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1. 1 : ロマビム : 2015/09/29(火) 20:22:42

   とあるゲームをプレイしている男の話です
   小学生の頃に考えていた妄想を書いてみました

2. 2 : ロマビム : 2015/09/29(火) 20:24:24

   ある人は義務を果たすため仕事場へ向かう
   
   
   
   またある人は愛する人の待つ家路を急ぐ
   
   
   
   どこかで誰かが己の無力さに泣き、どこかで誰かが権力を振りかざす
   
   
   
   大きな街で起こる傷害事件
   
   
   
   小さな村の片隅で、ひっそりと生まれる温かな親切
   

3. 3 : ロマビム : 2015/09/30(水) 06:21:13

   今日もこの世界では様々な場所で様々な人が行動する
   
   
   
   そこにある感情であったり、人間模様
   
   
   
   それらは至極複雑で、等しい感情を持つはずの人間同士でさえも理解し合うことはかなわない
   
   
   
   そらが個性であり、人であり、この世界に生を受けた生物である証
   
   

4. 4 : ロマビム : 2015/09/30(水) 22:13:46

   ある人は言った
   
   
   
   「人にはそれぞれ価値観がある。だから意見がぶつかることがあるし、理解出来ないこともある。だけどそれも僕たちの意思だ」
   
   
   
   またある人は言った
   
   
   
   「私がここにいるのは誰かに指示されたからじゃない。私は私のためにここにいる」
   
   
   
   誰の中にも自我があり、欲求がある
   
   
   
   それはほかならない自分自身の心
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   誰もがそう思っていた

5. 5 : ロマビム : 2015/10/01(木) 20:43:43

   一人の青年は考えた
   
   
   
   この感情は、本当に僕のものなんだろうか
   この世界は、本当に僕たちによって作られているのだろうか
   
   
   
   …と
   
   
   
   その瞬間
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   ブツン……
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   消える世界
   
   
   
   一瞬にして、何もかもを失った
   
   
   
   人、動物、植物、感情
   
   
   
   初めから存在などしていなかったかのように唐突に、世界は消えた
   
   

6. 6 : ロマビム : 2015/10/02(金) 19:39:28

   真っ暗になった画面には、赤く『GAME OVER』の文字が浮かぶ
   
   
   
   「ちっ…また突然変異かよ」
   
   
   
   部屋の電気もつけずにパソコンの前に座る男
   
   
   
   彼がプレイしていたのはとあるオンラインゲーム
   
   
   
   腕と技術さえあれば現実の世界と全く同じレベルで地球を創造することができる
   
   
   
   いわゆるバーチャル都市建設といった類だ
   
   
   
   他人の創った世界にキャラクターを遊びに行かせることができたり、チャット機能がついていたりと、機能も充実している
   
   
   
   最近一番売れているゲームではないだろうか
   

7. 7 : ロマビム : 2015/10/02(金) 23:53:18

   「…ん？」
   
   
   
   デスクトップに表示された文面
   
   
   
   「ちっ…」
   
   
   
   男は２度目の舌打ちをする
   
   
   
   HIRO☆：またGAME OVERだなwww
   
   
   
   「相変わらずストーカーみたいな野郎だ…」
   
   
   
   太郎：お前はいい加減監視じみたことやめろ
   
   
   
   [HIRO☆]
   [太郎]
   
   
   とはプレイヤーのハンドルネームだ
   
   
   
   [HIRO☆]（以下ヒロ）は[太郎]のネトゲ仲間であり、リアルでは旧知の仲
   
   
   
   幼馴染みといったところだ
   

8. 8 : ロマビム : 2015/10/03(土) 20:54:50

   ヒロは格闘系は苦手だが、この手の頭脳プレイにはめっぽう強い
   
   
   
   いっぽう太郎は多種多様なジャンルを平均的にこなす
   
   
   
   とはいえ特出して得意なわけでもない
   
   
   
   ヒロに比べ、よくGAME OVERになる
   
   
   
   このゲームはGAME OVERになると、これまでに築いた世界が全て消去される
   
   
   
   そして他のプレイヤーが太郎の世界を探そうとしても表示されなくなってしまう
   

9. 9 : 京月 : 2015/10/03(土) 21:02:02

   期待‼

10. 10 : ロマビム : 2015/10/04(日) 08:45:12

    京月さん
    ありがとうございます！

11. 11 : ロマビム : 2015/10/04(日) 08:45:48

    HIRO☆：お前、これで何回目の突然変異だよwww
    
    
    
    太郎：仕方ねぇだろ、突然変異が生まれる法則がわからないんだよ
    
    
    
    HIRO☆：俺は教えねぇぞ〜w
    
    
    
    
    
    
    ここでこのゲームについて説明しておこう
    
    
    
    先に言ったとおり、これはバーチャル空間に都市を建設するものだ
    
    
    
    建物の建設、動植物の成長、そしてバーチャルの世界に生きる人間一人一人の人格
    
    
    
    それらすべてを自分好みに造り上げることができる
    
    
    
    やる気さえあればすべての人間の性格を事細かに作り上げることもできる
    

12. 12 : ロマビム : 2015/10/04(日) 18:43:12

    しかし、ごく稀にバグか何かで意志を持った個体が生まれることがある
    
    
    
    それが突然変異だ
    
    
    
    突然変異が生まれただけなら何の問題もない
    
    
    
    ただし、突然変異が自分たちの世界を疑った時
    
    
    つまり、人々の言動に矛盾が生じたり、あまりにも初期設定と違う行動をとらせたりしていると、先程のようにGAME OVERとなる
    
    
    
    このゲームでGAME OVERになるのはこのケースだけだ
    
    
    
    犯罪をはびこらせようと、国が崩壊しようと、全人類が女だろうと男だろうと何ら変わりない
    
    
    
    そのため、プレイヤーは最大限まで都市を大きく発展させることができる
    
    
    
    
    
    
    …はずなのだが、何故か太郎だけずば抜けて終了回数が多い
    

13. 13 : ロマビム : 2015/10/05(月) 10:41:38

    太郎「ちっ…。また一から作り直しかよ…」
    
    
    
    ブツブツと文句を垂れながらもつい再建してしまう
    
    
    
    人間の元をいくつか置いた
    
    
    
    時間を早く進ませていると、見る見るうちに進化を遂げていく
    
    
    
    繁殖し、知恵を持ち、世界は発展していく
    
    
    
    勿論増え続ける人間の人格はコントロール済みだ
    
    
    
    太郎が造る世界の人間は、できる限りリアルな思考を持つようにされている
    
    
    
    意地の悪い者
    
    
    
    優しすぎて自分を傷つける者
    
    
    
    常に先頭に立ち、周りを引っ張っていく者
    
    
    
    ひきこもり
    
    
    
    病人
    
    
    
    犯罪者
    
    
    
    ありとあらゆる人間が、既に太郎の手に負えないほどの成長を遂げている
    

14. 14 : ロマビム : 2015/10/05(月) 19:00:50

    人間をクリックすれば、その人間が考えていること、話していることが全て表示される
    
    
    
    男「愛してる」
    
    
    
    女「あんたなんか産まなきゃよかった！」
    
    
    
    老人「あなた、メガネがどこにあるか知りませんか？」
    
    
    
    子供「ねぇパパ、ママはどこに行っちゃったの？」
    
    
    
    その内容は幸せだったり、不幸だったり
    悲しかったり、楽しかったり

15. 15 : ロマビム : 2015/10/06(火) 18:59:03

    そんな造られた人間を見て、太郎はほくそ笑む
    
    
    
    太郎「お前の気持ちも、相手の言葉も、全部俺が造ったんだぜ？ハハハ！何も知らずに、哀れな間抜け野郎どもだ！」
    
    
    
    こうして太郎は毎日毎日飽きもせず、自分の造った操り人形を見て嘲笑う
    

16. 16 : ロマビム : 2015/10/06(火) 18:59:20

    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    

17. 17 : ロマビム : 2015/10/06(火) 18:59:55

    画面の向こうに男が一人
    
    
    
    一人の男にカーソルを合わせる
    
    
    
    カチッ
    
    
    
    男の頭上に表示される、男の言葉
    
    
    
    男「さいっこうだぜ！このゲームはよお！俺の手の上で転がされてるとも知らずに…ククっ！可哀想な玩具どもが！ハハハハハハ！」
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    
    「ああ、たしかに可哀想だよ。哀れで間抜けだ。自分の世界に何の疑問も持たないお前が……な？」
    
    
    〜END〜

18. 18 : ロマビム : 2015/10/06(火) 19:05:05

    これで終了になります
    
    閲覧、コメント、お気に入りありがとうございましたm(_ _)m
    
    冒頭に書いたように、これは俺の小学生の頃の妄想です
    
    当たり前のように自分のものだと思っている体や心
    
    だけど実は、画面の向こうのプレイヤーによって操作されているのではないか…なんてことを考えていました
    
    
    ホラーか未分類、どちらにするか迷いましたが、とりあえずホラーとしておきます
    

19. 19 : 京月 : 2015/10/06(火) 20:25:09

    乙！

20. 20 : ロマビム : 2015/10/06(火) 22:40:47

    京月さん
    閲覧ありがとうございました！

21. 21 : 緋色 : 2015/10/09(金) 21:17:46

    とても面白かったです！
    実は僕たちも誰かの世界の操り人形で、手の上で転がってるだけなのかもしれませんねｗ
    世界に不信感を持ちましたｗ

22. 22 : ロマビム : 2015/10/09(金) 23:10:14

    緋色さん
    閲覧ありがとうございました！
    もしそうだったとしても今とても楽しいのでプレイヤーに感謝しちゃいますw(　´＾ω＾)人

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