ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

生き残りの想い【エレアニ】(短編)

    • Good
    • 1

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2015/03/21(土) 17:38:10
    また思いついたので書いてみます。

    超短いです。

    すぐ終わります。

    私はエレミカ派ですが、エレアニも作品によっては好きです。
  2. 2 : : 2015/03/21(土) 18:34:51
    すみません、もうちょっと後で更新します
  3. 3 : : 2015/03/21(土) 22:01:54




    「なんか、やな予感がする……」

    それは、壁外調査前夜の食堂で呟くべき言葉ではない。

    しかし、口を突いて出てしまったのだ。

    一応、詫びの言葉を添えておくが、元々暗い皆の表情は更に暗くなった。

    やな予感とは?

    自分でもよくわからないが、もう、今までのように戻ってこれない、そんな予感がしたのだ。


  4. 4 : : 2015/03/21(土) 22:07:20
    部屋に戻ると、無意識に紙とペンを出して、苦手な文章を書き連ねていく。

    何て書こうか、と、最初は悩んだが、書き始めると不思議とスラスラ筆が進む。

    手紙にしても作文にしても、大抵そんなもの。


    明日の壁外調査では、巨人の謎に大きく近づき、もしかしたらこの不本意な現状に終止符を打てるかもしれない。

    そう、夢の一歩手前まで来ていた。

    なのに何故だろう。

    手紙を書く手は止まり、深い碧の瞳から、一筋の涙が伝い落ちる。

    頭に浮かぶあの光景。

    懐かしさと悲しさと虚しさが込み上げてくる。
  5. 5 : : 2015/03/21(土) 22:07:52

    手紙が書けた。

    外に出る。

    空を見上げる。

    月が丸い。

    星が輝いている。


    「綺麗だな……」
  6. 6 : : 2015/03/21(土) 22:08:38
    今日はなんだかおかしい。

    思ったことを簡単に呟いてしまう。


    地下に行こうとしたところを見つかってしまった。

    今までに無いほどに頭を下げ、頼み込んだ。

    眼鏡をかけた分隊長は、少し声を落として聞いてきた。


    「彼女のことが、好きなのかい?」


    「……さぁ、でも、大事な仲間でした。」


    曖昧な返事をする。

    しかし、その答えはさっき書いた手紙に書いてある。


    分隊長は溜め息をついて、鍵をくれた。

    終わったら必ず返しにくることを約束した。
  7. 7 : : 2015/03/21(土) 22:09:38
    地下へ降りる。

    鉄格子で仕切られた向こう側に見える水晶体。

    綺麗だ。

    さっきもらった鍵で扉を開ける。

    少し早足で水晶体の前に行く。

    そして触れる。

    そして呟く。


    「なあ、俺、明日壁外調査に行くよ。」


    届かないのに、呟く。


    「お前は、どんな気持ちだったんだ?訓練の時、俺を蹴飛ばしてた時、人を、、殺したとき……」


    手を離して、呟く。


    「俺は、お前のこと…………」


    言葉がつまる。


    「もう、行くからさ、出てきたら、読んでくれよ。」


    水晶体の前に、手紙を置く。

    もう一度、話をしたかったが、出てこない。

    夜も遅いので、鍵を返しに行く。

    その時、分隊長に聞かれた。
  8. 8 : : 2015/03/21(土) 22:10:30





















    「エレン、どうして泣いてるの?」




















  9. 9 : : 2015/03/21(土) 22:11:05




    翌日、人類の全てを懸けた壁外調査が始まるが、始まったばかりで兵はほぼ壊滅。

    精鋭が立ち向かうも、知性巨人の群れは壁内を蝕む。

    人類は、その日、終焉を迎えた。






  10. 10 : : 2015/03/21(土) 22:11:40

    人類の終焉からどれ程の時が経っただろうか。

    破壊された天井から月明かりが差し込み、水晶体が溶けていく。

    かつて氷の女と呼ばれた、パーカーを着た彼女は、相当久しぶりに、その足を地につける。

    ふらつくと同時に、ぼんやりと頭に浮かぶ、死に急ぎ野郎の悲しそうな顔。

    ふと、足元を見ると、手紙が落ちている。
  11. 11 : : 2015/03/21(土) 22:15:09











    手紙を手に取った。

    外に出る。

    空を見上げる。

    月が欠けている。

    星が輝いている。


    「負けちゃったんだ…………」














  12. 12 : : 2015/03/21(土) 22:15:36
    あの手紙を開いてみる。

    汚くて丁寧な字が、想いを訴えてくる。


    力の入らない足が、バランスを崩して膝をつく。


    「ぅ…………あぁ……」グスン


    あの日、格闘で負けた時以来だろうか、涙を流したのは。


    胸が苦しい。

    心が苦しい。

    息が苦しい。

    涙が止まらない。


    「私も、あんたのこと…………」


    呟きかけて、止まる。

    流れ続ける涙は、月の光を受けて、儚い輝きを放っている。
  13. 13 : : 2015/03/21(土) 22:16:36



















    誰もいない、何もない寂しい世界の中、

    力なく座り込み、

    氷の女は暗く切ない夜を越えて行く………
















    -fin-
  14. 14 : : 2015/03/22(日) 08:28:14
    切ないです…
    でもいい話でした。泣きそう
  15. 15 : : 2015/03/29(日) 16:44:04
    切ない…

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
KYT-COCON

ココンさん

@KYT-COCON

「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場