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【エレミカ】ドーナッツの穴のように【転生パロ】

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  1. 1 : : 2013/11/26(火) 04:14:46
    皆様おはようございます。
    ハチさんの「ドーナッツホール」を聞いてから、エレミカで想像してたら妄想が止まらずに書いてしまいました。
    初投稿で緊張しています。

    文章は下手ですが、生暖かい目で閲覧していただけたらとおもいます。


    *エレン視点で進みます

  2. 2 : : 2013/11/26(火) 04:15:51
     それは、最初は小さな違和感だった。
     俺はアメリカといってもドがつく田舎の診療所営む両親の一人息子として産まれた。俺の住む街は治安はある程度良かったが、差別に対しては未だに根強く、ガキの頃はイチャもんを付けられては喧嘩をしていた。
     そんな俺を心配したのか、親父は「友達を作りなさい」と近所に住む同い年のアルミンを俺に紹介した。アルミンを見たとき、俺はなんだか泣きたくて仕方がなかった。今思えば、懐かしさや嬉しさが入り混じった感情だったんだと思う。現に、自分が産まれてきてから一緒に住んでいたかのような親近感があった。それはアルミンも同じだったのだと、後から聞いたが。言葉にするのは気持ち悪いから言わないが、運命の様に思えたんだ。
     でも何故か、どことなく物足りなさや寂しさを感じるようになった。それはほんの僅かな違和感で気にも止めなかった。
     アルミンの両親はNASAで働いていて帰ってくるのは月にあるかないかだった。故に爺さんと二人暮らしをしていたんだが、入ってはいけないときつく言われていた書斎から宇宙についての本を見つけた。内容は当時の俺らには難しい単語ばかりで辞書を引きながら読みすすめるしかなかったが、読み解くうちにどんどん宇宙という世界に引き込まれていった。
     夢は二人で宇宙に行こう、と話していた時だった。アルミンがぼそりと呟いた。
  3. 3 : : 2013/11/26(火) 04:18:05
     それは、最初は小さな違和感だった。
     俺はアメリカといってもドがつく田舎の診療所営む両親の一人息子として産まれた。
    俺の住む街は治安はある程度良かったが、差別に対しては未だに根強く、
    ガキの頃はイチャもんを付けられては喧嘩をしていた。

     そんな俺を心配したのか、親父は「友達を作りなさい」と近所に住む同い年のアルミンを俺に紹介した。
    アルミンを見たとき、俺はなんだか泣きたくて仕方がなかった。
    今思えば、懐かしさや嬉しさが入り混じった感情だったんだと思う。
    現に、自分が産まれてきてから一緒に住んでいたかのような親近感があった。
    それはアルミンも同じだったのだと、後から聞いたが。
    言葉にするのは気持ち悪いから言わないが、運命の様に思えたんだ。

     でも何故か、どことなく物足りなさや寂しさを感じるようになった。それはほんの僅かな違和感で気にも止めなかった。

     アルミンの両親はNASAで働いていて帰ってくるのは月にあるかないかだった。
    故に爺さんと二人暮らしをしていたんだが、入ってはいけないときつく言われていた書斎から宇宙についての本を見つけた。
    内容は当時の俺らには難しい単語ばかりで辞書を引きながら読みすすめるしかなかったが、読み解くうちにどんどん宇宙という世界に引き込まれていった。

     夢は二人で宇宙に行こう、と話していた時だった。アルミンがぼそりと呟いた。
  4. 4 : : 2013/11/26(火) 04:19:11
    連続投稿してしまいました……。すみません。>>3から見ていただけると幸いです。
  5. 5 : : 2013/11/26(火) 04:20:23

    「――も、一緒に行けるといいね」
    「……誰だ、そいつ」
    「え、あれ……? 僕、何か言った?」
    「名前、……は聞き取れなかったけど『誰かも一緒に行けるといいね』って言ってたぞ」
    「あれ……。ごめん、覚えてないや」

     アルミンと出会った頃から感じていた違和感が強くなっていった。確実に一人足りない。
    アルミンにこの事を話したが、神妙な顔をして黙ってしまった。

    「ごめん、エレン。確かに僕も物足りないような気はする。さっきの僕の発言は無意識で言たんだと思うけど……。僕もわからないよ」
  6. 6 : : 2013/11/26(火) 04:22:08
     その晩から見続けている夢は妙に現実的だった。

     赤いマフラーを巻いた綺麗な黒髪の女が、俺に何かを言っている。
    そういつは俺の手をとって何かを告げる。
    手は暖かくて心地いい。
    俺はそいつに何かを言いかけて目が覚める。

     決まって目が覚めると俺は涙を流している。
    それを毎日繰り返しているうちに、
    夢の中のあの女は現実に存在しているのではないかと、考えるようになった。

     当時の俺はこの感情がどういうものなのか分からなかったが、
    それに名前がついた時から夢を見る回数が減り始め、ついに見なくなった。

  7. 7 : : 2013/11/26(火) 04:26:13
    * * * *

     アルミンと夢を追い始めてからあっという間だった気がする。
    難関と言われる大学に合格した。

     大学での日常はそれはもう楽しい。
    俺と同じ夢を追う奴らが多くて、話題が尽きることはなかった。
    アルミンの話に付き合う奴なんてなかなかいなかったのに、
    この大学では皆が皆耳を傾け、意見を言いやがて議論になる。
    決まって集まるメンバーは先のライバルであり、仲間だった。
    キャンパス内では収まらず、仲間の誰かの下宿先で酒を交えながら、
    ファーストフード店で飯を食いながらと、充実した生活だった。
    一つを除けば、だ。
    それは、夢の中の彼女の存在について。

     ファーストフード店で仲間の一人に一度だけ相談したことがある。
    口数は少ないが、悪い印象のない男だ。

    「……僕も、似たようなことあるよ」
    「ベルトルトも夢見るのか?」
    「ごめん……夢じゃない。でも、確かに記憶に居るんだ。
    僕しか知らない記憶の中に」
    「お前は、それが自分が作り出した人物だって思わないのか?」
    「考えた事は、あるよ。でも、それがその人が居る証明になると思わないかい?
     それにこの感情は確かなんだ――」

     そう言いながら、口をつけていないドーナッツをおもむろに俺に手渡した。

    「この、ドーナッツの中心のように
    ぽっかりと穴が空いた心が埋まってくれない。
    あ……ごめん。ちょっと臭いセリフだね」
    「会いたいか? その記憶に居る奴に」
    「――逢いたいよ。会わなきゃいけない気がするんだ」
  8. 8 : : 2013/11/26(火) 04:28:42
     俺はドーナッツを見ながらベルトルトの言葉に強く共感した。
    ――平行世界は腐る程勉強した。
    あると証明もできず、ないとも証明できない。
    例の夢の中の彼女も同じだ。






     夢を見たいがために夜が来るのをひたすら待った。
    ベットに体をあずけては目をつぶる。
    その努力を続けたおかげか、例の夢を久しぶりに見た。

     胸が切り裂けそうなほど痛くて、苦しくて目を覚ました。目の前には彼女はいなくて「夢は夢だ」
    そう呟いた声が自分の耳に届いた時、
    もう本当に会えないのではと恐怖した。
    部屋から抜け出して街中を走り回って彼女の面影を探した。
    何時間探し回ったかわからない、
    あたりが明るくなった時に我に返って自分へ嘲笑した。

     会ったことも、現実にいると思えない人間に恋をしている。
    そう自覚した。
  9. 9 : : 2013/11/26(火) 04:30:42
    * * * 

     大学に来てから2回目の9月が来た。
    一ヶ月経ったというのに今年の新入生は馴染むのが早い。
    それをアルミンに行ったら「おやじ臭い」と言われてしまった。

     ゼミに向かう途中、いけ好かねぇ野郎が馬鹿デカイ声で女の話をしていた。

    「マルコ! 綺麗な女とすれ違ったんだけどよ、
     アジアンビューティーって彼女のこと言うんだな」
    「ジャン……。そのすれ違った女性は新入生かな?」
    「だと思うぜ、綺麗な黒髪の女性だった」

     ジャンの肩を掴んで自分でも驚く程の声を出していた。

    「その黒髪の女って何処ですれ違った?!」
    「知らねぇな。お前に話す義理なんてねぇよ」

     俺は一発ジャンの顔を殴って、
    そのまま黒髪の女を探すために走り出した。
  10. 10 : : 2013/11/26(火) 04:38:23
    * * *

     いつかのように、黒髪の女は見当たらなかった。

     夢で見た彼女の記憶を引き出す。
    顔は霞かかりはっきりと思い出せない。
    最後に見た夢だってそうだった。
    彼女が俺の手をとった暖かさ。
    それも正確に思い出せない。
    記憶は曖昧で改ざんしていく。
    そんなのは心底わかってる。
    何回も彼女は俺が作り出した幻じゃないかと思った。
    でもあの日、アルミンがもう一人の名前呼びながら「一緒に行けたら」と言った。
    ――言葉。彼女が俺に言っていた言葉……。

     そうだ、夢の中で彼女は俺に何かを言っていた。

     思い出せ、彼女の言葉を――。

     目を瞑って彼女を呼び出す。
     
     彼女の口真似をする。
     ゆっくりと音の無い言葉を口にする。


    『エレン――』


     震える程の感情が溢れ出す。
    一人立ち尽くしながら泣いているなんて、
    傍から見たら可笑しいと思われるだろう。


     思い出したんだ。彼女を。
     長い間求めていた彼女の声と名前を、やっと――。


    「え、れん?」


     そう、こんな風に強気で凛とした声。
    それをはっきりと思い出した。
    俺とアルミンとミカサいつも3人だった。
    こんな風に俺を呼んで――。


     今俺を呼んだ? 幻聴ではなく……?


     後ろから俺を呼ぶ声に心が叫ぶ。
    まさか、そんな、陳腐な言葉しか出てこない。
    会いたくて逢いたくて仕方がなかったのに。


     違った時の落胆と恐怖、そこに居てくれという希望。
    俺はゆっくりと後ろを向いた。


    「っ……! エレン!!」
    「――ミカサ……っ」

     長い髪を風に靡かせ涙を浮かべる彼女は
    とても綺麗だった。



  11. 11 : : 2013/11/26(火) 14:23:44
    閲覧ありがとうございました。

    本当は平均的に長編ぐらいの長さになってしまい、
    SSにするためにぶった切って載せました。
    所々不自然になってしまったので閲覧者の方には
    申し訳ないと思っています。

    後づけ設定ですが、ジャンとマルコは記憶持ちです。
    ただエレン視点でしたので省略させていただきました。
  12. 12 : : 2013/12/30(月) 23:00:35
    最高でした
  13. 13 : : 2015/08/21(金) 20:01:25
    素晴らしかったです!
  14. 14 : : 2015/09/29(火) 16:55:38
    最高!
  15. 15 : : 2018/04/21(土) 19:21:36
    最高
  16. 16 : : 2018/09/26(水) 01:46:47
    さいこうでした

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natsupochi

夏猫

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