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  1. 1 : : 2016/03/01(火) 15:15:42
    http://www.ssnote.net/archives/43620
    こいつの続きです。


    こんな感じの東京喰種もあっていいのかなって感じで書いてます。


    更新頻度は気まぐれです。


    読んでくれたら嬉しいっす(´ー`)
  2. 2 : : 2016/03/01(火) 15:38:23
    期待
  3. 3 : : 2016/03/01(火) 16:23:13
    期待ありです。
    ちょろっと出します。
  4. 4 : : 2016/03/01(火) 16:26:42







    「月山くんと、二人がかりで引き分けたそうだね。全く無茶をする」



    20区、あんていくと言う喫茶店。



    そこで私は、美食家との戦いで負った傷を手当てしていた。



    トーカ「うっせぇ。関係ねぇだろ」



    あのクソグルメ、今度会ったらぶっ殺す。



    「……彼は、ああ見えてこの20区での実力者だ。仕返しなんて、考えないようにね」



    そう、この喫茶店を経営している喰種……芳村が言った。



    トーカ「はいはい、わかりました」



    勿論、このままやられっぱなしでいられるわけがない。



    傷が治ったら、アヤトとあのクソグルメは殺す。



    共喰いだとか言いやがって、気持ち悪い。



    芳村「ところでトーカちゃん、少し相談なんだけど」



    トーカ「何?」



    芳村「学校に、通ってみる気はないかい?」



    トーカ「はぁあ!??」



    芳村「勿論、アヤト君にも伝えてほしい」



    トーカ「学校って、人間が行くところでしょ?有り得ない」



    芳村「まぁ、そうだね。人間に成りきらなきゃならない。でも、そのための振る舞い方は私が教えよう。最低限の知識も身につくまで、私が面倒を見よう」



    トーカ「冗談でしょ?人間なんて、私たち喰種の食料でしかないのに、馴れ合うなんて無理」



    芳村「本当にそうかな。私には人間の友人もいるし、とてもそうは思えない」



    トーカ「……人間なんか、信用出来るわけ無いでしょ。あいつらはいつ、私たちを裏切るかはわからない」



    お父さんは、人間に殺された。



    人間に親しみを持って、努力をして接していたにも関わらず、殺された。



    トーカ「人間はわかってない。自分たちが喰われる側だって事を」



    許さない。



    絶対に、許さない。



    トーカ「私がわからせてやる。人間と喰種、どっちが上なのか」



    芳村「……トーカちゃん、それには一体、何の意味があるんだい?」



    トーカ「あんたには、解るわけない。人間と馴れ合ってばっかいるあんたには」










  5. 5 : : 2016/03/02(水) 15:12:27









    コーヒーだけ飲み終わって、私はあんていくを出た。



    曇り空。



    今にも降り出しそうだった。



    トーカ「(……ったく、めんどくさい)」



    雨に濡れるのは、嫌いだ。



    子供の時、お父さんと暮らしたあの家を追い出されて、アヤトと二人で雨に打たれたときのことを思い出すから。



    私は少し早足に、人間共を避けながら進んだ。



    アヤトは今、私たちの隠れ家にいる。



    あいつは芳村のじいさんが嫌いで、あんていくには行きたがらない。



    まぁ、私も好きってわけじゃないけど。



    どっちかというと、コーヒーを飲みにだけ行ってるってところか。





    「やぁ、霧島さん?」



    トーカ「!……ちっ、月山!」ギロッ



    私の行く手を、美食家が塞いだ。



    待ち伏せされたか。



    月山「この前は、どうも。いやはや、流石は霧島姉弟。僕もあそこまで苦戦するとは思ってなかったよ」



    トーカ「そうだな。こっちもあんたを殺し損ねるとは思ってなかったよ」



    月山「そこで僕は考えた。君たち姉弟を、一人ずつ喰してみようと、ね。このシチュエーション、とてもモデラートだと思わないかい?」



    トーカ「っは!返り討ちにしてやるよ!」ピキピキ



    月山「おや、逃げないんだね。意外と君はイディオットなのかい?」



    トーカ「訳わかんねー事ばっか言ってんじゃ……」ヒュン‥



    羽赫特有の瞬発力を生かし、月山の背後へ。



    トーカ「ねぇ!!!」



    ガギギギィィィン!!!



    殺った……と、思った。



    しかし私の攻撃は、呆気なく月山の甲赫に防がれた。



    月山「君の弟……アヤト君ならまだしも、君が僕に勝てる要素なんて、無いに等しいとこの前の戦いで気づかなかったかい?」



    トーカ「んなもん……」ギリッ‥



    私とアヤトの戦闘能力の差は、大きい。



    そんなこと、いつも一緒にいるんだから知らないわけがない。



    トーカ「知ったこっちゃねぇんだよ!!」



    でも、そこで背を向けられるほど私は、賢くはなかった。



    月山「うん、やっぱり君は……モデラート」ニヤリ














  6. 6 : : 2016/03/03(木) 13:02:27















    ボタタタタタ!



    トーカ「あんの、クソ……グルメ」



    わき腹……肉の抉れた、その部位を抑えて、今私は薄暗い裏路地を歩いていた。



    トーカ「(殺す……ぜってぇぶっ殺す!!)ゲホ、ゲホ!??」ビチャベチャ!!



    ポタ、ポタタ‥



    雨が、降り始めた。



    最悪だ。



    これじゃ、私の匂いが雨で消えてアヤトが探せない。



    トーカ「ちく、しょう……なん、で……っっ!」ドシャア!



    バランス感覚まで痛みのせいで麻痺している私は、文字通り転けた。



    トーカ「いっつ……」



    ザァァァ‥‥



    雨足は、段々と強くなる。



    体温が奪われ、急速に眠気が襲ってきた。



    なんだか、痛みさえも余り感じない。



    トーカ「(お父さん、アヤト……)」



    家族との記憶……幸せだった昔のことを思い浮かべながら、虚ろな目を、閉じた。










  7. 7 : : 2016/03/04(金) 18:02:03









    『ほーらトーカ、あーんして』



    『イヤ!人間の食べ物美味しくないもん!』



    『そんなこと言わないで。ほら、アヤトも』



    『僕もいやだよぉ』



    『二人とも、頼むから食べてよ……』



    『むぅ……どうして人間の食べ物なんて食べなきゃいけないの?』



    『人間と一緒に生きていくためだよ』



    『無理して人間と一緒になんて暮らさなくてもいいのに……』



    『そう言うわけにもいかないよ。彼らに見つからずに暮らすのは、難しいからね』



    『でも……喰種の方が強いのに、どうして人間に合わせないといけないの?』



    『えー……難しいなぁ』



    『ねぇ、どうして?』



    『うーん……僕たちの方が強いから、じゃないかな』



    『え?』



    『どーいうこと?』



    『そうだね……例えば、足の遅い子は、本気で走る足の速い子と一緒には走れないでしょ?でも、足の速い子は、足の遅い子に合わせて、ゆっくり走ってあげられるでしょ?』



    『あ、そっか』



    『でも、食べたくないもん……』



    『そんなこと言わない。トーカだって、あのおばちゃん好きでしょ?』



    『そうだけど……』



    『僕はね、人間が好きなんだよ』



    『そうなの?』



    『うん。勿論、喰種も好きだよ?でもそれと同じくらい、人間も好き。トーカとアヤトにも、お父さんは人間のことを好きになってほしいな』



    『えー!だって、人間と喰種って全然ちがうもん!同じようになんて出来ないもん!』



    『トーカ、同じだよ。僕たちも彼らも同じ、一つの命を大切にしてる。ただ、食べられるものが少し違うだけ』



    大丈夫、きっと人間の中にも、僕たち喰種のことを想ってくれる人は必ず居るんだから。














  8. 8 : : 2016/03/05(土) 13:45:23












    ガッ!!



    トーカ「ぅ……」



    何かが、腹に当たった。



    ちょうど傷口を直撃した気もしたが、痛覚はとうに麻痺していた。



    だからといって、体を動かせるはずもないが。



    「だ、大丈夫ですか?」



    声が聞こえる。



    どうやらさっき、誰かが私に躓いたらしい。



    トーカ「ぁ……ガハッ、ゲハッ!」



    ドボ、ドババ!



    息が詰まり、血の味が口を埋めた。



    盛大に吐血したようだった。



    「ちょ、!?」グイッ!



    そいつは私の肩を掴んで体を揺らした。



    その時、うっすらと開いた眼が、その姿を捉えた。



    「ぐ、喰種……!」



    しまった……。



    致命傷を負って、傷を癒そうと喰種の再生力を全開にしているためか、赫眼の状態だったらしい。



    そして、この反応からして……、



    トーカ「にん、げ……くそ、、れ」



    今の私には、こいつを喰うほどの力すら残ってない。



    今、通報されてCCGの奴らでも出てきやがったら……終わりだ。



    何とかこの場を離れたいが、体が言うことを効かず、少しずつ這うようにしか移動できない。



    トーカ「(情けない……人間に見つかって、まともに逃げる力すら無いなんて)」



    「う、動いちゃダメだ!」



    通報するまでおとなしくしとけとでも言うつもりなのか?



    くそったれ。



    トーカ「ぅ……せ、ぇ」ガクッ



    ちくしょう……力が入んねぇ。



    こんな最後なんて……バカみたいじゃない。



    トーカ「(アヤト……ごめん)」



    お姉ちゃんが、あんたを守るって決めたのに。











    死を、覚悟したときだった。



    呻き声さえあげることも出来ない消えゆく意識の中で、あまりの傷に平衡感覚が狂ってしまったのか、誰かの背に揺られているような感覚を私は感じた。



    トーカ「(この感じ……覚えてる)」



    お父さんに、おぶられて帰った時と同じだ。



    ほんのりと感じられる温もり。



    心地良いこの揺れ。



    とても、安心する。



    昔、アヤトと遊び疲れた私は、お父さんの背が気持ちよくて眠りについてしまった。



    その時に、とてもよく似ている。



    トーカ「(嬉しい……お父さんの背で、眠りにつけるなんて)」



    私は、何かの錯覚であろうそれに身を預け、眠りに落ちるように穏やかに、意識を沈めた。
















  9. 9 : : 2016/03/05(土) 14:22:27















    ジャー、キュッ、カチャカチャ‥‥



    トーカ「(何の……音?)」



    目が、覚めた。



    ここは……?



    あれ、私はどうして寝てたんだっけ……?



    トーカ「(……月山ッ!)」



    そうだ、私は寝てたんじゃない。



    気を失ってしまっていたんだ。



    致命傷を負って、それから……人間!



    トーカ「(じゃあここは……収容所?)」



    コクリアと言う、CCGの管理する喰種専用の監獄。



    そこのベッドだろうか。



    トーカ「(……クソッ!)」グッ



    トーカ「いッッ!??」



    わき腹に、痛みが走った。



    手をやると、包帯が巻いてある。



    血が滲んで、回復はうまく出来ていないらしい。



    ガラガラ!



    唐突に、引き戸が開かれた。



    「!……良かった、目が覚めたんだね」



    そこに立っていたのは……喰種?



    いや、この匂いは……、



    トーカ「に、人間……!」



    それも、見覚えがある。



    裏路地で、私に躓いた奴だ。



    「その様子だと……傷、まだ治ってないんだね」



    トーカ「……」



    こいつが私をここへ?



    その前に、ここは本当にコクリアか?



    見渡すと、部屋には机、その上には山済みにされた本、他にも衣装ダンスに窓まである。



    到底、喰種を閉じこめておくための監獄とは思えない。



    「そんなに警戒しないで。仮にも喰種でしょ?」



    こいつ、やっぱり私が喰種だと気づいて……。



    でも、だからこそ余計に分からない。



    トーカ「……ここは何処?答えろ人間」ピキピキ



    「待って、怒らないで。僕の家だよ」



    トーカ「は?なんで私を……あんたの目的は何?」



    「目的も何も……助けただけだよ」



    何なんだ、この人間は。



    助ける?



    人間が、喰種の私を?



    有り得ない。



    どうせ、CCGに売るつもりだろう。



    トーカ「(その前に、こいつを殺す!!)」ピキピキ!!



    「だ、ダメだよ!赫根を出さないで!!」



    トーカ「ふん、あんたの言う通りにするとでも……ぐ、ヴッッ!??」ゲホッゲホ!!



    ドババ!!



    盛大に、口から血が吹き出た。



    「ッッバカ!!傷の回復に体が専念してるのに、赫根何て出したらそうなるに決まってるだろ!」



    温厚そうだった人間……その男は、真剣な眼差しでそう言った。



    「早く横になって、目を瞑って、落ち着いて深呼吸をして。そうすればまた、楽になるはずだから」



    そっと私に触れ、ゆっくり、いたわるようにベッドへ寝かせてくれた。



    傷はまた開いたのか、包帯から血が染み出し、ベッドにまで滲んでいった。



    「僕は喰種を憎むとか、殺したいとか思わない。信じてもらえないかもしれないけど、今は僕の言う通りにして」



    何なんだよ、この人間。



    何が目的で私なんか……喰種なんか助ける?



    トーカ「触んな、ぶっ殺す……ぞ」



    「はいはい後でね。とにかく寝て傷を治して」



    意味がわかんねーよ、こいつ。



    調子が狂うっつうの。



    トーカ「(……くそ、たれ)」



    いらいらする気持ちとは裏腹に、睡魔が襲ってくる。



    体が傷を治すのに専念するための反応なのか、この人間が私に何かしたのか……。



    ……それにしても、ベッドで寝るなんていつ振りだろう。



    フカフカで、肌触りがよくて、心地良い。



    この匂いも、なんだか安心する。



    この暖かさが、気持ちいい。



    「……おやすみ」



    眠りに墜ちていくのは、それほど難しい事じゃなかった。













  10. 10 : : 2016/03/06(日) 16:22:25

















    次に目が覚めたとき、あの人間は居なかった。



    今は夜明け……いや、夕方か?



    どちらかなのか定かではない。



    恐る恐る、体を起こしてみると、じんじんと刺すような痛みがあるものの、何とか起き上がれた。



    見てみると、ベッドの脇に布団が敷かれていた。



    その掛け布団には、何か大きなシミが付いていた。



    赤黒いそれがなんなのかすぐに気づいた。



    前回、私が吐いた血だ。



    どうやら、洗濯しても完全には落ちなかったらしい。



    私の使っている掛け布団は真新しいものにも変わっていたし、確かだろう。



    その布団の横には、小さなテーブルがあった。



    その上にはコーヒーと、何か書かれた紙が置いてあった。



    『きずがなおってたら、でていってくれてかまいません。かぎはあけてます。きずがなおってなかったら、ねててください。くらくなるころに、かえります。』



    ひらがなで、丁寧で読みやすい活字だった。



    トーカ「……変な奴だ」



    と、何の気なしにコーヒーを手にとって口に運んだ。



    ……美味しい。



    私が作るよりも明らかに、美味しかった。



    あの人間は、コーヒーをよく作っていたのだろうか。



    トーカ「(まぁ、どうでもいい。さっさとここを……)ブホッ!??」



    しまった……まだ傷が完全に癒えてなかった。



    体を起こすべきじゃなかったんだ。



    まだわき腹の欠損した細胞を、補い切れてない。



    トーカ「フーッ、フーッ!!」ギリリ!!



    口に、何度目かも分からない、血の固まりがせり上がってくる。



    わき腹にはまた血が滲みだしている。



    ガチャ。



    トーカ「!……帰って、きた」ポタタ‥



    口の端から、血が頬を伝い落ちていった。



    「……!!な、どうしたの!?」



    トーカ「し、るか……」



    いや……わかってる。



    多分、普通なら死んでいたんだろう。



    それだけの深い傷だったという事だ。



    私の治癒力じゃ、とうてい補えないものだったと言うだけのこと。



    「くそッ!!どうすれば……」



    トーカ「っはは、どうすれば……?」



    でも、一つだけ方法がある。



    トーカ「教えてやるよ、助かる……方法」



    でも、全く持って現実的じゃない手段。



    今の私だからこそ、出来ないこと。



    トーカ「あんたを……喰う!」ピキピキ



    「!!!?」



    トーカ「ヴッッ!!」ドバババ!!


    やっぱり、ダメだ。



    喰えない。



    今の私の力じゃ、この人間でさえ簡単に押さえ込んでしまうだろう。



    こうやって、力むと血を吐いてしまったのがその証拠。



    トーカ「(ちく、しょう……)」









    「……いいよ」












  11. 11 : : 2016/03/06(日) 20:48:26
    きたい
  12. 12 : : 2016/03/07(月) 09:40:35
    久しぶりのコメントだー(泣)

    期待ありがとですやる気出ました(´ー`)
  13. 13 : : 2016/03/07(月) 15:20:37









    トーカ「……?」



    今、こいつは何て言った?



    いいよって、言ったのか?



    自分を喰う事を、許可したのか?



    信じられず、私の血を浴びて真っ赤になったその人間に目をやった。



    ポタ、ポタ……。



    トーカ「は……?」



    涙を、流していた。



    「そうだね……そうすれば、助かる」



    意味が分からなかった。



    何故、泣いている?



    「ごめんね……ごめん」



    何故、謝る?



    「僕は、卑怯だ」



    わからない。



    なんなんだよ、この人間は。



    「知ってたんだ。僕を喰えば、君が助かるなんてこと」



    トーカ「……んだよ、お前」



    「怖かったんだよ……怖いって、思っちゃったんだよ」



    何が、怖いのだろう。



    私のことか?



    喰種を、怖いと言っているのか?



    「死ぬのが……怖かったんだ」



    その一言を言って、人間は涙を拭った。



    「でも、もういいんだ」グイッ!



    トーカ「!??」



    人間……彼は、私の顔を自分の首筋に近づけて、言った。



    「ごめんね……出会ったとき、すぐにこうしてあげれば良かった。痛かった……辛かったよね」



    何を言ってるんだこいつは。



    コレじゃあまるで、喰種の私を……、



    「喰いなよ……生きて、いいから」



    トーカ「!!」










  14. 14 : : 2016/03/07(月) 16:41:30

















    この人間は、私にすぐ自分を喰わせなかったことに対して、泣いていたのか?



    この人間は、自分の命ほしさのために、すぐに行動に移さなかったことに対して、卑怯だと言ったのか?



    私を……喰種を助けるために、自分の命を捨てる覚悟が、今出来たというのか?



    私の頭に触れているこいつの手は、震えていた。



    小刻みに、怯えるように。



    きっと、まだ怖いからだろう。



    でも、それでもこの手は、私を拒絶しようと動きはしない。



    私の頭を抱くように、その手にはしっかりと、力が込められていた。



    私を……受け入れてくれている。



    トーカ「……くッ!」ギリリリリリ!!!



    私は、歯を食いしばった。



    喰らえとうるさい本能に、対抗するために。



    唇を紡ぐようにしたために、歯が食い込み血が流れた。



    トーカ「(ダメだ、喰うな、喰うな、喰うな喰うな喰うな喰うな!!!!)」



    こいつは、私を喰種と知った上で、生かそうとしてくれている。



    私を、一つの命として、助けようとしてくれている。



    人間であるこいつは、喰種の私を受け入れている。



    お父さんと一緒だ。



    人と喰種……この二つを同じに考えてる。



    ただの一つの命として、平等に見ている。



    「さぁ、早く……」



    トーカ「うっ、、さい。離れ、ろ……」グ‥



    力の入らない手で、精一杯、その胸を押す。



    「え……?」



    戸惑いつつも、彼は、私の力に逆らうことはしなかった。



    トーカ「喰いたく……ない」



    あんたは、お父さんと同じだ。



    私の大好きだった、お父さんと同じだ。



    そんな人を、喰えるわけがない。



    殺せるわけがない。



    もし、喰ってしまえば私は……私を、殺したくなるから。



    「で、でもそれじゃあ君が……」「あんた……名前、何?」



    「え……な、名前?」



    トーカ「そう……おし、、えろ」



    「……か、金木、、」



    トーカ「カネキ、私は……」















  15. 15 : : 2016/03/10(木) 16:01:44











    言いかけた、その時だった。



    ガッシャァァアアア!!!!!



    金木「なッ!???」バッ!



    部屋にあった窓ガラスが、割れた。



    彼は……カネキは、とっさに私を抱き抱え、ガラスの破片から守ってくれた。



    「クソ姉貴、ここに居んのか?」



    トーカ「(アヤト……!!)」



    声で分かる。



    毎日聞いてる、弟の声を、間違うはずがなかった。



    アヤト「!……てめぇ、何やってんだよ?」ピキキキ‥



    私の弟……アヤトは、明らかな殺意を、カネキに向けた。



    トーカ「ぁ……、カネ、キ、、逃げ」ドガッ!!!



    ガァン!、ガシャガシャガシャン!!!!



    私が言うよりも早く、アヤトはカネキをキッチンの方へ蹴り飛ばした。



    アヤト「てめぇ、姉貴に何かしたのか?」ピシピシピシ‥



    私とカネキの間に、割って入るように立ったアヤトは、その両肩から赫根を発現させた。



    トーカ「(ダメ、やめろ……)ぁ、やと……」



    弱り切っているせいか、うまく声がでない。



    ……でも、止めなければ。



    トーカ「(やめろアヤト、殺すな、その人間だけは……カネキだけは、やめろ!!!)」



    アヤトの赫根は、結晶のような、とても鋭利なものを無数に突き出している。



    羽赫が得意とする、遠距離攻撃。



    アヤト「……殺す」



    殺気が、室内を満たした瞬間だった。



    トーカ「やめろ、バカアヤト!!!!!!」



    アヤト「!……あ?」



    トーカ「ヴッ!??」ドパァ!!!



    喉が、切れたらしい。



    うまく呼吸が出来ない。



    気を失いそうなほどの痛みが襲う。



    わき腹からも、ドクドクと、血が流れ出てきた。



    血も足りてないらしく、思考も働かない。



    それでも、今気を失うわけには……。



    トーカ「(ダメだ……カネキを、殺すな……)」



    アヤト「トーカ、その傷……」



    ドン、ドンドン!!カネキサン、サッキノオトハナンデスカ!??カネキサン!!!!



    アヤト「!……ちっ、もたもたしてらんねぇ。行くぞ」グイッ!



    アヤトは、私を担いでその部屋の窓から跳んだ。



    一軒家の屋根から屋根へ、飛び移っていく。



    トーカ「(カネキは……無事、だよな)」



    さっき、人間が気づいてきていた。



    多分すぐに見つかって、治療を受けるだろう。



    だからきっと大丈夫。



    ……大丈夫。



    そして私は、ゆっくりと目を閉じた。









  16. 16 : : 2016/03/11(金) 15:45:01










    芳村「全く、次は姉弟喧嘩とは……」



    トーカ「……うっせ」ズズズ‥



    包帯、絆創膏だらけの私は、あんていくでコーヒーを飲んでいる。



    芳村「……アヤト君は、20区を離れたそうだね」



    トーカ「あんな奴のことなんか、知らねぇ」





    アヤト『どけよトーカ。今ならまだあの人間を殺すだけで済む』



    トーカ『行かせないって言ってんの。絶対に』ピキキ‥



    アヤト『まさか、あの人間に……って、んなわけねーか。何吹き込まれたか知らねぇが、どかねぇなら……また死ぬ思いするだけだぜ?』ピシピシピシ‥



    トーカ『言ってろ、バカアヤト!!!』





    芳村「トーカちゃんは、行かないのかい?」



    トーカ「は?」



    芳村「アヤト君と」



    トーカ「……いい」



    もう、あいつは私よりも強い。



    私が一緒にいても、足手まといになる。



    トーカ「(アヤトは、強い。死んだりはしない)」



    芳村「……で、トーカちゃん?この前の話、考えてくれたかな?」



    トーカ「学校のこと?」



    芳村「うん。でもその対価として、うちで看板娘として働いてもらうけどね」



    トーカ「しょぼ……」



    学校、か。



    そういえばカネキは、学校に通ってるんだよな。



    年も、私と変わらないくらいだったし。



    トーカ「……ねぇ、人間が好き?」



    芳村さんは、驚いたような、顔をして、そのしわだらけの顔に笑みを浮かべた。



    芳村「ああ、好きだとも」



    トーカ「……ふぅん」



    こうして私は、あんていくで働き、一年後には高校に通うようになった。







  17. 17 : : 2016/03/11(金) 16:30:22









    それから二年間、平穏に時間は過ぎていった。



    初めは苦手だった接客も今ではどうってことはない。



    敬語も覚えた。



    お客さんにしかまともに使わないけど。



    コーヒーの淹れ方も、それなりに上達した。



    店長のようには、なかなか……全く、淹れられる気はしないけど。



    でも、ラテアートには少し自信はある。



    それと、コレは鬱陶しいだけだけど、たまに人から名前を聞かれたり、連絡先を聞かれるようになった。



    まぁ、名前なら別に教えるけど、連絡先は電話番号の最後から二番目の数字を一つズラして教えている。



    普通なら、それで気づいて来なくなるもんなんだけど、この前、性懲りもなくまた来店して来やがった人間がいた。



    適当にこちらの間違いってことにしたけど、次はどうやって撒こうか。



    そう、頭を捻りながら相槌を打っていると、ある名前を耳にした。



    「最近さー、俺大学でぼっちなんだよね」



    トーカ「そうなんですか?お友達とか、たくさん居そうですけど」



    「そうでもないんだよね。昔っから一緒にいた奴が入院しちまってさ」



    トーカ「事故、ですか?」



    「トーカちゃんもテレビで見てない?鉄骨落下事故。ほら、下敷きの女性は即死だったっていうアレ」



    トーカ「少しだけみた気がします」



    「あの事故、もう一人の男子大学生の被害者が、俺が一番仲のいい友達だったってわけ」



    トーカ「その人は、大丈夫なんですか?」



    「確か、来週に退院だったはず」



    トーカ「それは、良かったですね」



    「こいつがまたさ、面白い奴なんだよ」



    トーカ「そうなんですか?」



    一体、いつまで居るつもりなんだろう。



    他にお客さんも居ないからいいものの、そろそろ相手をするのも疲れた。



    「いや、“金木”って奴なんだけどさ」



    トーカ「!!」



    「ん?どうかした?」



    トーカ「あ、いえ……なにも」



    「そっか。でさでさ、こいつバカなんだぜ?この前なんて……」



    カネキ……、確かにそう言った。



    忘れるはずもない、その名前。



    いや、人違いってこともあり得る。



    その可能性の方が大きい。



    同じ名前の人間なんて、いくらでもいる。



    それくらいは分かっている。



    トーカ「ふふっ、……私も、その人にあってみたいです」



    でも、確かめてみたかった。



    少しでも、ほんの少しでも、その可能性があるのなら。



    私は初めて、自分の電話番号を正しくお客さんに伝えた。














  18. 18 : : 2016/03/12(土) 11:35:44










    ドグッ!!!!!



    「ぐ、がぁぁ!???」ズザザザ‥



    西尾錦。



    上井大学に通ってる、尾赫の喰種。



    西尾「んだよてめぇ!ここは俺の喰い場だろうが!!」



    トーカ「うっさい。吠えんな、雑魚」



    西尾「んだとコラァ!!大体、てめぇらあんていくが俺たちの喰い場を勝手に取り決めたんじゃねーか!!何だってこんな所に、てめぇが出てくんだよ!」



    トーカ「あんたには関係ないでしょ」



    西尾「!!……いいぜ、もともとてめぇは気にくわなかったんだ」ピキピキ



    トーカ「ふぅん……で?」



    西尾「俺は、お前みたいな年下にえらっそうにされるのが大ッ嫌いなんだよ……、だからぶっ殺す!!!」



    トーカ「やってみな、クソニシキ!!」ピキキ‥



    ……死なせない。



    あんたは絶対、死なせない。



    今の私があるのは、あんたがいたから。



    あんたが……カネキが、私を救ってくれたから。



    だから、恩返しくらい、勝手にさせてもらうよ。



    私に出来ることは、してやる。



    拒否権は……無い。


















  19. 19 : : 2016/03/12(土) 11:36:56
    今回のスレはここで終わります。


    次のスレもまた立てます。
  20. 20 : : 2016/03/15(火) 00:55:19
    次回作にも期待しております
  21. 21 : : 2016/03/15(火) 08:46:42
    ミタさんお待たせしました(´・_・`)

    次スレhttp://www.ssnote.net/archives/44223です。
  22. 22 : : 2023/07/15(土) 23:14:11
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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