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  1. 1 : : 2015/04/24(金) 19:52:02
    ずっと変わらない景色、ずっと変わらない未来。

    手を握り返すと、
    紅い蝶は紅い霧へと変わり、

    その紅い霧は、綺麗で……儚い……





    lunatic《狂気》へと変わる_____
  2. 2 : : 2015/04/24(金) 20:36:50
    ________
    _____
    ___

    「フランドール、さぁ。」

    母が、私に手を差し出す。私がその手を掴む。

    すると暖かい母の手に黒いもやが出来た。
    《邪魔だな……このもや……》

    ぎゅっと力を入れてもやを握り潰す。
  3. 3 : : 2015/04/24(金) 20:40:26
    すると______

    母が消えた。暖かくて紅い、母が何処かへ行ってしまった。

    「お……母様……………?」

    お母様のいた場所には長くて鋭い八重歯が落ちているだけだった。
  4. 4 : : 2015/04/24(金) 20:49:19
    それ以来、お姉様は私の部屋を動かした。今度は涼しい地下室だ。


    部屋を変えた時、お姉様は泣いていた。
    なぜかいつもの紅い服ではなく、真っ黒なワンピースを着ていた。

    「ごめんね、フラン………能力を言わなかった私が悪いんだわ……」

    と、言いながらお姉様は泣いていた。
  5. 5 : : 2015/04/24(金) 20:54:29
    それから495年間くらい、地下室で過ごしていた。

    最初は訳がわからなかった。
    地下に人が来るのは、食事の時に来るメイドだけ。しかも私は特別な事が無いと外に出てはいけない……。
    辛かった。苦しかった。
  6. 6 : : 2015/04/24(金) 20:58:33
    __________
    ________
    _____

    「邪魔よ!消えて!!!」

    ある時はウサギやクマの縫いぐるみをたくさん壊した。

    「〜〜〜っ!!!」

    ある時は泣いても泣いても涙がこみ上げてきた。



    でも、無駄。
    お姉様が迎えに来てくれるまで、何もせずに待っている事にしたんだ。無駄だから。だれも居ないから。無意味だから。
  7. 7 : : 2015/04/25(土) 09:33:38
    静かで平凡で平和。

    毎日そうやって過ごすの。何もしないで、何も考えないで。

    きっとそうすればお姉様も喜んでくれるはず。
  8. 8 : : 2015/04/25(土) 09:37:02
    私の部屋には、地下なのに小さな窓がある。
    その窓から庭が見える。美鈴の靴が見える。


    今日も窓から小さな光が差す。
    金の微かな光が差す。
  9. 9 : : 2015/04/25(土) 09:40:07
    それはお昼頃だった。
    いきなり変化が3つやってきた。

    急にドアから入る冷たい隙間風が生温くなり昔嗅いだ、苺ケーキの甘い香りが漂ってきた。

    そして何より_____


    窓の外から差し込む光が無くなり、窓の外は紅い霧で覆われていた。
  10. 10 : : 2015/04/25(土) 09:40:29





    なんか、楽しそう_____




  11. 11 : : 2015/04/25(土) 15:44:20
    さて、暗い夜になった……はずだった。
    と言うのも、夜がおかしいからだ。

    窓から差す月明かりも緋色だし、外を見れば緋色の煙がもやもやしている。

    確かに暗いけど、緋色の夜だ。


  12. 12 : : 2015/04/25(土) 15:49:15
    おかしな事は他にもあった。
    上がうるさい。

    地下室と大図書館や一階の間には防音装置がある。

    なのに、上がうるさい。
    たまに誰かの声が聞こえてくる。

    なんとか封印とかなんとかスパークとか……よくわからない呪文ばっかり。
  13. 13 : : 2015/04/25(土) 15:52:01
    ダンスパーティーなどの穏やかでガヤガヤする雰囲気では決してなく。
    戦いとかみたいな張り詰めた雰囲気が声や音…《パリーン!》

    ……音だけで分かる。

    出来れば関わりたくないなぁ。
  14. 14 : : 2015/04/25(土) 15:56:43
    私の小さな願いは叶い、物騒な人達は地下室には来なかった。

    良かった、と思った瞬間にチクリと胸が痛んだ。

    ここに気がつかなかったんだ、きっと。
    私の部屋に、私の存在に……



    気が付かなかったんだ………。
  15. 15 : : 2015/04/26(日) 07:59:56
    私が見える世界は3つ

    1つは、この暗い地下室。

    1つは、年に1度のパーティーの時に行ける。ダンスホール。

    そしてまた1つは、パチュリーの図書館。


    私は今、図書館に来ていた。
  16. 16 : : 2015/04/26(日) 08:29:44
    なぜなら、昨日の紅い霧の原因を調べる為だ。


    「パチュリー…「なによ、また来たの?」

    心にぐさっときた。まるで私が来てはいけ無いみたいじゃない……。しかも私の方も見無いで……。
    開けかけた図書館の裏口を閉めて部屋に戻った
  17. 17 : : 2015/04/26(日) 09:36:38
    酷いよ……酷いよ……

    パチェまであんなに冷たく当たるなんて……

    酷いよ…………



    その時、ガチャっと部屋のドアが開いた。
  18. 18 : : 2015/04/26(日) 09:39:22
    私は慌てて天井近くまで飛んで隠れる。
    白黒と紅白の人達が入ってきた。

    「なんだここ。」

    「殺風景な部屋ね。」

    「だーれかー、いるかー?」

    どうやら吸血鬼狩りとかでは無いらしい。
  19. 19 : : 2015/04/26(日) 09:42:43
    人が来るのは嬉しい事なので、深呼吸をして、2人の前に着地した。

    「うわわっ!」

    「お待たせ。」

    「待って無いぜ」

    「あー、あなたアレ?レプリカの妹?」

    「レミリア!レミリアお姉様よ!」

    「あー、レアチーズね。」

    「もうそれで良いよ。」
  20. 20 : : 2015/04/26(日) 09:44:41
    「……んで、お前誰?」

    「人に名前を聞く時は……」

    「はいはい、私は博麗霊夢だぜ。」

    「そして私は霧雨魔理沙よ。」

    「ふーん……?」

    「突っ込めよ。」

    「ふふっ……」
  21. 21 : : 2015/04/26(日) 09:45:11





    笑ったのなんて……いつぶりだろう……




  22. 22 : : 2015/04/26(日) 09:48:39
    「もしかして、あなた達は人間?」

    「そうよ。」

    「人間って……ケーキでしか見た事無いわ……。案外、吸血鬼に似た種族なのね。」

    「……よかったな。」

    「羽が無いわね。パチュリーと咲夜と同じ……。」

    「咲夜も人間だからな。」

    「へー。」

    「興味なさそうね。」

    「10年に1度会うくらいだわ。」
  23. 23 : : 2015/04/26(日) 09:52:31
    「……ねぇ、人間って強いの?」

    「そりゃあ、な?」

    「まぁ、雑魚には負け無いわ。」

    「ふーん……ねぇ、弾幕ごっこしない?強さを確かめたいの。」

    「瞬殺してやるぜ」

    「まぁ怖い。」

    「随分と余裕なのね?」

    「そりゃあ、伊達に495年生きて無いわ。」
  24. 24 : : 2015/04/26(日) 09:55:11
    「じゃあ行くわよ、フランドール。」

    「なんで名前を……っ」

    「伊達に巫女やって無いわ」

    「解答になって無いけど」

    「なんでも良いじゃ無い」

    「では行くぜ………恋符「マスタースパーク」ッッ!!!」
  25. 25 : : 2015/04/26(日) 10:05:21
    「1本の線なんていくらでも避けられるわ。大事なのは数よ。弾幕は数よ。禁忌「フォーオブアカインド」!」

    「EXらしい攻撃ね。」

    「数はいくらでも誤魔化せるぜ?でも数も大事っちゃあ大事だな。数とパワーを持ち合わせたスペカ……恋心「ダブルスパーク」!」

    「序盤から撃ちまくると死んじゃうよー?」

    「平気だぜ。」

    「禁弾「スターボウブレイク」!
    これは数が多いわよ……ふふふっ」
  26. 26 : : 2015/04/26(日) 10:09:00
    「……安置と言うものがあってだな。」

    「!?」

    「数は0に等しいわよ。」

    「怯むか!……禁忌「クランベリートラップ」!これも数で勝負よ!」

    「おお、こわいこわい」

    「横から失礼……霊符「夢想封印」」

    「きゃあっ!……危ないわね……魔理沙……。」

    「私は博麗霊夢よ。」

    「そうだっけ?」
  27. 27 : : 2015/04/26(日) 13:26:58
    ……楽しくなってきたな……。

    「ふっ……ふふふ…………」

    「ど、どうしたフラン……。」

    霊夢と魔理沙にあげるよ、死の攻撃をね……。

    「私、本気で闘う!」

    「望むところよ。」

    「禁忌「レーヴァテイン」!」
  28. 28 : : 2015/04/26(日) 13:30:10
    ガシャーン ドカーン

    壊れる天井。
    なかなか剣は2人に当たらないなぁ……。

    「やばいぞ、ここは危ない。壊れてきてる!」

    「弾幕ごっこは一旦止めにしましょう!」

    「…………」

    今更、止めるの………………?
  29. 29 : : 2015/04/26(日) 13:32:44
    今更止めるなんてつまらないよ……。
    今までは、人が居ないのが日常だった。

    だけど…………

    楽しい遊びを見つけてしまった。
    霊夢や魔理沙ともっと遊びたい!

    「逃がさないよ…………!」
  30. 30 : : 2015/04/26(日) 13:34:52
    「そんな事言ったって……!」

    「館が保つか分からないわよ!」

    「……やだ。……やだっっ!!!」

    怒りと悲しみと辛さをぶつけて剣を振るう。



    ピチューン
  31. 31 : : 2015/04/26(日) 13:37:52
    「ま、魔理沙!」

    「……ゲームオーバー……だ………。」

    「!!」

    「ふふっ、あと霊夢だけだね!」

    剣を振るう、振るう、振るう。霊夢は避け続ける。

    その間にも、地下室は……いや紅魔館は壊れ続けていた。
  32. 32 : : 2015/04/26(日) 13:42:22
    「夢符「封魔陣」!」

    「わあっ、霊夢の本気だー!」

    今度は私が羽を羽ばたかせ、逃げ回る。

    「禁忌「カゴメカゴメ」!」

    「!」

    霊夢が一瞬ひるんだ。けれど、無駄のない動きで線を避ける。
  33. 33 : : 2015/04/26(日) 19:00:32
    そして、紅魔館がいよいよ崩れた。


    「きゃ…………っ!」




  34. 34 : : 2015/04/26(日) 19:00:40










  35. 35 : : 2015/04/26(日) 19:01:55
    私は1人、立っていた。


    とても、自由なのに……


    涙が込み上げてきた。
  36. 36 : : 2015/04/26(日) 19:03:45
    前には崩れた紅魔館と……

    山積みになった、肉の塊。


    その、肉は_____

    肉の元の姿は_____

  37. 37 : : 2015/04/26(日) 19:27:58
    「フランドール・スカーレット……さん?」

    後ろから呼びかけられ、振り返る。
    すると、金髪リボンのついた穴から上半身が出てる人がいた。

    「あなたは……」

    「八雲紫よ。ところで、〝これ〟が何か分かるかしら?」

    紫の持ち上げた、肉は……


    「博麗………………霊……夢…………」

    「そうよ。」
  38. 38 : : 2015/04/26(日) 19:31:55
    「博麗霊夢が死んだ……博麗の巫女が死んだ……。」

    私を試す様に霊夢が死んだと繰り返す紫。

    「どういう事か分かるかしら?」

    「…………」

    無言で首を振る私。

    「結界を守る人が居なくなったって事よ。」

    「……?」

    そう言われても良く分からない。

    「幻想郷を守る人が1人居なくなったの。」

    「幻想郷を……守る人…………」
  39. 39 : : 2015/04/26(日) 19:34:43
    「あなたを抹消するわ、フランドール・スカーレットさん。」

    「!」

    紫の手から新たな黒い空間が出てくる。
    そこへ私は吸い込まれていく。
    手をかざしても空間は消えない。

    いやだ、いやだ。
    消えたくない。

    助けて、死んでしまう。

    誰か、このまま死ぬなんていやだ。
  40. 40 : : 2015/04/26(日) 19:35:45





    誰か、助けて_____




  41. 41 : : 2015/04/26(日) 20:27:33
    __________
    _________
    _______


    私は、守矢神社の掃除を終え、博麗神社へと移動していた。

    霊夢さんが居なくなって1ヶ月。
    博麗神社の掃除法や伝統も少し覚えた。

    「レミリアさん………」

    大きな石の前で手を合わせるレミリアさんは、元気が無い。
    それはそうだろう。妹の骨すらないお墓があるのだから。自分の異変のせいで家も妹も居なくなったのだから……。
  42. 42 : : 2015/04/26(日) 20:32:42
    「あ……早苗…………。」

    「おはようございます。」

    「おはよう…………」

    「もう帰られるんですか?」

    「ええ……ここに居ると辛いの……。」

    「そう……ですよね……。」
  43. 43 : : 2015/04/26(日) 20:36:54
    境内の掃除を終えて、最後に霊夢さんとフランさんのお墓掃除になる。
    咲夜さんや美鈴さん、パチュリーさんや魔理沙さんたちは紅魔館のあった場所にお墓がある。

    2人とも、紫さんやレミリアさんがお墓を掃除をして居るので、汚くは無いが……。

    「あれ…………?」

    フランさんのお墓の前に、何かが落ちている。

    「これって…………。」
  44. 44 : : 2015/04/26(日) 20:37:56
    汚れているが、これはまさしく……











































    フランさんの帽子……だった…………
  45. 45 : : 2015/04/26(日) 20:41:54
    ……終わりになります。


    はっきり言ってこの物語、>>1の部分を書きたかっただけです。
    こんな暗いendになるとは思いませんでした。

    なんだか「お姉様なんて死んでしまえ!」みたいなフランが多いと思ったので、レミリアを健気に思うフランを書きたかったんですが……

    これはひどい。どこが健気なんでしょうかね(笑)

    っていうかそもそも、誰か読んでたのかなぁ……。
  46. 46 : : 2015/04/26(日) 22:45:18
    楽しませて頂きました!
    乙です!
  47. 47 : : 2015/04/27(月) 19:09:34
    てつぶんさん

    ありがとうございます。読んでくれてる人が居たなんて感激です!
  48. 49 : : 2016/12/02(金) 18:46:57
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