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  1. 1 : : 2016/05/28(土) 21:23:02
    ※ユリ注意

    口調とかいろいろ違うかもしれません!

    完全なる創作です!
  2. 2 : : 2016/05/28(土) 21:42:08
    初めて会った時には、特に何も感じなかったように思う。


    頭が悪い子なのかとか、底抜けに明るくて少し鬱陶しいとか、そんなことしか印象になかった。

    この子と友達になるかどうかなんて分かりもしなかったし、そんなこともないだろうと思っていた。

    ましてやこの子に好感を抱くか、だなんて考えることも馬鹿らしく思えたものだ。



















    いつからだろうか。





    私が、彼女に___由比ヶ浜結衣に恋心を抱いていると、自覚したのは。
  3. 3 : : 2016/05/28(土) 23:17:08
    実はつい最近まで、この気持ちがなんなのか、見当がつかなかった。

    分かっていたのは、彼女を見ると胸がざわつくということと、話しかけられたり触られると鼓動が以上に激しくなるという、事実。



    自分は何かの病気だろうかと疑った。
    だって、どう考えてもおかしいではないか。

    たった半年の付き合いの、しかも女子の友達にこんなにも胸が高まるのは、どう考えたっておかしい。


    本当に病気なのではないか。

    はたまた、これが親愛というものか。



    経験のない私には、自力で答えを見つけることはできなかった。


    なので私は……

    癪ながら、彼、比企谷八幡を頼った。



    名前だけ伏せてこのことを話すと、彼はこういった。




    「お前、そりゃ恋だろ」

    衝撃のあまり雷に打たれたような気がした。


    「………こ、恋?」


    「おう。普通親愛なんかで鼓動は高まらない。それに一度恋を経験した俺が言うんだから間違いないな」


    「…あなたのそれは叶わなかったし、第一好きになったことさえ勘違いだったでしょう」


    「ぐっ…と、とにかくそういうことで間違いないはずだぞ。雪ノ下も本とかで読んだことあるはずだ」


    「本の知識で言ったのね…。…そうね、そうだったかもしれない」


    「ていうかその相手って誰だ?深入りするつもりはないが、俺に相談したってことは俺ではないだろうし…」

    当たり前だ。己惚れるんじゃない。
    と言いかけたが、今は飲み込む。


    「なんなら協力してやってもいいぞ?」

    「…あ、あなたから協力という言葉が出てくるだなんて…!?」


    「な、何だよその反応。…まあ、たまには、な?」



    ポリポリと頭をかいて目をそらしつつ彼は言った。



    「で、どうするんだ?」


    「……気持ちはありがたいけれど、遠慮しておくわ。今、話すことはできない」


    だって、さっき彼が言った発言がそうだとすると、私は___


    ___女の子に恋をした、と、そういうことになるから。


    「…今は、まだ」

    いきなり知り合いにそういう人が現れたら、さすがの彼も戸惑ってしまうだろうから。


    「ふーん…さいですか」

    そこで彼は私に向き直り、まじめな顔をして


    「お前にも案外しおらしいところってあるんだな…!」

    「…もとより濁った眼をさらに腐らせたような目で私を見ないで頂戴。若干の吐き気と悪寒がするわ」


    「唐突に罵られて八幡ビックリしたよ?軽く傷つくよ?」


    全然そんなこともないというような顔で彼はそういうと、口許を歪ませ、続ける。


    笑っているつもりだ。

    「ま、本当に何かあったときはいえよ。気分次第で手伝ってやるかもしれんし」


    「あなた、愛想笑いのつもりでしょうけど大分気持ちの悪い顔をしているわ。本当にやめたほうがいいわよ?」


    「………」


    彼がショックに押し黙り、会話が終了した。

    収穫はあった。実感はないけれど…


    なので、終了した会話をもう一度起こす。

    「……癪ながら、ありがとう。比企谷君」

    「けなしつつ礼を言うな…」





    そこからは、今日は由比ヶ浜さんの来ない静かな部室で、本をめくる安っぽい音だけが響いていた。
  4. 4 : : 2016/05/29(日) 17:33:40
    部活動も終わり、私は家に帰る。


    勿論、一人だ。

    いつもは特に考え事をしつつ帰るわけでもなかったが、今日はそういうわけにもいかなそうだった。






    いま、私が由比ヶ浜さんに抱いている感情…

    これは本当に、…その、恋なんだろうか。


    彼はそう言っていたが、あまり納得がいかなかった。

    男性に対してなら、それは確かにそうかもしれない。



    「でも、私の場合は……」

    私の場合は、女の子に対してなのである。

    納得がいかない。


    やはり…違うのではないだろうか。

    それに、事実だったとしても周りからの目はどうだろうか。


    気持ち悪い…と、そう思われるに違いない。




    そう思った後に、私は一人苦笑した。

    いつもは周りの目がどうだなんて気にはしないのに、こんなことを考えている自分がどことなく恥ずかしかった。





    冷たく優しい風が頬を撫で、うつむいていた顔を上げるともう駅だった。


    妙に火照った顔が、徐々に冷やされていく。


    __取り敢えず家に帰ろう。


    一度止まった足が、また前に向かって動き出す。
  5. 5 : : 2016/05/31(火) 21:03:48
    ほどなくして、電車は目的地にて止まった。


    改札を抜け、家へと足を運ぶ。

    あたりの景色は夕焼けに照らされて真っ赤に染まっていた。


    中々きれいだ。空気も心地よい。




    大した時間もかからず、すぐにマンション前までついた。

    鍵を開け、中へ入る。



    「……」


    誰もいない部屋で、荷を下ろすと紅茶を入れ始めた。
    一息つこう、と思ったからである。

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