春風と太陽
- ミステリー × 推理 × 私小説
- 1226
- 3
-
- 1 : 2015/04/08(水) 12:55:39 :
- ※これはある話の作者の友人視点と作者の視点を混ぜて、少しフィクションを混ぜた作品です(作者はこの話のどこかに登場するのは確かですがどのポジションの人かは伏せておきます)
※名前は適当です、実際の人物の名前ではないのでお気を付けください
退屈だ
何しても駄目、むしろ何もしてない
何もしてないから退屈なのだろうか
小学校、中学校と来てこれとはね
通信高校とか自分に対して怒りを覚えたよ
学年30人だぞ?一クラスの間違いだろ?
いっそのことなんとしてでも転校でも考えたスケジュールを用意するか?
駄目だ、そもそもそんなこと出来ればここに居ない
やってみれば出来るかもしれないと親は言ってくれるが、する意味なんてあるかどうかすらわからない
俺はしたいことはあれどそれが出来た試しが無い
けど本当はわかってるはずだ
チャンスならあるってことを
ただそれを今踏みにじろうとしてるだけだと
ただその踏んでいる物が自分にとって道端を歩いていた蟻くらいにしか思ってなかったこと
もう決めたぞ
踏んだ蟻を拾うんだ、それしか俺の望んだ未来は無い
高梨「ねえ、聞いてるの?」
田沼「ああ、そうだな」
うっかりしてた、この通信高校に来て始めて仲良くなった「女子」・・・高梨さんと話していたのだった
彼女はさっぱりしていて、友人として付き合うには申し分ないのだが、ぽっちゃり系と言うのだろうか?まあそんなくらいのイメージのクラスメイトだ
高梨「次の時間どっち受けるの?」
田沼「んーまあ人が多い方だな・・・」
高梨「個性が薄くなるでしょ、それは」
田沼「別にそれで困らないからいいんだよ」
やっぱり通信高校と言うべきか、普通の全日制とは違う所が随所にある
まず人の性格の偏りだ、女子に関してはあまり普通の高校との違いを感じない・・・つまり色々居るということだ
男子と違いしっかり全日制と通信制の高校の違いとメリット、デメリットをわかって居るのだろう、つまり青春的な考えが薄いということかもしれない
思ったより現実では青春を謳歌したいとか考えている学生は少ない気がする、今までがそうだった
それでも全日制じゃないと損をした気分になるのは漫画やアニメの影響だと思う、あんな風に人生を楽しめるなら死んでそういう環境に転生したいね
それでもって男子だが・・・明らかに偏りを感じる
チャラいか静かすぎるかの両極端だ
チャラい奴はすぐに人と喋って仲良く?なる
静かなのは全く何も自分から喋らない
俺はまず隣に座っていた奴から喋った(その後数人と喋ったりはしたが長く話をするのは高梨だけだ)
俺は浮いてるのでは?と思ったがこうして話せる奴が居るだけでもかなりいい方かもしれない
そんなことを考えて、俺の入学一日目の学園生活?は終わったのだった
それが引金だったかのように、俺の毎日は劇的に・・・そう漫画やアニメのような日々が始まるのだった・・・
-
- 2 : 2015/04/08(水) 13:38:19 :
- それは春風と共にやって来て、太陽の如く輝き続ける思い出だった
中田「あ・・・ここに居たんだ」
田沼「おー中田、隣座るか?」
中田「うん、話たいことがあるしね」
中田「あれ?コータローって何か部活やってたっけ」
田沼「いいや、どうしてそうなる?」
中田「鞄にタオル掛けてあるからさ」
田沼「まあ、それは気にしないでくれ」
彼はここで知り合った第二の友人・・・中田友康(なかたともやす)だ
温厚で、物静かだが好きなことについて話す時はかなりグイグイ来る・・・まあ平たく言えば人柄にいい奴だ
自己紹介が遅れたが、俺は田沼幸太朗(たぬまこうたろう)冴えなくて冷静気取ってるただの馬鹿だと思って欲しい
中田「コータローはいつもここで食べてるの?」
俺はこの通信高校があるビルのフリースペースで緑茶を片手におにぎり(梅干し)をかじっていた
田沼「人が見れるからな」
中田「実は寂しがり屋なのか、コータローは( ̄∀ ̄)」ニヤニヤ
田沼「合ってるのは合ってる、がここでは違うな」
中田「じゃあなんで?」
田沼「まずはあの人」
俺は今ポットで茶を入れている教員の一人を指さした
これから昼の休憩時間なのだろう
中田「桐谷先生がどうかしたの?」
田沼「名前は覚えてなかったな・・・」
俺は物覚えが悪かった、それだからこそここに居るのかもしれない
田沼「まあ、見てればわかるが多分もうすぐあの人はコケる」
中田「先生の授業面白いのになあ」
田沼「そういうんじゃなくて普通にコケる」
そう言った瞬間、茶を持ってフリースペースに来ようとした桐谷・・・某(なにがし)はこちらに狙ったのように茶をぶちまけた
勿論、俺は咄嗟にタオルで巻いてあった鞄を盾にして防いだのだが
中田にそれを伝えるのを忘れていた
中田は着替えることになった
-
- 3 : 2015/05/01(金) 17:57:20 :
- ところで思うのだが、先生という物は生徒から見ても優劣を見極めることが出来ると思う
取り敢えず上下関係がこの社会にはあるもののそれは人が考えることに妨げにはならないという事だ
先程の桐谷・・・某は先生という立場を使って実に上手く生徒をまとめているように見える
人心掌握術とでも言えばいいのか・・・基本的に優しく温厚に生徒に接していながら、一人一人と向き合う姿勢で・・・俺が言うのもなんだが、一つの欠点を除けば素晴らしく出来る先生だ
だが優しいだけが人心掌握に繋がる訳ではない、生徒を無理にでもまとめなければならない場合は逆にボロクソに言うことがベストな場合もある
スポ根漫画というのがあるがそれがいい例のことが多い、スポーツでなくとも、吹奏楽や演劇でも、とにかく生徒を動かさなかればならない時、先生という立場の人間が悪役を買うのだ
それにより生徒側は一致団結し、より一層活動に取り組むという訳なのだが・・・世の中には勘の良い奴も居るもんでな
そういうのは大きく分かれて二つに分かれる
その一、先生の手のひらに踊らされているのを知っても尚従順で有り続ける者
その二、知った途端先生に対して強い嫌悪感を抱く者
その一はある意味利口な奴だ、問題が起こるのを回避した
その二はその一と大佐なくも見えるかもしれない、その一であってもその手の感情が無い訳じゃない、むしろ少しはなければいけないとは思う
だがその二は行動に移る場合が多い、わざと練習に参加しなくなったり、部活等を退部してしまったりする
俺はその二に限りなく近いその一だった
ひねくれ者な癖がずっと治らない、俺はそういう奴だった
・・・・・・・・・・・・・・・
中田「ところでさ・・・」ゴソゴソ
田沼「何だ?」
中田「どうして桐谷先生があそこでコケるってわかったのさ?」
田沼「本当にコケると思ってたわけじゃなかったが、警戒してた・・・んでまず今から説明するが、前提としてあの先生はドジを踏むことが多いことを思い出して欲しい」
中田「いつも教材は忘れてるんだよねえ・・・だから予め僕は先生には付き添っていくようにしてるよ」
田沼「そういえば理科の当番だったか、中田は」
中田「うん、それでドジってだけで決めつけてた訳じゃないよね?」
田沼「ああ、実は昨日の放課後からフリースペースに二台ほどあのルンバが置いてあってだな、サーティワンで買ってきたコーヒーコーヒーのダブルを・・・」
中田「ほぼ毎日食べてるよね!?よく元気だね!?」
田沼「・・・まあ食べながら物珍しいもんで動きを見てたんだ、それであることに気づいた」
中田「コーヒーコーヒーと違う奴にダブルにすれば良かったのに・・・」
田沼「そうそう、迷った挙句に同じ奴でダブルとか損だよn・・・って違うに決まってるだろ!」
中田「・・・」
田沼「・・・で気づいたのはルンバの動きに明らかに偏りがあることだ」
中田「偏り・・・ああ、そういえばあのルンバってポットの周りに居ることが多いね」
田沼「やっぱりそうだよな?多分フリースペースに置いてある椅子とかテーブルのせいだ、それを感知して動き回った結果あの周辺にたどり着くことが多いんだと思う」
中田「なるほどね・・・それにドジが合わさると・・・」
田沼「あの先生ならコケてもおかしいなさそうだと思ってた、数日前からあったならまだしも・・・昨日の放課後からだったからな」
中田「そういえばルンバの充電器もポットの所にあったよね、まあポットがあるという事はコンセントがあるのも当然だったけど」
田沼「すまん、それは見てなかった」
中田「コータロー、それはかなりデカイ穴だよ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中田「桐谷先生すごく僕に謝ってたなあ」
田沼「俺が掃除のおっちゃんにルンバの電源の位置変えて貰うよう頼むから、多分これからはもっとマシになるだろうな、またやりそうだけど」
中田「桐谷先生に対する信用は殆どなさそうだね・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
推理物単発予定 シリーズ
- 「ミステリー × 推理 × 私小説」カテゴリの最新記事
- 「ミステリー」SSの交流広場
- ミステリー 交流広場
- 「推理」SSの交流広場
- 推理 交流広場
- 「私小説」SSの交流広場
- 私小説 交流広場