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夕方四時の悪魔のコール
- 男・女 × 幼馴染 × 青春
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- 1 : 2015/09/05(土) 23:19:25 :
- 夕方の四時、学生たちは下校や部活動の時間
季節は初春少し肌寒い
そんな中僕はケータイを耳に当て立ち止まっている
「いやいや、そんなわけないですよね?
……だから納得できません!どうして、どうしてなんです?………そ、それはないでしょ……」
ありえない!と心の中で何度も何度も言い聞かせ
そそくさと家に向かう。家に行けば答えがわかる
嘘か本当かがわかるんだと。そう言い聞かせて
家路を急ぐ
「ただいま」
の声が響く、反応は来ない……と思っていた
「おかえり!」
「え」
「お!か!え!り!」
「え、いやどうしてここにいるの?てか人んちだよ?どうやって入ったの?」
「えーめんどくさいなぁー
まぁ幼馴染の特権かな〜」
「幼馴染ってそんな特権あるの?
無いよね!あるわけないもん!
それでどうやって入ったの?」
「もぉー乗ってくれてもいいじゃんケチ!
おばさんが入れてくれたの
お出かけするから留守番お願いね幼ちゃんって」
「はぁー母さんまたか
僕に一言入れろっての」
「てかそれよりもあんた
これ……学校から封筒…」
幼馴染が手に出したのは1枚の茶封筒
僕の高校名と僕の名前が書いてある……
これを開けると知りたい事がわかる
僕はそれを手に取った……
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- 2 : 2015/09/05(土) 23:30:26 :
- 茶封筒の中には1枚の紙に赤い字が書いてあるのがわかった
「開けるよ」
「うん……」
パシャと言う情けない音ともに出てきた赤く大きな文字が見えた
目をうたがうような光景に頭が追いつかない
「留……年………」
幼馴染の言葉で我に返った
なんてことったい
担任の言う通りじゃないか
「留年だってさ………
と、突然過ぎてビ、ビックリしちゃったね
お、男?」
「いや……担任から聞かされてたんだけど
まさかホントだったとはな」
冷め切った鉄のような空気がへやを包む
だめだどうしようもできない
考えることができないのだ
僕はその日考えるのをやめた……
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- 3 : 2015/09/05(土) 23:52:01 :
- 気がついたら朝だった。
どうやら幼と母が運んでくれたみたいだ
担任からの口調が頭に残る
「男くんは今回欠点数6教科、成績不十分また指定単位数を満たしていないため
留年と言う形で判断させていただきました」
「はい」
「まさか6個もあるなんてね」
「はい」
「お母様からは何か?」
「いえ私からは何も」
「ならば本題に入らせていただきます」
担任が淡々としゃべる。あたかも用意された台本を読みすすめるように淡々と。
僕は横目で母を見た。ただただ頷く母。
僕の胸は何万本もの鉄線で締め付けられるような感覚に襲われていた。
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- 4 : 2015/09/05(土) 23:56:41 :
- 「それでこれからの事なんですけど」
これからのこと?僕の将来はここで終わりだろ?これからなんてあるか。あるなら言ってみろ
頭にこの言葉がループする
「単位制に転学して三年生として卒業するか
もう一度本校に残っていただいて二年生2回目をおこなうか退学かの3つになります」
なんてことったいそんなもん選べるわけがなかろう
そう思いながら担任を睨みつけた。
向こうは何も動じない
「……この判断は今日中に…ですか??」
母の重い口が開いた
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- 5 : 2015/09/06(日) 00:03:18 :
- 「えぇそうなります
その判断は男くんがすることにもなってます
今はまだ本校の生徒なので」
「そうですか。ありがとうございます」
母が僕を見る。
答えることができない
どれを選んでも見えるのは闇
特に思い入れはないがそれなりに楽しかった学校生活。
それを一瞬で消しさった出来事。
原因はもちろん僕なのに。
恨む、この世界と自分を恨むことしかできなかった。
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- 6 : 2015/09/06(日) 00:17:33 :
- だが恨んでいても仕方ない
決断はすぐそこなんだなら
三つの道、転学、在学、退学
退学する気はもともとなかった。理由はないが
する気にはなれなかった。
転学だと三年生として生活、在学だと2年として………
頭をよぎるのはー
「幼」
「「え」」
「あ、すいません、気にしないでください」
幼が頭をよぎった。今までさんざん助けてもらった、支えてもらった大切な人、幼の為に
行動するしかない気がした。恋人でもなんでもないのに……
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- 7 : 2015/09/06(日) 00:40:53 :
- 「ぼ、僕は……転学を選びます。」
「いいのかい?」
「はい。高校卒業資格がとれるならもうどこでも」
「ならここに名前を……はいありがとうこれでもうさよならだね男くん、ありがとう楽しかったよ」
「はい僕もです。みんなによろしくとお伝えください」
「元気でね……お母さんもありがとうございました」
「はい。コチラこそありがとうございました」
「失礼しました」
もうこの学校に来ることなる無いのかと思うと自然と涙が流れた。担任に言ったことは適当だったが、どこかまだひっかかっていた。
涙が止まらない。気づけば母も泣いていた
無言の帰り道。幼の家に寄った。
「男、学校変えちゃうんだ……」
「うん」
「向こうでも頑張ってね。応援してるから」
「ありがとう。またね」
「またね。バイバイ」
幼の家を後にした。なんだか心の鉄が溶けたように胸が熱くなり、軽くなった。
その夜幼に電話をしてみた。何故か繋がらなかった。理由は考える間もなくすぐに出てきた。
その夜笑いが止まらなく、自分が自分じゃなくなったように奇妙な衝動に襲われた。
悲しみも怒りも出なかった
ただただ笑った………
3月28日春が顔を出す季節。
バカな学生は新学期と浮かれる頃だろう。
バカバカしい。
4日後、仮面生活が始まる鐘がなった。
END
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