このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
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この作品は執筆を終了しています。
物怪
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- 1 : 2016/01/09(土) 00:48:43 :
- はじめましての人ははじめまして。そうじゃない人もはじめまして。
のんびり更新していくつもりです。
よろしくおねがいします。
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- 2 : 2016/01/09(土) 00:51:08 :
- これは、
どうしようもなく人を愛してしまったモノの、
決して叶わぬ夢を見てしまったモノの、
それでも叶えようとあがき続けたモノの、
運命の話。
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- 3 : 2016/01/09(土) 00:52:01 :
- ◇◆◇
"バケモノ"
彼らはそういって私を、私の存在を消し去ろうとした。
何故?
"お前が醜いから"
私も貴方達も同じなのに
"有り得ない、そんなことがあるはずがない"
そこからはなにも言うことが出来なかった。
手足を縛られ、目を覆われ、口にはなにか濡れている布のようなものを詰め込まれてしまったから。
息が苦しい。
段々と頭がぼんやりとしてきた。
"これで私達は救われる"
何から?私はどうなるの?
"私達は救われる"
どうして私なの?ねぇ、だれか教えてよ!
当然私の口から言葉を発する事は出来ない。
"私達はこれで救われたのだ"
私はただ涙を流すことしか出来なかった。何から救われるのかとか、私がこれからどうなるのかとか、もう考える気力すら残っていなかった。
それからどれくらい進んだのだろうか、突然地面に降ろされた。
"これで大丈夫だ"
そう言い残して彼らは去っていった、私を拘束した状態のまま放置して。
ここは一体どこなのだろうか?
肌に触れる感触だけでは平らですべすべしているということまでしかわからない。
記憶の中を必死に探して今いる場所を特定しようとしたが、私は1度たりともこんな感触の地面がある場所に来たことがないということしかわからなかった。
一体これからどうなるのだろう...
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- 4 : 2016/01/09(土) 00:52:29 :
- ◇◆◇
誰かが歩いてくる足音で目が覚めた。どうやら少し眠っていたらしい。
あれからどれだけの時間が経ったのだろうかわからないが、やはりまだ手足を縛られ口に詰め物をされたままの状態だ。
足音の主がここまで来てくれれば助かるかもしれない...
少しの希望を胸に足音が近づいてくるのをじっと待つ。
すると、その足音の主がなにかを呟いているとこに気がついた。
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- 5 : 2016/01/09(土) 00:53:02 :
- 「今回の 、 、 、 いっ 、 」
「贄は 、この 。」
「しか 、し 、 。」
大部分を聞き取ることが出来なかったが、"贄"という単語だけはハッキリと聞き取ることが出来た。
この場合の贄が誰を指しているかは明らかだった。
そう、私だ。
足音は希望なんかではなかった。
これは絶望の足音だ。
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- 6 : 2016/01/09(土) 00:53:59 :
- きっと村の中から贄を出したくなかったから、離れて暮らしていた私を選んだのだろう。
面識がなければ贄として選んだところで胸が痛むことも無いだろうからな。
ならば、私はこの運命を受け入れよう。
彼等は彼等なりに仲間を守ろうとしたのだから。
私の生涯はここで終わる。
後悔するようなことはなかったのがせめてもの救いか。
あぁ、でも最後になるなら1度でいいから彼らと普通に接したかった。温もりが欲しかった。名前を呼んでほしかった。
その時、足音が止んだ。
きっと私を目の前にして立っているのだろう。
食べられるのは痛いのかな。
それとも痛みを感じる前に意識が飛ぶのかな。
目隠しをしてくれていたのは幸いだった。
自らが食べられる瞬間を見なくて済むのだから。
そうして私の生涯終わった...はずだった。
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- 7 : 2016/01/09(土) 00:54:32 :
- ....おかしい。足音が止んでからだいぶ立つのに私を食べる気配がない。
何故だ。
意味がわからない。
先程の話の通りなら私は贄であるはずなのに。
「これはどういうことなのかしら。」
およそ異形のものの声とは思えないほど綺麗な声が聞こえた。
「そう...これがあの子達の答えなのね。」
あの子達とは村人達だろうか。
それに答え?私を贄として突き出したことだろうか。
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- 8 : 2016/01/09(土) 00:55:11 :
- 「もう大丈夫だからね。」
そう言いながら彼女(と呼んでいいのかわからないが)は私を起き上がらせると目隠し、縄、口の詰め物をとっぱらってくれた。
「....もう目を開けても大丈夫なのよ?」
彼女に食べられるということはないだろうが、どこかで恐怖を感じているのか私は目を開けることができない。
「ぁ...あ、あっ、ぁっ...うぅぁ...」
声も言葉にはならず呻き声になるだけだ。
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- 9 : 2016/01/09(土) 00:57:23 :
- 「大丈夫、大丈夫よ。私はあなたに危害を加えるつもりはないわ。だからね、もう大丈夫よ。」
優しい言い方で言いながら彼女は私を抱きしめた。
あぁ、なんて温かい。
他者の温もりがこんなにも心地好いなんて知りもしなかった。
自然と涙が溢れるが止めようとすればするほどどんどんと湧いてきて、しまいには声を出して泣いてしまった。
彼女はその間もずっと私を抱きしめて背中をさすってくれていた。
そうしたまま随分と長い時間が経ってしまった。
やっと落ち着いた私はゆっくりと目を開け、目の前の光景に絶句した。
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- 10 : 2016/01/09(土) 01:02:39 :
- 私と彼女を中心に血の海が、内蔵が、まだ動いている心臓が、目が、指が爪が、髪が皮膚が脚が腕が歯が肉が血管が骨が首が...首から上がない人が、
「あ、あぁ、ぁっ....」
なに?こレはなニ?血ガ、どうして?
どういうコト?
...ワカラナイ。わからナいワカラないわカらナイ。
そこで私の意識は途切れた。
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- 11 : 2016/01/11(月) 19:26:00 :
- ◇◆◇
いつから存在しているのか、そもそも自分が何なのか、私はなにも知らなかった。
気がつけばここにいて、また気がつけば得体の知れないモノが私のことをこの洞窟に閉じ込めた。
それからいくつ年を数えたかわからない。
その間もずっと自分とは何なのか、私を閉じ込めたモノは一体なんだったのかと考えることに夢中だったから。
前者は未だにわからないが後者は知ることができた。
どうやらあれらのモノはヒトというらしい。
洞窟の外から聞こえてくる話し声などを聞いているうちに彼等の言葉がわかるようになり、そこからヒトということ以外に様々なことを知ることができた。
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- 12 : 2016/01/11(月) 19:32:56 :
- それと、彼等は"カミ"というものを恐れているらしいとういことも知った。
カミは今長い眠りについているが、1度目覚めると怒り狂ってヒトを喰らい、大地を殺し、怒りが鎮まるまで暴れ続けるという。
彼等はずっとずっと昔からいつ自分達が喰らわれるのかと怯えながら生きていた。
そこで彼等はその眠りを永遠のものにしようと考えた。
ヒトがこの先も永遠に繁栄するために。
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- 13 : 2016/01/11(月) 19:37:18 :
- そうしてから幾星霜を経て、彼等はカミの眠りを永遠のものにするための術式を完成させた。
これでやっと彼等は怯えずに生きることができるようになると思い喜んだ。
彼等はその後術式を発動させる前に、この喜びをカタチにする為2日間に渡って小さな祭りを開く。
それが引鉄を引くことになるとも知らずに...
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- 14 : 2016/01/11(月) 19:37:36 :
- 期待している
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- 15 : 2016/01/11(月) 19:39:13 :
- ◇◆◇
「......ん」
気がつくと小さな部屋の中に私はいた。
布団に寝かされている。
「気がついたようね。」
声のした方向を見ると、目以外真っ白な女性が私に微笑みかけていた。
綺麗だ。
透き通るような白さの中に目だけが赤く染まっていて、それが幻想的な雰囲気を醸し出していた。
その時、何故かはわからないが胸が締め付けられた。
そしてどうしようもなく触れてみたくなった。
「珍しい?」
まるで小さな子供を相手にしているような優しい微笑みを浮かべながら彼女が声をかけてきた。
「あっ....その、綺麗...ですね。」
緊張してしまって、それだけ言うのが精一杯だった。
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- 16 : 2016/01/11(月) 19:39:32 :
- >>14
ありがとうございます!
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- 17 : 2016/01/11(月) 19:41:35 :
- 「ありがとう。」
そう言うと、立ち上がり、私が寝かされている布団のすぐそばにやってきた。
「ごめんなさいね、気持ちの悪いものを見せてしまって。」
その言葉で思い出してしまった。
「あ.....ぁあ.....ぅぁ」
頭の中に鮮明に蘇る。
辺り一面に散らばる肉塊、地面を赤黒く染め上げる液体。
「大丈夫よ。大丈夫だから。」
そんな私を優しく包み込んで彼女は言った。
「あれは鬼と呼ばれる者達の食事の跡よ。あなたはそこに居たの。」
もう私の頭はまともに働いておらず、話についていけなかったが彼女は続ける。
「ここには彼等は来ないし、あなたの命を脅かす物もないわ。」
泣きじゃくる私の背中を撫でながら彼女はまだ続ける。
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- 18 : 2016/01/11(月) 19:43:37 :
- 「だからもう大丈夫よ。安心して、私が保証するから。ね?」
すこし落ち着いてきた。
「...ごめんなさい」
「いいのよ。でも、もうすこしだけ横になっていた方がいいかもしれないわね。」
「はい、そうします。」
泣いたせいかすこし疲れてきた。
「なにか食べるものでも作ってくるわね。」
そう言って立ち上がった彼女を見た時に胸が今まで感じたことないほど締め付けられた。
「待って」
無意識のうちに彼女を呼び止めていた。
「何かしら?」
「あっ、いや...その....。」
どのように伝えればいいのかわからなかった。彼女の名前も
「まだ怖いの?」
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- 19 : 2016/01/11(月) 19:45:11 :
- 無言で頷いた。
怖いという感情とはまた違ったもののような気がしていたがよくわからない。
「じゃあ、こうしてあげる。」
そう言うと彼女は私の手を握った。
「こうすると私の温もりが伝わるでしょ?全く怖くなくなるということはないかもしれないけれど、少しはましになるかもしれないから、あなたが眠るまで手を握っているわ。」
握られていると不思議と胸の締め付けがなくなっていき、温かな気持ちになっていった。
「ありがとうございます...」
「気にしないで。ゆっくりおやすみなさい。」
「その前に一つだけ聞いてもいいですか?」
「なにかしら。」
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- 20 : 2016/01/11(月) 19:47:22 :
- 「貴女の名前を教えてください。」
「沙羅よ。あなたは?」
「私は...」
そこで私は気がついた。
名前が思い出せない。
「わた...し...は...?」
それだけではなく、手足を拘束される以前の記憶がすっぽり抜け落ちてしまっていた。
「...ごめんなさい。名前がわかりません。」
「そう...。」
彼女はしばらく私を見つめ
「じゃあノノにしましょうか。」
「ノノ?」
「そうノノ。思い出すまでの仮初の名前よ。」
"ノノ"という名前をくれた。
「ありがとう...沙羅さん。」
鳩尾のすこし上のあたりがあたたかくなったような気がした。
「さんはつけなくていいわ、沙羅って呼んで。あと敬語もいいから。」
「わかりまし...わかったよ、沙羅。」
「よし。じゃあもうおやすみなさい。傍にいるから。」
「ありがとう」
そうして私は眠りについた。
彼女の手を握り、とても温かな気持ちに包まれたまま。
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- 21 : 2016/01/11(月) 19:55:43 :
- はい、一旦ここで区切りです。
物怪 2(仮題)に続きます。
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- 22 : 2016/01/11(月) 20:03:09 :
- お疲れ様です
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- 23 : 2016/01/11(月) 20:16:18 :
- >>22
おつありです!
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- 24 : 2023/07/12(水) 14:57:53 :
- http://www.ssnote.net/archives/90995
●トロのフリーアカウント(^ω^)●
http://www.ssnote.net/archives/90991
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
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16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
ちょっと時間あったから3つだけ作った
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アカウントの譲渡について
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36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
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