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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

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ビルから飛び降りたら幽霊になった。(第一話)

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  1. 1 : : 2015/11/28(土) 17:17:33
    ・思いつき

    ・表現とかに自信ない

    アドバイスとかはグループへ書き込んでくれると助かります。
  2. 2 : : 2015/11/28(土) 17:36:58



    「気持ちいなぁ…」


    中途半端に都会なこの町で、一番大きな建物。

    その大きなビルの屋上に、私は居る。

    思いっきり空気を吸う。

    このまま飛べるほどに軽くなるまで。


    「…ごめんね。男くん…」


    この世界で、最も愛しい人。

    守りたかった人。

    信じられた人。

    彼が居たから、私はここまで生きてこられたのだろう。

    そう思うほどに、私にとっての彼は全てだ。


    「男くんに代わって、私が戦うって言ったのにね」


    彼は、去年の12月…ちょうど今頃に、このビルから飛び降りて自殺した。

    原因は学校でのイジメ、家庭内暴力、教師からの体罰…とにかくたくさんあった。

    でも、私はそれに気づけなかった…一番近くに居たはずなのに。


    「私じゃ、無理だったみたい。…情けないよね」


    本当に、そう。情けない。

    言葉を反芻する。何度も。


    「会いに行っても…いいかな?」


    返ってくるはずのない言葉を呟く。


    「よっと」ガシャン


    屋上の安全用のフェンスを乗り越える。

    ミニカーの並ぶ駐車場をを眺めながら、また大きく空気を吸う。

    冬の空気はとても冷たく、鋭く、私の体を抜けてゆく。

    甘ささえも感じるほどに、新鮮だった。


    「…ごめんね」タンッ


    足が浮く。

    走馬灯のようなものが、頭をかけめぐる。

    地面が近づくのが見える。

    死ぬ寸前で、涙が出てくる。

    意識が消える。


  3. 3 : : 2015/11/28(土) 17:58:03
    ―――――――――――――――――

    ―――――――――


    「…ん、あれ」


    長い時間、眠っていたような気分だ。

    私は…そうだ。ビルから飛び降りたんだっけ。


    「天国…?」


    私の目の前に、血まみれの私が居る。

    つまり、死んだことは確かなのだ。

    でも…。


    「お、女さんが自殺…?!」


    男くんや私を容赦なく殴った、女教師が居る。


    「クズ息子の知り合いが死んだって本当か?」

    「あいつと同じ場所で死ぬなんて…不吉だわ…」


    男くんにろくに食事も与えなかった、毒親も居る。


    「お、女が?」

    「マジで死んだって」

    「俺たちヤバいんじゃ…」

    「私は悪くない…だって見張りだけだったし…私は…」


    私にはレイプまがいのことをした、クラスメイト達も居る。


    天国というのが、幸せに包まれているならば…こいつらは居ないはず。

    何より、男くんが居ない。

    ここは、天国では無い…?


    「じゃあ、私はどうなったって言うのよ…」


    ため息の混ざる独り言をつぶやく。


    「幽霊になったんだ」


    その独り言には、返しがあった。

    会いたかった、愛しき人の声…。


    「男くん…?!」


    私が振り向くと、そこに居たのは男くん…では無く。


    「残念でした。君の会いたい人じゃないよ」


    声のそっくりな、少年が立っていた。

    いや、浮いていた。





  4. 4 : : 2015/11/30(月) 16:12:01


    「わっ、お化け?!」


    思わず後ずさる。


    「ふふ、可笑しいね。君もお化けなのに」


    男くんそっくりの声を持った、同い年くらいの少年。

    男くんと同じくらいの長さの黒髪を肩まで伸ばし、うっすら体が透けている。

    足も、地には着かずふわふわと浮いていた。


    「わ、私がお化け…?」


    冷静になって、私の手のひらを太陽に翳してみる。

    まぶしい。日光が手を通り抜けて、私に降り注ぐ。

    私の体も透けていた。


    「私…幽霊に…」


    足元を見なくても、体が浮いている感覚なのが分かった。

    重力を感じない。


    「そうだよ。この世に未練があったから、君は幽霊になったんだ」


    にっこりと笑う彼は、男くんとは違ったカッコよさがあった。


    「ちょっと待って…あなたは誰なの?」


    「誰?」


    「そうよ。急に私に話しかけて…私の知り合いじゃないと思うけど」


    私が聞く。すると…。


    「君の大好きな、男くんの双子の兄だよ」


    思いもよらない答えが返ってきた。


    「…兄?男くんは双子だったの?」


    「そうだよ。もっとも、僕は生まれてこなかったけどね」


    「どういうこと…?」


    彼の話によると、生まれてくるときに弟である男くんは無事に生まれたが、自分は母親の中で死んだのだと言う。


    「まぁアイツはそんなこと聞かされて無いだろうから、知らないも同然だけど」


    「なるほど…」


    それは分かった。でも、どうして私の元へ…。


    「じゃあ、なんで私のところに来てるの?私の死んだところ見てたの?」


    「あぁ、見てたよ。弟と同じ場所で死ぬなんて、よっぽど弟のことが好きなんだね」


    「な…っ」


    少し私の体温が上がるのが分かった。

    …体は無いけど。


    「そ、それより…どうしてここに来たの?…そういえば、男くんはどこに?」


    「僕はたまたま、君の自殺現場に立ち会わせただけ。故意に来たわけじゃないよ」


    「そう…」


    たまたまって、何だそれ。

    人の死ぬところを見ていて楽しいか…。


    「二つ目の質問ね。弟がどこにいるかって言うと…」


    「…!」
  5. 6 : : 2015/11/30(月) 16:27:14



    ー第二話へと続くー


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著者情報
1290

鬼灯

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