この作品は執筆を終了しています。
舞園「カノイロアツメ」
-
- 1 : 2016/07/24(日) 22:46:04 :
- どうも、こんばんは!初めまして!
チームコトダ祭りへの参加作品です。
自分はチームB、「高嶺のチム古参」の者でございます。内容自体はごくごく普通のssなので、この企画に関係ない方も気軽に読んでいただけば幸いです。
その他詳しくはこちらを参照ください→http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/groups/2086
副将戦、テーマは青春、キーワードは色。これまでのレベルが凄まじく正直縮こまっておりますが、なんとか張り切っていきたいと思います!
よろしくおねがいします!
【注意】舞園さんが霧切さん大好きです
-
- 2 : 2016/07/24(日) 22:47:07 :
- 舞園「霧切さん ああ霧切さん 霧切さん」
江ノ島「……」
舞園「字余りです」
江ノ島「……」
放課後、江ノ島さんと二人きりの教室で、今日も私は霧切さんの句を詠みます
反応は、無し。おかしいですね
舞園「江ノ島さん?聞こえませんてましたか?」
江ノ島「……」
何食わぬ顔でネイルを弄り続けています。むむむ……
舞園「仕方ありません。ここでもう一句……」
江ノ島「いいっ!!うるせーよ!」
マネキュアの蓋を勢いよく閉じて、ようやくこちらを向いてくれました!
-
- 3 : 2016/07/24(日) 22:48:15 :
- 舞園「聞こえてるじゃないですか」
江ノ島「この距離で聞こえないわけねーだろ!察せ!」
舞園「じゃあ何で反応してくれなかったんですか……!?」
江ノ島「悲壮感漂う顔やめろ!う・ざ・い・か・ら!」
どうやら私、“うざい”みたいです。小蝿に抱く感情と同じモノですよね
……江ノ島さんにとって、私……小蝿……?
舞園「そんな……」
江ノ島「そういう思考が絶望的にウザい」
舞園「!! 私の考えてること、わかるんですか!?」
江ノ島「まあ、エスパーですから」
舞園「ギャルですよね?」
江ノ島「ウッゼーーー!!!」
江ノ島さんの怒号が教室中に響き渡ります。今日で、3回目でしょうか
-
- 4 : 2016/07/25(月) 00:00:13 :
- でも、ハエさんみたいな私にいつまでも付き合ってくださる江ノ島さん。俗に言う“ツンデレ”ってやつですよね?ーーなんて考えていたら
江ノ島「つーかさ……、そんなに好きなら行けばいいじゃん。霧切のトコ」
言われてしまいました
舞園「わかってません!!江ノ島さん!わかってませんよ乙女心を!!」
江ノ島「分かりたくない」
舞園「会いたくて逢いに行けるなら……全国全世界全宇宙の女の子達は苦労しません」
江ノ島「規模」
舞園「永遠にでも眺めていたいあの人の顔を恋い焦がれる……この間こそを大切にするんです。乙女は」
江ノ島「あのさ……」
舞園「はい」
江ノ島「アンタ前に『仕事に恋してます!きゃるん!』とかやってたよね?」
舞園「そんなしつこい言い方してませんが、はい」
江ノ島「……これってどうなの?ファン共がさっきの川柳聞いたら絶望するよ?裏切り?浮気?死ぬの?」
舞園「私は常日頃から、お慕いしてくださっている皆さまの気持ちを真摯に受け止め、適切な行動を取るよう心がけています」
江ノ島「テンプレ?」
舞園「はい!」
江ノ島「こんなのを好きになっちゃった奴等も大概ってわけね」
……江ノ島さんって、やっぱりツンデレです
江ノ島「デレてねーよ」
またエスパーを取られてしまいました
-
- 5 : 2016/07/25(月) 00:00:57 :
- 江ノ島「じゃあさ、舞園ってシーフリースのイメージガールじゃん?あのCMどんな気持ちで撮ってんの?」
“シーフリース”
今ドキの子達が挙って使う制汗剤です。【正に青春!!】と謳っているだけあって、ものすご〜く爽やかなCMを毎夏打ち出す人気商品なのですが、今年のイメージガールは江ノ島さんの言う通り、何を隠そう私なのです!
どんな気持ちで、と聞かれれば答えは一つ
舞園「霧切さんです」
江ノ島「どんな気持ちで撮ってんの?って聞いたんだけど」
舞園「霧切さんです」
江ノ島「……あのクールな先輩役に向けてた桑田歓喜スマイルも?」
舞園「霧切さんです」
江ノ島「アタシ一応あそこのオーディション受けてたんだけど、アンタに負けてたってことだよね」
霧切さんが私にタオルを差し入れてくれた、って考えたら、どんな笑顔も作れちゃいます
舞園「恋する乙女は、強いんですよ」
江ノ島「……絶望的!!!」
あ、この江ノ島さんの顔、好きです
-
- 6 : 2016/07/25(月) 00:03:10 :
- 江ノ島「そういや、やっぱりアレやったの?」
舞園「アレ、とは」
江ノ島「ほらほら、最近女の子の間で人気フットー!ってヤツ!」
舞園「湯たんぽですか?」
江ノ島「それはただ沸騰してるだけだろ!!ちげーよ!」
ふふ、キレキレのツッコミですね。カリスマギャルにしてバラエティ番組から引っ張りだこなだけありますよ。
素っ惚けた私ですが、今江ノ島さんが言わんとしてることは分かるんです。なんてったって……エスパーですからね。
いつの時代も女の子達を釘付けにする“恋のおまじない”のニュータイプ!その名も―――
江ノ島「ああ思い出した!!くっさい青春感じるやつ!確か名前は―――」
『カレイロアツメ』
……私の場合、カノイロアツメ、ですけど
-
- 7 : 2016/07/25(月) 00:34:48 :
- カレイロアツメとは、その文字通り意中の相手の<色>を集めるおまじないです。ルールは単純過ぎるほどに単純。
赤、黄、青の三色のテーマに沿った表情を1日の間に探すことができれば、恋が叶うというもの。
なんだ、簡単じゃん!って思いますよね?いいえ、これが曲者なんです。
【赤】は恥ずかしがっている顔。所謂、赤面ですね。
【黄】は輝くような最高の笑顔!
【青】は相手が泣きそうなぐらい悲しむ顔。これが一番鬼門とされています。
1つ1つの色は簡単でも1日に3色同時となると、すごく難しい!……らしいです。
-
- 8 : 2016/07/25(月) 00:36:50 :
- 江ノ島「ああーそうそうカレイロアツメ!舞園やっぱ知ってんじゃんよ」
舞園「女の子ですもん」
江ノ島「腐川は知らなかったみたいだけど?朝日奈と大神が話してた時、めっちゃ耳大きくしてたし」
舞園「それはそれで、女の子なんですよ」
江ノ島「フーン」
江ノ島さんは先ほど中断したネイル弄りを再開させてしまいました。……興味、失せちゃいましたかね?
舞園「それで、私がカレイロアツメ、もといカノイロアツメをやったことがあるのか、ですよね」
江ノ島「あ、ん」
コトン。とマネキュアを机に置く音。やっぱりツンデレじゃないですか!
私の答えは勿論
舞園「やったことありません!!」
江ノ島「マジ?舞園のことだから、そういうの手当たり次第にやってると思ってた」
舞園「凄く気になりますよ!単純に霧切さんの“イロ”も見たいですよ!!でもっ!」
江ノ島「でも?」
舞園「……この気持ちは、おまじないで終わらせたくないんです」
……最高にキまりました。そう、この恋はいつか私の手で叶えてみせるんです。江ノ島さんもさぞかし痺れている所でし……
江ノ島「は?」
舞園「えっ」
江ノ島「は?」
舞園「……」
-
- 9 : 2016/07/25(月) 00:41:03 :
- 江ノ島「いや、『言ってやりました……!そう、この恋はいつか私の手で叶えてみせるんです!キリッ!』って顔してるけどさ」
舞園「はい」
江ノ島「やってもやんなくても変わんねーーよ!!どちらにせよエンドオブ舞園さやか!どこの要素からいつか叶うと思った!!」
ガーーーン。100tハンマーなんかを頭に直接頂いた気分です。ここまで言いますか?ここまで……。
舞園「いや、でも」
江ノ島「でもじゃない!!明日ただ明日!!霧切のイロ集めてきな!」
舞園「そんな。予定もあるでしょうし」
江ノ島「いいから!今日は帰った帰った!!」
舞園「え、ええ、江ノ島さ……」
ピシャン!教室の外まで押しのけられたかと思うと、扉を固く閉じられてしまいました。もう、本当に急なんですから。
でも、これで気持ちに踏ん切りがつきました。正直やりたくて仕方なかったんですよね。カノイロアツメ。
よくよく考えたら、カノイロアツメが成功したとして、それは私の力じゃないですか!これはただ消しゴムに霧切さんのお名前を書いて、使い切るモノとはワケが違うんです!!
……なんて、自分を無理やり納得させるように言い聞かせながら、部屋に戻ります。江ノ島さんにあそこまで言われてしまったんですし、3色キッチり集めて霧切さんとのスイートデイを送ってみせますよ!!
…………明日、霧切さんの予定空いてますよね?
-
- 10 : 2016/07/25(月) 00:45:03 :
- ーーーーーーーー
戦刃「盾子ちゃん」
江ノ島「うわっ!残姉もしかしてずっとそこにいたのーー!?」
戦刃「嘘。盾子ちゃん気づいてたでしょ」
江ノ島「あったりまえだのクラッカー!」
戦刃「……盾子ちゃん、どうして舞園さんを応援してあげたの?」
江ノ島「は?なになに?残姉にはあれが応援に見えたの?」
戦刃「うん」
江ノ島「流石残姉だわ。何も言えねえ」
戦刃「……あのおまじない、盾子ちゃんが流行らせたやつだよね?」
江ノ島「お、ご名答。残姉の言う通り、アレはアタシが雑誌でチョロっと言っただけで、途端に流行ってしまったものなのです」
戦刃「なら……」
江ノ島「いや、3秒で考えたやつだから。根も葉もないデタラメね。そんなものに固執して、サクッと絶望してしまえば良い!ってわけよ」
戦刃「ホントに?」
江ノ島「うーん、まあ舞園次第?」
戦刃「やっぱり応援してる」
江ノ島「してねーよ!!」
戦刃「してる」
江ノ島「してない!!」
……………
ーーーーーーーー
-
- 11 : 2016/07/25(月) 01:02:53 :
- 〜次の日〜
やってきました、遂に当日です。……と言っても、予定が組まれたのもつい昨日ですけど。
あの後すぐに霧切さんに連絡を入れてみたところ、返事はOK。丁度今日は私の仕事もオフでしたし……この素晴らしい奇跡に感謝を。
そして今、待ち合わせ場所の駅についたわけです。霧切さんにお伝えした時間は十時。そして今は九時半。三十分前行動。ふふ、これができる女ですよ江ノ島さん。ここでゆっくりと霧切さんを待つとま……
あれ?あれあれ?あそこに見える綺麗な紫色の髪の毛はっ!
舞園「霧切さん!?」
霧切「あら、舞園さん。おはよう」
う、美しい……!白を基調としたふりふり、とまではいきませんがレースのお洋服に、長くも短くもない、上との対象で目を引くスカート。綺麗の一言です。これが天使ですか……じゃなくて!!
舞園「おはようございますっ!でもなくて!」
霧切「どうしたの?」
舞園「は、早くないですか!?今九時半ですよね?」
霧切「ええ、九時半ね」
舞園「今日の待ち合わせの時刻は……」
霧切「十時よ。貴女が決めたんじゃない」
舞園「そうですけど……!だって霧切さん何時頃着いたんですか?」
霧切「九時頃だったかしら」
そんな……!!三十分も霧切さんをこの場所で野晒しにしてしまってたってことですか……?
舞園「うう……」
霧切「気にしないでいいわよ」
舞園「そうは言いましても……」
霧切「ほら、今日は映画を観に行くんでしょう?」
そうでした。名目上、今日は映画デートなのです。ここで落ち込んでなんかいられません!ネバーギブアップ、私。
舞園「はい!では劇場に向かいましょうか!」
霧切「ええ、行きましょう」
イロアツメも、忘れずに
-
- 12 : 2016/07/25(月) 01:06:16 :
- 【赤】
舞園「ところで霧切さん、少し喉が渇きませんか?」
霧切「そうね。近くにコンビニエンスストアとか、あったかしら」
舞園「コンビニじゃなくて、そこのカフェで少しお茶しませんか?映画までまだ時間ありますし!」
霧切「舞園さんがあそこでいいなら構わないけど」
舞園「大丈夫です!入りましょう!」
霧切「そんなに急がなくてもお店は逃げないわよ?」
ふっふっふ、ふが三つ。この入店は、計画通りなのです。この辺りに、このカフェがあるのはリサーチ済み。霧切さんの赤、見せていただいますよ!
-
- 13 : 2016/07/25(月) 01:09:49 :
- 私たちが入った、『ハートバックスコーヒー』。店内はお洒落な雰囲気包まれているのですが、そのオーダーの仕方もとにかくお洒落でして……。一見さんが注文を成功させることはまず叶わないのです。
そこで!何も知らないであろう霧切さんに注文を任せてしまえば、カウンターで不味い空気が生まれて恥ずかしがる霧切さんが見られる!という寸法!
一日一夜で編み出した私の計画。どうか上手くいきますように……。
舞園「ふう、店内は涼しいですね」
霧切「ええ、少し寒い位」
≪テンテンテレテテンテンテテンテン……♪≫
霧切「あら、電話?」
舞園「マネージャーさんからみたいです……!ごめんなさい、注文任せちゃって良いですか?お金は後で渡しますんで!」
霧切「良いけど……舞園さんは何にするの?」
舞園「えーっと、じゃあ霧切さんと同じもので!」
霧切「わかったわ」
舞園「では少し失礼します!」
ここで携帯を耳に、もしもしー?なんて演技をしながらお手洗いに向かいます。カウンターと少し距離はありますが、顔はバッチリ見える位置!
さて、霧切さんの順番が回ってきました。早速頂きます。霧切さんの、赤!
舞園「……あ、あれ」
澄ました顔で注文を済ませる霧切さん。当然、顔は赤くなりません。
えええええっ!!!!
-
- 14 : 2016/07/25(月) 01:12:00 :
- 霧切さん、こういったお店に慣れっこな感じですか?それはそれで似合いますけど……!ああ、その可能性を考慮してませんでした!
取り敢えず、いつまでも一人にさせるのは申し訳ないので霧切さんの元へ向かいます
霧切「おかえりなさい。用事は済んだ?」
舞園「はい。大した要件ではありませんでした」
霧切「それなら良かった。この後急にお仕事がーって帰られたらどうしようかと思ってたの」
舞園「そんなことありません!!絶対に!」
霧切「……フフ。それと飲み物、これで良かったかしら?」
舞園「あ、はい!ありがとうございます!」
霧切さんが頼んでくれた霧切さんと同じコーヒーを霧切さんと飲む!こんな幸せ他にありません!!って、あれ?
舞園「このコーヒー……黒くないですか?」
霧切「ええ、とことんブラックにしたから。この後映画も観るのだし、ちょうど良いかと思って」
いやいや、これ普通のブラックじゃありませんよ。どうやったらこんな黒いコーヒー作れるんですか……?
なんて、霧切さんには言えません
舞園「いいですね!とことんブラック!ありがとうございます!」
霧切「私と同じものでお口に合えば良いのだけど」
舞園「大丈夫です!!いくらでも飲めますから!!」
霧切「ちょっと舞園さん。そんなに一気に飲んだら……!」
舞園「ウッ!!」
わたしのめのまえが まっくらになりました
★★★
-
- 15 : 2016/07/25(月) 01:15:31 :
- 舞園「う、うう……」
霧切「あら、目覚めた?」
舞園「霧切さん……?」
霧切「舞園さん、気絶してたのよ。小一時間」
舞園「き、気絶……?」
気絶してたんですか?私??コーヒーで???小一時間????
霧切「申し訳ないわ。まさかコーヒーでああなるとは思わなかったから」
舞園「いえいえ、霧切さんは悪くないです!」
霧切「無理やり起こそうとも思ったんだけど、気持ち良さそうな顔してたのもあって……」
コーヒーで気絶したあげく、気の抜けた顔を霧切さんに見せてしまったってわけですか……!?
舞園「は、恥ずかしすぎます!忘れてください!!」
霧切「忘れたくても忘れられないわ」
舞園「ううっ!」
みるみる内に自分の顔が紅くなっていくのがわかります。イロアツメに失敗したあげく、こんな醜態……。
霧切「さあ、頭もはっきりしてきたようだし、映画館に向かいましょう」
舞園「あっ!そうですね!」
時計の針はもう十一時半過ぎを指しています。ここでのロス、なんとか取り返さなくては!
霧切「それにしても……舞園さんコーヒーで……」
舞園「あっ!笑いましたね!!」
霧切「笑って……ないわ……フフッ」
舞園「もう忘れてくださーい!!」
また顔が熱くなりました……。ご勘弁……。
-
- 16 : 2016/07/25(月) 02:49:35 :
- 【黄】
赤はアクシデントで手に入りませんでしたが、後程どうにかしましょう。気を取り直して、黄色作戦です!
このお出かけの目的である映画ですが、その内容はザ・コメディ。セレスさんがお腹を抱えて笑ったとコメントしていました。……セレスさんがお腹を抱えて笑うんですよ?
霧切さんがそこまで笑うかは分かりませんが、最高の笑顔は拝めるはず!!劇場で霧切さんの黄色、頂きます。
-
- 17 : 2016/07/25(月) 02:51:33 :
- 霧切「着いたわね」
舞園「着きましたね!」
二人でチケットを買って、劇場の座席につきます。
霧切「随分と暗いのね……」
舞園「コマーシャルが終わったらもっと暗くなりますよ」
霧切「周りが見えなくなってしまわない?」
舞園「……霧切さん映画館初めてなんですか?」
霧切「ええ。昔来たのが何時だか、覚えてないくらい」
舞園「じゃあ、これが霧切さんの実質初映画館ですね!」
霧切「?」
舞園「あ、始まりますよ」
スベったら流していく。バラエティ番組で教わりました。
霧切「そうみたいね」
舞園「……」
霧切「……」
ここで霧切さんの手を握る大胆さなんて、私にはありませんでした。
-
- 18 : 2016/07/25(月) 02:53:23 :
- 2時間後
舞園「終わりましたね」
霧切「終わったわね」
舞園「面白かったですね……」
霧切「それにしても舞園さん笑いすぎよ。声をあげて笑い出すんじゃないかって心配だったわ」
舞園「頑張って押し殺しましたよ」
ええ。私は笑いました。最高の笑顔どころか、最低な笑顔になるレベルで。だけどっ……
舞園「霧切さん、笑ってなくないですか!?」
霧切「いや笑ったわよ。特に、ヒロインの口内で桶狭間の戦いが繰り広げられたシーン。あそこは監督の正気を疑ったわね」
舞園「確かに私もそこで限界きましたけど……!」
上映中、気づかれないようチラチラと霧切さんの方に目をやっていましたが、表情筋が仕事をする素振りは見えませんでした。もしかして、黄色も失敗……?
-
- 19 : 2016/07/25(月) 02:54:03 :
- いや!ここで挫けてはダメ!私!アイドルは人に笑顔を見せるのではなく人を笑顔にするものだって、某方も仰っていました!そう!私はそのアイドルの超高校級なんです!
舞園「霧切さんっ!」
霧切「何?」
舞園「“もうふ”と“ふとん”が“もうふっとん”だ!!」
霧切「……?」
――――ダメでした
-
- 20 : 2016/07/25(月) 02:55:54 :
- 【青?】
赤もダメ。黄色もダメ。ここから青を集めようとしたってもう……
《デンデンデレデデンデンデデンデ》
舞園「あ、霧切さん携帯鳴ってますよ」
霧切「……苗木くんからみたい」
舞園「どうぞどうぞ」
霧切「ごめんなさいね。 もしもし苗木くん?……」
霧切さんの携帯に苗木くんからのお電話。別になんら気にすることはない。ないのに、心臓がバクバクするんです。
どうしてでしょう?その答えを確かめるように、霧切さんの方に目を向けると――――
霧切「もう、苗木くんのくせに生意気よ?」
舞園「ぁ……」
そこにはありました
私が見つけられなかった
霧切さんの最高の笑顔
-
- 21 : 2016/07/25(月) 02:57:06 :
- 目の前に霧切さんの笑顔があるのに、これって凄く嬉しいことなのに、何故だか涙が出てくるんです。嬉し泣きってやつでしょうか?
……誤魔化したっていけませんね。霧切さんにはもっと他にやるべきことがあって、行くべき所があるのに、嘘をついて映画に誘って、変なことをさせようとして……。
あ 私って 最低ですね。
こんな私に、霧切さんの隣にいる資格はありません。
舞園「ごめんなさいッ……」
届かない、届いても仕方のない謝罪の言葉をぽとりと落として、私は走り出しました。とにかく、この場を離れなければ。
霧切「ちょっと舞園さん!?」
戸惑う霧切さんの声。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい……。
-
- 22 : 2016/07/25(月) 02:57:57 :
- 無我夢中で駆け抜けていたら、気づけば駅に着いていました。そこには……
江ノ島「あ、舞園じゃん。イロアツメは……って、アンタ泣いてんの!?」
江ノ島さん。その顔を見ると、何故だか押さえ込んでた気持ちがドバッと溢れてしまって……
舞園「え、え、えの……江ノ島ざぁぁん!!」
江ノ島「ちょっ、飛びつくな!」
舞園「わたじぃ……!わたじぃ……!最低な事してましたぁ……!!」
江ノ島「うわー、アイドルが絶対しちゃいけない顔してる」
舞園「わああああん!!!」
-
- 23 : 2016/07/25(月) 02:58:52 :
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜
落ち着いてから、江ノ島さんに事の一部始終をお話ししました
江ノ島「それで泣きながら走ってきたと」
舞園「はい……」
江ノ島「バカでしょ」
舞園「えっ」
江ノ島「あー、うん。これ私から説明する必要みたいだね」
舞園「ど、どういうことですか?」
江ノ島「ほら、時には後ろを振り返って!」
舞園「……?」
よく分からないまま、江ノ島さんの言う後ろの方を見てみると……
舞園「霧切さんっ!?」
江ノ島「やーっぱりね」
霧切「はぁっ……!はぁっ……!」
舞園「霧切さんもあそこからここまで走ってきたんですか!?」
霧切「ええ……それより……」
霧切「見つけたわ……貴女の【青】」
-
- 24 : 2016/07/25(月) 03:01:18 :
- 舞園「ん……?え……?」
霧切「舞園さんの赤、黄、青を見つけたの。カレイロアツメ……って言うのかしら?成功よ」
江ノ島「うわーだめだこの空気。アタシはこのへんでとんずらするわ。さいならー」
舞園「ちょっと、江ノ島さん」
霧切「行っちゃったわね……」
舞園「は、はい。ええ……?」
急展開すぎて頭が回りません……。霧切さんが、私のイロを集めてた?集めるべきは苗木くんじゃなくて?
-
- 25 : 2016/07/25(月) 03:02:45 :
- 霧切「私も色々計画していたのだけど、トントン拍子で貴女のイロが集まっていくものだし気を抜いてたわ。まさか走って逃げられるとは思ってなくて」
舞園「ああっ!それに関しては本当にごめんなさい……!」
霧切「いえ、青のお題に関しては困っていたから結果オーライよ。泣きそうなぐらい、というより泣いていたけれど」
舞園「ううん……?私、他のイロ出してましたっけ?」
霧切「ハートバックスで、赤を見つけたわ」
舞園「あっ……!
『みるみる内に自分の顔が紅くなっていくのがわかります。イロアツメに失敗したあげく、こんな醜態……』
舞園「あああ……!!」
霧切「黄色は勿論あの映画。いい笑顔だったわ」
『ええ。私は笑いました。最高の笑顔どころか、最低な笑顔になるレベルで。』
舞園「じゃあ、霧切さんは本当に私のイロを……!」
霧切「ええ。コンプリート、ね」
-
- 26 : 2016/07/25(月) 03:04:17 :
- 舞園「私……霧切さんが苗木くんとお電話してるときに、凄く良い笑顔になってるの見ちゃって、それで……」
霧切「ああ……。私、これでも今日一日中緊張していたの」
舞園「そうなんですか!?」
霧切「同級生の子とお出かけなんて、早々無かったの。苗木くんにはそのことで昨晩相談に乗って貰っていて……。彼、心配性でしょう?それで電話してきたみたいで、さっき言った通り私も気が抜けてしまったの」
全ては私の早とちりだった、というわけですね…………。恥ずかしい、また紅くなってしまいます……。
ん……?霧切さんが私のイロを集めてたってことは……?
舞園「じゃあ霧切さん、私におまじないをかけようとしてたってことですか!?」
霧切「ええ、そうなるかしら」
舞園「う、え、え……!」
突然そんな……!えっ!えっ……!
-
- 27 : 2016/07/25(月) 03:07:39 :
- 霧切「依頼の上で、だけれど」
舞園「え……?」
霧切「昨日突然手紙での依頼があったのよ。“舞園のイロを集めて”って。達成したらそれを彼女に伝えろ、ともね」
上げて、落とす……?
霧切「意味がわからなかったのだけど、調べみたらそんなおまじないが流行ってるって出てきて、そこに舞園さんのお誘いがあったものだから」
舞園「……」
霧切「イロ、集めようって思ったの」
ふ、ふふふふふ。それでこそ霧切さんですよ。そうです。そうです。ここで叶っていたら、私には困惑しか残りませんよ。
いつも遠くにいて、なんだか掴めない。それが霧切さんです。しかも私とのお出かけに緊張していたんですよ?まだまだチャンス、あるってことです!
-
- 28 : 2016/07/25(月) 03:08:20 :
- 舞園「霧切さんっ!!私のイロアツメ、達成おめでとうございます!」
霧切「ええ、ありがとう。依頼者が分からないから報告しようもないのだけれどね」
舞園「では、もう一度ハートバックスに行きましょう!今度は更にブラックで!」
霧切「また気絶するわよ?」
舞園「いいんです!今日はもうそういう気分なんですっ!」
私のイロアツメは、始まったばかり
-
- 29 : 2016/07/25(月) 03:09:00 :
- ーーーーーーーーーーー
戦刃「…………」
江ノ島「…………」
戦刃「依頼出したの、盾子ちゃんだよね?」
江ノ島「知らなーい」
戦刃「この結果、どう思う?」
江ノ島「どうでもいーい」
戦刃「やっぱりツンデレだ」
江ノ島「ツンしてねーーよ!」
戦刃「デレたの?」
江ノ島「デレてもねーーよ!!!」
ーーーーーーーーー
〜fin
-
- 30 : 2016/07/25(月) 03:14:35 :
- A.おまじないに奮起する女の子って青春ですか?
Q.はい。青春です
A.その相手が女の子でも?
Q.はい。青春です
という感じで無理やり自分を納得させて突っ走ったこの作品、ここまでお付き合いくださりありがとうございました!企画モノにほんのり百合じみたものを持ち込んでしまい、投稿が最終日になってしまい本当に申し訳ございませんでした。
キャラの動き、口調、文章構成等かなりぎこちなくなってしまいましたが、楽しんで頂けていれば幸いです。
では。高嶺のチム古参万歳!
- 著者情報
- 「ダンガンロンパ 」カテゴリの最新記事
- 「ダンガンロンパ 」SSの交流広場
- 【sn公式】ダンガンロンパ交流広場