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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

TWO FOR ONE

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  1. 1 : : 2016/04/16(土) 15:54:40
    『恋』それは、誰もが1度は体験するだろうこと。

    でも、本当の恋をしたのはこれが初めてかもしれない。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    やっはろ~~。
    ということで、はじめましての方ははじめまして いろは。 です。
    久しぶりの作品なので至らない点もありますが、よろしくお願いいたします。

    内容は、とある山を舞台とした青春のようなラブコメのような感じのものです。もしよかったら見ていってくださいな。

    一応オリジナル作品ですので、そこはご了承ください
  2. 2 : : 2016/04/16(土) 15:57:55
    注意:
    ※多少ホラー要素あるかもしれないです
    ※いや、でも面白いからっ
    ※うーん、やっぱり面白くないかも……
    ※いや、でも、ほら、頑張るからっ!!


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    恋をしたことはあるだろうか。


    人間生きていれば1度はするであろう恋。恋愛。


    心踊るような感覚。心の奥がドキドキして、熱くなる。とても温かいもの。


    しかし、本当の恋をしたのはこれが初めてだったのかもしれない。
  3. 3 : : 2016/04/16(土) 15:59:06
    コホン、初めまして。現在ガッツリ寝坊中の藤井 蓮(ふじい れん)だ。


    そう、僕は今寝坊している。というより、遅刻している、の方が適切だ。


    高校二年である僕も、流石に朝は弱いのだ。現在9時19分。本来ならとっくに学校に行っている時間だ。


    「とにかく支度しよう。学校に行かないと」


    重い体にムチ打って、体を起こす。夏特有のじめじめというか、むしむしした暑さの中、僕は階段を降りていった。



    両親は共働きをしている。兄弟では中学三年の妹がいるが、当たり前のように学校に行っている。つまり、今この時間は誰も家にいないということだ。くそっ、誰か起こしてくれてもいいだろうに……。


    洗面所に行き、顔を洗う。


    リビングに行くと、真っ先に机の上のラップのかかったお皿が目に入った。そこには書き置きとして、

    『お兄ちゃんへ

    早く起きて学校行きなね。朝食置いとくから。

    可愛い妹より』

    という内容のものが置いてあった。
    妹よ、置き手紙するくらいなら起こしてくれよ……。
    あと、自分で自分のことを可愛いとか言ってんじゃねえよ。お兄ちゃん恥ずかしいからね。


    とりあえず、用意してくれた朝食をありがたく頂戴する。


    その後、適当にバックの中に必要なものを詰める。戸締まりをし、いざ行かん。……回れ右してもいいかな?


    僕の通う学校は、案外近辺にある。と言っても、歩いてでは少々距離がある。人にもよると思うが、僕は自転車登校をしている。
    自転車にまたがり、ペダルをこいでいく。


    6月下旬。夏というには少し早い気もするが、充分暑い。それでも、自転車をこぐと流れる風が気持ちいい。


    余談だが、ここから二駅ほど行くと大きな山がある。呰神山(しかみやま)。行ったことはないが、標高はさほど高くないらしい。どちらかと言えば、凄いのは面積。山の中央には湖もあるらしいが、詳しいことはあまり知らない。ただ、自 殺の名称らしく、あまりいい場所とは言えないだろう。


    学校に着き、自転車を駐輪場におく。
    校舎に入り、靴を履き替え教室に向かう。
    今は確か数学の時間だ。教師は気の弱い女教師。怒られることはないだろう。
    後の扉から静かに教室に入る。
    ちょ、皆見ないで、心が痛い……。


    「あ、藤井君また遅刻ですか。しょうがないですね、早く席に着いてください」


    案の定怒られずに済んだ。
  4. 4 : : 2016/04/16(土) 16:02:24
    1番っ!

    期待
  5. 5 : : 2016/04/16(土) 16:03:04
    午前中の授業が終わり、昼休み。
    あらかじめ持参した朝食を食べよう……食べよ……あ、そうでした、遅刻してきたんでした。


    「……蓮、どう、したの?」


    「ん?あ、いや、お昼ご飯忘れちゃってさ」


    声の主は赤山 ティア(あかやまてぃあ)さん。金髪ロングのポニーテール。身長が小さく、はっきりいってめっちゃ可愛い。イギリス産まれで、今は日本で一人暮らしをしてるらしい。両親とは仲がよくないらしいが、詳しいことはあまり知らない。


    「なんだ蓮、昼飯忘れたのか?」


    この荒々しい声の主は須藤 憲二(すどうけんじ)。黒髪ロングのイカツイヘア。身長も僕より少し高く、がたいもいい。喧嘩とか強そう。てか強い。僕の悪友だ。


    「うん、そうなんだ。しょうがない、憲二の昼食を奪うか」


    「おい、バカよせ、俺の昼飯がなくなるだろーがっ!!」


    「いいじゃん、僕は困らないし」


    「いいわけあるかぁ!」


    僕と憲二が取っ組み合いをしていると、


    「うん、今日も二人は仲がいいね」


    「ちょっと、藤井君、須藤君、二人とも静かにしなさい」


    二人は生徒会件委員長の久保 勇(くぼ ゆう)と、黒上 麗香(くろかみ れいか)さんだ。久保は眼鏡をかけて、いかにも優等生って感じだ。黒上さんも同様に、黒髪ストレートロングというザ・優等生って感じだ。


    「久保、俺は悪くねーだろ!!こいつが俺の昼飯奪おうとしてくるだけだっ!!」


    「憲二がわがまいうからだろっ」


    「それはこっちの台詞だっ!!!!」


    「まあまあ、二人とも落ち着いて」


    そう言われ、僕と憲二はようやくお互いの胸ぐらとカッターを離す。……カッターって案外よく切れるよねっ♪


    「藤井君、とりあえず購買に行ってきたらどう?」


    「そうだね、仕方ない、そうするよ」


    そう言い、渋々購買に向かう。


    「……蓮、私も、行く」


    「うん、勿論いいよ、『赤山さん』」


    そうして、二人で購買に向かうのであった。
  6. 6 : : 2016/04/16(土) 16:04:08
    ……お察しのいい方なら、もうお気づきでしょうが、僕は赤山さんのことが好きなんです。


    そうですよ、好きですよっ!!なんか悪いですかっ!?


    コホン、取り乱しました。
    でも、本当に好きですよ。もうどうしようもないくらいに。


    そんな、今後の展開大暴露並の暴露大会を一人でしながら、気付いたら購買に着いていた。


    「いらっしゃいませー……って、ティアちゃんに蓮さん?珍しいですね、どうしたんですか?」


    彼女は岩浪 千浪(いわなみちなみ)さん。茶髪っぽいショートヘア。憲二の幼馴染みで、家も結構近いらしい。ちなみに、結構可愛い系。購買部らしく、よくここにいるのを見かける。


    「いやさ、今日遅刻してきちゃって、お昼ご飯もないからなんか買おうかなって思ってさ」


    「あ〜、なるほどね!で、ティアちゃんは?」


    「……私は、飲み、物」


    「あ、なるほど」


    「……うん」


    そう言いうと、赤山さんはささっと自動販売機の方に行ってしまった。


    さて、僕もなんか買って早く教室に戻ろう。お腹空いたし。


    店内を見回す。……って、なんもなくね?食べ物。


    「あのさ、千浪。端から端まで、それはもう言葉通りパン1つ残ってないんだけど」


    「蓮さん、購買って運動部の使用率が高くてね、一番に来ないと全部売り切れちゃうんだよね」


    「そ、そうなんだ」
    運動部恐るべし……。


    「あ、でも、缶詰めならあるよ?缶切りもあるし」


    「え、あ、うん、じゃあ、それにするよ……」


    なんという脱力感……。まあしょうがない、適当に缶詰め買って教室戻ろう。
    手当たり次第に缶詰めを買って教室に向かう。
    赤山さんとも合流して、教室で昼食を済ませる。


    午後の授業が始まり、眠気との戦いが始まった……。
  7. 7 : : 2016/04/16(土) 16:05:37
    いるよね、クラスには大概一人や二人。クラスの中心というか、トップカーストというか、こう目立ったやつが。


    そんなやつが、このクラスにもいる。茨 隼人(いばらはやと)、謙譲院 崎(けんじょういん さき)だ。この二人を筆頭に、その他何名かで構成されたグループだ。正直、邪魔でしょうがない。


    ひときわ目立つ声でしゃべってんじゃねえよ。うるせーよ。特にお前、山本とか言ったか。あいつとにかくうっせー。マジだけで会話成立させんなよ。



    「で、隼人〜、今日どうするよ」


    「ごめん、今日は部活なんだ。って、山本も同じ部なんだから部活あるだろ」


    「っべー、そーだけどよー、めんどくせえじゃん?」


    「あたし、この前駅前に出来たケーキ屋行きたいんですけど〜」


    「あ、美味しいらしいね、私も行ってみたいかも」


    「じゃあ、部活終わったら集合ってことにしないか?」


    そんなのほほんとした会話が聞こえてくる。
    ほんとうっせーな。


    「おい蓮、このあとゲーセンいかね?」


    「お、憲二、いいね」


    「よっしゃ、久保も行くか?」


    「ごめん、今日は生徒会で仕事があるんだ」


    「なんだよ、つまんねーな」


    「しょうがないだろ、憲二。久保は生徒会役員なんだから」


    「うん、すまないね、また今度誘ってくれたまえ」


    「おう、次はいくかんな」


    ということになり、僕と憲二は荷物を詰め、ゲーセンに向かった。



    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    「ティアちゃん、今日どうする?」


    「……千浪、ごめん、今日は、予定あるの……」


    「あ、そうなんだ。大丈夫、気にしないでっ!麗香ちゃんは生徒会?」


    「うん、そうなんだ。ごめんなさいね」


    「くそー、皆して私をのけ者に〜」


    「まあまあ、今度一緒に行ってあげるから」


    「……泣かない、の」


    「は〜い……グスン」
  8. 8 : : 2016/04/16(土) 16:06:31
    【生徒会室】


    「それでは、生徒会を始めます。体育祭、また、夏休みに向けて仕事がたくさんあるので、よろしくお願いします」


    会長の説明があらかた終了し、仕事に入る。二年書記である僕の仕事は、主に雑務や書類処理が仕事だが。


    「久保君、この資料もお願い」


    「了解、黒上さん」


    そういって資料を受けとる。これは、体育祭の競技についての申請だろうか?



    そんなこんなで仕事をし、1時間ほどたった頃。予期せぬ訪問者が訪れた。


    ドアがノックされ、生徒が入ってくる。たぶん一年生だ。


    「あの〜……」


    「あら、お客さん?珍しい」


    そう言い、会長が近づく。


    「どうしたの?」


    「あの、実は、頼み事がありまして……」


    「あら、そうなの?まあ、とりあえず座ってお話を聞くわ」


    そう言われ、彼は椅子に座る。



    彼の名前は新月 神呰(しんげつかみし)というらしい。どっかで聞いたことのあるような名前だけど……。


    彼からの頼み事は探し物らしい。とある、ペンダントを探してほしいらしいのだ。


    「なるほど、話はわかったわ。でも、生徒会は別に頼み事を聞くところではないのよ?」


    そう、たしかにそうだ。生徒会とは本来、生徒代表として学校に貢献するためにあるのであって、頼み事を聞くようなところではない。


    「それはわかってますが、その、どうしてもお願いできませんか?……」


    そう言われ、会長が目をつぶる。会長は、何かを考えるときはよく目をつぶる。それを知っているからか、皆は黙って会長の言葉を待った。


    しばらくして……


    「わかったわ、生徒会なんだもの。生徒のお願いくらい聞かなきゃね」


    どうやら受けるらしい。ということは、生徒会役員は全員参加ということになるだろう。


    「ところで、そのペンダントってどの辺を探せばいいのかしら?」


    「あの、それが、その……」






    「呰神山、なんですよね……」
  9. 9 : : 2016/04/16(土) 16:09:34
    【とあるファミレス店】

    「はぁ〜〜、使った使った」


    「いや、ゲーセンで1万って使いすぎだからね?」



    「いいだろ別に、俺の勝手だ」


    現在、憲二とファミレスにいる。ゲーセンで憲二は1万円ほど使ったらしい。普通に使いすぎだろ。


    「にしても、腹減ったな。今何時だ?」


    スマホで時間を確認する。


    「ん?えっとね……今7時半だよ」


    「お、結構いい時間だな」


    「だね、結構遊んでたし」


    そんな雑談を交えながら、さりげなくスマホに目をやる。
    ん?久保から着信がきてる。ゲーセンにいたせいで気付かなかったのかな?


    「おい蓮、どうした?」


    「あ、いや、ちょっとね。久保から着信がきてたんだ」


    「電話してみればいいじゃねえか」


    「うん、そうするよ」


    そういって、電話帳から久保の番号を探す。
    何度かコールが鳴った後、久保が電話に出た。


    「あ、もしもし?久保?」


    『藤井君?大変なんだっ!!』


    「落ち着いて、どうしたの!?」


    『と、とにかく、僕の家に来てくれないか!!』


    「え、う、うん、わかった」


    そういった後、電話はすぐにきれてしまった。
    久保、どうしたんだろ。ずいぶん焦っていたみたいだけど……。


    「蓮、どうした。久保がなんか言ってたのか?」


    「うん、なんかスッゴク焦ってて……。すぐ家に来てほしいんだって」


    「マジかよ、今頼んだもんきたのに」


    「しょうがないよ、早く食べて行こ」


    それを言い終わるが早いか、僕と憲二は注文したものを即座にたいらげていく。
    早食いって、案外辛いよね……。


    食べ終わり、会計を済ませ、久保の家に向かった。
  10. 10 : : 2016/04/16(土) 16:10:37
    「二人とも、やっときてくれたね」


    「ああ、メシ食ってたからな。で、急用ってなんだ?」


    「うん、その事なんだけど……」


    久保は、焦りを隠せない様子だった。それでも、なんとか状況を説明してくれた。


    久保の話を要約するとこうだ。


    放課後、4時過ぎごろに生徒会に訪問者がいたそうだ。新月神呰。聞いたことのない名前だった。一年生だそうだ。


    彼は生徒会に依頼をしにきた。物探しらしい。
    場所は呰神山。


    実は新月とかいうやつはクラスのやつにいじめられてたらしい。ペンダントを盗られて、山のどっかに隠されてしまったそうだ。彼らは『落とした』と言っているらしいのだが。


    「なるほど、話はわかった。だが、なんでそんなに慌ててんだ?」


    「うん、それなんだけど……。実はね、会長達が今すぐ行くっていって呰神山に行っちゃったんだけど……帰ってこないんだよ」


    「帰ってこない?会長達が?」


    「うん、もう2時間くらいね。電話も電源が入ってませんってなるし」


    「確かに、それはちょっとおかしいな。だが、あいつらも子供じゃなし、自分の家くらいには帰れんだろ」


    「それはそうだけど、ちょっと心配じゃないか」


    確かに、2時間も帰ってこないのはそこまでおかしいことはない。ご飯もついでに食べてる可能性だってあるし。でも、誰も電話にでないのは少しおかしいかもしれない。



    「とにかく、正しい判断として明日まで待ってみるのはどう?もう8時過ぎだし、明日も帰ってこないようだったらまた考えようよ」


    「ああ、それが一番適切かもな」


    「うん、じゃあそういうことで。久保もそれでいいね?」


    「う、うん」


    そうして、久保はあんまり納得していないようだったが、渋々承諾してくれた。


    その後、憲二と別れ、家にかえった。


    家には妹がもう帰ってきていたが、両親は帰っていないようだった。


    確かに少し心配だが、明日にでも結果がわかる。明日のことは、また明日考えよう。


    そんなことを考えながら、心地よい眠りについた。






    …………やべ、お風呂入ってねえや。
  11. 11 : : 2016/04/16(土) 16:13:06
    アニメなんかで、主役はよく遅れてくるもの。それがセオリーだ。


    つまり、僕が遅れてきてもなんら問題がないわけだ。僕、一応主人公ですし?


    ……わかってます、わかってますよ。遅刻したんですよ。


    「……ということ、って、藤井君ちゃんと聞いてる?」


    「え、はい、聞いてますよ?ヒーローは遅れてくるって話ですよね?」


    「え?いや、そんな話はしてないんだけど……」


    なんだ、違ったのか。てっきりヒーロー的な感じで許してくれるのかと思った。


    「いーい、今日という今日は許しませんからねっ!ちゃんと聞いてる?」


    さっきから説教をしているのは、担任件数学科目の静岡(しずおか)先生だ。温厚で天然の入った先生だ。正直、嫌いではないが頼りになるかわ微妙だが……。


    「あのー先生?とりあえず、お昼食べません?お腹が空いてはなんとやらといいますし」


    「あ、そうですね、私もお腹すきましたし……って、誤魔化されませんよっ」


    ちっ、思ったよりしぶといな。



    「というか先生、なんで今日赤山さんと千浪来てないんですか?」


    「話を反らさないのっ」


    そう、今日は何故か赤山さんも千浪も学校に来ていない。
    それどころか、案の定というか、予想外というか、黒上さんの姿もなかった。


    「赤山さんの家には連絡がつかなくて、千浪さんの家に連絡したら、昨日帰ってきてないらしいのよ」


    「………は?」


    なん、だと?……。今、この天然教師なんて言った?……


    千浪が昨日から帰ってない?……。


    なんか、すげー嫌な予感がする。


    「おいっ!静岡女史っ!!千浪が昨日から帰ってないとはどういうことだっ!!!!」


    「ひっ、ちょ、ちょっと須藤君、怒鳴らないでください……」


    怒鳴り混んで来たのは悪友の憲二だ。なにやら血相変えてるが……


    「あ、ああ、悪い。だが、さっきから千浪と連絡がとれねえんだよ。しかも、今昨日から帰ってないっていってるし」


    そう言うと、憲二が僕の方を見て


    「蓮、これってまさかさ……」


    ああ、そのまさかだろう。







    赤山さんと千浪も、生徒会の人達と呰神山に行っている?






    「おい久保、あの二人も呰神山に行ったのかっ!?」


    「……実はね、行く途中に二人に会って、一緒に行ったらしいんだ」


    「なんだとぉ!?」


    これはまずい生徒会の人達だけじゃなく、二人まで呰神山に行ってるとは。

    「あ、あの、三人とも?生徒会だとか二人がどうとか、どういうことですか?」
  12. 12 : : 2016/04/16(土) 16:14:15
    「実は、ですね……」


    久保が静岡先生に現在の状況を伝えた。依頼のこと。呰神山に向かったこと。昨日から帰ってないことを。


    「そう、ですか……。」


    あの、温厚で天然の入った先生が、珍しく真面目な顔をしている。


    「3人とも、もう授業が始まります。ですが、少々急用なので、一緒に生徒指導室に来てください」


    僕と憲二と久保は、無言で承諾した。


    ところ変わって、生徒指導室。


    今は他は授業中なので、邪魔されることもないだろう。


    「それで、生徒会のメンバーと、赤山さん、岩浪さんが呰神山に行ったんですね」


    「はい、そうです。実に情けない話ですが」


    そう先生の問に、久保が悔しそうに答える。久保だって生徒会の役員だ。それなのに、止められなかった自分が悔しいのだろう。


    ……ん?ちょっとまてよ?


    なんで、久保は同じ生徒会なのに呰神山に行ってないんだ??


    それを疑問に思っていると、


    「おい久保、ていうか、なんでお前は呰神山に行ってないんだ?」


    憲二がかわりに聞いてくれた。


    「え、ああ、うん。実は呰神山は異性と行ってはいけない。という噂があるらしいんだ」


    「異性と行ってはいけない?なんだそりゃ」


    「うん、詳しいことはあまり知らないんだけど。その噂を新月君に指摘されて、会長含む、三年書記、二年副会長(黒上 麗香)、一年書記が4人で行ったんだ」


    「そんな噂信じたのか?」


    「でも、確かに先生達の間でも、そんな話をしていたような……」


    なるほど、つまり呰神山には異性で行けないから会長達含む女子達で行ったのか。赤山さんと千浪もいたならよりそうするだろう。


    「くそっ、らちがあかねえ。とりあえず、首謀者を捕まえて、知ってること全部はかせっかっ!」


    「首謀者?」


    「新月 神呰に決まってんだろ。あいつなら、少なくとも俺らよりは呰神山に詳しいだろうが」


    はたしてそうだろうか?まあ、悩んでても仕方ないのは確かだ。ここでじっとしているよりは、何かしら行動を起こした方がいいかもしれない。


    「ということだ。静岡女史は、警察に電話しろ。呰神山のことは隠してだ」


    「わ、わかりました……」


    「じゃあ、僕と憲二と久保は一年生の教室に。新月君を探しにいこう」



    ということになり、先生は早急に職員室に向かった。


    そして、2階にある一年生の教室に向かうことにした。
  13. 13 : : 2016/04/16(土) 16:17:36
    この学校は、一階には職員室、二階には一年生、三階は二年生、三年生は四階という造りになっている。
    なんで職員室が一階にあるのかは僕もよくしらないんだけど……


    目的地である一年生の教室の前についた。
    そしたら、いきなり憲二が


    「おらぁ!!、新月ってやつはどいつだっ」


    いや、授業中なんだからせめてノックくらいしようよ……。


    「ひっ、あ、あなたたち何ですかっ」


    あーほら、先生ちょっと引き気味じゃん。


    「授業中にすみません、実はこのクラスにいる新月 神呰君に用がありまして」


    ほら、こういうのだよ。普通こういう体様が正しいんだよ。


    「は、はあ、新月君ならあそこに……」


    そういって、教師の指差した方向を見る。


    しかし、その席には誰も座っておらず、変わりに後ろの扉が勢いよく開き、誰かが出ていった。


    くそっ、逃げたかっ!!


    「あ、おい、お前ちょっとまてっ!!」


    憲二が、言うが早いか直ぐに教室を飛び出して行ってしまった。


    しょうがない、僕もすぐに追いかけよう。


    「久保、悪いけどここ頼める?」


    「うん、了解した。早く追いかけてくれ」


    そういうと、僕もすぐに憲二と逃亡者を追いかけた。



    「すみません先生、授業中にお邪魔してしまって。しかし、少々緊急事態なので、新月君をお借りしますね」


    「は、はい、わかりました……」



    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    「くそっ、あいつ逃げ足はええな」


    憲二が隣でそう嘆いてた。確かに、僕も憲二も運動は苦手ではない。にも関わらず、新月君は僕らから逃げている。しかも、そうとうな速さで。運動部なんだろうか?


    「これじゃらちがあかねえ、おい蓮お前は先回りしろ。挟み撃ちにする」


    「了解っ!」


    そういうと僕は道をそれ、近道をする。確かこのままいくと校舎入口辺りになるだろう。
    その辺にいけば、多分挟み撃ちにできる。


    そう結論づけ、僕は校舎入口に向かった。





    「おら蓮、そっち行ったぞっ!!」


    「わかってるって、もう、新月君話するだけだから止まってよっ!!」


    校舎入口辺りで、新月君を逃してしまった僕らは、現在校舎裏で逃走劇を繰り広げている。
    くそっ、本当にすばしっこいっ!!


    そんなことをしていると、僕の電話がバイブした。


    もう、こんなときにっ!!
    しょうがなくスマホをみてみると、久保からだった。


    久保
    『窓下に誘導してくれ』


    ん?窓下?
    そう思いながら、窓の方を見ると、そこには久保がいた。


    「憲二っ!!」


    「よしきた、任せろっ」


    そういうと、新月君を外側から窓の方に追いやった。


    そして、僕は反対側からっ!!


    「くそっ、しつこいなもうっ!!」



    それを言い終わった瞬間、窓から落ちてきた久保によって、新月君を捕まえた。
  14. 14 : : 2016/04/16(土) 16:20:58
    ところ変わって、またまた生徒指導室。


    向かい合ったソファーの片方に静岡先生。反対側には右から久保・新月君・僕の順番に座っている。憲二は僕の後ろ辺りで立っている。


    「それで新月君。生徒会にペンダントを探してほしいと依頼したのは本当なんですね?」


    「……はい」


    「実はですね、そのペンダントを探しに呰神山に行った人達が誰も帰ってきていないの。新月君はなにか知ってるかしら?」


    「……なにも、知りません」


    「どぼけてんじゃねえぞっ!!てめぇ、あそこが危険な場所だって知ってたうえで生徒会に相談したんだろうがっ!!」


    「た、確かに僕は依頼しました。ですが、あそこは危険な場所だって皆言っていたので、一人では危ないと思ったんです。でも僕、一緒に行くような友達もいなくて……。だから生徒会に相談したんです」


    まあ確かに、あんなところに一人で行くのは危険かもしれない。でも、それ以前に僕と憲二は思う。


    「てめぇの事情なんか知るかぁ!!てめぇな、もし千浪になんかあったらただじゃすまねえぞっ!!!!」



    「お前は千浪の彼氏かってんだ。いったん落ち着きなよ憲二。そんなんだったら話もできないじゃないか」


    そういうと、憲二も少し冷静になったのか口を閉じる。


    「さて、新月君。僕は君の気持ちわかるよ。いじめられてて、それで自分のペンダントをあんな場所に置いてこられちゃったら、誰だって混乱する。それに、誰にも助けてもらえないなら生徒会に相談するのもわかるよ」


    そう、わかる。当たり前のことなんだ。本当に混乱したときは誰かに助けを求めるって。


    でも、でもね新月君。


    「でもね、新月君。だからといって……」





    「てめぇなんで赤山さんまで巻き込んどるんじゃこらぁぁぁぁ!!!!」





    「おい、蓮!?お前さっき自分で落ち着けって言ってなかったか!?」


    おっとまずい、とりみだした。
    落ち着け落ち着け。


    「コホン、とりあえずね、誰も帰ってきていないんだ。だから、なにか知ってるなら教えてもらおうと思ったんだけど、知らないならしょうがないね」


    「は、はい、すみません……」


    「うーん、しかし困ったな。こうなったらもう打つ手なしだ」


    「いいや久保、まだ手はあるよ。ね?憲二」


    「ああ、それしかないな」


    「ふ、藤井君に須藤君?他に手ってなんですか?」


    「あん?そんなの決まってんじゃないですか」





    「「呰神山に行くに決まってんだろ(でしょ)っ!!」」
  15. 15 : : 2016/04/16(土) 21:42:27

    「ほ、本気ですか?あ、危ないですよ、生徒だけではっ」


    「平気ですよ、静岡先生。3人ですし、ちょっと行って帰ってくるだけですし」


    「そうだぜ、別に問題ないだろ」


    「し、しかし、やはり生徒だけでは教師として行かせるわけには……」


    そういって、静岡先生が渋っていた。
    別に行ってもいいだろ、本当に連れて帰ってくるだけなんだから。


    でも、それじゃあ許可してくれなさそうだし、どうしようかな~……。


    「それでしたら先生、僕らが今日の夕方までに帰ってこなかったら警察に連絡してください。生徒会の皆さんを見つけても見つけなくても、6時頃に一度連絡しますので」


    そう久保が説得し始めた。


    僕らは、一応これ以上ない真剣な顔で静岡先生をみつめた。


    すると、静岡先生が小さくため息をついた。


    「……わかりました。ただし、絶対に無茶はしないでくださいね」


    「わかりました、では、僕らは早退ということでお願いします」


    「わかりました。皆さん、頑張ってくださいね」


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    さて、僕らは一旦それぞれの家に帰って、準備してくるということになった。
    準備して、駅に集合だ。


    「うーんと、なにが必要だろう。とりあえず動きやすい服装と靴、あとは軍手とかロープとかかな?後はカッターと懐中電灯と……」


    そんなこんなで、呰神山に行く支度をして、家を出た。


    駅に着くと、もう二人ともいた。


    「おせーぞ蓮、いそげ」


    「わかってるって、まったく」


    「そういえば、腹減ったな……」


    「うーん、そういえばお昼食べてないしね」


    電車に乗りながら、憲二の嘆きに僕は応えた。


    「なら、向こうについたら軽食をとろうよ。今から山に登るんだからたくさん食べるのはよくないけど、軽くは食べないといけないしね」


    「そーだな、そうしようぜ」



    目的の駅についた。ここから少し行ったところに呰神山がある。


    その前に腹ごしらえをしないと。すっごくお腹すいた。


    「さて、とりま昼飯だな。おい蓮、どのラーメン屋行くよ」


    「うーん、この辺あんまり来ないからどんなラーメンがあるのか楽しみだな」


    「……ごめん、ちょっと待って。え、僕さっき軽食って行ったよね?なんでラーメン屋限定なんだい?」


    「あん?そんなの当然だろ。ラーメン食いたいし」


    「そうだよ久保。そんなにガッツリでもないしさ」


    「いや、かなりガッツリだと思うけど……」


    久保が何やら言ってたけど、お腹が空きすぎてあんまり聞いてなかった。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    「そ、想像以上に、ハード、だった……」


    そう言ったっきり、久保はカウンターに突っ伏して動かなくなった。


    憲二がチョイスしたのは、コッテコテでギットギトの油がスープみたいなラーメンだった。
    僕と憲二はすっごく美味しくて、ペロリとたいらげたが、抗体のない久保には厳しかったらしい。


    「おい久保、だらしねーな。これくらい、男子なら余裕だろ」


    「ま、まあ、とりあえず久保を少し休憩させたら呰神山に行こうか」


    なんだろ……先が思いやられる……。
  16. 16 : : 2016/05/02(月) 21:36:27
    少し休憩した後、僕ら3人は問題の呰神山に向かった。


    バスに乗り、目的のバス停でおりた。
    少し歩き、山の麓まで来た。


    【呰神山 麓入口】


    ここは、ちょっと町外れの坂の上。いや、坂の中腹辺りかな。そこを入口として、呰神山がそびえている。


    「よし、着いたな。ここが呰神山か」


    「そのようだね。なんというか、自然の不思議な力がはたらいてそうだね」


    僕ら、呰神山に足を踏み入れた。
    ほんの数歩踏みいっただけで、もうすでに空気が違う気がする。


    呰神山は、他の山とは見た目あんまり違いはないけれど、雰囲気は少し違う気がする。
    ひんやりしていて、マイナスイオンのようなものが頬を伝う。


    「呰神山って、思ってたよりいいところだね。心霊スポットとかいうから、もっと怖いところかとおもったよ」


    「バカか、まだ少ししか来てないだろ。いきなり雰囲気が変わったらどうすんだよ」


    「むっ……まあ、そうだけどさ」



    20分ほど歩いただろうか。
    少し地面がぬかるんできた。


    「あれ……おかしいな。憲二、昨日って雨なんて降ったっけ?」


    「あん?降ってねえと思うが……なんでだ?」


    「いや、昨日……というより、ここ最近雨なんて降ってないのに地面がぬかるんでるからさ」


    「……確かに、少し変だね。この辺に川か、もしくは湖でもあるのかな?」


    「湖はあるらしいけど、こんな入口の方にはないと思うよ?あったとしてももっと奥じゃない?」


    「となると、川か?どこにあんだろうな」


    まあ、そこまで気にすることでもないということで、会話は終った。
  17. 17 : : 2016/05/02(月) 21:37:17
    「……ぬかるんでたのは、これが原因か……」


    そう、今目の前には湖、だろうか。いや、大きな水溜まりと言った方がいいか。


    湖ほどは大きくなく、水溜まりにしてはでかいものがあった。


    「おい、あそこにあんのなんだ?」


    「何かを奉ってるみたいだよ?小さな蔵みたいなやつだね」


    「小さいけれど鳥井もあるし石畳の道……何かを奉ってる、もしくは奉ってた場所だろうね」


    「うん、だね。でも、そこが見事に浸水してるよ。どっかから水が涌き出てるのかな」


    「しかし、これはちょっと厄介だな。あそこに脇道があるが、そこに行くには水ん中歩いてかないけねえぞ」


    確かに……でも、見たところ水深は足首位のところだし。深くても膝下くらいだから平気じゃないかな。


    「しょうがないよ憲二。他に道はないんだから、ここを行こうよ」


    「んなこたぁわかってるよ。ほら、行くぞ」


    憲二はそういうと、水の中をズカズカ進んでいった。その後ろを、僕と久保もついていく。


    そういえば、ここに水があるのに、生徒会の人達はこの道を通っていったのかな?……。でも、ここしか道無かったし、きっと行ったんだろうな。


    大きな水溜まりを抜けて、また暫く歩いていく。


    ちょっと疲れてきたな……。まだ歩くのかぁ。辛い……。

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いろは。

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