この作品は執筆を終了しています。
代償と引き換えに
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- 1 : 2015/11/16(月) 02:28:46 :
- どうも!あーにゃんです!!
http://www.ssnote.net/users/azusaSft←同一人物です!!
一瞬で終わります。
最後まで読んでいただけると嬉しいです(*´v`)
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- 2 : 2015/11/16(月) 02:29:37 :
- 代償と引き換えに
「逃げろ!蛍!」
黒尾さんのその一言で僕は必死に走った。
と言っても、逃げれる場所は限られていて、取り敢えず鍵のかかる場所…あ、あそこの部屋!
バタン!
ドアを閉めて鍵をかける。不安だったから近くにあった棒でさらに施錠する。
「はーっ…はぁ…はぁ」
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- 3 : 2015/11/16(月) 02:31:31 :
- ー
僕達は旅行に来ていた。が、迷ってしまったんだ。
見ず知らずの場所でウロウロしていたら人の良さそうな老夫婦に声をかけられた。
「みんな、迷ったの?」
僕達は頷いた。
そしたらその夫婦は自分たちの家で少し休んで行きなさい。と言い、僕達はその夫婦の家にあがった。
いつもなら気づくはずだった。
〝おかしい〟
と。しかし、困っていたから、いつもと違ったから。あの時僕が気づいていれば────
夫婦は僕達を今に案内し、お茶と茶菓子を用意してくれた。
黒尾さんと木兎さんはお腹が空いていたのかパクパクと食べ、飲んだ。赤葦さんは何かを疑っているかのように夫婦を見ていた。
「あれ、本物ですか?」
赤葦さんが言った。赤葦さんが指さした場所には鹿や熊の剥製があった。
「ええ、主人が趣味で狩猟をしていて」
「凄いですね、剥製はご自分で?」
「友人に剥製を作っている人がいてね、教えてもらいながら」
剥製って自分でできるものなんだ。とその時は感心していた。
「この家、広いですね」
「亡くなった祖父が建てたんだよ」
赤葦さんが言う通りこの家はとても広かった。家が四、五件建ちそうなくらいの大きさはあったと思う。
「さ、木兎さんそろそろお邪魔しましょう」
「あら、もっとゆっくりしていって」
「いえ、長くお邪魔しても悪いですし…」
どこか焦っているように赤葦さんが言う。
「あかーし、それ食べねーの?」
「木兎さん食べますか?」
「おう!」
「ツッキーも食べねーの?」
「黒尾さんどうぞ」
「サンキュー!」
老夫婦が追加のお茶を入れようと席を立ったら赤葦さんが小さな声で僕に話しかけた。
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- 4 : 2015/11/16(月) 02:35:48 :
「月島、ここ早く出た方がいい」
「え、どういう事ですか?」
「あの夫婦怪しいよ。服の裾に血がついてる。しかも最近付いたものだと思う。」
全く気がつかなかった。だからさっきも焦っていたんだ。
「……俺が老夫婦の気を引くから月島は黒尾さんと木兎さんにこの事を伝えて」
「分かりまし───」
「なーに話してるのー?」
そう耳元で囁かれた。いつの間にか老夫婦が僕と赤葦さんの後ろに立っていた。
「あぁ、アナタ気付かれてしまいましたね」
「処理、しないと」
そう言うと二人は包丁をチラつかせた。
「月島、伝えて」
「く…黒尾さん…黒尾さん!」
「ん、ツッキー?」
「…包丁」
え?と言いながら振り向いた黒尾さんと木兎さんは一気に顔が青ざめた。
「あかーし!」
「まずは、この子ね」
老夫婦は赤葦さんの喉に包丁を突きつけた。
「あか…っ…」
「体が…痺れて…」
まさか食べ物に細工が…!?
「月島!逃げて!」
「無駄よ〜ドアは開かないようになってるから」
そう言うと老婦人は包丁を振り上げ、赤葦さんの喉元を狙って勢いよく振り下げた。
ビチャと僕の顔に赤葦さんの血が飛ぶ。
赤葦さんは自分の手で間一髪包丁を止めた。止めたと言うより自分の手に突き刺した。
僕はどうしたらいいんだ?
「…っ…蛍」
「黒尾さん…?」
「逃げろ」
「嫌だ…」
何いってるんですか?僕だけ逃げてもダメじゃないですか…。
「俺と赤葦と黒尾は後で逃げるから!先に行ってて!」
木兎さんまで何言ってるんですか?
「逃げろ!蛍!」
「───ッ」
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- 5 : 2015/11/16(月) 02:37:28 :
ー
「…黒尾さ…黒尾さん…」
震えが収まらない。
ドン、ドン、ズル、ズルルと何かを引きずっている音が聞こえる。
「…はぁ…はーっ…はぁ」
大丈夫、大丈夫。
なにが大丈夫?そんな保証どこにもない。
赤葦さんも、木兎さんも、黒尾さんも!みんな殺され───
ガンっ!とドアを叩く音がする。ビクッと体が跳ねる。
「…いやだ…いやだ」
後ずさりしていると何かを踏んだ。とても嫌な感触。恐る恐る見てみると
「〜〜〜!?!?」
それは、人の頭だった。
それに気付くとどこからか血の匂いがしてくるように思えてきた。
「───ッオェ…がはっ…」
胃にたまっていた物を吐き出す。
バキッと音と共に部屋に光が指す。
老婦人の会話が聞こえる。
「…や…だ…助けて…」
老人とは思えない力でドアを蹴破る。
そして、全身血まみれの夫婦が入ってきた。
「…っ…助けて…助けてくださ…」
「まあ、アナタ。助けてですって」
「この子もあの子達みたいに裂いて、折って、」
「ふ…ぅグフッ…ゲェ…うっ…」
「汚らわしい」
置いていた棒を拾い老夫婦が近づいてきた。
赤葦さんの時と同じように棒を振り上げる。
振り下げると同時に聞こえたガツンという音を聞いて僕は意識を失った。
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- 6 : 2015/11/16(月) 02:38:36 :
- ーー
ツッキー、月島、蛍、と僕を呼ぶ声がする。
…誰?誰が呼んでるの?
ふと、辺りを見回した。
あたり一面真っ白。
ここはどこ?僕はなぜここに?
後ろから誰かが近づいてくる足音がする。そして、僕はなぜか思った。
〝殴られる!〟
「っ!」
気付いたら黒尾さんと木兎さんと赤葦さんが僕を覗いていた。
「…け…蛍」
「黒尾…さん?」
「ツッキー!!!」
「木兎さん…?」
「月島!」
「赤葦さん…?」
黒尾さんは腕にギプスを巻いていて、
木兎さんは松葉杖を付いていて、
赤葦さんは頭に包帯を巻いていて…、
「蛍!蛍!」
「ツッキィィ!!」
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- 7 : 2015/11/16(月) 02:40:36 :
- ーー
「みんな、生きてたんですね」
僕が目覚めて2日目、やっと状況を理解した。
「うん、まぁ、みんなそれなりに怪我したけど」
ハハハと笑いながらいう黒尾さん。
「あの老夫婦、逃亡中の連続殺人犯だったんだって」
「顔は、整形して変えてたらしいぞ!」
木兎さんと黒尾さんが犯人について語っている時に僕は赤葦さんに尋ねる。
「赤葦さん、いつからあの老夫婦が怪しいって気づいてたんですか?」
「最初の、声かけられた時」
「そんな時から…」
僕も気づいていれば…、みんなこんな事には…
「暗い顔しないで月島」
「けど…っ」
赤葦さんはセッターなのに手刺されて、
木兎さんはスパイカーなのに足骨折して
、黒尾さんミドルブロッカーなのに腕折って、
〝バレー出来ないじゃないですか〟
「蛍、」
黒尾さんが片腕で僕を抱きしめる。
「月島」
赤葦さんも僕を抱きしめた。
「ツッキー」
木兎さんが僕達3人を抱きしめた。
「う…うぅ…っヒクッ…ごめんなさ…っごめんなさい…」
みんなギューッと強く抱きしめる。
「…ちょ…木兎痛い」
「うぇ?」
「腕…いでっ!いでででで!」
「木兎さん、離してください苦しい」
しぶしぶ木兎さんが僕達を離す。
「ふふ…あはっ」
それが可笑しくて僕は思わず笑う。
ーー
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- 8 : 2015/11/16(月) 02:41:10 :
「…懐かしい」
「懐かしいって数年前ですよ?」
「あの家広かったよな〜」
「何感心してんスか」
あの事件から数年後、僕達はたまにこうやって集まってほぼ1日中話す。
いつも、最後は病室で抱き合った話になって僕は可笑しくて思わず笑うんだ。
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- 9 : 2015/11/16(月) 02:41:19 :
ーendー
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- 10 : 2016/07/30(土) 17:21:28 :
- すごく感動します…!!(号泣)
ツッキー好きなので余計に…(泣)
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