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『Bounty』77期生生き残りゲーム

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  1. 1 : : 2015/03/18(水) 19:30:25
    77期生がジャバウォック島で繰り広げるサバイバルゲームです。

    『Bounty』の意味するものが何か。楽しみにしていただけたらと思います。
  2. 2 : : 2015/03/18(水) 19:51:11
    Prologue____















    その日は、ただの365分の1の1日ではなく…

    もっと特別な意味を持つものだった。

    俺は本当の意味で夢を叶えたんだ…。


    ─日向 創 様へ─

    あなたを『超高校級の相談窓口』として、希望ヶ峰学園本学科へご招待いたします。


    日向「俺… 本当にこの学園の一員になれたんだよな…。」

    話せば長くなるけど…まぁ。それはおいおいと話すことにする。

    新たな気持ちを胸に校門をくぐる。


    日向「おっと… 俺の校舎はもうこっちじゃないな…。」

    『←予備学科校舎 本学科校舎→』

    突き当たりのT字の通路を俺は「右」へ向かった。

    「左」の方から刺さるような視線を感じるがそんな事は気にしない。

    日向(何とでも言え…… 俺はもうお前らとは違うんだ…!!)

    『2ー1』

    俺は堂々と、俺にとって新しい教室の扉を開いた。
  3. 3 : : 2015/03/19(木) 12:00:05
    九頭竜「おっ 来たな!」

    日向「あぁ。おはよう。」

    罪木「おはようございます 日向さぁん…」

    改めて感じる。俺はこのクラスの一員になったのだ。

    澪田「創ちゃんのイス。あっちに用意したっすよ!」

    日向「あぁ。ありがとう。」

    日向(窓側か…)

    七海「すぴー…」

    日向「隣は七海かぁ…」

    日向「おはよう。七海。」

    七海「ふぁ? あぁ…おはよう。日向くん。」

    七海「今日から改めてよろしくね。」

    日向「あぁ。よろしく。」

    九頭竜「よろしくな。」

    日向(前は九頭竜か…)

    日向「よろしくな。九頭竜。」
  4. 4 : : 2015/03/19(木) 18:21:26
    期待です!
  5. 5 : : 2015/03/20(金) 17:50:14
    期待期待期待です!
  6. 6 : : 2015/03/20(金) 19:50:13
    ご期待ありがとうございます!
  7. 7 : : 2015/03/20(金) 20:29:16
    日向(後ろはいないか。俺が一番後ろなのか…)

    狛枝「やぁ。日向くん。」

    日向「狛枝…!」

    狛枝「そんな怖い顔しないでよ日向くん……ボクはただ、一言おめでとうって言いに来ただけだよ…」

    日向「…………そうか。」

    狛枝 凪斗……

    一見すると長身の優男だが、どこか読めない男だ。

    そして、俺が「向こう」にいたときに散々見下してきた男だ。

    狛枝「本学科へ異動おめでとう。日向くん。今日からよろしくね。」

    日向「散々、見下してきて今さら『おめでとう』かよ。 それはイヤミか?」

    狛枝「そんなカッカしないで…怒ってるならほら…深呼吸。深呼吸。」

    日向「チッ…!」

    小泉「ちょっと二人とも! ケンカは……」

    会話を遮るように扉が開いた。

    霧切仁「みなさん。席に着いて~」

    狛枝「ほら。早く席につかなきゃ」

    日向「お前に言われなくても分かってる…」

    仁「さて…と……。全部で15人…いや、16人か。」

    仁「さて…日向くん!」

    日向「は…ハイ!」

    仁「これから『本学科』の生徒として頑張ってくれたまえ!」

    日向「はい。」

    日向(クソッ… 白々しい…)
  8. 8 : : 2015/03/20(金) 20:43:23
    仁「君たちは…言うまでもなく、我が希望ヶ峰学園の誇りであり…象徴である!」

    仁「日向くんも…この事をしっかり今日から自覚してくれたまえ。」

    日向「はい…。」

    要は学校に恥をかかせるマネをするなって事だ。

    なら最初っからそう言えよ。白々しい。

    仁「さて…突然だが…君たちにはこれから…『特別強化合宿』を行ってもらう!」

    弐大「『強化合宿』じゃと…? 」
  9. 9 : : 2015/03/21(土) 09:50:41
    西園寺「えぇ~! イヤだよ~ そもそも何の『合宿』なの~?」

    澪田「はいはーい! バナナはオヤツに入りますか~?」

    十神「オヤツだろう。」

    西園寺「絶対いるよね~ こういう時に決まってバカな質問するヤツ」

    仁「悪いが… この合宿に関しては一切の質問は答えられない。」

    澪田「バナナがオヤツかどうかも!?」

    日向「どれだけバナナにこだわるんだ…」

    十神「静かにしていろ。」

    学園長は軽く咳払いをした。

    仁「出発は3日後になる。特に必要なものはないが…特に持ってきていけない物はない。」
  10. 10 : : 2015/03/21(土) 17:31:27
    日向「特別強化合宿……?」

    学園長が去った後の一同は全員、頭の上に「?」が見えそうだった。

    左右田「やっぱ気になっけどよぉ… 一体何の強化合宿なんだ?」

    終里「強化合宿ってなんだ?オッサン。」

    弐大「応ッ! 部のメンバーで…若しくは他校のチームと共に泊まり掛けでトレーニングすることじゃあ!!」

    狛枝「いや、他校の生徒と同行することはあり得ないんじゃないかな?」

    辺古山「と…言うと?」

    狛枝「だって… あの学園長がこの合宿に関して何の質問も答えないなんて…ただ事じゃないよ…」

    狛枝「きっと…強化合宿と言う名の…何か特別なイベントだよ。」

    左右田「特別なイベントねぇ…」

    小泉「とりあえず… 出発の日までは授業はないみたいだし…ゆっくり仕度できそうね。」

    日向「特に必要なものはないって言ってなかったか?」

    花村「日向くん! それは甘い… 実に甘いよ!」

    西園寺「イヤだー! 絶対イヤらしい意味で言ってるよ~!!」

    花村「えっ!? いや、今のはそういうつもりじゃないんだって! ホントに!」

    日向(やっぱ 変わらないな… 1年の時から…)

    この教室に来る前から俺はこのクラスのメンバーと面識があった。

    それが俺の『超高校級の相談窓口』たる大きなきっかけでもあるんだけどな…。

    日向「さて… まぁ最低限の仕度はしていくかな。」

    七海「ねぇ。日向くん」

    日向「ん? どうした?」

    七海「日向くんは何持っていく?」

    日向「そうだな…まぁ。泊まりに必要な物とか…」

    七海「よかったら…一緒に色々見ていかない?」

    日向「え?」

    七海と『強化合宿』の仕度をする…


    >>11
    はい
    or
    いいえ
  11. 11 : : 2015/03/21(土) 17:40:57
    はい
    フラグ来たー
  12. 12 : : 2015/03/21(土) 20:25:15
    安価にご参加ありがとうございます!

    日向「そうだな。じゃあ色々見て回るか。」

    左右田「ソニアさん よかったら一緒に…」

    ソニア「田中さん! 一緒に合宿の準備しませんか?」

    田中「それ以上近づくな。」

    左右田「…………」

    日向(左右田… ドンマイ…!)

    ───────
    ─────
    ──


    七海「やっぱトランプは定番だよね」

    日向「俺はUNO派かな。」

    七海「他にはえぇと…」

    日向「おい…そろそろゲーム以外も見ないか…?」

    七海「あ、そうだね。」

    七海「ところで… お泊まりって何が必要なのかな?」

    日向「あぁ。そうだな…」

    思えば… 俺が『予備学科』に入った時、最初に話しかけてきたのは七海だった。

    特別な事情があるようで、分からない事がある度に俺が答えている…


    色々と買い揃えているうちに夕暮れ時になっていた。

    七海「遅くまでありがとうね。日向くん」

    日向「気にすんなって。またな」

    七海「ばいば~い」
  13. 13 : : 2015/03/21(土) 22:44:58
    出発までは3日と聞かされていたが、思いの外あっという間に3日は過ぎた。

    みんな一様に修学旅行にでも行くような格好だ。

    小泉「カメラもバッチリ用意したし、替えのバッテリーもちゃんとある…と。」

    小泉「よし! じゃあ張り切って撮影しよ!」

    左右田「その荷物はなんだよ弐大…」

    弐大「無ッ! これか! 強化合宿の為のトレーニング用具じゃ!」

    七海「ふぅ… やっぱ持って来すぎちゃったかなぁ…」

    日向「な…何が入ってるんだ…?」

    七海「やっぱりPS3とWiiUはどっちか1つにするべきだったなぁ…」

    日向(家庭用ゲーム機2つも持ってきたのか…)

    仁「さて、揃ったようだね。」

    仁「全員、バスに乗ってほしい。その後、空港から飛行機が出るから…ガイドに従って移動してほしい。」

    と、話す学園長をよそにみんな楽しげにバスに乗り込んでいった。

    仁「ま…まぁ。 みんなくれぐれも気を付けて(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)くれたまえ…」

    日向「よっと…」

    七海「隣いいかな?」

    日向「あぁ。いいぞ。」

    澪田「学園長さんは行かないんすか~?」

    仁「まぁね。 君たちだけで楽しんできてくれたまえ。」

    俺を含め総勢16人。全員がバスに乗り込んだ。

    バスは俺たちを揺らしながらゆっくりと出発していった。


    仁「くれぐれも気を付けて…か。」

    仁「気の毒な生徒だ…。」
  14. 14 : : 2015/03/21(土) 23:41:06
    思ったより早く空港にたどり着いた。

    弐大「終里よ。パスポートはちゃんと持ったか?」

    終里「あぁ~ これだろ?ちゃんと持って来たって!」

    ソニア「パスポートを要求されるということは…合宿先は海外なのでしょうか?」

    九頭竜「ナゾの多い旅行だな…」

    それは恐らく全員が思っている事だろう。


    思えば、この時ならまだ引き返せたんだ…。



    タキシードの男「希望ヶ峰学園のみな様でございますね…?」

    俺たちの前に現れたのは高そうなタキシードを身に纏った男だった。

    タキシードの男「お待たせいたしました…。 みな様には特別な専用機をご用意しておりますので…」

    タキシードの男の案内で俺たちはその『専用機』に案内された。

    田中「これは…」

    左右田「すげぇ…」

    どこのセレブ御用達の物かと思う程の豪華な内装だった。

    日向(さ…さすが希望ヶ峰学園って感じだな…。)

    日向(って… 俺らから巻き上げた金はこんなことに使われてたのか…?)

    今さらながらにおかしな怒りが湧いてきたが気にする事はない。

    なぜならもう俺は「こっち側」だからだ……。

    西園寺「わぁ~ すごぉい! イスふっかふかだよ!」

    小泉「こら! 跳ねちゃダメだよ日寄子ちゃん!」
  15. 15 : : 2015/03/22(日) 00:40:47
    いつの間にやら飛行機は海の上までたどり着いていた。

    左右田「ホントにどこに向かってんだ?俺ら…」

    田中「今はちょうど太陽が最も高く昇る」(とき)……。俺たちはその太陽に向かってほぼ直進している。 南の方角へ進んでいるのは間違いないな…」

    ソニア「さすがは田中さんです!」

    七海「ねぇ。日向くんの番だよ?」

    日向「え? あぁ。」

    飛行機内じゃゲーム機は使えないから七海は少し退屈そうだ。

    日向(ゲ… ババかよ…)

    澪田「創ちゃ~ん ポッキー食べるっすか?」

    座席の向こうから澪田がひょっこり顔を出してきた。

    澪田「二人でババ抜きっすか? じゃあ後で唯吹も混ぜてほしいっす!」

    日向「あぁ。いいぞ。もちろん…」

    日向(え…?)

    手元で間抜け面をしたクラウンが笑っていた。

    七海「わたしの勝ち♪」

    七海が嬉しそうに言った。

    澪田「あちゃー… ドンマイっす 創ちゃん!」
  16. 16 : : 2015/03/22(日) 00:59:08
    ─操縦室─

    パイロット「えぇ。それでは…計画通りに…」

    パイロット「悪く思わないでくれよな…」


    ─客室─

    澪田「げげっ! ババ引いちゃったっす!!」

    日向「おま…それ言っちゃダメだろ…」

    花村「女の子二人とトランプ? いやぁ 羨ましいなぁ~! 日向くん!」

    辺古山「気分はよろしいですか? 乗り物酔いなどされては…」

    九頭竜「大丈夫だっての! オメーもいちいちガキ扱いすんなよ…」

    終里「……? なぁ なんかにおわねぇか?」

    西園寺「左右田~!」

    左右田「俺じゃねぇ! ってか…これ…」

    明らかに人体に毒そうな煙が立ち込めていた。

    小泉「ちょっと… なんなの…? これ…」

    日向「ゲホッ!! な…にが…どうなっ…」

    七海「ひなた…くん?」

    日向「なな…み? どうした? しっかりしろ…!」

    七海「なんだか… ねむい…かも しれ……な………」

    周りのみんなもバタバタと倒れていく。

    日向「くっそ…」

    最後に見たものは、毒々しい色をした煙の向こうで、俺のクラスのメンバーが全員床に臥している光景だった。
  17. 17 : : 2015/03/22(日) 13:11:23


    ─???─

    日向「ん… ぐっ……」

    目を覚ますと、俺はジャングルのような茂みに横たわっていた。

    日向「なんだ? ここは…?」

    飛行機にいたときにはほぼ真昼だったにも関わらず、かなりの夜更けのようだ。

    日向「みんなは…? どこだ!?」

    居ても立ってもいられず、飛び起きて辺りを見回した。

    すると…

    日向「ん?」

    ヒラリと何かの紙切れが落ちた。

    日向「なんだ? こんなの貰ったっけ…?」


    『強化合宿のしおり』

    何やら合宿にはそぐわないような字体で記されていた。

    ─強化合宿のしおり─

    希望ヶ峰学園77期生の諸君!

    君たちは幸運にも最狂にして最強!サイコにしてサイコーの人生逆転ゲーム『Bounty』に招待された!

    このしおりを見たら裏面の地図を頼りに中央の島まで来てほしい!

    さぁ… 血塗られたゲームの幕開けだ!

    Come here now !



    日向(なんだよ?このふざけた文章は…?)

    日向(だけど…無視するワケにはいかなそうだな…)

    わけの分からない虫と鳥が不気味なハーモニーを奏でる。

    日向「クソッ… 何がどうなってんだよ…?」

    茂みを掻き分けつつ、『中央の島』を目指した。
  18. 18 : : 2015/03/22(日) 14:30:30
    日向「いててっ!」

    トゲのある植物や、変な虫に刺されつつ、なんとか茂みを抜け出した。

    日向「むこうか…中央の島は…」

    小泉「日向!?」

    日向「小泉? 小泉も中央の島へ?」

    小泉「うん…だけど目が覚めたら道の上に寝てて…『中央の島に来い』って書いてあったから…」

    日向「そうか… 小泉もか…」

    小泉「え…?」

    日向「いや…俺も実はジャングルで目が覚めて… あの紙に書いてあった通りに来たんだけど…」

    小泉「ふぅん。 まったく… 何がいるか分からないジャングルでのんびり寝てるなんて…これだから男子は…」

    日向「お前も道端で寝てたんだろ?」

    小泉「も…もう! うるさい!」///

    小泉「それより…みんなもう来てるみたいだから…早くしなよ。」

    日向「そうだな。 何か分かるかも知れないしな。」
  19. 19 : : 2015/03/23(月) 12:49:09
    ─中央の島─

    十神「やっとか。貴様が最後だぞ。」

    日向「ごめん。 ちょっとジャングルに寝てて…」

    左右田「ジャングルに寝てたって どういうことだよ!」

    左右田「まぁ… かくいう俺も戦車の上で寝てたけどな…」

    日向「みんなこの島の何処かで目覚めたのか?」

    十神「どうやらそのようだ。全員バラバラに島のあちらこちらに寝かされていた。」

    田中「この悪魔と恐れられた俺様の意識を奪い…この島に放置するとは…かなりの実力者か…」

    ソニア「では田中さんはどちらで?」

    田中「ちょっと… 牧場で魔獣と共に眠っていた…」

    田中「だが… 我が破壊神暗黒四天王によって… 俺様は常闇の底より覚醒したのだ!!」

    日向(あのハムスターたちに起こされたってことだな……)

    辺古山「わたしたちは飛行機に乗っていたが… おかしな煙が立ち込め…意識を失ってしまったな。」

    罪木「お…恐らく…笑気ガスかフェンタニルと呼ばれる合成麻薬の類いだと思われますぅ…」

    罪木「量を間違えると死んでしまうほどの危険な物なのですが…」

    西園寺「あぁんもぅ!! ゲロブタはとりあえず黙っててよぉ!!」

    罪木「なんでわたしだけぇ!?」

    左右田「な…なぁ マジな話…これってテロなんじゃねぇか?」

    九頭竜「『超高校級』と聞いて人質にすれば大金が手に入るとでも思ったのかもな…」

    九頭竜「ケッ… 食えねぇヤローだ。」


    全員が今の状況について様々な意見を交わす中…


    七海「ちょっと 静かにして。」

    七海「ねぇ なんか聞こえない?」

    日向「そういえば…聞こえるな?」

    弐大「何やら音楽のようじゃのぅ。」


    突然、「それ」は始まった。


    左右田「どっかで聞いたことあるな…」

    ソニア「『カンフー・ファイティング』ですね!」

    左右田「よ…よくご存じで…」

  20. 20 : : 2015/03/24(火) 20:32:40
    何やらファンキーな音楽があたりに流れ……

    これまたファンキッシュな男が降り立った。

    そして、『俺が主役だ』と言いたげにステージの中央で躍り狂った。


    九頭竜「な…なんなんだ? あのふざけたヤローは…」

    花村「あ…ははは… 何かのサプライズかな?」


    その光景は余りにも異常であった。

    いきなり訳の分からない島に放り込まれ、集まれと言われて集まってみれば今度はファンキッシュな男が躍り始めた。

    そして散々躍った後、音楽が鳴りやんだ。
  21. 21 : : 2015/03/26(木) 13:27:39
    ??「レディース アーンド ジェントルメェーン!!」

    左右田「うわっ!」

    日向「み…耳が…」

    ??「希望ヶ峰学園77期生の諸君! ようこそぉー! ジャバウォック島へ!!」

    西園寺「なんなのー!? あの頭のおかしいバカ男は!」

    九頭竜「うるせぇぞ!! 音絞れや!!」

    ??「Oh… ジーザス! いきなりブーイングでお出迎えとは…キビシイぜ…」

    アフロヘアーにスパンコールだらけの衣装、デカイ蝶ネクタイにサングラス。

    都会の人混みに紛れても10秒で見つけられそうな派手な(おかしな)格好であった。

    DJ「俺のことは…DJジョニーと呼んでくれ!!」

    澪田「ジョニーって外国人なんすかね?」

    西園寺「どうせ小林とか田中とかっていう冴えない名前なんだよ!」

    田中「フン 田中が冴えないだと…? 佐藤などに比べれば余程マシだと思うがなぁ!」

    日向(全国の小林さんと田中さんと佐藤さんに失礼だろ…)

    DJ「うるせぇ!! 誰が小林だ! あと勝手に喋るんじゃねぇ!!!」

    日向(アイツ沸点低いな…)

    DJ「君たちは… 由緒ある人生逆転ゲーム… 『Bounty』に参加したワケだが… 「参加パス」について説明したいと思う!」

    辺古山「参加パスだと…?」

    DJ「君たちの手首にあるクールな腕輪のことさ!!」

    日向「腕輪…? そんなもの…」

    気がつくと左の手首に黒い腕輪が嵌められていた。

    腕輪の割にはなかなか重さがあるような…
  22. 22 : : 2015/03/27(金) 17:58:02
    DJ「そのパスはこの島のありとあらゆる施設を使う際に役立つからなぁ! あと…ムリに外そうとしないでくれよ?」

    DJ「それから… 許可なくこの島から出ようとするのもNGだ! もしコレを破ったりすると…」

    DJ「ポンっ!」

    日向「な…」

    DJ「それでは… みなさんもお待ちかねのようですし… そろそろメンバー紹介といこうか!!」

    『ワァアアアアアアアアアアアアッ!!』とどこからか歓声が湧いた。

    終里「め…メンバー紹介?」
  23. 23 : : 2015/03/27(金) 18:41:12
    DJ「エントリーNo.1! 予備学科からのまさかの大出世! 話上手は聞き上手!『超高校級の相談窓口』 日向創だぁ!」

    日向「…………」

    DJ「さて… 気になる彼の『Bounty』は~?」

    DJ「300,000,000円だぁあああっ!!」

    『ウォオーーーッ!!!!』

    また何処からか歓声が湧いた。いや、それより…

    日向「ば…バゥンティ? さ…3億!?」

    DJ「あ~ その説明については後にさせてくれ。元予備学科の日向クン。」

    日向「なっ…!」

    DJ「エントリーNo.2 箱モノ携帯据え置きボードゲームまで… ゲームと言えばこの娘におまかせあれ! 七海 千秋だ!」

    DJ「さぁ…気になる彼女のBountyは~?」

    DJ「180万USドル!日本円にして約214,640,000円だ!」

    七海「…………。」

    DJ「続きまして…エントリーNo.3!不幸の数だけ幸運がある!? 彼にとっての「幸運」とは何なのか!?『超高校級の幸運』狛枝 凪斗!」

    DJ「Bounty…2,500,000ユーロ! 日本円にして…」

    狛枝「約324,000,000円だね…」

    DJ「ぐっ… 勝手に喋るんじゃねぇ!つってんだろ!!」
  24. 24 : : 2015/03/27(金) 23:52:52
    何でだろう?DJ がケロロのダソヌマソでしか再生できない…
  25. 25 : : 2015/04/13(月) 02:18:39
    DJ「え~ ゴホン…」

    DJを名乗る男は咳払いをした。

    DJ「つづきまして…エントリーNo.4!たったひとつの瞬間ねらう!赤髪そばかすの名カメラマン!小泉 真昼!」

    DJ「Bounty…98万ドル! 日本円にして約110,000,000円!」

    小泉「なに…?何なの? バウンティって… わけがわからないよ…」

    DJ「つづきまして…エントリーNo.5!名前もなけりゃ性別もわから~ん… 性格も声も分からな~い おまえは一体なんなんだッ!? 超高校級の詐欺師さんで~す!」

    十神「なッ…!?」

    終里「オメーなに言ってんだ?そこにいんのは十神だろーが」

    日向「そうだ… アイツが詐欺師だなんて…」

    十神「…………」

    日向「と…十神?」

    ソニア「十神さん…? ウソ…なんですよね?」

    十神「……あとで俺から話す…。」

    DJ「ぬ…ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ……」

    日向「と…十神」

    DJ「うるせぇええええええええええええええええ!!!」

    耳を劈…というよりは叩き破るような轟音が鳴り響いた。

    DJ「黙ってろつってんだよ! こっちはよォオオ!! 最近の高校生ってのは少しも黙っていられねぇのかぁああああ!?」

    西園寺「うわ~ こんな事思いつく時点でマヌケなのに怒るともっとマヌケ面だね~!」

    DJ「黙れッッ!!! クソガキがぁあああああ!!!」

    西園寺「ひっ……」

    小泉「日寄子ちゃん…! 挑発したらマズイって…」

    DJ「テメーらに向けてのものだけじゃねぇんだよ!! 時間押してんだから黙ってろ!!!」

    DJ「ったく テメーらのせいでだいぶ押してんじゃねーか…」

    DJ「次から紹介は省くぞ。」

    「そんなもん最初っから誰も望んでねーよ。」

    きっと誰もがそう思ったが、誰一人として口を開いた者はいなかった。
  26. 26 : : 2015/04/13(月) 02:19:38
    上の名無しは作者です!スイマセン!
  27. 27 : : 2015/04/29(水) 18:03:56
    DJ「えぇ… みなさま。大変ご迷惑をお掛けしました…続きまして… エントリーNo.5!西園寺 日寄子!Bounty73万ドル!」

    DJ「エントリーNo.6!田中 眼蛇夢!Bounty4億2千万円!」

    DJ「エントリーNo.7!ソニア・ネヴァーマインド!Bounty930万ユーロ!」

    DJ「エントリーNo.8!終里 赤音!1億2千万ルーブル!」

    DJのメンバー紹介はかなり雑になってきた。

    日向(それにしても…コイツかなり沸点低いな…)
  28. 28 : : 2015/05/05(火) 17:49:48
    ハッピーエンドはありますか?
  29. 29 : : 2015/05/05(火) 17:51:01
    九頭龍生き残って!

  30. 30 : : 2015/05/17(日) 01:18:12
    DJ「エントリーNo9!花村 輝々! 懸賞金1億8千5百万円!!」

    DJ「エントリーNo10!九頭竜 冬彦! 懸賞金230万$!」

    DJ「エントリーNo11!辺古山ペコ!懸賞金350万$!!」

    DJ「エントリーNo12!左右田 和一!懸賞金8200万ルーブル! 」

    DJ「エントリーNo13 弐大 猫丸!懸賞金1200万$!」

    DJ「エントリーNo14!澪田 唯吹!懸賞金7500万円!!」
  31. 31 : : 2015/05/19(火) 15:47:35
    DJ「最後に罪木 蜜柑1億円。」

    罪木「な…なんでそんなわたしだけ雑なんですかぁ!?」

    西園寺「うるさい! あんな全身バカ丸出し男にご丁寧に紹介してもらってどうするんだよ!このゲロブタ!!」

    罪木「す…すみませぇん!」

    十神「静かにしていろ…おい。どうやらお前が主催者のようだな…なぜ俺たちをここへ集めた?お前の言うBountyとはなんだ?」

    DJ「フッフッフ…よくぞ聞いてくれた…このサイコーにエキサイティングなサバイバルゲーム…『Bounty』とは何たるか…」

    日向(さっきは勝手に喋るなってキレてたクセに…)

    DJ「説明しよう! 君たちにこれから行ってもらう『Bounty』とは! みな様あちらのフリックをご覧くださーい!!!!」
  32. 32 : : 2015/05/20(水) 14:31:43
    DJ「君たちには今から…この元リゾートアイランド…ジャバウォック島でサバイバルを行ってもらう! 食料やら何やらは各自で用意してくれたまえ。」

    左右田「なんだそれ…? 意味分かんねーしなんで俺たちがこんなところでキャンプ大会なんてやらなきゃなんねーんだよ…?」

    DJ「ハァ? キャンプ大会だぁ? チッチッチッチ…」



  33. 33 : : 2015/05/20(水) 14:37:36
    DJ「困るんだよなぁ…これから行われるこの「Bounty」をそんな生ぬるいお子ちゃまの遊びと一緒にされちゃあ…」

    七海「じゃあ…おじさんはこの島でわたしたちに何をさせたいの?」

    DJ「お… !!オジサ………ぐぅううううううっっっ!!!!」

    DJ「えぇい…まぁいい そんなことより…俺がお前たちに…この島で何をさせたいか… もう大方察しがつくんじゃないのかね?」
  34. 34 : : 2015/05/22(金) 01:32:14
    DJ「君たちにはこれから…命懸けのサバイバルゲームをしてもらう!」

    DJ「ルールは単純かつ明解だ…」

    DJ「お前たち16人で殺しあってもらうのさ…賞金と…命を賭けて!!」


    途端、場の空気は凍りついた。

    まるで、広い湖の水面が一瞬にして氷盤に変わり果てたかのように。

    DJ「このゲームはお前たちが5人に減るまで続行してもらう……」

    DJ「そして! このゲームの魅力は何より! 大量のマネーさぁ!!」

    DJ「ここで人を殺しても刑法には引っ掛からない…大金を手にして堂々大通りを歩けるってワケだ!!」

    日向「まさか…さっき言った「Bounty」っていうのは…」

    DJ「ザッツ ラーイ…」

    DJ「お察しの通り! 例えばぁ?そこの日向クンを殺せば~ 3億円が手に入るのだ!!」

    DJ「ウッヒョーー!! これはお得だね! 俺もできればDJ兼MCじゃなくてゲーム参加者がよかったぜぇ!!!」

    十神「貴様…ふざけているのか…?」

    小泉「そうだよ! ワケ分かんない事言ってないで… 早くここから出しなさいよ!!」
  35. 35 : : 2015/05/22(金) 02:30:05
    DJ「ふざけてる? 俺は至極まっとうだぜ?そもそもこのゲームというのも…」

    DJ「おおっと…これ以上はネタバレが過ぎるぜ…」

    DJ「というワケだから…」


    ガキュン!!!!


    何かの爆発音、硝煙のニオイ。そして何か金属のようなものが弾かれる音。


    辺古山「ぼっちゃん!!」

    九頭竜「ガッ…! くっ!!」


    状況の理解にかなり時間がかかった。


    DJの手には西部劇に出てきそうなリボルバーが握られていて…

    九頭竜の後ろにはトカレフが転がっている。
    恐らく九頭竜の私物だろう。

    DJ「俺と早撃ちで勝負しようだなんて…いい度胸してるじゃないか。九頭竜クン。」

    辺古山「ぼっちゃん! 大丈夫ですか!?」

    九頭竜「大丈夫だ…それより…」

    九頭竜(この暗さで…あの距離から俺の銃だけを撃ち抜きやがった…)

    九頭竜(野郎… 見かけによらず相当の手練れだぞ……)

    DJ「あぁ…ゴホン。なるべくなら俺はゲームに介入したくないが…あまり勝手な行動は見過ごせんなぁ…」

    DJ「それでは… 77期生 生き残りゲーム『Bounty』……」

    DJ「開幕だぁッ!!!!」
  36. 36 : : 2015/05/22(金) 07:51:28
    DJ「それでは…楽しんでくれたまえ…77期生諸君…」

    DJはどこからともなくガスマスクを取り出した。


    足元からもうもうと白い煙が上がる。

    田中「な…なんだ!? コレは…!」

    左右田「やべぇぞ…! ガスだ!」

    日向「ヤバい…! 意識が………」

    DJ「ふっ…フッフッフ……」

    DJ「ハーッハッハッハッハッハッハッハ!!」

    日向「ちく…しょお………」

    意志がどんどん沼の底へ沈んでいった。















    どのくらい時間が経ったかは分からない。

    しかし、夜はまだ明けていないようだ…


    鼻の上に見たこともない蝶が止まっていた。

    日向「んっ んんぅ…」

    日向「クソッ… またジャングルかよ…」

    日向(確か…ガスを吸わされて………)

    頭がクラクラする。オマケに体がいまひとつ言うことを聞かない。


    そして、さらに……

    日向「なんだ?コレ…」

    腕には何やら物々しい腕輪がはめられ…

    大きな箱が側に置かれていた。


    日向「ん?」

    空から何かが聞こえる。

    日向「もしかしたら…!」

    貨物機が頭上をよぎった。

    日向「おーい!! ここだ~!! 助けてくれ~!」


  37. 37 : : 2015/05/22(金) 12:43:07
    手をちぎれんばかりの勢いで振り、貨物機に助けを求める。喉の奥からありったけの声を張り上げる。




    しかし、貨物機は何事もなかったかのように去ってゆく。

    日向「おーい!! おーい おー… ハァッ…はぁ…」

    日向「はぁ…はぁ…はぁ………クソッ…やっぱダメか…」


    叫び疲れうなだれていると…


    日向「ん?」

    何かの電子音が鳴った。

    日向「なんだ?」

    音の主はあの腕輪だった。


    腕輪「あー、あー テスト1、2……」

    聞き覚えのある忌々しい声が聞こえてきた。

    日向(DJ…!!)

    腕輪「お目覚めいかがかな?諸君。さて、これからゲームを始めるにつけて君たちにちょっとしたプレゼントを配付しておいた。」

    腕輪「まず、その腕輪についてだが…ソイツはこの俺とお前たちとのホットラインだ。もっとも…通信は一方通行だがね…」

    腕輪「それと…ムリに外すことはオススメしないぜ?まぁ…よほどの事が無いかぎり、外れたりしないが…」

  38. 38 : : 2015/05/22(金) 14:55:03
    腕輪「それと、そこにある「箱」には役にたつもんがあるから有効活用してくれよな! それでは…アデュー!」

    日向「おい!ふざけんな!! 何なんだお前は!!返事をしろ!」


  39. 39 : : 2015/05/22(金) 15:08:29
    一方通行であることが本当かウソかに関わらず、返事がかえってくるはずがなかった。

    日向「クソッ!」

    日向「そういえば… ヤツから何か送られて来たんだったな。」

    日向(あの貨物機ももしかしたら…)


    箱にはパラシュートが付いていた。

    日向(グルってことかよ…)

    箱の中に入っていたものは…

    日向「な…なんだよコレ…」

    かなり大きい散弾銃であった。



    【狩猟用ショットガン】

    ポンプアクション式のショットガン。
    【警察用ショットガン】に比べ、銃身が長く射程が長い。

    装弾数:6



    日向「こんなの…何に使えってんだよ!! 俺は絶対にそんな事しないぞ!!!」

    叫び声が虚しくジャングルに木霊した。

    日向「とりあえず……誰かと合流しよう。」

    認めたくない。俺のクラスにそんなバカな事をする人間はいない。

    そう信じたいはずなのに、この猟銃から手を離すことが出来なかった。
  40. 40 : : 2015/05/23(土) 16:40:30

    ─???─


    まるで「平民お断り」とでも言いたげな、「豪華絢爛」をそのまま表したような空間が地下に広がっていた。


    そこに集まるのはこれまた「成金」という文字をそのまま表したようなセレブたち。


    そして、本当の「貴族」たち…。


    男「いやはや…始まりましたなぁ。」

    小太りの男が扇子を片手に呟く。

    男2「えぇ。一体どのような事になるやら…」

    男「しかしまぁ…えげつない事を考えるものですなぁ~」

    男2「なにをおっしゃる。貴方こそこのゲームを楽しんでいるではありませんか…」

    男「ハッハッハ それを言われると弱いですなぁ~」

    子供「ねぇ父上~!!」

    その男の子供らしい少年が寄ってきた。

    体系から顔つきまで間違いなく遺伝子を引き継いでいそうだ。

    男「なんだい?フェルディナント?」

    フェル「父上~! お小遣いたった 2億円じゃ足らないよ~!!」

    男「またお小遣いの催促か…この間、人間を買いたいと言って一億円あげたばかりじゃないか」

    フェル「でも足らないんだよ~!全然足らないんだよ~!! ねぇち~ち~う~え~!!」

    男2「お小遣い2億は少ないですなぁ 子供には月に5億は与えないと…」

    フェル「ち~ち~う~え~!!」

    男「う~ん わかったわかったから。 今月はコレで最後だぞ。 」

    フェル「へへへ~ ありがと 父上~」

    男は2、3手拍子をした。

    すると、スーツを着た黒尽くめの男がスーツケースを持ってきた。

    男「無駄遣いするんじゃないぞ!」

    フェル「分かってるって!」


    また別のフロアでは…

    女「おたくは誰に賭けたんです?」

    男3「わたしはあえて大穴を狙いましたよ。」

    女「まぁ。誰に賭けたんですの?」

    男3「あの、赤髪の少女など意外と生き残るんじゃないでしょうかねぇ?」

    女「そうですの。まぁ。わたしは手堅く勝利をねらいましたけどね。」

    男3「なら勝負しますか? どちらの勘が当たるか…」

    女「えぇ。いいですわよ。」

  41. 41 : : 2015/07/22(水) 17:48:46
    鬱蒼と生い茂るジャングルを掻き分けて進む。

    顔の回りに羽虫が嫌な音を立てて飛び回る。


    日向「ああっ! クソッ!」

    頬をひっぱたくと蚊が潰れていた。

    日向「とりあえず…ここがどこなのか確かめないと…」

    ??「ねぇ」

    日向「……っ!? 誰だ!」

    思わずショットガンを構えた。

    七海「わたしだよ…」

    日向「七海…!?」

    七海「それは…もしかして…」

    日向「あぁ。あの変なヤツからのプレゼントらしい…」

    日向「七海も…何か…」

    七海「わたしはこれだったよ…」

    リュックサックを漁って出てきたものは…

    ~粘着爆弾~

    裏面に強力な吸着体が張り付けられた爆弾。
    リモコン操作で爆発する。
  42. 42 : : 2015/08/03(月) 07:08:53
    期待です!

    九頭龍ですよ
  43. 43 : : 2015/08/03(月) 15:34:53
    ~ジャバウォック島 工場~

    左右田「ああっ! クソっ!!」

    目を覚ますと固く、冷たい床に寝かされていた。

    左右田「う~ 頭いてぇ… ここは…」


    左右田は辺りを見回した。

    左右田「工場か…ここは」

    腕輪「ご機嫌よう。 左右田 和一くん。」

    左右田「うわぁあああっ!!」

    腕輪「君にはちょっとしたプレゼントを送っておいた。そこの箱を開けてみるといい…」


    左右田「箱…? なんだコイツは…」

    ―削岩機―

    コンクリートや岩石を砕くための工具。
    ガソリンがないと動かない。

    左右田「削岩機…だな。 燃料は無いか……」


    左右田「とりあえず…誰か探すか…」

    彼は暗闇へと消えていった。




    ~ジャバウォック島 ダイナー ~





  44. 44 : : 2015/08/04(火) 19:52:22
    小泉「もう…一体何なのよこの島は…」

    西園寺「小泉おねぇ… 大丈夫?」

    小泉「うん…わたしは平気だけど…」

    西園寺「しかもここ暗い…何が何だか全然わかんないよ…」

    小泉「ちょっとまってて…」

    幸い、カメラは盗られてはいなかった。

    小泉「ちょっと眩しいかもしれないけど…」


    カメラのフラッシュを焚き、辺りを照らした。

    西園寺「うわっ! ちょっと… 眩しいよ小泉おねぇ!」

    小泉「あぁ! ごめん! え~っと…電気のスイッチは…」

    フラッシュに照らされる一瞬の視界を頼りに電灯のスイッチを探し出す。

    ようやく視界が確保された。


    西園寺「なにかあるみたいだね…」

    小泉「宛名が書いてある」

    ~スナイパーライフル~

    警察、狩猟、軍隊など、幅広い方面で採用されているボルトアクション式ライフル。

    装弾数 6発

    ~吹き矢~

    古来から暗殺、狩猟に使われる飛び道具。射程は短いが矢には強力な神経毒が塗布されている。

    矢 3本


    西園寺「それは…」

    小泉「え… 鉄砲 だよね?」

    西園寺「なんでそんな物がこんなところに…」

    小泉「分かんないけど… やっぱりあのDJが関係してると思う…」

    小泉はライフルを置いた。

    西園寺「持っていかないの?」

    小泉「うん。 持って行っても… ロクなことにならない気がするから…」

    西園寺「そうなんだ…」

    西園寺(どうしよう…)

    手に持った吹き矢を捨てるに捨てきれない。


    吹き矢を…

    >>45

    捨てる

    捨てない
  45. 45 : : 2015/08/06(木) 13:41:18
    捨てないでお願いします!
    期待です!
  46. 46 : : 2015/08/07(金) 03:00:32
    西園寺「…………」

    静かに和服の奥に吹き矢を忍ばせた。


    小泉「さて、色々見て回らなきゃ…日寄子ちゃんも来る?」

    西園寺「あっ…! うん! 待って小泉おねぇ!」






    ~ジャバウォックマーケット~

    十神「こ…ここは?」

    十神(何者かが…僕たちをここに…?)

    十神「ずいぶん、手際がいいな…」

    自分の腹を見下ろして呟いた。



    十神「さて、アイツらはどこへ行った…?」

    そして、無意識の内に「なりきり」を始めていた。

    十神(これは…?)

    ~スペツナズナイフ~

    ソ連の特殊任務部隊「スペツナズ」に採用されたナイフ。
    ボタンを押すと刀身が射出される。



    十神(スペツナズナイフか…さしずめあのDJからか…)

    十神「ならば、ありがたく使わせて貰おう。」

    十神(このナイフが貫くのは仲間ではないがな…)


    のしのしと巨体は闇へ足を伸ばした。
  47. 47 : : 2015/08/08(土) 02:41:52
    ~ジャバウォック島 牧場~

    田中「ぬぅ… ッく!」

    田中「まさか… この制圧せし氷の覇王。田中眼蛇夢の意識を奪うとは…」


    田中「大丈夫か… ジャンP、サンD、マガG、チャンPよ…」

    ストールの中から4匹のハムスターが飛び出した。

    田中(この島は…一体…?)

    田中「ん? なんだこの箱は…」

    ~何かのカギ~

    特殊な形状をしたカギ。プロペラの紋章が彫られている。



    田中「カギか… 何のカギだ?」

    田中(何かの役に立つかもしれんな…)

    相棒を肩にのせ、彼は島へ繰り出した。
  48. 48 : : 2015/08/08(土) 03:06:47
    (期待です)
  49. 49 : : 2015/08/08(土) 03:36:46
    ~ジャバウォック島 チャンドラービーチ~

    辺古山「坊ちゃん! 起きてください! 坊ちゃん!」

    九頭竜「う……」

    九頭竜「ペコか…」

    九頭竜「あー くっそ…頭いてぇ…」

    辺古山「申し訳ありません、坊ちゃん…わたしが付いていながら…」

    九頭竜「いや、大丈夫だ。それよりさっさと、他の連中を探すぞ。」

    辺古山「分かりました。坊ちゃん。」

    彼は自らの懐を調べた。

    九頭竜(トカレフが戻ってやがる… ナメ腐った野郎だ…)

    九頭竜「それと…この箱はなんだ?」

    辺古山「わたしが目覚めた時からありました。」

    辺古山「恐らく… DJからかと…」


    ~AK-47~

    7.62mm弾を使用するアサルトライフル。剛性が非常に高く、信頼性が高い。

    装弾数 30発

    ~鬼丸国綱~

    天下五剣に数えられる名刀の一つ。 北条時政を病から救った「鬼切りの太刀」。現在は御物として保管されている。


    九頭竜「おいおい… なんだこの代物は…」

    九頭竜「…… しかもオモチャじゃなさそうだぞ…」

    辺古山「馬鹿な…あり得ない…」

    九頭竜「なんだ? 国宝級の刀でもはいってたのか?」

    辺古山「そのまさかですよ…」

    辺古山「この鬼丸国綱は国宝ではありませんが…御物と言われるもので…」

    辺古山「天皇陛下の私物品です。」

    九頭竜「贋作…じゃねぇのか?」

    辺古山「……分かりませんが…」



    彼女はその「名刀」を腰にさした。



    辺古山「参りましょう。坊ちゃん。」

    九頭竜「あぁ。 そうだな。」

    極道二人は共に歩き出した。
  50. 50 : : 2015/08/12(水) 01:01:47
    (すごく面白いです!!!期待で胸がいっぱいです!!)
  51. 51 : : 2015/09/10(木) 18:32:57
    ソニア「ここ…は?」

    ソニア「みなさんは? それに…ここは……?」


    簡素なベッドに洗面台。全体的に少しホコリを被っている。

    ソニア(モーテルか何かでしょうか…?)

    ソニア「こ…これは?」


    明らかにこの状況にふさわしくないラッピングが施された箱がぽつんと置かれていた。

    本来なら中身はなんだろうとワクワクしそうなものだが、この状況下でこの「箱」は事態の不気味さをいっそう深いものにした。

    ソニア「細長いですね…中に一体何が……」



    ~レイピア~

    細長い刀身が特徴の西洋の剣。斬ることよりも突くことに特化している。


    ソニア(わたしは… この島で一体…… 何をしたいんでしょう…?)


  52. 52 : : 2015/10/21(水) 02:18:31
    澪田「………」

    澪田「………………」

    澪田「……………………」

    澪田「すぴー……」



    澪田「はっ! ここは!? わたしは何処!? ここは誰!?」

    澪田(って……何やってるんだろう…一人で………)

    澪田「何が起こったんだっけ……? 確かリーゼント頭のノリノリの男が……」


    澪田「そうだ……ここは何処なの…?」

    澪田(それにしても真っ暗っすね……)


    手探りで歩き回るうちに何かにつまずいた。

    澪田「いたっ!!」

    澪田「こんな時にケータイも使えないなんて……!」



    すると、件の腕輪から音声が流れた。

    「暗くてお困りなら腕輪の脇のスイッチを押せばライトになるぞ?」

    澪田「ひぃっ!」



    澪田「わ…脇のスイッチ……」


    押すと確かにライトが光り出した。

    澪田「さっきつまづいたのはこの箱……」


    ~9mm拳銃~

    セミオートマチックの拳銃。小型な造りで隠し持つのに適している。

    装弾数 8発


    澪田「ぴ……ピストル…!? こんなの何に……!」

    澪田(だけど……こんなところでじっとしてられないし……)


    澪田は懐に拳銃をしまった。
  53. 53 : : 2015/11/07(土) 03:20:13

    ~ジャバウォック島 ジャングル~

    鬱蒼とした茂みをかき分ける大小2つの人影がある。

    草木を掻き分けた先に青白い月明かりが出迎えてきた。

    日向「ハァ…ハァ…… もうジャングルはうんざりだ……」

    七海「日向くん日向くん」

    日向「なんだよ……」

    七海「肩に大きい蜘蛛が……」

    日向「えっ……!?」



    肩に手のひらほどあるフサフサしたタランチュラが乗っかっていた。

    日向「あ……うそだろ…」

    七海「どうする…? 叩いちゃう……?」

    日向「刺激すんなよ!」



    ??「動くな!」


    後ろから聞き覚えのある声がした。

    日向「た…田中か…?」

    田中「そのまま動くではない。」



    田中「そうだ……そのまま。」

    田中「もう動いていいぞ。」


    日向「あぁ… ありがとう。田中……」

    田中「この程度の魔獣も操れぬのか……と言いたいところだが……」

    田中「もう少しでコイツの毒牙にかかるところだったぞ…。」


    手の甲にタランチュラを乗せ、田中は言った。

    田中「ところで貴様……その魔装はなんだ?」

    日向「あぁ… あのDJかららしい……」

    日向「なぁ、田中…… お前は…」

    田中「俺は誰にも靡かぬ。この俺様から直接手を下す事もしない。」

    田中「俺は俺の王国を守るために戦うだけだ。」


    日向「そうか……」

    日向「ありがとな。田中」


    田中「……フン…………」

    ビーチの奥へと田中は消えていった。
  54. 54 : : 2015/11/07(土) 04:10:49
    日向「他のメンバーはどうしてるんだ……?」

    七海「それもそうだけど日向くん。今日泊まる所を決めない?」

    七海「野宿じゃあちょっと……」

    日向「そうだな。」

    日向「モーテルとホテルが近いな……」

    >>55

    モーテルへ

    ホテルへ
  55. 55 : : 2015/11/08(日) 01:59:03
    モーテルへ でお願いします!(期待です!)
  56. 56 : : 2015/11/10(火) 11:48:53
    日向「モーテルにするか。」

    七海が合宿のしおりをまだ持っていた事が幸いだった。しおりには島の簡単な地図が同封されていた。


    ~モーテル~



    さびれたモーテルが俺たちを出迎えた。

    時刻は午前2時を回っただろうか?

    日向「鍵開いてるな……」

    七海「無用心だね……」

    中はやはり全体的に少しホコリを被っていた。


    そして、微かに感じる人の気配。




    日向「足跡があるな……」

    数個の足跡の列。大きさや歩幅からして男の物だろう。

    七海「ねぇ…何か聞こえない?」

    日向「…確かに」

    何かが唸るような低い声。

    日向「こっちか……?」

    音を頼りに部屋を探る。

    うなり声のようなものはだんだん大きくなっていく。



    七海「ここ…だね…」

    日向「あぁ。」


    ショットガンを構えつつ部屋のドアを蹴破った!!



    ??「ぐぉおおおおお……」

    日向「に…弐大!?」

    モーテルの一室で弐大が大の字で寝ていた。


    七海「弐大く~ん!」

    日向「おい! 弐大! 起きろよ!」


    弐大「ん? なんじゃ…?」

    日向「なんじゃじゃねぇよ……」

    七海「うなり声は弐大くんのイビキだったんだね……」

    日向「な…なんだ…」

    弐大「応。 こりゃあすまんかったのう!」


    どうやら弐大はここに運ばれていたようだ。

    弐大は終里を探しにいくといって行ってしまった。



    日向「なんかどっと疲れた……」

    七海「今日はもう休もっか」






    ~モーテル 個室~

    日向「俺こっちの部屋にいるから……何かあったらいつでも言ってくれ。」

    日向「鍵開けておくから」

    七海「うん……」


    七海「あっ…待って!」

    日向「うん?」

    七海「いや……何でもない……」
  57. 57 : : 2015/11/20(金) 13:36:26
    ~同時刻。モーテル~

    弐大「…………。」

    弐大(日向のショットガンといい…このカギといい…疑うまでもなくあのDJとかっちゅうヤツの仕業じゃろうのぉ……)

    ~古びたカギ~

    何かのカギ。紋章が掘られていた跡がある。



    弐大「終里はどこへ行ったんじゃ?アイツは気が早いからのぉ……」

    行く宛もなく島を歩いているとホテルらしい建物にたどり着いた。


    弐大(誰かいるといいんじゃが……)



    弐大「邪魔するぞ~~!」

    弐大「……誰もおらんのか?」


    ??「そ……そこにいるのは誰だ……!!」

    弐大「なんじゃ。ワシじゃ。弐大猫丸じゃ」


    花村「な…なんだ…… 本物の弐大くんか……」

    弐大「応ッ! ワシこそが弐大猫丸じゃ!!」

    弐大「ところで……他の奴らはどうしたんじゃ?」

    花村「さぁ……? ぼくはここで目覚めたっきりだから……」


    弐大「なるほどのぉ。」

    弐大「仕方ない。 終里を探すのは明日にするか……」

    花村「ぼくも今日のところは部屋にいることにするよ……」





    花村は一人ホテルのレストランに残された。

    花村「こんな……なんでこんな……!」



    ~数時間前~

    花村「やったよ……お母ちゃん…………」

    花村「…………」

    花村「あれ!? ……なんだ…夢か…………」


    ついに開かれた花村食堂2号店。しかも麻布への開店!


    そんな夢は虫と南国の鳥の鳴き声にかき消された。

    花村「どこなのここ……?」

    幸い、月が円かったため、部屋の中でも視界には困らなかった。


    花村「確か……なんか変な男が……」

    混乱する頭をなんとか整理する。


    頭を悩ませていると懐に違和感を覚えた。
  58. 58 : : 2015/11/20(金) 13:50:03
    花村「ん? なんだこれ……?」

    明らかに場を包む雰囲気にそぐわない小さなプレゼント箱。


    花村(これもあのDJから……?)


    ~毒の小ビン~

    フグ由来の猛毒。テトロドキシンが封入されたビン。

    この島の人間を全て殺すには十分な量だ。


    花村(フグ毒……っ!?)

    花村(フグの内臓に含まれるあの……)


    花村「これで……何をしろって言うんだよ…………」

  59. 59 : : 2015/11/20(金) 13:58:01
    ~現時刻~

    花村「ぼくは……! ぼくは料理人だぞ……!!間違ってもこんなの使ったりしない!!」


    毒の小ビンを窓の外へ投げ捨てた。


    花村(寝よう……! これは夢なんだ……!! 寝れば目が覚める…… そうすれば……!)



    なかば無理やりに自分を言い聞かせ、ホテルに用意された個室へ走り込んだ。
  60. 60 : : 2015/11/24(火) 12:51:37
    ~ジャバウォック島 ???~


    罪木「ハァ……! はぁはぁ……!」

    彼女は焦っていた。それもかなり。


    ??「待てよ! 抵抗されるとめんどくせーんだよ! 大人しく殺されてくれよ!!」


    当然の事だろう。

    彼女は今、まさに「獣」に目をつけられた「獲物」なのだから。



    木々の上から声はしきりに聞こえてくる。

    ??「悪く思わないでくれよな! オレだって……お前に格段恨みがあるわけじゃねーんだからよぉ……」

    罪木(どうして……??どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして……っ!? なんで!!?)


    逃げながら彼女はそんなことを考えていた。






    自らの理不尽すぎる運命について……














    Prologue end……
  61. 61 : : 2015/11/25(水) 15:29:14
    Chapter1____



    逃げても逃げても声は離れない。



    むしろ。 着実に、着実に距離を詰めていく。


    罪木「なんで…………!? どうしてこんな…………っ!」



    三年前…………


    看護学校に彼女は通っていた。


    本来ならば彼女が夢を実現させるための場所。



    しかし、彼女にとっての「そこ」は地獄に他ならなかった。








    あるときはダーツの的、あるときはラクガキ帳、またあるときは………………




    罪木「うぷ……っ! うォぇっ……!」


    思い出すだけで吐き気が催す生き地獄の日々。





    罪木(やっと…………やっと解放されたと思ったのに………………!)


    罪木「こんなわたしでも許される日が来たって信じてたのに……ッ!!!」



    「蜘蛛の糸」が空から降りてきたのは本当に突然の事だった。


  62. 62 : : 2015/11/25(水) 17:03:59


    罪木『希望ヶ峰学園……??』

    ある日突然言い渡された転校の知らせ。




    何がなんだかよくは分からなかったが、とにかく地獄から抜け出せる事は間違いなかった。

    彼女に「蜘蛛の糸」を掴まない理由は無かった。







    罪木「やっとあの悪夢みたいな毎日から…………」

    西園寺の当たりはキツいものの、それでも看護学校に比べれば天国であった。



    しかし、カンダタと同じく、罪木の蜘蛛の糸も今、切り落とされた。


    「地獄」が大口を開けて待ち構えていた。




    いや、文字どおり本当にあの世行きかも知れない。



    罪木「うああっ!!」

    木の根につまづき、頭から地面にダイブした。


    「狩人」は木の上から降りてきた。






    罪木「どうして………………!」

    罪木「どうしてよぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」



    誇張などではない。

    れっきとした「狩人」である。





    その声の主は…語りかける。


    終里「オメーに恨みはねぇよ……ただたまたま近くにいたから狙っただけだ……。」

    終里「わりぃけど……人助けと思って死んでくれ…………ッッ!!」
  63. 63 : : 2015/11/26(木) 11:48:23
    罪木「ひぐっ…… うっ…うぅ…………」

    終里「大人しくしてろよ…… 下手に暴れると余計苦しいからな……」


    罪木「いや……許して………っ! やめて!!!」

    終里「悪く思うなよ………… そらァッッ!!」




    脇腹に強烈な衝撃が走った。


    内臓が口から飛び出るのではないかと思うほどの衝撃。


    罪木「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ! う゛ぉええっ!!」


    終里「チッ…………だから大人しくしてろって言ったのに…………」

    罪木「ひ…………ゃ…… やめて…………やめて……………!」


    フラフラと立ち上がり、逃げ惑う。


    終里「クソッ……! まだ立ち上がれるなんてなぁ…………」





    腹部に残る鈍く重い痛み。

    胃の内容物が全てせり上がってくる感覚。


    背後から忍び寄る「狩人」の足音。



    彼女は今、「死」を確信していた。


    罪木(いやだ…………いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ‼)

    罪木(いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ‼‼)


    死神の鎌が彼女の首を捉えようとしていた……



    その時。

    罪木「なっ……!??」

    足元の地面が崩れた。




    底の深い崖が彼女の脚を掴み、一気に引き摺り下ろした!


    終里「あ…………」



    罪木「きゃあああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」













    底の見えない闇に彼女は呑み込まれていった。


    終里「罪…………木………………」

    終里「クソッ!!」





    「狩人」はその場を後にした。

    後に残るのは風と、木々のざわめきだけであった。
  64. 64 : : 2015/11/27(金) 12:10:25
    ~強化合宿 二日目~

    日向「ぬぅ…くっそ……」

    日向(顔でも洗うか…)

    カビ臭いモーテルでの目覚めは最悪であった。

    電気はこの建物には通っていないようだが、水道は生きているようだ。



    「なんとか」生きていた。



    日向「うげっ!!」



    黒とも茶色ともつかぬ水のようなものが蛇口からあふれ出た。

    よほどの年数が経っているようだ。




    ようやく蛇口の水が水らしくなってきた頃…





    七海「日向くーん?」

    ドアをノックする音が聞こえた。





    日向「ああ、おはよう。七海…」

    七海「日向くんは今朝は大丈夫かな?」


    日向「なんとかな… 目覚めはあんま良くなかったけど…」

    日向「さて…これからどうするか…」


    なんとか無事に朝を迎えることができたものの、この頭のイカれたゲームの主催者がいつまでも何も起きない状況を放っておくはずがない。



    日向(もしかするともうすでに…)

    七海「とりあえずは…さ。 食料を探さない?」

    七海「昨日から何も食べてないし…」

    日向「そうだな。まずは…」



    まずは朝食をとモーテルの廊下に出たその時……
  65. 65 : : 2015/11/29(日) 18:06:48
    狛枝「やぁ。七海さん。」

    狛枝「……と。日向クン? 二人ともここにいたんだね。」


    七海「おはよ~ 狛枝くん」

    日向「何の用だ…? 狛枝」

    狛枝「あれっ? もしかして……この前のことまだ怒ってる?」

    日向「別に……」

    狛枝「ごめんって日向クン… とりあえずさ、今は過去の事は水に流して仲良くしようよ」

    日向(お前がそれを言うのか………)

    狛枝「それに…日向クンや七海さんもその方がいいと思うよ。」

    七海「と…言うと?」

    狛枝「これから行くところにみんな集まってるんだ。 全員じゃないけどね……」

    日向「どうする…? 七海」

    七海「わたしは行ってみようと思うよ。」

    日向「そうか… なら行ってみるか……」


    狛枝「ここからちょっと離れた「1の島」にあるホテルにみんな集まってるんだ。 付いてきて。」
  66. 66 : : 2015/11/30(月) 10:47:11
    ~1の島 ホテル~


    寂れてもなお南国の雰囲気を残す佇まい。

    個室はコテージ。中央にレストラン。プールまで用意されている。

    日向(さすがにプールには藻が張ってるな……)


    ホテルのレストランに、見慣れた顔ぶれが並んでいた。

    日向(いないのは終里と罪木と弐大か…)


    するとその時。何かがドアを勢いよく開けた。


    弐大「ゼェ… ゼェ… ま……待たせたのぉ……」

    日向「に…弐大!?」
  67. 67 : : 2015/12/02(水) 14:29:30
    弐大はレストランに駆け込んで来るなりフラフラとテーブルにもたれかかると……

    水が入ったボトルに手を伸ばし、ボトルごと一気に飲み干した。



    弐大「だ…ッ! はぁーーーっ 生き返るのぉ………」

    ソニア「に…弐大さん!? どうしたんですか!?」

    日向(あの弐大がこんなになるなんて……)


    日向「弐大… やっぱ終里を探しに……?」

    弐大「そうじゃ…… アイツを探して…島中を探し回っとったんじゃが……」

    弐大「気配は感じるんじゃが… アイツどうやら逃げ回っとるのぉ… それか何かを探してるかもしれん……」



    弐大「何にせよ…… 考えたくはないんじゃが………」

    狛枝「もうコロシアイは始まってるかも知れない… そういう事だね?」







    誰もがなんとなく察しはついていた。


    だが、言わなかった。いや、誰も言い出したくはなかった。



    認めたくなかった。




    しかし、その男は静かに言葉を紡ぐ。


    狛枝「終里さんが何の考えも無しに誰かを殺すとは考えにくいけど…こうなった以上…」

    日向「おい…! お前!」


    言い終わる前。鬼神の如く憤怒にたじろいだ。

    弐大「もういっぺん言ってみぃ……」



    その姿は普段、彼が見せる明朗な彼とは遠くかけ離れたもの。

    狛枝の胸倉を掴み、問い詰める。

    小泉「ちょっと…! やめなさいって!」

    胸倉を掴まれたまま、狛枝は続けた。

    狛枝「そう考えない方が不自然だよ… 現実から目を反らすのは良くないよ……」

    狛枝「それにこれは……」

    次の瞬間。狛枝の身体が宙を舞った。



    飛ばされた先に墜落し、テーブルを叩き怖し、皿を吹っ飛ばした。


    「きゃあああああああああああッ!!」



    狛枝「いっつ……!」

    弐大「終里は人殺しなどせん!!! いや……ワシがさせん!! 分かったか!!!」


    十神「いい加減にしないか!お前たち!!」

    日向「そうだぞ…! だいたいどうしたんだよ!いつもの弐大らしくもない……」

    弐大「ハァー…ハァー…… す、すまん……」

    弐大「もしかすると…アイツのことで気が立ってるのかも知れん……」

    弐大「すまなかった…狛枝……立てるか?」


    狛枝は黙って立ち上がり、コートのホコリを払うと……

    狛枝「このぐらい全然…何てことないよ。」


    狛枝は微笑(わ ら)う。腹の底が見えないような…嫌な笑みだ。
  68. 68 : : 2015/12/15(火) 13:09:04
    花村「みんな~ 食事の用意が…って! ななななななななな…!?」

    日向「あ…あぁ…これはな…」


    なんとか、レストランを片付けると遅めの朝食が始まる。


    花村「……何人か…足らないみたいだね…」

    日向「終里と罪木か…。弐大や九頭龍たちが探して回ったそうなんだが…」

    日向「罪木は消息不明で終里に至っては逃げ回ってるか何かを探してるみたいで……」

    花村「そうなんだ……」

    花村「だけどさ。ぼくは… こんな時だからこそ『食事』って大事だと思うんだよ!」

    花村「ほら… 軍隊でも食事の質は士気に関わるって言うし……」

    日向「そうだな……」


    花村「お待たせ~みんな!」

    テーブルを様々な料理が彩る。

    どの料理も「俺から先に食べろ」と言い出さんばかりの異彩と輝きに溢れていた。


    澪田「うっきゃーーーーっ!スゴイっすね!!」

    左右田「あぁ、まさか無人島に来てこんなメシにありつけるなんて……」

    十神「………………」

    「いっただきま…!」

    既に2、3人が飛び付こうとしたその時。

    九頭龍「始める前にちょっといいか。」

    花村「え?」

    九頭龍「お前… この料理に毒なんて盛ってねぇよな…?」

    花村「そ…そそそそそそんな事するわけ…!」

    日向「九頭龍…」

    小泉「ちょっとあんた…! なんて事言って…!」


    九頭龍「…って。前の俺なら…そう言ったかもな…」

    そう言うと九頭龍は


    並べられた料理の1つをおもむろに食べ始めた。

    小泉「えっ……?」

    九頭龍「……うん。 うまいぜ。花村」

    辺古山「…………………。」

    花村「九頭龍くん……」

    辺古山「さぁ、気を取り直して食事にしよう!」






    こんなに賑やかな朝食はそうあるものではない。

    小泉「もう… つまみ食いしたいなら始めっからそう言えばいいのに……」

    九頭龍「なッ…! そんなんじゃねーよ!」

    この島の殺伐とした空気を次第に忘れさせていく。

    レストランは笑い声に包まれていた。

    日向(罪木と終里だって…きっと見つかるよな…!)

    前日の疲れや緊張もあってか。朝食会はかなり長くまで続いた。

    辺古山「………………。」
  69. 69 : : 2015/12/17(木) 15:17:45
    ~正午過ぎ。ホテル裏~

    辺古山「………なぜあのような事を…?」

    九頭龍「何の話だ?」

    辺古山「なぜあの場で… 花村の料理に毒が入っているのかと……」

    九頭龍「別にいいだろ。 どーでも…」

    辺古山「…………はい。」

    九頭龍「さて。いなくなった終里と罪木を探しにいくか。」

    九頭龍「『最悪のパターン』ってのも考えなきゃならねぇかもしれねぇ…」

    辺古山「はい。」


    ホテル裏に隠した武器を取りだし、九頭龍と辺古山はジャングルへ消えた。



    ~同時刻 ホテル レストラン~


    十神「さて。 お前達… これからどうする?」

    左右田「どうするつってもなぁ……」

    小泉「このまま、みんな一緒に行動すれば…誰も間違いは起こさないとは思うけど……」

    小泉「って… もう何人か見当たらないんだけど……」

    十神「終里と罪木はまだ何とも言えんが…九頭龍と辺古山ならまず心配はいらんだろう。」

    七海「十神くんは… どうしたいのかな?」

    十神「……それはお前達次第としか言えんな……。」

    澪田「やっぱり… このままみんなで泊まった方が…いいんじゃないんすかね…?」

    十神「確かに、互いが監視しあうこの状況であれば…行動は起こしにくいな。」

    日向「起こし『にくい』って……」




    十神「…………。」

    十神「日向。何か思い当たる事があるんだな?言ってみろ。」

    日向「……あのDJがこのまま殺し合いが起こらない状況を放っておくとは思えない…そういう事だろ?」

    十神「……そうだ。ひとまず正解にしてやろう。」
  70. 70 : : 2015/12/30(水) 02:44:23
    腕輪「おはよう! 諸君。今朝はいかがかな?」

    一瞬にして場の空気が凍り付く。


    日向(DJ……ッ!)

    十神「……何の用だ?」

    腕輪「君たちクラスメイトが見当たらないというのに呑気にパーティーなんかしてて大丈夫なのかい?」

    日向「何……!?」


    七海「……どうして… 私たちの状況を知ってるのかな…?」

    十神「一方通行と言ってもこちらの状況が分からないとは言っていないだろう。」

    日向「……要件はなんだ?」

    腕輪「気にならないのかね? 君たちの友人が…なぜ、凶行に走る羽目になったのか……」

    小泉「ちょっと…! さっきから何を言って…!」

    日向「終里や罪木に何かしたのか…?」


    腕輪「さぁ? それは自分で探したまえ。」

  71. 71 : : 2015/12/30(水) 02:48:56
    期待です!
  72. 72 : : 2016/02/21(日) 22:08:03
    日向「やっぱり何かあったのか…!」

    七海「……起こったちゃったんだね……」

    日向「とにかく… 早く探しにいくぞ!」

    西園寺「ハァ? ちょっとバカなんじゃないの?日向おにぃ!」

    日向「なっ… なんでだよ…?」

    西園寺「なんでこのタイミングであのイカレ頭がわたし達を外に探しにいくように差し向けんのさ!? アイツにとって都合のいい何かがあるに決まってんでしょ!!」

    西園寺「それに… 1人で探しにいって返り討ちにでもされたらどうするわけ!?」

    日向「それは………」

    言い返せない。西園寺の主張は確かに筋が通っている。

    日向(筋は通ってる…… だけど…!)

    日向(いや… 言わなければ… ここで…!)






    日向「西園寺は… 二人が心配じゃないのか?」

    西園寺「…っ!」

    明らかに動揺した様子だ。

    西園寺「そ……それは…っ それとこれとは関係ないじゃん!」
  73. 73 : : 2016/02/21(日) 22:54:54
    西園寺「それに… なんでわたしがあんなゲロブタの心配なんてしなきゃなんないのさ!」


    十神「………決まりだな」

    十神「3人4組で分けて探そう。 3人もいればほぼ何があっても対応できるハズだ。」

  74. 74 : : 2016/04/30(土) 14:51:56
    三人組に分かれた後、それぞれ島の方々へ探し回る。


    日向「罪木~~! 終里~~!!」

    左右田「出てこいよ~~!!」


    しかし、探せど探せど二人の痕跡すら見つけられない。

    日向「ハァ……やっぱ、ジャングルの方か…………」

    七海「日が傾いてきたし…急いだ方がいいかも…」

    左右田「けど、やっぱ何一つ根拠が無いのは厳しいな……」

    島と言えども空港すら構えるほどのジャバウォック島。全域を捜索するのは簡単な事ではない。

    左右田「せめて罪木が最初に目を覚ました場所とかが分かればな…………」

    左右田「まぁ、もっともそこからはとっくに移動してんだろーけど…」


    腕輪「ふっははは 気になるかね?終里くんが最初に目を覚ました場所が……?」

    日向「あいつ……!」

    左右田「な…なんだよ…だったら何か関係あんのか!」

    腕輪「君たちが立っているポイントから南西にぴったり100m進んだ所で彼女は目覚めたぞ?」

    左右田「おい!ちょっと待て!おい!…………切りやがった…」

    七海「こんなタイミングでわざわざ教えてくるってことは……」

    日向「あぁ。間違いなく何かあるな。」
  75. 75 : : 2016/04/30(土) 15:10:31
    ジャングルをかき分けてしばらく進んだところに少しばかり開けた場所があった。

    日向「このへんか…?」

    七海「うん、そうみたいだね。」

    ちょうど人ほどの大きさの物が横たわっていたと思われる草の跡。

    そのすぐ側。

    日向「なんだ?これは……」

    草むらに転がっていたのはDVDプレイヤーのような物だ。

    ただし、再生が不可能なほど大破している。

    七海「DVDプレイヤーだね」

    日向「あぁ。だけど……」


    「取りだし」ボタンをカチカチ押しても全く反応がない。

    日向「どうするか…外側を壊せば…」

    左右田「おいおい待てよ! ちょっと貸してみろって!!」

    左右田はDVDを日向から取った。

    左右田「…………う~ん… 液晶が死んでるからもうこのプレイヤーは使えねぇけど…」

    左右田「ちょいと分解してやれば……」


    左右田「ほら。出てきたぞ。DVDだ。」

    よくある真っ白な表面に「終里様へ」とある。

    日向「やっぱりこれが何か……」

    左右田「けど再生する機械が無いことにはなぁ……」



    日向「いや、あるぞ。」

    左右田「本当か?ホテルにはそんなの……」

    七海「もしかして…わたしが持ってきたゲーム機?」

    日向「そう、それだ。それがあれば再生できるんじゃないか?」

    七海「うん。テレビさえあれば再生できるよ。」

    左右田「よし、それなら早速ホテルに戻るか。」
  76. 76 : : 2016/04/30(土) 15:26:09






    ~ジャバウォック島 ホテル~



    七海「……んしょ…っと…」

    七海「よし。準備できたよ」

    日向「それじゃあ……再生するぞ。」


    ゲーム機にDVDをセットする。

    しばしの砂嵐のあとに…





    「答え」が映し出されていた。


    「う………ぅ…」

    「お……ねぇ…ちゃ…」


    左右田「ひえっ……」


    日向「こ……これは………」

    薄汚れ、荒らされた形跡のある部屋に幼い子供が横たわり苦しんでいる。

    そのどれもが骨が浮き出るほど痩せこけ、呻き声を上げるだけでほとんど動かない。




    DJ「ふっふっふ……可哀想なものだな…」

    七海「この声……」

    日向「DJ…………ッ!!」


    DJ「君の弟や妹たちなんだが……よほど金銭的に困っているようだなぁ。」

    DJ「なんでももう1週間……ほぼ飲まず食わず」

    DJ「空腹のあまりゴミ箱を漁ったばかりに病を患った者も混ざっているようだぞ?」


    DJ「いや、それにしても…大人の都合に振り回される子供というのは哀れなものだな。」

    DJ「おっと、誤解しないでくれ。私は何も手を下していない。君のご両親の問題だ。」

    DJ「子供は親を選べぬというのは不幸なものだな。」


    DJ「だが、世界というのは最初から公平に出来ていない。」


    DJ「金さえあれば…… あぁ…お金さえあればと……死んでいく命もこの世には多々あるという事だ…………」

  77. 77 : : 2016/06/09(木) 11:05:48
    日向「これは…………っ!」

    左右田「ひでぇ……」

    これではプレーヤーが大破していたのも納得である。


    七海「終里さんはこれを見て……」

    日向「終里……」


    そして動画の最後にはこんなテロップが表示された。



    「さあ、キミも今すぐ懸賞金(Bounty)を手にいれよう!」


    日向「コイツのせいで…… 終里は……っ!!」

    左右田「これじゃあ… 説得するにもどうしたらいいか……」

    七海「だけど……放っておくわけにはいかないよ。」


    七海「見つけよう。終里さんが… 道を外れる前に……!!」

    日向「あぁ……!」




    日の光が水平線の向こうまで隠れた。


    夜のとばりが下りたジャングルを掻き分けて3人は進んだ。
  78. 78 : : 2016/08/18(木) 14:37:28
    ~ジャバウォック島 ジャングル~

    罪木「ぅう… ぅううう……」

    終里「やっと…… 見つけたぞ………」


    対峙した二人はお互いに呼吸と鼓動は跳ね上がっている。


    終里「まさか… あんな所から落っこちて生きてるなんてな………」

    罪木「どうして…… どうしてぇ……っ!」


    終里「だから…… お前に恨みはねぇんだって………」

    終里「帰らないと… 早く… 早くしないと……!」


    蛇に見込まれた蛙が如く、身体が全く言うことを聞かない。
  79. 79 : : 2016/08/18(木) 15:12:33
    罪木「どうしてわたしが殺されなきゃならないんですか!! いくらゲロブタでも酷すぎますぅ!!」

    終里「うるせぇつってんだよ!!」


    取り乱す罪木をよそに終里は罪木の首に掴みかかった。


    罪木「あ…あがっ……!」

    終里「死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ死んでくれ………!!」



    罪木(なんで……なんでこんな………)

    罪木(どうしてわたしばっかりこんな目に………っ!)


    蔑まれ、虐げられ、屈辱を味わった日々。


    聞こえるはずのないかつての罵倒が頭の中を反響する。


    抵抗する力が次第に弱くなっていく。


    終里はそのまま罪木の身体にのし掛かる。


    罪木は何かを探した。……というよりもがいた。


    視界もぼやけ、終里の声も遠くなってきた頃……

  80. 80 : : 2016/08/18(木) 19:20:46
    慣れ親しんだ感触が手に当たってからはあまり覚えていない。


    とにかく、「無我夢中」であった。

    終里「な……」

    金色の月光に照らされ、その首に突き立てられた「銀色」にぬらりと緋色が不気味に光る。


    ある種の「美しさ」すら感じさせるその刹那の光景の後………

    終里「ぐぁああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!」

    終里は飛び退いた。

    そして、半ばパニックに陥った。

    月明かりをバックに吹き出す緋色が、これまた不気味に映える。
  81. 81 : : 2016/08/18(木) 19:30:29
    しかし、パニックに陥ったのは終里ばかりではない。


    罪木「あ…あぁ…… あの…」

    やけにスローモーションになる視界と思考。


    ようやく、何が起こったのか理解が追い付く。


    罪木「ご… ごめんなさいぃぃ! 終里さん!終里さん!!」

    終里「か…ッ! かはっ! ~~ッ!!」

    罪木が咄嗟に手にしたメスによって声帯の一部が切り裂かれたのか。

    声にならない声、意味をなさないを声終里は上げる。

    代わりに、血走った(まなこ)をこちらに向ける。


    罪木「ごめんなさい…! ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさぁあい…!」


    終里「ガ……ッ! ~~~~~ッッ!!」

    もはや叫びとも取れない何かの「声」を上げると……


    突き立てられたメスを力づくで引き抜いた!!

    出血がさらに勢いを増す。
  82. 82 : : 2016/08/18(木) 19:37:32
    罪木「だ…ダメですよ…! 刃物を無理矢理引き抜いたら出血が……!」

    終里は傷口を手で抑えたままメスを振りかざす。

    罪木「い…… いやぁああああああああああああああああッ!!」


    何をすればいいのか分かるはずもなく、罪木は逃げた。ただひたすら夢中で逃げた。


    終里「は…っ ゴホッ! カハ……ッ!」



    寒い。凍るように寒い。

    目の前が霞み、足元が震える。



    草むらに吸い込まれるように、終里は伏した。
  83. 83 : : 2016/08/18(木) 20:00:51


    終里(やっべぇ…… 寒いし…… 意識が……)


    濃密な靄がかかったような視界の向こうから、弟や妹たちの声が聞こえてくる。


    終里(わりぃ…… みんな… オレ… もう帰れねぇよ………)

    終里(ごめん………!)


    ネズミ同然と考えていた「標的」に返り討ちにされ、自らは瀕死。

    「窮鼠」をナメた結果である。


    終里(くそっ…… もう…ざまぁねぇな………)

    終里(ごめん…… ちょっと…… 先にいく……わ…)


    意識という手綱を手放し、深い深い沼に沈もうとしたその時。



    弐大「終里! 終里ーーッ!!」

    必死の形相で知った顔が近づいてきた。

    終里(おっさん………)

    弐大「終里…… 終里!!!」


    目の前に広がっていたのはすでに惨劇の跡。


    その女は紅の中にぐったりと横たわる。

    普段見せる彼女の姿とはまるで逆だ。


    弐大「何があったんじゃ…! 終里!!」

    弐大「お前がこんな程度で死ぬタマか…! 目を開けい!!」


    弐大「終里ーーーーッ!!!」

    終里(これ……だけ……は……)

    終里「……………!」


    弐大「え…? なんじゃと……?」



    終里の口は動かなくなった。


    弐大「……終里…!」




    すると、島全体にけたたましいファンファーレが鳴り響いた。


    「おめでとう! この「Bounty」開始以来、初めての賞金獲得者が出たぞぉおおおお!!」



    この放送は島にいる全員に伝わっていく。

    日向「なんだ……『賞金獲得』って……!!」



    「罪木蜜柑!! 終里赤音に懸けられたBounty2億5千万ルーブルを見事手に入れた!!Congratulations!!!!」

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jun

シャガルT督

@jun

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