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トランジエントの夢

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  1. 1 : : 2016/06/30(木) 22:40:09
    最も死に近づいた者だけに送られる手紙を知っているだろうか?



    それは人生を左右する分岐点である。
  2. 2 : : 2016/06/30(木) 23:59:53




    中学生最後の試合。中体連で俺はホームランを最後に決め込みチームを勝利へと導いた。

    が、それの代償に俺の体はキシキシと骨が軋みこれ以上の練習ができなかった。ドクターストップがかかったのをコーチも知っているから俺は全国大会の練習はずっと見学だ。

    何回も何回も存在理由を確かめた。が、まだ未熟な俺にはそんな哲学的な事の答えは何一つとして出なかった。


    「おーい涼タ!飯行こうぜ!」

    「おう、お前の奢りな。」

    「はぁ?割り勘だよ!!!」

    「はいはい。」

    飯に誘ってきた丸刈りの少年、佐伯隆太郎は重いバットを肩にかけ走る。

    刈り上げた髪は俺だけが元通りで他の部員は丸刈りだった。



    「俺、お好み焼きがいい。」

    「んじゃ俺ベビースターの入ったヤツにすんわ」


    今日はお好み焼きを食べた。


    その後はきっちり割り勘して隆太郎と手を振って別れて家に帰った。

    いつも母にポストを見てから帰ってこいとこっ酷く言われるからそれが当たり前になってポストを覗く。







    毎朝チェックするポストに異物があるのに気付く。 
    取り出すとソレは手紙で紅い封が特徴的。 


    【夢幻想国ヘノゴ招待】


  3. 3 : : 2016/07/02(土) 02:29:41


    「おーい兄ちゃん生きてっかー?……死んだ?時々心臓圧迫で死ぬ人間いるんだよなー。」

    「う……ぐ、?っ!?」

    目が覚めた。
    と同時に目の前に広がる風景は所謂フラワーガーデンというのだろうか。赤と白の薔薇が絡まったアーチの下で俺は覚醒した。


    「おー起きた起きた。良かったぜ、俺はここの案内人だ。」


    目の前には布切れの様なボロボロなのに白いシャツに白いスラックス。白い革靴に白い髪白い帽子。そして蜂蜜色のとろける様な暖かい黄色の目の真っ白な男がいる。

    「ひぃっ」

    目の前の人間が真っ白すぎて目に見えているモノ全てがモノクロだと一瞬錯覚してしまった。

    「えっと君の名前は水無月涼タ。中学生か、若いもんだ。」

    「なんで俺の名前……」

    「俺は何でも知ってるからなぁ。何でもね。」

    「えっと……」

    「チェシャ猫。そう呼んでくれ。俺は存在していてもいなくてもいい存在だからな。」

    「そうですか」

    「さ、案内しよう。」

    そういい男は手を差しのべる。
    初対面の真っ白な男。現実では異質なのに何故か俺にとっては信頼させる何かがあった。


  4. 4 : : 2016/07/03(日) 00:09:20
    チェシャ猫に連れられたどり着いたのは一つの馬鹿でかい邸だった。

    当然日本でこんなパリにあるような古びた洋風の建物なんぞ見たことがない。
    そう驚きながら邸を眺めていると門が独りでに開門した。

    「うお……」

    「お、歓迎されてるようだぜ。くれぐれも地雷だけは踏むんじゃねーぞ?ここの屋敷の主はプライドが鬼みたいに高いからな。っじゃ!」

    そういいチェシャ猫は手を挙げて霧のように消えた。


    「っじゃ!じゃねぇよ……ほんっとここ何処なんだよ。」
  5. 5 : : 2016/08/24(水) 14:48:05
    これ面白いです!!
    期待です!

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yumebe_meru

*√ 夢 部 め る

@yumebe_meru

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幻想国への招待状 シリーズ

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