苗木「大きな大きなさようなら」苗木視点
-
- 1 : 2015/09/21(月) 20:57:10 :
-
幾度涙を流しただろうか
幾度死を見届けただろうか
幾度絶望を感じただろうか
幾度あの二人に救われただろうか
…わからない
思い出せない
ーーー葉隠君が朝日奈さんと腐川さんを殺したあの事件から一年たった
-
- 2 : 2015/09/21(月) 20:59:14 :
- タイトルで惹かれました!期待です!
-
- 3 : 2015/09/21(月) 21:09:33 :
生き残りは僕ら三人だけとなっていた
近頃はモノクマを見かけなくなった
アナウンスも響かず、無音な日々が続いていた
でも、葉隠君の事件のあと、僕らの絆はさらに深まっていた
それは一度に三人も失っていまった代償は大きかったし
誰も口をきかない日もあった
だけど、口火を切ってくれたのが霧切さんだった
「いつまでこんな風にしているの」
「彼らのぶんも、私たちは生きなくてはならないんじゃないかしら」
その言葉にどれだけ救われただろうか
それから僕らは変わった
一番に変わったのは呼び方だ
霧切さんを響子さんと、十神君を白夜君と呼ぶようになった
僕も誠って呼ばれるようになった
-
- 4 : 2015/09/21(月) 21:10:01 :
- >>2
ふじやまさんありがとうございまふっ!!
-
- 5 : 2015/09/22(火) 09:58:43 :
白夜君は前まで、一匹狼で周囲の人とは相容れない人だった
でも今は違う
よく話しかけてくれたり、一緒に行動することが多くなった
だけど、まだ恥ずかしさは残っているみたいで…
やけに緊張している彼の反応が、毎日面白い
響子さんだって変わった
半年前のことだったかな、彼女が超高校級の探偵だって思い出したのは
そしてどんどん記憶が甦ってきていて、今まで解決した事件のことを教えてくれた
たまに失敗談を話すときがあって、そのときに少し照れていた彼女はとても可愛らしかった
そして、手の傷も見せてくれた
「あなたたちになら見せられる…」
その言葉が深く印象に残っている
僕?僕はあんまり変わっていないな
何せもともと前向きだったし…
…言うなるとすれば、ポジティブ度がさらに増した…かな
あ、いや、かなり増したかも…
-
- 6 : 2015/09/22(火) 13:32:38 :
ピンポーン
あ、きっと多分…
「開いてるよー!」
ガチャリ
「誠、もう7時だぞ」
「うん、わかった」
アナウンスがなくなってから、僕らの時間感覚はだんだん衰えていった
それでも白夜君は時間をしっかり把握していて、こうやって食事の時間とかに教えにきてくれる
「誠君、支度できた?」
「あ、響子さんも起きたんだ」
「ついさっき俺が起こした」
「あ…そっか」
「…よし、終わったよ。それじゃ行こっか」
そして僕らは食堂に向かう
これがいつもの朝
毎日続く…朝
終わらない…
だけど終わらせたくない一日の始まりなんだ
-
- 7 : 2015/09/22(火) 13:45:49 :
「今日は何が食べたい?」
「ミネストローネ作れるか?」
「えぇ、作れるわ」
「いいねミネストローネ!僕も食べたいな。いや飲みたいかな?」
「そんなことどっちでもいいだろう」
白夜君はよく笑うようになった
きっと、心の底からの笑顔じゃないと思うけど
「わかったわ。ちょっと待ってて」
食事を作ってくれるのは響子さん
さすがは女の子で、毎日の料理がとても美味しい
そんな彼女の料理を待つ間、僕と白夜君は過去の話をする
ほとんどが僕が話すんだけど…
好きだったアニメ・好きだった音楽・親しかった友達との話…
彼と一年いても話は全然尽きなくて、むしろどんどん違う話を思い出して
それを白夜君は楽しそうに聞いてくれる
彼と話していると時間はあっという間に過ぎて
気がつくと響子さんが料理を運んできてくれる
まるで、響子さんがお母さんで白夜君がお父さんで僕が子供みたいな
家族みたいな仲だった
-
- 8 : 2015/09/22(火) 13:51:49 :
「いただきます」
朝食は白夜君が好きなものをリクエストする
昼食は響子さんが好きなものをリクエストして
夕食は僕が好きなものをリクエストする
一年もいると、二人の好みもわかってきたりする
「これ、美味しいね」
「ありがとう」
「あぁ、うまいぞ」
「どういたしまして」
食事のときは、こうやって料理の感想を言いあったりしている
気づかないうちに、僕らはコミュニケーションを多く交わしていた
それも、絆が深まった理由の一つだろう
-
- 9 : 2015/09/24(木) 08:27:22 :
- 期待です!!
-
- 10 : 2015/09/24(木) 23:24:23 :
- >>9
ベータさんありがとうございますっ!!
-
- 11 : 2015/09/24(木) 23:37:41 :
「ごちそうさまでした」
食事を済ませたあと、大概は自分の自由だ
だけど、僕らはよく一緒に行動する
なぜだろう。自由のはずなのに
皆でいた方が楽しいからかな
「娯楽室、行かない?」
「いいわね、行きましょう」
「俺も行く」
最近は娯楽室で楽しむことが増えてきた
今日も楽しもう!
「あぁ」
「えっ!?」
ちょっと!なんで聴こえたの!?
「白夜君…僕が何を思っていたのかわかったの?」
「なんとなく…だがな」
「あなたは感情が顔にでやすいわ…思考を読み取るなんて簡単よ」
「え、そうだったの!?」
「…まぁそうだな。あぁそうだ。い、いいから行くぞ」
白夜君が早足になる
「今日はこの俺が徹底的に誠を唸らせてやるぞ…!」
彼なりの宣戦布告なのだろうか、日本語が少し曖昧になっている
「うん…僕だって負けないぞ!」
「今回はボードゲームかしら?二人とも頑張ってね」
響子さんがクスクスと笑った
-
- 12 : 2015/09/25(金) 22:18:41 :
娯楽室で二時間くらいボードゲームで遊んだ
結果は白夜君の完敗だ
「な、何故だ…」
「幸運だから?」
冗談混じりで言ってみた
「は?」
威圧感が尋常じゃない
僕は笑いを堪えながら黙った
「さて、次は何をしましょうか」
「…昼飯だ」
「うん…そうだ…ね」
笑いを必死に抑えようとしても無理だ
白夜君が睨んできた
…………ごめん
「わかったわ、行きまし…」
ょう、を言う前に響子さんが口をつむいだ
ドアの向こうになにかあるのかな?
「どうしたの響子さん?」
「何か視線を感じた…」
視線?
「やめろ、視線など感じるわけがない」
「そうよね…私の思い違いかしら」
「…うんそうだよきっと」
どうしたんだ?響子さん…
- 著者情報
- 「ダンガンロンパ 」カテゴリの最新記事
- 「ダンガンロンパ 」SSの交流広場
- 【sn公式】ダンガンロンパ交流広場