現象であるため、人によって見えるものは違う。





    「だから、今私が見ている景色とアンタが見ている景色は、完全な別物ってわけ」





    なんで私がこんな常識を長ったらしく説明しなければならないのかと、一つため息をこぼす。そんな私を知ってか知らずかうんうんと頷きながら必死にレポートにまとめている人影が一つ。
    その表情は真剣そのもので、こちらの不機嫌顔は瞳に映ってはいないのだろう。もしも見えていたのだとしたら気弱なこいつがこんなに集中できるはずがないのだろうと考えて、容易に想像できたその姿に飽きれる。


    時は夕刻。箱の中に映し出されるスクリーンには、橙色に染まる机椅子、黄金色に輝く黒板、白銀色がかかる窓にまるで教室が丸ごと夕焼けの色に毒されたようだ。全体的に紅い、そんなイメージを醸し出している教室の風景は、普段の騒々しいクラスメイトたちが漂わせる雰囲気とは違う。それは一段と目が眩むようで……退屈だ。




  4. 4 : : 2016/07/25(月) 00:14:09



    「…えーっと」



    声の方向に顔を向けると、なにやら神妙な面持ちの我が姉──戦刃むくろと目があった。
    まあここまでいえばわかるだろう。私は江ノ島盾子──この残念な姉を持つ、妹の江ノ島盾子だ。
    よく聞かれるから先に答えておく。名字の違いには何も面白いことなどない。たまたま家庭の事情で名字が違う双子になった…ただそれだけのこと。紹介もほどほどに、本題へと戻ろう。


    この数秒間、私はこいつの顔をじっと見ていたままのようだったらしく、神妙だった顔が怪訝へと塗り変わる。
    そんなに疑わなくても、悪いことは考えてないって。
    そんな意味を込めた笑顔を向けると、つられたようにへにゃっとした笑顔へと塗り変わった。でもその表情は意味を理解しているようには見えなくて…面白すぎる。込み上げてきた感情を力を込めて抑え込もうとしたが、笑いをこらえきれなかったのだろう私の顔をじっと見てくる。


    その反応に疑問を思い浮かべる。視線が痛いよ、と伝えたいけれど口は細く息と意味の無い単語を吐き出すだけだ。
    未だ動きのないその姿に、やっとの思いで疑問を投げかけると、返事の代わりと言わんばかりに微笑みを投げ返された。
    煮えきれない…。その対応に今度は私が怪訝な顔になる。不機嫌にしてしまった、とでも思ったのだろうか、次は微笑みから不安そうな表情に移り変わった。
    この短時間のやり取りに、何度表情を塗り替えれば気がすむのだろうか。そう考えると、また笑いがこみ上げてきた。それを見て、残姉は露骨にアワアワとし始めた。
    何やってんだこいつ。結局吹き出してしまったが、その様子に少しは安心したのだろうか、はたまたつられたのだろうか、笑い出してしまった。
    喜色満面。弛緩しきったその笑顔はふにゃふにゃで、昔はいつも無表情が主だった姉からは想像しがたい光景だった。


  5. 5 : : 2016/07/25(月) 00:16:43







    ──そうか、変わったのだな。




    それを見て少しの感慨と、多大な安心を覚えた。
    姉は変わった、という事実が私に思考の理由を与える。


  6. 6 : : 2016/07/25(月) 00:19:19


    この希望に満ちた学園に来た当初、未だ戦場にいた頃の気持ちが抜けなかったのか、あるいは意図的だったのかは知る由もない、いや知る意味などないが、おそらく後者であろう。
    周りの空間から一線を引いて避けていた姉は、いつの間にかその空間の中に居た。


    文字通りの戦場で幾重にも死体を積み重ね人生を歩んできたとは思えないほど、柔らかい表情をするようになったものだ。
    と、もはや他人事のように思う。いや、まあ正真正銘他人事なのだが、姉妹でもあるのだから心配ぐらいするだろう。

    当初、少しぐらいは気にかけていたのだが、私の方にもそんな余裕がなくなってきてほったらかしにしてしまった時期があったのだ。

    それまで私がいないとクラスメイトでさえ片言会話しかできなかった姉だ。
    碌なコミュニケーションが取れずに孤立してしまうのではないかと気が気でなかった……というのも言い過ぎな気がするが、心配だったのは本心だ。


  7. 7 : : 2016/07/25(月) 00:23:00


    でも、そんな心配は杞憂に終わった。

    ある日、見かけたのだ。昼食の時間に苗木や舞園たちとともに、学食へ出かけるところを。
    それを見て、私は思わず笑ってしまった。私がいないと会話も成り立たないような姉が、年頃の女子高校生のようにクラスメイトと談笑を交わす。
    ただそれだけのことなのに、なんだか手の内にあった所有物が逃げて行ってしまったようで寂しさを覚えた。が、それも一瞬で引っ込み、別の感情が生まれた。


    納得したのだ。
    私が今まで過保護になりすぎていただけなのだと、すでに自立は果たしていたのだと。なんて、当たり前のことだというのに、何だかそれがひどく寂しく感じたのだ。まるで親離れしていく子を見守る親の気持ちを擬似的に体験できた気がする。
    乙女思考、いや保護者思考の自分に対して笑いがこみ上げてきて大爆笑していたら、いつの間にか昼が終わっていたことに気づく。
    軽い嫌がらせと言わんばかりに顰めっ面を晒しながら残姉への恨み言を一つずつ連ねていたら諸悪の根源である姉に見つかった。

    わざとらしく拗ねた表情を作り向けると、いつもと同じようにアワアワとし始める。でもなんで私が怒ってるのか、理由は見当も付いていないんだろうな。
    その姿にまた笑いがこみ上げてきたが、授業開始のチャイムが鳴る。ほらほら席についてーと姉を促しこの話題は終わり、という意思を態度で示す。
    伝わってはいないのだろう言葉の意味に、返事を返そうとしたのだろう。柔らかく弧を描いた目と口は、微笑みと形容すべきものだった。その表情こそがこの飽和しきっていた空間に絆された姉の証明だったろう。
    それを見た私は──

  8. 8 : : 2016/07/25(月) 00:24:41





    ──随分と懐かしいものを思い出した。





    吹きすさんでいた冷風はすっかりと鳴りを潜め、朗らかな陽気を運んでくる暖風へと変化し、一片の緑も見せなかった木々は新緑へと染まり目に映る景色は華やかさを増す。
    季節はすでに春へと移っていた。
  9. 9 : : 2016/07/25(月) 00:26:24

    入学から約半年、そう考えると長いような短いような、中途半端な期間だったということがわかる。
    閑話休題。先ほどの言葉では語弊があったため訂正させていただこう。





    姉は変わったのではない、変わっていたのだ。





    この空間の影響を受け、少なからず変化していたのだ。
    それが良いことか悪いことなのかは本人にもわからないだろう。
  10. 10 : : 2016/07/25(月) 00:27:39

    ふと目の前の残姉に視線を向けると、うんうんと唸りながらスマホとにらめっこしていた。
    なんというか既視感のある光景に頭を抱える。


    「……なにやってんの?」


    そういえば思考の波に飲まれる前に、何か問いかけられていた気がする。


    「…探し物」


    「それくらいは見て分かります。なにを調べているのかを聞いているのです」


    「…えーっと」


    「ネット検索で出てくるレベルの知識ならば私に聞いてくれた方が早かったと思うんだけど?」


    「……っ」


    なにそのやってしまったみたいな顔。単純すぎて心配になってくるのですけど。


    「じゃあ…聞く」


    こくり、と頷く。

  11. 11 : : 2016/07/25(月) 00:29:15



    「"人が見る景色は個人によって必ず異なるもの"ってあるけどさ…」


    こくり、とまた一つ頷く。そんな当たり前のことに今更なんの疑問を持ったというのか。


    「私たちみたいな双子でも見る景色は違うの?」


    「当たり前じゃん」


    「なんで?」


    「そういうものだからだよ」


    双子とはいえど、遺伝子は成長過程で変わっていくんだから。


    なのに、


    「でもさ、一卵性の双子なんだし見ている景色が同じってこともあり得るんじゃないかな?」


    なにを言っているんだこいつは。せっかくさっきから私様が直々に教鞭をとってやっているというのに、なぜそんなにこだわりを持っているのでしょうか。


    「あのさ…なに勘違いしてるか知らないけどね、一卵性の双子っていうのは元は同じでも、結局は自立している二つの生命体なんだよ」


    成長過程でどうしても与えられるものは違うのだから、同じものにはならない。もしそんなものがいたら、それは双子ではなくクローンだ。


    「それに、一卵性でも完全な半分っていうのはなくて、初期の分離で必ず優劣がついちゃうもんなんだって」


    そう、私とあんたみたいに。


    「だから、優秀なやつと劣っているやつで見ている景色は異なる。これが結論。これ以上の追求は拒否します」


    と、それらしく拒絶アピールをしてみれば、姉もいかにもな抗議の声を上げた。


    「もっといっぱい聞きたいことあったのに…」


    「ふふーん。私様の機嫌を損ねたことが貴様の敗退理由よ。悔い改めて、またかかってきなさい!」


    「ぐぐぐ……」


    悔しそうにしている姿は滑稽滑稽。とても気分がいい。
    姉は素直にレポート用紙に向かい直し、先程の会話をまとめるために筆を滑らしていく。


  12. 12 : : 2016/07/25(月) 00:31:07

    このくらいのことも私に頼らなきゃやってられない、というのがなんとも残念な部分だ。
    この姉は軍人という才能を授かってはいるが、その才能以外に突出しているところはない。
    その調子でよく今まで生活できていたな、とは思うが戦場での生活が一般的な日常生活よりも圧倒的に多かったらしく、それならば才能の発揮により生き残れたとも考えられる。良くも悪くも才能ありきな人生だ。


    それに比べ私は肩書きはギャルだが、実際は文武両道、容姿端麗、どこぞのと御曹司よりも優れていると自負している。
    その才能は肩書きのみにあらず。大変飽きっぽいところが玉に瑕だが、その欠点など無視してしまうほど長所の方が目につくだろう。


    私たちのことを文に起こしただけでもこの違いだ。並の双子でもやはり、ここまで極端ではなくとも差はあるのだろう。そこから先程の問いを考えてみると、やっぱり私は……。



    「もし、もしも双子で見ている景色が同じだったらさ、私は嫌だな」


  13. 13 : : 2016/07/25(月) 00:33:17



    「だって、そんなの皮肉みたいじゃん」



    優秀でも劣っていても見る景色は同じだなんて、辛いでしょ。
    ただでさえ双子というだけで卑屈になってしまいそうなのに、それ以上差を見せつけられても虚しくなるだけ。
    なんて残酷で絶望的なことなんだろうと私は思う。けれどこの愚姉は、反論を返してきた。


    「……私はそう思わない」


    断言。


    「そこまで違うなら一つぐらいは同じものを持っていたいって思うのは変なことなのかな」


    「なんていうかわからないけど、独りぼっちっていうのはつらいことでしょ?だったら仲間がいてほしいっていうのは普通のことじゃないのかな?」


    なんかうまく言えないなぁ…、と複雑な表情をさらしながら頭を掻く姉を私は初めて見た。


  14. 14 : : 2016/07/25(月) 00:35:24



    そういうことなのか。
    こいつはあくまで「差」を見ているのではなく「共通点」をみていたんだ。
    そういう考えがあることはもちろん知っていたし、選択肢の一つではあった。だが私の意見は先ほど述べたもので、こいつの意見とは確実なすれ違いを起こしている。


    初めてだ、と思った。こいつはいつも私の後ろで私のことを過保護に見守っていた。そこに意思はない。
    すべてを私のために尽くす、ただそのためだけに存在していた。そんな姉が私の意志とずれている時を見たことがなかった私は混乱した。
    いつから私たちはずれてしまっていたのか。いや、結論はすでに出ている。



    ──この学園に来た当初は私を介してしか誰とも渡り合えなかった姉が、一人でクラスメイト達と話していたその時には決別が起きていた。



    多分、私は気が付いていたのだ。気が付いていたうえで無視をしてしまっていた。
    認めたくなかったのだろう。認めてしまったら、姉はもう私の手が届かないところに行ってしまう、そのような気がして手放せなかった。
    執着が強かったのは姉ではなく、私だったのだ。その事実に私はひどく吃驚した。が、それだけ。起こったことはどうしようもならないし、これからの生活で決定的な決別が起こらないとは限らなかった。
    必然の出来事が訪れていた、それに今気が付いた、これだけのこと。胸に燻る感情にまた背を向ける。この世に在るのは必然だけ、と綺麗に結末をつけてから放置状態だった姉に向き合う。またもや思考が顔に出ていたのだろうか、姉は心配そうにこちらをみあげてくる。


  15. 15 : : 2016/07/25(月) 00:37:03



    「えーっと、やっぱりさっきのじゃわからなかったよね…」


    「何を言っているのですか、私の分析力をなめないでください。あのような低レベルの言葉の羅列でも十分に理解できます」


    「……!」


    その言葉に呼応したかのようにうれしそうなオーラがにじみ出ている。
    その様子にクスリと笑い、軌道の修正を図る。


    「さあさ、早く書いちゃいなさいよ。忘れないうちにね」


    「うん…!」


    その言葉を区切りに切り替えたようで、こちらには見向きもせずにせかせかと作業をこなしている。
    私の役割は大体終わりかな、とスマホをいじり始める。たいして面白くもないニュースやらSNSやらを見て回る。
    どこかで工事でもしていたのだろうか、先ほどまでは会話や考え事に集中していたため気が付かなかった騒音が耳につく。


    「……さっきの、一つぐらいは同じものを持っていたい。って言った理由なんだけどね」


    数分後だった。
    姉は頭を上げず、手を動かしながらに話す。その語尾に迷いを感じた。小さな騒音はだんだんと大きくなってきている。


  16. 16 : : 2016/07/25(月) 00:39:02



    「私が盾子ちゃんと同じ景色が見ていたいって思ったからなんだ」


    知れっと言って見せた姉の表情は見えない。だが、言葉の内容からは感じ取れない不安感が、違和感がぬぐいきれない言い方だった。


    「ねえ、それって……」


    「私は盾子ちゃんが大好きだよ。私が絶対にかなわないと思っている唯一の存在なんだよ」


    なんで今そんなことを言うのだろうか。
    騒音は近くで響いている。視界も暗んできた中、相変わらずうつむいたままに言葉を続ける姉に違和感を覚える。


    「大丈夫?いきなりそんなこと言いだして頭でも……」


    「今までありがとうね。これからも大好きでい続けるから、だからさ……」


    不快な騒音は脳裏を抉るように蝕んでいく。暗い、暗い闇が近づいてくる感覚がある。そういえばこの音はどこかで……。


    「─────」


    最後に見えた姉の表情は花が綻ぶような微笑みでも、ぎこちなく口角を上げたような笑みでもなく、絶望に染まりきった笑顔だった。





    暗転。



  17. 17 : : 2016/07/25(月) 00:40:51





    ********





    冒頭での問いかけ。考えてくれた人はいるのかな。まあ私も陳腐な答えしか思い浮かばなかったんだけどね。


    人が色を認識するのは絶望するためだと私は思う。
    人の行動の結末は全て絶望につながるというのがいわゆる私の持論。
    ならば色の認識もそれに入るのだろうと、3秒間長考してみた。…なに、3秒は短い?細かいことはいいんだよ。私はそんなことが言いたいんじゃないんだ。


    人は絶望するために色を認識する。はい、これが結論。異論は認めるけど討論はめんどくさいからパスね。





    ********



  18. 18 : : 2016/07/25(月) 00:42:40



    これまた懐かしいことを思い出したものだ。これが走馬灯というものだろうか、だとしたらかなりいい趣味してるね。
    背後から壮絶な機械音が聞こえる。聞き覚えの正体はこれだった。徐々に近づいてくるのは足元がベルトコンベアになっているためだ。
    机と椅子を模した簡易拘束具だが、身じろぎひとつできないそれの性能は抜群だ。


    逃げることはできないし、着々と死に進んでいることが手にとってわかるこの状況は、いつか私も望んでいたことなのだ。
    人生で一度だけ味わえる最高の絶望。死を望み、絶望し、絶望と共に生きてきた。
    その中で唯一の目標を達成できるとあれば、私が生きてきた理由としては十分だ。
    これでいい、これでいいのだ。もはや後悔などない、未練などない。が、ただ一つ蟠りが残っている。

    あの時は気が付けなかったこの感覚、今ならはっきりとわかる。
    いくら努力しても絶対に届かないところにあるものを望むような、どれだけ走り続けてもゴールの見えないレースに挑み続けてるようなこの感覚は脱力感焦燥感倦怠感喪失感虚無感など、こんな言葉では到底言い表すことのできない負の感情。
    胸に溜まった黒いモヤモヤが全身に広がり蝕むような、今まで積み上げてきたもの全てが足元から崩れ去っていくようなこの感覚、それはどうしようもない絶望感だった。

  19. 19 : : 2016/07/25(月) 00:43:30





    そして、姉が成長したと感じたあの時、私は確かに絶望したのだ。





    地に響くような轟音はすぐ背後に迫っている。ああ、これで本当に最後か。あんな昔の出来事、今私が思い出し絶望していたと知って何の意味もない。



    機械が視界の端に映る。と、不意に思い出した。私が馬鹿らしいと言って一蹴したあの言葉。もしもあれが本当に起こり得るというのなら──





    ──ねえ、今私が見ている景色をあんたも見ていたのかな──





    上を向くと鉄の塊が目の前に迫っていたところで。


    音はもう止んでいた。


  20. 20 : : 2016/07/25(月) 00:44:02
    小説形式での投稿は初めてなので、読みにくさが目立つ作品となってしまったこと、此処にお詫び申し上げます。

    ご閲読ありがとうございました。

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FRAGRANZA

フラ

@FRAGRANZA

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