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彼女の瞳に映るモノ
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- 1 : 2016/04/16(土) 13:22:51 :
- 少女はただ、幸せになりたかった。
人並みの幸福が欲しかった。
それだけの話。
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- 2 : 2016/04/16(土) 13:32:23 :
- 初めは、かわいらしい子ね。
くらいにしか思っていなかった。
いつからだろう?
彼女を見るたびに胸が苦しくなてしまったのは。
いつからだろう?
彼女のことを考えることが増えたのは。
いつからだろう?
彼女の隣に居続けたいと思うようになったのは。
いつからだろう?
これが恋と知ったのは。
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- 3 : 2016/04/16(土) 13:56:48 :
- 「難しい顔をして考え事ですか?」
そう笑顔で話しかけられるとどうしていいのかわからなくなる。
「なんでもないわ、舞園さん」
だから顔に出ないよう気を付けながらこう答えるのが精いっぱいだった。
「ほんとですか?」
彼女はこちらを見つめながらそういった。
「ええ」
私の返事を聞くと、しばらく黙って見つめてきた。
その瞳を見つめていると何もかも見透かされているような錯覚に陥ってしまいそうになる。
すると、気が済んだのか口を開いた。
「もし、これから先何かあったときは私にそうだんしてくださいね!」
彼女はそういうと手を振りながら去って行った。
それができたら苦労しないのよ...。
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- 4 : 2016/04/16(土) 14:05:39 :
- そう。
彼女にだけは相談することは出来ない。
女の私に恋愛的に好かれていると知ればきっと彼女に引かれてしまうだろうから。
だからできない。
これからも彼女と友達で居続けるには死ぬまで秘密にしておかなければならないい。
「はぁ...」
どうしてこんな感情を知ってしまったのだろう。
これなら恋なんて知らないままでよかったのに。
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- 5 : 2016/04/16(土) 14:17:00 :
- 世界はこんなにも光に満ちているのに、どうして私の心は晴れないのか。
人々はみな何かしら幸せになれるのに、どうして私にはこないのだろう。
どうして女が女に恋をすることも、男が男に恋をすることもいけないのか。
それはいったい誰が決めたのか。
正常とはなんなのか。
一人ひとり正常の定義は違うのだから、ほんとはみんな異常なのではないのか。
いくら考えてもこの問いの答えは出ないだろう。
きっと、この先何百年と考えたとしても答えはでないだろう。
だからこんなことを考えていてもしょうがない。
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- 6 : 2016/04/16(土) 14:29:59 :
- 期待しています
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- 7 : 2016/04/16(土) 14:48:21 :
- >>6直方正典さんありがとうございます!
夕日の差しこむ教室、そこに一人だけでいる彼女はとても儚げできれいでした。
いつも難しそうな顔をしている彼女。
皆は少し怖がっていたりしますが、私は彼女のそんな顔がたまらなく愛おしく感じていました。
だから今日も話しかけます。
いつもと変わらないように意識して。
「難しい顔をして考え事ですか?」
霧切さんはいつものように難しい顔をして、こちらを向いてくれました。
それからたわいのない会話をしているときが一日のうちでもっとも幸せに感じる時でした。
霧切さんにとっては私なんて一クラスメイトという認識でしょう。
でも、それでもいいと思えるんです。
だって、この想いがかなうことなんてないでしょうから。
かなうことのない想いだから私はずっと彼女の友達としてそばにいたいんです。
これは過ぎた願いでしょうか。
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- 8 : 2016/04/16(土) 15:07:15 :
- 世界はこんなにも愛に満ちているのに、私の愛は届くことはないのでしょう。
人は私を異常者と言って蔑み、自分たちこそ正常なのだと、自分たちこそ正義なのだと声高らかにいうことでしょう。
完全な正義も、完全な正常者も存在するはずがないのに。
人は皆正義という名の悪であり、正常という名の異常なのに。
きっと誰もがこのことは分かっているのでしょう。
だけど、だれも口にはしない。
口にすれば今度は自分が標的になってしまうから。
人は皆不安なのでしょう。
だから集団になる。
そしてその集団を維持するために少数派を異常として虐げる。
正義の名のもとに。
だから私はこの気持ちを誰にも打ち明けることはないでしょう。
アイドルを続けられなくなるだけでなく、霧切さんとももう二度と話せなくなるでしょうから。
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- 9 : 2016/04/20(水) 23:03:49 :
- 生まれ変わることが出来たとしてもきっと私は女として生まれることを望むでしょう。
たとえ、またこの気持ちに苦しむことになったとしても。
私は舞園さやかとして、霧切さんを好きになったのですから。
きっとこの思いは間違ってなんていないはずですから。
だけど、一つだけ叶うのであればせめて最期の時には彼女に打ち明けて逝きたいです。
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- 10 : 2016/04/20(水) 23:08:38 :
- もし、もう1度生まれ変わることができるのであれば...なんてことを考えてしまう。
だけどその度に、生まれ変わることができるとしても女として生まれてきたいという結論になる。
きっとまたこんな気持ちを抱いて苦しむんでしょうけど、それでも私は女として生まれてきたい。
たとえ世界に否定されたとしても、拒絶されたとしても、この気持ちに偽りなどないのだから。
あぁ、だけどもし願いが叶うのであれば...彼女と...いえ、舞園さんと2人で過ごしたいかしらね。
無理でしょうけど。
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- 11 : 2016/04/20(水) 23:14:21 :
- 世界はきっと残酷で、少数には生きることも許されていなくて、人々は正義の名の元に弾圧し、その歪んだ快楽に身を委ねる。
あぁ、なんて醜い。
だけれど、その醜さが愛おしくて。
それと同じくらい憎くて。
私の夢見た世界はもっと綺麗なはずだったのに。
現実はあまりにも酷すぎて。
きっと救いなんてこの世には存在しなくて。
私みたいな人種はおとなしく受け入れるしかないのだから。
でも、それがたまらなく心地よい。
願わくば、私の幸福をも受け入れることができるほど世界が温かく包まれますように。
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- 12 : 2016/04/20(水) 23:17:45 :
- きっと救いなんてなくて、私は自分の心を殺し続けるしかないのでしょう。
世界が飽きるまで弾圧に耐えるしかないのでしょう。
でも、だからこそ、願いだけは持ち続けて行こうと思います。
あなたが私に振り向くことが無いとしても、恋が実ることが無いとしても。
それでも願わずにはいられないのです。
あぁ、幸せになりたかったな...。
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- 13 : 2016/05/05(木) 16:17:07 :
- 期待です
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- 14 : 2016/06/10(金) 07:28:30 :
- 面白かったです!次回作も期待しています!
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