この作品は執筆を終了しています。
アニ「頑張ってね、私のつま先」 ベルトルト(11)「君の声でご飯がおいしい」【短編2編】
-
- 1 : 2013/11/29(金) 15:42:26 :
- こんにちは、ワカメロンです。
友人の背が低い女性が、チャットモンチーの「ツマサキ」という曲を聴いて「気持ち分かるわー」と言っているのを見て「これは…!」と思って書きました。
アニの一人称語り。山無しオチなしエロ無しです。
-
- 2 : 2013/11/29(金) 16:07:24 :
- アニの一人称語りに外れは滅多に無いよね
-
- 3 : 2013/11/29(金) 16:17:27 :
- きたーい
-
- 4 : 2013/11/29(金) 17:02:56 :
- 期待してやる!!一秒残らず!!俺が!!この手で!!
-
- 5 : 2013/11/29(金) 18:31:15 :
- 期待したい
-
- 6 : 2013/11/29(金) 22:29:00 :
名無しさん、アロマさん、エレン・ブラウスさん、カレーパンダさん、ありがとうございます。でも期待しないで!
先に謝っておきますが、きっとアニの一人称語りの外れのほうです。
私の残念な文章とアニの気持ちを少しでも分かりやすく読んで頂く為にも、皆様にはツマサキを聴くことをおすすめする。
-
- 7 : 2013/11/29(金) 22:30:41 :
- 今日も、髪を上げてお父さんから貰ったSサイズの白いパーカーに袖を通す。私のお気に入り。
…訓練兵になってからだいぶ経ったし、少し汚れてきた。
兵舎の入口で門番の人に「外出します」と声を掛けると、彼女は少し左右を見渡してから私のほうへ視線を落とした。見下ろされている側の私には、彼女の肩しか見えない。
目線は他の人の肩
本棚の高い所は踏み台を使わないと届かない
やたら年齢を確認される
服は全てSサイズ
クリスタの様な140センチ代の本当に小さくて可愛い子みたいに優遇されたりはしないのに、チビネタには使われる
凄く小さい訳じゃないのに、何かと不便
これが、身長153センチの私の見ている世界。
-
- 8 : 2013/11/29(金) 23:09:39 :
- めっちゃいいやないですか!!
当たりの中の当たりやでホンマ
-
- 9 : 2013/11/30(土) 07:52:34 :
- 何か不吉な予感が…期待
-
- 10 : 2013/11/30(土) 10:29:26 :
休日にこんな所で一人で何をしているかって?
…ったく、野暮な事聞くもんじゃないよ。
なんてことはない、待ち合わせだよ、ただの。変な期待はしないで貰いたいね。
いつものパーカーに、「美味しそうなアニの美脚はもっと出していくべきです!」とか言ってサシャが貸してくれたショートパンツ。身長はあるほうだけど華奢な彼女と小柄な私のウエストは同じサイズだ。
それと、私と同じく小柄なクリスタが「アニとサイズ一緒だよ!絶対似合うから!」って貸してくれた、繊細な細工のしてあるヒールの高い可愛いサンダル。彼女らしい靴だね。
そして首からは、風景や人をそのまま紙に残しておける「写真」とやらを写せる小さな四角い箱が下げてある。
…出来るだけ沢山残しておきたいんだ。ここで皆と関わって楽しかった事も、私がしてしまった、これからしてしまう取り返しのつかない事も。
私は戦士だから、人並みに幸せになれないのは百も承知だよ。写真に残して、皆と過ごした幸せな思い出に浸りながら、そうやって自分を戒めて生きていく。
あとは、強いて言えばお父さんと暮らしていた頃に写真に出会えたら良かったのに、と思ってるくらいだね。故郷には写真に残したい物が沢山あった。
ヒールの高い靴は穿き慣れてない。
チビな私があいつの隣でヒールの高い靴を履いて必死に歩く様は、周りの人から見たら非常に滑稽だろうね。
…あいつの隣を女の子らしくしゃなりしゃなり歩くなんて、夢のまた夢だよ。
-
- 11 : 2013/11/30(土) 10:45:04 :
- ほんと、出来心で書いたので皆様期待しないでくれ…
歌詞に沿いつつ、女の子のアニと戦士のアニを書ければ良いと思ってます。
-
- 12 : 2013/11/30(土) 11:32:51 :
- 支援でございます
-
- 13 : 2013/11/30(土) 12:29:02 :
いつもより少し遠くなった足下に視線を落とすと、サンダルから見えている足の親指に蝶々があしらってあるのが目に入る。ペディキュアなんて、初めてして貰ったよ。
昨日の夜、ミーナが「誰と出掛けるの?もしかしてデート?」ってニヤニヤしながらやってくれた。
ミーナがペディキュアを塗ってくれた事や今日あいつと出掛ける事を嬉しいとは、恥ずかしくて素直に言えないけど。
こんな細かい所の変化に、あいつが気付くとは到底思えない。
それでも、私は自分の気持ちを出すのが苦手だから、精一杯今日を楽しみにしていた事を表しているつもり。なかなか健気なもんだろ?
…はい、5分遅刻。か弱い乙女を待たせるなんて、男の風上にも置けない奴だね、全く。
でも、ちゃんと私の歩幅に合わせて歩いてくれてる事だけは、誉めてあげてもいいよ。
-
- 14 : 2013/11/30(土) 12:35:37 :
- あにきちさん、ありがとうでございます!
アニの一人称難しい。がんばる。
-
- 15 : 2013/11/30(土) 16:41:09 :
- 期待だめなら支援。
-
- 16 : 2013/11/30(土) 19:07:56 :
- エレン・ブラウスさん、再びありがとう!
がんばる。とりあえずがんばる!
-
- 17 : 2013/12/01(日) 10:00:24 :
歩幅を合わせて貰っているとは言え馴れないヒールに苦戦する私を余所に、あんたは涼しい顔で歩いていく。
その余裕が私とあんたの心情の差を表してる様で、心なしか悔しい。
蜻蛉が飛んでるとか生け垣の上に猫がいるとか楽しそうに話し掛けてくるけど、生憎高すぎて私には見えないね。
ねぇ、視線を横に移しても、あんたの肩しか見えないよ。目を見て話すのには、少しばかり首が痛くなる。
…もう少し、屈みなよってば。
目線を少し上にすると、歩きながら飲んでいたお茶を飲み込んであんたの喉仏が大きく上下に動くのが見える。
小さい頃、お父さんの喉を見て骨折だと勘違いして心配したっけ。
3人のうち、どうして女の子の自分には無いのかを気にして二人を困らせた事もあったね。
あんたは遠くを見ながら大きく伸びをして羊雲の数を数えている。建物や壁に遮られて、私には見えない。
あんたの見ている物と、私の見ている物は違うんだな、と改めて実感させられる。
…今、あんたの視界に、私は映ってる?
-
- 18 : 2013/12/01(日) 10:11:33 :
花売りの人が「綺麗な金髪だからタダであげるね」って、私の紙に山梔子の花を一輪挿してくれた。こういう女の子らしい事には慣れてない。
似合うって?…やめなよ、照れるじゃないか。
ちょっと、そんな笑顔で頭なんて撫でないでよ。あんた、そんな顔も出来たんだね。
ねぇ、今の顔、もっとよく見せて。写真に撮るの間に合わないかな。
撫でられた頭の芯からふわふわした気持ちになって、さっきからあんたの頬まで背伸びしたい気持ちが鳴り止まない。
届くかどうかは微妙な所だけどね。
人並み以上の身体能力があるから背が低いのを引け目に感じた事はほとんど無いけど、こういう時ばかりは、本当、自分の身長を恨むよ。
戦士としての強烈な足技を繰り出せる私のつま先も、女の子の私の為には役に立ってくれないもんだね。
…もうちょっと頑張りなよ、私のつま先。
-
- 19 : 2013/12/01(日) 12:14:10 :
- >>18
私の紙に→私の髪に の変換間違いです。
-
- 20 : 2013/12/01(日) 17:07:33 :
――――――
…最悪。雨降ってきた。
横殴りの雨は容赦なく叩き付けて、せっかくのつま先の蝶々も雨に濡れて泣き顔だよ。
今日は晴れるんじゃなかったのかい?
お天道様まで味方してくれないとは、ついてないね、私も。
「この天気だし、早めに帰ろう」なんて、紳士ぶってるつもり?
…やっぱり、あんたはか弱い乙女の気持ちを全然分かってない。 分かってないよ。
私はね、まだ一緒に居たいんだよ。
あんたはそうは思ってくれてない様で残念だね。
お腹空いてないかとか、寒くないかとかは言える癖に、私が一番期待している言葉は言ってくれない。本当に鈍いんだから。
ねぇ、次はいつ会える?
-
- 21 : 2013/12/01(日) 21:57:56 :
街の時計台が時間切れを告げて、貸して貰ったサンダルを汚さないよう慎重に水溜まりを避けながら、並んで兵舎へと引き返す。
あんたの足が軽々と跨いでゆく水溜まりは、私の足ではとても越えられない。
兵舎の門より少し手前で、あんたは「それじゃあ」と言ってちょっと腰を屈める。
…え?
今、おでこに何か柔らかい物が当たったんだけど。
何をされたか理解するのには少し時間が掛かったのに、私のつま先は素直にあんたの高さに合うように背伸びしている所が笑っちゃうよね。
ちょっと照れながら男子寮へと帰っていくあんたの背中を見つめながら頭のほうに手をやると、唇に触れられたおでこがまだ少し熱い。
…私の事、からかってるのかい?それとも、素直に喜んで良いの?こういった経験は無いに等しいから、どういう意味に取れば良いのかよく分からない。
一つだけ言えるのは、また同じ事をされても決して嫌じゃないって事だね。
私は戦士だ。
私が背負っている使命は重い。皆と過ごした幸せな思い出と沢山の人を殺めた罪悪感はどんどん私を蝕んで、か弱い乙女な私の小さなつま先ではいつか支えきれなくなるだろう。
でもね、我が儘を言うなら、もう少しだけ、人間の女の子でいさせてよ。任務を遂行する時は、ちゃんと人間性を捨てられるから。
私、同じチビだけどクリスタみたいに可憐な天使じゃないし
ミーナみたいに優しくて社交的じゃないし
ミカサみたいに綺麗で強くないし
サシャみたいに明るく素直じゃないし
ユミルみたいにスタイルや頭が良い訳でもないけど
自分の感情を出すのもちょっと苦手だけど
いつかちょっとばかり高いあんたの視界に写れるくらいの良い女になるから
自分の運命を受け入れられるくらいには強くなるから
だからね、それまで
頑張ってね、私のつま先。
【終わり】
-
- 22 : 2013/12/01(日) 22:03:23 :
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。
難しかった。反省した。アニの一人称語りはもう書けない。
アニは背が低いので歌詞に沿いつつ、歌詞の女の子の様に恋愛脳すぎるとあれなので戦士の部分と女の子の部分の葛藤を書きたかったけど、全然うまく纏まりませんでした。許して。
「あんた」は、敢えて口調や身体的特徴をなるべく省いて誰とでも取れるようにしたので、皆様の好きな相手で脳内補完おなしゃす。
短か過ぎたので、別に投稿しようと思っていた他の人の一人称語りの短編も一緒に載せます。
-
- 23 : 2013/12/02(月) 00:51:08 :
ベルトルト「君の声でご飯がおいしい」
別に投稿しようと思っていた短編です。
開拓地に来てから訓練兵になるまでの子どもベルさんの一人称語り。やっぱり山無しオチ無し意味無しエロ無しです。
-
- 24 : 2013/12/02(月) 01:03:38 :
- 引き続き支援!
-
- 25 : 2013/12/02(月) 12:34:08 :
- あにきちさん、引き続きありがとう!
皆様は相手は誰で解釈して読んでるのだろう。
ワカメロンはアルアニ押しだけど、ヒール履くとコニーとアルミンは身長差が無くなってしまうからちょっと違うのが寂しいです。
-
- 26 : 2013/12/02(月) 12:34:45 :
開拓地に来てから少し経った。
壁の中の人たちの生活はなかなか安定しなくて、僕が壁を壊してしまったことの重大さを感じさせられる。本当にごめんなさい…。
来る途中にべリックが巨人に食べられちゃった時は物凄く落ち込んだけど、今はライナーとアニと子ども3人だけでなんとか暮らしてるよ。仕事も頑張ってる。
今日、職場で身体検査があったんだけど、僕の身長、180越えてたよ。まだ11歳なのに。
大きくて強くて、本当の兄みたいに憧れてたライナーよりも大きくなったのは、何歳の時だったっけ。
職場の人は「この歳でここまで大きい子は見たことない」って頭を撫でてくれたけど、街を歩いていると「食糧難なのに空気を読まずにもりもり食べて大きくなった子」とでも言いたげな大人たちの視線が痛い。
…やめてよ、そんな目で見ないで。それに僕、実はそこまで食べないよ?
壁の外では僕を巨人にする時「こんな大きい子ならきっと大丈夫だ」って喜んでた癖に、壁の中では大きいってだけで不謹慎な子扱い。大人って本当に勝手だよ。
僕だって、好きでこんなに大きくなった訳じゃないのに。
それ以来、ライナーの少し後ろに立つ癖がずっと抜けない。
-
- 27 : 2013/12/02(月) 18:21:40 :
配給が無い時のご飯は大抵ライナーが作ってくれる。
仕事で疲れてるのは皆一緒なのに、いつも安い食材を探してきておいしいご飯を作ってくれて、ありがとう。
彼、実は結構料理上手なんだよ? 魚も上手に捌けるし。
アニが時々作ってくれるご飯は見た目が凄く綺麗で、味はおいしいけど薄め。お父さんの好みだったみたい。
僕は掃除は得意だけど料理はからっきしだから、あまり台所に立たせて貰えない。
…僕もおいしいご飯を作って、二人に喜んで貰いたいのになぁ。
少ない食材でご飯を作って、質素な木の机に3つ並べる。
今日のご飯は、給料日だったからパンが大きめでスープに豆と肉が入ってる。
ライナーが得意気に、奮発したんだぞ?って。
彼が屈託なくニカッと笑った時の顔が、僕は好き。
湯気の向こうに、嬉しそうな二人の顔が見えると、僕まで嬉しくなる。
3人揃っていただきますを言う時が、僕にとって一日の中で一番幸せな時間。
壁の中の人たちの命を沢山奪ったのに、貧乏とは言え頼れる兄貴分と好きな女の子と暮らして、こんなに幸せで良いのかな…?時々、凄く申し訳なくなるよ。
…なんか、最近僕のやつだけ絶対に量が多い気がするんだけど。
ライナーは「俺はもう成長期終わったから」とか「職場の人がお菓子くれたから腹一杯」とか言うし、アニは「私は小さなか弱い乙女だからそんなに食べられないよ」とか言うし…二人ともめっちゃお腹鳴ってる癖に。
…二人が最近大きくなり過ぎた僕に気を使ってそう言ってくれてるの、僕知ってるよ?
大好きな二人に我慢をさせてまでご飯を食べて、それで大きくなって白い目で見られるのは、何だか嫌だな。
僕に出来る事って、何だろう…?
-
- 28 : 2013/12/02(月) 20:40:35 :
- >>25 相手は私だな。
…ええ、ごめんなさいです、はいw
同郷組好きです。相変わらずの支援
-
- 29 : 2013/12/02(月) 23:06:12 :
- >>28
おいwww
あにきちさんの様に、自分に当て嵌めて読むのも可!
同郷組は好き。アニたんに片想いして愛が垂れ流しになってるベルさん可愛い。
-
- 30 : 2013/12/04(水) 19:56:03 :
- うーん、なんかだるい。風邪かなぁ。
仕事も早く帰らせて貰ったし、ライナーは帰って寝てろって言ってたけど、今日は僕が張り切って二人の為にご飯作っちゃうもんね!
…芋って、水から茹でるんだっけ?それとも沸騰してから?
いつも二人はどのくらい塩入れてたっけ?
一人で台所に立つと、自分の料理の出来なさを改めて感じて悲しくなってきたよ。
やっぱり具合悪いかも…。煮込んでる間に少し横になってようっと。
目が覚めたら、ライナーが僕の顔を心配そうに覗き込んでいて、アニが煮崩れた肉じゃがの肉が入ってないやつを運んで来てくれた。
「無理するな、夕飯よりお前のほうが大事だ」「あんたが元気でいてくれないと、ご飯がおいしくない」だってさ。
そうだよね。僕も二人と一緒だから質素な食事でも美味しく感じるよ。僕が大きくなり過ぎても、料理が出来なくても、二人は気にしてないみたい。無理をするのはやめよう。
僕はなんて幸せなんだろう。
-
- 31 : 2013/12/04(水) 19:57:40 :
――――――
さて、月日は経って僕の身長も遂に190の大台に乗りました!
大抵は他の人のつむじしか目に入らない。
ライナーが職場のマッチョなお兄さんに憧れててその人が結婚するのを知って酷く落ち込んだり、アニが自分だけ成長期が来ないとか言って家出しようとしたり色々あったけど、僕たちは結構元気です。
今、ライナーが180とちょっと、アニが150になるかならないかくらいかな。
アニが小さ過ぎて時々視界から消えるのが悩み処だけど、好きな女の子と一つ屋根の下で暮らすのは思春期真っ只中の僕の蚤の心臓には刺激が強すぎるから、これくらいが丁度良いのかも。
ああもう!家の中だからって、またそんな無防備な格好でうろうろして!
アニは可愛い女の子なんだよ?大人の体付きになってきたんだし、もう少し自覚と危機感を持ってよね。仕事に行く時はそんな体の線が出る服着ちゃ駄目だよ?
「幼馴染みなんだし良いじゃないか、別に」とか言って下着同然の格好で本読んでる僕の膝の上に乗って座椅子代わりにしてくるし、毎日こんな調子じゃドキドキして身が持たないよ。
…お願いだから、故郷に帰るまではどうか暴走しないで、僕の理性。
あと、ライナーはパンツ一丁でうろうろしないで!見苦しいから!
そして、今年から3人で訓練兵になることになったよ。…いよいよ任務を果たさなくちゃならないんだ。
体を動かすのも勉強も得意なほうだから、頑張って上位に食い込んで憲兵団にならないとね。
それと、皆に名前、覚えて貰えるかな…?
ライナーは面倒見が良いから、皆に頼られて壁の中の人たちと仲良くなって情が移っちゃったらどうしよう。彼は、優しすぎるから…。
ライナーが変わってしまうのが少し不安だよ。
アニは女の子だから別の寮なんだって。同郷だって事を隠さなきゃいけないから、こうして一緒に暮らしてご飯を食べられるのもあと少し。寂しいな…。
-
- 32 : 2013/12/04(水) 20:03:44 :
今日はライナーが残業なので、アニと二人でご飯を作ります!
雨が降り始めてるけど、ライナー帰り大丈夫かな…?
今日のご飯は、職場の人がくれたパンと、キャベツの芯と鶏を柔らかくなるまでトマトで煮たやつ。これ、結構好きなんだよね。
僕がキャベツの芯を刻むのに苦戦している間に、アニは器用に鶏肉の筋を抜いていく。
煮ている間に洗濯物を畳んだり世間話をしたりして時間を潰す。他愛もない時間だけど、凄く幸せに感じるよ。
3人分のお皿によそって、席についてライナーの帰りを待つ。
…ライナー遅いなぁ。ご飯冷めちゃうよ?
仕方ないから、先に食べて待ってよっか。
もうだいぶ遅い時間になってきた。
雨と雷が凄いから、もしかしたらライナーは職場に泊まってるのかもね。雨が窓に叩きつけてる。
ライナーが心配だけど、もうすぐアニと暮らせなくなるから二人きりになれてちょっと嬉しいと思ってしまう。
…そうだね、そろそろ寝ようか。
…え?雷が怖いから一緒に寝てって?何言ってんのこの子!ドキドキして死んじゃうかもしれないから駄目!
ちょっと、返事聞く前に人の布団に入らないでよ!
ああもう仕方ないなぁ…心臓の音、どうか聞こえませんように。
なんか良い匂いがするし、どうしよう…
布団にくるまって震えているアニの頭を撫でながら背中を躊躇いがちに抱き寄せると、安心したのかぴったりくっ付いてきて僕の胸に顔を埋めてすぐに寝息を立て始めた。
アニ、昔から雷苦手だもんね。
同じ布団で、僕の腕の中にアニが居る。なにこれ、恋人同士みたい…今なら幸せ過ぎて死んでも良いかも。
全体的に小さいけど均整の取れた体型、さらさらの金髪、長い睫毛、透き通る様な白い肌、小さくて整った輪郭。鷲鼻が僕とお揃いなのがちょっと嬉しい。
アニ、本当に綺麗になったね。
ねぇアニ、小さい頃、大人になったら僕のお嫁さんになってって言ったの覚えてる?
…僕、今でも本気でそう思ってるよ?
-
- 33 : 2013/12/04(水) 20:11:12 :
訓練兵になったら、今までみたいに一緒に暮らせない。一緒に生きて帰れるどうかも分からない。アニに好きな人が出来てしまうかもしれない。
…ごめんねアニ。明日からも頑張れるように、僕だけの思い出をください。
心臓が早鐘を打ってる。今からしようとしている事はいけない事なのは自覚してるよ。
アニが間違いなく眠ってるのを何度も何度も確認してから、髪をどけて形の良い色素の薄い唇に出来るだけそっと僕の唇を重ねる。
うわぁ、柔らかい…。僕今、アニとチューしちゃったよ!同意の上では無いけどしちゃったよ!
ありがとう。この思い出だけで、僕はこれからも生きていける。
眠っているアニを抱き締めながら自分の指で唇をなぞると、さっきの感触を思い出してつい顔が揺るんじゃう。
一緒に故郷に帰れなくても、好きな人が出来ても、お嫁さんになって貰えなくても、ずっと大好きだよ。
…あ、これ、僕と読んでるあなただけの秘密だからね?恥ずかしいから誰かに言っちゃ駄目だよ!
眠っているアニを互いの距離がゼロになるくらいくっ付いて抱き締めて、石鹸の香りを胸一杯に吸い込む。今の僕、きっとすっごいニヤニヤしてるんだろうなぁ…。
壁を壊してから、ずっと自分を責めて怖い夢ばっかり見ていた。
こんなに幸せな気持ちで眠れそうな夜はいつ以来だろう。
-
- 34 : 2013/12/05(木) 00:51:30 :
朝起きたらライナーが無事に帰って来ていて、「一緒に寝てたという事はお前らこの歳になってまだ雷が怖いのか。あぁ情けない…」とか言ってた。知ーらない。
来週は入団式。この家とももうすぐお別れ。3人で食卓を囲めるのもあと少し。
やっぱり今年入る訓練兵の中で僕が一番大きいらしいけど、もう大きい事を恥ずかしいなんて思ったりしないよ。
この大きな体には、二人がくれた愛情が沢山詰まってるから。
それだけで僕は背筋が伸びて胸を張れる。
二人が居てくれるからご飯がおいしい。
…今日の夕ご飯は、何だろう?
【終わり】
-
- 35 : 2013/12/05(木) 00:56:37 :
- 短編2編終わり!支離滅裂だったけどここまで読んで下さった方ありがとうございました。
アニの相手は特に決めないで自分で書いておいて、子どもベルさんがここまで一途に思ってるのにアニたんが別の男性に対して「頑張ってね私のつま先」って思ってたら可哀想だけどうける。
-
- 36 : 2013/12/05(木) 02:52:22 :
- お疲れ様でした!
纏まってたと思いますよ〜
-
- 37 : 2013/12/05(木) 13:58:38 :
- あにきちさん、最後までありがとうございます!
ワカメロンの書く話はミーナがモブからエロかわヒロインになるとか鯉を養殖するコニーの一人称語りとかアニとマルコが叩いてかぶってジャンケンポンで勝負するとか変な切り口のが多いので、次こそはまともな話を書きたいです。というかエロミンを書きたい。
-
- 38 : 2013/12/08(日) 10:46:38 :
- 過去作
みーな・えろらいな【前編】【後編】
ミーナがモブじゃなくてエロヒロイン、ライナーがホモでもメンヘラでもないピュアゴリラ、ベルさんがエロトルト、ジャンがあんまり不憫じゃないジャン。
↑の後日談
コニー「こいって、なんなんだ?」
コニーが鯉を養殖する話。
アニ「恋の」マルコ「サバイバルゲーム」
アニとマルコががんばる。
もよろしくお願いします。
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場