遠い君と近づきたい僕の咄※カノキド
- カゲロウプロジェクト
- 1994
- 15
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- 1 : 2015/09/25(金) 07:12:18 :
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僕達は家族だよね?
「好きだよ」
でもいつまでもただの家族のままじゃいられないってことくらい君もわかってたでしょ?
「つぼみ」
ーーーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
「ちょっと!逃げないでよキド!」
「うるさい!!こっちに来るな!」
「は?待って少しは人の話聞きブッヘッ!!」
キドの投げたクッションが顔面に直撃する
「はあっはあっ」
逃げ回っていたからか。
それとも他の理由があるのか。
キドはかなり興奮しているで
「なんなんだよお前!!...クソッ!」
息を切らしながら僕を睨む
(うわあ...なんか結構怒ってるなあ...)
「ちょっとねぇ、そんなに興奮しなくてもいいでしょ?」
(そんなことよりコレ多分また余計なことを言っちゃうパターンだよね)
「それにキドのそんな姿見たら」
わかっているのに結局言っちゃうなんてもうこれは癖に等しいと思う
「僕も興ふ...」
「ん!?」
僕はそのとき、キドの手が花瓶に伸びていることを見逃したりはしなかった
「いやー....あの.........キドさんや....?」
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- 2 : 2015/09/27(日) 02:10:08 :
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「なんだ...?続けていいぞ?」
「いやそれはさすがに....ね....?駄目でしょ?」
僕は一歩後ろに下がる
「ね....?」
「..........」
「..........」
ほんの少しの間沈黙が流れる
「ふんっ.....なんの事だか....」
考えついたかのように、思いついたかのようにキドが言い、沈黙が破れる
「俺はなにも知らないよ...」
そう言って乱れたフードを深くかぶり直した
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- 3 : 2015/09/27(日) 03:07:03 :
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(あっ....)
そう言ったその目が、いつもとは少し違う気がしたんだ
(今な気がする)
僕は一歩前に出た
(意地なんか張っちゃって)
(まあ...もしかしたら今のは白を切るとかしらっばっくれるって言った方が合ってるのかもしれないけど)
もう一歩と
歩みを進める
「うそ、わかってるくせに」
「あ?」
どれだけつまんないことでも、些細なことでも。意地を張っているときの彼女が一番脆いことを僕は知っている
そういうとこ。昔から嫌な奴だな、君 は
怯える。
だから意地を張るんだ
(それも知ってる)
「嘘付きだなぁ....キドは....」
(あと....君が今一番なにに怯えているのかもちゃんと知ってるよ...)
「それに....」
キドの腕を掴む
「おい!!!なにすんだ!!!」
(この細い腕のどこに僕を殴る力があるんだろ)
壁へと追い込む
ガンッと強い衝撃音がした
「うっ」とキドが小さく呻く
「嘘つきな上に」
「信じられないほど間抜けだ」
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- 4 : 2015/09/27(日) 09:07:05 :
「なっ....!?おい離せ!!カノ!」
「イヤ」
「はあ!?」
キドが怒ってるのか照れてるのかはわからない
でも今のキドをどこにも逃がさない自信はある
「おい!カノ!いい加げ」
(ねえ...キド.....君 はもし好きでもない男にキスをされたらどんな反応をするの?)
「んっ...!?」
たったの15秒くらいの話だった
人生みたいに長くて
思い出みたいに早く過ぎ去る15秒だった
僕にとっては、だけどね...
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- 5 : 2015/09/27(日) 09:56:34 :
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唇を離す
「.........」
(あーあ....やっちゃったな...)
(誰だよ...『今な気がする』なんて思ったやつ..)
今までの関係が崩れちゃうかもしれないのに
(なんの覚悟もないまま僕は...)
本当に馬鹿だな
どうするの?これから。
一度広がり、深くなった溝はもう塞ぐことはできないんじゃないの?
誰かこんな僕を殴ってくれよ
(その方がいっそ清々し.......)
(ってあれ...?)
(そいやなんかキド...殴ってこない?)
不思議に思いキドの顔を見た
そしてその瞬間僕は目を丸くする
(おいおい...なにこれ不意討ち?)
(_____欺く ______________)
「.....はっ...ふっ....くくくっ....」
(......ねえキド...君 は相手がもし好きでもない男でもそんな顔をするの.....?)
「酷い顔だね..キド...」
嘘だ
僕もまた嘘を付いた
「うるさい....」
君から見たら僕はただ君に向かって嘲笑してるように見えるんだろうね
でもね、今本当の僕は理性を保つのに必死で
(顔が熱いな...)
君が見てる僕はただのフェイクだよ
(可愛いなあ....もうっ)
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- 6 : 2015/09/27(日) 11:13:03 :
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僕はキドの腕を離した
「.....ごめんね...キド....」
キドの額に僕の額をコツンと当てる
「ん...」
キドは案外おとなしかった
(殴られるのを覚悟してたけどまあ...無理矢理キスなんかしちゃったんだもん....今更か...)
「腕....締め付けすぎてなかった?痕になってない?」
「........」
「さっき...壁に背中をぶつけたとき....痛くなかった?」
「.......」
「間抜けだなんて思ってないよ...」
「キスなんてしてごめんね....」
(また欺い ちゃってごめんね)
(今思うとさっきまでの僕は我を失っていた)
(キドにちゃんと向き合ってほしいがゆえに)
(まあそんなの...ただの言い訳にすぎないどね)
そんなことをごたごたと考えていると、キドがフードを更に深く被り言った
「もう謝るな.....お前はいちいち喧しいんだよ.....」
そして僕から顔を背けた
対して僕は「えー酷いなあー」と笑う
(これは許すってことでいいのか....)
他愛のないというかなんというか
いつもとなんら変わりない会話をしてるだけなのにそれがなんだか僕が思う以上に貴重なものな気がする
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- 7 : 2015/10/02(金) 22:21:18 :
(すごく愛しい)
これを何て言うんだっけ?
もしかして世間でいう恋ってやつ?
僕が?まさかねw
_________って最初は思ったさ
(だってキドだし)
(僕を殴るし。蹴るし。怖いし。それに)
(..........)
(キドは家族だもん...)
『キド?なにしてるの?』
『へっあ!?』
キドが僕を振り向きそれと急いで同時になにかを隠した
『カノ!?なんっ!?』
『え?wwwwなにそれwwwwwwwちょっとキド驚きすぎじゃない?wwwwwww』
『やっやかましい!!!!それより!おまっ....いつから....じゃなくてキサラギ達と買い物に行ったんじゃ...』
『あーそうそう、そうなんだけどちょっと忘れ物しちゃってさあ』
『はっなっそっ....そんな...相変わらずアホ馬鹿マヌケ丸出しだな...』
『ちょっなにそれ酷くない?』
苦笑する僕にキドは『そんなことない』と至って普段通りに返した。....というのもそれはあくまで「本人は」の話で実際は声は微妙に震えてるし目反らすしあとなんか汗の量がヤバイし。
(おっとこれはなにか隠してる...?www)
『キド大丈夫?wwwすごい汗wwくふっwwwwwwwwww』
『おっおい!!!なに笑ってるんだ!!』
『いや笑ってなwwwwwwふすっwwwwww』
からかってやりたかったんだけどさっきのキドの驚き様が脳裏によぎってうまくいかない
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- 8 : 2015/10/02(金) 22:47:02 :
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『わわっ笑ってるだろ!嘘をつくな!!!!』
(おお焦ってる焦ってるwww)
『あーうんうんごめんね、その、焦ってるキドがあまりにも可愛っぐふっ!!!!』
まだ話の途中だったってのにキドの拳は迷いなく僕の腹に飛んできた
『うぅっん....さすが..褒めただけなのに..っ容赦ない....』
僕はあまりの痛さに腹を押さえてしゃがみこむ
『ふんっ当たり前だ』
キドが無い胸を少々張り気味に言った
するとその瞬間、なにかがバサッと音をたてて落ちた
『あれ....?それ....』
僕はよろよろと立ち上がってソレを見た
『本....?』
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- 9 : 2015/10/05(月) 18:00:40 :
『あいやこれはっ違っ』
キドが慌ただしく本を拾う
しかしその本は見事にキドの手からすり抜けソファ(ベンチ)越しにいる僕の方へと飛んできた
『あっ』
『カッおいそれ....さわっ..』
キドがなんか言ってるけどとりあえず無視
腰を落とす
『よっこらせ』
僕は本を拾って立ち上がった
『拾ってくれてありがとう。さあ、その本をこちらへ、さあ。』
キドがまたなにか言ってるけど(略)
(それにしてもこれなんの本なんだろ...)
そう思って改めて本を見る
大きさ的には小説っぽい
がしかしソレには丁寧にカバーがしてあってなんの小説なのかはわからない
『キドーこれなんの小説?』
キドは答えない
『おーいキド?』
するとハッとしたようにしてキドが言った
『すっ推理小説だ』
溢れ出る汗。
目を反らすキド。
流れる雲。
『.....嘘でしょ?』
『う、嘘じゃない!!!』
『じゃあなにその汗の量は』
『こっこれはただの汗だ!!!』
『だからそう言ってるじゃん』
『でっでも本当にそれはただのファンタジー小説で!!』
『えっ今さっき推理小説って言ったよね』
キドがまた目を反らす
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- 10 : 2015/10/05(月) 18:35:49 :
『いいのかなあ?この本開いて読んじゃってもいいのかなあ?』
『やめろ!そそそそそそれだけは!!』
『えー?でもこれただの推理小説なんだよねえ?』
『ファンタジー小説なんだよねえ?』
『ぐっお前...俺をからかってるだろ....』
『そんなことないよー僕はただ....ってあれ?キド?』
いつの間にかキドの姿が消えている
『えっなにそれ、能力使うほど見られちゃ嫌なもの?』
(それならやっぱり見ない方がいいのかな....それとも....)
(卑猥な描写があるんじゃ!!!えっまさかそれってつまりキドさんがあんなことやこんなことをしながら...!?)
僕は無意識に本を開いていた
そしてとあるページのとある台詞に目が止まった
『なになに?「あなたのことが好きです!!俺と!!付き合ってください!!!」?????』
(はあ!?これって恋愛小説じゃん!!!!しかも大分ベタなやつ!!!)
僕はそのページにざっと目を通して次のページをめくった
『「あなたのことを愛しています、僕と結婚してください」????』
『え?もう?一ページ前に付き合ったばっかりじゃん!!!プロポーズ早くない!?』
『もうなにこれwwwwwキドこんなの読んゴフッ』
背後から何者かに殴られ、僕はその場に倒れこんだ
『メカクシ完了....』
(いや....意味わかんないよ...?)
視界がぼやけてるけどキドの姿が見える
キドは僕の手から本を取るとその場から立ち去った....のを僕は逃がさなかった
『なに!?』
うつ伏せの状態ままキドの足首を掴む
『キド...能力使って戦いに勝とうとするなんてズルいよ...』
『なんだ!?戦いって!!』
つかさずキドが突っ込む
そして『それよりお前なんか怖いから起きろよ!!』と付け足した
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- 11 : 2015/10/05(月) 19:05:09 :
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『いや...殴ったのキドじゃん....』
僕は立ち上がって服に付いた埃を払った
『うっうるさいぞ!!』
『でも事実だよ....』
僕がそう言うとキドは反論できなくなったのか黙りこんでしまった
『まあいいけどね』
(最初からかい始めたの僕だし)
『そんなことよりどうしたの?この本。キドがこんなの読んでるなんてちょっと意外だったんだけど』
するとキドが斜め下方向を見つめながら行った
『.................キサ..ラ...ギに...も...らっ...た...』
気まずくなったのか声は小さい
『え?なに?聞こえない』
大体聞き取れたけど少しイジワルしてみる
『あークソ!!キサラギにもらったんだ!!』
投げやり気味にキドが言った
『へ~キサラギちゃんに』
『....本屋に欲しい本があったらしく行ったのはよかったが間違ってコレを買ってしまったらしくてな...』
『ふむ、それでキドに?』
『ああ...』
『そうなんだ、それにしても間違って買ったものを人にあげるなんて儲かってるね、彼女』
『そうだな、あとかなりのうっかり屋だ』
『そうだね』
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- 12 : 2015/10/05(月) 19:36:27 :
(まあこれで大体キドが僕に見せたがらなかった理由もわかったわけだけど...)
(恋愛モノだからってあそこまで隠し通そうとする必要ないでしょ、まあもういいけど)
『ところでどう?ソレ』
『えっ...ああ..コレか....。まあ....話が....早く進んでいいん.....じゃないか...?うん...?』
『ああ...うん..なんとなくわかるかも...』
僕は本の内容を思い出した
『なっ...なあカノ...?』
するとキドが声を潜めて僕を呼んだ
『ん?なに?』
そして回りをキョロキョロと見渡すとさらに声を潜めて
『男が....男のことを好きになることってあるのか.....?』
『え?え?』
『え?なんで?なにそれ?』
『いや....この本にだな...』
『えええ』
『普通はそうなのか?』
『えっちょ』
『カノはセトやシンタローのことが....』
『待って待って待って待って』
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- 13 : 2015/10/05(月) 19:55:38 :
(僕ざっと目を通したんじゃなかったの!?)
(男が男をってどういうこと!?)
わかんないけどとりあえず慌てて訂正
『違うからね、キド。いや、セトのことは好きだよ?でも違うよ?』
(あれー??僕なに言ってんだろ)
『はあ?』
(クソ!!キサラギちゃんめ!!!ややこしくしやがって!!!)
(あとからシンタロー君に然るべき報いを!!)
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- 14 : 2016/03/28(月) 07:55:34 :
- 期待です
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- 15 : 2016/04/25(月) 00:35:11 :
- 続き楽しみにしています。
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